JP5044874B2 - 防食性に優れた塗装鋼材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、厚鋼板,薄鋼板,棒鋼,形鋼等の鋼材に塗装を施した塗装鋼材に関し、特に優れた防食性を長時間維持できる塗装鋼材に関する。
【0002】
【従来の技術】
厚鋼板,薄鋼板,棒鋼,形鋼等の鋼材は、橋梁,建物等の鋼建築物、鉄塔,タンク等の鋼構造物、あるいはクレーン,輸送機械等の産業機械の素材として広く使用されている。これらの鋼材は、強度が高くかつ加工性に優れているばかりでなく、安価で入手しやすいという利点を有しており、このような特徴が要因となって鋼建築物,鋼構造物や産業機械に使用されるのである。
【0003】
しかしながら、鋼材は大気に曝されると腐食が容易に進行するので、鋼建築物,鋼構造物や産業機械の素材として鋼材を使用する場合は、腐食を防止しなければならない。そこで従来から鋼材の腐食を防止するために、種々の技術が実用化されている。
たとえば、鋼材にP,Cu,Cr,Ni等の合金元素を添加して、耐食性を向上した耐候性鋼が実用化されている。耐候性鋼は、大気と接触することによって、酸素や水分等の腐食因子を通しにくい錆(いわゆる安定錆)を鋼材表面に形成して、腐食の進行を抑制するものである。したがって鋼建築物あるいは鋼構造物に耐候性鋼を使用する場合は、防錆剤を塗装する必要はない。
【0004】
しかし、建設省から耐候性鋼の適用指針「耐候性鋼材の橋梁への適用に関する共同研究報告書(XX),1993,3, 建設省土木研究所,(社)鋼材倶楽部,(社)日本橋梁建設協会発行」が公表され、飛来塩分量が0.05mg/dm2 /day 以上の地域(すなわち海岸地帯)では、従来の耐候性鋼(JIS規格 G3144:溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材)は、無塗装では使用できないことになっている。
【0005】
さらに、海水からの飛来塩分量の少ない山間部でも、冬季に路面の凍結を防止するために融雪塩を散布する環境では、耐候性鋼であっても著しく腐食し、安定錆が形成されないので、無塗装では使用できない。
また安定錆が形成される環境においても、安定錆が形成されるには数年を要する。しかも安定錆が形成されるまでの間は、錆汁と呼ばれる流れ錆が発生する。錆汁は赤褐色で、かつその生成過程が不均一であるからムラを生じて、外観を損なう要因になる。
【0006】
一方、塗料や防錆剤等の塗装による防食技術は、簡便な手段で鋼材の腐食を防止できるという利点がある。しかし塗装によって鋼材の表面に形成される塗膜の防食効果は、時間の経過とともに劣化する。したがって塗膜の防食効果が失われた場合や、外観が損なわれた場合には、塗り替えを行なって塗膜を新たに形成する必要がある。
【0007】
近年、塗膜の耐久性を向上する技術として、フッ素樹脂を用いた耐久性のある塗料(すなわち上塗り剤)が実用化されている。その結果、塗膜の耐久性が向上し、海岸地帯のように厳しい腐食環境でも、塗り替えの周期を延長できるようになった。しかしフッ素樹脂が塗料(すなわち上塗り剤)として耐久性を発揮するためには、フッ素樹脂の塗装を数回繰り返して、いわゆる重ね塗りを行なう必要がある。その結果、塗装に要する費用が増大する。
【0008】
ここで、塗装によって鋼材表面に形成される塗膜の耐久性について説明する。 鋼材表面に形成される塗膜は、酸素や水分等の腐食因子から鋼材を遮断して保護するものである。鋼建築物,鋼構造物あるいは産業機械として使用される鋼材に形成された塗膜は、使用中に損傷を受けたり、あるいは時間の経過とともに風化するのは避けられない。 このようにして、塗膜の損傷や風化によって鋼材の保護作用が劣化した部分から腐食因子が侵入して、鋼材が腐食される。
【0009】
鋼材の腐食が進行すると、塗膜を浮き上がらせるフクレが生じて、塗膜が剥離する。その結果、塗膜の防食効果が失われるばかりでなく、塗膜の剥離によって外観が損なわれる。 また、塗膜の保護作用が劣化した部分から赤褐色の錆汁が流れて外観が損なわれる場合もある。したがって定期的に塗り替えを行なって、塗膜を新たに形成する必要がある。
【0010】
つまり鋼材の使用中に塗膜の損傷や風化が生じるのは避けられないのであるから、塗膜の防食性と耐久性を向上するとともに、塗膜欠陥部での鋼材の防食性を向上する必要がある。
特開2000-169939 号公報には、塗膜の欠陥部における耐食性を向上した鋼材が開示されている。しかしながら、この技術では、塗膜の防食性や耐久性について検討がなされておらず、鋼材に塗装を施して表面に塗膜を形成した塗装鋼材としての防食性は、さらなる改善の余地が残されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような問題を解消し、塗膜と鋼材の相互作用によって塗装鋼材の防食性を向上するとともに、耐久性の高い塗膜を形成して、優れた防食性を長時間維持できる塗装鋼材を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋼材に塗装を施す際に塗料の下塗り剤として使用される防錆剤に着目した。そこで鋼材の製造工程で発生する鋼材表面のスケールを除去した後、下塗りとして防錆剤を鋼材表面に塗布して防錆剤の塗膜を形成し、さらに防錆剤の塗膜の上に各種塗料を塗布して塗料の塗膜を形成した。このようにして鋼材の表面に少なくとも2層の塗膜(すなわち防錆剤の塗膜と各種塗料の塗膜)を形成して得られる塗装鋼材の防食性について調査した。
【0013】
すなわち、塗装鋼材に形成される少なくとも2層の塗膜のうちの、鋼材に接する塗膜(すなわち下塗り剤として使用される防錆剤の塗膜)の成分と鋼材の成分との組合せについて調査した。その結果、Znを含有する防錆剤を使用し、かつAlを含有する鋼材を使用すると、ZnとAlの相互作用によって塗装鋼材の防食性が向上することが分かった。
【0014】
本発明は、スケールを除去した鋼材の表面にZnを含有する塗膜と、該Znを含有する塗膜の上に上塗り剤としてタールエポキシ樹脂を除く塗料の塗膜とを形成して合計2層以上の塗膜を有する塗装鋼材であって、鋼材がCを 0.001〜0.15質量%、Siを0.60質量%以下、Mnを 0.1〜3.0 質量%、Pを 0.005〜0.030 質量%、Sを0.01質量%以下、Alを0.05〜1.0 質量%含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有し、塗装によって形成される2層以上の塗膜のうちの鋼材に接する塗膜がZnを75〜90質量%含有するとともに、Znを含有する塗膜と上塗り剤の塗膜との全塗膜厚が90〜220μmである塗装鋼材である。
【0015】
前記した発明においては、好適態様として、鋼材が前記した組成に加えて、Cuを 0.1〜0.5 質量%、Niを 0.1〜1.0 質量%、Crを 0.1〜0.3 質量%およびMoを0.01〜0.50質量%のうちの1種または2種以上を含有することが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の鋼材の組成を限定した理由を説明する。
C: 0.001〜0.15質量%
Cは、鋼材の強度を確保するために必要な元素である。C含有量が 0.001質量%未満では、鋼建築物,鋼構造物あるいは産業機械等として使用するのに十分な強度が得られない。一方、0.15質量%を超えると、鋼材の靭性および溶接性が劣化する。したがって、Cは 0.001〜0.15質量%の範囲内を満足する必要がある。なお、好ましくは 0.001〜0.08質量%である。
【0017】
Si:0.60質量%以下
Siは、脱酸作用を有するとともに、固溶強化によって鋼材の強度を向上させる元素である。Si含有量が0.60質量%を超えると、鋼材の靭性および溶接性が劣化する。したがって、Siは0.60質量%以下に限定した。 なお、好ましくは0.15〜0.50質量%である。
【0018】
Mn: 0.1〜3.0 質量%
Mnは、鋼材の強度を確保するとともに、靭性を向上させる元素である。Mn含有量が 0.1質量%未満では、鋼建築物,鋼構造物あるいは産業機械等として使用するのに十分な強度が得られない。一方、 3.0質量%を超えると、鋼材の靭性および溶接性が劣化する。したがって、Mnは 0.1〜3.0 質量%の範囲内を満足する必要がある。
【0019】
P: 0.005〜0.030 質量%
Pは、錆を緻密化して鋼材の防食性を向上させる元素である。P含有量が 0.005質量%未満では、緻密な錆が生成しない。一方、 0.030質量%を超えると、鋼材の溶接性が劣化する。したがって、Pは 0.005〜0.030 質量%の範囲内を満足する必要がある。
【0020】
S:0.01質量%以下
Sは、鋼材の防食性,靭性および溶接性を劣化する有害な元素であるから、可能な限り低減する必要がある。 S含有量が0.01質量%を超えると、鋼材の防食性が著しく低下する。したがって、Sは0.01質量%以下に限定した。
Al:0.05〜1.0 質量%
Alは、後述する防錆剤に含まれるZnとの相互作用によって塗装鋼材の防食性を向上させる元素である。特にジンクリッチペイントと呼ばれるZnを多量に含有する防錆剤を使用すると、その効果が顕著に発揮される。 つまり、鋼材に含有されるAlと、その鋼材に接する防錆剤の塗膜に含有されるZnとの相互作用によって、メカニズムは明らかではないが、防食性の高い物質を生成して腐食の進行を妨げるのである。Al含有量が0.05質量%未満では、このような防食性を向上する効果が得られない。 一方、 1.0質量%を超えると、防食性を向上する効果が飽和する。したがって、Alは0.05〜1.0 質量%の範囲内を満足する必要がある。
【0021】
Cu: 0.1〜0.5 質量%,Ni: 0.1〜1.0 質量%,Cr: 0.1〜0.3 質量%,Mo:0.01〜0.50質量%のうちの1種または2種以上
Cu,Ni,Cr,Moは、いずれも錆を緻密化して鋼材の防食性を向上させる元素であり、必要に応じて添加する。しかし添加量が不足すると、防食性のある緻密な錆が生成しない。一方、過剰に添加すると、錆を緻密化する効果が飽和する。したがって、これらの元素を添加する場合は、Cu: 0.1〜0.5 質量%,Ni: 0.1〜1.0 質量%,Cr: 0.1〜0.3 質量%,Mo:0.01〜0.50質量%の範囲内を満足するのが好ましい。
【0022】
上記で説明した成分以外は、Feおよび不可避的不純物である。不可避的不純物としては、Nを 0.010質量%以下,Oを 0.010質量%以下が許容できる。
次に、本発明の鋼材の製造方法について説明する。
上記の組成を有する溶鋼を溶製し、さらに連続鋳造法や造塊法等の従来から知られている方法で溶鋼を凝固させて、鋼片を製造する。 本発明では、溶鋼を溶製する方法は、特定の技術に限定しない。上記の組成を有する溶鋼を溶製すれば良いのであるから、転炉,電気炉や真空脱ガス,取鍋精錬等の従来から知られている技術を単独で用いるか、あるいは種々組合せて溶鋼を溶製すれば良い。
【0023】
このようにして製造した鋼片に熱間圧延を施して、厚鋼板,薄鋼板,棒鋼,形鋼等の鋼材を製造する。熱間圧延に先立って、鋼片を加熱炉に装入して、熱間圧延が可能な温度に加熱する。本発明においては、加熱炉による鋼片の加熱温度は、特定の温度範囲に限定しない。ただし、鋼片の加熱温度が1000℃未満では、鋼片の変形抵抗が大きいので、熱間圧延の負荷が増大する。一方、1250℃を超えると、鋼材の結晶粒が粗大化して、機械的性質が劣化する。したがって、鋼材の加熱温度は1000〜1250℃の範囲内を満足するのが好ましい。
【0024】
なお、連続鋳造法や造塊法等によって溶鋼を凝固した後、熱間圧延設備に送給された鋼片の温度が上記したような熱間圧延の可能な温度であれば、鋼片を加熱炉に装入せず、熱間圧延を施しても良い。
次に、本発明の鋼材の表面に形成する塗膜について説明する。
鋼材の表面に塗膜を形成するに先立って、鋼材の製造工程で発生する鋼材表面のスケールを除去する。鋼材表面のスケールを除去することによって、塗膜と鋼材の密着性が向上する。 本発明においては、スケールを除去する手段は特定の技術に限定しない。鋼材表面のスケールを除去すれば良いのであるから、ショットブラスト,サンドブラスト,ブラシケレン等の従来から知られている技術を使用すれば良い。
【0025】
スケールを除去した鋼材の表面に、下塗り剤としてZnを多量に含有する防錆剤(いわゆるジンクリッチペイント)を塗布して塗膜を形成する。 Znは、鋼材に含まれるAlとの相互作用によって塗装鋼材の防食性を向上させる。防錆剤の塗膜に含有されるZnが75質量%未満では、鋼材とZn粉末との電気的接触が不十分で、防食性を向上する効果が得られない。 一方、90質量%を超えると、Znの溶出量が過大となり、防食性が劣化する。したがって、防錆剤の塗膜に含有されるZnは75〜90質量%の範囲内を満足する必要がある。 なお、好ましくは80〜85質量%である。
【0026】
本発明においては、防錆剤の塗膜に75〜90質量%のZnが含有されれば良いのであるから、下塗り剤として使用する防錆剤は、従来から知られている無機ジンクリッチペイントや有機ジンクリッチペイント等のZnを多量に含有する防錆剤を使用すれば良い。 ただし、塗装鋼材の防食性を重視する場合は無機ジンクリッチペイントを使用し、塗装の作業性や経済性を重視する場合は有機ジンクリッチペイントを使用するのが好ましい。
【0027】
このようにして鋼材の表面に防錆剤の塗膜を形成した後、さらに上塗り剤として塗料を塗布して、防錆剤の塗膜の上に塗料の塗膜を形成する。したがって本発明の塗装鋼板には、少なくとも2層の塗膜(すなわち防錆剤の塗膜と塗料の塗膜を合計2層以上)が形成される。一方、5層以上の塗膜を形成すると防食性向上の効果が飽和するばかりでなく、塗装鋼材の製造コストが上昇する。したがって防錆剤の塗膜と塗料の塗膜は、合計5層以下が好ましい。
【0028】
本発明においては、上塗り剤として使用する塗料の種類は耐久性の高い塗料、たとえば塩化ゴム系樹脂,フタル酸樹脂,エポキシ樹脂,エポキシ−シリコン樹脂,ポリウレタン樹脂,フッ素樹脂等を使用するのが好ましい。 その理由は、防錆剤に含有されるZnと鋼材に含有されるAlとの相互作用によって防食性が向上するので、防錆剤の塗膜の上に耐久性の高い塗料の塗膜を形成して、防錆剤の塗膜を保護し、塗装鋼材の優れた防食性を長時間にわたって維持できるからである。これらの塗料を1種類のみ使用しても良いし、2種類以上の塗料を使用して各々塗膜を形成しても良い。
【0029】
また本発明においては、防錆剤や塗料を塗布する手段は、特定の構成に限定しない。防錆剤の塗膜および塗料の塗膜を形成すれば良いのであるから、スプレー,刷毛,ロールコーター等の従来から知られている技術を使用すれば良い。
以上に説明したように、本発明では、下塗り剤として使用する防錆剤の塗膜と鋼材との相互作用によって防食性を向上し、かつ上塗り剤として使用する塗料の塗膜によって防錆剤の塗膜を保護するので、優れた防食性を長時間にわたって維持できる。
【0030】
【実施例】
転炉を用いて表1に示す組成を有する溶鋼を溶製し、連続鋳造によってスラブを製造した。そのスラブを加熱炉に装入して1150℃に加熱した後、熱間圧延を行ない、厚鋼板(厚さ10mm,幅3000mm)を製造した。なお、鋼材A〜Gは各成分が本発明の範囲を満足する例であり、鋼材H〜JはAl含有量が本発明の範囲を外れる例である。
【0031】
【表1】
【0032】
このようにして得られた鋼材から試験片(厚さ10mm,幅100mm ,長さ300mm )を切り出し、次いで試験片にショットブラスト処理を施して表面のスケールを除去した後、試験片の表面に、下塗り剤として(すなわち第1層として)防錆剤の塗膜を形成した。防錆剤は、無機ジンクリッチペイント,有機ジンクリッチペイント,鉛系さび止めペイントを使用した。なお鉛系さび止めペイントには、Znは含まれていない。
【0033】
さらに防錆剤の塗膜(すなわち第1層)の上に、塗料の塗膜を1層(すなわち第2層)または2層(すなわち第2層〜第3層)形成した。塗料は、塩化ゴム系樹脂,フタル酸樹脂,エポキシ樹脂,ポリウレタン樹脂を使用した。試験片を切り出した鋼材と塗膜を形成した防錆剤(すなわち第1層),塗料(すなわち第2層〜第3層)の組合せは、表2に示す通りである。 このようにして形成した塗膜全体(すなわち防錆剤と塗料の合計2層または3層)の厚さを夫々測定した。その結果は、表2に示す通りである。なお防錆剤の塗膜や塗料の塗膜は、いずれもスプレーを用いて形成した。
【0034】
次いで、塗膜を形成した試験片の表面に長さ50mmのスクラッチを入れて、塗膜を部分的に損傷して暴露試験に供した。スクラッチは地鉄に達するものとし、暴露地は東京湾岸の海岸から20mの地点(飛来塩分量:0.35mg/dm2 /day )とした。なお飛来塩分量は、JIS規格Z2381 のガーゼ法で測定した値である。
2年後に試験片を回収して、スクラッチから発生した最も外側の塗膜面のフクレ部の幅を10mmピッチで5ケ所測定した。 その平均値をフクレ幅として表2に示す。
【0035】
【表2】
【0036】
発明例1〜9は、鋼材の各成分の含有量と防錆剤の塗膜(すなわち第1層)のZn含有量が本発明を満足する例である。
一方、比較例1〜2は、鋼材の成分は本発明を満足するものの、Znを含有しない防錆剤を使用した例である。比較例3は、鋼材のAl含有量が本発明の範囲を外れ、しかもZnを含有しない防錆剤を使用した例である。比較例4〜6は、防錆剤はZnを含有するものの、鋼材のAl含有量が本発明の範囲を外れる例である。比較例7〜10は、鋼材の成分は本発明を満足するものの、防錆剤のZn含有量が本発明の範囲を外れる例である。
【0037】
発明例1〜9は、フクレ幅が0.13〜0.48mmであったのに対して、比較例1〜10は、フクレ幅が0.69〜2.35mmであった。つまり本発明によって塗装鋼材の防食性が向上できることが確かめられた。なお、比較例3(すなわち鋼材のAl含有量が本発明の範囲を外れ、しかもZnを含有しない防錆剤を使用した例)のフクレ幅が最も大きかった。
【0038】
暴露試験では、AlとZnの相互作用による防食性の評価を行なうことを目的として、地鉄に達するスクラッチを入れた試験片を使用して、フクレ幅を測定した。つまり塗膜にスクラッチを入れて(すなわち損傷を与えて)暴露試験を行なったので、表2に示すフクレ幅の測定結果では塗膜の耐久性は評価できない。しかし耐久性の高い塗料を使用すると、塗膜の耐久性が向上し、その結果、塗装鋼材の優れた防食性を長時間にわたって維持できることは明らかである。
【0039】
【発明の効果】
本発明では、塗装鋼材の優れた防食性を長時間にわたって維持できるので、鋼建築物,鋼構造物,産業機械等に使用する場合に、塗料や防錆剤の塗り替え周期を延長して、塗り替え費用を削減できる。
Claims (2)
- スケールを除去した鋼材の表面にZnを含有する塗膜と、該Znを含有する塗膜の上に上塗り剤としてタールエポキシ樹脂を除く塗料の塗膜とを形成して合計2層以上の塗膜を有する塗装鋼材であって、前記鋼材がCを 0.001〜0.15質量%、Siを0.60質量%以下、Mnを 0.1〜3.0 質量%、Pを 0.005〜0.030 質量%、Sを0.01質量%以下、Alを0.05〜1.0 質量%含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有し、前記2層以上の塗膜のうちの前記鋼材に接する塗膜がZnを75〜90質量%含有するとともに、前記Znを含有する塗膜と前記上塗り剤の塗膜との全塗膜厚が90〜220μmであることを特徴とする塗装鋼材。
- 前記鋼材が前記組成に加えて、Cuを 0.1〜0.5 質量%、Niを 0.1〜1.0 質量%、Crを 0.1〜0.3 質量%およびMoを0.01〜0.50質量%のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の塗装鋼材。
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