JP3780444B2 - エレクトロガスアーク溶接用フラックス入りワイヤ - Google Patents

エレクトロガスアーク溶接用フラックス入りワイヤ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は橋梁又は鉄塔等の鋼構造物等の溶接に使用されるエレクトロガスアーク溶接用フラックス入りワイヤに関し、特に、海岸近郊及び寒冷地等の塩害環境下で使用される鋼構造物用耐候性鋼材の溶接に好適なエレクトロガスアーク溶接用フラックス入りワイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
鋼にCr、Cu、Ni及びP等の化学成分を適量添加した耐候性鋼材としてJISに溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材(SMA:JIS G 3114)及び高耐候性圧延鋼材(SMA:JIS G 3125)の2種が規定されている。耐候性鋼材は、鋼材の表面に生成した緻密な安定錆層により永続的な腐食の進行を遮るという性質を有する鋼材であり、橋梁又は鉄塔等の塗替え塗装を含めた維持管理業務の日常的遂行が困難な鋼構造物に使用され、内陸地方で使用実績がある。
【0003】
しかし、耐候性鋼材が安定な錆層を生成するまでには、約10年以上もの長期間が必要とされ、実際には、初期の腐食及びそれに伴う赤錆の流出等が問題となっている。例えば、海岸近郊及び凍結防止として道路に塩化物を散布することがある寒冷地等でこのような問題が生じている。特に、このような傾向は、気候が温暖湿潤な日本において顕著である。このため、耐候性鋼材を裸使用する際の錆安定化までの錆汁による周囲構造物の汚染等を防止する目的で錆安定化処理が一般に行われている。
【0004】
しかし、錆安定化処理が行われた場合であっても、錆汁は防止されるものの、裸使用と同様に、塩分が多く飛来する環境下では、緻密な錆層の生成が阻害され所望の効果が得られないという問題がある。
【0005】
そこで、耐候性鋼材が抱える上述のような問題を解決するための手段が提案されている(特公昭53−22530号公報、特公昭56−33991号公報、特公昭58−39915号公報、特公昭58−17833号公報、特開平2−133480号公報、特公平6−21273号公報等)。これらの公報には、耐候性鋼材の表面に樹脂を塗装することにより、外部環境からの飛来塩分の侵入を防止して安定錆の生成を促進する方法が記載されている。例えば、特開平2−133480号公報には、鱗片状結晶構造のFe34、燐酸、ブチラール樹脂及び残部が溶剤である安定錆の生成を促進する表面処理液が開示されている。また、特公平6−21273号公報には、P、Cu、Cr、Ni、Si及びMoの化合物の少なくとも1種以上、Fe23+Fe34、燐酸、ビスフェノール系エポキシ樹脂並びに残部が溶剤及び塗料補助剤である塗装液を塗布する錆安定化表面処理方法が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の公報に開示された方法は、いずれも耐候性鋼材そのものを改善したものではなく、安定錆の生成を促進するには問題がある。即ち、樹脂を塗装する方法では、通常、鋼材の表面には微小な欠陥が存在しているため、その欠陥個所において塗膜による効果が十分ではない。更に、塗膜欠陥部での腐食の進行が塗膜と素地との界面での隙間腐食を引き起こし、安定錆が生成するよりも先に、塗膜自体の剥離及び脱落が発生することもある。従って、塩分の飛来が避けられないような環境における耐候性鋼材の使用は制限をうけることになる。
【0007】
また、P及びCrは溶接性を著しく劣化させる元素であり、鋼材を現場溶接する機会が多い構造物、例えば橋梁等においては、耐候性鋼材の適用範囲が狭められることとなっている。
【0008】
このような耐候性鋼材の溶接に使用されるエレクトロガスアーク溶接用フラックス入りワイヤに関しても、その溶接金属部に鋼板と同様の課題があり、これまで実用化に至っていない。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、塩分の飛来が避けられない環境において使用される塗装鋼板の溶接に使用されても耐久性及び良好な溶接性を得ることができるエレクトロガスアーク溶接用フラックス入りワイヤを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るエレクトロガスアーク溶接用フラックス入りワイヤは、軟鋼製外皮中にフラックスを充填してなるエレクトロガスアーク溶接用フラックス入りワイヤにおいて、ワイヤ全重量に対して、C:0.02乃至0.10重量%、Si:0.10乃至1.00重量%、Mn:0.50乃至2.50重量%、P:0.02重量%以下、Cu:0.05乃至1.00重量%、Ni:0.05乃至6.0重量%、Cr:0.40重量%以下、Ti:0.05乃至0.50重量%、B:0.001乃至0.020重量%及びMg:0.10乃至0.50重量%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、前記不可避的不純物のうち、Sが0.02重量%以下に規制されており、フラックス充填率が20乃至30重量%であることを特徴とする。
【0011】
本発明においては、ワイヤに含有される化学成分及びその組成並びにフラックス充填率が適切に規定されているので、塩害環境下でも耐久性及び良好な溶接性が得られる。
【0012】
なお、Mo及びNb:総量で0.05乃至0.50重量%を含有することが望ましく、前記Crは0.05重量%以下であることが望ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本願発明者等が前記課題を解決すべく、鋭意実験研究を重ねた結果、ワイヤ中のCr添加量を可能な限り少なくし、塗装欠陥部における腐食促進要因を減じること、Crの代替となる安定錆生成促進元素を探索及び添加すること並びに塗装欠陥部でのpH低下を緩衝する作用を有する元素、即ち、微量溶解されることによりpHをアルカリ側へ高める作用を有する元素を探索及び添加することにより、エレクトロガスアーク溶接用フラックス入りワイヤの溶接金属の耐久性を向上させることができることを見い出した。
【0014】
一般に、鋼材の表面に緻密な安定錆層が生成すると、環境中に存在する水分、酸素又は塩素イオンといった腐食促進因子が物理的又は電気化学的作用により基材に到達し難くなるため、鋼材の腐食反応は遅延し、特別な防食処理を施すことなく腐食速度は無視できる程度まで減少することが知られている。耐候性鋼材はこのような緻密錆による自己防食作用を積極的に利用した鋼材である。
【0015】
具体的には、鋼にCr、Cu、Ni及びPといった生成錆の緻密化を促進する元素を微量添加することにより、耐候性鋼を得ることができる。即ち、耐候性鋼とは、裸材にて使用することによって、その作用効果を発現することができる鋼種である。しかし、前述のように、耐候性鋼が有する安定錆生成の促進作用は飛来塩分が無視できない塩害環境下では、その効果は十分には発揮されない。そこで、安定錆が生成するまでの期間、飛来塩分が鋼に到達することを回避する目的で鋼材の表面に薄い樹脂塗装を施すといった対応策が種々考案されているが、前述のように、塗装欠陥の問題があるために有効な対策とはなっていないのが実状である。
【0016】
そこで、本願発明者等は、塗装欠陥部における腐食機構を鋭意検討した結果、鋼の成分元素として含有されるCrが腐食因子として影響していることを見い出した。即ち、塗装欠陥において鋼が腐食反応を開始すると、鉄原子に伴い微量溶解するCrイオンはClイオンの作用も加わって欠陥内におけるpH低下の原因となり、欠陥内での凝集水分の酸化性を促進することにより、塗膜と素地との界面での隙間腐食を誘発する作用をもたらすことを見い出した。
【0017】
従って、このような腐食機構からの演繹により塩害地域における樹脂塗装耐候性鋼の耐久性向上のための成分設計の考えとして、前述のようなワイヤ中のCr添加量を可能な限り少なくし、塗装欠陥部における腐食促進要因を減じること、Crの代替となる安定錆生成促進元素を探索及び添加すること並びに塗装欠陥部でのpH低下を緩衝する作用を有する元素を探索及び添加することの3つの視点が重要となるのである。
【0018】
Crの代替元素に関し、樹脂塗膜が形成されている場合、塗膜健全部では、塗膜による遮蔽効果により塩分は鋼に到達することが困難となる。また、塗膜欠陥部においても、欠陥(傷)が十分に小さい場合には、塗膜の厚さが物理的な障壁となって飛来塩分は素地には到達しにくくなる。従って、塗膜欠陥内部における著しいpH低下を抑制し、成分元素のコントロールができれば、塩害環境下においても、長寿命の塗装鋼材が得られるものと考えられる。
【0019】
このような条件を満たせば、塗膜欠陥下にて鋼材は安定錆を形成することができるが、表面を被覆する被覆材については、経済性、施工性及び簡便さ等から最も一般的な有機樹脂系の塗装が施されたものが望ましい。ポリエステル系、エポキシ系、ウレタン系等の鋼材の表面を被覆できるものであれば、あらゆる樹脂が塗装可能であるが、本願発明者等の実験により、ブチラール樹脂が、強靱で撓み性及び大きな衝撃強さを有し金属との接着性が優れるので、最も好適な樹脂である。
【0020】
以下、本発明に係るエレクトロガスアーク溶接用フラックス入りワイヤに含有される化学成分及びその組成限定理由等について説明する。
【0021】
C:0.02乃至0.10重量%
Cは溶接金属の強度を確保するための元素である。ワイヤ中のC含有量が0.02重量%未満であると、焼入れ性が不足し強度の確保が困難となる。一方、C含有量が0.10重量%を超えると、スパッタ発生量が増大すると共に、強度が過多となり耐割れ性が劣化する。従って、ワイヤ中のC含有量は0.02乃至0.10重量%とする。
【0022】
Si:0.10乃至1.00重量%
Siは安定錆の生成を促進し耐食性を向上させる効果を有する元素である。ワイヤ中のSi含有量が0.10重量%未満であると、耐食性向上の効果が得られず、また、延性が不足する。一方、Si含有量が1.00重量%を超えると、強度過多となって靱性及び耐割れ性が劣化する。従って、ワイヤ中のSi含有量は0.10乃至1.00重量%とする。
【0023】
Mn:0.50乃至2.50重量%
Mnは溶接金属の強度を確保するための元素である。ワイヤ中のMn含有量が0.50重量%未満であると、焼入れ性が不足し強度の確保が困難となる。一方、Mn含有量が2.50重量%を超えると、強度過多となって靱性及び耐割れ性が劣化する。また、MnSの生成が促進されて耐食性の劣化を招く虞がある。従って、ワイヤ中のMn含有量は0.50乃至2.50重量%とする。
【0024】
P:0.02重量%以下
Pは安定錆層の生成を促進するため、従来の裸仕様を主とした耐候性鋼に必須の元素である。しかし、ワイヤ中のP含有量が0.02重量%を超えると、耐割れ性及び靱性が劣化する。従って、ワイヤ中のP含有量は0.02重量%以下とする。
【0025】
Cu:0.05乃至1.00重量%
Cuは電気化学的にFeより貴な元素であり、生成錆を緻密化して安定錆の生成を促進する作用を有する。ワイヤ中のCu含有量が0.05重量%未満であると、上述のような耐食性向上の効果が得られない。一方、Cu含有量が1.00重量%を超えると、それ以上添加してもそれ以上の効果は得られず無駄である。却って、Cu割れが引き起こされる虞がある。従って、ワイヤ中のCu含有量は0.05乃至1.00重量%とする。
【0026】
Ni:0.05乃至6.0重量%
NiはCuと同様に耐食性を向上させる元素である。ワイヤ中のNi含有量が0.05重量%未満であると、耐食性向上の効果が得られない。一方、Ni含有量が6.0重量%を超えると、耐食性向上の効果が飽和する一方で、強度過多となって靱性が劣化する虞がある。従って、ワイヤ中のNi含有量は0.05乃至6.0重量%とする。
【0027】
Cr:0.40重量%以下
Crは安定錆層の生成を促進するため、従来の裸仕様を主とした耐候性鋼に必須の元素である。しかし、ワイヤ中のCr含有量が0.40重量%を超えると、前述のように、塗膜欠陥部におけるpH低下の原因となり、凝集水分の酸化性を促進することにより、塗膜と素地との界面での隙間腐食を誘発する。従って、ワイヤ中のCr含有量は0.40重量%以下とする。鋼材が現場溶接される機会が多い構造物、特に橋梁等の構造物において広い適用範囲を確保するために、ワイヤ中のCr含有量は0.05重量%以下であることが望ましい。
【0028】
Ti:0.05乃至0.50重量%
TiはCrの代替元素として耐候性を確保するために必須の元素である。また、Cr、Cu及びNiと同様に、生成錆を緻密化し安定錆層の生成を促進する有益な作用を有すると共に、極めて優れた耐食性を有する。更に、鋼の清浄化という利点をも併せ持つ元素である。ワイヤ中のTi含有量が0.05重量%未満であると、耐食性向上の効果を得ることはできるものの、後述のBとの複合添加による靱性を強化させる作用が働かず、靱性の確保が困難となる。一方、Ti含有量が0.50重量%を超えると、上記の効果は飽和して無駄となり、経済的に好ましくない。また、強度過多となって耐割れ性が劣化する。従って、ワイヤ中のTi含有量は0.05乃至0.50重量%とする。
【0029】
B:0.001乃至0.020重量%
BはTiとの複合添加により靱性を強化させる元素である。ワイヤ中のB含有量が0.001重量%未満であると、靱性を強化させる効果が得られない。一方、B含有量が0.020重量%を超えると、強度過多となって靱性及び耐割れ性が劣化する虞がある。従って、ワイヤ中のB含有量は0.001乃至0.020重量%とする。
【0030】
Mg:0.10乃至0.50重量%
Mgは脱酸性を有する元素である。ワイヤ中のMg含有量が0.10重量%未満であると、脱酸効果が認められず、靱性の確保が困難となる。一方、Mg含有量が0.50重量%を超えると、スパッタ発生量が増加して作業性が劣悪となる。従って、Mg含有量は0.10乃至0.50重量%とする。
【0031】
S:0.02重量%以下
Sは腐食の起点となるMnS及びFeSの生成に寄与する元素である。ワイヤ中のS含有量が0.02重量%を超えると、靱性及び耐割れ性が劣化して耐久性が低下する。従って、ワイヤ中のS含有量は0.02重量%以下に規制する。
【0032】
Mo及びNb:総量で0.05乃至0.50重量%
Mo及びNbは強度を向上させる元素である。ワイヤ中のMo及びNbの含有量が総量で0.05重量%未満であると、強度向上の効果が低い。一方、Mo及びNbの含有量が総量で0.50重量%を超えると、強度が過剰となる虞がある。従って、ワイヤ中のMo及びNbの含有量は総量で0.05乃至0.50重量%であることが望ましい。
【0033】
フラックス充填率:20乃至30重量%
フラックス充填率が20重量%未満であると、電流密度が低くなって作業能率を向上させることができない。一方、フラックス充填率が30重量%を超えると、製造時に断線が生じて生産性が低下する。従って、フラックス充填率は20乃至30重量%とする。
【0034】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、その特許請求の範囲から外れる比較例と比較して具体的に説明する。
【0035】
先ず、下記表1に示す組成を有する3種の鋼板を下記表2乃至7に示す組成を有するワイヤを使用して下記表8に示す溶接条件によって溶接した。
【0036】
図1は試験片を示す模式図である。溶接後、図1に示すように、厚さが2mm、一辺の長さが25mmの正方形板状の試験片をブチラール樹脂と組み合わされた溶接金属から鋼板に平行に切り出した。そして、各試験片の樹脂塗装面1にカッタナイフでクロスカット2を人工塗膜欠陥として形成し、促進試験及び大気暴露試験により試験片の長期耐久性を評価した。なお、溶接金属への塗装処理としては、いずれの塗料系の場合も、下地処理としてサンドブラスト処理した後、スプレー塗装にて厚さ10μmまで塗装した。
【0037】
促進試験においては、先ず、オープンフレームのカーボンアーククランプ照射(JIS K 7350)、塩水浸漬及び恒温恒湿での保持の3工程からなる複合サイクル試験を行った。なお、塩水には、濃度が0.1重量%、0.5重量%、3.0重量%である3種を使用した。また、恒温恒湿での保持における温度は65℃であり、相対湿度は95%である。そして、60サイクル後に外観及びクロスカット2からの塗膜下腐食の広がり幅を評価した。
【0038】
大気暴露試験においては、試験片を南向き、水平に対して30゜傾斜させて設置し、週に1回0.1重量%塩水の散布を行いながら、1年間大気に暴露した。そして、促進試験と同様に、外観及びクロスカット2からの塗膜下腐食の広がり幅を評価した。
【0039】
なお、クロスカット2からの塗膜下腐食の広がり幅の評価においては、広がり幅を8点で測定し、その平均値により評価を行った。
【0040】
また、外観評価のレイティングナンバ(RN)では、外観が最も良好な場合を10とし、損傷が大きくなるに従って数値を下げ、最も損傷が大きい場合(全面腐食)を1とした。
【0041】
そして、極めて良好な場合を◎、良好な場合を○、やや良好の場合を△、不良の場合を×として評価した。この結果を下記表9乃至14に示す。
【0042】
【表1】
Figure 0003780444
【0043】
【表2】
Figure 0003780444
【0044】
【表3】
Figure 0003780444
【0045】
【表4】
Figure 0003780444
【0046】
【表5】
Figure 0003780444
【0047】
【表6】
Figure 0003780444
【0048】
【表7】
Figure 0003780444
【0049】
【表8】
Figure 0003780444
【0050】
【表9】
Figure 0003780444
【0051】
【表10】
Figure 0003780444
【0052】
【表11】
Figure 0003780444
【0053】
【表12】
Figure 0003780444
【0054】
【表13】
Figure 0003780444
【0055】
【表14】
Figure 0003780444
【0056】
上記表9乃至14に示すように、実施例No.1乃至37においては、ワイヤの化学成分及び充填率が本発明範囲内であるので、良好な耐候性、強度及び溶接性が得られた。
【0057】
一方、比較例No.38においては、C含有量が本発明範囲の下限未満であるので、強度が不足した。比較例No.39においては、C含有量が本発明範囲の上限を超えているので、スパッタ量が多く高温割れが発生した。
【0058】
比較例No.40においては、Si含有量が本発明範囲の下限未満であるので、延性が不足した。比較例No.41においては、Si含有量が本発明範囲の上限を超えているので、高温割れが発生した。
【0059】
比較例No.42においては、Mn含有量が本発明範囲の下限未満であるので、強度が不足した。比較例No.43においては、Mn含有量が本発明範囲の上限を超えているので、高温割れが発生した。
【0060】
比較例No.44においては、P含有量が本発明範囲の上限を超えているので、高温割れが発生した。比較例No.45においては、S含有量が本発明範囲の上限を超えているので、同様に、高温割れが発生した。
【0061】
比較例No.46においては、Cu含有量が本発明範囲の下限未満であるので、耐食性が著しく低かった。比較例No.47においては、Cu含有量が本発明範囲の上限を超えているので、Cu割れが発生した。
【0062】
比較例No.48においては、Ni含有量が本発明範囲の下限未満であるので、耐食性が低かった。比較例No.49においては、Ni含有量が本発明範囲の上限を超えているので、靱性が不足して衝撃値が低くなった。
【0063】
比較例No.50においては、Cr含有量が本発明範囲の上限を超えているので、耐食性が著しく低かった。
【0064】
比較例No.51においては、Ti含有量が本発明範囲の下限未満であるので、靱性が不足して衝撃値が低くなった。比較例No.52においては、Ti含有量が本発明範囲の上限を超えているので、高温割れが発生した。
【0065】
比較例No.53においては、B含有量が本発明範囲の下限未満であるので、靱性が不足して衝撃値が低くなった。比較例No.54においては、B含有量が本発明範囲の上限を超えているので、高温割れが発生した。
【0066】
比較例No.55においては、Mg含有量が本発明範囲の下限未満であるので、脱酸不足により靱性が不足して衝撃値が低くなった。比較例No.56においては、Mg含有量が本発明範囲の上限を超えているので、スパッタ発生量が多かった。
【0067】
比較例No.57においては、フラックス充填率が本発明範囲の下限未満であるので、作業能率が低いと共に、スパッタ発生量が多かった。比較例No.58においては、本発明範囲の上限を超えるフラックス充填率のワイヤを製造しようとしたが、製造できなかった。
【0068】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、ワイヤに含有される各成分の含有量及びフラックス充填率を適正な値に規定しているので、塩分の飛来が避けられない環境下で使用される塗装鋼板等の耐候性鋼材の溶接に使用されても十分な耐久性及び良好な溶接性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験片を示す模式図である。
【符号の説明】
1;樹脂塗装面
2;クロスカット

Claims (3)

  1. 軟鋼製外皮中にフラックスを充填してなるエレクトロガスアーク溶接用フラックス入りワイヤにおいて、ワイヤ全重量に対して、C:0.02乃至0.10重量%、Si:0.10乃至1.00重量%、Mn:0.50乃至2.50重量%、P:0.02重量%以下、Cu:0.05乃至1.00重量%、Ni:0.05乃至6.0重量%、Cr:0.40重量%以下、Ti:0.05乃至0.50重量%、B:0.001乃至0.020重量%及びMg:0.10乃至0.50重量%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、前記不可避的不純物のうち、Sが0.02重量%以下に規制されており、フラックス充填率が20乃至30重量%であることを特徴とするエレクトロガスアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
  2. Mo及びNb:総量で0.05乃至0.50重量%を含有することを特徴とする請求項1に記載のエレクトロガスアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
  3. 前記Crは0.05重量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のエレクトロガスアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
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