JPH11172370A - 高溶接性高耐候性鋼 - Google Patents
高溶接性高耐候性鋼Info
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- JPH11172370A JPH11172370A JP10102541A JP10254198A JPH11172370A JP H11172370 A JPH11172370 A JP H11172370A JP 10102541 A JP10102541 A JP 10102541A JP 10254198 A JP10254198 A JP 10254198A JP H11172370 A JPH11172370 A JP H11172370A
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Abstract
を示し、溶接用鋼として十分な母材強度・靭性および溶
接性を有する鋼材の提供する。 【解決手段】 重量%で、C:0.03〜0.15%、
Si:0.05〜0.55%、Mn:0.3〜2.0
%、Cu:0.30〜1.00%、Ni:1.0〜5.
5%、Al:0.010〜0.090%、N:0.00
10〜0.0070%、P:0.030%以下、S:
0.010%以下、Cr:0.1%以下を含有し、残部
がFeおよび不可避的不純物からなり、必要に応じて、
Ti,Ca,Mg,REM,Mo,W,Nb,V,Bの
1種以上を含有することを特徴とする高溶接性高耐候性
鋼。
Description
を散布する地区など、高飛来海塩粒子環境で塩害が懸念
される大気環境における橋梁、鉄塔などの鋼構造物など
に使用される、優れた溶接性と環境の飛来海塩粒子量に
応じた耐候性を有する鋼材に関するものである。
所で使用する鋼構造部材の防食としては、普通鋼材の塗
装使用、めっき鋼板の使用、溶射やモルタルライニング
などの表面被覆の使用、ステンレスやチタンなどの高合
金高耐食材料の使用が挙げられる。さらに、鋼構造物の
維持管理費を低減する技術として、耐候性鋼材(JIS
G3141溶接構造用耐候性鋼)の無塗装使用が挙げら
れる。
めに維持管理費がかかるといった問題があった。また、
めっきの場合、構造体の溶融めっきでは熱応力による変
形やめっきの剥離などといった問題があった。溶射やモ
ルタルライニングの場合も、防食皮膜の剥離や劣化など
が問題であった。さらに高合金の耐食材料の場合、材料
コストが高く主要構造部材として広く使えないといった
問題があった。
数年〜10年で鋼材表面に防食性に優れた緻密な安定さ
びが形成し、この安定さびがその後の鋼材の腐食の進行
を防ぐという鋼材である。鋼構造物には、溶接性を考慮
した耐候性溶接構造用鋼が、橋梁や建築物を中心にこれ
まで多く使用されてきた。しかしながら、「無塗装耐候
性橋梁の設計・施工要領(改訂案):建設省土木研究
所、鋼材倶楽部、日本橋梁建設協会、平成5年3月」に
示されるように、海浜地区や融雪塩を散布する地区など
飛来海塩粒子量が多い地域では、鋼材表面に付着した塩
分によって保護性に優れた安定さびの形成が阻害される
ため、無塗装使用に適さないといった問題点があった。
については、例えば特公昭56−9356号公報の発明
では、含P(0.03〜0.20%)で溶接性に優れ、
かつ海水が関与した腐食環境や一般大気環境で優れた耐
候性を有する鋼材が開示されている。また、特開平2−
125839号公報に記載の発明では、低Si−P−C
u−Niの複合添加にCaとAlの複合酸化物の添加が
有効であるとしている。また、特開平5−51668号
公報の発明では、酸化物を鋼材中に微細分散させて鋼材
表面のpH低下を抑制することが有効であるとしてい
る。また、特開平7−242993号公報に記載の発明
では、Ni−Cr−Alの複合添加が有効であるとして
いる。
海浜地区での耐候性が優れた鋼材は開発されているが、
溶接構造用鋼材として必須である溶接性は、必ずしも十
分ではなかった点が問題であった。また、特開平2−1
25839号公報に記載の発明および特開平5−516
68号公報に記載の発明は、いずれも数%のNi添加鋼
を基本成分とした発明であるが、これらの鋼材は海浜地
区での耐候性は優れているものの、飛来海塩粒子量の適
用限界が不明であったため、実構造物への適用可否を判
断することが難しいといった課題があった。また、発明
者らによる研究調査の結果、例えば特公昭56−935
6号公報の発明では、含P(0.03〜0.20%)の
鋼材でも、溶接継手部の機械的特性に一定以上の品質を
求める場合、溶接時の入熱制限や予熱などが不可欠であ
るといった問題点があった。
が、溶接性を改善した鋼材としては、例えば特公昭60
−24576号公報の発明では、Mn等を基本成分とし
て含有する鋼に、粒子径を特定したTi酸化物、Ti酸
化物とTi窒化物の複合体を含有させることにより、溶
接熱影響部における切欠靭性を改善した溶接用高靭性鋼
が得られるとしている。また、特公昭61−11724
5号公報の発明では、特定量のC,Si,Mn,P,
N,Al,S,Bを含有させ、かつ特定粒子径、特定粒
子数のTi酸化物およびTi窒化物+MnSの複合体の
両者を同時に含有させることにより、溶接熱影響部の低
温切欠靭性の優れた鋼材を得られるとしている。
びTiを添加している場合でも、鋼材の海浜地区での耐
候性能およびその性能に基づく用途については一切述べ
られていない。また、使用される環境の飛来海塩粒子量
に応じて、好ましいNi添加量の範囲が異なることにつ
いても述べられていない。それゆえ、これらの溶接性に
優れた鋼板を海浜地区での無塗装使用に適用するために
は、海浜地区での耐候性に及ぼす化学成分の影響を改め
て別途に検討する必要があった。
されたもので、塩害が懸念される環境で安定さびを形成
して優れた耐候性を示し、かつ溶接構造用鋼として十分
な母材強度、靭性および溶接性を有する鋼材を提供する
ものである。
が飛来海塩粒子の多い大気環境で、耐食性に優れた保護
さび膜を形成しにくいことに着目し、従来の耐候性鋼の
低合金鋼の成分系を基にして研究を重ねてきた。その結
果、飛来海塩粒子の少ない内陸部においては鋼材の耐候
性向上に有効であるCrは、海浜地区や融雪塩を散布す
る地区などの高飛来海塩粒子環境では、耐候性に対して
顕著な悪影響があることが判明した。
の検討を実施した結果、Cu−1%以上のNiの複合添
加が海浜地区での安定さび生成に顕著に作用することが
明らかになった。さらに、Cu−Ni系の適用限界(安
定さびが十分形成する上限の年平均飛来海塩粒子量)
は、Ni添加量でほぼ整理できることが判明した。Ni
は高価な添加元素であることから、この知見によって腐
食環境の厳しさに応じて最も経済性に優れた鋼材を提供
することが可能となった。
討した。一般に、C,P,Sを低減し、Si,Mnおよ
びAlで脱酸を行うことで、母材の強度、靭性に優れた
鋼材が得られるという知見を利用した。さらに、Niを
1%以上添加する本発明鋼の場合でも、耐候性向上を目
的としてTiを添加することが好ましい。この場合、添
加するTiに対してN含有量を制御することにより、フ
ェライト相中にTiNを微細分散析出することができ、
入熱量の大きい溶接条件で生じる溶接熱影響部の靭性劣
化を低減することができることが判明した。
溶射などの防食被覆された状態でも、普通鋼や従来の耐
候性鋼に比較して、遥かに優れた皮膜耐久性を有するこ
とが判明した。これは、皮膜の局所的な欠陥部から下地
鋼板の腐食が進行しても、生成したさびが緻密で保護性
に優れるため、防食皮膜の更なる剥離や皮膜下腐食の進
展を抑制するものと推察される。
その要旨は下記の通りである。 (1)重量%で、 C :0.03〜0.15%、 Si:0.05〜0.55%、 Mn:0.3〜2.0%、 Cu:0.30〜1.00%、 Ni:1.0〜5.5%、 Al:0.010〜0.090%、 N :0.0010〜0.0070%、P:0.030%以下、 S :0.010%以下、 Cr:0.1%以下 を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるこ
とを特徴とする高溶接性高耐候性鋼。 (2)さらに重量%で、Ti:0.005〜0.02%
を含み、Ti/N:2.0〜3.5であることを特徴と
する前記(1)記載の高溶接性高耐候性鋼。 (3)さらに重量%で、Ca:0.0005〜0.01
00%、Mg:0.0005〜0.0100%、RE
M:0.0005〜0.0100%の1種または2種以
上を含むことを特徴とする前記(1)または(2)記載
の高溶接性高耐候性鋼。 (4)さらに重量%で、Mo:0.1〜1.0%、W:
0.1〜1.0%の1種または2種を含むことを特徴と
する前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の高溶接性
高耐候性鋼。 (5)さらに重量%で、Nb:0.002〜0.020
%、V:0.01〜0.05%、B:0.0003〜
0.0050%のうち1種または2種以上を含むことを
特徴とする前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の高
溶接性高耐候性鋼。 (6)表面が有機樹脂、金属または無機物で被覆された
ことを特徴とする前記(1)乃至(5)のいずれかに記
載の高溶接性高耐候性鋼。
いて説明する。まず、本発明の鋼における化学組成の限
定理由とその作用について述べる。C:Cは、構造材料
としての強度を確保するために必要であり、0.03%
以上添加するが、0.15%を超えて含まれると溶接継
手部のマトリックスの靭性が低下し、溶接性が阻害され
るため、その上限を0.15%とした。
0.05%以上添加するが、0.55%を超えて添加す
ると、溶接部に高炭素島状マルテンサイトが生成し、溶
接性が阻害されるため、その上限を0.55%とした。
であるSをMnSとして固定し、Sによる熱間脆性の防
止、および後述するTiNの微細分散析出サイトである
MnSの生成のために0.3%以上添加するが、2.0
%を超えて添加すると溶接性が阻害されるので、その範
囲を0.3〜2.0%とした。
層の形成時にさび粒子の結晶・粗大化を抑制し、さびの
緻密さを保持するため、飛来海塩粒子の多い環境での耐
候性を向上させるのに必須の元素であり、0.30%以
上の添加で有効である。その効果は多いほどよいが、
1.0%を超えると溶接性低下や熱間加工における割れ
が問題となるので、その範囲を0.3〜1.0%とし
た。溶接性を優先的に考慮すれば、0.30〜0.50
%が好ましい。
まれると鋼中Feと共に溶出し、さび層中にほぼ均一に
含まれることにより、さび層表面に飛来海塩粒子として
付着したClイオンのさび層/地鉄界面への浸透を抑制
し、さび層内部を低Cl環境としてさび粒子の結晶化・
粗大成長を抑制することにより、さび層の緻密さを保持
する作用がある。また、鋼中Ni添加量の増加に従っ
て、Clイオンを含む水溶液中での乾湿繰り返し腐食環
境で鋼材の耐食性を向上する。本発明者らの研究によれ
ば、さび層中に0.5%以上Niが含まれるためには、
1.0%以上のNi添加が有効であることが明らかとな
った。また、5.5%を超えるとコスト高となるので、
1.0%〜5.5%とした。好ましくは、使用環境の飛
来海塩粒子量に応じてNi添加量をさらに限定すれば、
経済性、溶接性共に好ましいことが明らかとなった。使
用環境の年平均飛来海塩粒子量が、0.05〜0.2mg
/100cm2 /dayの場合、1.0〜2.5%のNi添加
が好ましい。0.2〜0.5mg/100cm2 /dayの場
合、2.5〜3.5%のNi添加が好ましい。0.5〜
0.8mg/100cm2 /dayの場合、2.5〜5.5%の
Ni添加が好ましく、0.8mg/100cm2 /dayを超え
る場合、1.0%〜3.5%のNi添加鋼への塗装など
の防食被覆使用が好ましい。
以上必要であるが、添加量が多いと介在物が増加するた
め、上限を0.090%とする。
定量以上かつNと一定の割合の範囲でTiとNが同時に
含まれる場合、TiNとしてフェライト相中に微細分散
析出し、鋼中のCuおよびNiがFeと共に均一に溶出
する反応を促進し、Clイオンの浸透を抑制する緻密な
さび層の形成を助長する。この効果を得るには0.00
10%以上のNと0.0050%以上のTi添加が必要
である。また、0.02%超のTi、または0.007
0%超のNを添加すると、粗大な析出物の析出が起こ
り、靭性を劣化させるのでTi,Nの範囲をそれぞれ
0.005〜0.02%、0.0010〜0.0070
%とした。
N粒子が十分フェライト相中に析出せず、3.5を超え
る場合、TiN粒子の粗大凝集が生じて微細、分散状態
が得られず、耐候性および溶接性の向上が得られないた
め、Ti/Nの範囲を2.0〜3.5とした。
であるが,0.030%を超えて含まれると溶接性が劣
化するので、その範囲を0.030%以下とした。特に
大入熱溶接特性を十分確保する場合、0.005%以下
が好ましい。
不可避的不純物であり、少ないほど好ましい。特に0.
01%を超えて含まれると介在物が増加すると共に、継
手部フェライト相の靭性を著しく劣化させるので、その
範囲を0.01%以下とした。十分な耐候性を確保する
ためには、0.005%以下が好ましい。
数%の添加では海塩粒子の多い環境中での耐候性を阻害
するほか、溶接性を阻害するため、少なければ少ないほ
どよい。0.1%以下であれば、耐候性や溶接性への阻
害作用はほぼ無視できるので、その範囲を0.1%以下
とした。
て添加するものであり、これらを添加すると、鋼中に酸
化物または硫化物として存在し、地鉄から溶出すること
により、Ca(OH)2 やMg(OH)2 などを形成し
て、さびコロイド粒子生成初期の成長を抑制するため、
さび粒子の微細析出、凝集を促進する。その効果は0.
0005%以上の添加で有効であり、0.0100%で
飽和するので、それらの元素の範囲を0.0005%〜
0.0100%とした。
のであり、介在物の形態を制御して板厚方向の引張特性
を改善し、ラメラーティアの軽減や低温靭性の向上に有
効である。このために0.0005%以上含有するが、
添加量が多すぎると介在物が増加するため、上限を0.
0100%とした。
0.1%以上添加すると地鉄から溶出したのち、モリブ
デン酸およびタングステン酸を生成し、さび粒子表面に
吸着して凝集したさび粒子間で生じた空隙を負電荷過剰
として、Clイオンや硫酸イオンなどの陰イオンの地鉄
界面への浸透を抑制し、耐候性または安定さびを形成す
る限界飛来海塩粒子量をさらに向上させる作用がある
が、その効果は1.0%で飽和する。それゆえ、耐候性
の向上を優先する場合には、0.1〜1.0%が好まし
い。
あり、厚手材、高強度材などに対して0.02%以上添
加するが、0.20%を超えて添加すると溶接継手部に
上部マルテンサイトや島状マルテンサイトなどを生成し
て、継手靭性を著しく低下する。それゆえ、溶接性を十
分に確保する場合は、0.020〜0.20%が好まし
い。
を上昇させる効果があり、厚手材、高強度材に対して、
Nbは0.002%以上、Vは0.01%以上、Bは
0.0003%以上添加するが、いずれの元素も次の範
囲を超えて添加すると靭性が劣化するため、Nb:0.
02%以下、V:0.05%以下およびB:0.005
0%以下と限定した。
装、金属溶射、またはめっきを施して、塩害が懸念され
る大気環境で使用した場合、普通鋼や従来の耐候性鋼に
同様の防食被覆を施した場合に比べて遥かに優れた耐候
性、耐久性を示す。有機樹脂としては、エポキシ樹脂
系、フタル酸系、ウレタン樹脂系、ビニルブチラール樹
脂系およびその他の樹脂系でいずれも塗装耐久性が向上
する。
Alめっきおよび溶射などで優れた耐候性を示す。いず
れの場合も、被覆層の微視的あるいは巨視的な欠陥から
地鉄の腐食が進行した際、Ni,Cuなどを含有した緻
密なさび層が形成され、それ以降の腐食の進展を抑制す
る。また、特開昭53−65232号公報、特開昭55
−97477号公報および特開昭55−97478号公
報などに開示されている耐候性鋼の初期さび汁流出防止
技術としてのさび安定化処理皮膜を本発明鋼に塗布する
ことにより、高海塩粒子環境でも初期さび汁を防止しな
がら、安定さびが形成される。
す化学組成の鋼を溶製し、熱間圧延および必要に応じて
熱処理を施して厚さ25mmの厚鋼板を試作した。中入熱
溶接(50kJ/cm)および大入熱溶接(120kJ/cm)
で実継手を製作し、溶接継手部の靭性を−40℃でのシ
ャルピー衝撃試験の吸収エネルギーで評価した。
を評価するために、千葉県富津市臨海部の4カ所で暴露
試験を1,3,7年実施した。なお、その暴露地点は、
離岸距離(平均飛来海塩粒子量)が各々地点V:5m
(1.3mdd)、地点W:50m(0.8mdd)、
地点X:200m(0.5mdd)、地点Y:800m
(0.2mdd)とした。
子量を次の評価で求めた。すなわち、さびの外観評点評
価、さびのイオン透過抵抗測定、腐食量から求めた平均
板厚減少量の3項目である。
1〜4で評価し、4が最も良く、安定さび形成を示し、
1が層状の剥離錆が認められ、さびの安定化および腐食
進展の防止が期待できない状態を示すという指標により
評価を行った。
ピーダンス法によるさびのイオン透過抵抗値を測定し、
3kΩ以上で緻密な安定さび形成と判断した。平均板厚
減少量は、4カ所での腐食量−時間曲線から50年後の
推定板厚減少量を、平均板厚減少量と時間の両対数プロ
ット上で外挿して求め、無塗装橋梁使用の基準である腐
食量0.4mm/50年を無塗装使用可否の目安として、
4カ所の暴露試験結果から適用限界飛来海塩粒子量を求
めた。
に、試作鋼の特性値、すなわち溶接性および海浜地区で
の耐候性を示す。表中、さび評点、イオン透過抵抗値
は、4カ所のうち飛来海塩粒子量が最も少ない地点Yに
おける評価結果である。
i,Mn,P,Cu,Ni,Al,Ti,Nが過剰のた
め継手靭性値が低く、大入熱溶接性が悪い。また、比較
例C1〜C7は、C,S,Cu,Ni,Crが本発明の
範囲外のため、本発明例と比較すると耐候性が不十分で
ある。比較例C8は、従来の耐候性鋼(JIS G31
41 溶接構造用耐候性鋼板 SMA490)である
が、地点V〜Yの4カ所の中で最も飛来海塩粒子量が少
ない地点Yでも安定さびが形成されず、無塗装使用に適
さないことがわかる。
ずれの試作鋼も地点Yの環境では、さび評点、イオン透
過抵抗および50年後の推定腐食量は、いずれの評価に
おいても優れた耐候性を有することがわかる。また、4
カ所の暴露試験結果から推定した限界海塩粒子量は、N
i添加量でほぼ分類できることがわかる。すなわち、環
境の年平均飛来海塩粒子量が (1)0.05〜0.2mg/100cm2 /dayの場合、
1.0〜2.5%Ni添加が好ましい。 (2)0.2〜0.5mg/100cm2 /dayの場合、2.
5〜3.5%Ni添加が好ましい。 (3)0.5〜0.8mg/100cm2 /dayの場合、2.
5〜5.5%Ni添加が好ましい。
施し、表面にカッタナイフで1片70mmのクロスカット
傷をつけて地点V(年平均飛来海塩粒子量1.3md
d)に5年間暴露し、クロスカットからの最大塗膜膨れ
幅(塗膜下腐食の最大進展幅)を評価して、塗装した試
作鋼の当該環境における耐候性の評価を示した。
ある比較例C1〜C8に塗装した供試材は、いずれも最
大膨れ幅が最小のものでも32mmであり、本発明例D1
〜D40に塗装した供試材は、最大のものでも14mmで
あることから、本発明鋼が塗装を施して使用しても、優
れた耐候性を有することがわかる。
明は海浜地区や融雪塩の散布などにより塩害が懸念され
る地区における橋梁、鉄塔をはじめとする鋼構造物に対
して、構造用鋼材として必須特性である溶接性と高飛来
海塩粒子でも安定したさびを形成して優れた耐候性を共
に有する鋼材を提供するものであり、また、無塗装使用
および塗装使用においても優れた耐候性を有することか
ら、いずれの使用方法でも鋼構造物の維持管理費の低減
を可能とする。産業上その効果は極めて顕著である。
Claims (6)
- 【請求項1】 重量%で、 C :0.03〜0.15%、 Si:0.05〜0.55%、 Mn:0.3〜2.0%、 Cu:0.30〜1.00%、 Ni:1.0〜5.5%、 Al:0.010〜0.090%、 N :0.0010〜0.0070% を含有し、さらに不可避的に、 P :0.030%以下、 S :0.010%以下、 Cr:0.1%以下 を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなること
を特徴とする高溶接性高耐候性鋼。 - 【請求項2】 請求項1に記載の鋼に、さらに重量%
で、 Ti:0.005〜0.02% を含有し、かつTiとNの比が2.0≦Ti/N≦3.
5であることを特徴とする高溶接性高耐候性鋼。 - 【請求項3】 請求項1または2に記載の鋼に、さらに
重量%で、 Ca:0.0005〜0.0100%、 Mg:0.0005〜0.0100%、 REM:0.0005〜0.0100% の1種または2種以上を含むことを特徴とする高溶接性
高耐候性鋼。 - 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の
鋼に、さらに重量%で、 Mo:0.1〜1.0%、 W :0.1〜1.0% の1種または2種を含むことを特徴とする高溶接性高耐
候性鋼。 - 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の
鋼に、さらに重量%で、 Nb:0.002〜0.020%、 V :0.01〜0.05%、 B :0.0003〜0.0050% の1種または2種以上を含むことを特徴とする高溶接性
高耐候性鋼。 - 【請求項6】 表面に有機樹脂、金属または無機物の防
食被覆を有することを特徴とする請求項1乃至5のいず
れか1項に記載の高溶接性高耐候性鋼。
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