JP2008020952A - 流体解析方法、およびその装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】解析時間の短縮を図ることができ、かつ、精度よく解析することのできる流体解析方法を提供する。
【解決手段】流体の流れを解析する形状を、3次元方向に複数の要素を展開したソリッドモデル部分22と、厚さ方向を除く2次元方向に複数の要素を展開しかつ厚さ方向には一つの状態量について複数の物理量を設定したシェルモデル部分21とからなるシェル・ソリッド混合モデル20を構築し、ソリッドモデル部分22とシェルモデル部分21との接続部においてシェルモデル部分21からソリッドモデル部分22へ流体が流入する際に、シェルモデル部分21に設定した厚さ方向の複数の物理量を、ソリッドモデル部分22とシェルモデル部分21との接続部23における実際の厚さに対応するソリッドモデル部分22の厚さ方向の各節点の物理量としてそれぞれ付与することを特徴とする流体解析方法。
【選択図】図4
【解決手段】流体の流れを解析する形状を、3次元方向に複数の要素を展開したソリッドモデル部分22と、厚さ方向を除く2次元方向に複数の要素を展開しかつ厚さ方向には一つの状態量について複数の物理量を設定したシェルモデル部分21とからなるシェル・ソリッド混合モデル20を構築し、ソリッドモデル部分22とシェルモデル部分21との接続部においてシェルモデル部分21からソリッドモデル部分22へ流体が流入する際に、シェルモデル部分21に設定した厚さ方向の複数の物理量を、ソリッドモデル部分22とシェルモデル部分21との接続部23における実際の厚さに対応するソリッドモデル部分22の厚さ方向の各節点の物理量としてそれぞれ付与することを特徴とする流体解析方法。
【選択図】図4
Description
本発明は、流体解析方法、およびその装置に関する。
コンピュータシミュレーションによる流体解析は、たとえば、樹脂製品の射出成形金型の設計、製作などに用いられている。この流体解析の手法としては、従来から、流体の流れる形状を、2次元に近似したシェルモデルを使う方法と、すべて3次元で表したソリッドモデルを使う方法とがある。
シェルモデルでは、近似する形状がシェルモデル化に適したものであれば必要十分な精度が確保でき、かつ、ソリッモデルに比べて格段に解析時間が短くてすむ。しかしシェルモデルでは近似した形状がシェルモデル化に適さない場合には、解析精度が低くなる。一方のソリッドモデルを使う方法では、解析精度が良い反面、非常に多くの時間がかかる。
そこで、これら両者のそれぞれの長所を生かすため技術開発が進められている(特許文献1)。この特許文献1によれば、両者のそれぞれの長所を生かすためにシェル・ソリッド混合モデルを利用することが考えられているが、そのままでは解析精度が低下する問題があるとされている。これは、シェルモデルは実際には肉厚のある形状を2次元化したものであるため、ソリッドモデル部分との接合部において、本来、面として接続される部分が、シェル・ソリッド混合モデルでは線としてつながっているため、この部分での肉厚方向の解析がうまく行かないことに起因していると考えられている。
このような問題を解決する方法として、引用文献1では、肉薄部と肉厚部が接続された形状内の流体解析においては、シェル・ソリッド混合モデルを使用するのではなく、肉薄部分を、肉厚方向に1要素分(1層分)のソリッドモデルとして構築し、その他の部分は通常の3次元的なソリッドモデルにより構成することで、全体としてはソリッドモデルであるが、肉薄部分は肉厚方向には1要素分のソリッドモデルでしかないため、あたかもシェル・ソリッド混合モデルと同様に時間短縮を図ろうとしている。
特開平11−231922号公報
しかしながら、従来の方法では、肉薄部を厚さ方向に1要素だけ取ったソリッドモデルとしているため、この部分での厚さ方向の状態量(例えば、温度、速度など)を、それぞれについて一つの値しか定義することができない。このため厚み方向にも状態量が変化する場合、解析精度が落ちることになるという問題があった。
そこで本発明の目的は、流体の流れ解析において、解析時間の短縮を図ることができるとともに、精度よく解析することのできる流体解析方法およびその装置を提供することである。
上記課題を解決するための本発明は、流体の流れを解析する際に、厚さ方向を除く2次元方向に複数の要素を展開しかつ前記厚さ方向には複数の物理量を設定したシェルモデル部分と、3次元方向に複数の要素を展開したソリッドモデル部分とからなるシェル・ソリッド混合モデルを構築し、前記シェルモデル部分と前記ソリッドモデル部分との接続部において前記シェルモデル部分から前記ソリッドモデル部分へ流体が流入する際に、前記シェルモデル部分に設定した前記厚さ方向の複数の物理量を、前記シェルモデル部分と前記ソリッドモデル部分との接続部における前記ソリッドモデル部分の前記厚さ方向の各節点の物理量としてそれぞれ付与することを特徴とする流体解析方法である。
また、上記課題を解決するための本発明は、流体の流れを解析する形状を記憶した記憶手段と、前記形状に基づき、厚さ方向を除く2次元方向に複数の要素を展開しかつ前記厚さ方向には複数の物理量を設定したシェルモデル部分と、3次元方向に複数の要素を展開したソリッドモデル部分とからなるシェル・ソリッド混合モデルを構築して、前記シェルモデル部分と前記ソリッドモデル部分との接続部において前記シェルモデル部分から前記ソリッドモデル部分へ流体が流入する際に、前記シェルモデル部分に設定した前記厚さ方向の複数の物理量を、前記シェルモデル部分と前記ソリッドモデル部分との接続部における前記ソリッドモデル部分の前記厚さ方向の各節点の物理量としてそれぞれ付与する演算手段と、を有することを特徴とする流体解析装置である。
本発明によれば、シェル・ソリッド混合モデルを用いて解析を行う際に、シェルモデル部分で厚み方向に複数の物理量を持たせて、シェルモデル部分とソリッドモデル部分の接続部においては実際の形状の厚みに相当する分のソリッドモデル部分の各節点へシェルモデル部分で設定した複数の物理量を付与することとしたので、解析時間を短縮することとともに、高い解析精度を得ることが可能となる。
以下、添付した図面を参照して本発明を適用した実施形態について詳細に説明する。
まず、本実施形態の要旨について説明する。この実施形態は、本発明を適用することで、肉薄部分と肉厚部分がつながった形状の樹脂成形品を射出成形により製作する場合の金型内の樹脂流れを解析するものである。
本実施形態においては、樹脂が流れる金型内部形状は肉薄部分と肉厚部分が接合した形状である(図3参照)。この金型内部の樹脂が流れる部分のうち、肉薄部分をシェルモデル部分で示し、肉厚部分をソリッドモデル部分として示したシェル・ソリッド混合モデルを使用する(図4参照)。そして、シェルモデル部分とソリッドモデル部分との接合部においてシェルモデル部分からソリッドモデル部分へ樹脂が流入する際に、ソリッドモデル部分の複数の節点に対してシェルモデル部分における複数の物理量がそれぞれ与えられるようにして、解析精度の低下を防ぎ、かつ解析時間の短縮を図ることができるようにしている。以下詳細に説明する。
図1は、本発明が適用される流体解析装置の概略構成を説明するためのブロック図である。
この流体解析装置は、本発明を適用してコンピュータシミュレーションにより樹脂製品を製作する際に使用する射出成形金型内における樹脂流れを解析する。
この装置の構成は、シミュレーションを実行するコンピュータ1と、金型の形状データを記憶した金型形状データベース2と、を有する。
コンピュータ1は、後述する手順にしたがって金型内部を流れる流体の流れをシミュレーションする演算手段である。また、コンピュータ内部には、取り込んだデータを展開するなどのために記憶装置3を有している。また、コンピュータ1には、図示しないが、マウスやキーボード、ペンタブレットなどの入力手段、ディスプレイやプリンタなどの出力手段が接続されている。また、必要に応じてその他のコンピュータ1と接続するためのネットワーク機能も備えている。
金型形状データベース2は、たとえばCAD装置などで作られた金型の形状、特に樹脂が流れるキャビティ内の形状データを記憶している記憶手段である。この形状データは、3次元座標系において、その金型内部形状を表す座標値のデータ(または形状を示すベクトルデータなど)である。なお、このような形状データは直接CAD装置から得る設計データなどであってもよい。この場合、CAD装置(またはその記憶装置)が記憶手段となる。また、金型の内部形状データの代わりに、シミュレーションを行う樹脂製品の出来上がり形状のデータであってもよい。
図2は、コンピュータ1よる流体解析手順を示すメインフローチャートである。
まず、コンピュータ1は、形状データを取り込む(S1)。コンピュータ1は、これら取り込んだデータを今後使用するために一端自身の記憶装置3内に記憶する。
次にコンピュータ1は、入力された流体解析を受け付ける(解析条件入力:S2)。ここで入力される解析条件は、シェルモデル部分とソリッドモデル部分の指定、シェルモデル部分における物理量を設定する層数、各層に設定する状態量、その他解析に必要なさまざまなパラメータ(たとえば、流体(樹脂)の温度当たりの粘度、金型温度、樹脂充填時間、解析ステップの時間など)などである。ここで状態量としては、たとえば温度、速度(流速)などである。
これらの解析条件の設定は、たとえばコンピュータ1によって表示されている画面を見ながら、オペレータによって入力される。表示される画面は、この段階では3次元モデル部分であらわされた金型の内部形状である。オペレータは、その画面から、シェルモデル部分に設定する部分とソリッドモデル部分に設定する部分を指定する。また、さまざまなパラメータの設定値も入力することになる。
図3は、流体の流れをシミュレーションする金型の内部形状を示す斜視図であり、図4は、シェル・ソリッド混合の有限要素モデルを示す斜視図である。
図3に示すように、金型内部形状は、肉薄部分11と、肉厚部分12とからなる。本実施形態では、これを、図4に示すように、肉薄部分11をシェルモデル部分21として指定し、肉厚部分12をソリッドモデル部分22として指定して、シェル・ソリッド混合モデル20とする。
シェルモデル部分21として指定する部分の厚みは特に限定されるものではないが、薄い分にはいかような値でもよく、たとえば1ミリ未満から可能である。一方、厚い場合には、数十mm程度まで可能であるが、厚み方向への流体の動きが激しいような構造では、シェルモデル部分の特性として厚み方向の流体の動きをシミュレーションすることができないので、従来のシェルモデル部分使用限界と同様程度までとなる。
シェルモデル部分21は、コンピュータ1内で定義されるX,Y,Zの3次元座標空間において、X−Y方向(2次元方向)にのみ要素を持ち、Z軸方向(厚さ方向)には要素を持たない。ただし、Z軸方向(厚さ方向)には、一つひとつの要素に一つの状態量について階層的に複数の物理量(値)を持つことができる(図6参照)。たとえば、温度の状態量であれば層構造的に複数の温度値、同様に速度であれば層構造的に複数の速度値を持つことが可能なのである。つまり、一つの要素内で、シミュレーションの解析ステップが進むにつれて変化する値が厚さ方向に複数個持てるということである。
一方、ソリッドモデル部分22は、X,Y,Z3次元方向のすべてに要素を持つが、一つの要素は一つの状態量について一つの物理量(値)のみを持つことができる。つまり一つの要素には、たとえば温度の値であれば一つの温度値、速度の値であれば一つの速度値という具合である。つまり、一つの要素内においては、シミュレーションの解析ステップが進むにつれてこれらの値は変化するが、同じ時間(解析ステップ)内では一つの値しかもてないのである。
次にコンピュータ1は、入力された解析条件に基づいて、シェル・ソリッド混合モデルを作成して(S3)、そのなかで流体の流れをシミュレーションする(S4)。この処理は、シェルモデル部分から実行し、1解析ステップごとに次のS5の処理へ移る。
続いてコンピュータ1は、S4の処理によりシェルモデル部分からソリッドモデル部分へ流体の流れ込みがあったか否かを判断する(S5)。流入の有無はソリッドモデル部分の各節点ごとに判定される。
ここで、シェルモデル部分からソリッドモデル部分へ流体の流れ込みがあれば、流れ込んだ流体の特性として、シェルモデル部分21でのシミュレーション結果をもとにしてソリッド要素境界条件の算出および付与を行う(S6)。この処理に付いては後述する。その後、処理はS7へ進み、未充填領域があれば付与れたソリッド要素境界条件に基づいてソリッドモデル部分での流体流れのシミュレーションが継続されることになる。
S5においてシェルモデル部分からソリッドモデル部分へ流体の流れ込みがない場合およびソリッド要素境界条件の算出および付与の後は、コンピュータ1は、すべての要素について未充填領域がないか否か判断して(S7)、未充填領域がある場合は、解析ステップを一つ進めて(S8)、S4へ戻り解析を継続する。一方、未充填領域がなければ解析を終了する。
ここで解析ステップとは、シミュレーション上の時間の流れであり、解析条件として設定されるパラメータの一つである。1解析ステップは、たとえば、1mscc、10msec、100msec、1sec、10sec、1minなど、流体に合わせて任意に指定される。これは、たとえば流体の流れが非常に速いことが予測される場合には、1解析ステップの時間は短い値が設定され、遅い場合には1解析ステップの時間としては長い値が設定される。
なお、S7において、解析終了か否かの判断を未充填領域の有無により判断することとしたが、途中、温度低下による固まるような流体の場合には、一定時間の経過により終了するようにしたり、またはすべての要素の温度が凝固温度に達した時点で解析を終了するようにするなどとしてもよい。
次に、ソリッド要素境界条件の算出および付与の処理について説明する。
図5〜図7は、ソリッド要素境界条件の算出および付与について説明するための説明図である。
図5に示すように、シェル・ソリッド混合モデル20の場合、シェルモデル部分21とソリッドモデル部分22との接合部は、ソリッド要素の1節点を線状に結んだだけとなる。一方、実際の形状においては肉薄部分が肉厚部分に接している部分に相当する要素は、厚さ方向(Z軸方向)に2つ分の要素25となる。このため、このままシェルモデル部分21からソリッドモデル部分22へ流体が流入するシミュレーションを継続すると、実際には厚みのある肉薄部分11からの流れがソリッド要素の1節点分の線状としてしか流入しないことになる。したがって、温度や速度、その他の状態量は、厚み方向が無視された状態でしかソリッドモデル部分に伝わらないことになり、結果としてソリッドモデル部分22内でのその後の流体の流れが実際と大きく異なり解析精度が落ちることになる。
そこで、本実施形態では、図6に示すように、あらかじめシェルモデル部分21において、その厚さ方向(Z軸方向)に一つの状態量ごとに層構造的に異なる物理量(値)を設定しておき、図7に示すように、シェルモデル部分21とソリッドモデル部分22との接続部23においてシェルモデル部分21からソリッドモデル部分22へ流体が流入する際に、シェルモデル部分21に設定した厚さ方向の複数の物理量を、接続部23において実際の厚さに対応するソリッドモデル部分22の厚さ方向の要素25の物理量としてそれぞれ付与するのである。
なお、物理量の付与は、各要素に接する節点A、B、Cに対して与えられる。これは、2次元方向にしか要素が展開されていないシェルモデルを3次元方向に展開された要素を持つソリッドモデルと接続する場合、その接続点は、ソリッドモデル側では要素そのものではなく各要素を取り囲んでいる節点のいずれかと接続されるためである。
このようにすることで、ソリッドモデル部分22では、シェルモデル部分21との境界部分で実際の接続部23の厚さに相当する節点に対して、シェルモデル部分21でシミュレーションされた厚さ方向の物理量の違いが付与されることになり、それがソリッドモデル部分22内におけるシミュレーション開始時の物理量となる。
一方、流体の流れ込み自体は、節点Aで流体の流れ込みが確認された時点で、節点BおよびCでも流体の流れ込みがあったものとして流体の流れがシミュレーションされてゆくことになる。
通常、肉薄部分における流体の流れは、厚さ方向においてほとんど違いはないので、このような処理を行っても解析精度が落ちることはない。一方、状態量は、肉薄部分であっても金型壁面に近い部分では温度や速度が低下しやすく、壁面から遠い中央部分では速くなる。したがって、これらの厚さ方向で異なる状態量の値を適切にソリッドモデル部分に伝えることで、ソリッドモデル部分内のおける流れのシミュレーションの継続がより実際に近いものとなるのである。
したがって、本実施形態のように、ソリッドモデル部分22内で流体の流れが開始される地点で、各状態量ごとに厚さ方向で異なる物理量を伝えることによって、シェル・ソリッド混合モデル20を用いた場合でも、より正確なシミュレーションを行うことが可能となるのである。
図8は、ソリッド要素境界条件の算出と付与の処理手順を示すサブルーチンフローチャートである。
まず、コンピュータ1は、形状データからシェルモデル部分21とした部分の厚さを求めて、シェルモデル部分21とソリッドモデル部分22との接続部23における実際の形状のソリッドモデル部分側節点を求める(S11)。本実施形態では、接続部23のソリッドモデル部分側要素は、図5および図7に示すように厚さ方向に2要素分であるため、それに接する3節点分となる。なお、この処理は、事前に(たとえば、S3におけるモデル作成時)算出させるようにしてもよい。
続いてコンピュータ1は、シェルモデル部分21に設定した各状態量の複数層について、S11で求めた接続部23におけるソリッドモデル部分22側の節点数分に分割する(S12)。
本実施形態では、シェルモデル部分21の物理量の設定は、図6に示したように、一つの状態量について9層としている。一方、S11で求められたソリッドモデル部分22側の接続部23の節点数は3であるから、この9層を3分割することになる。
続いてコンピュータ1は、S12で分割された層ごとに各物理量を平均化する(S13)。
ここで流入点とは、S5において流入が判定された節点である。図5においては、節点Aである。そして、平均化は、厚さ方向には、S12で分割された層についてそれぞれ平均化される。したがって、図6に示したものでは、層1〜3、層4〜6、および層7〜9のそれぞれについて平均化される。一方、平面方向には、流入点に接しているシェルモデル部分21側の要素について平均化する。したがって、図5に示すように、流入点が節点Aの場合、これに接するシェルモデル部分21側の要素aおよびbについて平均化することになる。
これらを合わせると、要素aおよびbについて層1〜9までのそれぞれの物理量(図6に示したものでは温度と速度)を抽出して、それらの値を、それぞれ層1〜3、層4〜6、および層7〜9ごとに平均化すればよいことになる。
なお、接続部23におけるシェルモデル部分21の層数と、ソリッドモデル部分22の接続部23における節点数が同じ場合には、厚み方向についての平均化は不要である。これは逆に言うと、解析条件の設定に際して、接続部23におけるシェルモデル部分21の物理量の層数とソリッドモデル部分の節点数が同じになるように、ソリッドモデル部分全体の要素数を設定するようにしてもよい。
続いてコンピュータ1は、S13において平均化した値を、ソリッドモデル部分22の接続部23における各節点に付与する(S14)。
これにより、解析処理(S4)が継続される段階では、状態量が付与された各節点で、それら付与された状態量がソリッドモデル内における流体流れの開始時点の状態量となる。したがって、シェル・ソリッド混合モデル20における接続部23は厚さ方向に1節点分であるにも関わらず、ソリッドモデル部分における流体流入時の解析開始に際しては、実際形状と同じ厚さに相当する節点数に対して状態量が付与されることになる。このため、ソリッドモデル部分22の解析では、シェルモデル部分21も含めてすべてがソリッドモデルとして算出された状態とほぼ同様な状態での解析が実行されることになる。
次に、実際に本実施形態により流体解析を行った結果を説明する。
図9は、実際に流体の流れ解析を行った形状を示す斜視図である。この形状の大きさはは図示したとおりである。
ここで解析条件としては、流体として熱可塑性樹脂であるポリプロピレンによる射出形成を想定した。射出時の樹脂温度は230℃、金型温度は40℃、金型内部への充填完了時間1秒以内である。これらの解析条件は後述する実施例および比較例において同じとした。
また、S4における解析処理は有限要素法によるシェルモデルとソリッドモデルの両方のシミュレーションを実行することが可能なソフトウェアを使用した。
(実施例)
まず、実施例として、本発明を適用したシェル・ソリッド混合モデルによる解析を行った。すなわち、図9に示した肉薄部分11をシェルモデル部分とし、肉厚部分12をソリッドモデル部分となるように設定し、シェルモデル部分には、接続部における実際形状の厚み方向に複数の物理量を持たせるようにしたものである。
まず、実施例として、本発明を適用したシェル・ソリッド混合モデルによる解析を行った。すなわち、図9に示した肉薄部分11をシェルモデル部分とし、肉厚部分12をソリッドモデル部分となるように設定し、シェルモデル部分には、接続部における実際形状の厚み方向に複数の物理量を持たせるようにしたものである。
シェルモデル部分に設定した状態量は温度と速度であり、各状態量における物理量の設定層数は11層とした。また、シェルモデル部分とソリッドモデル部分との接続部におけるソリッドモデル部分側の節点数は11となるように各モデル部分の要素を分割した。このとき全体の節点数は67146、要素数は61272となった。
(比較例1)
比較例1として、シェル・ソリッド混合モデルにおいて、シェルモデル部分とソリッドモデル部分との接続部はそのまま1節点分の線状の物理量しか持たない場合を設定して解析を行った。このときの節点数および要素数は実施例と同じである。
比較例1として、シェル・ソリッド混合モデルにおいて、シェルモデル部分とソリッドモデル部分との接続部はそのまま1節点分の線状の物理量しか持たない場合を設定して解析を行った。このときの節点数および要素数は実施例と同じである。
(比較例2)
比較例2として、すべての形状をソリッドモデル(フルソリッドモデルという)とした場合を設定して解析を行った。このときの節点数は169818、要素数は154376となった。
比較例2として、すべての形状をソリッドモデル(フルソリッドモデルという)とした場合を設定して解析を行った。このときの節点数は169818、要素数は154376となった。
図10は、シェルモデル部分とソリッドモデル部分の接続部における流体の流れを示す図面である。
各シミュレーションの結果、実施例では、シミュレーションにかかった時間は19分でった。また、比較例1では同じく19分であった。比較例2では58分でった。
これらの結果から、実施例である本発明を適用したシェル・ソリッド混合モデルにおいては、フルソリッドの場合よりも約3分の1の時間でシミュレーションできることがわかる。
また、図10に示すように、シェルモデル部分21とソリッドモデル部分22の境界部の流体の流れをみると(各図におけるソリッド部分での流体Sの広がり方に注目すると)、実施例(図10(a))では、フルソリッドモデルによる比較例2(図10(c))とほぼ同様の流体の流れ方を示している。このことは、流体の流れの解析精度が、フルソリッドモデルに近く、非常に高い精度となっていることがわかる。一方、比較例1は比較例2と比較して異なる流体の流れを示している(図10(b))。したがって、流体流れの解析精度が低くなっていることがわかる。
以上の実施例および比較例の結果から、本発明を適用することで、十分に高い解析精度が得られるとともに、シミュレーション時間を大幅に短縮できることがわかる。
なお、上述した実施例では、解析対象とされる流体としてポリプロピレンを想定したが、これはポリプロピレンのような高粘性の樹脂材料は、慣性力や重力よりも粘性力の影響が強く流動挙動に表れるため、形状モデルの厚さ方向を垂直方向に設置するようにした場合に、厚さ方向における流動性の影響を無視してシミュレーションすることが可能となり、上述した実施例および比較例のようにモデル形状が異なる比較を行うのに適しているためである。このため実施例および比較例においては、樹脂成形シミュレーションの運動方程式のモデル化の際に、上記のように、慣性力と重力の項は微小であると仮定し、無視して解析を行っている。
なお、上述した実施例では、ポリプロピレンを想定したが、本発明の対象とする流体としては、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂以外であっても想定して実施可能であることはいうまでもない。
本発明は、流体の流れの解析に適用することができ、中でも射出成形品の設計、金型製作などに好適である。
1…コンピュータ、
2…金型形状データベース、
3…記憶装置、
11…肉薄部分、
12…肉厚部分、
21…シェルモデル部分、
22…ソリッドモデル部分。
2…金型形状データベース、
3…記憶装置、
11…肉薄部分、
12…肉厚部分、
21…シェルモデル部分、
22…ソリッドモデル部分。
Claims (8)
- 流体の流れを解析する際に、厚さ方向を除く2次元方向に複数の要素を展開しかつ前記厚さ方向には複数の物理量を設定したシェルモデル部分と、3次元方向に複数の要素を展開したソリッドモデル部分とからなるシェル・ソリッド混合モデルを構築し、
前記シェルモデル部分と前記ソリッドモデル部分との接続部において前記シェルモデル部分から前記ソリッドモデル部分へ流体が流入する際に、前記シェルモデル部分に設定した前記厚さ方向の複数の物理量を、前記シェルモデル部分と前記ソリッドモデル部分との接続部における前記ソリッドモデル部分の前記厚さ方向の各節点の物理量としてそれぞれ付与することを特徴とする流体解析方法。 - 前記複数の物理量の数は、前記シェルモデル部分と前記ソリッドモデル部分との接続部における前記ソリッドモデル部分の前記厚さ方向の節点の数より多く、
前記付与する際には、前記複数の物理量を、前記節点の数ごとに平均化して付与することを特徴とする請求項1記載の流体解析方法。 - 前記複数の物理量の数は、前記シェルモデル部分と前記ソリッドモデル部分との接続部における前記ソリッドモデル部分の前記厚さ方向の節点の数と同じであることを特徴とする請求項1記載の流体解析方法。
- 前記付与する際には、前記ソリッドモデル部分の一つの節点に付与する一つの物理量は、前記ソリッドモデル部分の一つの節点に対して当該節点に接する前記シェルモデル部分の二つの要素の物理量を平均化した値を付与することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の流体解析方法。
- 流体の流れを解析する形状を記憶した記憶手段と、
前記形状に基づき、厚さ方向を除く2次元方向に複数の要素を展開しかつ前記厚さ方向には複数の物理量を設定したシェルモデル部分と、3次元方向に複数の要素を展開したソリッドモデル部分とからなるシェル・ソリッド混合モデルを構築して、前記シェルモデル部分と前記ソリッドモデル部分との接続部において前記シェルモデル部分から前記ソリッドモデル部分へ流体が流入する際に、前記シェルモデル部分に設定した前記厚さ方向の複数の物理量を、前記シェルモデル部分と前記ソリッドモデル部分との接続部における前記ソリッドモデル部分の前記厚さ方向の各節点の物理量としてそれぞれ付与する演算手段と、
を有することを特徴とする流体解析装置。 - 前記演算手段は、あらかじめ入力された前記複数の物理量の数が、前記シェルモデル部分と前記ソリッドモデル部分との接続部における前記ソリッドモデル部分の前記厚さ方向の節点の数より多い場合には、前記複数の物理量を、前記シェルモデル部分と前記ソリッドモデル部分との接続部における前記ソリッドモデル部分の前記厚さ方向の各節点の数ごとに平均化して、前記各節点に付与することを特徴とする請求項5記載の流体解析装置。
- 前記演算手段は、あらかじめ入力された前記複数の物理量の数が、前記シェルモデル部分と前記ソリッドモデル部分との接続部における前記ソリッドモデル部分の前記厚さ方向の節点の数と同じ場合には、前記複数の物理量を各節点に対してそれぞれ付与することを特徴とする請求項5記載の流体解析装置。
- 前記演算手段は、前記ソリッドモデル部分の一つの節点に付与する一つの物理量として、前記ソリッドモデル部分の一つの節点に対して当該節点に接する前記シェルモデル部分の二つの要素の物理量を平均化した値を付与することを特徴とする請求項5〜7のいずれか一つに記載の流体解析装置。
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---|---|---|---|---|
JP2011034211A (ja) * | 2009-07-30 | 2011-02-17 | Canon Inc | 解析用モデル作成装置及び解析用モデル作成方法 |
JP2012053556A (ja) * | 2010-08-31 | 2012-03-15 | Hitachi-Ge Nuclear Energy Ltd | 解析モデル生成方法、構造物解析方法、プログラムおよび解析装置 |
JP2017024359A (ja) * | 2015-07-27 | 2017-02-02 | 住友ゴム工業株式会社 | 粘性流体の混練状態の解析方法 |
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2006
- 2006-07-10 JP JP2006189693A patent/JP2008020952A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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