JP2002338608A - シアン化ビニル−芳香族ビニル系共重合体の製造方法 - Google Patents
シアン化ビニル−芳香族ビニル系共重合体の製造方法Info
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Abstract
−芳香族ビニル系共重合体の工業的に有利な製造方法を
提供する。 【解決手段】 懸濁重合法は、シアン化ビニル系単量体
の全量と芳香族ビニル系単量体の一部とを含む単量体混
合物を重合温度まで加熱する第一工程と、単量体混合物
が重合温度に達した後から、残りの芳香族ビニル系単量
体の一部を含む単量体を単量体混合物に連続添加する第
二工程と、第二工程とは異なる平均添加速度で、残りの
芳香族ビニル系単量体の全量を含む単量体を単量体混合
物に連続添加する第三工程とを有し、前記第一工程にお
ける芳香族ビニル系単量体の量が前記シアン化ビニル系
単量体に対して0.1〜1.5倍量である。
Description
性に優れ、工業的に有利である、シアン化ビニル系単量
体単位含量の高いシアン化ビニル−芳香族ビニル系共重
合体の製造方法に関する。
(以下ASという)に代表されるシアン化ビニル−芳香
族ビニル系共重合体はABS用マトリクス樹脂等、樹脂
材料として広く利用されている。通常ASはアクリロニ
トリル単位の含量が25〜35質量%のものが使用され
ている。ところで、樹脂材料を実際に使用する場合、塗
装に含まれる溶剤や洗剤等の薬品、潤滑油等の油等に接
することが多くあり、目的によっては樹脂に耐薬品性が
要求される。
以上のASは耐薬品性に優れることが既に知られてお
り、耐薬品性が要求される用途に使用されている。とこ
ろが、このようなアクリロニトリル単位含有量が30質
量%以上のASは、成形時等の加熱によって、透明性が
低下したり、著しく着色する等の問題を有していた。こ
のような透明性の低下および着色は、従来の懸濁重合等
の回分式重合方法では、アクリロニトリルとスチレンと
の反応性が違い、重合の進行に伴って組成の異なる共重
合体が生成するので、最終的に得られるASがアクリロ
ニトリル含有量の異なるASの混合物となっていること
が原因である。
の懸濁重合法が、種々提案されている。例えば、特公昭
49−37590号公報、特開平6-298837号公
報には、芳香族ビニル系単量体を懸濁重合中に添加し、
重合後期に残存するシアン化ビニル系単量体を蒸留によ
り除去する製造方法が提案されている。また、特公平7
−5685号公報、特公昭57−31734号公報では
特定の重合開始剤を用いて、あるいは、特定の重合開始
剤を2種以上併用して重合する製造方法が提案されてい
る。また、特公昭46−27808号公報、特公昭50
−33917号公報、特公昭54−20232号公報、
特公平6−99529号公報では特定の重合開始剤を用
いて、あるいは、特定の重合開始剤を2種以上併用し
て、100℃以上の温度で重合する製造方法が提案され
ている。また、特開平8−127626号公報には、断
続的に芳香族ビニル系単量体を懸濁重合中に添加する製
造方法が提案されている。
49−37590号公報、特開平6-298837号公
報記載の製造方法では、蒸留により除去されるシアン化
ビニル系単量体の量だけ製造効率が低下するため、工業
的に有利ではなかった。また、特公平7−5685号公
報、特公昭57−31734号公報では、特殊な重合開
始剤を用いるので、その入手に費用がかかり、工業的に
有利ではなかった。
公昭50−33917号公報、特公昭54−20232
号公報、特公平6−99529号公報では、重合温度が
高温であるため、単量体の蒸気圧が高く、重合容器に耐
圧性が必要となる。また、回分式では昇温、冷却に過大
なエネルギーを必要とするため、工業的に有利ではなか
った。さらに、特公平6−99529号公報の製造方法
では精密な温度制御が必要であり、工業的な実施は非常
に困難であった。
の製造方法では、重合中に生成する共重合体の組成はそ
の瞬間によって異なり、組成が均一でない共重合体しか
得られない。その結果として、最終的に得られる共重合
体は透明性が不十分であり、耐熱着色性に劣っていた。
本発明は、前記事情を鑑みて行われたものであり、透明
性、耐熱着色性に優れるシアン化ビニル−芳香族ビニル
系共重合体を工業的に有利に製造するシアン化ビニル−
芳香族ビニル系共重合体の製造方法を提供することを目
的とする。
−芳香族ビニル系共重合体の製造方法は、シアン化ビニ
ル系単量体単位30〜60質量%と、芳香族ビニル系単
量体単位40〜70質量%とを含むシアン化ビニル−芳
香族ビニル系共重合体を懸濁重合法によって製造するシ
アン化ビニル−芳香族ビニル系共重合体の製造方法であ
って、前記懸濁重合法は、シアン化ビニル系単量体の全
量と芳香族ビニル系単量体の一部とを含む単量体混合物
を重合温度まで加熱する第一工程と、前記単量体混合物
が重合温度に到達した後から、残りの芳香族ビニル系単
量体の一部を含む単量体を前記単量体混合物に連続添加
する第二工程と、第二工程とは異なる平均添加速度で、
残りの芳香族ビニル系単量体の全量を含む単量体を前記
単量体混合物に連続添加する第三工程とを有し、前記第
一工程における芳香族ビニル系単量体の量が前記シアン
化ビニル系単量体に対して0.1〜1.5倍量であるこ
とを特徴とする。
本発明のシアン化ビニル−芳香族ビニル系共重合体の製
造方法では、シアン化ビニル系単量体と、芳香族ビニル
系単量体とを含む単量体混合物を懸濁重合法によってシ
アン化ビニル−芳香族ビニル系共重合体を製造する。シ
アン化ビニル系単量体としては特に制限はないが、例え
ば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、シアン化
ビニリデン等が使用され、中でもアクリロニトリルが好
適に使用される。
ないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−
メチルスチレン等のビニルトルエン類、p−クロルスチ
レン等のハロゲン化スチレン類、p−t−ブチルスチレ
ン、ジメチルスチレン、ビニルナフタレン類等が使用で
き、中でもスチレンまたはα−メチルスチレンが好まし
い。また、これら芳香族ビニル系単量体は、1種または
2種以上を使用することができる。
量体または芳香族ビニル系単量体と共重合可能な他のビ
ニル系単量体を使用することができる。共重合可能な他
のビニル系単量体としては、不飽和カルボン酸エステル
系単量体、ビニルカルボン酸系単量体、マレイミド系単
量体および不飽和ジカルボン酸無水物系単量体等が挙げ
られる。
は、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、ア
クリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2
−エチルヘキシル、アクリル酸−n−ヘキシル、アクリ
ル酸シクロヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル
酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチ
ル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸イソボニル、
メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸トリクロロエチ
ル、メタクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。これ
らの不飽和カルボン酸エステル系単量体は、1種または
2種以上を使用することができる。
ば、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられ、中でもメ
タクリル酸が好ましい。マレイミド系単量体としては、
例えば、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチ
ルマレイミド、N−(n−プロピル)マレイミド、N−
イソプロピルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、
N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミ
ド、N−トルイルマレイミド、N−キシリールマレイミ
ド、N−ナフチルマレイミド等が挙げられる。これらの
うち、N−シクロヘキシルマレイミドおよびN−フェニ
ルマレイミドが好ましく、特にN−フェニルマレイミド
が好ましい。これらのマレイミド系単量体は1種または
2種以上を使用することができる。
は、例えば、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等
の酸無水物が挙げられ、中でもマレイン酸無水物が好ま
しい。これらシアン化ビニル系単量体または芳香族ビニ
ル系単量体と共重合可能な他のビニル系単量体は1種ま
たは2種以上を組み合わせて用いることができる。
剤、熱安定剤等の添加剤は一般に公知のものを使用でき
る。重合開始剤としては、例えば、ケトンパーオキシド
類、パーオキシケタール類、ハイドロパーオキシド類、
ジアルキルパーオキシド類、ジアシルパーオキシド類、
パーオキシエステル類、パーオキシジカーボネイト類等
の有機過酸化物、アゾ化合物などが挙げられる。これら
の中でも、化学構造中に芳香環を含まない化合物がより
好ましい。連鎖移動剤としては、例えば、メルカプタン
類、テルペン油類、α−メチルスチレンダイマーなどが
挙げられる。懸濁安定剤としては、例えば、ポリビニル
アルコール、リン酸三カルシウムなどが挙げられる。
り、後述する第一工程と、第二工程と、第三工程とを有
しており、始めに第一工程を行う。第一工程では、シア
ン化ビニル系単量体の全量と芳香族ビニル系単量体の一
部とを含む単量体混合物を重合温度になるまで加熱す
る。なお、この時の芳香族ビニル系単量体の量は、シア
ン化ビニル系単量体に対して0.1〜1.5倍量であ
る。芳香族ビニル系単量体の量がシアン化ビニル系単量
体に対して0.1倍量未満では、シアン化ビニル系単量
体が過剰な状態で重合が開始し、著しくシアン化ビニル
系単量体単位の過剰な共重合体が生成するため、最終的
に得られるシアン化ビニル−芳香族ビニル系共重合体は
著しく透明性が低下し、熱着色を呈することがある。ま
た、1.5倍量を超えると、シアン化ビニル系単量体が
不足した状態で重合が開始し、シアン化ビニル系単量体
単位の不足した共重合体が生成するため、最終的に得ら
れるシアン化ビニル−芳香族ビニル系共重合体は著しく
透明性低下、熱着色を呈することがある。また、単量体
には、シアン化ビニル系単量体または芳香族ビニル系単
量体と共重合可能な他のビニル系単量体を含有してもよ
い。
せ、ラジカルを発生させることができる温度である。こ
のラジカルが単量体に連鎖移動するなどして重合が開始
する。また、重合温度は、回分式の懸濁重合では昇温、
冷却することが必要であるため、低い方が有利である。
しかしながら、一般的に回分式懸濁重合で使用されてい
る重合開始剤の分解半減期から、重合温度は60〜85
℃であることが好ましく、65〜80℃であることがよ
り好ましい。重合温度が60℃未満であると、低温での
分解半減期が短い特殊な重合開始剤を必要とするので工
業的に有利ではなくなり、80℃を超えると、単量体の
蒸気圧が増加し、重合器の耐圧性を高めなければなら
ず、そのための設備費が必要である。
程が終了した後、第二工程を行う。第二工程では、残り
の芳香族ビニル系単量体を含む単量体を単量体混合物に
連続添加する。ここで、連続添加とは、所定の時間にわ
たって所定量の単量体を添加することであり、間欠する
ことなく添加してもよいし、間欠して添加してもよい
が、間欠することなく添加する方法が好ましい。第二工
程で添加される単量体には、芳香族ビニル系単量体と共
重合可能な他のビニル系単量体を含有してもよい。ま
た、第二工程では、第二工程開始時の反応液中の全未反
応単量体に対する未反応シアン化ビニル系単量体の質量
百分率をAとし、第二工程開始時から後の反応液中の全
未反応単量体に対する未反応シアン化ビニル系単量体の
質量百分率をBとしたとき、A−10≦B≦A+10と
なるように添加速度を制御しながら、単量体を連続添加
することが好ましい。より好ましくは、A−5≦B≦A
+5となるように添加速度を制御しながら単量体を連続
添加する。
<A−10となる場合、未反応シアン化ビニル系単量体
が不足した状態になり、その瞬間に重合した共重合体の
組成が所望の組成から大きくずれるため、最終的に得ら
れるシアン化ビニル−芳香族ビニル系共重合体の透明性
が低下することがある。また、B>A+10となる場
合、未反応シアン化ビニル系単量体が過剰の状態にな
り、その瞬間に重合した共重合体の組成が所望の組成か
ら大きくずれるため、最終的に得られるシアン化ビニル
−芳香族ビニル系共重合体の透明性が低下することがあ
る。
5質量%に到達したときに終了することが好ましい。こ
こで、重合系中の重合率とは、単量体混合物および単量
体混合物に添加された単量体に対する生成した共重合体
の百分率のことである。重合系中の重合率が50質量%
未満で第二工程を終了させると、第三工程後期におい
て、未反応シアン化ビニル系単量体が過剰な状態で重合
することになるので、最終的に得られるシアン化ビニル
−芳香族ビニル系共重合体は透明性が低下し、耐熱着色
性が悪化することがある。また、重合系中の重合率が7
5質量%を超えて第二工程を終了させると、第三工程に
おいて添加する単量体と、重合系中の未反応単量体との
混合が困難となるため、得られる共重合体の組成は不均
一となり、最終的に得られるシアン化ビニル−芳香族ビ
ニル系共重合体は透明性が低下し、耐熱着色性が悪化す
ることがある。
う。第三工程では、第二工程とは異なる平均添加速度で
残りの芳香族ビニル系単量体を含む単量体を単量体混合
物に連続添加する。ここで、平均添加速度とは、一定時
間にわたって添加された単量体の量のことである。第三
工程で添加される単量体には、芳香族ビニル系単量体と
共重合可能な他のビニル系単量体を含有してもよい。こ
の時、第三工程にわたる重合系中の重合率をCとし、第
二工程終了時の重合系中の重合率をDとしたとき、D−
10≦C≦D+10となるように添加速度を制御しなが
ら、単量体を連続添加することが好ましい。より好まし
くは、D−5≦C≦D+5となるように添加速度を制御
しながら、単量体を連続添加する。C<D−10となる
と、第三工程後期において未反応シアン化ビニル系単量
体が過剰な状態になり、その瞬間に重合した共重合体の
組成は大きくずれるため、最終的に得られるシアン化ビ
ニル−芳香族ビニル系共重合体は透明性が低下し、耐熱
着色性が悪化することがある。また、C>D+10とな
ると、第三工程において添加する単量体と、重合系中の
未反応単量体との混合が困難となるため、得られる共重
合体の組成は不均一となり、最終的に得られるシアン化
ビニル−芳香族ビニル系共重合体は透明性が低下し、耐
熱着色性が悪化することがある。
率90質量%以上になるまで重合することが好ましい。
重合率を向上させるためには、重合温度を昇温してもよ
い。重合率90質量%未満では、未反応単量体量が多く
なるために、賦形、成形時に未反応単量体のガスが発生
したり、シルバーストリークと呼ばれる成形品表面の外
観不良を生じることがある。
時に従来公知のスチームストリッピングを行ない、未反
応単量体を除去することもできる。スチームストリッピ
ングは重合した容器中で行ってもよいし、重合した容器
とは別の容器に重合終了後の反応液を移して行ってもよ
い。賦形、成形時の未反応単量体のガス発生や、シルバ
ーストリークなど成形品表面の外観不良を防止するため
には、重合率90質量%以上まで重合を継続し、かつ、
スチームストリッピングを行なって未反応単量体を除去
することが特に好ましい。
ル−芳香族ビニル系共重合体中には、シアン化ビニル系
単量体単位が30〜60質量%、芳香族ビニル系単量体
単位が40〜70質量%含まれる。好ましくは、シアン
化ビニル系単量体単位が35〜55質量%、芳香族ビニ
ル系単量体単位が45〜65質量%含まれる。シアン化
ビニル系単量体単位の含有量が30質量%未満である
と、シアン化ビニル−芳香族ビニル系共重合体の耐薬品
性が低下することがある。また、60質量%を超える
と、シアン化ビニル−芳香族ビニル系共重合体の透明性
が低下することがある。
ニル系共重合体中には、シアン化ビニル系単量体または
芳香族ビニル系単量体と共重合可能な他のビニル系単量
体単位を30質量%以下含まれていてもよく、好ましく
は、25質量%以下である。シアン化ビニル系単量体ま
たは芳香族ビニル系単量体と共重合可能な他のビニル系
単量体が30質量部を超えると、シアン化ビニル−芳香
族ビニル系共重合体の耐薬品性、透明性が低下し、耐熱
着色性が悪化することがある。
ニル系共重合体は、メタクリル酸メチル系重合体、塩化
ビニル系重合体、ポリエステル系重合体、ポリカーボネ
ート系重合体、グラフトゴム共重合体等の他の熱可塑性
樹脂と混合して使用できる。また、本発明のシアン化ビ
ニル−芳香族ビニル系共重合体は単独または熱可塑性樹
脂との混合物として、射出成形、押出成形、真空成形等
の各種成形加工することが可能である。また、成形品に
メッキ処理や真空蒸着処理、スパッタリング処理等の光
輝処理を施すことも可能である。そして、本発明におけ
るシアン化ビニル−芳香族ビニル系共重合体は単独、ま
たは熱可塑性樹脂と混合して成形した成形品は、耐薬品
性が要求される用途に特に好ましく使用できる。
ビニル系共重合体の製造方法にあっては、シアン化ビニ
ル系単量体含有量が一般的なものより高いシアン化ビニ
ル−芳香族ビニル系共重合体を懸濁重合法によって製造
する際に、第一工程においては、芳香族ビニル系単量体
の量をシアン化ビニル系単量体量に対して0.1〜1.
5倍量とし、これらを含む単量体混合物を重合温度まで
加熱する。そして、第二工程においては残りの芳香族ビ
ニル系単量体の一部を含む単量体を連続添加し、第三工
程においては第二工程と異なる平均添加速度で残りの芳
香族ビニル系単量体の全量を連続添加する。このように
単量体を添加することによって、重合後期においても、
添加する単量体と重合系中の未反応単量体との混合が困
難となることなく、反応液中の単量体組成を均一に近い
状態で重合を進行させることができるので、重合によっ
て得られるシアン化ビニル−芳香族ビニル系共重合体の
組成を均一に近い状態で得られる。従って、最終的に得
られるシアン化ビニル−芳香族ビニル系共重合体は、組
成分布が小さくなるため、透明性、耐熱着色性が向上す
る。また、このような製造方法は、特殊な重合開始剤を
用いたり、特殊な重合装置を用いることがない上に、従
来の重合装置で実施可能であり、工業的に有利である。
また、本発明のシアン化ビニル−芳香族ビニル系共重合
体の製造方法で得られるシアン化ビニル−芳香族ビニル
系共重合体は、シアン化ビニル系単量体単位30〜60
質量%と、芳香族ビニル系単量体単位40〜70質量%
とを含み、凝集力の大きいシアン化ビニル系単量体単位
を多く含むので、耐薬品性に優れている。
液中の全未反応単量体に対する未反応シアン化ビニル系
単量体の質量百分率をAとし、第二工程開始時より後の
反応液中の全未反応単量体に対する未反応シアン化ビニ
ル系単量体の質量百分率をBとしたとき、A−10≦B
≦A+10となるように添加速度を制御しながら、単量
体を連続添加すると、反応液中の単量体組成がさらに均
一になるので、最終的に得られるシアン化ビニル−芳香
族ビニル系共重合体の組成分布はさらに均一となり、透
明性、耐熱着色性がさらに向上する。
0〜75質量%に到達して終了させ、反応液中にシアン
化ビニル系単量体を適当量で残存させる。そのため、第
三工程においても単量体組成を大きく変化させることな
く、重合を進行させることができるので、最終的に得ら
れるシアン化ビニル−芳香族ビニル系共重合体の組成分
布はさらに均一となり、透明性、耐熱着色性がさらに向
上する。
合系中の重合率をCとし、第二工程終了時の重合系中の
重合率をDとしたとき、D−10≦C≦D+10となる
ように添加速度を制御しながら、単量体を連続添加する
と、第三工程において反応液中の単量体組成を大きく変
化させることなく、重合を進行させることができる。そ
の結果、最終的に得られるシアン化ビニル−芳香族ビニ
ル系共重合体の組成分布はさらに均一となり、透明性、
耐熱着色性がさらに向上する。
トリルであると、安価で入手可能であり、工業的に有利
である。前記芳香族ビニル系単量体がスチレンである
と、安価で入手可能であり、工業的に有利である。
たは芳香族ビニル系単量体と共重合可能な他のビニル系
単量体を含有し、シアン化ビニル−芳香族ビニル系共重
合体は、シアン化ビニル系単量体または芳香族ビニル系
単量体と共重合可能な他のビニル系単量体を30質量%
以下含有すると、最終的に得られるシアン化ビニル−芳
香族ビニル系共重合体の特性が変化し、目的に応じた共
重合体を合成することができる。
説明する。なお、下記の記載中「部」は「質量部」を、
「%」は「質量%」を表している。また、アクリロニト
リル−スチレン共重合体の各単量体単位の組成比は元素
分析により求めた。また、アクリロニトリル−スチレン
共重合体の重合率および未反応単量体組成は、反応液を
サンプリングし、ガスクロマトグラフィで未反応単量体
量を定量することにより求めた。
(R−1)の合成 攪拌機付耐圧反応容器にブタジエン95部、スチレン5
部、t−ドデシルメルカプタン0.2部、オレイン酸ナ
トリウム0.6部、デヒドロアビチエン酸カリウム1.
4部、過硫酸カリウム0.3部、無水硫酸ナトリウム
0.2部、イオン交換水145部を加え、攪拌しながら
70℃で10時間反応させ、重合を完了させてブタジエ
ン−スチレン共重合体であるジエン系重合体ラテックス
(R−1)を得た。
テックス(R−2)の合成 攪拌機付反応容器にメタクリル酸15部、n−ブチルア
クリレート85部、t−ブチルハイドロパーオキサイド
0.5部、硫酸第一鉄0.003部、エチレンジアミン
四酢酸ジナトリウム0.009部、オレイン酸カリウム
1.8部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム3.6
部、イオン交換水145部を仕込み、63℃で4時間重
合させて肥大化用酸基含有共重合体ラテックス(R−
2)を得た。
テックス(R−3)の合成 攪拌機付反応容器にメタクリル酸25部、n−ブチルア
クリレート75部、クメンヒドロパーオキサイド0.4
部、硫酸第一鉄0.001部、エチレンジアミン四酢酸
ジナトリウム0.003部、オレイン酸カリウム2部、
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム1部、ロンガリッ
ドC0.3部、イオン交換水200部を仕込み、70℃
で4時間重合させて肥大化用酸基含有共重合体ラテック
ス(R−3)を得た。
オルガノシロキサンラテックス(R−4)の合成 オクタメチルシクロテトラシロキサン98部と、γ−メ
タクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン2
部とを混合してシロキサン系混合物100部を得た。こ
のシロキサン系混合物に、ドデシルベンゼンスルホン酸
ナトリウム0.67部を溶解した蒸留水300部を添加
し、ホモミキサにて10000回転/分で2分間撹拌し
た。次いで、ホモジナイザに圧力30MPaで1回通
し、安定な予備混合オルガノシロキサンラテックスを得
た。一方、試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機お
よび攪拌装置を備えた反応器内に、ドデシルベンゼンス
ルホン酸10部と蒸留水90部とを注入し、10%のド
デシルベンゼンスルホン酸水溶液を調製した。このドデ
シルベンゼンスルホン酸水溶液を85℃に加熱した状態
で、予備混合オルガノシロキサンラテックスを4時間に
わたって滴下し、滴下終了後1時間温度を維持し、冷却
した。次いで、この反応物を水酸化ナトリウム水溶液で
中和し、ビニル重合性官能基含有ポリオルガノシロキサ
ンラテックス(R−4)を得た。このビニル重合性官能
基含有ポリオルガノシロキサンラテックス(R−4)中
のポリオルガノシロキサンの重量平均粒子径は0.05
μmであった。
の製造 参考例1で得たジエン系重合体ラテックス(R−1)6
0部(固形分として)に参考例2で得た肥大化用酸基含
有共重合体ラテックス(R−2)1.3部(固形分とし
て)を加え、30分間低速攪拌を行った。次いで、これ
に1%水酸化ナトリウム水溶液を固形分換算で0.09
部添加し、さらに30分低速攪拌保持して、重量平均粒
径が0.3μmの肥大化ゴム状重合体ラテックスを得
た。
0部(固形分として)にデキストローズ0.45部、硫
酸第一鉄・七水塩0.005部、ピロリン酸ナトリウム
0.01部を添加後、65℃に昇温した。これに、アク
リロニトリル13部、スチレン27部、t−ドデシルメ
ルカプタン0.3部、クメンハイドロパーオキサイド
0.2部を140分かけて滴下して重合を行った。さら
に、滴下終了時にクメンハイドロパーオキサイド0.0
5部、滴下終了から30分後にクメンハイドロパーオキ
サイド0.05部を添加した後、30分保持して冷却し
た。このようにして得られたラテックスを、65℃に昇
温した当該ラテックスの2倍量の0.4%硫酸水溶液中
に投入し、その後90℃に昇温して凝固した。得られた
凝固物を繰り返し水洗、脱水した後、最後に乾燥し、乳
白色粉末のグラフト共重合体(B−1)を得た。
の製造 参考例1で調製したジエン系重合体ラテックス(R−
1)100部(固形分として)に、参考例3で調製した
肥大化用酸基含有共重合体ラテックス(R−3)2部
(固形分として)を攪拌しながら添加し、さらに30分
間攪拌を続け肥大化ゴム状重合体ラテックスを得た。肥
大化ゴム状重合体ラテックスの平均粒子径は0.38μ
mであった。次いで、試薬注入容器、冷却管、ジャケッ
ト加熱機および攪拌装置を備えた反応器に、この肥大化
ゴム状重合体ラテックス10部(固形分として)、N−
ラウロイルサルコシンソーダ0.2部、イオン交換水1
50部およびブチルアクリレート40部、アリルメタク
リレート0.3部、1,3−ブチレングリコールジメタ
クリレート0.1部およびクメンヒドロパーオキサイド
0.14部の混合物を仕込んだ。
素置換しながら、60℃まで昇温した。反応器内部の液
温が60℃となった時点で、反応器内に、硫酸第一鉄
0.0001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム
塩0.0003部およびロンガリット0.24部を蒸留
水10部に溶解させた水溶液を添加し、ラジカル重合を
開始させた。そして、この状態を1時間維持し、アクリ
レート成分の重合を完結させて肥大化ポリブタジエンゴ
ムとブチルアクリレートゴムとの複合ゴムのラテックス
を得た。
部の液温を60℃に低下させた後、複合ゴムラテックス
に、ロンガリット0.4部を蒸留水10部に溶解した水
溶液を添加し、次いでアクリロニトリル6.3部、スチ
レン18.7部およびクメンヒドロパーオキサイド0.
23部の混合液を2時間にわたって滴下して重合した。
滴下終了後、温度60℃の状態を1時間保持した後、硫
酸第一鉄0.0002部、エチレンジアミン四酢酸二ナ
トリウム塩0.0006部およびロンガリット0.23
部を蒸留水10部に溶解させた水溶液を添加した。次い
でアクリロニトリル6.3部、スチレン18.7部およ
びクメンヒドロパーオキサイド0.23部の混合液を2
時間にわたって滴下して重合した。滴下終了後、温度6
0℃の状態を1時間保持した後冷却して、肥大化ポリブ
タジエンとブチルアクリレートゴムとの複合ゴムに、ア
クリロニトリルとスチレンとをグラフト重合させたグラ
フト共重合体ラテックスを得た。得られたグラフと共重
合体ラテックス中の重合体の平均粒子径は、0.39μ
mであった。
スの3倍量の90℃に加熱した硫酸0.15%水溶液中
に攪拌しながら投入し、重合体を凝析させた。次いで析
出物を分離し、洗浄した後乾燥し、グラフト共重合体
(B−2)を得た。
の製造 試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機および攪拌装
置を備えた反応器内に、参考例4で調製したポリオルガ
ノシロキサンラテックス(R−4)53.3部、N−ラ
ウロイルザルコシンナトリウム0.3部を仕込み、これ
に蒸留水258.5部を添加混合した。その後、ブチル
アクリレート57部、アリルメタクリレ−ト0.3部、
1,3−ブチレングリコールジメタクリレート0.1部
およびクメンヒドロパーオキサイド0.14部の混合物
を添加した。この反応器に窒素気流を通じ雰囲気を窒素
置換しながら、60℃まで昇温した。反応器内部の液温
が60℃となった時点で、反応器内に、硫酸第一鉄0.
0001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩
0.0003部およびロンガリット0.24部を蒸留水
10部に溶解させた水溶液を添加して、ラジカル重合を
開始させた。アクリレート成分が重合し、その重合熱に
よって液温は78℃まで上昇した。この状態を1時間維
持し、アクリレート成分の重合を完結させて、ポリオル
ガノシロキサンとブチルアクリレートゴムとの複合ゴム
のラテックスを得た。
部の液温が60℃に低下した後、複合ゴムラテックス
に、ロンガリット0.4部を蒸留水10部に溶解した水
溶液を添加し、次いでアクリロニトリル12.9部、ス
チレン38.8部およびクメンヒドロパーオキサイド
0.23部の混合液を2時間にわたって滴下し重合し
た。滴下終了後、温度60℃の状態を1時間保持した
後、硫酸第一鉄0.0002部、エチレンジアミン四酢
酸二ナトリウム塩0.0006部およびロンガリット
0.23部を蒸留水10部に溶解させた水溶液を添加し
た。次いでアクリロニトリル7.4部、スチレン22.
2部およびクメンヒドロパーオキサイド0.13部の混
合液を2時間にわたって滴下して重合した。滴下終了
後、温度60℃の状態を1時間保持した後冷却して、ポ
リオルガノシロキサンとブチルアクリレートゴムとから
なる複合ゴムに、アクリロニトリルとスチレンとをグラ
フト重合させたグラフト共重合体ラテックスを得た。ラ
テックス中のグラフト共重合体の重量平均粒子径は、
0.13μmであった。
た水溶液150部を60℃に加熱し撹拌した。この水溶
液中にグラフト共重合体ラテックス100部を徐々に滴
下し凝固した。得られた凝固物を分離し、洗浄した後に
乾燥してグラフト共重合体(B−4)を得た。
共重合体(A−1)の製造 (第一工程)冷却管、ジャケット加熱機および攪拌装置
を備えた耐圧反応器内に、水120部、アクリロニトリ
ル40部、スチレン20部、アゾビスイソブチロニトリ
ル0.1部、ターシャリードデシルメルカプタン0.5
部およびリン酸三カルシウム0.5部を仕込み、碇型攪
拌棒を用いて400回転毎分の条件で攪拌した。次い
で、加熱ジャケットにより内温を重合温度である75℃
まで加熱して重合を開始した。
20部を3時間かけて連続添加した。スチレンの連続添
加終了後の重合系中の重合率は69質量%であった。ま
た、反応液中の全未反応単量体中に対する未反応アクリ
ロニトリルの質量百分率は70質量%であり、第二工程
開始時の反応液中の全未反応単量体中に対するアクリロ
ニトリル百分率は67質量%に対し+3質量%であっ
た。
ン20部を30分かけて連続添加しながら重合反応を継
続した。スチレンの連続添加終了後における重合系中の
重合率は67質量%であり、第二工程終了時の重合系中
の重合率69質量%に対し−2質量%であった。そし
て、スチレンの連続添加終了後、75℃で30分間重合
を継続し、次いで、再び加熱ジャケットにより内温を9
0℃まで昇温し、2時間保持して反応を完結させた。反
応器内容物を冷却後、遠心脱水機を用いて繰り返し洗
浄、脱水し、さらに得られた固形物を乾燥して白色粒状
のアクリロニトリル−スチレン共重合体(A−1)を得
た。
共重合体(A−2)の製造 実施例1での第一工程におけるスチレン初期仕込み量を
60部とし、さらに第二工程および第三工程を行わなか
った以外は、実施例1と同様に重合してアクリロニトリ
ル−スチレン共重合体(A−2)を得た。
共重合体(A−3)の製造 実施例1での第二工程におけるスチレン20部の3時間
連続添加を、スチレン40部の3時間連続添加に変更
し、さらに第三工程を行わなかった以外は、実施例1と
同様に重合してアクリロニトリル−スチレン共重合体
(A−3)を得た。この場合における第二工程終了後の
重合系中の重合率は54質量%であり、全未反応単量体
中に対する未反応アクリロニトリルの質量百分率は45
質量%であった。
共重合体(A−4)の製造 実施例1での第二工程におけるスチレン20部の3時間
連続添加を、スチレン40部の6時間連続添加に変更
し、さらにスチレン添加開始から4時間経過した時点で
加熱ジャケットにより内温を90℃まで昇温し、第三工
程を行わずにスチレン添加終了後直ちに冷却して重合を
停止した以外は実施例1と同様に重合してアクリロニト
リル−スチレン共重合体(A−4)を得た。
共重合体(A−5)の製造 実施例1での第一工程におけるスチレン初期仕込み量を
10部、アクリロニトリルの仕込量を50部とした。第
二工程においては、3時間にわたってスチレン23.5
部を連続添加した。スチレン連続添加終了後の重合系中
の重合率は68質量%であった。また、反応液中の全未
反応単量体中に対するアクリロニトリルの質量百分率は
81質量%であり、第二工程開始時の反応液中の全未反
応単量体中に対するアクリロニトリルの質量百分率83
質量%に対し−2質量%であった。第三工程においては
スチレン16.5部を30分にわたって連続添加した。
スチレン連続添加終了後の重合系中の重合率は70質量
%であり、第二工程終了時の重合系中の重合率68質量
%に対し+2質量%であった。これら以外は実施例1と
同様に重合してアクリロニトリル−スチレン共重合体
(A−5)を得た。
共重合体(A−6)の製造 実施例1における第一工程の初期仕込みをスチレン50
部、アクリロニトリル50部とした以外は、比較例2と
同様に重合してアクリロニトリル−スチレン共重合体
(A−6)を得た。
られたアクリロニトリル−スチレン共重合体を、シリン
ダー温度290℃に設定された1オンスの射出成形機に
よって厚さ3mmの板状試験片を成形した。そして、こ
の試験片をASTM D−1925に準拠してイエロー
インデックス(YI)を測定した。また、同じ試験片を
使用し、JIS−K7105に準拠して曇価の測定をし
た。これらの評価結果を表1に示す。本発明の方法に従
った実施例1および実施例2のアクリロニトリル−スチ
レン共重合体は、YI、曇価ともに低く、耐熱着色性、
透明性に優れていた。一方、スチレンを連続添加しなか
った比較例1、同じ添加速度でスチレンを連続添加した
比較例2および比較例3は、YI、曇価ともに高く、耐
熱着色性、透明性が劣っていた。
リル−スチレン共重合体(A−1)67部と参考例5で
得たグラフト共重合体(B−1)33部とを、シリンダ
ー温度220℃、ベント圧力2.67kPa(abs)
に設定されたベント付き二軸押出機でペレット化して熱
可塑性樹脂を得た。
リル−スチレン共重合体(A−2)67部と参考例5で
得たグラフト共重合体(B−1)33部とを用い、実施
例3と同様にペレット化して熱可塑性樹脂を得た。
リル−スチレン共重合体(A−1)60部と参考例6で
得たグラフト共重合体(B−2)40部とを用い、実施
例3と同様にペレット化して熱可塑性樹脂を得た。
リル−スチレン共重合体(A−2)60部と参考例6で
得たグラフト共重合体(B−2)40部とを用い、実施
例3と同様にペレット化して熱可塑性樹脂を得た。
リル−スチレン共重合体(A−1)60部と参考例7で
得たグラフト共重合体(B−3)40部とを用い、実施
例3と同様にペレット化して熱可塑性樹脂を得た。
リル−スチレン共重合体(A−2)60部と参考例7で
得たグラフト共重合体(B−3)40部を用い、実施例
3と同様にペレット化し、熱可塑性樹脂を得た。
られたアクリロニトリル−スチレン共重合体を、シリン
ダー温度290℃に設定された1オンスの射出成形機に
よって厚さ3mmの板状試験片を成形した。そして、こ
の試験片をASTM D−1925に準拠してイエロー
インデックス(YI)を測定した。これらの評価結果を
表2に示す。本発明の方法に従い、スチレンの添加を制
御して合成した実施例1のアクリロニトリル−スチレン
共重合体を用いた実施例3〜5は、YIが低く、耐熱着
色性に優れていた。一方、比較例1のアクリロニトリル
−スチレン共重合体を用いた比較例5〜7は、YIが高
く、耐熱着色性が劣っていた。
系共重合体の製造方法によれば、特殊な重合開始剤や重
合装置を用いることなく、組成分布が均一になるように
懸濁重合できるので、透明性、耐熱着色性に優れたシア
ン化ビニル−芳香族ビニル系共重合体を工業的に有利に
製造できる。
Claims (7)
- 【請求項1】 シアン化ビニル系単量体単位30〜60
質量%と、芳香族ビニル系単量体単位40〜70質量%
とを含むシアン化ビニル−芳香族ビニル系共重合体を懸
濁重合法によって製造するシアン化ビニル−芳香族ビニ
ル系共重合体の製造方法であって、前記懸濁重合法は、 シアン化ビニル系単量体の全量と芳香族ビニル系単量体
の一部とを含む単量体混合物を重合温度まで加熱する第
一工程と、 前記単量体混合物が重合温度に達した後から、残りの芳
香族ビニル系単量体の一部を含む単量体を前記単量体混
合物に連続添加する第二工程と、 第二工程とは異なる平均添加速度で、残りの芳香族ビニ
ル系単量体の全量を含む単量体を前記単量体混合物に連
続添加する第三工程とを有し、 前記第一工程における芳香族ビニル系単量体の量が前記
シアン化ビニル系単量体に対して0.1〜1.5倍量で
あることを特徴とするシアン化ビニル−芳香族ビニル系
共重合体の製造方法。 - 【請求項2】 前記第二工程では、前記第二工程開始時
の反応液中の全未反応単量体に対する未反応シアン化ビ
ニル系単量体の質量百分率をAとし、第二工程開始時よ
り後の反応液中の全未反応単量体に対する未反応シアン
化ビニル系単量体の質量百分率をBとしたとき、A−1
0≦B≦A+10となるように添加速度を制御しなが
ら、単量体を連続添加することを特徴とする請求項1に
記載のシアン化ビニル−芳香族ビニル系共重合体の製造
方法。 - 【請求項3】 前記第二工程は、重合系中の重合率が5
0〜75質量%に到達したときに終了することを特徴と
する請求項1または2に記載のシアン化ビニル−芳香族
ビニル系共重合体の製造方法。 - 【請求項4】 前記第三工程では、該第三工程にわたる
重合系中の重合率をCとし、第二工程終了時の重合系中
の重合率をDとしたとき、D−10≦C≦D+10とな
るように添加速度を制御しながら、単量体を連続添加す
ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシ
アン化ビニル−芳香族ビニル系共重合体の製造方法。 - 【請求項5】 前記シアン化ビニル系単量体がアクリロ
ニトリルであることを特徴とする請求項1〜4のいずれ
かに記載のシアン化ビニル−芳香族ビニル系共重合体の
製造方法。 - 【請求項6】 前記芳香族ビニル系単量体がスチレンで
あることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の
シアン化ビニル−芳香族ビニル系共重合体の製造方法。 - 【請求項7】 前記単量体は、シアン化ビニル系単量体
または芳香族ビニル系単量体と共重合可能な他のビニル
系単量体を含有し、 前記シアン化ビニル−芳香族ビニル系共重合体は、シア
ン化ビニル系単量体または芳香族ビニル系単量体と共重
合可能な他のビニル系単量体を30質量%以下含有する
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のシア
ン化ビニル−芳香族ビニル系共重合体の製造方法。
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JP2001150057A JP4657492B2 (ja) | 2001-05-18 | 2001-05-18 | シアン化ビニル−芳香族ビニル系共重合体の製造方法 |
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