JP2002332537A - 防食性に優れた塗装鋼材 - Google Patents

防食性に優れた塗装鋼材

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Abstract

(57)【要約】 【課 題】 塗装鋼材の防食性を向上するとともに、耐
久性の高い塗膜を形成して、優れた防食性を長時間維持
できる塗装鋼材を提供する。 【解決手段】 鋼材がCを 0.001〜0.15質量%、Siを0.
60質量%以下、Mnを 0.1〜3.0 質量%、Pを 0.005〜0.
030 質量%、Sを0.01質量%以下、Alを0.05〜1.0 質量
%含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成
を有し、かつ塗装によって形成される2層以上の塗膜の
うちの鋼材に接する塗膜がZnを75〜90質量%含有する塗
装鋼材とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、厚鋼板,薄鋼板,
棒鋼,形鋼等の鋼材に塗装を施した塗装鋼材に関し、特
に優れた防食性を長時間維持できる塗装鋼材に関する。
【0002】
【従来の技術】厚鋼板,薄鋼板,棒鋼,形鋼等の鋼材
は、橋梁,建物等の鋼建築物、鉄塔,タンク等の鋼構造
物、あるいはクレーン,輸送機械等の産業機械の素材と
して広く使用されている。これらの鋼材は、強度が高く
かつ加工性に優れているばかりでなく、安価で入手しや
すいという利点を有しており、このような特徴が要因と
なって鋼建築物,鋼構造物や産業機械に使用されるので
ある。
【0003】しかしながら、鋼材は大気に曝されると腐
食が容易に進行するので、鋼建築物,鋼構造物や産業機
械の素材として鋼材を使用する場合は、腐食を防止しな
ければならない。そこで従来から鋼材の腐食を防止する
ために、種々の技術が実用化されている。たとえば、鋼
材にP,Cu,Cr,Ni等の合金元素を添加して、耐食性を
向上した耐候性鋼が実用化されている。耐候性鋼は、大
気と接触することによって、酸素や水分等の腐食因子を
通しにくい錆(いわゆる安定錆)を鋼材表面に形成し
て、腐食の進行を抑制するものである。したがって鋼建
築物あるいは鋼構造物に耐候性鋼を使用する場合は、防
錆剤を塗装する必要はない。
【0004】しかし、建設省から耐候性鋼の適用指針
「耐候性鋼材の橋梁への適用に関する共同研究報告書
(XX),1993,3, 建設省土木研究所,(社)鋼材倶楽
部,(社)日本橋梁建設協会発行」が公表され、飛来塩
分量が0.05mg/dm2 /day 以上の地域(すなわち海岸地
帯)では、従来の耐候性鋼(JIS規格 G3144:溶接構
造用耐候性熱間圧延鋼材)は、無塗装では使用できない
ことになっている。
【0005】さらに、海水からの飛来塩分量の少ない山
間部でも、冬季に路面の凍結を防止するために融雪塩を
散布する環境では、耐候性鋼であっても著しく腐食し、
安定錆が形成されないので、無塗装では使用できない。
また安定錆が形成される環境においても、安定錆が形成
されるには数年を要する。しかも安定錆が形成されるま
での間は、錆汁と呼ばれる流れ錆が発生する。錆汁は赤
褐色で、かつその生成過程が不均一であるからムラを生
じて、外観を損なう要因になる。
【0006】一方、塗料や防錆剤等の塗装による防食技
術は、簡便な手段で鋼材の腐食を防止できるという利点
がある。しかし塗装によって鋼材の表面に形成される塗
膜の防食効果は、時間の経過とともに劣化する。したが
って塗膜の防食効果が失われた場合や、外観が損なわれ
た場合には、塗り替えを行なって塗膜を新たに形成する
必要がある。
【0007】近年、塗膜の耐久性を向上する技術とし
て、フッ素樹脂を用いた耐久性のある塗料(すなわち上
塗り剤)が実用化されている。その結果、塗膜の耐久性
が向上し、海岸地帯のように厳しい腐食環境でも、塗り
替えの周期を延長できるようになった。しかしフッ素樹
脂が塗料(すなわち上塗り剤)として耐久性を発揮する
ためには、フッ素樹脂の塗装を数回繰り返して、いわゆ
る重ね塗りを行なう必要がある。その結果、塗装に要す
る費用が増大する。
【0008】ここで、塗装によって鋼材表面に形成され
る塗膜の耐久性について説明する。鋼材表面に形成され
る塗膜は、酸素や水分等の腐食因子から鋼材を遮断して
保護するものである。鋼建築物,鋼構造物あるいは産業
機械として使用される鋼材に形成された塗膜は、使用中
に損傷を受けたり、あるいは時間の経過とともに風化す
るのは避けられない。 このようにして、塗膜の損傷や風
化によって鋼材の保護作用が劣化した部分から腐食因子
が侵入して、鋼材が腐食される。
【0009】鋼材の腐食が進行すると、塗膜を浮き上が
らせるフクレが生じて、塗膜が剥離する。その結果、塗
膜の防食効果が失われるばかりでなく、塗膜の剥離によ
って外観が損なわれる。 また、塗膜の保護作用が劣化し
た部分から赤褐色の錆汁が流れて外観が損なわれる場合
もある。したがって定期的に塗り替えを行なって、塗膜
を新たに形成する必要がある。
【0010】つまり鋼材の使用中に塗膜の損傷や風化が
生じるのは避けられないのであるから、塗膜の防食性と
耐久性を向上するとともに、塗膜欠陥部での鋼材の防食
性を向上する必要がある。特開2000-169939 号公報に
は、塗膜の欠陥部における耐食性を向上した鋼材が開示
されている。しかしながら、この技術では、塗膜の防食
性や耐久性について検討がなされておらず、鋼材に塗装
を施して表面に塗膜を形成した塗装鋼材としての防食性
は、さらなる改善の余地が残されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記のような
問題を解消し、塗膜と鋼材の相互作用によって塗装鋼材
の防食性を向上するとともに、耐久性の高い塗膜を形成
して、優れた防食性を長時間維持できる塗装鋼材を提供
することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋼材に塗
装を施す際に塗料の下塗り剤として使用される防錆剤に
着目した。そこで鋼材の製造工程で発生する鋼材表面の
スケールを除去した後、下塗りとして防錆剤を鋼材表面
に塗布して防錆剤の塗膜を形成し、さらに防錆剤の塗膜
の上に各種塗料を塗布して塗料の塗膜を形成した。この
ようにして鋼材の表面に少なくとも2層の塗膜(すなわ
ち防錆剤の塗膜と各種塗料の塗膜)を形成して得られる
塗装鋼材の防食性について調査した。
【0013】すなわち、塗装鋼材に形成される少なくと
も2層の塗膜のうちの、鋼材に接する塗膜(すなわち下
塗り剤として使用される防錆剤の塗膜)の成分と鋼材の
成分との組合せについて調査した。その結果、Znを含有
する防錆剤を使用し、かつAlを含有する鋼材を使用する
と、ZnとAlの相互作用によって塗装鋼材の防食性が向上
することが分かった。
【0014】本発明は、スケールを除去した鋼材の表面
に2層以上の塗膜を有する塗装鋼材であって、鋼材がC
を 0.001〜0.15質量%、Siを0.60質量%以下、Mnを 0.1
〜3.0 質量%、Pを 0.005〜0.030 質量%、Sを0.01質
量%以下、Alを0.05〜1.0 質量%含有し、残部がFeおよ
び不可避的不純物からなる組成を有し、塗装によって形
成される2層以上の塗膜のうちの鋼材に接する塗膜がZn
を75〜90質量%含有する塗装鋼材である。
【0015】前記した発明においては、好適態様とし
て、鋼材が前記した組成に加えて、Cuを 0.1〜0.5 質量
%、Niを 0.1〜1.0 質量%、Crを 0.1〜0.5 質量%およ
びMoを0.01〜0.50質量%のうちの1種または2種以上を
含有することが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】まず、本発明の鋼材の組成を限定
した理由を説明する。 C: 0.001〜0.15質量% Cは、鋼材の強度を確保するために必要な元素である。
C含有量が 0.001質量%未満では、鋼建築物,鋼構造物
あるいは産業機械等として使用するのに十分な強度が得
られない。一方、0.15質量%を超えると、鋼材の靭性お
よび溶接性が劣化する。したがって、Cは 0.001〜0.15
質量%の範囲内を満足する必要がある。なお、好ましく
は 0.001〜0.08質量%である。
【0017】Si:0.60質量%以下 Siは、脱酸作用を有するとともに、固溶強化によって鋼
材の強度を向上させる元素である。Si含有量が0.60質量
%を超えると、鋼材の靭性および溶接性が劣化する。し
たがって、Siは0.60質量%以下に限定した。 なお、好ま
しくは0.15〜0.50質量%である。
【0018】Mn: 0.1〜3.0 質量% Mnは、鋼材の強度を確保するとともに、靭性を向上させ
る元素である。Mn含有量が 0.1質量%未満では、鋼建築
物,鋼構造物あるいは産業機械等として使用するのに十
分な強度が得られない。一方、 3.0質量%を超えると、
鋼材の靭性および溶接性が劣化する。したがって、Mnは
0.1〜3.0 質量%の範囲内を満足する必要がある。
【0019】P: 0.005〜0.030 質量% Pは、錆を緻密化して鋼材の防食性を向上させる元素で
ある。P含有量が 0.005質量%未満では、緻密な錆が生
成しない。一方、 0.030質量%を超えると、鋼材の溶接
性が劣化する。したがって、Pは 0.005〜0.030 質量%
の範囲内を満足する必要がある。
【0020】S:0.01質量%以下 Sは、鋼材の防食性,靭性および溶接性を劣化する有害
な元素であるから、可能な限り低減する必要がある。 S
含有量が0.01質量%を超えると、鋼材の防食性が著しく
低下する。したがって、Sは0.01質量%以下に限定し
た。 Al:0.05〜1.0 質量% Alは、後述する防錆剤に含まれるZnとの相互作用によっ
て塗装鋼材の防食性を向上させる元素である。特にジン
クリッチペイントと呼ばれるZnを多量に含有する防錆剤
を使用すると、その効果が顕著に発揮される。 つまり、
鋼材に含有されるAlと、その鋼材に接する防錆剤の塗膜
に含有されるZnとの相互作用によって、メカニズムは明
らかではないが、防食性の高い物質を生成して腐食の進
行を妨げるのである。Al含有量が0.05質量%未満では、
このような防食性を向上する効果が得られない。 一方、
1.0質量%を超えると、防食性を向上する効果が飽和す
る。したがって、Alは0.05〜1.0 質量%の範囲内を満足
する必要がある。
【0021】Cu: 0.1〜0.5 質量%,Ni: 0.1〜1.0 質
量%,Cr: 0.1〜0.5 質量%,Mo:0.01〜0.50質量%の
うちの1種または2種以上 Cu,Ni,Cr,Moは、いずれも錆を緻密化して鋼材の防食
性を向上させる元素であり、必要に応じて添加する。し
かし添加量が不足すると、防食性のある緻密な錆が生成
しない。一方、過剰に添加すると、錆を緻密化する効果
が飽和する。したがって、これらの元素を添加する場合
は、Cu: 0.1〜0.5 質量%,Ni: 0.1〜1.0 質量%,C
r: 0.1〜0.5 質量%,Mo:0.01〜0.50質量%の範囲内
を満足するのが好ましい。
【0022】上記で説明した成分以外は、Feおよび不可
避的不純物である。不可避的不純物としては、Nを 0.0
10質量%以下,Oを 0.010質量%以下が許容できる。次
に、本発明の鋼材の製造方法について説明する。上記の
組成を有する溶鋼を溶製し、さらに連続鋳造法や造塊法
等の従来から知られている方法で溶鋼を凝固させて、鋼
片を製造する。 本発明では、溶鋼を溶製する方法は、特
定の技術に限定しない。上記の組成を有する溶鋼を溶製
すれば良いのであるから、転炉,電気炉や真空脱ガス,
取鍋精錬等の従来から知られている技術を単独で用いる
か、あるいは種々組合せて溶鋼を溶製すれば良い。
【0023】このようにして製造した鋼片に熱間圧延を
施して、厚鋼板,薄鋼板,棒鋼,形鋼等の鋼材を製造す
る。熱間圧延に先立って、鋼片を加熱炉に装入して、熱
間圧延が可能な温度に加熱する。本発明においては、加
熱炉による鋼片の加熱温度は、特定の温度範囲に限定し
ない。ただし、鋼片の加熱温度が1000℃未満では、鋼片
の変形抵抗が大きいので、熱間圧延の負荷が増大する。
一方、1250℃を超えると、鋼材の結晶粒が粗大化して、
機械的性質が劣化する。したがって、鋼材の加熱温度は
1000〜1250℃の範囲内を満足するのが好ましい。
【0024】なお、連続鋳造法や造塊法等によって溶鋼
を凝固した後、熱間圧延設備に送給された鋼片の温度が
上記したような熱間圧延の可能な温度であれば、鋼片を
加熱炉に装入せず、熱間圧延を施しても良い。次に、本
発明の鋼材の表面に形成する塗膜について説明する。鋼
材の表面に塗膜を形成するに先立って、鋼材の製造工程
で発生する鋼材表面のスケールを除去する。鋼材表面の
スケールを除去することによって、塗膜と鋼材の密着性
が向上する。 本発明においては、スケールを除去する手
段は特定の技術に限定しない。鋼材表面のスケールを除
去すれば良いのであるから、ショットブラスト,サンド
ブラスト,ブラシケレン等の従来から知られている技術
を使用すれば良い。
【0025】スケールを除去した鋼材の表面に、下塗り
剤としてZnを多量に含有する防錆剤(いわゆるジンクリ
ッチペイント)を塗布して塗膜を形成する。 Znは、鋼材
に含まれるAlとの相互作用によって塗装鋼材の防食性を
向上させる。防錆剤の塗膜に含有されるZnが75質量%未
満では、鋼材とZn粉末との電気的接触が不十分で、防食
性を向上する効果が得られない。 一方、90質量%を超え
ると、Znの溶出量が過大となり、防食性が劣化する。し
たがって、防錆剤の塗膜に含有されるZnは75〜90質量%
の範囲内を満足する必要がある。 なお、好ましくは80〜
85質量%である。
【0026】本発明においては、防錆剤の塗膜に75〜90
質量%のZnが含有されれば良いのであるから、下塗り剤
として使用する防錆剤は、従来から知られている無機ジ
ンクリッチペイントや有機ジンクリッチペイント等のZn
を多量に含有する防錆剤を使用すれば良い。 ただし、塗
装鋼材の防食性を重視する場合は無機ジンクリッチペイ
ントを使用し、塗装の作業性や経済性を重視する場合は
有機ジンクリッチペイントを使用するのが好ましい。
【0027】このようにして鋼材の表面に防錆剤の塗膜
を形成した後、さらに上塗り剤として塗料を塗布して、
防錆剤の塗膜の上に塗料の塗膜を形成する。したがって
本発明の塗装鋼板には、少なくとも2層の塗膜(すなわ
ち防錆剤の塗膜と塗料の塗膜を合計2層以上)が形成さ
れる。一方、5層以上の塗膜を形成すると防食性向上の
効果が飽和するばかりでなく、塗装鋼材の製造コストが
上昇する。したがって防錆剤の塗膜と塗料の塗膜は、合
計5層以下が好ましい。
【0028】本発明においては、上塗り剤として使用す
る塗料の種類は耐久性の高い塗料、たとえば塩化ゴム系
樹脂,フタル酸樹脂,エポキシ樹脂,エポキシ−シリコ
ン樹脂,ポリウレタン樹脂,フッ素樹脂等を使用するの
が好ましい。 その理由は、防錆剤に含有されるZnと鋼材
に含有されるAlとの相互作用によって防食性が向上する
ので、防錆剤の塗膜の上に耐久性の高い塗料の塗膜を形
成して、防錆剤の塗膜を保護し、塗装鋼材の優れた防食
性を長時間にわたって維持できるからである。これらの
塗料を1種類のみ使用しても良いし、2種類以上の塗料
を使用して各々塗膜を形成しても良い。
【0029】また本発明においては、防錆剤や塗料を塗
布する手段は、特定の構成に限定しない。防錆剤の塗膜
および塗料の塗膜を形成すれば良いのであるから、スプ
レー,刷毛,ロールコーター等の従来から知られている
技術を使用すれば良い。以上に説明したように、本発明
では、下塗り剤として使用する防錆剤の塗膜と鋼材との
相互作用によって防食性を向上し、かつ上塗り剤として
使用する塗料の塗膜によって防錆剤の塗膜を保護するの
で、優れた防食性を長時間にわたって維持できる。
【0030】
【実施例】転炉を用いて表1に示す組成を有する溶鋼を
溶製し、連続鋳造によってスラブを製造した。そのスラ
ブを加熱炉に装入して1150℃に加熱した後、熱間圧延を
行ない、厚鋼板(厚さ10mm,幅3000mm)を製造した。な
お、鋼材A〜Gは各成分が本発明の範囲を満足する例で
あり、鋼材H〜JはAl含有量が本発明の範囲を外れる例
である。
【0031】
【表1】
【0032】このようにして得られた鋼材から試験片
(厚さ10mm,幅100mm ,長さ300mm )を切り出し、次い
で試験片にショットブラスト処理を施して表面のスケー
ルを除去した後、試験片の表面に、下塗り剤として(す
なわち第1層として)防錆剤の塗膜を形成した。防錆剤
は、無機ジンクリッチペイント,有機ジンクリッチペイ
ント,鉛系さび止めペイントを使用した。なお鉛系さび
止めペイントには、Znは含まれていない。
【0033】さらに防錆剤の塗膜(すなわち第1層)の
上に、塗料の塗膜を1層(すなわち第2層)または2層
(すなわち第2層〜第3層)形成した。塗料は、塩化ゴ
ム系樹脂,フタル酸樹脂,エポキシ樹脂,ポリウレタン
樹脂を使用した。試験片を切り出した鋼材と塗膜を形成
した防錆剤(すなわち第1層),塗料(すなわち第2層
〜第3層)の組合せは、表2に示す通りである。 このよ
うにして形成した塗膜全体(すなわち防錆剤と塗料の合
計2層または3層)の厚さを夫々測定した。その結果
は、表2に示す通りである。なお防錆剤の塗膜や塗料の
塗膜は、いずれもスプレーを用いて形成した。
【0034】次いで、塗膜を形成した試験片の表面に長
さ50mmのスクラッチを入れて、塗膜を部分的に損傷して
暴露試験に供した。スクラッチは地鉄に達するものと
し、暴露地は東京湾岸の海岸から20mの地点(飛来塩分
量:0.35mg/dm2 /day )とした。なお飛来塩分量は、
JIS規格Z2381 のガーゼ法で測定した値である。2年
後に試験片を回収して、スクラッチから発生した最も外
側の塗膜面のフクレ部の幅を10mmピッチで5ケ所測定し
た。 その平均値をフクレ幅として表2に示す。
【0035】
【表2】
【0036】発明例1〜9は、鋼材の各成分の含有量と
防錆剤の塗膜(すなわち第1層)のZn含有量が本発明を
満足する例である。一方、比較例1〜2は、鋼材の成分
は本発明を満足するものの、Znを含有しない防錆剤を使
用した例である。比較例3は、鋼材のAl含有量が本発明
の範囲を外れ、しかもZnを含有しない防錆剤を使用した
例である。比較例4〜6は、防錆剤はZnを含有するもの
の、鋼材のAl含有量が本発明の範囲を外れる例である。
比較例7〜10は、鋼材の成分は本発明を満足するもの
の、防錆剤のZn含有量が本発明の範囲を外れる例であ
る。
【0037】発明例1〜9は、フクレ幅が0.13〜0.48mm
であったのに対して、比較例1〜10は、フクレ幅が0.69
〜2.35mmであった。つまり本発明によって塗装鋼材の防
食性が向上できることが確かめられた。なお、比較例3
(すなわち鋼材のAl含有量が本発明の範囲を外れ、しか
もZnを含有しない防錆剤を使用した例)のフクレ幅が最
も大きかった。
【0038】暴露試験では、AlとZnの相互作用による防
食性の評価を行なうことを目的として、地鉄に達するス
クラッチを入れた試験片を使用して、フクレ幅を測定し
た。つまり塗膜にスクラッチを入れて(すなわち損傷を
与えて)暴露試験を行なったので、表2に示すフクレ幅
の測定結果では塗膜の耐久性は評価できない。しかし耐
久性の高い塗料を使用すると、塗膜の耐久性が向上し、
その結果、塗装鋼材の優れた防食性を長時間にわたって
維持できることは明らかである。
【0039】
【発明の効果】本発明では、塗装鋼材の優れた防食性を
長時間にわたって維持できるので、鋼建築物,鋼構造
物,産業機械等に使用する場合に、塗料や防錆剤の塗り
替え周期を延長して、塗り替え費用を削減できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23F 11/00 C23F 11/00 F (72)発明者 星野 俊幸 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 Fターム(参考) 4F100 AA00A AA37A AB03A AB10A AB11A AB13A AB14A AB16A AB17A AB18B AB20A AK24 AK51 AK53 AN00 BA03 BA07 BA10C CC00B CC00C GB07 JB02 YY00A YY00B 4K062 AA01 BA01 BA05 BC04 BC09 BC12 BC15 CA05 FA08 FA12

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スケールを除去した鋼材の表面に2層以
    上の塗膜を有する塗装鋼材であって、前記鋼材がCを
    0.001〜0.15質量%、Siを0.60質量%以下、Mnを 0.1〜
    3.0 質量%、Pを 0.005〜0.030 質量%、Sを0.01質量
    %以下、Alを0.05〜1.0 質量%含有し、残部がFeおよび
    不可避的不純物からなる組成を有し、前記2層以上の塗
    膜のうちの前記鋼材に接する塗膜がZnを75〜90質量%含
    有することを特徴とする塗装鋼材。
  2. 【請求項2】 前記鋼材が前記組成に加えて、Cuを 0.1
    〜0.5 質量%、Niを0.1〜1.0 質量%、Crを 0.1〜0.5
    質量%およびMoを0.01〜0.50質量%のうちの1種または
    2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の
    塗装鋼材。
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