JP2019099736A - 光触媒塗装体及び光触媒塗料組成物 - Google Patents

光触媒塗装体及び光触媒塗料組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】透明性が高く、着色性が非常に低く、また、光触媒活性を発揮し、耐候性と長期的な防カビ性とを両立する光触媒塗料組成物、及びこれを用いた光触媒塗装体を提供する。【解決手段】基材と、当該基材上に光触媒含有層を具備する光触媒塗装体であって、当該光触媒含有層が、光触媒粒子Aの表面が無機酸化物で修飾されており、かつ抗菌性金属粒子Bを担持してなる抗菌性金属担持光触媒粒子ABと、紫外線吸収剤及び/又は光安定剤と、を、含有する、光触媒塗装体。【選択図】なし

Description

本発明は、光触媒塗装体及び光触媒塗料組成物に関する。
二酸化チタンを代表とする光触媒は、光(紫外光)が当たることによる超親水性の発現及び/又は活性酸素種の生成により、汚れ除去機能及び窒素酸化物除去機能等の重要な機能(光触媒活性)を発現する。
光触媒を配合した塗料又はコーティング膜は、上記機能を有するため、防汚塗料、環境浄化塗料、又はコーティング製品等として実用化されている。特に上記効果が顕著に現れるのは屋外環境下であるため、住宅やビル等の建造物における高機能塗料として普及しつつある。
一方で近年では、住宅の高付加価値商品として、外壁部材の高耐候性が求められており、それに合わせて光触媒塗料も長期間の機能発現が必要となってきている。
屋外環境下においては、日光に含まれる紫外線や雨等の水分だけでなく、光触媒反応による活性酸素種、さらにはカビの発生と侵食によっても塗膜の樹脂分が劣化するため、屋外環境下で長期間機能を発揮させるためには、紫外線や水分の劣化に対する耐性(耐候性)と防カビ性との両立が必要となる。
そこで、近年、カビを防ぐ光触媒塗料として、例えば仕上げ塗料や光触媒塗膜等に防カビ剤等の有機系薬剤を添加し、防カビ性を向上させる技術が提案されている(例えば、特許文献1及び3を参照されたい。)。
また、光触媒塗膜及び/又は塗装体の高耐候化させる技術としては、光触媒層が接する塗膜へ紫外線吸収剤等を添加する技術、光触媒を無機酸化物で修飾することで光触媒活性を抑える技術等が提案されている(例えば、特許文献2及び3を参照されたい。)。
特許第4092434号公報 特許第5361513号公報 特許第6186345号公報
しかし、上記特許文献1及び3に提案されているようなカビを防ぐ有機系薬剤は、雨水によって流されてしまうだけでなく、太陽光による分解も発生するため、効果を持続させるためには塗膜へ大量に添加する必要があるが、大量に添加することで塗装直後や経時での分解による着色が顕著になるだけでなく、塗料を扱う作業者や一般消費者に対して皮膚のかぶれ等の健康被害のリスクが高まるため、かかる有機系薬剤は一定の量の添加と効果しか望めず、長期間は持続しない可能性がある。
また、特許文献2に提案されているような紫外線吸収剤、光安定剤の添加による高耐候化を行う技術は、効果があるものの、光触媒に上記物質が接触することで光触媒反応による分解が生じ、結果的にはある一定の期間までしか効果が持続せず、20年や30年といった長期間の耐候性は見込めない可能性がある。
従って、上述した従来の技術によると、高耐候性と防カビ性とを両立する光触媒塗料の実現が困難であるという可能性がある。
そこで本発明においては、高耐候性と防カビ性とを両立した光触媒塗装体を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、基材と上記基材上に設けられる光触媒含有層を備えた光触媒塗装体に特定の光触媒化合物と、紫外線吸収剤及び/又は光安定剤が含まれることで、高い耐候性及び防カビ性を達成できることを見出した。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
基材と、
当該基材上に光触媒含有層を具備する光触媒塗装体であって、
上記光触媒含有層は、
光触媒粒子Aの表面が無機酸化物で修飾されており、かつ抗菌性金属粒子Bを担持してなる、抗菌性金属担持光触媒粒子ABと、
紫外線吸収剤及び/又は光安定剤と、
を、含有する、光触媒塗装体。
〔2〕
上記光触媒含有層が、
上記基材上に設けられた中間層と、上記中間層上に設けられた光触媒層とからなり、
上記中間層は、耐候性樹脂と、上記紫外線吸収剤及び/又は光安定剤とを含有し、
上記光触媒層は、上記抗菌性金属担持光触媒粒子ABを、含有する、上記〔1〕に記載の光触媒塗装体。
〔3〕
上記光触媒粒子Aの表面を修飾する無機酸化物が、二酸化ケイ素である、上記〔1〕又は〔2〕に記載の光触媒塗装体。
〔4〕
上記光触媒粒子Aが、結晶性の二酸化チタンである、上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の光触媒塗装体。
〔5〕
上記抗菌性金属粒子Bが、金、銀、銅、金化合物、銀化合物、及び銅化合物からなる群より選択される1種以上である、上記〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の光触媒塗装体。
〔6〕
上記抗菌性金属粒子Bの質量が、上記抗菌性金属担持光触媒粒子ABの質量に対し、0.1〜10%の範囲である、上記〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の光触媒塗装体。
〔7〕
上記抗菌性金属担持光触媒粒子ABの平均粒子径が、1〜400nmである、上記〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の光触媒塗装体。
〔8〕
上記光触媒含有層に、上記抗菌性金属担持光触媒粒子ABの表面に担持されていない抗菌性金属粒子Cが含有されており、
上記抗菌性金属粒子Cの含有量が、上記抗菌性金属担持光触媒粒子ABの全固形分に対して10〜3000ppmの範囲である、上記〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の光触媒塗装体。
〔9〕
上記抗菌性金属粒子Cが、金、銀、銅、金イオン、銀イオン、銅イオン、金化合物、銀化合物、及び銅化合物からなる群より選択される1種以上である、上記〔8〕に記載の光触媒塗装体。
〔10〕
上記中間層中の上記紫外線吸収剤及び/又は光安定剤の質量の割合が、上記中間層の質量に基づいて0.01〜15%である、上記〔2〕〜〔9〕のいずれか一項に記載の光触媒塗装体。
〔11〕
上記紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール系化合物、及び/又はトリアジン系化合物である、上記〔1〕〜〔10〕のいずれか一項に記載の光触媒塗装体。
〔12〕
上記光安定剤が、ヒンダードアミン系化合物の1種以上から選択される、上記〔1〕〜〔11〕のいずれか一項に記載の光触媒塗装体。
〔13〕
上記〔1〕〜〔12〕のいずれか一項に記載の光触媒塗装体で用いられる光触媒含有層形成用光触媒塗料組成物であって、
溶媒中に上記抗菌性金属担持光触媒粒子ABと、コロイダルシリカと、重合体エマルジョン粒子Dとが含まれており、
上記抗菌性金属担持光触媒粒子ABと、上記コロイダルシリカと、上記重合体エマルジョン粒子Dとの固形分の合計量100質量%に対して、上記抗菌性金属担持光触媒粒子ABを1質量%〜30質量%と、
上記コロイダルシリカを40質量%〜99質量%と、
上記重合体エマルジョン粒子Dを0〜30質量%と、
を、含有する、光触媒塗料組成物。
〔14〕
上記光触媒塗料組成物中において、上記抗菌性金属担持光触媒粒子ABと、上記コロイダルシリカと、上記重合体エマルジョン粒子Dとの固形分の合計質量の割合が、溶媒を含む上記光触媒塗料組成物の全体質量に基づいて、0.1〜20%である、上記〔13〕に記載の光触媒塗料組成物。
本発明によれば、高い耐候性と長期的な防カビ性とを両立する光触媒塗料組成物、及びこれを用いた光触媒塗装体を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。
以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
〔光触媒塗装体〕
本実施形態の光触媒塗装体は基材と、当該基材上に光触媒含有層を具備し、当該光触媒含有層は、光触媒粒子Aの表面が、無機酸化物で修飾されており、かつ抗菌性金属粒子Bを担持してなる、抗菌性金属担持光触媒粒子ABと、紫外線吸収剤及び/又は光安定剤とを、含有する。
本実施形態の光触媒塗装体は、優れた耐候性と防カビ性を達成することができる。
また、抗菌性金属担持光触媒粒子ABにおいて、無機酸化物で光触媒粒子Aの表面を修飾したものとすることにより耐候性が向上し、かつ抗菌性金属粒子Bを担持するものとすることにより長期的な防カビ性に優れる。
さらに、光触媒含有層に、紫外線吸収剤及び/又は光安定剤が含まれることにより耐候性が向上し、かつ防カビ性にも優れたものとなる。そのメカニズムは定かではないが、光触媒粒子Aの表面が無機酸化物で修飾されていることにより紫外線吸収剤及び/又は光安定剤が光触媒反応で分解されることが抑制される点、カビが発生するのに必要な胞子や栄養素となる、塗装体表面の汚れが、光触媒の作用(セルフクリーニング)によって除去される点、紫外線吸収剤及び/又は光安定剤が有機系の防カビ剤と構造の点で類似しているため、防カビ効果がある点等、複数の要素が重なることで防カビ性が向上していると推定される。
(光触媒含有層)
本実施形態の光触媒塗装体を構成する光触媒含有層は、基材上に設けられ、かつ上記抗菌性金属担持光触媒粒子ABと、紫外線吸収剤及び/又は光安定剤とを含んでいる。
ここで光触媒含有層が設けられる基材の材料としては、例えば、住宅や建造物に用いられる基材等、従来公知の材料を用いることができ、その形態は、フィルムや薄板に塗装して貼り付ける壁紙といった形態であってもよい。この基材は、長期間の使用に耐えられる観点から、窯業系サイディングボードや軽量発泡コンクリート(ALC)、コンクリートやタイル等の強度を有する基材であるのが、特に好ましい。
また、光触媒含有層は、基材上において均一な光触媒塗料組成物の一層として設けることもできる。さらに、光触媒含有層は、後述するように、基材上へ所定の中間層と、当該中間層の上層として設けられる光触媒層とにより、構成されるものとしてもよい。また、光触媒含有層、光触媒層、及び/又は中間層は、本発明の効果を逸しない範囲で、それぞれ二層以上の膜を積層させた構成としてもよい。
光触媒含有層は、上述した基材上に設けられた中間層と、当該中間層上に設けられた光触媒層とから構成されることが好ましい。
かかる構成の場合には、上記中間層には、紫外線吸収剤及び/又は光安定剤が含有されており、上記光触媒層には、上記抗菌性金属担持光触媒粒子ABが含有されている。
このような構成とすることにより、本実施形態の光触媒塗装体の表面に近い部位において高濃度で光触媒粒子を含有させることができ、少量の光触媒粒子で、その効果を発揮することができる。
光触媒含有層に含有されている紫外線吸収剤及び/又は光安定剤は、光触媒含有層を形成する塗料に添加することにより、この塗料を塗布した塗膜中に均一に分散した状態となり、より効果が発現しやすい。
また、上記中間層と光触媒層を基材上に設ける構成とする場合においては、中間層と光触媒層の両方に紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を含有させる、又は中間層へのみ、紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を添加して塗装体を形成した後、当該紫外線吸収剤及び/又は光安定剤が拡散により経時的に光触媒層へ含有されるようにする形態とすることが好ましい。
紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を、中間層と光触媒層の両方、又は中間層へのみ添加して塗装体を形成することで、紫外線吸収剤及び/又は光安定剤が拡散により経時的に光触媒層へ含有され、仮に雨水等によって表層の紫外線吸収剤及び/又は光安定剤が流された場合には、光触媒層の深部や中間層から光触媒層中に、これらが絶えず拡散することで効果が持続し、優れた耐候性が得られる。
本実施形態の光触媒塗装体における光触媒含有層の厚さは、特に限定されないが、塗膜による基材の保護性能や隠ぺい性、及び光触媒塗装体を製造するために必要な塗料の質量や塗装回数等の生産性の観点から、1〜500μmの範囲が好ましく、10〜300μmがより好ましい。光触媒含有層が、上述したような複数の層で形成されている場合は、その合計膜厚が上記数値範囲であることが好ましい。
光触媒含有層は、所定の光触媒塗料組成物を基材上へ塗布し乾燥させることにより形成できる。塗布方法は、特に限定されるものではなく、公知である技術を用いることができる。例えば、スプレー吹き付け法、フローコーティング法、ロールコート法、刷毛塗り法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、スクリーン印刷法、キャスティング法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法等が挙げられる。
(光触媒層)
光触媒含有層が、中間層と光触媒層により構成される場合、光触媒層は、中間層上に設けられており、当該光触媒層は、光触媒粒子Aの表面が、無機酸化物で修飾されており、かつ抗菌性金属粒子Bを担持してなる抗菌性金属担持光触媒粒子ABを、含有する。前述のように、光触媒層に紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を含有させてもよく、中間層からの拡散等によって、経時的に光触媒層へ拡散して含有される形態であってもよい。
また、光触媒層には、後述する光触媒層を製造するための光触媒塗料組成物が含まれる。その他にも本発明の効果を逸しない範囲で、その用途及び使用方法等に応じて、通常の塗料や成型用樹脂に添加配合される成分、例えば、溶剤、増粘剤、レベリング剤、チクソ化剤、消泡剤、凍結安定剤、艶消し剤、架橋反応触媒、顔料、硬化触媒、架橋剤、充填剤、皮張り防止剤、分散剤、湿潤剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レオロジーコントロール剤、消泡剤、成膜助剤、防錆剤、染料、可塑剤、潤滑剤、還元剤、防腐剤、防黴剤、消臭剤、黄変防止剤、静電防止剤、及び帯電調製剤等が含まれていてもよい。
光触媒層の膜厚は特に限定されないが、0.05〜50μmであることが好ましく、0.1〜10μmであることがより好ましく、0.2〜2.0μmであることがさらに好ましい。光触媒層の厚さが50μm以下であると、良好な透明性を確保することができ、0.05μm以上であると、防汚性、光触媒活性等の機能を発現することができる。上述したように光触媒層が複数の層から構成される場合は、合計の膜厚が上記数値範囲にあることが好ましい。
光触媒層は、基材上に設けられた中間層の表面に、後述する光触媒塗料組成物を塗布し、乾燥することにより形成することができる。形成方法としては、その用途等に応じて、前述の公知の塗装方法を用いることができる。
光触媒層は、光触媒塗料組成物を塗布した後、この塗布体を乾燥させて揮発分を除去することにより形成できる。この際、例えば、5〜80℃の温度で乾燥した後、所望により、好ましくは20℃〜500℃、より好ましくは40℃〜250℃の熱処理を行ってもよく、紫外線照射等を行ってもよい。
(中間層)
中間層は、基材上に設けられ、耐候性樹脂と、紫外線吸収剤及び/又は光安定剤とを含むことを特徴とする。
また、上述のように、本発明の効果を逸しない範囲で、本実施形態の光触媒塗装体の意匠性や基材及び光触媒層との密着性向上等の観点から、中間層は、複数の層から構成されてもよい。
耐候性樹脂は、基材や光触媒層との密着性、及び光触媒による劣化を抑制できるものであれば特に限定されるものではなく、この耐候性樹脂としては、例えば、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、及びシリコーン系樹脂とフッ素系樹脂の併用系の合成樹脂が好ましい樹脂として、挙げることができる。
耐候性樹脂としてのシリコーン系樹脂は、以下に限定されるものではないが、例えば、アルコキシシラン及び/又はオルガノアルコキシシランやそれらの加水分解生成物(ポリシロキサン)及び/又はコロイダルシリカ、さらにはシリコーン含有量1〜80質量%のアクリル−シリコーン樹脂、エポキシ−シリコーン樹脂、ウレタン−シリコーン樹脂やアルコキシシラン及び/又はオルガノアルコキシシランやそれらの加水分解生成物(ポリシロキサン)及び/又はコロイダルシリカを1〜80質量%含有する樹脂等が挙げられる。
これらのシリコーン系樹脂は、溶剤に溶けたタイプ、分散タイプ、粉体タイプのいずれであってもよく、また架橋剤、触媒等の添加剤が含まれていてもよい。
中間層の膜厚は特に限定されないが、1〜500μmであることが好ましく、5〜400μmであることがより好ましく、10〜300μmであることがさらに好ましい。中間層の膜厚が500μm以下であることにより、製造時に必要な塗料の量が抑えられ、塗装回数が少なくなる等、経済性に優れる。また、1μm以上であることにより、基材の隠ぺい性が良好であり、かつ光や水分から基材を保護する役割を果たすため好ましい。前述したような中間層が複数の層から構成される場合は、それらの合計膜厚が上記数値範囲にあることが好ましい。
中間層は、基材の表面に、所定の塗料組成物を塗布して乾燥することにより得られる。塗装方法は前述した公知の方法をいずれも適用できる。
(抗菌性金属担持光触媒粒子AB)
本実施形態で用いられる抗菌性金属担持光触媒粒子ABは、光触媒粒子Aの表面が無機酸化物で修飾されており、かつ抗菌性金属粒子Bを担持してなる。
抗菌性金属担持光触媒粒子ABは、水等を含む組成物に含有されていてもよい。したがって、抗菌性金属担持光触媒粒子ABの形態は、これが水等の溶媒に、溶解、懸濁、又は分散した液体状の形態を含み、すなわち、光触媒水系組成物の態様が含まれる。
また、抗菌性金属担持光触媒粒子ABは、上記光触媒水系組成物から水の除去、乾燥等の操作を行うことによって、粉体等として得ることもでき、これは固体状であってもよい。
抗菌性金属担持光触媒粒子ABが、光触媒水系組成物中に含まれている場合、その含有量は、当該光触媒水系組成物全量に対し、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1.0質量%以上、1.5質量%以上、2.0質量%以上、5.0質量%以上、又は7.0質量%以上でよく、及び/又は99.9質量%以下、85.0質量%以下、80.0質量%以下、75.0質量%以下、70.0質量%以下、60.0質量%以下、50.0質量%以下、又は30.0質量%以下でよい。0.1〜99.9質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜50質量%、さらに好ましくは1.0〜30質量%、さらにより好ましくは1.5〜10質量%である。
抗菌性金属担持光触媒粒子ABにおける抗菌性金属粒子Bは、無機酸化物で表面を修飾した光触媒粒子Aの表面に担持されている。
本明細書において「担持」とは、無機酸化物を介して光触媒粒子Aに付着している状態を意味し、又は無機酸化物に覆われていない光触媒粒子Aの表面に直接付着している状態を意味する。
光触媒粒子Aに担持されていることで粒子同士のファンデルワールス力等の結合力が生じ、塗膜へ配合した際に抗菌性金属粒子Bが塗膜から脱落しにくくなり、本実施形態の光触媒塗装体は長期間の防カビ性に優れたものとなる。
本実施形態の光触媒塗装体を構成する光触媒含有層及び光触媒層には、後述する、光触媒粒子Aの表面に担持されていない抗菌性金属粒子Cが含有されていてもよい。
また、その他にも本発明の効果から逸脱しない範囲において、抗菌性金属担持光触媒粒子ABは、分散剤、防腐剤、並びに、任意のpHに調整にするための酸及び/又は塩基性化合物等を含むこともできる。
抗菌性金属担持光触媒粒子ABの平均粒子径は、溶媒又は分散媒中において、平均(相加平均)で1〜400nmの範囲にあることが好ましい。この平均粒子径が1nm以上であることにより、光を吸収しやすくなり、ひいては光触媒活性が効果的に発現するだけでなく、塗料中及び塗膜中での抗菌性金属担持光触媒粒子ABの分散性にも優れる。また、この平均粒子径が400nm以下であることにより、塗料中での沈降が抑制されて貯蔵安定性が向上し、塗膜中での白濁が防止され、塗膜の外観が良好となり、さらには比表面積が確保され、光触媒活性にも優れるため、好ましい。
従って、抗菌性金属担持光触媒粒子ABの平均粒子径は1〜400nmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは5〜300nmの範囲、さらに好ましくは10〜200nmの範囲である。
なお、抗菌性金属担持光触媒粒子ABの粒子形状がロッド形状等の長径と短径とを有する場合、その長径及び短径の相加平均が上記範囲内であることが好ましい。抗菌性金属担持光触媒粒子ABの平均粒子径は、後述される方法によって測定される。なお、「抗菌性金属担持光触媒粒子ABの平均粒子径」とは、塗料中や塗膜中等における、平均二次粒子径を指す。
(光触媒粒子A)
抗菌性金属担持光触媒粒子ABにおける光触媒粒子Aは、無機酸化物で表面を修飾されている。無機酸化物で表面を処理することにより粒子の分散安定性が向上し、塗膜中での凝集が防止され、光散乱による塗膜の白濁を抑える効果、及び光触媒活性を調整することで塗膜の耐候性が優れたものとなる効果が得られるだけでなく、カビの生育を抑える効果(防カビ性)にも優れたものとなる。
光触媒粒子Aとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、TiO2、ZnO、SrTiO3、CdS、GaP、InP、GaAs、BaTiO3、BaTiO4、BaTi49、K2NbO3、Nb25、Fe23、Ta25、K3Ta3Si23、WO3、SnO2、Bi2O3、BiVO4、NiO、Cu2O、SiC、MoS2、InPb、RuO2、及びCeO2等が挙げられる。
光触媒粒子Aとしては、安全性及びコストの観点から、結晶性のTiO2(二酸化チタン)が好ましい。TiO2の結晶構造には、例えば、アナターゼ型、ルチル型、又はブルッカイト型当のものがあるが、いずれを使用してもよい。
無機酸化物で表面を修飾した光触媒粒子Aは、例えば二酸化チタン粒子を水に懸濁させ、ゾル−ゲル反応により二酸化ケイ素等を表面に形成させる方法等、公知の方法で製造できる。この場合、光触媒粒子Aの表面を修飾する無機酸化物が二酸化ケイ素である。
また、無機酸化物で表面を修飾した光触媒粒子Aの市販品としては、以下に限定されるものではないが、例えば、石原産業社製MPT−429、昭和電工社製F−4S05、テイカ社製MT−100SA、堺化学社製STR−100A等が挙げられる。
光触媒粒子Aの表面を修飾する無機酸化物としては、上記二酸化ケイ素の他、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等が挙げられる。これらの無機酸化物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせた組成としてもよい。
その中でも、pHが中性領域の分散媒では、粒子優れた分散安定性を達成できること、及び、粒子が、これが配合された塗膜の親水性も向上させることから、二酸化ケイ素単独であることが好ましい。
光触媒粒子Aの表面を修飾している、無機酸化物の質量の割合は、光触媒粒子Aの質量に基づいて、1%以上、3%以上、5%以上、7%以上、又は10%以上でよく、30%以下、25%以下、20%以下、又は15%以下でよい。この無機酸化物の量は1%〜30%が好ましく、1%以上であると、粒子の分散性や耐候性の向上効果があり、30%以下では、光触媒活性が著しく向上する。
光触媒粒子Aの表面を修飾している無機酸化物の量としては、光触媒粒子Aの質量に基づいて、1%〜30%が好ましく、より好ましくは5%〜25%、さらに好ましくは10%〜20%の範囲でよい。
(抗菌性金属粒子B)
抗菌性金属粒子Bは、例えば、大腸菌細胞に対する金属イオンの最小発育阻止濃度(MIC)が20mM以下の金属種を指す。最小発育阻止濃度(MIC)とは菌の増殖を阻止するために必要な薬剤(ここでは金属イオンを指す)の最小濃度のことである。
抗菌性金属粒子Bとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、銀、金、パラジウム、白金、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、タリウム、鉛、マンガン等の重金属が挙げられる。
抗菌性金属粒子Bとしては、これらの中でも、安全性及び実用性の観点から、好ましくは、金、銀、銅、白金、及び亜鉛を挙げることができ、より好ましくは、金、銀、及び銅を挙げることができる。これらの重金属は、1種であってもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
抗菌性金属粒子Bの存在形態としては、上記金属単体の形態、金属化合物の形態、イオン状態の形態、又は他の化合物と錯体化している状態の形態等を用いることができるが、その中でも金属単体の形態、特に水に難溶性の金属単体又は金属化合物の形態が好ましい。これは、金属単体又は金属化合物が水に難溶性であることにより、金属の溶解により生じた金属イオン自身が、光を吸収したり、又は近接する光触媒粒子の光触媒反応によって還元され、結果として、塗膜の色が経時で変化する可能性を低減できるからである。
また、金属単体又は金属化合物が水に難溶性である場合には、屋外環境下において、これらが雨等の水分で流出することが抑制され、これによって、本願発明の効果を持続させることができる。
抗菌性金属Bとしては、金、銀、銅、金化合物、銀化合物、及び銅化合物からなる群より選択される1種以上であることが好ましい。抗菌性金属粒子Bの成分の具体的な例としては、金の場合には、例えば、金単体及びその化合物等、銀の場合には、銀単体及びその化合物、例えば、酸化銀及び塩化銀等、銅の場合には、銅単体及びその化合物、例えば、酸化銅及び水酸化銅等が挙げられる。
抗菌性金属粒子Bの質量の割合としては、上記抗菌性金属担持光触媒粒子ABの質量に基づいて、0.1〜10%の範囲であることが好ましい。
抗菌性金属粒子Bの質量の範囲が、0.1%以上では、抗菌性の効果が十分に得られ、10%以下であると、抗菌性金属担持光触媒粒子ABを塗膜に配合した際に、金属種由来の着色を抑制できるだけでなく、担持されない抗菌性金属粒子Cの量が低減され、さらには抗菌性金属粒子Bによる酸化チタンの光吸収の抑制を低減化し、結果として、光触媒活性の維持又は向上を達成できるため、好ましい。
抗菌性金属粒子Bの質量としては、上記抗菌性金属担持光触媒粒子ABの質量に基づいて、0.1%以上、0.3%以上、又は0.5%以上でよく、かつ/又は10%以下、8%以下、7%以下、6%以下、又は5%以下でよい。
抗菌性金属粒子Bの質量の割合は、上記抗菌性金属担持光触媒粒子ABの質量に基づいて、0.1〜10%の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.5〜8%であり、さらに好ましくは0.5〜5%の範囲である。
(抗菌性金属粒子C)
抗菌性金属粒子Cは、後述する抗菌性金属粒子Bを担持させる製造時に生じる、原料の未反応物、又は担持されていない粒子であってもよく、意図的に抗菌性金属化合物や粒子を添加してもよい。そのため、抗菌性金属粒子Cと抗菌性金属粒子Bの金属種が同一でも異なってもよい。
抗菌性金属粒子Cの存在形態としては、金属単体、金属イオン、及びイオンを含有する錯体や金属塩等、いかなる状態であってもよい。
また、抗菌性金属粒子Cの種類としては、前述の抗菌性金属粒子Bと同様、種々の抗菌性金属の中でも金、銀、銅のいずれかより選択される金属種であることが好ましい。
抗菌性金属粒子Cは、金、銀、銅、金イオン、銀イオン、銅イオン、金化合物、銀化合物、及び銅化合物からなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
抗菌性金属粒子Cの質量は、抗菌性金属担持光触媒粒子ABの全固形分に基づいて、10〜3000ppmであることが好ましい。10ppm以上であることで、抗菌性金属粒子Bに加えて微生物に対して作用する金属成分が増量され、より効果を発揮するため好ましい。
3000ppm以下であることで、塗膜の外観において、金属由来の着色性が低減され、ひいては、下地塗膜の意匠性を損ね難いだけでなく、経時での金属成分の化学変化により生じる可能性のある塗膜の色の変化を抑制することができるなど、向上した塗膜の外観を示すことができる。さらには、抗菌性金属粒子Cの質量を、抗菌性金属担持光触媒粒子ABに対して3000ppm以下とすることにより、塗膜の物理的強度の低下を抑制し、かつ塗膜表面やクラック等から抗菌性金属粒子Cが脱離することを防止し、本発明の効果の長期持続することが可能となる。
抗菌性金属粒子Cの質量は、10〜3000ppmであることが好ましく、より好ましくは20〜2500ppm、さらに好ましくは50〜2000ppmである。
(抗菌性金属担持光触媒粒子ABの製造方法)
抗菌性金属担持光触媒粒子ABを製造する方法は、
無機酸化物で表面を修飾した光触媒粒子Aの水分散体及び抗菌性金属粒子Bの前駆体を混合する工程と、
さらに水溶性還元剤を添加し、金属イオンを還元することで、抗菌性金属粒子Bを生成させて光触媒粒子Aに担持させる工程と、
を含む。
抗菌性金属粒子Bの生成方法としては、種々の化学反応を用いることができるが、中でも前駆体として金属イオンを含む水溶性の金属化合物を水に溶解させて金属イオンが存在する条件下で、水溶性還元剤を添加して還元反応によって抗菌性金属粒子Bを生成させる方法は、高収率を達成可能であり、かつ反応時間を短くすることができるため好ましい。
抗菌性金属粒子Bの担持方法としては、担持されない粒子の生成を最小限にすべく、分散剤などが含まれない、又は可能な限り含有量が少ない条件下で上記還元反応を行うことが好ましい。含有される分散剤が可能な限り少量であることで、還元反応で生成した抗菌性金属粒子Bが溶媒中で不安定化し、結果として、光触媒粒子Aへの担持量を向上することができる。
さらに、無機酸化物で表面を修飾した光触媒粒子Aを用いることにより、分散安定性が向上し、結果として、分散剤を添加することなく合成反応を行うことができる。このため、光触媒粒子Aの表面に担持される抗菌性金属粒子Bの割合を、向上することが可能となる。
抗菌性金属粒子Bの前駆体としては、1気圧、20℃における水100mLへの溶解度が、1g以上、5g以上、又は10g以上となるような化合物でよく、300g以下、200g以下、又は100g以下となるような化合物でよい。この中でも、この前駆体としては、溶解作業の時間を短縮でき、かつ前駆体の未溶解物による反応収率低下を防ぐ観点から、1気圧、20℃における水100mLへの溶解度が10g/100mL以上である化合物が好ましい。
抗菌性金属粒子Bの前駆体としては、上記抗菌性金属粒子Bの例として列挙した化合物の塩、例えば、硫酸及び硝酸等の酸との塩である化合物が好ましい。抗菌性金属粒子Bの前駆体の具体例としては、例えば、四塩化金酸、硝酸銀、硫酸銅、及び硝酸銅等、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
水溶性還元剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、クエン酸、アスコルビン酸、タンニン酸、水素化ホウ素塩、及びヒドラジン等からなる群より選択される1種以上が好適に挙げられる。中でも安全性が高く、安価であることから、クエン酸、アスコルビン酸、タンニン酸、及びそれらの塩から選択される1種以上が好ましい。
水溶性還元剤を添加し、還元反応を行う際の温度は常温でも可能であるが、40℃〜79℃の範囲が好ましい。
40℃以上の温度では、反応速度が速いため、生産性が向上するだけでなく、夏場等の高温条件において、温度を維持するための冷却用チラー等が不必要等、温度調整が容易であるため好ましい。
また、80℃以下では、反応速度が適度に速いことで、光触媒粒子Aの分散安定性が向上するだけでなく、抗菌性金属粒子Bの分散も促進され、結果として抗菌性金属粒子Bの平均粒子径が小さくなり、担持量が向上するため好ましくない。
水溶性還元剤を添加する温度は40℃〜79℃が好ましく、より好ましくは45℃〜75℃、さらに好ましくは50℃〜70℃の範囲である。
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤としては、公知の化合物を用いることができ、以下に限定されるものではないが、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、シアノアクリレート系化合物等の有機系化合物;酸化セリウムや酸化亜鉛等の無機系化合物を用いることができる。
中でもベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物を用いることが好ましい。これらの化合物を用いることで、耐候性だけでなく防カビ性にも特に優れる。
ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物が顕著な防カビ性を示すメカニズムは定かではないが、これらの化合物に含まれる窒素含有ヘテロ環構造が、防カビ剤として知られる有機系薬剤の構造と類似するため効果を顕著に発揮するためと推定される。
ベンゾフェノン系の化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンが挙げられ、ベンゾトリアゾール系化合物としては、例えば、TINUVIN900(製品名、BASF社製)等が挙げられる。また、トリアジン系化合物としては、例えば、TINUVIN400(製品名、BASF社製)等が挙げられる。
紫外線吸収剤は、各層を形成する塗料組成物の製造時に配合物として添加してもよく、中間層等に含まれる樹脂を合成する際に添加し、もしくは樹脂の合成際に、重合性の紫外線吸収剤と他のモノマーとを共重合させる等の方法で添加してもよい。これにより、得られた該樹脂を含む塗料を、塗布して乾燥させることで光触媒塗装体中に紫外線吸収剤を含有させることができる。これらの方法は生産性やその作業形態から選択することができる。
上記中間層の紫外線吸収剤の含有量の割合は後述する光安定剤との合計として、上記中間層の質量に基づいて、0.01〜15質量%であることが好ましい。0.01質量%以上であることで塗膜の耐候性と防カビ性も向上する。また15質量%以下であることで、塗膜の着色性を抑え、意匠性に優れる。紫外線吸収剤の好ましい含有量は後述する光安定剤との合計として、上記中間層中に0.01〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%、さらに好ましくは0.1〜8質量%の範囲である。なお、紫外線吸収剤等の含有量の割合を算出する場合には、中間層の一部を切り出し、その一部の中間層の総質量と、その一部の中間層に含まれる紫外線吸収剤等の総含有量とを測定し、これらの割合として算出する。
また、前述のように上記光触媒層にも紫外線吸収剤が含有されていてもよく、その含有量は上記光触媒層の質量に基づいて、後述する光安定剤との合計として0.01〜15質量%であることが好ましい。0.01質量%以上であることで塗膜の耐候性と防カビ性も向上する。また15質量%以下であることで、塗膜の着色性を抑え、意匠性に優れる。上記光触媒層中に0.01〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%、さらに好ましくは0.1〜8質量%の範囲である。
(光安定剤)
光安定剤としては、公知の化合物を用いることができる。
中でもヒンダードアミン系光安定剤が耐候性と防カビ性を向上させるため好ましい。防カビ性が向上するメカニズムは前述の紫外線吸収剤と同様に、窒素含有のヘテロ環構造を有しているためと推定される。
光安定剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、TINUVIN123(製品名、BASF社製)等が挙げられる。
光安定剤の添加方法については、上記紫外線吸収剤と同様に、公知の方法を用いることができ、これにより本実施形態の光触媒塗装体中に光安定剤を含有させることができる。
上記中間層の光安定剤の含有量の割合は、前述した通り紫外線吸収剤との合計として、上記中間層の質量に基づいて、0.01〜15質量%であることが好ましい。0.01質量%以上であることにより、塗膜の耐候性と防カビ性も向上する。また15質量%以下であることにより、塗膜の着色性を抑え、意匠性に優れる。光安定剤の含有量は前述した紫外線吸収剤との合計として、上記中間層中に0.01〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%、さらに好ましくは0.1〜8質量%の範囲である。なお、光安定剤等の含有量の割合を算出する場合には、上記紫外線吸収剤等の含有量の割合を算出する方針を、採用する。
また、前述のように上記光触媒層にも同様に光安定化剤が含有されていてもよく、その含有量は上記光触媒層の質量に基づいて、前述した光安定剤との合計として、0.01〜15質量%であることが好ましい。0.01質量%以上であることで塗膜の耐候性と防カビ性も向上する。また15質量%以下であることで、塗膜の着色性を抑え、意匠性に優れる。上記光触媒層中に0.01〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%、さらに好ましくは0.1〜8質量%の範囲である。
〔光触媒塗料組成物〕
本実施形態の光触媒塗装体は、光触媒塗料組成物を塗布し、乾燥させることにより得られる。
本実施形態の光触媒塗料組成物は、抗菌性金属担持光触媒粒子AB、コロイダルシリカ、及び重合体エマルジョン粒子Dを含む。
本実施形態の光触媒塗料組成物は、光触媒含有層を得るために用いることもでき、中間層と光触媒層のうち、光触媒層を得るために用いることもできる。
本実施形態の光触媒塗料組成物における抗菌性金属担持光触媒粒子AB、コロイダルシリカ、重合体エマルジョン粒子Dの含有割合は、当該3成分の固形分の合計量を100質量%として、抗菌性金属担持光触媒粒子ABが1質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、8質量%以上、又は10質量%以上、及び30質量%以下、25質量%以下、又は20質量%以下であり、コロイダルシリカが40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、又は70質量%以上、及び99質量%以下、90質量%以下、95質量%以下、90質量%以下、85質量%以下、80質量%以下、又は75質量%以下であり、重合体エマルジョン粒子Dが0質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、又は15質量%以上、及び30質量%以下、25質量%以下、又は20質量%以下である。
抗菌性金属担持光触媒粒子AB、コロイダルシリカ、重合体エマルジョン粒子Dの含有割合は、当該3成分の固形分の合計量を100質量%として、抗菌性金属担持光触媒粒子ABが1質量%〜30質量%、コロイダルシリカが40質量%〜99質量%、重合体エマルジョン粒子Dが0〜30質量%であることが好ましい。
なお、本明細書において、所定の材料の含有量における「以上」及び「以下」の記載に関しては、これらを種々選択して、数値範囲を表現することができる。例えば、「抗菌性金属担持光触媒粒子ABが1質量%以上30及び質量%以下」であることは、「抗菌性金属担持光触媒粒子ABが1質量%〜30質量%」であることに相当する。
抗菌性金属担持光触媒粒子ABの含有量が上記範囲にあることで光触媒活性や塗膜の外観、さらには防カビ性のバランスに優れる。また、コロイダルシリカが上記範囲にあることで塗膜の成膜性と親水性のバランスに優れる。さらに、重合体エマルジョン粒子Dが上記範囲にあることで、塗膜の親水性や外観のバランスに優れる。
本実施形態の光触媒塗料組成物における抗菌性金属担持光触媒粒子AB、コロイダルシリカ、重合体エマルジョン粒子Dの固形分の合計量は、溶媒を含む全光触媒塗料組成物中に0.1〜20質量%であることが好ましい。0.1質量%以上であることにより塗装回数が少なく、かつ必要な塗料の量も少なく済むため経済性に優れる。また20質量%以下であることにより、各成分の凝集を防ぎ、塗料の貯蔵安定性に優れる。
溶媒を含む全光触媒塗料組成物中に含まれる上記3成分の固形分の合計量の割合は、溶媒を含む全光触媒塗料組成物の質量に基づいて、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1.0質量%以上、2.0質量%以上、又は5.0質量%以上でよく、20質量%以下、18質量%以下、15質量%以下、13質量%以下、又は10質量%以下でよい。
上記3成分の固形分の合計量は、溶媒を含む全光触媒塗料組成物中に0.1〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜15質量%、さらに好ましくは1.0〜10質量%である。
さらに、本実施形態の光触媒塗料組成物は、紫外線吸収剤や光安定剤の他、本発明の効果を損なわない範囲で界面活性剤、退色性色素、防腐剤、防カビ剤、及び防藻剤等を含むこともできる。
(コロイダルシリカ)
コロイダルシリカとしては、ゾル−ゲル法により調製したものを使用することもでき、市販品を利用することもできる。これをゾル−ゲル法で調製する場合には、Werner Stober etal;J.Colloid and Interface Sci.,26,62−69(1968)、Rickey D.Badley et al;Lang muir 6,792−801(1990)、色材協会誌,61[9]488−493(1988)等を参照することができる。
コロイダルシリカとしては、例えば、水を分散媒体とする、酸性のコロイダルシリカ、及び塩基性のコロイダルシリカ、並びに、水溶性溶媒を分散媒体とするコロイダルシリカ等が挙げられる。
酸性のコロイダルシリカとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、市販品として日産化学工業社製スノーテックス(登録商標)−O、スノーテックス−OS、旭電化工業社製アデライト(登録商標)AT−20Q、クラリアントジャパン社製クレボゾール(登録商標)20H12、クレボゾール30CAL25等を挙げることができる。
塩基性のコロイダルシリカとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、アミン等の添加により安定化したシリカ等が挙げられ、具体的には、日産化学工業社製スノーテックス−NS、スノーテックス−20、スノーテックス−30、スノーテックス−C、スノーテックス−C30、スノーテックス−CM40、スノーテックス−N、スノーテックス−N30、スノーテックス−K、スノーテックスPS−L等;旭電化工業社製アデライトAT−20、アデライトAT−30、アデライトAT−20N、アデライトAT−30N、アデライトAT−40、アデライトAT−50等を挙げることができる。
水溶性溶媒を分散媒体とするコロイダルシリカとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、日産化学工業社製MA−ST−M(粒子径が20〜25nmのメタノール分散タイプ)、IPAST(粒子径が10〜15nmのイソプロピルアルコール分散タイプ)、EG−ST(粒子径が10〜15nmのエチレングリコール分散タイプ)等を挙げることができる。
コロイダルシリカとしては、これらの中の1種、又は2種類以上を組み合わせたものを用いてもよい。
コロイダルシリカは、少量成分として、アルミナ、アルミン酸ナトリウム等を含んでいてもよい。さらに、コロイダルシリカは、安定剤として無機塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア等)や有機塩基(テトラメチルアンモニウム等)を含んでいてもよい。
コロイダルシリカの平均粒子径は、好ましくは100nm以下であり、より好ましくは50nm以下であり、さらに好ましくは30nm以下である。また、粒子径が平均で10nm以下の粒子は、得られる光触媒塗膜の透明性が非常に高くなる観点から、よりさらに好ましい。
コロイダルシリカの平均粒子径(数平均粒子径)は、下記実施例に記載の方法に準拠して測定することができる。
(重合体エマルジョン粒子D)
重合体エマルジョン粒子Dとしては、当業者に公知の全ての合成樹脂が使用可能である。
溶媒中で乳化重合や懸濁重合で合成した粒子の他、溶媒に溶解した樹脂や粉体樹脂を界面活性剤や懸濁剤を用いて、エマルジョンとした粒子を用いることもできる。
上記重合体エマルジョン粒子Dとして使用できる合成樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、溶剤系合成樹脂塗料(アクリル樹脂系、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系、フッ素樹脂系、シリコーン−アクリル樹脂系、アルキド樹脂系、アミノアルキド樹脂系、ビニル樹脂系、不飽和ポリエステル樹脂系、塩化ゴム系等)、水系合成樹脂塗料(エマルジョン系、水性樹脂系等)、無機質塗料等が挙げられる。
これらの合成樹脂の中で、光触媒に対し難分解性であるシリコーン系樹脂やフッ素系樹脂、さらにはシリコーン系樹脂とフッ素系樹脂の併用系の合成樹脂が好ましく用いられる。
このようなシリコーン系樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アルコキシシラン及び/又はオルガノアルコキシシランやそれらの加水分解生成物(ポリシロキサン)及び/又はコロイダルシリカ、さらにはシリコーン含有量1〜80質量%のアクリル−シリコーン樹脂、エポキシ−シリコーン樹脂、ウレタン−シリコーン樹脂やアルコキシシラン及び/又はオルガノアルコキシシランやそれらの加水分解生成物(ポリシロキサン)及び/又はコロイダルシリカを1〜80質量%含有する樹脂等が挙げられる。
これらのシリコーン系樹脂は、溶剤に溶けたタイプ、分散タイプ、粉体タイプのいずれであってもよく、また架橋剤、触媒等の添加剤が含まれていてもよい。
(界面活性剤)
上記のように、本実施形態の光触媒塗料組成物は、界面活性剤を含んでいてもよく、当該界面活性剤は、特に限定されないが、例えば、炭化水素系界面活性剤、及びフルオロカーボン界面活性剤等が挙げられる。
界面活性剤を含むことにより、本実施形態の光触媒塗料組成物の濡れ性が向上し、これを用いて有機基材等へ塗装する際に、はじき等の外観上のトラブルを一層抑制することができる。
特にフルオロカーボン界面活性剤は、少量で界面活性能に優れるため好ましく、さらには、乾燥して得られる塗膜の均一性も一層向上させることができる。これらの理由としては定かではないが、当該光触媒塗料組成物が、フルオロカーボン界面活性剤を含有することにより、光触媒塗料組成物の表面張力を低下させることができるためと推測される。なお、本実施形態の作用はこれらに限定されない。
フルオロカーボン界面活性剤の成分としては、特に限定されないが、非イオン性界面活性剤、又は両性界面活性剤が好ましい。両性界面活性剤としては、例えば、陰イオン性両性界面活性剤、陽イオン性両性界面活性剤等が挙げられる。好ましい具体例としては、例えば、炭素数3〜20のパーフルオロアルキル基を有する非イオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤が挙げられる。
炭素数3〜20のパーフルオロアルキル基を有する非イオン性界面活性剤、又は両性界面活性剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルアミンオキシド、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、陰イオン性基と陽イオン性基とを有するパーフルオロアルキル化合物等が挙げられる。
これらの中でも、塗料の表面張力の低下の観点から、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、陰イオン性基と陽イオン性基とを有するパーフルオロアルキル化合物が好ましい。
パーフルオロアルキルカルボン酸塩としては、例えば、市販品を用いることもできる。パーフルオロアルキルカルボン酸塩の市販品としては、AGCセイミケミカル社製の「サーフロンS−211」等が挙げられる。
パーフルオロアルキルアミンオキシドとしては、例えば、市販品を用いることもできる。パーフルオロアルキルアミンオキシドの市販品としては、AGCセイミケミカル社製の「サーフロンS−241」等が挙げられる。
パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物としては、例えば、市販品を用いることもできる。パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物のような市販品としては、例えば、DIC社製の「メガファックF−444」、AGCセイミケミカル社製の「サーフロンS−242」等が挙げられる。
陰イオン性基と陽イオン性基とを有するパーフルオロアルキル化合物としては、例えば、市販品を用いることもできる。陰イオン性基と陽イオン性基とを有するパーフルオロアルキル化合物のような市販品としては、AGCセイミケミカル社製の「サーフロンS−231」、「サーフロンS−232」、「サーフロンS−233」等が挙げられる。
これらパーフルオロアルキル基を有する両性界面活性剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
光触媒塗料組成物中のフルオロカーボン界面活性剤の含有量は、特に限定されないが、好ましくは、水等の溶媒を含む光触媒塗料組成物の全質量に基づいて、0.0001〜1.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.50質量%である。フルオロカーボン界面活性剤の含有量を上記下限値以上とすることで、得られる塗膜の均一性が一層向上する。フルオロカーボン界面活性剤の含有量を上記上限値以下とすることで、塗料の発泡性を抑えつつ得られる塗膜の耐候性が一層向上する。
本実施形態の光触塗料媒組成物は、退色性色素を含むことができる。これにより、塗装忘れ、重複塗装、塗装むら等の施工トラブルを防ぐことができる。
退色性色素成分としては、太陽光の照射により失色し、下地の意匠性を損ねないものが好ましい。失色までの時間は季節や照射方角等により異なるが、典型的には、目視で失色が確認されるまでの期間が、好ましくは20日以下であり、より好ましくは10日以下であり、さらに好ましくは3日以下である。
退色性色素の成分としては、太陽光の照射で失色する性質を有するものであれば特に限定されないが、例えば、メチレンブルー、クリスタルバイオレット、マラカイトグリーン、ブリリアントブルーFCF、エリスロシン、ニューコクシン、フロキシン、ローズベンガル、アシッドレッド、及びファーストグリーンFCF等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。退色性色素の成分としては、これらの中でも、発色性が良く、失色速度も早い観点から、メチレンブルーがより好ましい。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
光触媒塗料組成物中の退色性色素の成分の含有量は、特に限定されないが、水等の溶媒を含む、光触媒塗料組成物の全質量に基づいて、好ましくは0.0002〜0.05質量%であり、より好ましくは0.001〜0.02質量%である。光触媒塗料組成物中の退色性色素の成分の含有量を上記範囲とすることで、塗膜の発色性及び/又は退色性が一層向上する。ここでいう発色性とは、塗装面と未塗装面が色の違いから目視で区別される程度まで発色する性質をいい、退色性とは、基材の意匠性を損ねない色の程度まで退色する性質をいう。
本実施形態の光触媒塗料組成物から得られる塗膜中の退色性色素の成分の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.01〜1.0質量%であり、より好ましくは0.05〜0.80質量%であり、さらに好ましくは0.1〜0.70質量%である。退色性色素の成分の含有量を上記下限値以上とすることで、塗膜の発色性が一層向上し、上記上限値以下とすることで、塗膜の退色性が一層向上する。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は上記本実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
以下の、製造例、実施例、及び比較例により本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。各種の物性は以下に示す方法で測定した。
1.光触媒粒子Aの表面を修飾した無機酸化物の定量
蛍光X線分析装置を用いて、理論と基礎定数Fundamental Parameter(FP)により定量分析を行うFP法にて定量を行った。
2.粒子径の測定
(抗菌性金属担持光触媒粒子AB、コロイダルシリカ及び重合体エマルジョン粒子Dの平均粒子径)
抗菌性金属担持光触媒粒子AB、コロイダルシリカ及び重合体エマルジョン粒子Dの平均粒子径は、測定する試料中の固形分含有量が0.1〜20質量%となるよう適宜溶媒を加えて希釈し、湿式粒度分析計(マイクロトラック・ベル社製の湿式粒度分布計、商品名「NanotracWave−EX150」)を用いて測定した。
3.抗菌性金属粒子Bの質量の測定
抗菌性金属粒子Bの質量は、以下の方法で求めた。
合成した抗菌性金属担持光触媒粒子ABの水分散体(固形分濃度:2質量%)を希釈せずに10g取り、1000回転/分の速度で、10分間にわたって遠心分離処理した。遠心分離処理後、その上澄部をパスツールで採取し、誘導結合プラズマ質量分析計(ICP−MS)にて各金属種の質量を測定した。
4.抗菌性金属粒子Cの含有量の測定
抗菌性金属粒子Cの含有量は、任意で配合した成分の濃度と、以下の(i)及び(ii)の方法で求めた値の合計値とした。
(i)未反応金属イオンの定量
合成した抗菌性金属担持光触媒粒子ABの水分散体(固形分濃度:2質量%)を希釈せずに10g取り、20000回転/分の速度で1時間にわたって、遠心分離処理を実施した。その後、上澄部をパスツールで採取し、誘導結合プラズマ質量分析計(ICP−MS)にて、この上澄部の残存する金属イオン濃度を測定し、抗菌性金属担持光触媒粒子AB中に含まれる金属成分濃度を求めた。
(ii)非担持金属成分の定量
合成した抗菌性金属担持光触媒粒子ABの水分散体(固形分濃度:2質量%)を希釈せずに10g取り、1000回転/分の速度で10分間にわたって、遠心分離処理を実施した。その後、上澄部をパスツールで除去し沈降物を採取した。この沈降物を溶解処理し、誘導結合プラズマ質量分析計(ICP−MS)にて金属成分量を測定し、抗菌性金属担持光触媒粒子AB中に含まれる金属成分濃度を求めた。
5.光触媒活性(色素分解活性)
光触媒活性を、JIS R1703−2に準拠して求めた。試験片浄化を、照度1mW/cm2の紫外光を24時間にわたってこれに照射することによって行い、メチレンブルー吸着を、メチレンブルー濃度0.02mMの吸着液に試験片を24時間にわたって浸漬することによって行い、メチレンブルーの分解測定を、照度1mW/cm2の紫外光を試験片上の試験液(濃度0.01mM、注入量35mL)に照射し、照射後に採取した試験液の吸光スペクトルを分光光度計で測定することによって行い、これらの測定値を用いて分解活性指数(nM/min)を算出した。吸光度測定波長は、664nmであった。
[評価基準]
◎ :分解活性指数が10nM/min以上であった。
○ :分解活性指数が7nM/min以上、10nM/min未満であった。
○△:分解活性指数が5nM/min以上、7nM/min未満であった。
× :分解活性指数が5nM/min未満であった。
6.防カビ性(短期)
硫酸アルマイト基材(テストピース社製 JIS H 4000(A1100P);50mm×50mm×1mm)上に、後述する各製造例8〜10、製造比較例3によって得られた中間層を形成した。
次いで、後述する各実施例、比較例によって得られた光触媒塗料組成物をディップコーター(アイデン社製 DC4200、昇降速度:下降時 10mm/秒、上昇時 10mm/秒)にて塗布し、塗布後2日間乾燥させ、光触媒塗装体を得た。
得られた光触媒塗装体を、JIS Z2911:2010に準拠してカビ抵抗性試験を実施し、防カビ性を評価した。
判定は試験開始後2週間目で判定した。
[評価基準]
○ :塗装体表面にカビの生育が見られなかった。
△ :塗装体表面にわずかなカビの生育が見られるが全体的には問題ないと判断された。
× :塗装体表面にカビの生育が明らかに見られた。
7.防カビ性(長期)
硫酸アルマイト基材(テストピース社製 JIS H 4000(A1100P)、70mm×150mm×2mm)上に、各製造例8〜10、製造比較例3によって得られた中間層を形成した。
次いで、各実施例、比較例によって得られた光触媒塗料組成物をディップコーター(アイデン社製 DC4200、昇降速度:下降時 10mm/秒、上昇時 10mm/秒)にて塗布し、塗布後2日間乾燥させ、光触媒塗装体を得た。
その後、千葉県銚子市の近隣に森林があり、芝生の生えている土地に試験体を北面90°にて屋外曝露試験を実施し、防カビ性を評価した。
判定は曝露後2年で判定した。
[評価基準]
◎ :目視観察でカビの生育は見られなかった。
○ :目視観察でカビの生育はみられないが、拡大倍率7倍のルーペ観察では生育が見 られた。
△ :目視観察で試験体の一部にカビの生育が見られた。
× :目視観察で試験体全面にカビの生育が見られた。
8.光触媒含有層の透明性(塗膜の白濁度)
ガラス板(テストピース社製 並板ガラス;60mm×60mm×2mm)の下に黒紙を敷いた状態での色差を測定した。
その後、ディップコーター(アイデン社製 DC4200、昇降速度:下降時 10mm/秒、上昇時 10mm/秒)にて光触媒塗料組成物を塗布し、塗布後2日間乾燥させた。
その後、照度5000Lxに調整した蛍光灯下で10日間放置し、着色剤を脱色させた試験体の色彩色差を測定した。
塗布前後での色差(明度差ΔL)を評価した。
なお、色差は、カラーガイド(BYK Gardner社製)を用いて標準板からの色差を求めた。
色差ΔLが低いほど、透明性が高く、外観性に優れることを意味する。
[評価基準]
○ :色差ΔLが1.6未満であった。
△ :色差ΔLが1.6〜3.0未満であった。
× :色差ΔLが3.0以上であった。
9.光触媒含有層の着色性
硫酸アルマイト基材(テストピース社製 JIS H 4000(A1100P);50mm×50mm×1mm)上に、外壁用白色エナメル仕上げ材(エスケー化研社製、水性セラミシリコン シロ)を乾燥後膜厚100μmとなるよう塗布した。
その後、ディップコーター(アイデン社製 DC4200、昇降速度:下降時 10mm/秒、上昇時 10mm/秒)にて光触媒塗料組成物を塗布し、塗布後2日間乾燥させた。
その後、照度5000Lxに調整した蛍光灯下で10日間放置し着色剤を脱色させた試験体の色彩色差を測定した。
塗布前後での色差(ΔE)を評価した。
なお、色差は、カラーガイド(BYK Gardner社製)を用いて標準板からの色差を求めた。
色差ΔEが低いほど、塗膜の着色性が低く、外観性に優れることを意味する。
[評価基準]
○ :色差ΔEが1.6未満であった。
△ :色差ΔEが1.6〜3.0未満であった。
× :色差ΔEが3.0以上であった。
10.耐候性(SWOM10000時間曝露後の色差)
硫酸アルマイト基材(テストピース社製 JIS H 4000(A1100P);50mm×50mm×1mm)上に、後述する各製造例8〜10、製造比較例3によって得られた中間層を形成した。
次いで、各実施例、比較例によって得られた光触媒塗料組成物をディップコーター(アイデン社製 DC4200、昇降速度:下降時 10mm/秒、上昇時 10mm/秒)にて塗布し、塗布後2日間乾燥させ、光触媒塗装体を得た。
光触媒塗装体を、スガ試験機社製のサンシャインウエザーメーター(SWOM)を用いて曝露試験(ブラックパネル温度63℃、降雨18分/2時間)を行った。
曝露前と曝露開始10000時間後との間での色差を上記10の方法で測定し、曝露前の色差を標準とし、曝露前後の状態変化をΔEとして評価した。
色差ΔEが低いほど、外観変化が少ない、すなわち耐候性に優れることを意味する。
[評価基準]
◎ :ΔEが1.5未満であった。
○ :ΔEが1.5以上、3未満であった。
△ :ΔEが3以上、5未満であった。
× :ΔEが5以上であった。
11.光触媒粒子Aの合成、及び表面修飾(シリカ修飾ルチル型二酸化チタン、A−0)
後述する製造例1〜6、製造比較例2で使用する光触媒粒子Aは以下のようにして合成、及び表面修飾した。
TiO2として200g/Lの濃度の四塩化チタン水溶液700mLと、Na2Oとして100g/Lの濃度の水酸化ナトリウム水溶液を、系のpHを5〜9に維持するように水中に並行添加した。その後、系のpHを7に調整した後、濾過し、濾液の導電率が100μS/cmとなるまで洗浄し、固形分濃度28.3質量%の酸化チタン湿ケーキ1を得た。この酸化チタン湿ケーキ1は、ルチル型構造を有し、その平均粒径は8nmであった。
得られたルチル型酸化チタン湿ケーキ1を純水で希釈して、1モル/Lのスラリーを調製した。このスラリー1Lを3Lのフラスコに仕込み、さらに、酸化チタンと硝酸とのモル比(酸化チタン/硝酸)が1となるよう、1規定の硝酸を1L添加し、95℃の温度に加熱し、この温度で2時間保持して、酸加熱処理を行った。次いで、酸加熱処理後のスラリーを室温まで冷却し、28%アンモニア水を用いて中和(pH=6.7)して、濾過した後、濾液の導電率が100μS/cmとなるまで洗浄し、固形分濃度25質量%の酸化チタン湿ケーキ2を得た。
得られた酸化チタン湿ケーキ2に、10質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加し、リパルプし、その後、超音波洗浄機で3時間分散させ、pH=10.5、固形分濃度10質量%のアルカリ性酸化チタンゾルを得た。このアルカリ性酸化チタンゾル2Lを3Lのフラスコに仕込み、70℃の温度に昇温し、SiO2として432g/Lの濃度のケイ酸ナトリウム水溶液69.4mLを添加し、その後90℃に昇温して、1時間熟成した後、10%の硫酸を添加してpHを6に調整して、酸化チタンの表面をケイ素の含水酸化物で表面処理した。
得られた酸化チタンゾルを室温まで冷却し、5.4Lの純水を添加し、脱塩濃縮装置を用いて、不純物の除去、及び濃縮を行い、pH=7.3、固形分濃度29質量%の中性ルチル型酸化チタンゾル(A−0)を得た。
TiO2に対してSiO2基準で15質量%のケイ素の含水酸化物を含有していた。
このゾル中の酸化チタンの平均粒径は50nmであった。
12.重合体エマルジョン粒子D水分散体の合成
還流冷却器、滴下槽、温度計及び撹拌装置を有する反応器に、イオン交換水830g、10質量%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液40.0gを投入した後、撹拌下で反応器中の温度を80℃に加温した。この反応器中に、ジメチルジメトキシシラン90.7g、メチルトリメトキシシラン83.5gからなる混合液と水10gとを、反応器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて同時に滴下した。その際、ジメチルジメトキシシランとメチルトリメトキシシランからなる混合液を滴下後1時間経過した時点で10質量%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液2gを投入した。ジメチルジメトキシシランとメチルトリメトキシシランからなる混合液を全量滴下後、反応器中の温度を80℃に維持して約30分撹拌を続けた後、10質量%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液14.8gを投入し、反応器中の温度を80℃に維持して2.5時間撹拌を続けた。
次に、過硫酸アンモニウムの0.5質量%水溶液26.4gを投入し、アクリル酸n−ブチル0.1g、フェニルトリメトキシシラン36.7g、テトラエトキシシラン27.8g、及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.1gからなる混合液にさらに水10gを添加したものと、ジエチルアクリルアミド0.1g、アクリル酸0.9g、反応性乳化剤(商品名「アデカリアソープSR−1025」、旭電化社製、固形分25%水溶液)4.5g、反応性乳化剤(商品名「アクアロンKH−1025」、第一工業製薬社製、固形分25%水溶液)2.3g、過硫酸アンモニウムの0.5質量%水溶液120g、及びイオン交換水256.4gからなる混合液とを、反応器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて同時に滴下した。さらに、反応器中の温度を80℃に維持して約2時間撹拌を続けた後、室温まで冷却し、100メッシュの金網で濾過した。イオン交換水で固形分を8.5質量%に調整し、重合体粒子として、数平均粒子径20nmの重合体エマルジョン粒子Dの水分散体を得た。
[製造例1]金担持酸化チタン(A−1)
上記11.に記載した方法で合成した光触媒粒子Aの水分散体(A−0、固形分:2質量%)400gを、500mLフラスコに仕込み、65℃に加温した。65℃に達したとき、四塩化金酸四水和物水溶液(濃度:1質量%)を、3.83g添加し、10分間撹拌した。その後、タンニン酸水溶液(濃度:1質量%)を0.79g添加した。添加後65℃で維持したまま1時間撹拌し、撹拌後室温まで冷却して金担持酸化チタン(A−1)の合成物を得た。
得られた合成物中の金担持酸化チタン、すなわち抗菌性金属担持光触媒粒子ABの平均粒子径は69nmであり、光触媒粒子Aに担持されている金の質量は1.0%であり、光触媒粒子Aに担持されていない金化合物の含有量は100ppmであった。
[製造例2]銀担持酸化チタン(A−2)
[製造例1]で用いた四塩化金酸四水和物水溶液(濃度:1質量%)を硝酸銀水溶液(濃度:5質量%)1.26gとし、タンニン酸水溶液(濃度:1質量%)の添加量を3.50gとした以外は、前記[製造例1]と同じ方法にて合成し、銀担持酸化チタン(A−2)の合成物を得た。
得られた合成物中の銀担持酸化チタン、すなわち抗菌性金属担持光触媒粒子ABの平均粒子径は60nmであり、光触媒粒子Aに担持されている銀の質量は0.5%であり、光触媒粒子Aに担持されていない銀化合物の含有量は550ppmであった。
[製造例3]銀担持酸化チタン(A−3)
[製造例2]の硝酸銀水溶液(濃度:5質量%)の添加量を5.04gとし、タンニン酸水溶液(濃度:1質量%)の添加量を13.99gとした以外は、前記[製造例2]と同じ方法にて合成し、銀担持酸化チタン(A−3)の合成物を得た。
得られた合成物中の銀担持酸化チタン、すなわち抗菌性金属担持光触媒粒子ABの平均粒子径は66nmであり、光触媒粒子Aに担持されている銀の質量は1.9%であり、光触媒粒子Aに担持されていない銀化合物の含有量は1200ppmであった。
[製造例4]酸化銅担持酸化チタン(A−4)
[製造例2]の硝酸銀水溶液(濃度:5質量%)を硫酸銅五水和物水溶液(濃度:5質量%)3.12g、タンニン酸水溶液(濃度:1質量%)の添加量を5.30gとした以外は、前記[製造例2]と同じ方法にて合成し、酸化銅担持酸化チタン(A−4)の合成物を得た。
得られた合成物中の酸化銅担持酸化チタン、すなわち抗菌性金属担持光触媒粒子ABの平均粒子径は57nmであり、光触媒粒子Aに担持されている酸化銅の質量は0.5%であり、光触媒粒子Aに担持されていない酸化銅の含有量は800ppmであった。
[製造例5]酸化銅担持酸化チタン(A−5)
[製造例4]で用いた硫酸銅五水和物水溶液(濃度:5質量%)を9.36g、タンニン酸水溶液(濃度:1質量%)の添加量を15.90gとした以外は、前記[製造例4]と同じ方法にて合成し、酸化銅担持酸化チタン(A−5)の合成物を得た。
得られた合成物中の酸化銅担持酸化チタン、すなわち抗菌性金属担持光触媒粒子ABの平均粒子径は71nmであり、光触媒粒子Aに担持されている酸化銅の質量は1.4%であり、光触媒粒子Aに担持されていない酸化銅の含有量は1100ppmであった。
[製造例6]銀及び酸化銅担持酸化チタン(A−6)
上記11.に記載した方法で合成した光触媒粒子Aの水分散体(A−0、固形分:2質量%)400gを、500mLフラスコに仕込み、65℃に加温した。65℃に達したとき、硫酸銅五水和物水溶液(濃度:5質量%)を3.12g添加し、さらに硝酸銀水溶液(濃度:5質量%)を2.52g添加し、10分間撹拌した。その後、タンニン酸水溶液(濃度:1質量%)を12.29g添加した。添加後65℃で維持したまま1時間撹拌し、撹拌後室温まで冷却して銀及び酸化銅担持酸化チタン(A−6)の合成物を得た。
得られた合成物中の銀及び酸化銅担持酸化チタン、すなわち抗菌性金属担持光触媒粒子ABの平均粒子径は56nmであり、光触媒粒子Aに担持されている銀と酸化銅を合わせた質量は1.4%であり、光触媒粒子Aに担持されていない銀と酸化銅の含有量は合計1900ppmであった。
[製造例7]銀担持酸化チタン(A−7)
シリカとアルミナで修飾された酸化チタン(テイカ社製、「MT−05」)8.0g、イオン交換水392gの配合物を、卓上サンドミル(カンペパピオ社製、バッチ式卓上サンドミル)にて20分間分散させて、光触媒粒子Aの分散液を得た。
[製造例3]において光触媒粒子Aを本分散液とした以外は、前記[製造例3]と同じ方法にて合成し、銀担持酸化チタン(A−7)の合成物を得た。
得られた合成物中の銀担持酸化チタン、すなわち抗菌性金属担持光触媒粒子ABの平均粒子径は254nmであり、光触媒粒子Aに担持されている銀の質量は1.8%であり、光触媒粒子Aに担持されていない銀化合物の含有量は2150ppmであった。
[製造比較例1]銀担持酸化チタン(A−8)
500mLフラスコに水392gと、アニオン系界面活性剤(サンノプコ社製 SNディスパーセンセント5034)を0.2g仕込み、表面を修飾していないルチル型酸化チタン(堺化学工業社製 STR−100N)8gを加えて15分間撹拌した。次いで65℃に加温し、65℃に達したとき、硝酸銀水溶液(濃度:5質量%)を5.04g添加し10分間撹拌した。その後、タンニン酸水溶液(濃度:1質量%)を13.99g添加した。添加後65℃で維持したまま1時間撹拌し、撹拌後室温まで冷却して銀担持酸化チタン(A−8)の合成物を得た。
得られた合成物中の銀担持酸化チタン、すなわち抗菌性金属担持光触媒粒子ABの平均粒子径は345nmであり、酸化チタン表面に担持されている銀の質量は1.3%であり、酸化チタン表面に担持されていない銀化合物の含有量は7000ppmであった。
[製造比較例2]酸化銅混合酸化チタン(A−9)
上記11.記載した方法で合成した光触媒粒子Aの水分散体(A−0、固形分:2質量%)400gを500mLフラスコに仕込み、そこへ酸化銅分散体(CIKナノテック社製 CUAP15WT%−G180)を0.21g添加し、室温にて1時間撹拌することで酸化銅混合酸化チタン(A−9)の水分散体を得た。
得られた水分散体中の酸化銅混合酸化チタン、すなわち抗菌性金属担持光触媒粒子ABの平均粒子径は50nmであった。なお、便宜上「抗菌性金属担持光触媒AB」と記載したが、光触媒粒子Aには酸化銅が担持されておらず、光触媒粒子Aに担持されていない酸化銅の含有量は3500ppmであった。
[製造例8]中間層(M−1)
分散剤(BASFジャパン社製、「Pig.Disperser MD20」)5.35g、アンモニア水0.50g、プロピレングリコール23.50g、水147.50g、酸化チタン(塩素法ルチル型酸化チタン;石原産業社製、「タイペークCR−97」)333.50g、消泡剤(変性シリコーン系;サンノプコ社製、「SNデフォーマー1310」)2.85gの配合物を、卓上サンドミル(カンペパピオ社製、バッチ式卓上サンドミル)にて20分間分散させて、顔料ディスパージョンを得た。
次いで、アクリル−シリコーンエマルジョン(旭化成社製、「G639S」)109.0gに2,2,4−トリメチル−1,3−ブタンジオールイソブチレート(チッソ社製、「CS−12」)10.0g、エチレングリコールモノブチルエーテル50質量部と水50質量部の混合液10.0g、上記で得た顔料ディスパージョン51.4g、増粘剤(ADEKA社製、「アデカノールUH−438」)の10%水溶液0.5g、中間層を形成する全固形分に対して2.0質量%となるよう紫外線吸収剤(BASF社製、「TINUVIN900」)を添加し、1時間混合してエナメル塗料を得た。
上記エナメル塗料を前述した各試験に用いる基材へワイヤーコーターNo.50を用いて塗装し、温度23℃、相対湿度50%で48時間乾燥させ、中間層(M−1)を得た。
[製造例9]中間層(M−2)
[製造例8]において、さらに、光安定剤(BASF社製、「TINUVIN123」)を、中間層を形成する全固形分に対して2.0質量%となるよう添加し、1時間混合してエナメル塗料を得た。
上記エナメル塗料を前述した各試験に用いる基材へワイヤーコーターNo.50を用いて塗装し、温度23℃、相対湿度50%で48時間乾燥させ、中間層(M−2)を得た。
[製造例10]中間層(M−3)
[製造例8]において、紫外線吸収剤を光安定剤(BASF社製、「TINUVIN123」)に変更し、中間層を形成する全固形分に対して2.0質量%となるよう光安定剤を添加し、1時間混合してエナメル塗料を得た。
上記エナメル塗料を前述した各試験に用いる基材へワイヤーコーターNo.50を用いて塗装、温度23℃、相対湿度50%で48時間乾燥させ、中間層(M−3)を得た。
[製造比較例3]中間層(M−4)
[製造例8]において、紫外線吸収剤を添加せず、それ以外は、[製造例8]と同様の方法で配合及び塗装を行い、中間層(M−4)を得た。
[実施例1]
[製造例1]で製造した金担持酸化チタン(A−1)137.1gと、塩基性のコロイダルシリカである、数平均粒子径8nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスNS」、日産化学工業(株)製、固形分20質量%)123.4gと、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物である、フルオロカーボン界面活性剤(DIC社製、「メガファックF−444」)1.5gと、イオン交換水により固形分量を0.1質量%に調整した退色性色素(キシダ化学社製、「メチレンブルー」)140gとを配合し、全量が1000gとなるようイオン交換水と加えて撹拌することにより、光触媒塗料組成物を作製した。
この光触媒塗料組成物を前述した各試験に用いる基材、及び中間層(M−1)上へ塗布し、各種評価結果を下記表3に示す。
[実施例2]
[実施例1]において、抗菌性金属担持光触媒粒子ABを、上記[製造例2]で製造した銀担持酸化チタン(A−2)とした以外は、[実施例1]と同様にして光触媒塗料組成物を作製した。
この光触媒塗料組成物を前述した各試験に用いる基材、及び中間層(M−1)上へ塗布し、各種評価結果を下記表3に示す。
[実施例3]
[実施例1]において、抗菌性金属担持光触媒粒子ABを、上記[製造例3]で製造した銀担持酸化チタン(A−3)とした以外は、[実施例1]と同様にして光触媒塗料組成物を作製した。
この光触媒塗料組成物を前述した各試験に用いる基材、及び中間層(M−1)上へ塗布し、各種評価結果を下記表3に示す。
[実施例4]
[実施例1]において、抗菌性金属担持光触媒粒子ABを、上記[製造例4]で製造した酸化銅担持酸化チタン(A−4)とした以外は、[実施例1]と同様にして光触媒塗料組成物を作製した。
この光触媒塗料組成物を前述した各試験に用いる基材、及び中間層(M−1)上へ塗布し、各種評価結果を下記表3に示す。
[実施例5]
[実施例1]において、抗菌性金属担持光触媒粒子ABを、上記[製造例5]で製造した酸化銅担持酸化チタン(A−5)とした以外は、[実施例1]と同様にして光触媒塗料組成物を作製した。
この光触媒塗料組成物を前述した各試験に用いる基材、及び中間層(M−1)上へ塗布し、各種評価結果を下記表3に示す。
[実施例6]
[実施例1]において、抗菌性金属担持光触媒粒子ABを、上記[製造例6]で製造した銀及び酸化銅担持酸化チタン(A−6)とした以外は、[実施例1]と同様にして光触媒塗料組成物を作製した。
この光触媒塗料組成物を前述した各試験に用いる基材、及び中間層(M−1)上へ塗布し、各種評価結果を下記表3に示す。
[実施例7]
[実施例1]において、抗菌性金属担持光触媒粒子ABを、上記[製造例7]で製造した銀担持酸化チタン(A−7)とした以外は、[実施例1]と同様にして光触媒塗料組成物を作製した。
この光触媒塗料組成物を前述した各試験に用いる基材、及び中間層(M−1)上へ塗布し、各種評価結果を下記表3に示す。
[実施例8]
[実施例1]において、中間層のM−1を、上記[製造例9]で製造した中間層(M−2)とした以外は、[実施例1]と同様にして光触媒塗料組成物を作製した。
この光触媒塗料組成物を前述した各試験に用いる基材、及び中間層(M−2)上へ塗布し、各種評価結果を下記表3に示す。
[実施例9]
[実施例8]において、抗菌性金属担持光触媒粒子ABを、上記[製造例2]で製造した銀担持酸化チタン(A−2)とした以外は、[実施例8]と同様にして光触媒塗料組成物を作製した。
この光触媒塗料組成物を前述した各試験に用いる基材、及び中間層(M−2)上へ塗布し、各種評価結果を下記表3に示す。
[実施例10]
[実施例8]において、抗菌性金属担持光触媒粒子ABを、上記[製造例3]で製造した銀担持酸化チタン(A−3)とした以外は、[実施例8]と同様にして光触媒塗料組成物を作製した。
この光触媒塗料組成物を前述した各試験に用いる基材、及び中間層(M−2)上へ塗布し、各種評価結果を下記表3に示す。
[実施例11]
[実施例8]において、抗菌性金属担持光触媒粒子ABを、上記[製造例4]で製造した酸化銅担持酸化チタン(A−4)とした以外は、[実施例8]と同様にして光触媒塗料組成物を作製した。
この光触媒塗料組成物を前述した各試験に用いる基材、及び中間層(M−2)上へ塗布し、各種評価結果を下記表3に示す。
[実施例12]
[実施例8]において、抗菌性金属担持光触媒粒子ABを、上記[製造例5]で製造した酸化銅担持酸化チタン(A−5)とした以外は、[実施例8]と同様にして光触媒塗料組成物を作製した。
この光触媒塗料組成物を前述した各試験に用いる基材、及び中間層(M−2)上へ塗布し、各種評価結果を下記表3に示す。
[実施例13]
[実施例8]において、抗菌性金属担持光触媒粒子ABを、上記[製造例6]で製造した銀及び酸化銅担持酸化チタン(A−6)とした以外は、[実施例8]と同様にして光触媒塗料組成物を作製した。
この光触媒塗料組成物を前述した各試験に用いる基材、及び中間層(M−2)上へ塗布し、各種評価結果を下記表3に示す。
[実施例14]
[実施例8]において、抗菌性金属担持光触媒粒子ABを、上記[製造例7]で製造した銀担持酸化チタン(A−7)とした以外は、[実施例8]と同様にして光触媒塗料組成物を作製した。
この光触媒塗料組成物を前述した各試験に用いる基材、及び中間層(M−2)上へ塗布し、各種評価結果を下記表3に示す。
[実施例15]
[製造例1]で製造した金担持酸化チタン(A−1)273.7gと、数平均粒子径8nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックスNS」、日産化学工業(株)製、固形分:20質量%)82.1gと、上記12.に記載の方法で製造した重合体エマルジョン粒子D水分散体(固形分:8.5質量%)64.4gと、フルオロカーボン界面活性剤(AGCセイミケミカル社製「サーフロンS−232」)10.33gと、イオン交換水により固形分量を1.0質量%に調整した退色性色素(キシダ化学社製、「メチレンブルー」)140gを混合し、全量が1000gとなるようイオン交換水と加えて撹拌することにより、光触媒塗料組成物を作製した。
この光触媒塗料組成物を前述した各試験に用いる基材、及び中間層(M−1)上へ塗布し、各種評価結果を下記表4に示す。
[実施例16]
[実施例15]において、抗菌性金属担持光触媒粒子ABを、上記[製造例2]で製造した銀担持酸化チタン(A−2)とした以外は、[実施例15]と同様にして光触媒塗料組成物を作製した。
この光触媒塗料組成物を前述した各試験に用いる基材、及び中間層(M−1)へ塗布し、各種評価結果を下記表4に示す。
[実施例17]
[実施例15]において、抗菌性金属担持光触媒粒子ABを、上記[製造例3]で製造した銀担持酸化チタン(A−3)とした以外は、[実施例15]と同様にして光触媒塗料組成物を作製した。
この光触媒塗料組成物を前述した各試験に用いる基材、及び中間層(M−1)上へ塗布し、各種評価結果を下記表4に示す。
[実施例18]
[実施例15]において、抗菌性金属担持光触媒粒子ABを、上記[製造例4]で製造した酸化銅担持酸化チタン(A−4)とした以外は、[実施例15]と同様にして光触媒塗料組成物を作製した。
この光触媒塗料組成物を前述した各試験に用いる基材、及び中間層(M−1)上へ塗布し、各種評価結果を下記表4に示す。
[実施例19]
[実施例15]において、抗菌性金属担持光触媒粒子ABを、上記[製造例5]で製造した酸化銅担持酸化チタン(A−5)とした以外は、[実施例15]と同様にして光触媒塗料成物を作製した。
この光触媒塗料組成物を前述した各試験に用いる基材、及び中間層(M−1)上へ塗布し、各種評価結果を下記表4に示す。
[実施例20]
[実施例15]において、抗菌性金属担持光触媒粒子ABを、上記[製造例6]で製造した銀及び酸化銅担持酸化チタン(A−6)とした以外は、[実施例15]と同様にして光触媒塗料組成物を作製した。
この光触媒塗料組成物を前述した各試験に用いる基材、及び中間層(M−1)上へ塗布し、各種評価結果を下記表4に示す。
[実施例21]
[実施例15]において、抗菌性金属担持光触媒粒子ABを、上記[製造例7]で製造した銀担持酸化チタン(A−7)とした以外は、[実施例15]と同様にして光触媒塗料組成物を作製した。
この光触媒塗料組成物を前述した各試験に用いる基材、及び中間層(M−1)上へ塗布し、各種評価結果を下記表4に示す。
[実施例22]
[実施例15]において、中間層(M−1)を、上記[製造例9]で製造した中間層(M−2)とした以外は、[実施例15]と同様にして光触媒塗料組成物を作製した。
この光触媒塗料組成物を前述した各試験に用いる基材、及び中間層(M−2)上へ塗布し、各種評価結果を下記表4に示す。
[実施例23]
[実施例22]において、抗菌性金属担持光触媒粒子ABを、上記[製造例2]で製造した銀担持酸化チタン(A−2)とした以外は、[実施例22]と同様にして光触媒塗料組成物を作製した。
この光触媒塗料組成物を前述した各試験に用いる基材、及び中間層(M−2)上へ塗布し、各種評価結果を下記表4に示す。
[実施例24]
[実施例22]において、抗菌性金属担持光触媒粒子ABを、上記[製造例3]で製造した銀担持酸化チタン(A−3)とした以外は、[実施例22]と同様にして光触媒塗料組成物を作製した。
この光触媒塗料組成物を前述した各試験に用いる基材、及び中間層(M−2)上へ塗布し、各種評価結果を下記表4に示す。
[実施例25]
[実施例22]において、抗菌性金属担持光触媒粒子ABを、上記[製造例4]で製造した酸化銅担持酸化チタン(A−4)とした以外は、[実施例22]と同様にして光触媒塗料組成物を作製した。
この光触媒塗料組成物を前述した各試験に用いる基材、及び中間層(M−2)上へ塗布し、各種評価結果を下記表4に示す。
[実施例26]
[実施例22]において、抗菌性金属担持光触媒粒子ABを、上記[製造例5]で製造した酸化銅担持酸化チタン(A−5)とした以外は、[実施例22]と同様にして光触媒塗料組成物を作製した。
この光触媒塗料組成物を前述した各試験に用いる基材、及び中間層(M−2)上へ塗布し、各種評価結果を下記表4に示す。
[実施例27]
[実施例22]において、抗菌性金属担持光触媒粒子ABを、上記[製造例6]で製造した銀及び酸化銅担持酸化チタン(A−6)とした以外は、[実施例22]と同様にして光触媒塗料組成物を作製した。
この光触媒塗料組成物を前述した各試験に用いる基材、及び中間層(M−2)上へ塗布し、各種評価結果を下記表4に示す。
[実施例28]
[実施例22]において、抗菌性金属担持光触媒粒子ABを、上記[製造例7]で製造した銀担持酸化チタン(A−7)とした以外は、[実施例22]と同様にして光触媒塗料組成物を作製した。
この光触媒塗料組成物を前述した各試験に用いる基材、及び中間層(M−2)上へ塗布し、各種評価結果を下記表4に示す。
[実施例29]
[実施例1]において、中間層を、上記[製造例10]で製造した中間層(M−3)とした以外は、[実施例1]と同様にして光触媒塗料組成物を作製した。
この光触媒塗料組成物を前述した各試験に用いる基材、及び中間層(M−3)上へ塗布し、各種評価結果を下記表5に示す。
[実施例30]
[実施例29]において、抗菌性金属担持光触媒粒子ABを、上記[製造例2]で製造した銀担持酸化チタン(A−2)とした以外は、[実施例29]と同様にして光触媒塗料組成物を作製した。
この光触媒塗料組成物を前述した各試験に用いる基材、及び中間層(M−3)上へ塗布し、各種評価結果を下記表5に示す。
[実施例31]
[実施例29]において、抗菌性金属担持光触媒粒子ABを、上記[製造例3]で製造した銀担持酸化チタン(A−3)とした以外は、[実施例29]と同様にして光触媒塗料組成物を作製した。
この光触媒塗料組成物を前述した各試験に用いる基材、及び中間層(M−3)上へ塗布し、各種評価結果を下記表5に示す。
[実施例32]
[実施例29]において、抗菌性金属担持光触媒粒子ABを、上記[製造例4]で製造した酸化銅担持酸化チタン(A−4)とした以外は、[実施例29]と同様にして光触媒塗料組成物を作製した。
この光触媒塗料組成物を前述した各試験に用いる基材、及び中間層(M−3)上へ塗布し、各種評価結果を下記表5に示す。
[実施例33]
[実施例29]において、抗菌性金属担持光触媒粒子ABを、上記[製造例5]で製造した酸化銅担持酸化チタン(A−5)とした以外は、[実施例29]と同様にして光触媒塗料組成物を作製した。
この光触媒塗料組成物を前述した各試験に用いる基材、及び中間層(M−3)上へ塗布し、各種評価結果を下記表5に示す。
[実施例34]
[実施例29]において、抗菌性金属担持光触媒粒子ABを、上記[製造例6]で製造した銀及び酸化銅担持酸化チタン(A−6)とした以外は、[実施例29]と同様にして光触媒塗料組成物を作製した。
この光触媒塗料組成物を前述した各試験に用いる基材、及び中間層(M−3)上へ塗布し、各種評価結果を下記表5に示す。
[実施例35]
[実施例29]において、抗菌性金属担持光触媒粒子ABを、上記[製造例7]で製造した銀担持酸化チタン(A−7)とした以外は、[実施例29]と同様にして光触媒塗料組成物を作製した。
この光触媒塗料組成物を前述した各試験に用いる基材、及び中間層(M−3)へ塗布し、各種評価結果を下記表5に示す。
[比較例1]
[実施例8]において、抗菌性金属担持光触媒粒子ABを、上記[製造比較例1]で製造した銀担持酸化チタン(A−8)とした以外は、[実施例8]と同様にして光触媒塗料組成物を作製した。
この光触媒塗料組成物を前述した各試験に用いる基材、及び中間層(M−2)へ塗布し、各種評価結果を下記表5に示す。
[比較例2]
[実施例8]において、抗菌性金属担持光触媒粒子ABを、上記[製造比較例2]で製造した酸化銅混合酸化チタン(A−9)とした以外は、[実施例8]と同様にして光触媒塗料組成物を作製した。
この光触媒塗料組成物を前述した各試験に用いる基材、及び中間層(M−2)上へ塗布し、各種評価結果を下記表5に示す。
[比較例3]
[実施例8]において、抗菌性金属担持光触媒粒子ABを、上記11.で合成したシリカ修飾ルチル型酸化チタン(A−0)とした以外は、[実施例8]と同様にして光触媒塗料組成物を作製した。
この光触媒塗料組成物を前述した各試験に用いる基材、及び中間層(M−2)上へ塗布し、各種評価結果を下記表5に示す。
[比較例4]
[実施例2]において、中間層(M−1)を、上記[製造比較例3]で製造した中間層(M−4)とした以外は、[実施例2]と同様にして光触媒塗料組成物を作製した。
この光触媒塗料組成物を前述した各試験に用いる基材、及び中間層(M−4)上へ塗布し、各種評価結果を下記表5に示す。
[比較例5]
[比較例4]において、抗菌性金属担持光触媒粒子ABを、上記[製造比較例1]で製造した銀担持酸化チタン(A−8)とした以外は、[比較例4]と同様にして光触媒塗料組成物を作製した。
この光触媒塗料組成物を前述した各試験に用いる基材、及び中間層(M−4)上へ塗布し、各種評価結果を下記表5に示す。
[比較例6]
[比較例4]において、抗菌性金属担持光触媒粒子ABを、上記[製造比較例2]で製造した酸化銅混合酸化チタン(A−9)とした以外は、[比較例4]と同様にして光触媒塗料組成物を作製した。
この光触媒塗料組成物を前述した各試験に用いる基材、及び中間層(M−4)上へ塗布し、各種評価結果を下記表5に示す。
[比較例7]
[比較例4]において、抗菌性金属担持光触媒粒子ABを、上記11.で合成したシリカ修飾ルチル型酸化チタン(A−0)とした以外は、[比較例4]と同様にして光触媒塗料組成物を作製した。
この光触媒塗料組成物を前述した各試験に用いる基材、及び中間層(M−4)上へ塗布し、各種評価結果を下記表5に示す。
本発明の光触媒塗装体を使用すれば、耐候性と防カビ性に優れ、長期的に光触媒塗膜としての性能を発揮することができる。また、本発明の光触媒塗装体用の光触媒塗料組成物を用いることで、高透明性や低着色性に優れた光触媒層を提供でき、被塗装体の意匠を損ねることなく光触媒性能を付与できる。本発明の光触媒塗装体は、セルフクリーニング性に優れ、建築外装、内装材、外装表示用途、自動車、ディスプレイ等の分野において産業上の利用可能性を有する。

Claims (14)

  1. 基材と、
    当該基材上に光触媒含有層を具備する光触媒塗装体であって、
    前記光触媒含有層は、
    光触媒粒子Aの表面が無機酸化物で修飾されており、かつ抗菌性金属粒子Bを担持してなる抗菌性金属担持光触媒粒子ABと、
    紫外線吸収剤及び/又は光安定剤と、
    を、含有する、光触媒塗装体。
  2. 前記光触媒含有層が、
    前記基材上に設けられた中間層と、前記中間層上に設けられた光触媒層とからなり、
    前記中間層は、耐候性樹脂と、紫外線吸収剤及び/又は光安定剤とを含有し、
    前記光触媒層は、前記抗菌性金属担持光触媒粒子ABを、含有する、請求項1に記載の光触媒塗装体。
  3. 前記光触媒粒子Aの表面を修飾する無機酸化物が、二酸化ケイ素である、
    請求項1又は2に記載の光触媒塗装体。
  4. 前記光触媒粒子Aが、結晶性の二酸化チタンである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光触媒塗装体。
  5. 前記抗菌性金属粒子Bが、金、銀、銅、金化合物、銀化合物、及び銅化合物からなる群より選択される1種以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光触媒塗装体。
  6. 前記抗菌性金属粒子Bの質量が、前記抗菌性金属担持光触媒粒子ABの質量に対し、0.1〜10質量%の範囲である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光触媒塗装体。
  7. 前記抗菌性金属担持光触媒粒子ABの平均粒子径が1〜400nmである、
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の光触媒塗装体。
  8. 前記光触媒含有層に、前記抗菌性金属担持光触媒粒子ABの表面に担持されていない抗菌性金属粒子Cが含有されており、
    前記抗菌性金属粒子Cの含有量が、前記抗菌性金属担持光触媒粒子ABの全固形分に対して10〜3000ppmの範囲である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の光触媒塗装体。
  9. 前記抗菌性金属粒子Cが、金、銀、銅、金イオン、銀イオン、銅イオン、金化合物、銀化合物、及び銅化合物からなる群より選択される1種以上である、請求項8に記載の光触媒塗装体。
  10. 前記中間層中の前記紫外線吸収剤及び/又は光安定剤の質量の割合が、
    前記中間層の質量に基づいて、0.01〜15質量%である、
    請求項2〜9のいずれか一項に記載の光触媒塗装体。
  11. 前記紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール系化合物、及び/又はトリアジン系化合物である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の光触媒塗装体。
  12. 前記光安定剤が、ヒンダードアミン系化合物の1種以上から選択される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の光触媒塗装体。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の光触媒塗装体で用いられる前記光触媒含有層形成用光触媒塗料組成物であって、
    溶媒中に前記抗菌性金属担持光触媒粒子ABと、コロイダルシリカと、重合体エマルジョン粒子Dが含まれており、
    前記抗菌性金属担持光触媒粒子ABと、前記コロイダルシリカと、前記重合体エマルジョン粒子Dとの固形分の合計量100質量%に対して、前記抗菌性金属担持光触媒粒子ABを1質量%〜30質量%と、
    コロイダルシリカを40質量%〜99質量%と、
    重合体エマルジョン粒子Dを0〜30質量%と、
    を、含有する、光触媒塗料組成物。
  14. 前記光触媒塗料組成物中において、前記抗菌性金属担持光触媒粒子ABと、前記コロイダルシリカと、前記重合体エマルジョン粒子Dの固形分の合計質量の割合が、溶媒を含む光触媒塗料組成物の全体質量に基づいて、0.1〜20質量%である、請求項13に記載の光触媒塗料組成物。
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