JP2002331028A - 医療用チューブおよびその製造方法 - Google Patents

医療用チューブおよびその製造方法

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JP2002331028A JP2001140295A JP2001140295A JP2002331028A JP 2002331028 A JP2002331028 A JP 2002331028A JP 2001140295 A JP2001140295 A JP 2001140295A JP 2001140295 A JP2001140295 A JP 2001140295A JP 2002331028 A JP2002331028 A JP 2002331028A
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Chisa Niwa
智佐 丹羽
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 抗菌性金属を光触媒層内に担持させ、十分に
高い担持強度を可能とするとともに、その担持量のコン
トロールを容易化し、酸化チタン光触媒層による作用効
果に加え抗菌性金属担持による作用効果を、安定して最
大限に発揮させることを可能とした、医療用チューブお
よびその製造方法を提供する。 【解決手段】 エラストマーからなるチューブ本体の表
面に、表面に抗菌性金属が担持された酸化チタン粒子に
より光触媒層が形成されていることを特徴とする医療用
チューブ、およびその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医療用チューブお
よびその製造方法に関し、とくに、酸化チタンを含む光
触媒層を設けるとともに該光触媒層内に抗菌性金属を担
持させることにより優れた抗菌性をもたせた医療用チュ
ーブおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、酸化チタンの光触媒反応が注目さ
れつつあり、酸化チタン光触媒が各種有機物の分解に極
めて有効であるとともに、細菌やウイルスの付着防止、
殺菌等の抗菌性をもたせる場合にも極めて有効であるこ
とが知られつつある。
【0003】医療の分野においては、実質的に全ての装
置や周囲の全ての物に防汚性、抗菌性をもたせることが
好ましいが、とくに、直接治療等に用いる各種医療用チ
ューブ(たとえば、生体内への挿入又は留置を目的とし
たカテーテルや、内視鏡)には、二次感染防止等の観点
から、優れた防汚性、抗菌性が求められる。
【0004】したがって、このような医療用チューブに
酸化チタン光触媒層を設けて抗菌性をもたせることがで
きれば非常に望ましいと考えられる。しかし、医療用チ
ューブは通常シリコーンゴム等の可撓性あるいは弾力性
を有するフレキシブルなチューブからなっており、フレ
キシブルなチューブの表面に実質的に無機物の固い膜を
形成する酸化チタン光触媒の薄い層を形成、固着させる
のが難しいためか、現状では、医療用チューブに酸化チ
タン光触媒層を設けた提案は未だ見当たらない。
【0005】光触媒層は、主には酸化チタン粒子からな
るが、この粒子をコーティングによりチューブに固着さ
せるためにはバインダーが用いられる。通常コーティン
グ層に可撓性を付与するために、バインダーには有機物
を多く含んだ成分が用いられる。しかし光触媒コーティ
ングの場合は、光触媒が有機物を酸化分解するため、バ
インダーには無機物を用いる必要がある。ところが、こ
のような無機物は、光触媒酸化チタンと同様、硬くて脆
い。最も多く用いられている光触媒のバインダーはシリ
カであるが、やはり硬くて脆いという問題がある。
【0006】したがって、エラストマーのように、大き
な伸縮が生じる基材には、このような硬くて脆い成分か
らなるコーティング層は追従できず、剥離してしまうと
いう問題があった。
【0007】一方、上記光触媒による防汚効果、抗菌効
果とは別に、銀等の抗菌性金属による抗菌効果も知られ
ている。光触媒層による光触媒活性を発揮させるには、
基本的には光照射を必要とするが、抗菌性金属による抗
菌効果は、暗所でもその効果を発揮可能である。
【0008】そこで先に本発明者らによって、酸化チタ
ン光触媒層の表面に抗菌性金属、とくに銀を担持させ、
光触媒層による抗菌性と担持した銀による抗菌性との両
方を発揮可能とし、抗菌性を一段と高めるとともに、体
内等の暗所でも、少なくとも銀による抗菌性を発揮可能
な医療用チューブが提案されている(特願2000−1
41632号)。
【0009】ところが、上記先の提案では、抗菌性金属
を酸化チタン光触媒層の表面に担持させるようにしてい
たので、十分な量の担持が難しく、かつ、担持強度が不
十分となって抗菌性金属層が脱落するおそれがあった。
また、担持量をコントロールすることも難しかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の課題
は、抗菌性金属を光触媒層内に担持させ、十分に高い担
持強度を可能とするとともに、その担持量のコントロー
ルを容易化し、酸化チタン光触媒層による作用効果に加
え抗菌性金属担持による作用効果を、安定して最大限に
発揮させることを可能とした、医療用チューブおよびそ
の製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明に係る医療用チューブは、エラストマーから
なるチューブ本体の表面に、表面に抗菌性金属が担持さ
れた酸化チタン粒子により光触媒層が形成されているこ
とを特徴とするものからなる。
【0012】この医療用チューブにおいては、光触媒層
が多数のマイクロクラックを有することが好ましい。酸
化チタンを含む光触媒層にマイクロクラックを多数導入
することによって、基材であるエラストマーの伸縮の際
にも、マイクロクラックにより応力緩和がなされ、エラ
ストマー表面と光触媒層の密着性が失わなれることがな
いようにすることができる。すなわち、一般に膜のクラ
ックは、剥離の原因となるように考えられているが、本
発明者らは、硬いコーティングを施したような場合に
は、基材との界面の密着性を維持した状態で、薄膜が細
かく分断されたような薄膜にかかる応力は、クラック部
分で開放されるので、かえって密着性を維持することが
できることを見出したものである。したがって、上記マ
イクロクラックは、十分に応力を開放できる程度に微細
であることが望ましい。またこの場合膜厚が薄すぎると
クラックが入りにくく、厚すぎると亀裂が走る際に界面
を破壊するので、膜厚を適切な範囲に納めることが好ま
しい。膜厚の最適値は、たとえば、10nm以上、10
μm以下の範囲にある。
【0013】本発明における抗菌性金属として、たとえ
ば銀が用いられる。このような抗菌性金属は、暗所でも
優れた抗菌性を発揮する。本発明では、この抗菌性金属
が、酸化チタン光触媒層の表面のみに設けられるのでは
なく、個々の酸化チタン粒子の表面に担持され、その抗
菌性金属担持酸化チタン粒子により光触媒層が形成され
る。したがって、抗菌性金属は、光触媒層内に均一に分
散された状態で光触媒層内に担持されることになる。
【0014】抗菌性金属が銀である場合、酸化チタン粒
子に対する銀の被覆率としては0.01〜5%の範囲に
あることが好ましい。被覆率が0.01%未満では銀担
持による効果が乏しく、5%を超えると、コーティング
等による担持が難しくなるとともに、光触媒層成膜の際
に酸化チタン粒子の適切な凝集を妨げるおそれが生じ
る。この担持される銀成分としては、その50%以上が
析出した銀(〔Ag0 」と表示する。)からなることが
好ましい。析出させずに、たとえば銀イオンの形態のま
ま多量に残存すると、担持量のコントロールが難しくな
るとともに、担持した銀による抗菌効果が十分に発揮さ
れない。
【0015】本発明に係る医療用チューブの製造方法
は、エラストマーからなるチューブ本体の表面を酸処理
した後、その表面上に、表面に抗菌性金属を担持した酸
化チタン粒子を含む光触媒層をコーティングにより成膜
することを特徴とする方法からなる。
【0016】この方法においては、成膜する光触媒層に
多数のマイクロクラックを生成させることが好ましい。
また、抗菌性金属としては、たとえば銀を用いることが
できる。たとえば、酸化チタン粒子の表面に銀を析出さ
せて担持させ、該銀担持酸化チタン粒子を含むコーティ
ング液を用いて光触媒層を成膜することができる。
【0017】本発明に係る医療用チューブおよびその製
造方法は、代表的には生体内に挿入する時に留置を目的
とした各種のカテーテルや、内視鏡に適用できるが、こ
れに限らず、抗菌性をもたせることが望ましいあらゆる
種類の医療用チューブに適用できる。
【0018】上記のような本発明に係る医療用チューブ
およびその製造方法においては、エラストマーからなり
可撓性を有するチューブ本体の表面に、個々の粒子表面
に抗菌性金属が担持された酸化チタン粒子により光触媒
層が形成され、抗菌性金属は基本的に、成膜された光触
媒層に対し、均一に分散された状態で光触媒層内に担持
される。したがって、担持させた抗菌性金属による抗菌
効果がきわめて良好に発揮され、暗所でも優れた抗菌効
果が得られる。同時に、酸化チタン粒子による光触媒活
性も発揮可能であるから、光触媒活性による防汚効果、
抗菌効果と、抗菌性金属による抗菌効果の両方をともに
好ましい状態で発揮可能な、望ましい医療用チューブが
実現されることになる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の望ましい実施の
形態を、図面を参照しながら説明する。
【0020】図1は、本発明の一実施態様に係る医療用
チューブの部分斜視図を示しており、本発明をカテーテ
ルに適用した場合を示している。図1において、1は医
療用チューブとしてのカテーテルを示しており、カテー
テル1は、エラストマーからなるチューブ本体2と、そ
の表面に成膜された酸化チタン光触媒層3からなる。本
実施態様では、酸化チタン光触媒層3は、チューブ本体
2の内外両面上に成膜されている(層3a、3b)。こ
の酸化チタン光触媒層3を構成する各酸化チタンには、
後述の如く、抗菌性金属としての銀が担持されており、
酸化チタン光触媒層3が成膜された状態では、銀は光触
媒層3内に均一に分散された状態で担持されている。
【0021】上記カテーテル1は、たとえば次のように
製造される。まず、チューブ本体2、とくにその表面を
洗浄、乾燥した後、表面を酸処理する。酸処理に用いる
酸は、とくに限定されず、たとえば硫酸を使用できる。
処理は、たとえばチューブ本体2を、所定濃度に調製さ
れた酸に、所定時間浸漬することにより行う。酸処理を
行った後、チューブ本体2の対象とする面、つまり、内
外面の少なくとも一方に酸化チタン光触媒層をコーティ
ングにより成膜し、固着させる。この酸化チタン光触媒
層のコーティングは、チューブ本体2の酸処理された表
面に直接行うことも可能であるが、たとえば低温硬化2
層タイプのゾル液を用い、まず接着層をコーティング、
乾燥し、その上に、酸化チタン光触媒層をコーティング
する方が、より強固に成膜できる。このように接着層と
酸化チタン光触媒層を順次コーティングする場合にも、
仕上がった層は、一体的な酸化チタン光触媒層3として
成膜される。
【0022】コーティング方法としては、スプレー等の
方法によることもできるが、均一な薄い酸化チタン光触
媒層を成膜するためには、ディップコーティング法を採
用することが好ましい。たとえば図2に示すように、容
器4内にコーティングすべきディップ液5を収容し、デ
ィップ液5中に、酸処理後のチューブ本体2を所定時間
浸漬し、しかる後に、コーティングされたチューブ本体
2を、モーター6の回転速度を制御することにより所定
の速度で引き上げる。コーティングにおけるディップ液
5の温度、浸漬時間、引き上げ速度、引き上げ後の乾燥
温度、乾燥時間は、酸化チタン光触媒層の成膜状態を決
定する重要な要因となるので、チューブ本体2の材質や
ディップ液5の仕様に応じて、各種試験により最適な条
件を決定する。
【0023】上記コーティングのためのディップ液5
は、たとえば図3に示すように調製される。光触媒層を
形成する塗料、つまり、酸化チタン粒子を含有した塗料
7を容器8に入れ、カートリッジペーパー9等の適当な
手段を用いて硝酸銀を所定量加えて銀イオンを混入し、
かき混ぜ棒10で混合する。この銀イオンを混入した光
触媒層塗料7をさらにマグネチックスターラー11で攪
拌しながら、所定の紫外光(UV光)12を所定時間照
射して銀を析出させ、個々の酸化チタン粒子の表面に銀
が担持されたAg−TiO2 光触媒層塗料を得る。得ら
れたAg−TiO 2 光触媒層塗料を前記ディップ液5と
して用いて、シリコーンゴム製の前記カテーテル用チュ
ーブ本体2の表面にコーティングし、成膜することによ
り本発明に係る光触媒層を形成することができる。
【0024】このように、個々の粒子の表面に予め抗菌
性金属(銀)を担持させた酸化チタン粒子を含む塗料を
用いてコーティングすることにより、たとえば図4に示
すような酸化チタン光触媒層が形成される。図4に示す
ように、基材13(チューブ本体)の表面には、予め酸
化チタン粒子14の一つ一つに抗菌性金属(銀)15が
担持され、その抗菌性金属15を担持した酸化チタン粒
子14によって光触媒層16が成膜される。光触媒層1
6は、その内部まで抗菌性金属15が均一に分散された
組織に形成され、抗菌性金属15がより強固に担持、固
着された状態とされる。そして、この光触媒層16に
は、多数のマイクロクラック17が形成される。このよ
うに光触媒層16内に抗菌性金属15が均一に担持され
ると、担持強度が向上されるとともに、担持量のコント
ロールも容易になり、精度良く、所望量の抗菌性金属1
5を担持できるようになる。また、多数のマイクロクラ
ック17が形成されることにより、可撓性の基材13
(チューブ本体)に対しても、剥離の生じない強固な接
着状態にて、所定の光触媒層16を形成することが可能
になり、繰り返し使用にも高い耐久性を示すことが可能
になる。
【0025】図3に示したような方法により、抗菌性金
属、とくに銀を、イオンのけいたいではなく析出した銀
(Ag0 )として、各酸化チタン粒子14の表面に担持
させることができる。このような金属担持酸化チタン粒
子については、たとえば銅や白金を担持させた研究論文
が発表されており、光触媒活性を向上できることが知ら
れている。したがって、本発明における上記酸化チタン
粒子14の表面に担持される銀も極力析出した銀である
ことが好ましく、たとえば、担持された銀成分の50%
以上が析出した銀(Ag0 )からなることが好ましい。
また、担持される銀の大部分がAg0 であると、抗菌性
も向上すると考えられる。銀イオンをほとんど残さずに
実質的にすべてAg0 にするためには、図3に示したよ
うに紫外光照射によって銀を析出させる方法が有効であ
る。また、成膜後に紫外光照射により銀を析出させるこ
とも可能である。たとえば、コーティング液に対して1
0日間程度紫外光照射を行い、さらに、コーティングに
も3時間程度紫外光照射を行うことが有効である。
【0026】上記のように個々の酸化チタン粒子に銀を
担持させる場合、酸化チタン粒子に対する銀の被覆率は
0.01〜5%の範囲にあることが好ましい。0.01
%未満では銀担持の効果が乏しい。また、銀による抗菌
効果のみに着目すれば、銀の被覆率は高いほど良いが、
酸化チタン粒子による光触媒活性や光触媒層形成のため
の粒子凝集作用を損なわないためには、高すぎる被覆率
は好ましくない。銀の被覆率が1%と10%のコーティ
ング溶液を用いて、基板(シリコーンプレートおよびガ
ラスプレート)上に酸化チタン光触媒層を成膜する試験
を行った結果、被覆率1%のコーティング溶液では所望
の光触媒層を成膜できたが、被覆率10%のコーティン
グ溶液ではコーティングできず、成膜に成功しなかっ
た。この理由としては、コーティング溶液中の酸化チタ
ン粒子上に多量の銀が析出されたことにより、1粒子当
たりの質量が増大して、粘性率が低下したこと、また、
酸化チタン粒子が多量の銀で覆われてしまったため、酸
化チタン粒子同士の分子間の凝集力が阻害されてしまっ
たことが考えられる。したがって、銀の被覆率の上限
は、5%程度とすることが好ましい。
【0027】なお上記において、銀の被覆率は、次のよ
うに計算する。すなわち、銀粒子における金属結合半径
を1.44Åとして、球形銀粒子1粒子当たりの断面積
と質量を求める。一方酸化チタン粒子1粒子当たりの表
面積と質量を、使用した酸化チタン粒子のサイズ(径)
から求める。銀粒子はモノレイヤー(単層)で被覆され
ると仮定し、酸化チタン粒子1粒子の全表面が銀粒子で
覆われた場合の銀粒子個数を求め、その場合を被覆率1
00%とした。この被覆率100%の場合の酸化チタン
粒子の質量に対する銀粒子の質量の割合を求めておく。
実際に被覆に使用された銀の量の、酸化チタン量に対す
る割合がわかれば、上記被覆率100%の場合の割合か
ら、実際の被覆率が容易に計算される。
【0028】
【実施例】以下に、実施例に基づいて、本発明をより具
体的に説明し、併せて、本発明による作用、効果、とく
に、銀担持酸化チタン粒子を用いて光触媒層を形成して
も、酸化チタン粒子による光触媒活性が殆ど阻害されな
いこと、および、銀担持酸化チタン粒子を用いて光触媒
層を形成することにより、暗所でも優れた抗菌性を発揮
できることについて説明する。
【0029】まず、銀担持酸化チタン粒子を用いた場合
の酸化チタン粒子による光触媒活性への影響について試
験した。前述の如く、硝酸銀を使用し、UV照射を併用
して析出させた銀を被覆率1%で担持させた酸化チタン
粒子を含むコーティング液を用いて、シリコーンプレー
ト上に光触媒層を成膜した。一方、銀を担持させず、酸
化チタンのみにより同様にシリコーンプレート上に光触
媒層を成膜した。両シリコーンプレートを、それぞれ、
1.0mMメチレンブルー水溶液中に1時間浸漬して、
表面に色素を吸着させた後、光触媒評価チェッカーを用
いて光触媒活性を評価した。結果を図5に示す。
【0030】図5に示すように、銀担持酸化チタン粒子
を用いて形成した光触媒層の光触媒活性は、酸化チタン
のみにより形成した光触媒層の光触媒活性よりはごく僅
か低下するものの、殆ど性能は変わらず、内部に銀を担
持した光触媒層でも十分に高い光触媒活性を発揮できる
ことを確認できた。したがって、光触媒層内に銀を担持
した場合でも、酸化チタン粒子自身による光触媒活性を
良好に発揮させることができ、酸化チタン粒子自身によ
る優れた防汚効果、抗菌効果が期待できることがわか
る。
【0031】つぎに、銀担持酸化チタン粒子を用いて光
触媒層を形成することにより、暗所でも優れた抗菌性を
発揮できることを確認するために、以下の試験を行っ
た。光触媒層を形成する塗料(NDC−100C、日本
曹達(株)製)200ml中に硝酸銀0.2gを加え
て、0.6重量%の銀イオンを混入した。この銀イオン
を混入した光触媒層塗料をマグネチックスターラーで攪
拌しながら、1mW/cm2 の紫外光を5日間照射して
銀を析出させ、個々の酸化チタン粒子に銀が担持された
Ag−TiO2 光触媒層塗料を得た。得られたAg−T
iO2 光触媒層塗料を用いて、まずガラス基板上でAg
−TiO2 光触媒層のサンプルを形成し、そのサンプル
の色彩をガラス基板上で検査したところ、淡黄色を呈し
ており、銀の色が確認できないほどであった。すなわ
ち、酸化チタン粒子に銀が薄く均一に担持されており、
透明に近い外観のコーティング層が得られた。その後、
接着層のコーティングと同様の操作で、シリコーンゴム
に上記Ag−TiO2 光触媒層塗料をコーティングし、
光触媒層を成膜した。
【0032】このAg−TiO2 光触媒層を成膜したサ
ンプルと、銀をまったく担持させていないサンプルとに
ついて試験した。試験には、大腸菌株(E.coli,
IF03301)の懸濁液を使用してそれを150μl
スポットで付与し、担持されている銀による抗菌性を観
るためにすべて暗所にて試験し、殺菌速度(生存率)を
測定した。結果を図6に示す。図6に示すように、銀を
担持させていない光触媒層においては、光が全く無い暗
所では実質的に抗菌効果を発揮できなかったが、上記の
ような光触媒層成膜方法により光触媒層内に銀を均一に
担持させたものにおいては、暗所でも、シリコーンゴム
の表面は高い抗菌力を発現することを確認できた。
【0033】なお、以上の説明は主としてカテーテルに
ついて行ったが、本発明は、生体内への挿入又は留置を
目的としたカテーテルに限らず、内視鏡等、エラストマ
ーからなるチューブ本体を有し、抗菌性が求められるあ
らゆる医療用チューブに適用可能である。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る医療
用チューブおよびその製造方法によれば、表面に抗菌性
金属が担持された酸化チタン粒子により光触媒層を形成
し、銀等の抗菌性金属を光触媒層内に担持させるように
したので、高い担持強度が得られるとともに担持量のコ
ントロールが容易になり、酸化チタン粒子自身の光触媒
活性による抗菌効果と抗菌性金属による抗菌効果の両方
をともに良好に発揮させることができ、とくに暗所でも
抗菌性金属による抗菌効果を良好に発揮させることが可
能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様に係る医療用チューブとし
てのカテーテルの概略斜視図である。
【図2】ディップコーティング法を示す装置の概略構成
図である。
【図3】酸化チタン粒子に銀を担持させる方法の一例を
示す斜視図である。
【図4】銀担持酸化チタン粒子を用いて成膜した光触媒
層の一例を示す部分断面図である。
【図5】銀担持酸化チタン粒子を用いた光触媒層と銀を
用いない光触媒層の光触媒活性を比較した特性図であ
る。
【図6】銀担持酸化チタン粒子を用いた光触媒層と銀を
用いない光触媒層の抗菌性を比較した特性図である。
【符号の説明】
1 酸化チタン光触媒層付きカテーテル 2 チューブ本体 3、3a、3b 酸化チタン光触媒層 4 容器 5 ディップ液 6 モーター 7 光触媒層塗料 8 容器 11 マグネチックスターラー 12 紫外光 13 基材 14 酸化チタン粒子 15 抗菌性金属としての銀 16 光触媒層 17 マイクロクラック
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大古 善久 東京都豊島区池袋本町3−21−15 (72)発明者 渡部 俊也 神奈川県藤沢市鵠沼海岸6−15−7 (72)発明者 丹羽 智佐 神奈川県横浜市港南区港南2丁目26番−12 号 上大岡リリエンハイム207 Fターム(参考) 4C081 AC07 AC08 BA14 CA271 CB051 CF142 CG07 DA03 DC03 EA06 4G069 AA03 AA08 BA04A BA04B BA22A BA22B BA48A BB02A BB02B BC32A BC32B BE32A BE32B CA01 CA11 EB04 EB08 FA06 FB23 FB78 FC08 4J038 AA011 HA066 HA216 KA04 KA15 PA19 PB01 PC07

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エラストマーからなるチューブ本体の表
    面に、表面に抗菌性金属が担持された酸化チタン粒子に
    より光触媒層が形成されていることを特徴とする医療用
    チューブ。
  2. 【請求項2】 光触媒層が多数のマイクロクラックを有
    する、請求項1の医療用チューブ。
  3. 【請求項3】 抗菌性金属が銀である、請求項1または
    2の医療用チューブ。
  4. 【請求項4】 酸化チタン粒子に対する銀の被覆率が
    0.01〜5%の範囲にある、請求項3の医療用チュー
    ブ。
  5. 【請求項5】 担持された銀成分の50%以上が析出し
    た銀Ag0 からなる、請求項3または4の医療用チュー
    ブ。
  6. 【請求項6】 チューブ本体がシリコーンゴムからな
    る、請求項1ないし5のいずれかに記載の医療用チュー
    ブ。
  7. 【請求項7】 生体内挿入又は留置用カテーテルであ
    る、請求項1ないし6のいずれかに記載の医療用チュー
    ブ。
  8. 【請求項8】 内視鏡である、請求項1ないし6のいず
    れかに記載の医療用チューブ。
  9. 【請求項9】 エラストマーからなるチューブ本体の表
    面を酸処理した後、その表面上に、表面に抗菌性金属を
    担持した酸化チタン粒子を含む光触媒層をコーティング
    により成膜することを特徴とする、医療用チューブの製
    造方法。
  10. 【請求項10】 成膜する光触媒層に多数のマイクロク
    ラックを生成させる、請求項9の医療用チューブの製造
    方法。
  11. 【請求項11】 抗菌性金属に銀を用いる、請求項9ま
    たは10の医療用チューブの製造方法。
  12. 【請求項12】 酸化チタン粒子の表面に銀を析出させ
    て担持させ、該銀担持酸化チタン粒子を含むコーティン
    グ液を用いて光触媒層を成膜する、請求項11の医療用
    チューブの製造方法。
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