JPH10330881A - 耐久性に優れた塗装鋼材 - Google Patents

耐久性に優れた塗装鋼材

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JPH10330881A
JPH10330881A JP33017297A JP33017297A JPH10330881A JP H10330881 A JPH10330881 A JP H10330881A JP 33017297 A JP33017297 A JP 33017297A JP 33017297 A JP33017297 A JP 33017297A JP H10330881 A JPH10330881 A JP H10330881A
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武典 中山
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多加志 岩田
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文雄 湯瀬
Toshiaki Suga
俊明 菅
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塩分の飛来が避けられない環境における耐久
性と良好な溶接性を兼ね備えた塗装鋼材を提供する。 【解決手段】 質量%で、C:0.20%以下、 Si:0.10〜1.
0 %、Mn:2.5%以下、 Cu:0.05〜3.0 %、 Ni:0.05〜6.
0 %、S:0.02%以下、P:0.15%以下、 Cr:0.20%以下、
Ti:0.01〜1.0 %を含有し、さらに化学成分として、 A
l:0.05〜0.50%を含し、 Ca:0.0001〜0.01%、 La:0.00
01〜0.05%、 Ce:0.0001〜0.05%のうちのいずれか一種
以上を含有する耐久性に優れた塗装鋼材である。また、
上記化学成分のうち、P とCrの含有量を、P:0.05%以
下、 Cr:0.05%以下にした耐久性に優れた塗装鋼材であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、橋梁あるいは鉄塔
などの塗替え塗装を含めた維持管理業務の日常的遂行が
困難な鋼構造物に用いる鋼材に属するものであり、特に
は海岸近郊あるいは凍結防止として道路に塩化物を散布
することのある寒冷地等の塩害環境に適した鋼構造物に
属するものである。
【0002】
【従来の技術】鋼にCr、Cu、Ni、P 等の化学成分を適量
添加した耐候性鋼材としてJIS に溶接構造用耐候性熱間
圧延鋼材(SMA:JIS G 3114)と高耐候性圧延鋼材(SPA:JIS
G 3125)の二種が規定され、また、後述する特許公報に
も耐候性鋼材が開示されている。耐候性鋼は、鋼材表面
に生成した緻密な安定錆層により永続的な腐食の進行を
遮るといった鋼であり、内陸地方等では使用実績があ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、耐候性
鋼が安定な錆層を生成するまでには約10年以上もの長期
間を要し、実用上は初期の腐食およびそれに伴う赤錆の
流出などが問題になっている。温暖湿潤な気候である日
本では特にその傾向が強い。耐候性鋼を裸使用する際
の、錆安定化までの錆汁による周囲構造物の汚染などを
防止する目的で錆安定化処理が一般に行われている。た
だし、この方法も錆汁を防ぐのみで裸使用と同様、塩分
が多く飛来する環境では緻密な錆層の生成が阻害され期
待した効果が得られないといった問題がある。
【0004】一方、耐候性鋼の抱える上記の問題点を解
決する手段も従来から提案されている。特公昭53-22530
号公報、特公昭56-33991号公報、特公昭58-39915号公
報、特公昭58-17833号公報、特開平02-133480 号公報、
特公平06-21273号公報等では耐候性鋼の表面に樹脂を塗
装することにより外部環境からの飛来塩分の侵入を防ぎ
安定錆の生成を促進する方法が提案されている。例え
ば、特開平02-133480 号公報には、鱗片状結晶構造のFe
3O4 、燐酸、ブチラール樹脂および残部が溶剤である安
定錆の生成を促進する表面処理液が、特公平06-21273号
公報には、P 、Cu、Cr、Ni、SiおよびMoの化合物の1種
以上、Fe2O3+Fe3O4 、燐酸、ビスフェノール系エポキシ
樹脂および残部が溶剤と塗料補助剤である塗装液を塗布
する錆安定化表面処理方法が開示してある。しかし、こ
れらの方法はいずれも耐候性鋼材そのものを改善したも
のではなく安定錆の生成を促進するには問題がある。す
なわち、樹脂塗装は、通常、微小な欠陥を有しており、
その欠陥個所においては塗膜の効果が期待できない。さ
らには、塗膜欠陥部での腐食の進行は塗膜−素地界面で
の隙間腐食を引き起こすこととなり、安定錆層が生成す
る以前に塗膜自体の剥離、脱落を招くこともある。した
がって、塩分の飛来が避けられないような環境において
の耐候性鋼の使用は制限を受けることとなり、大きな問
題となっている。
【0005】また、P およびCrは溶接性を大きく劣化さ
せる元素であり、鋼材を現場溶接する機会の多い、特に
橋梁等の構造物においては、耐候性鋼の適用範囲を狭め
ることになっている。
【0006】本発明は、上記の問題点を解決するために
なされたもので、塩分の飛来が避けられない環境におい
て使用する塗装鋼材の耐久性と良好な溶接性を兼ね備え
た塗装鋼材を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】その要旨は、質量%で、
C:0.20%以下、 Si:0.10〜1.0 %、Mn:2.5%以下、 Cu:
0.05〜3.0 %、 Ni:0.05〜6.0 %、S:0.02%以下、P:0.
15%以下、 Cr:0.20%以下、 Ti:0.01〜1.0 %を含有
し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる耐久性に優
れた塗装鋼材である。
【0008】さらに化学成分として、Al:0.05 〜0.50%
を含有する上記の耐久性に優れた塗装鋼材である。
【0009】さらに化学成分として、 Ca:0.0001〜0.01
%、La:0.0001 〜0.05%、 Ce:0.0001〜0.05%のうちの
いずれか一種以上を含有する上記の耐久性に優れた塗装
鋼材である。
【0010】さらに化学成分として、 Al:0.05〜0.50%
を含有し、 Ca:0.0001〜0.01%、La:0.0001 〜0.05%、
Ce:0.0001〜0.05%のうちのいずれか一種以上を含有す
る上記の耐久性に優れた塗装鋼材である。
【0011】さらに、溶接性を考慮して基本成分である
P とCrの含有量を、P:0.05%以下、Cr:0.05%以下にし
た耐久性に優れた塗装鋼材である。
【0012】鋼表面に緻密な安定錆層が生成すると、環
境中に存在する水分、酸素あるいは塩素イオンといった
腐食促進因子が物理的もしくは電気化学的作用により基
材である鋼に到達し難くなるため、鋼の腐食反応は遅延
し、特別な防食処理を施すことなしに腐食速度は無視で
きる程度まで減少することが知られている。耐候性鋼は
こうした緻密錆による自己防食作用を積極的に利用した
鋼である。
【0013】具体的には、Cr、Cu、Ni、P といった生成
錆の緻密化を促進する元素を微量添加することにより耐
候性鋼を得ることができる。すなわち、耐候性鋼とは裸
材にて使用することによって、その作用効果を発現する
ことができる鋼種である。しかしながら、発明が解決し
ようとする課題に記載したように、耐候性鋼の有する安
定錆生成の促進作用は飛来塩分が無視できない塩害環境
下では、その十分な効果は発揮されない。そこで、安定
錆が生成するまでの期間、飛来塩分が鋼に到達すること
を避ける目的で鋼表面に薄い樹脂塗膜を施すといった対
応策が種々考案されているが、既述したような塗膜欠陥
の問題があるため有効な対策とはなっていないのが実状
である。
【0014】本発明者らは塗膜欠陥部における腐食機構
を鋭意検討した結果、鋼成分として含まれるCrが腐食因
子として影響していることを見いだした。すなわち、塗
膜欠陥において鋼が腐食反応を開始すると、鉄原子に伴
い微量溶解するCrイオンはClイオンの作用も加わって欠
陥内におけるpH低下の原因となり、欠陥内での凝集水分
の酸化性を促進することにより塗膜−素地界面での隙間
腐食を誘発する作用をもたらすことを見いだした。
【0015】したがって、上述の腐食機構からの演繹に
より塩害地域における樹脂塗装耐候性鋼の耐久性向上の
ための成分設計の考えとして、以下に記す三つの視点が
重要であることが理解できる。
【0016】(1) Cr添加量を可能な限り少なくし、塗膜
欠陥部における腐食促進要因を減じること。 (2) Cr添加の代替となる安定錆生成促進元素を探索−添
加すること。 樹脂塗膜がある場合、塗膜健全部では塗膜による遮蔽効
果により塩分は鋼に到達することが困難となり、また塗
膜欠陥部においても欠陥(傷)幅が十分に小さい場合に
は、塗膜の厚みが物理的な障壁となって飛来塩分は素地
には到達しにくいこととなる。したがって、塗膜欠陥内
部における著しいpH低下を抑制し、成分元素のコントロ
ールができれば、塩害環境下においても長寿命の塗装鋼
材が提供できるものと考えられる。 (3) 塗膜欠陥内でのpH低下を緩衝する作用を有する元素
を探索−添加すること。すなわち、微量溶解することに
よって、pHをアルカリ側へ高める作用を有する元素を添
加すること。
【0017】この様な条件を満たせば塗膜欠陥下にて鋼
は安定錆を形成しうるが、表面を覆う被覆材については
経済性、施工性、簡便さなどから最も一般的な有機樹脂
系の塗装を施したものが推奨される。ポリエステル系、
エポキシ系、ウレタン系など鋼表面を覆えるものであれ
ば、あらゆる樹脂が塗装可能であるが、発明者らの実験
では強靱で撓み性があり衝撃強さが大きく、金属との接
着性に優れるブチラール樹脂が最も優れた樹脂である。
【0018】本発明は以上の観点から導き出されたもの
であり、各添加成分ごとにその作用効果および添加範囲
の限定理由を以下に説明する。
【0019】
【発明の実施の形態】先ず、耐候性鋼に必須元素である
P およびCrについて説明する。P およびCrは安定錆層の
生成を促進するために、従来の裸使用を主とした耐候性
鋼では欠くことのできない元素であり、P は0.15%を上
限とした(請求項1)。しかし、Crは上述のように、塗
膜欠陥部では、pH低下の原因となり、欠陥内での凝集水
分の酸化性を促進することにより塗膜−素地界面での隙
間腐食を誘発する作用をもたらすので、Crは 0.2%を上
限とした(請求項1)。
【0020】しかし、P およびCrは溶接性を大きく劣化
させる元素であり、鋼材を現場溶接する機会の多い、特
に橋梁等の構造物においては、耐候性鋼の適用範囲を狭
めることになっている。このため、耐候性鋼の溶接性に
重点をおく場合は、P は0.05%を上限に、Crは0.05%を
上限とした(請求項5)。なお、溶接性を重視する場合
は、本発明の成分範囲内で炭素当量(Ceq) を考慮すれば
よい。
【0021】Tiは、上述(2) の考えから本発明で選択さ
れたCr添加の代替となる必須添加元素であり、Cr、Cu、
Niと同様、生成錆を緻密化し安定錆層の生成を促進する
有益な作用を有しているとともに、非常に優れた耐食性
も有している。また、鋼の清浄化という利点も併せ持っ
ている。こうした効果は0.01%以上の添加で得られる
が、0.03%を超えて添加するとその効果は著しく上昇
し、0.05%以上の添加がさらに望ましい。しかし、過剰
な添加を行っても、その効果は飽和傾向を示し、経済的
にも好ましくないので、Tiは 1.0%を上限とした。した
がって、Ti含有量は0.01〜1.0 %の範囲とする。
【0022】Alは、Tiと同様、上述(2) の考えから本発
明で選択されたCr添加の代替となる添加元素であり、C
r、Cu、Niと同様、生成錆を緻密化し安定錆層生成を促
進する作用を有している。こうした効果は0.05%以上の
添加で得られ、Tiと複合添加することにより、その効果
は増す。しかし、過剰な添加を行っても、その効果は飽
和傾向を示すばかりでなく、溶接性劣化も懸念されるの
で、Alは0.50%を上限とした。したがって、Al含有量は
0.05〜0.50%の範囲とする。
【0023】Ca、La、Ceは、上述(3) の考えから本発明
で選択された塗膜欠陥内でのpH低下を緩衝する作用を有
する添加元素で、これらの元素は塗膜下腐食進行過程に
おいて、鉄の腐食反応に伴う微量溶解でアルカリ性を呈
する(アノード溶解先端部の溶液pH緩衝効果)元素であ
り、塗膜欠陥部での隙間腐食を抑制する作用を有する。
すなわち、これらの元素は溶解時にpHを上げて隙間腐食
を抑制する。先に述べたように、Crは溶解時にpHを下げ
隙間腐食を促進させるが、溶解時にpHを上げる元素(C
a、La、Ce)が存在すれば、隙間腐食の進行を抑制し、
また溶解によりpHを下げる元素(Cr)が存在しなけれ
ば、隙間腐食の進行は防止できるわけである。これらの
相乗効果により、本発明の塗装鋼材は塗膜欠陥部での外
部からの塩分による塩素イオンの濃度の悪影響を抑制
し、優れた耐候性を発揮する。これらの元素は1種のみ
の添加、または複合添加においてもその効果を発揮す
る。
【0024】これらの元素は0.0001%以上の添加で上記
の効果を発揮するが、添加量を過剰に増加してもその効
果は飽和する。さらにCaの多量の添加は、製鋼における
精錬炉の炉壁損傷の原因となる危険性も有している。し
たがって、それぞれの添加量の上限値を考慮して、Ca含
有量は0.0001〜0.01%の範囲、La含有量は0.0001〜0.05
%の範囲、Ce含有量は0.0001〜0.05%の範囲とする。
【0025】次に、C 、Si、Mn、Cu、Ni、S の限定理由
について説明する。C は、鋼の強度確保のための必須元
素であるが、添加量が増すと溶接性および耐食性を劣化
させる。したがって、C 含有量は0.20%以下とした。な
お、十分な溶接性および耐食性を確保するためには、C
含有量は0.15%以下が望ましい。
【0026】Siは、固溶強化元素であり、その効果を得
るには0.10%以上の添加が必要である。さらにSiは、安
定錆の生成を促進し耐食性向上効果も有する。しかし、
多量の添加は溶接性低下の原因となる。したがって、Si
含有量は0.10〜1.0 %の範囲とする。なお、望ましい添
加範囲は0.15〜0.65%の範囲である。
【0027】Mnは、C に替わる強度確保のための元素と
して有効であるが、多量に鋼中に存在すると加工性や靱
性の低下およびMnS の生成促進のため耐食性の劣化を招
く恐れがある。したがって、Mn含有量は2.5 %以下とし
た。
【0028】Cuは、電気化学的に鉄より貴な元素であ
り、生成錆を緻密化して安定錆生成を促進する作用を有
する必須元素である。こうした作用は0.05%以上の添加
で発揮されるが、1.0 %を超えて添加しても、それ以上
の効果は得られず、むしろ熱間圧延時に素材の脆化を引
き起こす恐れがある。したがって、Cu含有量は0.05〜1.
0 %の範囲とする。なお、熱間脆性防止の観点からは、
Cu添加量の上限は 0.5%とすることが望ましい。ただ
し、熱間脆化促進元素である Sの含有量を0.02%以下と
すれば、Cuは上限 3.0%まで添加可能である。この場
合、 Sは腐食の起点となる MnSあるいは FeS形成に関わ
るものであり、そのため、耐久性改善には S含有量を0.
02%以下に限定するのは有効であり、その効果はCu上限
3%までの添加により顕著に発揮される。なお、 Sの含
有量は0.01%以下が好ましく、さらには0.005%以下が
より好ましい。
【0029】Niは、Cuと同様の耐食性向上作用を有する
元素であり、その効果を得るためには0.05%以上の添加
が必要である。さらにNiはCuの添加の際に危惧される熱
間脆性を抑制する効果もある。しかし、3.0 %を超えて
添加しても耐食性向上作用は飽和する。したがって、Ni
含有量は0.05〜3.0 %の範囲とする。ただし、熱間脆化
促進元素である Sの含有量を0.02%以下とすれば、Niは
上限 6.0%まで添加可能である。この場合も、上記のよ
うに MnSあるいは FeSが腐食の起点となるため、耐久性
改善には S含有量を0.02%以下に限定するのは有効であ
り、Ni添加量は上限 6%までの範囲内において増量する
ことは耐久性改善に有効である。
【0030】以上述べたように、アルカリ金属を添加す
る類似の方法として特許番号第2572447 号があるが、こ
の特許は塗装鋼材を対象にしたものではなく、そのため
塗膜欠陥部における腐食促進要因であるCrを減じること
の明言や、本発明特有のTiの効果には一切触れていない
点で、本発明の技術思想とは根本的に異なるものであ
る。
【0031】また、塗膜欠陥部における腐食促進要因を
減じること(Crの低減)、Cr添加の代替となる安定錆生
成促進元素の添加(Ti、Alの複合添加)、塗膜欠陥内で
のpH低下を緩衝する作用を有する元素の添加(Ca、La、
Ceの複合添加)、溶接性に悪影響を及ぼす元素の低減
(P 、Crの低減)は、お互いに悪影響を及ぼすものでは
なく、相互に効果があるものであり、むしろ耐候性の向
上は溶接性の向上にも繋がり得るので、これらの元素は
複合添加しても何らかまわない。
【0032】
【実施例】以下、実施例に基づいて説明する。表1、表
2および表3に示す化学成分の鋼板と樹脂との組合せに
よる供試材を製作し、図1に示すように供試材の表面に
カッターナイフでクロスカット式の人工塗膜欠陥を入
れ、促進試験および大気暴露試験により供試材の長期耐
久性を評価した。鋼板への塗装処理は、いずれの塗料系
の場合も、下地処理としてサンドブラスト処理後、スプ
レー塗装にて厚さ10μm まで塗装した。表中の塗料Bは
ブチラール樹脂、Pはポリエステル樹脂、Eはエポキシ
樹脂、Uはウレタン樹脂、Fはフッ素樹脂を意味する。
【0033】促進試験は、図2に示す複合サイクル試験
(カーボンアークランプ照射→塩水浸漬(0.1%と0.5 %
と3.0 %の三種類) →恒温恒湿)にて行い、60サイクル
後に外観およびクロスカットからの塗膜下腐食の広がり
幅を評価した。大気暴露試験は、南向き、水平に対して
30°の傾斜で一年間暴露(週一回の0.1 %の塩水散布)
した。大気暴露試験の評価は、促進試験と同様、外観お
よびクロスカットからの塗膜下腐食の広がり幅を評価し
た。なお、クロスカットからの塗膜下腐食の広がり幅の
評価は、広がり幅を8点計測し、その平均値で評価し
た。また、外観評価のレイティングナンバ(RN)は外
観を見て最も良好な場合を10、損傷が大きくなるに従い
順に数値を下げ、最も損傷が大きい場合(全面腐食)を
1とした。それぞれの総合評価を相対的に◎、○、△、
×などで表示した。その結果を表4、表5および表6に
示す。
【0034】また、図3に上記実施例とは別に、本発明
者らの行ったTi添加量と耐候性との関係について示す。
供試材は本発明の請求項1に準拠した材料で、実験方法
は図2に示す複合サイクル試験である。評価は表面性状
(レイティングナンバ)および塗膜欠陥部でのふくれ幅
などで総合評価したものである。図3における耐候性指
数は1−平均ふくれ幅(mm)で表示しており、指数が大き
いものほど耐候性が優れていることになる。Ti添加量の
増加とともに耐候性は上昇するが、0.05%以上添加すれ
ば効果はかなり高いことがわかる。
【0035】表4、表5および表6から明らかなよう
に、本発明による塗装鋼材と比較鋼の優劣の差は歴然と
している。比較鋼について個々に説明すると、No.1は普
通鋼、No.2およびNo.3はいわゆる耐候性鋼であるが、Cr
を含有しているため、pHが低下し塗膜下腐食の広がり幅
が大きい。No.4はC 量が多すぎるため、No.5はCr添加の
代替となる安定錆生成促進元素およびpH低下を緩衝する
元素を含有していないため、No.6は耐候性鋼の基本成分
であるCu、Niを含有していないため、そしてNo.7はCr含
有量が多すぎるため、それぞれ耐食性が不十分となり表
3の結果を生じたものと考える。また、No.32 およびN
o.33 は S量が多いため、鋼板製造工程で熱間割れが発
生したため促進試験および大気暴露試験は行えなかっ
た。なお、表4、表5および表6の結果は、本発明の十
分な有用性を証明しているものである。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】
【表6】
【0042】
【発明の効果】以上、説明したところから明らかなよう
に、本発明による塗装鋼材は飛来塩分の影響が無視でき
ない塩害環境下においても優れた長期耐久性を有してお
り、鋼構造物の維持管理業務を最小化できる鋼材とし
て、道路に塩化物を散布する寒冷地も含めた内陸部から
海岸近郊までの幅広い領域にて実用できる優れた特性を
有し、かつCrおよびP 含有量を低減しているので従来耐
候性鋼にはない良好な溶接性を兼ね備えている。
【図面の簡単な説明】
【図1】促進試験および大気暴露試験の供試材形状を示
す図である。
【図2】促進試験の複合サイクル試験条件の説明図であ
る。
【図3】Ti添加量と耐候性との関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菅 俊明 兵庫県加古川市金沢町1番地 株式会社神 戸製鋼所加古川製鉄所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量%で、C:0.20%以下、 Si:0.10〜1.
    0 %、Mn:2.5%以下、 Cu:0.05〜3.0 %、 Ni:0.05〜6.
    0 %、S:0.02%以下、P:0.15%以下、 Cr:0.20%以下、
    Ti:0.01〜1.0 %を含有し、残部がFeおよび不可避的不
    純物からなることを特徴とする耐久性に優れた塗装鋼
    材。
  2. 【請求項2】 上記鋼材にさらに化学成分として、Al:
    0.05 〜0.50%を含有する請求項1記載の耐久性に優れ
    た塗装鋼材。
  3. 【請求項3】 上記鋼材にさらに化学成分として、 Ca:
    0.0001〜0.01%、La:0.0001 〜0.05%、 Ce:0.0001〜0.
    05%のうちのいずれか一種以上を含有する請求項1記載
    の耐久性に優れた塗装鋼材。
  4. 【請求項4】 上記鋼材にさらに化学成分として、 Al:
    0.05〜0.50%を含有し、Ca:0.0001 〜0.01%、 La:0.00
    01〜0.05%、 Ce:0.0001〜0.05%のうちのいずれか一種
    以上を含有する請求項1記載の耐久性に優れた塗装鋼
    材。
  5. 【請求項5】 質量%で、C:0.20%以下、 Si:0.10〜1.
    0 %、Mn:2.5%以下、 Cu:0.05〜3.0 %、 Ni:0.05〜6.
    0 %、S:0.02%以下、P:0.05%以下、 Cr:0.05%以下、
    Ti:0.01〜1.0 %を含有し、残部がFeおよび不可避的不
    純物からなることを特徴とする耐久性に優れた塗装鋼
    材。
  6. 【請求項6】 上記鋼材にさらに化学成分として、 Al:
    0.05〜0.50%を含有する請求項5記載の耐久性に優れた
    塗装鋼材。
  7. 【請求項7】 上記鋼材にさらに化学成分として、 Ca:
    0.0001〜0.01%、La:0.0001 〜0.05%、 Ce:0.0001〜0.
    05%のうちのいずれか一種以上を含有する請求項5記載
    の耐久性に優れた塗装鋼材。
  8. 【請求項8】 上記鋼材にさらに化学成分として、 Al:
    0.05〜0.50%を含有し、Ca:0.0001 〜0.01%、 La:0.00
    01〜0.05%、 Ce:0.0001〜0.05%のうちのいずれか一種
    以上を含有する請求項5記載の耐久性に優れた塗装鋼
    材。
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