JP4595494B2 - 樹脂被覆重防食鋼材 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、土中、河川および海洋等のように腐食環境の極めて厳しい条件下で用いられる耐陰極剥離性に優れた樹脂被覆重防食鋼材、特に、鋼管、鋼管杭、鋼矢板、鋼管矢板および土中に埋設されるラインパイプに関するものである。
土中、河川および海洋等で用いられる鋼管、鋼管杭、鋼管矢板および鋼矢板等の鋼構造部材には、長期の耐食性を付与するためウレタン被覆を施したポリウレタン被覆鋼材が用いられてきた。ポリウレタン被覆鋼材は、優れた防食性および耐食性を付与することが被覆層の重要な役割であり、かかる性能を長期間にわたって保証するため、個々の機能に特化した被覆層を多層積層する事が行われてきた。
例えば、素地鋼材側から順に、素地鋼材に直接施される非常に薄いクロメート処理層、10〜300μmの厚さのウレタンプライマー層、そして最も厚い1〜5mm程度のポリウレタン防食樹脂層の組み合わせが挙げられる。この場合、最上層のポリウレタン防食樹脂層が腐食因子の遮断と機械的な耐衝撃性の確保に、ウレタンプライマー層が鋼材への接着性の確保に、そして最下層のクロメート処理層がウレタン樹脂と鋼材の接着耐久性の確保にそれぞれ大きく寄与している。
しかしながら、近年、各種ポリウレタン被覆鋼材が広く世の中に普及するにつれ、港湾施設の代表的な期待耐用年数である50年に対し、20年程度の防食耐久寿命しか有しないことが明らかになってきた。即ち、最上層のポリウレタン樹脂層が、その安定的な化学構造にさらに耐候剤としてカーボンブラックを配合することにより、材料として50年程度の材料寿命を有するにもかかわらず、実際には20年程度で鋼材とプライマー層の界面に進入してきた水・酸素等の腐食因子によってクロメート処理層が溶解・劣化するため被覆層全体が剥離し、被覆層による防食性能が全く期待できなくなるためである。特に以下に述べる様に電気防食(カソード防食法)を併用した場合に顕著に見られる。
鋼矢板、鋼管杭、ラインパイプ等は、数十年以上の長期にわたっての防食が必要であるため、ポリウレタン樹脂被覆による防食と併用して、カソード防食法が適用される。施工の際、ポリウレタン樹脂に素地鋼材にまで達する疵がついた場合、鋼材はカソード防食の効果によって防食されるが、ポリウレタン樹脂被覆層はカソード防食によって剥離しやすくなる。この現象は、防食電流によって被覆層を透過した酸素が還元されてアルカリが発生し、このアルカリのために樹脂被覆層の剥離が発生する、いわゆる「陰極剥離」として知られているものである。ここで、「カソード防食法」とは、鋼材の電位を腐食が生じる電位よりも卑な電位に下げて、不変態領域の電位とする防食法を意味し、具体的には犠牲アノードを用いる方法と強制通電による方法がある。
なお、上記陰極剥離現象は、電気防食併用時に顕著に見られる現象ではあるが、必ずしも電気防食併用時特有の現象ではない。すなわち、電気防食を施さない素地鋼材の表面の一部が露出したポリウレタン被覆鋼材を海水中に浸漬した場合には、露出した素地鋼材表面で鉄が溶出するアノード反応が起こり、露出部に近接したポリウレタン被覆層下の素地鋼材表面において酸素が関与する、つまり酸素が還元されるカソード反応が起こる。その結果、ポリウレタン被覆層下の素地鋼材表面でアルカリの蓄積が起こり、電気防食併用時よりは進展速度が遅いものの、同様の陰極剥離現象が起こる。
ポリウレタン被覆重防食鋼材の耐陰極剥離性を改善する公知技術としては、特許文献1が開示されている。
特許文献1記載の技術は、鋼材表面にウレタンプライマー層、ウレタン防食層を順次積層した後に、さらに透湿度が1g/m2・day・mm以下であるアルミフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルムまたはポリエステルフィルムを接着剤を介して貼り付けることにより、ポリウレタン被覆重防食鋼材の耐陰極剥離性を向上させるものである。
しかしながら、アルミフィルムは海洋環境で腐食するため長期の水蒸気透過遮断層としての機能が期待できない。また、ポリ塩化ビニルフィルムやポリ塩化ビニリデンフィルム等の塩ビ系の樹脂は、環境に対する負荷が大きいため、好ましくない。一方、ポリエステルフィルムは、長期間水の存在する環境にさらされた場合に、エステル基が加水分解する可能性があり、特に前記電気防食を併用した場合には、生成したアルカリによって加水分解が促進されるので、長期の耐久性に対する信頼性が低い。
特開平08−267661号公報
本発明は、ウレタンプライマー層の組成の適正化を図り、陰極剥離現象に必要不可欠な酸素に対する遮断能を飛躍的に高めることにより、土中、河川および海洋等の腐食の厳しい環境において優れた耐陰極剥離性を有する樹脂被覆重防食鋼材、特に、鋼管杭、鋼矢板、鋼管矢板および土中に埋設されるラインパイプを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、素地鋼材の表面に、ウレタンプライマー層およびポリウレタン防食層を順次積層した樹脂被覆重防食鋼材において、前記ウレタンプライマー層が、ポリオールとポリイソシアネートとの硬化物であり、かつ該ポリイソシアネートと該ポリオールの混合比が、ポリオール中の水酸基に対するポリイソシアネート中のイソシアネート基の割合にして0.8〜2.0であり、前記ウレタンプライマー層の23℃における酸素透過度が0.5(ml・mm)/(m2・day・atm)以下であることを特徴とする樹脂被覆重防食鋼材であり、前記ウレタンプライマー層が、シリカ及び酸化亜鉛をさらに含有し、且つ、酸化チタン、燐酸亜鉛、焼石こう及びトリポリリン酸二水素アルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を、前記シリカ及び酸化亜鉛の含有量の合計が、前記ポリオール100質量部に対して10〜200質量部の割合で含有することが好ましい。
前記ポリオールは、キシレンジアミン−エチレンオキサイド付加体、キシレンジアミン−プロピレンオキサイド付加体、キシレンジアミン−エチレンオキサイド付加体とポリイソシアネートとの反応生成物、およびキシレンジアミン−プロピレンオキサイド付加体とポリイソシアネートとの反応生成物から選ばれた1種または2種以上を含有することが好ましい。
前記ポリイソシアネートは、キシレンジイソシアネートと下記(A)群から選ばれた1種または2種以上との反応生成物を含有することが好ましい。

(A)群:ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチルプロパン−オレフィンオキサイド付加体、エチレンジアミン−オレフィンオキサイド付加体、ビスフェノールA−オレフィンオキサイド付加体、ビスフェノールF−オレフィンオキサイド付加体、アニリン−オレフィンオキサイド付加体、キシレンジアミン−オレフィンオキサイド付加体、アルカノールアミン、レゾルシノール、レゾルシノール−オレフィンオキサイド付加体、トリエチレンテトラミン−オレフィンオキサイド付加体
前記ウレタンプライマー層は、さらに下記(B)群から選ばれた1種または2種以上のシランカップリング剤を含有することがより好適である。

(B)群:3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン
なお、前記素地鋼材は、表面にクロメート層を有するクロメート被覆鋼材を用いることができ、この場合、前記クロメート層のクロム換算付着量が100〜500mg/m2であることが好ましい。
また、ウレタンプライマー層の膜厚は10〜300μmであり、そして、ポリウレタン防食層の膜厚は1〜5mmであることが好ましい。
本発明によれば、ウレタンプライマー層の組成の適正化を図り、陰極剥離現象に必要不可欠な酸素に対する遮断能を飛躍的に高めることにより、土中、河川および海洋等の腐食の厳しい環境において優れた耐陰極剥離性を有する樹脂被覆重防食鋼材、特に、鋼管杭、鋼矢板、鋼管矢板および土中に埋設されるラインパイプの提供が可能になった。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、耐陰極剥離性に優れた樹脂被覆重防食鋼材(以下、「被覆鋼材」と略記する。)に関する。
図1に、本発明に従う樹脂被覆重防食鋼材の断面の一例を示す。
本発明の樹脂被覆重防食鋼材10は、図1に示すように、素地鋼材11の表面に、必要に応じて形成したクロメート層12を介して、ウレタンプライマー層13、およぴポリウレタン防食層14を順次積層した被覆鋼材であって、特にウレタンプライマー層13の組成を特定することにより、長期の耐陰極剥離性を備えた被覆鋼材である。
このような樹脂被覆重防食鋼材10の製造方法としては、以下に示す方法を例示することができる。一般に、素地鋼材とプライマー層の接着強度を向上させるためには、素地鋼材表面を清浄に保つことが重要である。
本発明では、素地鋼材11の表面性状については、その表面の酸化層および油などを樹脂被覆前に除去できさえすればよいため、特に限定しないが、例えば、JIS B 0601(1994)に規定される、十点平均粗さRzが20〜100μm(但し、基準長さ:8mm、評価長さ:40mmとする。)となるスチールブラスト処理またはスチールグリッド処理を行うのが最適である。素地鋼材11の表面の十点平均粗さRzが20μm未満の場合には、素地鋼板表面の凹凸へプライマーが埋め込まれることによるアンカー効果が低下するため、プライマーの密着強度が低下する傾向があるからであり、100μm超の場合には、プライマ−によって鋼材の表面凹凸を十分に被覆することができにくくなるため、被覆鋼材としての長期の防食性能が低下する傾向があるからである。なお、十点平均粗さRzは30〜60μmであることがより好ましい。
ウレタンプライマー層13は、主剤であるポリオールと、硬化剤であるポリイソシアネートとの硬化物であり、かつ、室温における酸素透過度が0.5(ml・mm)/(m2・day・atm)以下でなければならない。本発明では、ウレタンプライマ−層をこのように限定することにより、耐陰極剥離性が改善される。
また、前記ポリオールが、キシレンジアミン−エチレンオキサイド付加体、キシレンジアミン−プロピレンオキサイド付加体、キシレンジアミン−エチレンオキサイド付加体とポリイソシアネートとの反応生成物、およびキシレンジアミン−プロピレンオキサイド付加体とポリイソシアネートとの反応生成物から選ばれた1種または2種以上を含有することが好ましい。
キシレンジアミン骨格を有するポリオールを主剤に用いることにより、硬化物中のアミド基に由来する分子間水素結合とベンゼン核が、酸素の透過を阻害するため、樹脂被覆重防食鋼材の耐陰極剥離性が向上する。
さらに、前記ポリイソシアネートが、キシレンジイソシアネートと下記(A)群から選ばれた1種または2種以上との反応生成物を含有することが好ましい。

(A)群:ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチルプロパン−オレフィンオキサイド付加体、エチレンジアミン−オレフィンオキサイド付加体、ビスフェノールA−オレフィンオキサイド付加体、ビスフェノールF−オレフィンオキサイド付加体、アニリン−オレフィンオキサイド付加体、キシレンジアミン−オレフィンオキサイド付加体、アルカノールアミン、レゾルシノール、レゾルシノール−オレフィンオキサイド付加体、トリエチレンテトラミン−オレフィンオキサイド付加体
なお、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールはそれぞれジエチレングリコール、ジプロピレングリコールを含むものとする。
キシレンジイソシアネート骨格を有するポリイソシアネートを硬化剤に用いることにより、硬化物中のアミド基に由来する分子間水素結合とベンゼン核が、酸素透過遮断するので好ましい。
本発明では、また、キシレンジイソシアネート単体とポリオールを直接反応させた硬化物の場合には、キシレンジイソシアネートが過度に活性であるため、空気中の水分と反応して発泡し、連続したプライマー層が形成されないようで好ましくない。
そこで、予めキシレンジイソシアネートの一部を(A)群で示されたポリオール類の1種以上で変成して活性を低下させたポリイソシアネートと、前記キシレンジアミン−エチレンオキサイド付加体などとポリイソシアネートとの反応生成物を含有するポリオールとの硬化物とすることが好ましい。この硬化物は酸素バリアー性に優れるので、耐陰極剥離性に優れたプライマー層が得られる。これは、(A)群から選ばれたポリオール類を用いることにより、変成による酸素バリアー性の低下を最小限に抑え、かつ、硬化収縮応力が少ないからである。
ウレタンプライマー層の、主剤であるポリオールと、硬化剤であるポリイソシアネートの少なくとも一方を上記組成とすることにより、硬化物であるウレタンプライマー層の酸素透過遮断能が高まり、耐陰極剥離性が改善される。
また、ウレタンプライマー層12を構成する硬化物は、ポリイソシアネートとポリオールの混合比が、前記ポリオール中の水酸基に対する前記ポリイソシアネート中のイソシアネート基の割合にして0.8〜2.0とする硬化物であることが好ましい。前記割合が0.8未満の場合には、硬化が不充分なため酸素の透過を遮断する機能が不充分となる傾向があり、前記割合が2.0超えの場合には、過剰のイソシアネートが大気中の水分と反応することにより、発泡し、酸素の透過を遮断する機能が低下するからである。
陰極剥離を一層抑制するためには、ウレタンプライマー層に、下記(B)群から選ばれた1種または2種以上のシランカップリング剤を含有することが好ましい。

(B)群:3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン
上記(B)群に記載されたシランカップリング剤はいずれも、イソシアネート基と反応するアミン基或いは水酸基と反応するイソシアネート基が分子内に存在するため、これらの官能基がウレタンプライマー層を構成する樹脂と反応し、シラノール基が鋼材表面と反応するので、良好な耐陰極剥離性が得られる。上記(B)群から選ばれたシランカップリング剤の総添加量は、主剤であるポリオール100質量部に対して1〜30質量部であることが好ましい。前記添加量が1質量部未満の場合には、シランカップリング剤添加による効果は認められず、30質量部を超えた場合には、未反応のポリオールやポリイソシアネートが過剰に残存するため、ウレタンプライマー層の硬化が阻害されるので好ましくない。
さらに、陰極剥離をより一層抑制する必要がある場合には、ウレタンプライマー層に、酸化チタン、燐酸亜鉛、焼石こう、トリポリリン酸二水素アルミニウム、シリカ、酸化亜鉛および酸化マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有させることが好ましい。加えて、これら防錆顔料を、主剤であるポリオール100質量部に対して10〜200質量部を含有させることがより好適である。前記含有量が10質量部未満の場合には、含有による防錆効果が認められなくなるからであり、前記含有量が200質量部を超える場合には、密着性が低下するばかりでなく、硬化したウレタンプライマー層がポーラスになり、酸素の透過を遮断する機能が低下するおそれがあるからである。
ウレタンプライマー層13の膜厚は、10〜300μmであることが好ましく、より好適には40〜100μmとする。10μm未満の場合には、酸素透過を遮断する機能が十分に発揮できなくなるおそれがあり、300μm超えの場合には、プライマーが硬化する際に発泡しやすくなるからである。本発明では、ウレタンプライマー層13を、形成する方法は特に限定しないが、スプレー塗布又はしごき塗りにより形成することが好ましい。
ポリウレタン防食層14は、ウレタンプライマー層13の直上に積層され、樹脂被覆重防食鋼材10の防食層としての機能を発揮する層である。
ポリウレタン防食層14に用いるポリウレタンとしては特に限定しないが、例えば、ひまし油にアルキルジオール、アニリン−エチレンオキサイド付加体、ビスフェノールA−エチレンオキサイド付加体、或いはビスフェノールF−エチレンオキサイド付加体等を1種以上適当量混合したポリオールをポリフェニルポリメチルポリイソシアネートで硬化したものが挙げられる。
ポリウレタン防食層14の膜厚は1〜5mmであることが好ましい。
1mm未満では、防食性能が低下するだけでなく、ポリウレタン防食層の耐衝撃性が低下する傾向があり、5mmを超えた場合には、コスト増に見合う防食性能の向上が得られないからである。
また、ポリウレタン防食層の紫外線劣化を防止するため、紫外線吸収剤、カーボンブラックやヒンダードアミン系光安定剤HALS(Hindered Amine Light Stabilizer)等を配合することが好ましい。本発明では、ポリウレタン防食層14の形成方法は特に限定しないが、スプレー塗布により形成することが好ましい。
さらに、本発明では、素地鋼材表面にウレタンプライマー層を形成する前に、予め鋼材表面にクロメート処理を施して、前記素地鋼材の代わりに、表面にクロメート層を有するクロメート被覆鋼材を用いることもできる。この場合、前記クロメート層のクロム換算付着量が100〜500mg/m2であることが好ましい。クロム換算付着量が100mg/m2未満の場合には、腐食環境においてウレタンプライマー層との密着性が長期間保持できないことがある。一方、クロム換算付着量が500mg/m2を超えた場合には、クロメート層を焼き付けた際にクロメート層に亀裂が発生しやすくなり、樹脂被覆層の密着性が著しく低下するので好ましくない。
さらにまた、クロメート層中の全クロムに対する三価クロムの割合は10〜40%であることが好ましい。全クロムに対する三価クロムの割合が10%未満の場合には、クロメート層の耐アルカリ性が低下するため、被覆鋼材として十分な耐陰極剥離性が得られなくなるおそれがある。一方、全クロムに対する三価クロムの割合が40%を超えた場合には、クロメート処理液の安定性が低下する傾向があり、これは、均一な耐陰極剥離性を有する被覆鋼材を大量生産する場合には不利である。
なお、本発明では、クロメート層の焼き付け時の鋼材到達温度を特に規定しないが、80℃以上とすることが好ましい。焼き付け温度が80℃未満の場合には、クロメートの高分子量化が阻害されるため、クロメート層の耐アルカリ性が著しく低下するので好ましくない。
(ポリイソシアネートの合成)
所定の反応容器に、表1に示す(A)群より選ばれた化合物を窒素中で90℃に加熱し、キシレンジイソシアネート或いはポリフェニルポリメチルジイソシアネートをそれぞれ所定量攪拌しながらゆっくりと滴下することにより、表1に示す硬化剤であるポリイソシアネートNo.1〜17を得た。
Figure 0004595494
(被覆鋼材の作製)
実施例1
3W型鋼矢板(山材)の表面をスチールブラスト処理を施して黒皮を除去し、表面を十点平均粗さRzで40〜60μmに仕上げた。クロメート処理液(商品名:コスマー100、関西ペイント(株)製)を純水で1/10に希釈した後、焼き付け後のCr換算付着量が250mg/m2、全クロムに対する三価クロムの割合が35%になるように前記鋼矢板表面にスプレー塗布した。クロメートを塗布した鋼矢板を加熱炉にて鋼材到達温度が80〜100℃になるように焼き付けた後、ウレタンプライマーを乾燥膜厚換算で60〜100μmになるようスプレーで塗布した。ウレタンプライマーのポリオール(主剤)としては、メタキシレンジアミンのアミン部位にエチレンオキサイドを2個ずつ付加したポリオールA(BLAUNON MXDA EO-4:青木油脂工業(株)製)を用い、ポリオールA100質量部に、燐酸亜鉛(LFボウセイ ZP-SB:キクチカラー(株)製)を100質量部配合した。ウレタンプライマーのポリイソシアネート(硬化剤)としては、表1に示すキシレンジイソシアネートとジプロピレングリコールとの反応生成物であるポリイソシアネート1を用いた。主剤中の水酸基に対する硬化剤中のイソシアネート基の割合が1.3になるように、主剤と硬化剤を混合し、塗布した。塗布したプライマーは室温の環境下で2時間乾燥させた後に、ひまし油にアニリン−エチレンオキサイド付加体を混合したポリオールを、ポリフェニルポリメチルポリイソシアネートで硬化したポリウレタン樹脂(パーマガード137:第一工業製薬(株)製)を、先端衝突混合式のスプレーで、膜厚が3.0〜3.5mmになるよう塗布し、1昼夜放置した。
実施例2
実施例1と同様に樹脂被覆重防食鋼矢板を作製した。ただしウレタンプライマーの硬化剤としては表1のポリイソシアネート2を用いた。
実施例3
実施例1と同様に樹脂被覆重防食鋼矢板を作製した。ただしウレタンプライマーの硬化剤としては表1のポリイソシアネート3を用いた。
実施例4
実施例1と同様に樹脂被覆重防食鋼矢板を作製した。ただしウレタンプライマーの硬化剤としては表1のポリイソシアネート4を用いた。
実施例5
実施例1と同様に樹脂被覆重防食鋼矢板を作製した。ただしウレタンプライマーの硬化剤としては表1のポリイソシアネート5を用いた。
実施例6
実施例1と同様に樹脂被覆重防食鋼矢板を作製した。ただしウレタンプライマーの硬化剤としては表1のポリイソシアネート6を用いた。
実施例7
実施例1と同様に樹脂被覆重防食鋼矢板を作製した。ただしウレタンプライマーの硬化剤としては表1のポリイソシアネート7を用いた。
実施例8
実施例1と同様に樹脂被覆重防食鋼矢板を作製した。ただしウレタンプライマーの硬化剤としては表1のポリイソシアネート8を用いた。
実施例9
実施例1と同様に樹脂被覆重防食鋼矢板を作製した。ただしウレタンプライマーの硬化剤としては表1のポリイソシアネート9を用いた。
実施例10
実施例1と同様に樹脂被覆重防食鋼矢板を作製した。ただしウレタンプライマーの硬化剤としては表1のポリイソシアネート10を用いた。
実施例11
実施例1と同様に樹脂被覆重防食鋼矢板を作製した。ただしウレタンプライマーの硬化剤としては表1のポリイソシアネート11を用いた。
実施例12
実施例1と同様に樹脂被覆重防食鋼矢板を作製した。ただしウレタンプライマーの硬化剤としては表1のポリイソシアネート12を用いた。
実施例13
実施例1と同様に樹脂被覆重防食鋼矢板を作製した。ただし、ウレタンプライマーの主剤と硬化剤は、主剤中の水酸基に対する硬化剤中のイソシアネート基の割合が0.8になるように配合した。
実施例14
実施例1と同様に樹脂被覆重防食鋼矢板を作製した。ただし、ウレタンプライマーの主剤と硬化剤は、主剤中の水酸基に対する硬化剤中のイソシアネート基の割合が2.0になるように配合した。
実施例15
実施例1と同様に樹脂被覆重防食鋼矢板を作製した。ただし、防錆顔料である、トリポリリン酸二水素アルミニウム、シリカ及び酸化亜鉛の配合物(商品名:K-WHITE #85、テイカ(株)製)を主剤であるポリオール100質量部に対して100質量部配合したものを用いた。
実施例16
実施例1と同様に樹脂被覆重防食鋼矢板を作製した。ただし、防錆顔料である、トリポリリン酸二水素アルミニウム(商品名:k-fresh 100P、テイカ(株)製)を、主剤であるポリオール100質量部に対して100質量部配合したものを用いた。
実施例17
実施例1と同様に樹脂被覆重防食鋼矢板を作製した。ただし、防錆顔料である、酸化チタン(D-918:堺化学工業(株)製)を、主剤であるポリオール100質量部に対して100質量部配合したものを用いた。
実施例18
実施例1と同様に樹脂被覆重防食鋼矢板を作製した。ただし、防錆顔料である、トリポリリン酸二水素アルミニウム(商品名:k-fresh 100P、テイカ(株)製)を、主剤であるポリオール100質量部に対して10質量部配合したものを用いた。
実施例19
実施例1と同様に樹脂被覆重防食鋼矢板を作製した。ただし、防錆顔料である、トリポリリン酸二水素アルミニウム(商品名:k-fresh 100P、テイカ(株)製)を、主剤であるポリオール100質量部に対して200質量部配合したものを用いた。
実施例20
実施例1と同様に樹脂被覆重防食鋼矢板を作製した。ただし、クロメート被膜のCr換算付着量が100mg/m2であった。
実施例21
実施例1と同様に樹脂被覆重防食鋼矢板を作製した。ただし、クロメート被膜のCr換算付着量が500mg/m2であった。
実施例22
実施例1と同様に樹脂被覆重防食鋼矢板を作製した。ただし、ウレタンプライマーの硬化剤としては表1のポリイソシアネート13を用いた。
実施例23
実施例1と同様に樹脂被覆重防食鋼矢板を作製した。ただし、ウレタンプライマーのポリオール(主剤)としては、ポリフェニルポリメチルジイソシアネート4molと平均分子量400のポリプロピレングリコール3molを窒素気流下で60℃に昇温して1時間反応させることによって得られたポリオールBを用い、ポリオールB100質量部に、燐酸亜鉛を100質量部配合した。一方、ウレタンプライマーの硬化剤としては、表1のポリイソシアネート1を用い、主剤中の水酸基に対する硬化剤中のイソシアネート基の割合が1.3になるように、主剤と硬化剤を混合した。
実施例24
実施例1と同様に樹脂被覆重防食鋼矢板を作製した。ただし、ウレタンプライマーの硬化剤としては表1のポリイソシアネート14を用いた。
実施例25
実施例1と同様に樹脂被覆重防食鋼矢板を作製した。ただし、ウレタンプライマーのポリオール(主剤)としては、過剰量のメタキシレンジアミン−エチレンオキサイド付加体にメタキシレンジイソシアネートを反応させて得られたポリオールCを用いた。
実施例26
実施例1と同様に樹脂被覆重防食鋼矢板を作製した。ただし、プライマー層にシランカップリング剤Fとして3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM-903:信越化学(株)製)を、主剤であるポリオール100質量部に対して5質量部添加した。
実施例27
実施例1と同様に樹脂被覆重防食鋼矢板を作製した。ただし、プライマー層にシランカップリング剤Gとして3−アミノプロピルトリエトキシシラン(KBE-903:信越化学(株)製)を、主剤であるポリオール100質量部に対して5質量部添加した。
実施例28
実施例1と同様に樹脂被覆重防食鋼矢板を作製した。ただし、プライマー層にシランカップリング剤HとしてN-2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(KBM-602:信越化学(株)製)を、主剤であるポリオール100質量部に対して5質量部添加した。
実施例29
実施例1と同様に樹脂被覆重防食鋼矢板を作製した。ただし、プライマー層にシランカップリング剤IとしてN-2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM-603:信越化学(株)製)を、主剤であるポリオール100質量部に対して1質量部添加した。
実施例30
実施例1と同様に樹脂被覆重防食鋼矢板を作製した。ただし、プライマー層にシランカップリング剤JとしてN-2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン(KBE-603:信越化学(株)製)を、主剤であるポリオール100質量部に対して30質量部添加した。
実施例31
実施例1と同様に樹脂被覆重防食鋼矢板を作製した。ただし、プライマー層にシランカップリング剤Kとして3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(KBE-9007:信越化学(株)製)を、主剤であるポリオール100質量部に対して5質量部添加した。
実施例32
実施例1と同様に樹脂被覆重防食鋼材を作製した。ただし、ウレタンプライマーのポリオール(主剤)としては、メタキシレンジアミンのアミンに、プロピレンオキサイドを2個ずつ付加したメタキシレンジアミン−プロピレンオキサイド付加体(MXDA−PO4:三菱ガス化学(株)製):ポリオールDを用いた。
実施例33
実施例1と同様に樹脂被覆重防食鋼材を作製した。ただし、ウレタンプライマーポリオール(主剤)としては、過剰量のメタキシレンジアミン−プロピレンオキサイド付加体(MXDA−PO4:三菱ガス化学(株)製)にメタキシレンジイソシアネートを反応させて得られたポリオールEを用いた。
実施例34
実施例1と同様に樹脂被覆重防食鋼材を作製した。ただし、防錆顔料として焼石こう(吉野石膏(株)製)を主剤であるポリオール100質量部に対して100質量部配合したものを用いた。
実施例35
実施例1と同様に樹脂被覆重防食鋼材を作製した。ただし、ウレタンプライマーの硬化剤としては表1のポリイソシアネート15を用いた。
実施例36
実施例1と同様に樹脂被覆重防食鋼材を作製した。ただし、ウレタンプライマーの硬化剤としては表1のポリイソシアネート16を用いた。
実施例37
実施例1と同様に樹脂被覆重防食鋼材を作製した。ただし、ウレタンプライマーの硬化剤としては表1のポリイソシアネート17を用いた。
比較例1
実施例1と同様に樹脂被覆重防食鋼矢板を作製した。ただし、ウレタンプライマーのポリオール(主剤)としては、実施例23と同じポリオールBを用い、ポリイソシアネート(硬化剤)としては、表1のポリイソシアネート13を用いた。主剤中の水酸基に対する硬化剤中のイソシアネート基の割合が1.3になるように、主剤と硬化剤を混合した。
(ウレタンプライマー層の酸素透過度の測定)
膿厚100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:ルミラーシート、東レ(株)製)の上に、上記実施例1〜37ならびに比較例1でそれぞれ用いたプライマーを10μm程度塗装し、室温で2昼夜風乾させた。この樹脂フィルムの酸素透過度を酸素透過率計(商品名:GPM-200、Lyssy社製)を用いて23℃の室内で測定した。下記の式を用いて、予め測定したポリエチレンテレフタレート単体の酸素透過度の値を差し引き、プライマー層単体の酸素透過度Pを求めた。
P=X×P0/(P0−X)
ただし、Xは測定値、P0はポリエチレンテレフタレートフィルム単体の酸素透過度、Pはプライマー層単体の酸素透過度を表す。なお、算出したPは、膜厚1mm、面積1m、1日の値に換算して、表1に記載した。
(耐陰極剥離性の評価)
上記実施例1〜37ならびに比較例1に示した要領で作製した樹脂被覆重防食鋼材からそれぞれ鋸切で切り出し、サイズ:100mm×100mmの各7個の試験片を得た。
サイズ:100mm×100mmの各2個の試験片については、断面積1cmの円柱型の鋼製引張り治具をエポキシ系接着剤で接着した後、前記鋼製治具の周囲のポリウレタン防食層に鋼面に達する切込みをリューターで施した。ポリウレタン被覆層の初期密着強度(N/cm2)を、引張り試験機(引張り速度:5mm/min)で測定し平均を求めた。
サイズ:100mm×100mmの各5個の試験片については、切り出したサンプルの4端面を研磨した後、アルミリベットを用いて樹脂被覆されたリード線を切断面の1カ所に取り付けた。アルミリベット部をエポキシ系の接着剤でシールした後、全てのサンプルについて、裏面(ポリウレタン防食層が被覆されていない素地鋼材表面)と3端面とを、シリコンシーラントでシールした。シーラントが完全に乾燥したら、空気を吹き込んだ60℃の3質量%NaCl水溶液に180日間浸漬させた。その際に、リード線の片端をポテンシオスタットに接続し、白金電極を対極とし、−1.0V vs SCEの電位になるように、シールを施していない端面の露出した鋼面に電圧を印加した。上記の試験片を180日浸漬した後に取り出し、樹脂被覆鋼材の露出させた端面から、樹脂被覆層を強制的に剥離させ、剥離界面において鋼面が露出した距離をノギスで測定した。ここで、鋼面が露出した距離の5個の試験片の平均値を耐陰極剥離性として評価した。なお、この剥離作業にて鋼面が露出した領域は、樹脂被覆層の密着性が失われているため、実質的な防食性能をもはや期待できない部位であり、この露出距離が短いほど良好な耐陰極剥離性を有すると判定できる。
評価結果を表2,3に示す。
Figure 0004595494
Figure 0004595494
実施例1〜37ならびに比較例1のいずれの試験片も、初期密着強度は1000N/cm2以上と良好であり、試験後の剥離界面はいずれもポリウレタン防食層の凝集破壊であった。
しかしながら、ウレタンプライマーのポリオール(主剤)としてキシレンジアミン−エチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加体を用いず、かつ、ウレタンプライマーのポリイソシアネート(硬化剤)としてキシレンジイソシアネートと前記(A)群から選ばれた1種以上との反応生成物を用いない比較例1においては、プライマー層の酸素透過度が0.5(ml・mm)/(m2・day・atm)より高いため、60℃で180日間浸漬した後の鋼面露出距離が長くなり、耐陰極剥離性が劣っている。
一方、ウレタンプライマーのポリオール(主剤)としてキシレンジアミン−エチレンオキサイド付加体を用いた場合、或いは、ウレタンプライマーのポリイソシアネート(硬化剤)としてキシレンジイソシアネートと前記(A)群から選ばれた1種以上との反応生成物を用いた実施例1〜37については、いずれのプライマー層も0.5(ml・mm)/(m2・day・atm)以下の小さな酸素透過度を示し、その結果、耐陰極剥離性に優れた樹脂被覆重防食鋼材が得られた。
本発明によれば、ウレタンプライマー層の組成の適正化を図り、陰極剥離現象に必要不可欠な酸素に対する遮断能を飛躍的に高めることにより、土中、河川および海洋等の腐食の厳しい環境において優れた耐陰極剥離性を有する樹脂被覆重防食鋼材、特に、鋼管杭、鋼矢板、鋼管矢板および土中に埋設されるラインパイプの提供が可能になった。
本発明に従う樹脂被覆重防食鋼材の断面図である。
符号の説明
10 樹脂被覆重防食鋼材
11 素地鋼材
12 クロメート層
13 ウレタンプライマー層
14 ポリウレタン防食層

Claims (6)

  1. 素地鋼材の表面に、ウレタンプライマー層およびポリウレタン防食層を順次積層した樹脂被覆重防食鋼材において、前記ウレタンプライマー層が、ポリオールとポリイソシアネートとの硬化物であり、かつ該ポリイソシアネートと該ポリオールの混合比が、ポリオール中の水酸基に対するポリイソシアネート中のイソシアネート基の割合にして0.8〜2.0であり、前記ウレタンプライマー層の23℃における酸素透過度が0.5(ml・mm)/(m2・day・atm)以下であり、前記ウレタンプライマー層が、酸化チタン、燐酸亜鉛、焼石こう及びトリポリリン酸二水素アルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を、前記ポリオール100質量部に対して10〜200質量部の割合で含有することを特徴とする樹脂被覆重防食鋼材。
  2. 前記ウレタンプライマー層が、シリカ及び酸化亜鉛をさらに含有し、且つ、前記酸化チタン、燐酸亜鉛、焼石こう及びトリポリリン酸二水素アルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種と前記シリカ及び酸化亜鉛との含有量の合計が、前記ポリオール100質量部に対して10〜200質量部の割合であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂被覆重防食鋼材。
  3. 前記ポリオールが、キシレンジアミン−エチレンオキサイド付加体、キシレンジアミン−プロピレンオキサイド付加体、キシレンジアミン−エチレンオキサイド付加体とポリイソシアネートとの反応生成物、およびキシレンジアミン−プロピレンオキサイド付加体とポリイソシアネートとの反応生成物の中から選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の樹脂被覆重防食鋼材。
  4. 前記ポリイソシアネートが、キシレンジイソシアネートと下記(A)群から選ばれた1種または2種以上との反応生成物を含有することを特徴とする請求項1に記載の樹脂被覆重防食鋼材。

    (A)群:ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチルプロパン−オレフィンオキサイド付加体、エチレンジアミン−オレフィンオキサイド付加体、ビスフェノールA−オレフィンオキサイド付加体、ビスフェノールF−オレフィンオキサイド付加体、アニリン−オレフィンオキサイド付加体、キシレンジアミン−オレフィンオキサイド付加体、アルカノールアミン、レゾルシノール、レゾルシノール−オレフィンオキサイド付加体、トリエチレンテトラミン−オレフィンオキサイド付加体
  5. 前記ウレタンプライマー層が、さらに下記(B)群から選ばれた1種または2種以上のシランカップリング剤を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂被覆重防食鋼材。

    (B)群:3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン
  6. 前記素地鋼材が、表面にクロメート層を有するクロメート被覆鋼材であり、前記クロメート層のクロム換算付着量が100〜500mg/m2であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂被覆重防食鋼材。
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