JP2002333051A - 油圧緩衝器のチューブ構造及びチューブ製造方法 - Google Patents

油圧緩衝器のチューブ構造及びチューブ製造方法

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JP2002333051A
JP2002333051A JP2002062262A JP2002062262A JP2002333051A JP 2002333051 A JP2002333051 A JP 2002333051A JP 2002062262 A JP2002062262 A JP 2002062262A JP 2002062262 A JP2002062262 A JP 2002062262A JP 2002333051 A JP2002333051 A JP 2002333051A
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knuckle bracket
cylinder
bottom piece
inner cylinder
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JP2002062262A
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English (en)
Inventor
Toshiyuki Takakusaki
利之 高草木
Tadashi Hasegawa
正 長谷川
Hiroo Teruuchi
宏雄 照内
Tadashi Emori
正 江森
Fumito Yamamori
史登 山森
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Honda Motor Co Ltd
Showa Corp
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Showa Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外筒と内筒をリブによって連結した油圧緩衝
器において、外筒の外周にナックルブラケットを安定確
実に固定すること。 【解決手段】 外筒12と内筒13をリブ14によって
連結し、外筒12の外周にナックルブラケット16を固
定する油圧緩衝器10のチューブ構造において、ナック
ルブラケット16を外筒12の外周に抜け強度0〜200kg
fで軽圧入し、該ナックルブラケット16を外筒12の
端部に溶接したもの。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は油圧緩衝器のチュー
ブ構造及びチューブ製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、油圧緩衝器のチューブ構造とし
て、特開平11-182610号公報に記載の如く、アルミ合金
等の外筒と内筒をリブによって連結し、外筒の外周にナ
ックルブラケットを固定し、内筒の端部にボトムピース
を挿入し、外筒の端部に固定されるキャップによりボト
ムピースを保持するものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技
術では、ナックルブラケットを外筒の外周に固定する構
造として、ナックルブラケットを外筒の外周に挿入し、
ナックルブラケットを外筒の端部に溶接しており、以下
の問題点がある。
【0004】外筒にナックルブラケットを圧入する
と、圧入の影響で外筒と内筒に歪を生じ、ピストンのス
トロークの円滑を損なう。
【0005】ナックルブラケットを外筒に圧入しない
で単に挿入し、ナックルブラケットの端部だけを外筒の
端部に溶接すると、ナックルブラケットが外筒との間の
隙間の存在に起因して外筒に偏荷重を及ぼす虞があり、
外筒に所定の曲げ剛性を確保できない虞がある。
【0006】ナックルブラケットの端部をキャップと
ともに外筒の端部に溶接するときには、ボトムピースを
内筒の端部に組込んだ後に溶接工程を行なうため、溶接
スパッタが外筒と内筒の内部に入る可能性があり、これ
がボトムピースのバルブ類を汚損し油圧緩衝器の品質を
損なう。
【0007】外筒にナックルブラケットの円環部を圧
入したとき、円環部の厚肉エッジが外筒に当たる部位
で、外筒に応力集中を発生させ、外筒の耐久性を損な
う。特に、チューブの強度アップを図るため、ポートホ
ール押出し成形等により、アルミ合金等の外筒と内筒を
リブによって連結したチューブを作成したときには、外
筒及び/又は内筒と、リブとの接合面に応力集中が発生
し、その接合面が応力により剥離して破損したり、剥離
面から腐食を生ずる虞もある。
【0008】ナックルブラケットを外筒に軽圧入する
ためにナックルブラケットにスリットを設け、軽圧入後
にこのスリットを溶接して閉じるときには、溶接入熱が
外筒に及んで外筒や内筒に歪みを発生させないようにす
る必要がある。このため、スリットの溶接はナックルブ
ラケットだけを溶接するものとし、外筒に及ばないよう
な格別の注意が必要になる。
【0009】本発明の課題は、外筒と内筒をリブによっ
て連結した油圧緩衝器において、外筒の外周にナックル
ブラケットを安定確実に固定することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、外筒
と内筒をリブによって連結し、外筒の外周にナックルブ
ラケットを固定する油圧緩衝器のチューブ構造におい
て、ナックルブラケットを外筒の外周に抜け強度0〜200
kgfで軽圧入し、該ナックルブラケットを外筒の端部に
溶接したようにしたものである。
【0011】請求項2の発明は、請求項1の発明におい
て更に、前記ナックルブラケットが軸方向に沿うスリッ
トを付与され、外筒の外周に軽圧入されたナックルブラ
ケットを外筒の端部に溶接するとともに、スリットも溶
接したようにしたものである。
【0012】請求項3の発明は、請求項1の発明におい
て更に、前記ナックルブラケットが軸方向に沿うスリッ
トを付与され、外筒の外周に軽圧入されたナックルブラ
ケットを外筒の端部に溶接するとともに、ナックルブラ
ケットにスリットを覆うパッチを当て、該パッチをスリ
ットの両側でナックルブラケットに溶接したようにした
ものである。
【0013】請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれ
かの発明において更に、前記ナックルブラケットが外筒
の外周に軽圧入される円環部と、該円環部に結合される
取付部とを有してなり、該円環部が該取付部の結合範囲
より上方に延長されたテーパ状延長部を有し、該テーパ
状延長部の肉厚を延長端に向けて漸減したようにしたも
のである。
【0014】請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれ
かの発明において更に、前記外筒と内筒とリブがアルミ
合金からなるようにしたものである。
【0015】請求項6の発明は、外筒と内筒をリブによ
って連結し、外筒の外周にナックルブラケットを固定
し、内筒の端部の内周にボトムピースを挿入する油圧緩
衝器のチューブ製造方法において、ナックルブラケット
を外筒の外周に抜け強度0〜200kgfで軽圧入する工程
と、外筒の外周に軽圧入されたナックルブラケットを外
筒の端部に溶接する工程と、内筒の端部の内周にボトム
ピース挿入部を加工する工程と、内筒の端部のボトムピ
ース挿入部にボトムピースを挿入して固定する工程とを
有してなるようにしたものである。
【0016】請求項7の発明は、外筒と内筒をリブによ
って連結し、外筒の外周にナックルブラケットを固定
し、内筒の端部の内周にボトムピースを挿入する油圧緩
衝器のチューブ製造方法において、スリットを軸方向に
付与されたナックルブラケットを外筒の外周に抜け強度
0〜200kgfで軽圧入する工程と、外筒の外周に軽圧入さ
れたナックルブラケットを外筒の端部に溶接するととも
に、スリットも溶接する工程と、内筒の端部の内周にボ
トムピース挿入部を加工する工程と、内筒の端部のボト
ムピース挿入部にボトムピースを挿入して固定する工程
とを有してなるようにしたものである。
【0017】請求項8の発明は、外筒と内筒をリブによ
って連結し、外筒の外周にナックルブラケットを固定
し、内筒の端部の内周にボトムピースを挿入する油圧緩
衝器のチューブ製造方法において、スリットを軸方向に
付与されたナックルブラケットを外筒の外周に抜け強度
0〜200kgfで軽圧入する工程と、外筒の外周に軽圧入さ
れたナックルブラケットを外筒の端部に溶接するととも
に、ナックルブラケットにスリットを覆うパッチを当
て、該パッチをスリットの両側でナックルブラケットに
溶接する工程と、内筒の端部の内周にボトムピース挿入
部を加工する工程と、内筒の端部のボトムピース挿入部
にボトムピースを挿入して固定する工程とを有してなる
ようにしたものである。
【0018】請求項9の発明は、請求項6〜8のいずれ
かの発明において更に、前記ナックルブラケットが外筒
の外周に軽圧入される円環部と、該円環部に結合される
取付部とを有してなり、該円環部が該取付部の結合範囲
より上方に延長されたテーパ状延長部を有し、該テーパ
状延長部の肉厚を延長端に向けて漸減したようにしたも
のである。
【0019】請求項10の発明は、請求項6〜9のいず
れかの発明において更に、前記外筒と内筒とリブがアル
ミ合金からなるようにしたものである。
【0020】
【作用】請求項1、6の発明によれば下記(1)〜(5)の作
用がある。 (1)ナックルブラケットを外筒に抜け強度0〜200kgfで軽
圧入することにより、外筒と内筒に圧入の影響による歪
(内径変形)を発生させず、ピストンのストロークの円
滑を確保できる。
【0021】(2)ナックルブラケットを外筒に軽圧入し
たから、ナックルブラケットを外筒に隙間なく挿入する
ものとなり、ナックルブラケットが外筒との間の隙間の
存在に起因して外筒に偏荷重を及ぼすことを排除でき、
外筒に所定の曲げ剛性を確保できる。
【0022】(3)ナックルブラケットの外筒への溶接部
を外筒の端部にしたため、この溶接熱による外筒の歪発
生部がピストンのストローク範囲外(のボトムピース挿
入部)に限定的となり、外筒と内筒に溶接の影響による
歪を発生させず、ピストンのストロークに影響しない。
【0023】(4)ナックルブラケットの外筒の端部への
溶接により、外筒と内筒に溶接熱による歪がたとえ僅か
に発生したとしても、溶接後のボトムピース挿入部の加
工によりその歪発生部を削除することができ、外筒と内
筒に歪が残ることなく、ピストンのストロークに何ら影
響しない。
【0024】(5)ナックルブラケットを外筒の端部に溶
接した後に、内筒の端部にボトムピース挿入部を加工し
て形成し、このボトムピース挿入部にボトムピースを挿
入して固定する。従って、外筒と内筒にボトムピースを
組込んだ後に溶接を伴うことを不要とし、溶接スパッタ
が外筒と内筒の内部へ入る可能性を排除して油圧緩衝器
の品質を向上できる。
【0025】尚、ボトムピースの固定構造として、ネジ
結合、加締め等の溶接を伴わない構造を採用することに
より、ボトムピースの組付作業をゴミ等の入る可能性の
少ない組立ラインで行なうことができ、油圧緩衝器の品
質を向上できる。
【0026】請求項2、7の発明によれば(6)〜(9)の作
用がある。 (6)ナックルブラケットを外筒に軽圧入する構造とし
て、ナックルブラケットの軸方向にスリットを設けたか
ら、ナックルブラケットと外筒の圧入部に加工精度を必
要とすることなく、簡単に隙間なく軽圧入することがで
きる。
【0027】(7)ナックルブラケットは外筒の端部への
溶接の他に、スリットも溶接されて閉じられるから、ナ
ックルブラケットのスリットが油圧緩衝器の使用段階で
開く虞もなく、ナックルブラケットの隙間がない軽圧入
状態を維持できる。
【0028】(8)ナックルブラケットのスリットの溶接
は、ナックルブラケットだけを溶接するものとすること
により、溶接入熱は外筒に伝わりにくく、ナックルブラ
ケットによって放熱され、外筒と内筒に溶接の影響によ
る歪を発生させず、ピストンのストロークに影響しな
い。
【0029】(9)ナックルブラケットのスリットの溶接
も、内筒の端部へのボトムピース挿入部の加工、ボトム
ピース挿入部へのボトムピースの挿入固定前に行なわれ
るから、前述(5)と同じく、外筒と内筒にボトムピース
を組込んだ後に溶接を伴うことを不要とし、溶接スパッ
タが外筒と内筒の内部へ入る可能性を排除して油圧緩衝
器の品質を向上できる。
【0030】請求項3、8の発明によれば下記(10)〜(1
3)の作用がある。 (10)ナックルブラケットを外筒に軽圧入する構造とし
て、ナックルブラケットの軸方向にスリットを設けたか
ら、ナックルブラケットと外筒の圧入部に加工精度を必
要とすることなく、簡単に隙間なく軽圧入することがで
きる。
【0031】(11)ナックルブラケットは外筒の端部への
溶接の他に、パッチをスリットの両側でナックルブラケ
ットに溶接するから、ナックルブラケットのスリットが
油圧緩衝器の使用段階で開く虞もなく、ナックルブラケ
ットの隙間がない軽圧入状態を維持できる。
【0032】(12)パッチの溶接は、パッチをナックルブ
ラケットだけに溶接するものであり、誤って外筒にまで
溶接が及ぶ虞もないから、溶接入熱は外筒に伝わりにく
く、ナックルブラケットによって放熱され、外筒と内筒
に溶接の影響による歪を発生させず、ピストンのストロ
ークに影響しない。
【0033】(13)ナックルブラケットへのパッチの溶接
も、内筒の端部へのボトムピース挿入部の加工、ボトム
ピース挿入部へのボトムピースの挿入固定前に行なわれ
るから、前述(5)と同じく、外筒と内筒にボトムピース
を組込んだ後に溶接を伴うことを不要とし、溶接スパッ
タが外筒と内筒の内部へ入る可能性を排除して油圧緩衝
器の品質を向上できる。
【0034】請求項4、9の発明によれば下記(14)の作
用がある。 (14)ナックルブラケットの円環部が取付部の接合範囲よ
り上方に延長されたテーパ状延長部を有し、該テーパ状
延長部の肉厚を延長端に向けて漸減した。従って、外筒
にナックルブラケットの円環部を圧入したとき、外筒に
被着された円環部がその延長部の広い範囲で徐々に薄肉
となる。これにより、ナックルブラケットから外筒に及
ぶ応力を広く分散できるし、円環部のエッジが外筒に当
たる部位で外筒に応力集中を発生させることを抑制で
き、外筒の耐久性を向上できる。特に、チューブの強度
アップを図るため、ポートホール押出し成形等により、
アルミ合金等の外筒と内筒をリブによって連結したチュ
ーブを作成したとき、外筒及び/又は内筒と、リブとの
接合面が応力集中の影響で剥離して破損することを回避
でき、剥離面から腐食を生ずる虞も回避できる。
【0035】請求項5、10の発明によれば下記(15)の
作用がある。 (15)外筒と内筒とリブをアルミ合金で構成することによ
り、チューブの曲げ剛性、強度を確保しながら軽量化
し、上述(1)〜(14)を実現できる。
【0036】
【発明の実施の形態】図1は第1実施形態の油圧緩衝器
を示す半断面図、図2はダンパチューブの上端部を示す
拡大図、図3はダンパチューブの下端部を示す拡大図、
図4は図3のIV−IV線に沿う断面図、図5は図4の変形
例を示す断面図、図6は第2実施形態の油圧緩衝器を示
す半断面図、図7はダンパチューブの下端部を示す拡大
図、図8は図7の底面図、図9は第3実施形態のダンパ
チューブの下端部を示す拡大図、図10は第4実施形態
の油圧緩衝器の下端部を示す正面図である。
【0037】(第1実施形態)(図1〜図5) 図1は、ストラット型サスペンションを構成する第1実
施形態の複筒型式油圧緩衝器10であり、ダンパチュー
ブ11を外筒(アウタチューブ)12と内筒(シリン
ダ)13からなる二重管とし、外筒12、内筒13を後
述するリブ14によって同芯に結合している。油圧緩衝
器10は、外筒12に内蔵の内筒13に中空ピストンロ
ッド15を挿入し、ピストンロッド15の上端部に固定
の取付ブラケット(不図示)を車体に連結し、外筒12
の下端部をナックルブラケット16により車輪側に連結
し、車両の懸架装置を構成する。ナックルブラケット1
6は外筒12の下端部外周に後述する如くに固定されて
いる。
【0038】油圧緩衝器10は、外筒12の外周に配置
された、バンプストッパと一体又は、バンプストッパに
固定された下スプリングシート17と、ピストンロッド
15の上端部の取付ブラケットにスラスト軸受(不図
示)を介して背面支持した上スプリングシート(不図
示)の間に懸架ばね18を介装している。
【0039】油圧緩衝器10は、内筒13に挿入される
ピストンロッド15のためのロッドガイド21(ブッシ
ュ22)とオイルシール23からなる軸封部20を、内
筒13の上端部と外筒12の上端部の間に後述する如く
に固定している。
【0040】尚、油圧緩衝器10は、外筒12の上端部
にバンプストッパ24を備え、ピストンロッド15が備
えるバンプラバー(不図示)をバンプストッパ24に衝
合せしめてピストンロッド15の最圧縮ストロークを規
制する。また、ピストンロッド15は内筒13への挿入
部にリバウンドシート25、リバウンドラバー26を備
え、リバウンドラバー26をロッドガイド21に衝合せ
しめてピストンロッド15の最伸長ストロークを規制す
る。
【0041】油圧緩衝器10は、ピストンバルブ装置3
0とベースバルブ装置50を有し、それらが発生する減
衰力により、懸架ばね18による衝撃力の吸収に伴うピ
ストンロッド15の伸縮振動を制振する。
【0042】(ピストンバルブ装置30)(図1、図
3) ピストンバルブ装置30は、図3に示す如く、ピストン
ロッド15のピストン装着部31にバルブストッパ3
2、バルブシート33、チェックバルブ34、ピストン
35、ディスクバルブ36、バルブシート37、バルブ
ストッパ38を装着し、これらをナット39で固定し、
更にピストンロッド15の外端面を加締加工してこのナ
ット39の固着化を図っている。そして、ピストン35
は、内筒13の内部をピストンロッド15が収容されな
いピストン側油室40Aと、ピストンロッド15が収容
されるロッド側油室40Bとに区画し、両油室40A、
40Bを連通する圧側流路41Aと伸側流路41Bを備
える。圧側流路41Aはチェックバルブ34により開閉
され、伸側流路41Bはディスクバルブ36により開閉
される。
【0043】これにより、油圧緩衝器10のピストンバ
ルブ装置30にあっては、圧縮時に、ピストン側油室4
0Aの油が圧側流路41Aを通りチェックバルブ34を
たわみ変形させて開き、ロッド側油室40Bに導かれ
る。また、伸長時には、ロッド側油室40Bの油が伸側
流路41Bを通りディスクバルブ36をたわみ変形させ
て開き、ピストン側油室40Aに導かれ、伸側減衰力を
生ずる。
【0044】(ベースバルブ装置50)(図1、図3) 油圧緩衝器10は、外筒12と内筒13の間隙をリザー
バ室51とし、このリザーバ室51の内部を油室とガス
室とに区画している。そして、ベースバルブ装置50
は、外筒12の下端底部をキャップ52、Oリング52
Aによって後述する如くに閉じ、内筒13の下端部に、
ピストン側油室40Aとリザーバ室51とを仕切るボト
ムピース53を後述する如くに固定して構成され、この
ボトムピース53とキャップ52との間に設けた流路5
4により、リザーバ室51とピストン側油室40Aとを
連絡する。尚、ボトムピース53にはボルト55(ナッ
ト55A)が挿着され、ボルト55とナット55Aの間
にディスクバルブ56、ボトムピース53、チェックバ
ルブ57、ばね58を介装している。
【0045】即ち、油圧緩衝器10の圧縮時には、内筒
13に進入するピストンロッド15の進入容積分の油が
チェックバルブ57の開口、ボトムピース53の流路5
3Aを通ってディスクバルブ56をたわみ変形させて開
き、ピストン側油室40Aからボトムピース53の流路
53A、流路54経由でリザーバ室51へ押出され、圧
側の減衰力を得る。
【0046】また、油圧緩衝器10の伸長時には、内筒
13から退出するピストンロッド15の退出容積分の油
が、ばね58に抗してチェックバルブ57を押し開き、
リザーバ室51から流路54、ボトムピース53の流路
53B経由でピストン側油室40Aに補給される。
【0047】しかるに、油圧緩衝器10にあっては、ダ
ンパチューブ11の構成、軸封部20の固定構造、ナッ
クルブラケット16の固定構造、ボトムピース53の固
定構造を以下の如くにしている。
【0048】(A)ダンパチューブ11の構成(図1〜図
4) ダンパチューブ11は、図4に示す如く、外筒12と内
筒13のそれぞれを押出し成形により別々に成形し、外
筒12の内周壁にリブ14を一体成形したものを用い、
外筒12の内部に内筒13を挿入した状態で、外筒12
を縮径してそのリブ14の先端部を内筒13に圧接する
ことにより、外筒12と内筒13を一体結合する。尚、
リブ14はリブ本体14Aの先端部に広巾圧接面14B
を備える。広巾圧接面14Bは、リブ本体14Aの全長
に渡り、リブ本体14Aの先端部の周方向の両側に張り
出るように設けられ、フラット面又は円弧面状の圧接面
を備える。これによれば、外筒12のリブ14と内筒1
3の圧接面積を大きくし、それらの一体結合強度をより
強固にできる。リブ14は内筒13の側に一体成形さ
れ、外筒12に圧接する広巾圧接面を備えるものでも良
い。
【0049】リブ14は、外筒12と内筒13の周方向
に等間隔に、本実施形態では8本設けられ、外筒12と
内筒13の軸方向の略全長に渡り、内筒13の上端部よ
り一定長下方まで、内筒13の下端部より一定長上方ま
での範囲に延在される。リブ14は、内筒13の上端部
より一定長下方の上端面の上部に、外筒12と内筒13
の間の周方向に連続する環状連続空間61を形成し、軸
封部20においてピストンロッド15がブッシュ22を
通ってロッドガイド21の上面とオイルシール23の間
にまで掻上げた油をロッドガイド21の油戻し路21A
からリザーバ室51に戻すとき、この油を環状連続空間
61から外筒12と内筒13の間のリブ14により区分
されたリザーバ室51の各室(8室)へばらつきなく均
等に分配可能とする。リブ14は、内筒13の下端部の
一定長上方の下端面の下部に、外筒12と内筒13の間
の周方向に連続する環状連続空間62を形成し、油圧緩
衝器10の圧縮時に、ボトムピース53の流路53A、
流路54経由でピストン側油室40Aから押出されてく
る油を、環状連続空間62から外筒12と内筒13の間
のリブ14により区分されたリザーバ室51の各室(8
室)へばらつきなく均等に分配可能とする。
【0050】外筒12と内筒13は同一材料(同種金
属)又は別材料(異種金属)で形成できる。例えば、外
筒12を6000系アルミで、内筒13を2000系アルミで作
成することにより、ダンパチューブ11の強度を上げる
ことができ、完全一体成形のダンパチューブ11よりも
軽量としながら、強度も確保できる。
【0051】尚、ダンパチューブ11は以下の手順で製
造される。 (1)外筒成形工程 ポートホール押出し装置(コンテナ、オス型ダイ、メス
型ダイ、ダイバッカー)を用いて、ビレットを押出し、
リブ14を備えた外筒12を押出し成形する。
【0052】(2)内筒成形工程 マンドレル押出し装置(コンテナ、ダイ、マンドレル、
ステム、ディスク)を用いて、ビレットを押出し、円環
状内筒13を押出し成形する。
【0053】上述(1)、(2)で、外筒12と内筒13は、
外筒12の内周壁のリブ14の内径と、内筒13の外径
の間に、一定の隙間ができるように成形される。
【0054】(3)接合工程 外筒12のリブ14の内部に上述の一定の隙間を介して
内筒13を挿入した状態で、内筒13の内部に芯金(プ
ラグ)を入れ、外筒12の外径をダイスで縮径するよう
に絞ることで、外筒12の内外径を縮径し、外筒12の
リブ14を内筒13の外径に圧接することにより、外筒
12と内筒13を一体結合する。
【0055】(B)軸封部20の固定構造(図2) ダンパチューブ11は、外筒12の上端部を内筒13の
上端部よりも上方に長く延長し、この外筒12の上端部
と内筒13の上端部の間の部分に軸封部20のロッドガ
イド21(ブッシュ22)、オイルシール23を固定し
ている。ロッドガイド21は、下端側小外径部を内筒1
3の内径に、上端側大外径部を外筒12の内径に嵌合さ
れるとともに、小外径部の上側段差部を内筒13の上端
に載せ、その上面にオイルシール23、座金72を載置
した状態において、このオイルシール23とともに外筒
12の上端部の加締部71により固定される。そして、
バンプストッパ24は外筒12の上端部(ロッドガイド
部)の外周にのみ軽圧入されて固定される。
【0056】(C)ナックルブラケット16の固定構造
(図3、図4) ナックルブラケット16は外筒12の下端部寄りの外周
に円環部16Aを抜け強度0〜200kgfで軽圧入され、円
環部16Aの下端面を外筒12の下端部の外周の全周に
渡る溶接部81で示される如くに溶接されて固定され
る。抜け強度0〜200kgfの軽圧入は、外筒12と内筒1
3に圧入の影響による歪(内径変形)を発生させない。
【0057】また、ナックルブラケット16の円環部1
6Aは外筒12の外周に軽圧入する構造として、軸方向
の全長に渡るスリット82を付与され、円環部16Aと
外筒12の圧入部に加工精度を必要とせずに、簡単に隙
間なく軽圧入できる。このとき、外筒12に軽圧入され
た円環部16Aは、外筒12の下端部に溶接部81で溶
接されるとともに、スリット82も溶接部83で示され
る如くに溶接されて閉じられる。スリット82の溶接に
際し、円環部16Aと外筒12の間の隙間の発生を防ぐ
ため、軽荷重で円環部16Aをスリット82の両側から
開かないように押さえておくのも良い。
【0058】ナックルブラケット16の円環部16Aに
おけるスリット82の設定位置は一対の取付部16Bに
挟まれる中央位置に対する反対側に設定され、外筒12
の周方向における円環部16Aの固定位置はスリット8
2(溶接部83)が外筒12に成形されているリブ14
と同一角度位置に対応する位置で固定される(図4)。
尚、ナックルブラケット16の円環部16Aにおけるス
リット82の設定位置は一対の取付部16Bに挟まれる
中央位置に設定されても良い(図4)。
【0059】尚、ナックルブラケット16の円環部16
Aの外筒12の周方向における固定位置は、図5に示す
如く、スリット82(溶接部83)が外筒12に成形さ
れている相隣る2個のリブ14、14の中央位置に対応
する位置で固定されても良い。
【0060】また、ナックルブラケット16の円環部1
6Aにおけるスリット82を溶接する溶接部83の溶接
範囲は、スリット82の全長に渡るものに限らず、スリ
ット82の長さ方向の一部であっても良い。
【0061】(D)ボトムピース53の固定構造(図3) ダンパチューブ11は、外筒12の下端部を内筒13の
下端部よりも下方に長く延長し、この外筒12の下端部
の内周のねじ部91と内筒13の下端部のボトムピース
挿入部92の間の部分にボトムピース53、キャップ5
2(Oリング52A)を挿入して固定している。ボトム
ピース53は、上端側小外径部を内筒13のボトムピー
ス挿入部92の内径に嵌合されるとともに、小外径部の
下側段差部を内筒13のボトムピース挿入部92の下端
に嵌め、その下面の脚部53Cのテーパ状座面をキャッ
プ52の陥凹座面上にセンタリングさせて着座させた状
態において、このキャップ52を外筒12のねじ部91
に螺着されて固定される。本実施形態において、ボトム
ピース53はボルト55の軸部55Bをキャップ52の
中央に設けた孔にシール材を介して液密に挿通し、軸部
55Bの突出端を加締加工した加締部93(又はねじ止
めでも可)によりキャップ52に固定される。
【0062】尚、外筒12のねじ部91、内筒13のボ
トムピース挿入部92は、ナックルブラケット16の円
環部16Aを外筒12の下端部寄りの外周に軽圧入、溶
接して固定した後に機械加工されて形成される。
【0063】従って、油圧緩衝器10の製造手順は以下
の如くなされる。 (1)外筒12と内筒13のそれぞれを押出し成形により
形成し、外筒12(又は内筒13)の壁にリブ14を一
体成形したものを製造し、外筒12の内部に内筒13を
挿入し、外筒12を縮径し、外筒12のリブ14を内筒
13に圧接することにより、外筒12と内筒13を一体
結合したダンパチューブ11を製造する。
【0064】(2)ナックルブラケット16の円環部16
Aを外筒12の外周に抜け強度0〜200kgfで軽圧入す
る。
【0065】(3)外筒12の外周に軽圧入したナックル
ブラケット16の円環部16Aを外筒12の下端部に溶
接部81で溶接するとともに、円環部16Aのスリット
82も溶接部83で溶接する。これにより、ダンパチュ
ーブ11にナックルブラケット16を固定する。
【0066】(4)外筒12と内筒13の上端部にロッド
ガイド21の挿着部を切削加工し、さらに、外筒12の
下端部の内周にキャップ52のためのねじ部91を加工
し、内筒13の下端部にボトムピース53のためのボト
ムピース挿入部92を切削加工する。その後、ダンパチ
ューブ11(外筒12、内筒13)の全体を洗浄する。
【0067】(5)内筒13の下端部のボトムピース挿入
部92にボトムピース53を挿入し、外筒12の下端部
のねじ部91にキャップ52を螺着し、ボトムピース5
3を固定保持する。続いて、ダンパチューブ11(外筒
12、内筒13)の内部に作動油を充填するとともに、
内筒13の内部にピストンロッド15(ピストン35)
を挿入し、ピストンロッド15に被冠したロッドガイド
21等の軸封部20を外筒12と内筒13の上端部に挿
着し、バンプストッパ24を外筒12の上端部にのみ軽
圧入する。
【0068】第1実施形態によれば、以下の作用があ
る。 (1)ナックルブラケット16を外筒12に抜け強度0〜20
0kgfで軽圧入することにより、外筒12と内筒13に圧
入の影響による歪(内径変形)を発生させず、ピストン
35のストロークの円滑を確保できる。
【0069】(2)ナックルブラケット16を外筒12に
軽圧入したから、ナックルブラケット16を外筒12に
隙間なく挿入するものとなり、ナックルブラケット16
が外筒12との間の隙間の存在に起因して外筒12に偏
荷重を及ぼすことを排除でき、外筒12に所定の曲げ剛
性を確保できる。
【0070】(3)ナックルブラケット16の外筒12へ
の溶接部81を外筒12の端部にしたため、この溶接熱
による外筒12の歪発生部がピストン35のストローク
範囲外(のボトムピース挿入部92)に限定的となり、
外筒12と内筒13に溶接の影響による歪を発生させ
ず、ピストン35のストロークに影響しない。
【0071】(4)ナックルブラケット16の外筒12の
端部への溶接により、外筒12と内筒13に溶接熱によ
る歪がたとえ僅かに発生したとしても、溶接後のボトム
ピース挿入部92の加工によりその歪発生部を削除する
ことができ、外筒12と内筒13に歪が残ることなく、
ピストン35のストロークに何ら影響しない。
【0072】(5)ナックルブラケット16を外筒12の
端部に溶接した後に、内筒13の端部にボトムピース挿
入部92を加工して形成し、このボトムピース挿入部9
2にボトムピース53を挿入して固定する。従って、外
筒12と内筒13にボトムピース53を組込んだ後に溶
接を伴うことを不要とし、溶接スパッタが外筒12と内
筒13の内部へ入る可能性を排除して油圧緩衝器10の
品質を向上できる。
【0073】尚、ボトムピース53の固定構造として、
ネジ結合、加締め等の溶接を伴わない構造を採用するこ
とにより、ボトムピース53の組付作業をゴミ等の入る
可能性の少ない組立ラインで行なうことができ、油圧緩
衝器10の品質を向上できる。
【0074】(6)ナックルブラケット16を外筒12に
軽圧入する構造として、ナックルブラケット16の軸方
向にスリット82を設けたから、ナックルブラケット1
6と外筒12の圧入部に加工精度を必要とすることな
く、簡単に隙間なく軽圧入することができる。
【0075】(7)ナックルブラケット16は外筒12の
端部への溶接の他に、スリット82も溶接されて閉じら
れるから、ナックルブラケット16のスリット82が油
圧緩衝器10の使用段階で開く虞もなく、ナックルブラ
ケット16の隙間がない軽圧入状態を維持できる。
【0076】(8)ナックルブラケット16のスリット8
2の溶接は、ナックルブラケット16だけを溶接するも
のであり、溶接入熱は外筒12に伝わりにくく、ナック
ルブラケット16によって放熱され、外筒12と内筒1
3に溶接の影響による歪を発生させず、ピストン35の
ストロークに影響しない。
【0077】(9)ナックルブラケット16のスリット8
2の溶接も、内筒13の端部へのボトムピース挿入部9
2の加工、ボトムピース挿入部92へのボトムピース5
3の挿入固定前に行なわれるから、前述(5)と同じく、
外筒12と内筒13にボトムピース53を組込んだ後に
溶接を伴うことを不要とし、溶接スパッタが外筒12と
内筒13の内部へ入る可能性を排除して油圧緩衝器10
の品質を向上できる。
【0078】(10)外筒12と内筒13とリブ14をアル
ミ合金で構成することにより、チューブ11の曲げ剛
性、強度を確保しながら軽量化し、上述(1)〜(9)を実現
できる。
【0079】(第2実施形態)(図6〜図8) 図6〜図8の第2実施形態が第1実施形態と異なる点
は、ナックルブラケット16を、外筒12の外周に軽圧
入される円環部16Aと、円環部16Aに結合されて車
輪側に連結される取付部16Bとから構成するに際し、
円環部16Aのストレート状本体部16Cの上部にテー
パ状延長部16Dを付加したことにある。円環部16A
は、取付部16Bの上下方向結合範囲をストレート状本
体部16Cとし、このストレート状本体部16Cより上
方に付加した部分をテーパ状延長部16Dとしたもので
ある。ストレート状本体部16Cの肉厚は長さ方向の全
域で同厚にし、テーパ状延長部16Dの肉厚は延長端に
向けて漸減される。円環部16Aのスリット82はスト
レート状本体部16Cとテーパ状延長部16Dの全長に
渡って設けられる。
【0080】また、第2実施形態では、ナックルブラケ
ット16の円環部16Aに設けたスリット82を溶接す
ることに代え、スリット82を覆うパッチ84を円環部
16Aに当て、該パッチ84をスリット82の両側に施
した溶接部85、85により円環部16Aに溶接した。
パッチ84はストレート状本体部16Cの上端寄りに設
けられる。但し、パッチ84はストレート状本体部16
Cの全長に渡って設けるものでも良い。
【0081】従って、第2実施形態において、油圧緩衝
器10の製造手順は以下の如くなされる。
【0082】(1)外筒12と内筒13のそれぞれを押出
し成形により形成し、外筒12(又は内筒13)の壁に
リブ14を一体成形したものを製造し、外筒12の内部
に内筒13を挿入し、外筒12を縮径し、外筒12のリ
ブ14を内筒13に圧接することにより、外筒12と内
筒13を一体結合したダンパチューブ11を製造する。
【0083】(2)ナックルブラケット16の円環部16
Aを外筒12の外周に抜け強度0〜200kgfで軽圧入す
る。
【0084】(3)外筒12の外周に軽圧入したナックル
ブラケット16の円環部16Aを外筒12の下端部に溶
接部81で溶接するとともに、スリット82を覆うパッ
チ84を円環部16Aのストレート状本体部16Cに当
て、該パッチ84をスリット82の両側で溶接部85、
85によりストレート状本体部16Cに溶接する。これ
により、ダンパチューブ11にナックルブラケット16
を固定する。
【0085】(4)外筒12と内筒13の上端部にロッド
ガイド21の挿着部を切削加工し、さらに、外筒12の
下端部の内周にキャップ52のためのねじ部91を加工
し、内筒13の下端部にボトムピース53のためのボト
ムピース挿入部92を切削加工する。その後、ダンパチ
ューブ11(外筒12、内筒13)の全体を洗浄する。
【0086】(5)内筒13の下端部のボトムピース挿入
部92にボトムピース53を挿入し、外筒12の下端部
のねじ部91にキャップ52を螺着し、ボトムピース5
3を固定保持する。続いて、ダンパチューブ11(外筒
12、内筒13)の内部に作動油を充填するとともに、
内筒13の内部にピストンロッド15(ピストン35)
を挿入し、ピストンロッド15に被冠したロッドガイド
21等の軸封部20を外筒12と内筒13の上端部に挿
着し、バンプストッパ24を外筒12の上端部にのみ軽
圧入する。
【0087】第2実施形態によれば、第1実施形態にお
ける(1)〜(6)、(10)の作用に加え、以下の作用がある。
【0088】(1)ナックルブラケット16は外筒12の
端部への溶接の他に、パッチ84をスリット82の両側
でナックルブラケット16に溶接するから、ナックルブ
ラケット16のスリット82が油圧緩衝器10の使用段
階で開く虞もなく、ナックルブラケット16の隙間がな
い軽圧入状態を維持できる。
【0089】(2)パッチ84の溶接は、パッチ84をナ
ックルブラケット16だけに溶接するものであり、誤っ
て外筒12にまで溶接が及ぶ虞もないから、溶接入熱は
外筒12に伝わりにくく、ナックルブラケット16によ
って放熱され、外筒12と内筒に溶接の影響による歪を
発生させず、ピストン35のストロークに影響しない。
【0090】(3)ナックルブラケット16へのパッチ8
4の溶接も、内筒の端部へのボトムピース挿入部92の
加工、ボトムピース挿入部92へのボトムピース53の
挿入固定前に行なわれるから、前述(5)と同じく、外筒
12と内筒にボトムピース53を組込んだ後に溶接を伴
うことを不要とし、溶接スパッタが外筒12と内筒の内
部へ入る可能性を排除して油圧緩衝器10の品質を向上
できる。
【0091】(4)ナックルブラケット16の円環部が取
付部の接合範囲より上方に延長されたテーパ状延長部を
有し、該テーパ状延長部の肉厚を延長端に向けて漸減し
た。従って、外筒12にナックルブラケット16の円環
部を圧入したとき、外筒12に被着された円環部がその
延長部の広い範囲で徐々に薄肉となる。これにより、ナ
ックルブラケット16から外筒12に及ぶ応力を広く分
散できるし、円環部のエッジが外筒12に当たる部位で
外筒12に応力集中を発生させることを抑制でき、外筒
12の耐久性を向上できる。特に、チューブの強度アッ
プを図るため、ポートホール押出し成形等により、アル
ミ合金等の外筒12と内筒をリブによって連結したチュ
ーブを作成したとき、外筒12及び/又は内筒と、リブ
との接合面が応力集中の影響で剥離して破損することを
回避でき、剥離面から腐食を生ずる虞も回避できる。
【0092】(第3実施形態)(図9) 図9の第3実施形態が第2実施形態と異なる点は、ナッ
クルブラケット16の円環部16Aにパッチ84を溶接
することに代え、第1実施形態におけると同様に円環部
16Aのスリット82を溶接部83で溶接したことにあ
る。第3実施形態の溶接部83の溶接範囲は円環部16
Aにおけるストレート状本体部16Cの上端寄りの一部
とした。但し、溶接部83の溶接範囲は円環部16Aの
全長、又はストレート状本体部16Cの全長に渡るもの
でも良い。
【0093】(第4実施形態)(図10) 図10の第4実施形態が第2実施形態と異なる点は、ナ
ックルブラケット16の円環部16Aに設けたテーパ状
延長部16Dを撤去し、円環部16Aを第1実施形態に
おけると同様にストレート状本体部16Cだけからなる
もとし、このストレート状本体部16Cの上端寄りにパ
ッチ84を溶接したことにある。
【0094】以上、本発明の実施の形態を図面により詳
述したが、本発明の具体的な構成はこの実施の形態に限
られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の
設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、本
発明が適用されるチューブは、アルミ合金等の引抜き成
形又は押出し成形により、外筒にリブを介して内筒を一
体成形したものであっても良い。
【0095】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、外筒と内
筒をリブによって連結した油圧緩衝器において、外筒の
外周にナックルブラケットを安定確実に固定することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は第1実施形態の油圧緩衝器を示す半断面
図である。
【図2】図2はダンパチューブの上端部を示す拡大図で
ある。
【図3】図3はダンパチューブの下端部を示す拡大図で
ある。
【図4】図4は図3のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】図5は図4の変形例を示す断面図である。
【図6】図6は第2実施形態の油圧緩衝器を示す半断面
図である。
【図7】図7はダンパチューブの下端部を示す拡大図で
ある。
【図8】図8は図7の底面図である。
【図9】図9は第3実施形態のダンパチューブの下端部
を示す拡大図である。
【図10】図10は第4実施形態の油圧緩衝器の下端部
を示す正面図である。
【符号の説明】
10 油圧緩衝器 11 ダンパチューブ 12 外筒 13 内筒 14 リブ 16 ナックルブラケット 16A 円環部 16B 取付部 16D テーパ状延長部 53 ボトムピース 81 溶接部 82 スリット 83 溶接部 84 パッチ 85 溶接部 92 ボトムピース挿入部
フロントページの続き (72)発明者 長谷川 正 埼玉県行田市藤原町1丁目14番地1 株式 会社ショーワ埼玉本社工場内 (72)発明者 照内 宏雄 埼玉県行田市藤原町1丁目14番地1 株式 会社ショーワ埼玉本社工場内 (72)発明者 江森 正 埼玉県行田市藤原町1丁目14番地1 株式 会社ショーワ埼玉本社工場内 (72)発明者 山森 史登 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 Fターム(参考) 3J069 AA54 CC09 CC34 DD47

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外筒と内筒をリブによって連結し、外筒
    の外周にナックルブラケットを固定する油圧緩衝器のチ
    ューブ構造において、 ナックルブラケットを外筒の外周に抜け強度0〜200kgf
    で軽圧入し、該ナックルブラケットを外筒の端部に溶接
    したことを特徴とする油圧緩衝器のチューブ構造。
  2. 【請求項2】 前記ナックルブラケットが軸方向に沿う
    スリットを付与され、外筒の外周に軽圧入されたナック
    ルブラケットを外筒の端部に溶接するとともに、スリッ
    トも溶接した請求項1に記載の油圧緩衝器のチューブ構
    造。
  3. 【請求項3】 前記ナックルブラケットが軸方向に沿う
    スリットを付与され、外筒の外周に軽圧入されたナック
    ルブラケットを外筒の端部に溶接するとともに、ナック
    ルブラケットにスリットを覆うパッチを当て、該パッチ
    をスリットの両側でナックルブラケットに溶接した請求
    項1に記載の油圧緩衝器のチューブ構造。
  4. 【請求項4】 前記ナックルブラケットが外筒の外周に
    軽圧入される円環部と、該円環部に結合される取付部と
    を有してなり、 該円環部が該取付部の結合範囲より上方に延長されたテ
    ーパ状延長部を有し、該テーパ状延長部の肉厚を延長端
    に向けて漸減した請求項1〜3のいずれかに記載の油圧
    緩衝器のチューブ構造。
  5. 【請求項5】 前記外筒と内筒とリブがアルミ合金から
    なる請求項1〜4のいずれかに記載の油圧緩衝器のチュ
    ーブ構造。
  6. 【請求項6】 外筒と内筒をリブによって連結し、外筒
    の外周にナックルブラケットを固定し、内筒の端部の内
    周にボトムピースを挿入する油圧緩衝器のチューブ製造
    方法において、 ナックルブラケットを外筒の外周に抜け強度0〜200kgf
    で軽圧入する工程と、 外筒の外周に軽圧入されたナックルブラケットを外筒の
    端部に溶接する工程と、 内筒の端部の内周にボトムピース挿入部を加工する工程
    と、 内筒の端部のボトムピース挿入部にボトムピースを挿入
    して固定する工程とを有してなることを特徴とする油圧
    緩衝器のチューブ製造方法。
  7. 【請求項7】 外筒と内筒をリブによって連結し、外筒
    の外周にナックルブラケットを固定し、内筒の端部の内
    周にボトムピースを挿入する油圧緩衝器のチューブ製造
    方法において、 スリットを軸方向に付与されたナックルブラケットを外
    筒の外周に抜け強度0〜200kgfで軽圧入する工程と、 外筒の外周に軽圧入されたナックルブラケットを外筒の
    端部に溶接するとともに、スリットも溶接する工程と、 内筒の端部の内周にボトムピース挿入部を加工する工程
    と、 内筒の端部のボトムピース挿入部にボトムピースを挿入
    して固定する工程とを有してなることを特徴とする油圧
    緩衝器のチューブ製造方法。
  8. 【請求項8】 外筒と内筒をリブによって連結し、外筒
    の外周にナックルブラケットを固定し、内筒の端部の内
    周にボトムピースを挿入する油圧緩衝器のチューブ製造
    方法において、 スリットを軸方向に付与されたナックルブラケットを外
    筒の外周に抜け強度0〜200kgfで軽圧入する工程と、 外筒の外周に軽圧入されたナックルブラケットを外筒の
    端部に溶接するとともに、ナックルブラケットにスリッ
    トを覆うパッチを当て、該パッチをスリットの両側でナ
    ックルブラケットに溶接する工程と、 内筒の端部の内周にボトムピース挿入部を加工する工程
    と、 内筒の端部のボトムピース挿入部にボトムピースを挿入
    して固定する工程とを有してなることを特徴とする油圧
    緩衝器のチューブ製造方法。
  9. 【請求項9】 前記ナックルブラケットが外筒の外周に
    軽圧入される円環部と、該円環部に結合される取付部と
    を有してなり、 該円環部が該取付部の結合範囲より上方に延長されたテ
    ーパ状延長部を有し、該テーパ状延長部の肉厚を延長端
    に向けて漸減した請求項6〜8のいずれかに記載の油圧
    緩衝器のチューブ製造方法。
  10. 【請求項10】 前記外筒と内筒とリブがアルミ合金か
    らなる請求項6〜9のいずれかに記載の油圧緩衝器のチ
    ューブ製造方法。
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