JP2000355780A - 耐水密着性および耐陰極剥離性に優れた鋼構造物 - Google Patents

耐水密着性および耐陰極剥離性に優れた鋼構造物

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JP2000355780A
JP2000355780A JP11170596A JP17059699A JP2000355780A JP 2000355780 A JP2000355780 A JP 2000355780A JP 11170596 A JP11170596 A JP 11170596A JP 17059699 A JP17059699 A JP 17059699A JP 2000355780 A JP2000355780 A JP 2000355780A
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Masahito Kaneko
雅仁 金子
Katsumi Shomura
克身 正村
Shiro Miyata
志郎 宮田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 湿潤環境において長期間使用されても、被覆
の耐水密着性が良好で、かつ、電気防食を適用した場合
でも耐陰極剥離性が良好な鋼構造物を提供し、さらに鋼
構造物のコストの削減を目的とする。 【解決手段】 クロムを0.5wt%以上、好ましくは0.5〜5
wt%含有する低合金鋼の上に絶縁抵抗が104Ω・m2以上と
なるように被覆をすることにより、湿潤環境において長
期間使用されても、被覆の耐水密着性が良好で、かつ、
電気防食を適用した場合でも耐陰極剥離性が良好な被覆
鋼材を部分的に適応する。さらに、モリブデン0.1〜2wt
%およびアルミニウム0.1〜1.5wt%の内少なくとも1種を
添加することで、耐水密着性が良好で、耐陰極剥離性が
良好であり、かつ、機械的特性、靭性などの条件を満足
する合金を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は海洋環境で使用され
る鋼構造物に関するものであり、より詳しくは、低合金
鋼と被覆を最適化することで、耐水密着性および耐陰極
剥離特性を大幅に向上させた鋼構造物に関する。
【0002】
【従来の技術】湿潤環境で使用される鋼構造物、たとえ
ば海洋環境で使用される鋼管杭、鋼矢板、鋼管矢板など
や浮体構造物などの鋼構造物は、湿潤環境下での耐用年
数の延長が要求される。そこで、このような用途には、
被覆鋼材が用いられる。一般に被覆鋼材は、湿潤環境で
使用されるとその密着強度が大きく低下する。
【0003】このような環境においては、鋼材と被覆の
接着力低下の抑制が問題となり、特に、電気防食が併用
されて用いられる場合の耐陰極剥離性が重要な問題とな
る。電気防食を施す技術は、海洋構造物においては一般
的であるが、さらに、長期間の防食を行う場合、多数の
流電陽極材(アノード)を設ける必要があるので、費用
が莫大となる。
【0004】海洋構造物における電気防食方法として
は、塗装と併用する場合と、塗装を行わない場合とがあ
る。前者の場合は、塗膜が存在する部分は、塗膜によっ
て腐食が抑制され、かつ電気抵抗も高いため、必要防食
電流が抑制され、費用の低減が図れる。しかしながら塗
装を併用した場合、塗膜は時間の経過に伴って欠陥が発
生し剥離してくるので、電気防食費用は塗膜の剥離の進
行速度に支配される。
【0005】すなわち、塗膜が剥離した部分では、腐食
を抑制するために防食電流を十分に供給する必要があ
る。このため、塗膜剥離に伴って、時間と共に必要な防
食電流が増加する。剥離の進行速度が大きい場合には、
構造物の防食維持に必要な防食電流が大きくなり、必要
なアノードの数や必要な電流が増加して、防食コストを
増大させる。
【0006】このような問題に対する対策として、例え
ば特開平7-11455公報では、被覆鋼材の耐水密着性、耐
陰極剥離性を向上させるため、化成処理として鋼材の表
面にクロメート処理を施す技術が提案されている。ま
た、特開昭61-40151公報にはシランカップリング剤によ
る処理方法が提案されている。さらに、特開平8-11258
公報にはプライマーに防錆塩を添加する方法なども提案
されている。
【0007】さらに電気防食を施す技術として特開平9-
176791公報にはクロム(Cr)含有鋼に耐アルカリ塗料を塗
布する方法が提案されている。
【0008】なお、耐水密着性、耐陰極剥離性を向上さ
せた鋼構造物のコスト削減も重要な問題の1つである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来技術は、特
開平7-11455公報のクロメート処理技術、特開昭61-4015
1公報のシランカップリング剤処理方法、および特開平8
-11258公報のプライマーへの防錆塩添加方法のいずれの
方法も短期間の耐水密着性や短期間の陰極剥離試験環境
では効果があるものの、海洋環境に代表されるような腐
食の激しい湿潤環境下における検討がなされておらず、
長期間の効果は期待できない。
【0010】また、特開平9-176791公報のクロム(Cr)含
有鋼に耐アルカリ塗料を塗布する方法は電気防食時のみ
を対象にしている技術である。そのため、電気防食を適
用しない場合の効果については明記されていない。
【0011】本発明は、湿潤環境において長期間使用さ
れても、被覆の耐水密着性が良好で、かつ、電気防食を
適用した場合でも耐陰極剥離性が良好な被覆鋼材を部分
的に適用することを特徴とする鋼構造物を提供すること
を目的とする。
【0012】さらに、上記被覆鋼材を部分的に適用する
ことにより、鋼構造物のコストの削減を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、クロムを含有
する低合金鋼の上に被覆を施すことにより、湿潤環境に
おいて長期間使用されても、被覆の耐水密着性が良好
で、かつ、電気防食を適用した場合でも耐陰極剥離性が
良好な被覆鋼材を部分的に適用することを特徴とする鋼
構造物を提供する。
【0014】請求項1の発明は、クロムを0.5wt%以上含
有する低合金鋼の上に、絶縁抵抗が104Ω・m2以上とな
るように被覆を施した耐水密着性および耐陰極剥離性に
優れた被覆鋼材を部分的に適用してあることを特徴とす
る鋼構造物である。
【0015】本発明において、耐水密着性および耐陰極
剥離性に優れた鋼材成分に要求される必須の条件は、ク
ロムを0.5wt%以上含有することである。検討の過程で、
鋼材成分としてクロムが0.5wt%以上であれば、被覆の耐
水密着性および耐陰極剥離性が向上することが見出され
た。さらに電気防食時においても、クロムを含有させる
ことにより、鋼の表面に形成される大気酸化物被膜にク
ロムが含有されるため、電気防食環境下において還元さ
れにくくなる。このようにして、塗膜と鋼材の密着力の
低下を防止する。
【0016】さらに、被覆はその絶縁抵抗を104Ω・m2
以上とする必要がある。被覆の絶縁抵抗が104Ω・m2
満であると、下地鋼材にクロムを0.5wt%以上含有する鋼
材を使用しても、被覆の耐水密着性および耐陰極剥離性
は向上しない。この発明の鋼構造物は、このような被覆
鋼材を部分的に適用してある。
【0017】請求項2の発明は、被覆鋼材を形成する低
合金鋼がクロムを0.5〜5wt%含有することを特徴とする
請求項1記載の鋼構造物である。
【0018】この発明で、クロム含有量の上限を5wt%と
したのは、クロムを添加しても、5wt%を超えるとその効
果は飽和することが見出されたからである。
【0019】請求項3の発明は、被覆鋼材を形成する低
合金鋼がクロムを0.5〜5wt%含有するとともにモリブデ
ン0.1〜2wt%およびアルミニウム0.1〜1.5wt%の内、少な
くとも1種を添加されていることを特徴とする請求項1記
載の鋼構造物である。
【0020】モリブデン(Mo)およびアルミニウム(Al)
は、クロムと同様な効果があり、必要に応じてクロムに
加えてその1種または2種を添加してもよい。ここで、
モリブデンの添加量は0.1wt%未満では効果がなく、2wt%
を超えると効果が飽和する。また、アルミニウムは0.1w
t%未満の添加では効果がなく、1.5wt%を超えると効果が
飽和するとともに機械的特性に悪影響を与えるため1.5w
t%以下の添加とする。その他、機械的特性、靭性などの
条件を満足させるために、他の合金元素を添加してもよ
い。
【0021】請求項4の発明は、請求項1〜3記載の鋼
構造物に電気防食を施すことを特徴とする鋼構造物であ
る。
【0022】本発明の鋼構造物に電気防食を施すことに
より、普通鋼の部分の耐腐食性が向上し、鋼構造物全体
の耐用年数をさらに向上させることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の主な対象は、湿潤環境で
使用される鋼構造物、たとえば、鋼管、鋼矢板、鋼管
杭、鋼管矢板および浮体構造物等である。以下、本発明
の実施の形態を詳細に説明する。
【0024】<鋼材成分>下地鋼材は、クロムと必要に
応じてクロムに加えてモリブデンおよびアルミニウムの
少なくとも1種または2種を発明の範囲内で添加したも
のを使用する。
【0025】なお、電気防食を施す場合において、最も
電位の低い部分が、−1.05V(vs.SCE:飽和
甘こう電極基準)より低い値に設定される場合は、クロ
ムに加えてモリブデンもしくはアルミニウムの1種また
は2種を添加した鋼材が好ましい。
【0026】<鋼材の下地・表面処理>鋼材表面と被覆
の密着力を確保するために、鋼材表面を清浄に保つこと
が重要である。その方法としては、酸洗処理やブラスト
処理が一般的であり、特にブラスト処理においては、十
点平均粗さ(Rz)で20〜150μmが望ましい。この表面粗さ
が20μm未満では効果がなく、150μmを超えても効果は
変わらない。
【0027】またブラスト処理後は、48時間以内に被覆
をすることが望ましい。特に24時間以内に被覆をすると
密着力はさらに向上する。
【0028】本発明では化成処理を施さなくても良好な
耐水密着性、耐陰極剥離性が得られるが、鋼材表面にク
ロメート処理やシランカップリング剤を塗布することで
さらに耐水密着性、耐陰極剥離性を向上させることがで
きる。クロメート処理の場合は、水性コロイダルシリカ
等のシリカを添加したものが好ましい。塗布量は全クロ
ム量で30〜1000mg/m2が良い。30mg/m2未満では効果がな
く、1000mg/m2を超えると強固な被膜が形成されず、密
着力が低下する。シランカップリング剤は50〜2000mg/m
2の塗布量が望ましい。50mg/m2未満では効果がなく、20
00mg/m2を超えるともろくなり、剥離する危険がある。
【0029】また、クロメート処理、シランカップリン
グ処理とは別に、またはこれらと併用して、リン酸、モ
リブデン酸、タングステン酸、バナジン酸、ホスホン
酸、タンニン酸、クエン酸等の酸またはその塩などを単
独あるいは複数含む酸性溶液で処理することによりさら
に耐水密着性、耐陰極剥離性を向上させることができ
る。
【0030】<被覆>本発明での被覆とは、いわゆるプ
ライマー層を含めた鋼材表面に施す被覆のことを示す。
無機被覆でもかまわないが、有機樹脂被覆であれば、な
お好ましい。
【0031】被覆はその絶縁抵抗を発明の範囲内とする
ことにより、耐水密着性および耐陰極剥離性が向上す
る。
【0032】鋼材表面の被覆の特性として、耐酸素透過
性と耐水蒸気透過性に優れていれば、さらに好ましい。
被覆の酸素透過速度が15×10-15mol/(cm・sec)以下であ
り、水蒸気透過速度が5×10-12mol/(cm・sec)以下であ
れば、被覆の耐水密着性および耐陰極剥離性はさらに向
上する。
【0033】有機樹脂被覆としては塗料を単独あるいは
数種塗り重ねたものなどがある。塗料は特に限定するも
のではないが、たとえば、ジンクリッチプライマー(有
機、無機)、厚膜型ジンクリッチペイント(有機、無
機)、エポキシ樹脂塗料、変性エポキシ樹脂塗料、ター
ルエポキシ樹脂塗料、ガラスフレーク入り塗料(ビニル
エステル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂)、塩
化ゴム系塗料、ポリウレタン樹脂塗料、シリコーン変性
アクリル樹脂塗料、フッ素樹脂塗料などがある。特にジ
ンクリッチプライマーとエポキシ樹脂塗料またはタール
エポキシ樹脂塗料を組み合わせたものが好ましい。塗料
の形態としては有機溶剤系に限らず、水系(水性、エマ
ルジョン系など)、粉体、NAD(非水分散形エマルジョ
ン)などでも良い。塗装方法は刷毛塗り、エアースプレ
ー、エアレススプレー、静電塗装、電着塗装など限定す
るものではないが、エアレススプレーとするのが好まし
い。
【0034】また有機ライニングの場合も限定するもの
ではないが、たとえば、ポリオレフィンライニング(ポ
リエチレン、ポリプロピレンなど)、ウレタンエラスト
マーライニング、塩化ビニル樹脂ライニング、ナイロン
ライニング、ポリエステルライニング、AAS(アクリル,
アクリル酸ブタジエン,スチレン)樹脂ライニングなど
や複数の樹脂をブレンドしたポリマーアロイおよびフィ
ラー等を添加したものをライニングしても良い。
【0035】また、このほか、ライニングとしては、超
厚膜形ライニング(エポキシ樹脂系、ポリウレタン樹脂
系、アクリル樹脂系)、水中施工形ライニング(パテタ
イプ、ペイントタイプ)、防食テープライニング、FRP
ライニング、ゴムライニング、ペトロラタムライニング
などがある。
【0036】特筆するとエポキシプライマー層、変性ポ
リオレフィン接着層、ポリオレフィン層を鋼材表面側か
ら順次被覆したものや、プライマー層、ポリウレタン層
を鋼材表面側から順次被覆したものを適用するのが好ま
しい。特にポリウレタン層としてはウレタンエラストマ
ーが好ましく、その中でもジイソシアネート成分として
液状MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート),ポリオ
ール成分としてPBD(ポリブタジエン)ポリオールからな
るものがより好ましい。
【0037】ライニング方法は特に限定するものではな
く、押出被覆、スプレー塗装、粉体ライニング、樹脂シ
ートのラミネートなどがある。
【0038】有機樹脂被覆には、防錆顔料を添加するの
が良く、クロム系防錆顔料を樹脂固形分に対して0.1〜7
0wt%含有すると特に好ましい。クロム系防錆顔料として
はジンククロメート(ZPC:塩基性クロム酸亜鉛、ZTO:
四塩基性クロム酸亜鉛)、ストロンチウムクロメート、
バリウムクロメート、カルシウムクロメートなどがあ
る。
【0039】被覆膜厚は絶縁抵抗が104Ω・m2となるよ
うな膜厚であれば、特に規定するものではないが、耐衝
撃、耐傷付き性等を考慮すると、有機樹脂被覆の場合、
100μm以上とすることが望ましい。
【0040】<被覆鋼材の適用部位>鋼構造物全体のコ
スト削減を考慮した場合、上記からなる被覆鋼材は鋼構
造物の特に腐食量の多い部分に限定して適用することが
望ましい。
【0041】鋼管杭、鋼矢板、鋼管矢板等の鋼構造物に
上記被覆鋼材を適応した場合を図1の(a)〜(c)に示す。
ここで、 (a)は、L.W.L.(Low Water Level)-1mから上
部を上記被覆鋼材とし、L.W.L.-1mより下部は普通鋼を
使用した場合、(b)は、L.W.L.-1.1m以上をクロム含有低
合金鋼とし、L.W.L.-1m以上に被覆を施した上記被覆鋼
材とし、L.W.L.-1.1mより下部は普通鋼を使用した場
合、 (c)は、海底面(G.L.)-1m程度まで上記被覆鋼材
とし、海底土中部は普通鋼を使用した場合を示す。な
お、電気防食を施す場合の適応範囲は、M.L.W.L(Mean
Low Water Level)以下が好ましい。
【0042】
【実施例】表1に供試鋼材の成分組成を示す。低合金鋼
がA〜Iで示す9水準とし、普通鋼はJで示す1水準とし
た。
【0043】
【表1】
【0044】まず、表1で示した供試鋼材を下地鋼材と
してショットブラスト処理を行った。ブラスト後の表面
粗さ(Rz)は40〜60μmであった。
【0045】次に、ブラスト処理後48時間以内に被覆を
行った。表2に、上記の下地鋼材に適用した被覆の種類
とその絶縁抵抗値を示す。
【0046】
【表2】
【0047】最後に、表2で示した各種被覆を適用した
各種鋼材に対して、耐水密着力および、陰極剥離幅を測
定した。
【0048】ここで、耐水密着力は60℃の温水に60日間
浸漬した後、プルオフ試験(ASTM D4541-85)または、9
0゜ピール試験(23℃)にて被覆層の密着強度を測定し
た。
【0049】また、陰極剥離試験は、試験材中央部に9m
mφの鋼面を露出させた人工欠陥を設け、60℃の3wt%NaC
l水溶液中で、電位を-1.05V(vs.SCE)で60日間印可した
後、陰極剥離幅を測定して評価した。この測定結果を表
3に示す。
【0050】
【表3】
【0051】なお、60℃の温水に60日間浸漬した後、プ
ルオフ試験(ASTM D4541-85)にて測定した被覆層の密
着力が300N/cm2を超えるか、または90゜ピール試験(23
℃)にて測定した被覆層の密着力が100N/cmを超えると
湿潤環境における自然環境下で長期間耐水密着性が保た
れることを確認している。また、陰極剥離試験後の陰極
剥離幅が2.0mm未満であると、自然環境下で電気防食を
施された場合、長期間陰極剥離が生じないことを確認し
ている。
【0052】図2は横軸に鋼材のクロム含有量、縦軸に
は鋼材に施した被膜の絶縁抵抗をとった場合の、本発明
の範囲を示したものである。図中に示した各点は表3に
示した試験材にそれぞれ対応する。
【0053】図中、●で示したものは、密着力がプルオ
フ試験において300N/cm2を超えまたはピール試験におい
て100N/cmを超えるものであり、さらに陰極剥離幅が2.0
mm未満であるものである。また、×で示したものは、密
着力がプルオフ試験において300N/cm2以下またはピール
試験において100N/cm以下であり、さらに陰極剥離幅が
2.0mm以上であるものである。
【0054】これより、クロムを0.5wt%以上含有する低
合金鋼と絶縁抵抗が104Ω・m2以上である被覆を組み合
わせることにより、耐水密着性および耐陰極剥離性が向
上することが分かる。
【0055】
【発明の効果】本発明は、クロムを0.5wt%以上、好まし
くは0.5〜5wt%含有する低合金鋼の上に絶縁抵抗が104Ω
・m2以上となるように被覆をすることにより、湿潤環境
において長期間使用されても、被覆の耐水密着性が良好
で、かつ、電気防食を適用した場合でも耐陰極剥離性が
良好な被覆鋼材を部分的に適応してある鋼構造物を提供
する。
【0056】また、モリブデンおよびアルミニウムの少
なくとも1種を所定量添加することで、耐水密着性が良
好で、耐陰極剥離性が良好であり、かつ、機械的特性、
靭性などの条件を満足する合金を得ることができる。
【0057】さらに、本被覆鋼材を腐食の激しい部分に
限定して適応することにより、経済的にも優れた鋼構造
物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼構造物に被覆鋼材を部分的に適応した場合を
示す図である。
【図2】鋼材のクロム含有量と被膜の絶縁抵抗が密着性
及び陰極剥離性に与える効果を示す線図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22C 38/00 301 C22C 38/00 301F 38/18 38/18 38/22 38/22 // C23F 13/00 C23F 13/00 M (72)発明者 宮田 志郎 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4D075 BB74X BB76X CA33 DA23 DB02 DC05 EA06 EB16 EB19 EB33 EB38 4F100 AB03A AB10A AB13A AB20A AB31A AK01B AK04 AK51 AK53 AR00B AS00B BA02 CC00 EH462 GB07 JB02 JB07 JG04B JK04 YY00A YY00B 4K060 AA03 AA06 BA26 DA07 EA01 EB01 FA03 FA05 4K062 AA01 AA05 BA01 BA10 BC04 BC08 BC09 BC12 BC13 BC15 BC16 CA10 EA04 FA01 FA16 GA01 GA03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クロムを0.5wt%以上含有する低合金鋼の
    上に、絶縁抵抗が10 4Ω・m2以上となるように被覆を施
    した耐水密着性および耐陰極剥離性に優れた被覆鋼材を
    部分的に適用してあることを特徴とする鋼構造物。
  2. 【請求項2】 被覆鋼材を形成する低合金鋼がクロムを
    0.5〜5wt%含有することを特徴とする請求項1記載の鋼構
    造物。
  3. 【請求項3】 被覆鋼材を形成する低合金鋼がクロムを
    0.5〜5wt%含有するとともにモリブデン0.1〜2wt%および
    アルミニウム0.1〜1.5wt%の内、少なくとも1種を添加さ
    れていることを特徴とする請求項1記載の鋼構造物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3記載の鋼構造物に電気防食
    を施すことを特徴とする鋼構造物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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