JP2002329629A - 磁石の製造方法 - Google Patents

磁石の製造方法

Info

Publication number
JP2002329629A
JP2002329629A JP2001133665A JP2001133665A JP2002329629A JP 2002329629 A JP2002329629 A JP 2002329629A JP 2001133665 A JP2001133665 A JP 2001133665A JP 2001133665 A JP2001133665 A JP 2001133665A JP 2002329629 A JP2002329629 A JP 2002329629A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnet
aqueous solution
coating
alkali silicate
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001133665A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3740552B2 (ja
Inventor
Ryota Uchiyama
良太 内山
Tomomi Yamamoto
智実 山本
Koichi Nishizawa
剛一 西沢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP2001133665A priority Critical patent/JP3740552B2/ja
Publication of JP2002329629A publication Critical patent/JP2002329629A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3740552B2 publication Critical patent/JP3740552B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F41/00Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties
    • H01F41/02Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties for manufacturing cores, coils, or magnets
    • H01F41/0253Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties for manufacturing cores, coils, or magnets for manufacturing permanent magnets
    • H01F41/026Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties for manufacturing cores, coils, or magnets for manufacturing permanent magnets protecting methods against environmental influences, e.g. oxygen, by surface treatment

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Environmental & Geological Engineering (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Chemical Treatment Of Metals (AREA)
  • Hard Magnetic Materials (AREA)
  • Manufacturing Cores, Coils, And Magnets (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐食性や接着性に優れ、磁石周辺を汚染する
おそれが少ない保護被膜を有する磁石を安価に製造でき
る磁石の製造方法を提供すること。 【解決手段】 希土類元素を含む磁石本体の表面にアル
カリ珪酸塩被膜を形成する工程と、前記アルカリ珪酸塩
被膜を、ホウ酸、シュウ酸および亜硫酸から選ばれる少
なくとも一つを含む酸性水溶液で処理する工程とを有す
る磁石の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転機器などに使
用可能な磁石の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】R(RはYを含む希土類元素の一種以
上)、TM(TMはFeを主成分とする遷移元素)およ
びホウ素を含むR−TM−B系磁石は、優れた磁気特性
を有することが知られている。しかしながら、このR−
TM−B系磁石は、一般の鉄鋼材質と比較して、非常に
腐食し易いという大きな欠点を有している。そこで、こ
の欠点を補うために、磁石の表面には、メッキ、イオン
プレーティング、樹脂コーティングなどの様々な表面処
理が施されてきた。
【0003】近年では、電気機器の小型化や省エネルギ
ー化に伴い、高性能な磁石が要求される中で、同時に低
コスト化も要求されている。特に、従来施されてきた表
面処理の性能を必要としない用途も増えてきており、表
面処理の低コスト化が強く要求されるようになってきて
いる。また、各種モータ機器の高効率化を実現する上
で、磁石に表面処理を施して形成される保護被膜による
磁気特性の損失も無視できなくなっている。
【0004】従来から、R−TM−B系磁石の簡便な防
錆処理手法として、化成処理やアルカリ珪酸塩に浸漬す
る手法が知られている。
【0005】化成処理は、クロム酸系およびリン酸塩系
に大別されるが、クロム酸処理は、近年の環境問題から
撤廃される傾向にある。
【0006】特公平4−22008号公報では、R−T
M−B系磁石の表面をリン酸塩処理することで、磁石表
面にリン酸塩で構成される化成被膜を形成する方法が開
示されている。しかしながら、通常のリン酸塩処理をR
−TM−B系磁石に行うと、磁石組織内のガルバニ腐食
により、R−rich相が選択的に溶出して化成被膜が
十分に形成されないため、耐食性が得られないという欠
点を有する。
【0007】特開平9−7867号公報や特開平10−
154611号公報では、R−TM−B系磁石をアルカ
リ珪酸塩水溶液で処理して加熱乾燥することで、磁石表
面にガラス状保護被膜を形成する方法が開示されてい
る。しかしながら、これらの公報に記載の方法で得られ
る磁石は、そのガラス状保護被膜にアルカリ成分を多く
含む。この被膜に含まれるアルカリ成分は水分を吸湿す
る性質を有するので、被膜の耐食性が低下し易い。ま
た、アルカリ成分を含む被膜は、水分に接触すると再溶
解する性質も有する。被膜が溶出すると、被膜の接着強
度が低下し、しかも各種機器に組み込まれた場合に磁石
周辺を汚染してしまう不都合を生じうる。さらに、高温
で加熱乾燥を行うと、被膜にクラックが生じ易く、これ
により耐食性を低下させるという不具合も生じうる。
【0008】そこで、特開2000−40609号公報
では、次に示す磁石の防錆処理方法が開示されている。
まず、上述した特開平9−7867号公報や特開平10
−154611号公報と同様に、R−TM−B系磁石を
アルカリ珪酸塩水溶液で処理して加熱乾燥することで、
磁石表面にガラス状保護被膜を形成する。次に、このガ
ラス状保護被膜を水洗する。これにより、被膜中に残存
するアルカリ成分を除去し、耐食性の低下や磁石周辺の
汚染を防止しようとするものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開2
000−40609号公報に記載の方法による水洗のみ
では、磁石表面に形成されたガラス状保護被膜から、こ
れに含まれるアルカリ成分を十分に除去することは困難
であり、しかも水洗時に被膜が再溶解してしまうという
欠点を有する。このため、得られる磁石の品質にバラツ
キを生じやすいといった欠点があった。特に高温での乾
燥は、被膜のクラックなどの発生要因となり、品質を損
なうという問題を生じていた。
【0010】なお、特開平4−6807号公報では、次
に示す磁石の防錆処理方法が開示されている。まず、R
−TM−B系磁石をアルカリ珪酸塩水溶液に浸漬して加
熱乾燥することで、磁石表面に50μm程度の厚膜のガ
ラス状保護被膜を形成する。次に、この厚膜のガラス状
保護被膜を硝酸で処理して加熱乾燥する。次に、硝酸処
理後のガラス被膜を無電解メッキ処理することで、ガラ
ス被膜の欠陥部に金属を析出させる。すなわち、特開平
4−6807号公報に記載の方法は、磁石表面に厚膜の
ガラス状保護膜を形成した後、このガラス被膜の欠陥部
を金属で埋めることで、磁石の耐食性および耐摩耗性を
向上させようとするものである。確かに、ガラス被膜を
厚膜で形成しているため、磁石の耐摩耗性は向上すると
考えられる。
【0011】しかしながら、硝酸による処理では、被膜
に欠陥があった場合に腐食を進行させてしまう不都合を
有する。特に被膜を薄膜にした場合では、得られる磁石
の品質を低下させることになる。
【0012】また、硝酸処理後のガラス被膜を無電解メ
ッキ処理すると、以下のような不都合を生じる。第1
に、次亜リン酸ナトリウムの反応で発生する水素ガスに
より、磁石本体が水素吸蔵して脆化してしまう。第2
に、無電解メッキ処理前に活性化処理として塩化パラジ
ウムを使用するが、この際、液中の塩素によって磁石本
体が侵されることがある。第3に、ガラス被膜の欠陥部
に電解液が溜まると、洗浄しても容易には除去されない
ため、ここを起点として腐食が開始される。
【0013】本発明の目的は、耐食性や接着性に優れ、
磁石周辺を汚染するおそれが少ない保護被膜を有する磁
石を安価に製造できる磁石の製造方法を提供することで
ある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る磁石の製造方法は、希土類元素を含む
磁石本体の表面にアルカリ珪酸塩被膜を形成する工程
と、前記アルカリ珪酸塩被膜を、ホウ酸、シュウ酸およ
び亜硫酸から選ばれる少なくとも一つを含む酸性水溶液
で処理する工程とを有する。
【0015】前記酸性水溶液による前記アルカリ珪酸塩
被膜の処理方法は、特に限定されず、前記アルカリ珪酸
塩被膜を酸性水溶液に浸漬してもよいし、あるいは前記
アルカリ珪酸塩被膜に前記酸性水溶液を塗布してもよい
が、作業性の点では、前記アルカリ珪酸塩被膜を前記酸
性水溶液に浸漬することが好ましい。
【0016】前記酸性水溶液が80℃以下に調製されて
いることが好ましい。前記酸性水溶液での処理時間が3
0分以内であることが好ましい。前記酸性水溶液のpH
が3以上に調製されていることが好ましい。
【0017】前記磁石本体の表面に形成するアルカリ珪
酸塩被膜の厚みは、特に限定されないが、品質および磁
気特性の面で、0.01μm以上5μm以下で形成する
ことが好ましい。
【0018】前記磁石本体の表面にアルカリ珪酸塩被膜
を形成する方法は、特に限定されず、磁石本体をアルカ
リ珪酸塩水溶液に浸漬して形成してもよいし、あるいは
磁石本体にアルカリ珪酸塩水溶液を塗布して形成しても
よい。
【0019】前記磁石本体の表面にアルカリ珪酸塩被膜
を形成するために用いるアルカリ珪酸塩水溶液には、M
O・nSiO(ただし、MはNaまたはK)が
SiO換算で3〜50%含有してあり、M
(ただし、MはNaまたはK)に対するSiOのモ
ル比(n=SiO/MO)が0.5〜15であ
ることが好ましい。
【0020】前記磁石本体は、希土類元素を含んで構成
されていれば、特にその材質は限定されないが、R(R
はYを含む希土類元素の一種以上)、TM(TMはFe
を主成分とする遷移元素)およびホウ素を含むR−TM
−B系希土類磁石で構成してあることが好ましい。
【0021】
【作用】一般に、アルカリ金属との塩以外の珪酸塩は、
水に難溶であり、アルカリ珪酸塩のみが水に対して良好
な溶解性を示すことから、アルカリ珪酸塩の水溶液は、
この塩の保護被膜を形成する上で取り扱い性に優れてい
る。その反面、アルカリ珪酸塩水溶液を用いて形成され
たアルカリ珪酸塩の保護被膜には、アルカリ成分が含ま
れるため、そのままでは再び水に接すると溶解するとい
う欠点がある。
【0022】本発明に係る磁石の製造方法では、希土類
元素を含む磁石本体の表面に形成されたアルカリ珪酸塩
被膜を特定の酸を含む酸性水溶液で処理する。
【0023】特定の酸で処理した後、純水で洗浄すると
いった簡便な方法によっても、磁石本体の表面に形成さ
れたアルカリ珪酸塩被膜中のアルカリ成分は完全に中和
されて除去され、前記アルカリ珪酸塩被膜の少なくとも
表面に安定化した珪酸被膜が形成される。その結果、得
られる磁石に耐食性が付与される。また、処理後の被膜
は安定化しているので、その後に水と接触しても被膜が
再溶解することはない。これにより、被膜の接着強度が
低下することはなく、高い接着性を維持でき、しかもモ
ータ機器などに組み入れた後に磁石周辺を汚染すること
もない。
【0024】また、特開平4−6807号公報では、5
0μm程度の厚膜で磁石の耐食性を確保しているが、本
発明では、0.01〜5μm程度の薄膜でも磁石の耐食
性や密着性を確保することができる。被膜が極めて薄い
場合には、所定サイズの磁石において磁石本体が占める
体積割合を大きく取ることができ、従来よりも多くの磁
束を得ることが可能となる。
【0025】なお、上述したように、特開平4−680
7号公報に記載されているように、硝酸処理後のガラス
被膜を無電解メッキ処理すると、ガラス被膜の欠陥部に
電解液が溜まり、ここを起点として腐食が開始されてし
まうが、本発明のように、特定の酸で処理することによ
り、磁石本体の腐食発生起点であるNdなどのR−ri
ch相との間で不溶性塩を生成するため、腐食が確実に
防止される。
【0026】本発明に係る磁石の具体的な用途は、特に
限定されないが、各種産業用回転機器、民生用回転機
器、光ピックアップ装置などが例示される。産業用回転
機器としては、自動車やオートバイなどに使用される各
種モータ;工作機械の駆動系などが例示される。民生用
回転機器としては、VTR、CD、MD、DVD、カセ
ットステレオなどに使用される各種モータ;OA機器
(コンピュータ、プリンタ、複写機など)のモータなど
が例示される。光ピックアップ装置は、記録媒体である
光ディスクに情報を記録再生するためのものであり、一
般に、対物レンズを光ディスクのトラッキング方向やフ
ォーカス方向に移動させる対物レンズ駆動装置と、取り
付け台上に光源や受光部などが設けられ、対物レンズを
介して、光ディスクにレーザ光を投射し、その反射光を
検出する光学系ブロックと、から構成される。本発明の
磁石を光ピックアップ装置に用いる場合、当該磁石は、
対物レンズ駆動装置の構成部材である磁気回路に用いら
れる。
【0027】
【発明の実施の形態】本実施形態では、希土類磁石の一
例として、R−TM−B系焼結磁石を挙げ、この磁石の
製造方法の一例を説明する。
【0028】(1)まず、磁石本体を準備する。磁石本
体は、本実施形態では、R(RはYを含む希土類元素の
一種以上)、TM(TMはFeを主成分とする遷移元
素)、およびBを含むR−TM−B系希土類磁石で構成
される。
【0029】R、TMおよびBの含有量は、5.5原子
%≦R≦30原子%、42原子%≦TM≦90原子%、
2原子%≦B≦28原子%、であることが好ましい。な
お、TMは基本的にFeと不可避の不純物とからなる。
特に、永久磁石体を焼結法により製造する場合、下記の
組成であることが好ましい。
【0030】希土類元素Rとしては、Nd,Pr,H
o,Tbのうち少なくとも1種、あるいはさらに、L
a,Sm,Ce,Gd,Er,Eu,Pm,Tm,D
y,Yb,Yのうち1種以上を含むものが好ましい。な
お、Rとして2種以上の元素を用いる場合、原料として
ミッシュメタル等の混合物を用いることもできる。
【0031】Rの含有量は、5.5〜30原子%である
ことが好ましい。Rの含有量が少なすぎると、磁石の結
晶構造がα−鉄と同一構造の立方晶組織となるため、高
い保磁力(Hcj)が得られず、多すぎると、Rリッチ
な非磁性相が多くなり、残留磁束密度(Br)が低下す
る。
【0032】TMの含有量は42〜90原子%であるこ
とが好ましい。TMの含有量が少なすぎると、Brが低
下し、多すぎると、Hcjが低下する。なお、Feの一
部をCoで置換することにより、磁気特性を損うことな
く温度特性を改善することができる。この場合、Co置
換量がFeの50%を超えると磁気特性が劣化するた
め、Co置換量は50%以下とすることが好ましい。
【0033】Bの含有量は、2〜28原子%であること
が好ましい。Bの含有量が少なすぎると、磁石の結晶構
造が菱面体組織となるためHcjが不十分であり、多す
ぎると、Bリッチな非磁性相が多くなるため、Brが低
下する。
【0034】また、R、TMおよびBの他、不可避的不
純物として、Ca,O,C等が全体の3原子%以下含有
されていてもよい。
【0035】さらに、Bの一部を、C,P,Sのうちの
1種以上で置換することにより、生産性の向上および低
コスト化を実現できる。この場合、置換量は全体の4原
子%以下であることが好ましい。また、保磁力の向上、
生産性の向上、低コスト化のために、Cu,Al,T
i,V,Cr,Mn,Bi,Nb,Ta,Mo,W,S
b,Ge,Sn,Zr,Ni,Si,Hf等の1種以上
を添加してもよい。この場合、添加量は総計で10原子
%以下とすることが好ましい。
【0036】磁石本体は、実質的に正方晶系の結晶構造
の主相を有する。この主相の粒径は、1〜100μm程
度であることが好ましい。そして、通常、体積比で1〜
50%の非磁性相を含むものである。
【0037】このような磁石本体を製造するには、粉末
冶金法を用いることが好ましい。粉末冶金法による磁石
本体の製造は、以下のようにして行われる。まず、所望
の組成の合金を、鋳造法やストリップキャスト法などの
各種合金製造プロセスを用いて作製する。次いで、得ら
れた合金を、ジョークラッシャー、ブラウンミル、スタ
ンプミルなどの粗粉砕機を用いて10〜100μm程度
の粒径に粗粉砕した後、ジェットミル、アトライターな
どの微粉砕機により0.5〜5μm程度の粒径に微粉砕
する。次いで、得られた粉末を、好ましくは磁場中にて
成型する。成型時の磁場強度は、好ましくは600kA
/m以上である。成型圧力は、好ましくは0.5〜5t
on/cm程度である。次いで、得られた成型体
を、1000〜1200℃で0.5〜10時間、焼結
し、急冷する。焼結時の雰囲気は、Arガス等の不活性
ガス中または真空中であることが好ましい。この後、好
ましくは不活性ガス雰囲気中または真空中で、500〜
900℃にて1〜5時間、熱処理(時効処理)を行い、
任意の形状に加工する。こうして製造された磁石本体
は、たとえばRがNdである場合に、特に磁気特性に優
れる。
【0038】(2)次に、本実施形態では、得られた磁
石本体に洗浄等の前処理を行う。
【0039】この前処理は、本発明では任意の処理であ
るが、これを行うことで被膜の耐食性能をより向上させ
ることができる。ただし、前処理を行わないことで被膜
性能を著しく損なうものではない。
【0040】前処理を行う場合、以下のプロセスを適用
することが好ましい。
【0041】まず、磁石本体の表面のバリなどを取り除
くため、バレル研磨を行う。次いで、磁石本体の表面の
汚れを取り除くために脱脂処理を行い、洗浄後にイオン
交換水中で超音波洗浄を行う。脱脂処理で用いる脱脂液
は、通常の鉄鋼用に使用されているものであれば特に限
定されない。アルカリ系の脱脂液を使用すると洗浄効果
が大きく、さらに成分中にキレート剤を含むものを使用
すると、磁石表面を若干エッチングする効果があるので
より好ましい。脱脂液の成分としては、一般に苛性ソー
ダ(NaOH)を主成分として、その他添加剤は特定す
るものでない。
【0042】また、脱脂後の磁石本体の表面をさらに清
浄化する場合、化学エッチングを行ってもよい。化学エ
ッチングで使用する酸としては、硝酸を用いることが好
ましい。一般の鋼材にメッキ処理を施す場合、塩酸、硫
酸等の非酸化性の酸が用いられることが多い。しかし、
本実施形態での磁石本体のように、磁石本体が希土類元
素を含む場合には、これらの酸を用いて処理を行うと、
酸により発生する水素が磁石本体の表面に吸蔵され、吸
蔵部位が脆化して多量の粉状未溶解物が発生する。この
粉状未溶解物は、表面処理後の面粗れ、欠陥および密着
不良を引き起こすため、上述した非酸化性の酸を化学エ
ッチング処理液に含有させないことが好ましい。したが
って、水素の発生が少ない酸化性の酸である硝酸を用い
ることが好ましく、さらにアルドン酸またはその塩が同
時に含有されているのが表面に目視で確認不可なレベル
の凹凸が形成され、塗膜の密着力が向上するのでより一
層好ましい。なお、このような密着性の向上は、アルド
ン酸またはその塩によって選択的に実現し、他の有機
酸、例えばクエン酸、酒石酸等では実現しない。
【0043】このような前処理による磁石本体の表面の
溶解量は、表面から平均厚みで5μm以上、好ましくは
10〜15μmとするのが好適である。磁石本体の表面
の加工による変質層や酸化層を完全に除去することで、
磁石表面の腐食の起点を減少させ、耐食性をより向上さ
せることが可能となる。
【0044】前処理に用いられる処理液の硝酸濃度は、
好ましくは1規定以下、特に好ましくは0.5規定以下
である。硝酸濃度が高すぎると、磁石本体の溶解速度が
極めて速く、溶解量の制御が困難となり、特にバレル処
理のような大量処理ではバラツキが大きくなり、製品の
寸法精度が維持できない。また、硝酸濃度が低すぎる
と、溶解量の不足となる。このため、硝酸濃度は1規定
以下、特に0.5〜0.05規定以下とするのが望まし
い。また、処理終了時のFeの溶解量は、1〜10g/
l程度とする。
【0045】前処理を行った磁石本体の表面から少量の
未溶解物、残留酸成分を完全に除去するため、超音波を
使用した洗浄を実施することが好ましい。この超音波洗
浄は、磁石本体の表面に錆を発生させる塩素イオンが極
めて少ない純水中で行うのが好ましい。また、前記超音
波洗浄の前後、および前記前処理の各過程で必要に応じ
て同様な水洗を行ってもよい。
【0046】(3)次に、前処理が施された磁石本体の
表面をアルカリ珪酸塩溶液で処理して、前記磁石本体の
表面にアルカリ珪酸塩被膜を形成する。
【0047】本実施形態では、磁石本体をアルカリ珪酸
塩水溶液に浸漬し、乾燥して磁石本体の表面にアルカリ
珪酸塩被膜を形成する方法を採用しているが、本発明で
はこれに限定されるものではない。
【0048】アルカリ珪酸塩としては、水ガラス(Na
OとSiOが主成分の珪酸ナトリウム)、珪酸
カリウムなどが挙げられるが、安価で入手容易な点で、
水ガラスが好ましい。水溶液中のSiOとM
(ただし、MはNa、Kなどのアルカリ金属、好ましく
はNaまたはK)とのモル比(n=SiO/M
O)は、0.5〜15の範囲が好ましく、水に対する
溶解度および乾燥後の被膜安定性の点では、0.5〜8
の範囲がより好ましい。モル比が大きすぎると、被膜が
脆くなるためクラックが生じやすくなる。
【0049】前記アルカリ珪酸塩水溶液は、イオン交換
水中に、MO・nSiO(ただし、MはNa、
Kなどのアルカリ金属)がSiO換算で3〜50%
程度溶解しているのが好ましい。SiO換算で3〜
50%程度溶解している水溶液を用いた場合、乾燥後に
被膜を薄膜に、かつ均一化させることができる。なお、
被膜をより均一化させるために超微粒子状シリカ、コロ
イダルシリカ等を添加してもよい。
【0050】乾燥は、被膜表面の水分が除去され、被塗
物同士の貼り付きが生じない程度に行えばよく、室温で
放置することによってもよい。ただし、作業性を向上さ
せるために、40〜150℃程度、好ましくは40〜1
20℃程度の温度で5〜60分程度、好ましくは5〜3
0分程度の乾燥を行ってもよい。乾燥の方法は、限定さ
れず、エアーを吹き付ける方法によってもよい。なお、
必要に応じて、アルカリ珪酸塩水溶液への浸漬、乾燥処
理を2回以上行ってもよい。
【0051】前記磁石本体の表面に形成するアルカリ珪
酸塩被膜の厚みは、特に限定されないが、0.01μm
以上5μm以下で形成することが好ましく、より好まし
くは0.05μm以上3μm以下で形成する。形成され
る被膜の厚みが薄すぎると、十分な耐食性を得ることが
困難である。その反面、被膜の厚みが厚すぎると、均一
な膜厚を得ることが困難となり、しかも磁気特性の損失
が大きくなる。すなわち、磁気特性の損失をできる限り
少なくし、しかも耐食性を十分に保持しつつ均一な膜厚
を得るとの観点からは、上記範囲で形成することが好ま
しい。
【0052】次に、磁石本体の表面に形成されたアルカ
リ珪酸塩被膜を酸性水溶液で処理し、純水で洗浄後、前
記アルカリ珪酸塩被膜を硬化させて珪酸保護被膜を生成
させる。純水で洗浄を行うのは、乾燥後に酸が濃縮され
て磁石を腐食させるのを防止するためである。ただし、
本発明では、アルカリ珪酸塩被膜の全てを硬化させて保
護被膜を生成させてもよいが、アルカリ珪酸塩被膜の表
面部分のみを硬化させて保護被膜を生成させてもよい。
【0053】本実施形態では、アルカリ珪酸塩被膜が形
成された磁石本体を酸性水溶液に浸漬し、純水中で洗
浄、乾燥してアルカリ珪酸塩被膜を硬化させる方法を採
用しているが、本発明ではこれに限定されるものではな
い。
【0054】アルカリ珪酸塩は、エタノール、アセトン
等の水に可溶な有機溶媒と接触するとゲル化する性質を
有するが、再度水で溶解される性質を有する。しかしな
がら、酸性水溶液に接触すると、アルカリ珪酸塩は加水
分解されてゲル状珪酸が形成されるため、水に対する溶
解性が著しく低下する。
【0055】酸性水溶液に含まれる酸としては、本発明
では、ホウ酸、シュウ酸および亜硫酸から選ばれる少な
くとも一つを含み、NdなどのR(RはYを含む希土類
元素の一種以上)に対して水に不溶な塩を生成するもの
を用いる。中でも、ホウ酸およびシュウ酸は、pH緩衝
作用があり、溶液を管理し易い点で好ましい。このよう
な特定の酸を含む酸性水溶液を用いて処理することで、
アルカリ珪酸塩を硬化させ、しかも被膜に含まれるアル
カリ成分を確実に除去し、その結果、被膜の安定化が可
能になることを本発明者らは見いだした。
【0056】酸性水溶液は、pHが3以上に調製されて
いることが好ましく、より好ましくは4.5以上に調製
される。溶液のpHが低すぎると被膜に微少な欠陥があ
った場合に磁石本体を侵すおそれがあるからである。p
Hの上限は、好ましくは7である。
【0057】酸性水溶液は、温度が80℃以下に調製さ
れていることが好ましく、より好ましくは50℃以下に
調整されている。所定温度以下に調製されている酸性水
溶液で処理行うことにより、被膜に損傷を与えることな
く、被膜からアルカリ成分を十分に除去して、被膜の安
定化を図ることができる。
【0058】酸性水溶液での処理時間は、30分以内で
あることが好ましく、より好ましくは10分以内であ
る。アルカリ珪酸塩は酸性水溶液と接触すれば、速やか
に硬化するため、酸性水溶液での処理時間が長すぎる
と、生産性の面で好ましくなく、効率的な被膜の安定化
に支障を来すことになるからである。
【0059】本実施形態では、アルカリ珪酸塩被膜を酸
性水溶液に浸漬した後、純水中で洗浄して被膜表面を乾
燥させる。このとき、通常は40〜150℃で乾燥を行
い表面の水分を除去するが、工程簡略化のためアルコー
ル浸漬して風乾することとしてもよい。
【0060】以上のような工程を経ることにより、磁石
本体の表面に安定化した保護被膜が形成された永久磁石
が製造される。
【0061】本実施形態に係る永久磁石の製造方法で
は、磁石本体の表面に形成されたアルカリ珪酸塩被膜を
特定の酸を含む酸性水溶液で浸漬処理し、このアルカリ
珪酸塩被膜を硬化させて安定化した珪酸保護被膜を形成
する。こうして形成された珪酸保護被膜は、極めて薄い
にも係わらず、アルカリ成分が完全に中和されて除去さ
れ、安定化している。その結果、得られた永久磁石に耐
食性が付与される。また、処理後の被膜は安定化してい
るので、その後に水と接触しても被膜が再溶解すること
はない。これにより被膜の接着強度が低下することはな
く、高い接着性を維持でき、しかもモータ機器などに組
み入れた後に磁石周辺を汚染することもない。
【0062】以上、本発明の実施形態について説明して
きたが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において
種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0063】
【実施例】以下に、本発明の実施形態を実施例および比
較例を挙げて具体的に説明する。なお、本発明はこれら
に限定されるものではない。
【0064】実施例1 粉末冶金法によって作成した、14.7Nd―77.6
Fe―1.6Co―6.1B(数字は原子比)の組成か
らなる鋳塊を粗粉砕し、さらに不活性ガスによるジェッ
トミル粉砕で平均粒径が約3.5μmの微粉末を得た。
得られた微粉末を金型内に充填し、1185kA/mの
磁界を印加して1.0ton/cmの圧力で成型し
た。次いで、真空中で焼結、熱処理を経て焼結体を得
た。得られた焼結体を、10mm×20mm×厚さ3m
mの大きさに切り出し加工し、さらにバレル研磨および
アルカリ脱脂処理を行って、永久磁石本体を得た。
【0065】次いで、JIS−3号 珪酸ナトリウム
(旭電化(株)製)を純水に溶解して作製された、重量
比:20%の珪酸ナトリウム水溶液(モル比n=(Si
/NaO)=3)に、前記得られた永久磁石本
体を浸漬、室温(25℃)で30分放置して乾燥するこ
とにより、永久磁石本体の表面に珪酸ナトリウム被膜を
形成した。珪酸ナトリウム被膜の膜厚は0.3μmであ
った。
【0066】次いで、珪酸ナトリウム被膜が形成された
永久磁石本体を、室温(25℃)に調製されたホウ酸水
溶液(pH=3.4)に浸漬時間:1分浸漬した後、純
水中で洗浄後、120℃で10分、乾燥することによ
り、珪酸ナトリウム被膜の全てを硬化させて珪酸保護被
膜を生成させた。これにより、永久磁石サンプルを得
た。生成した珪酸保護被膜の厚みは0.3μmであっ
た。
【0067】実施例2 室温(25℃)に調製されたシュウ酸水溶液(pH=
5.8)を用いた以外は、実施例1と同様にして永久磁
石サンプルを得た。
【0068】実施例3 室温(25℃)に調製された亜硫酸水溶液(pH=4.
9)を用いた以外は、実施例1と同様にして永久磁石サ
ンプルを得た。
【0069】実施例4 室温に調製されたホウ酸水溶液(pH=4.7)を用い
た以外は、実施例1と同様にして永久磁石サンプルを得
た。実施例4−1 ホウ酸水溶液に1分浸漬した後の永久磁石本体を、純水
中で洗浄後、室温で放置することにより、珪酸ナトリウ
ム被膜の全てを硬化させて珪酸保護被膜を生成させた以
外は、実施例4と同様にして永久磁石サンプルを得た。
【0070】実施例5 75℃に調製されたホウ酸水溶液(pH=4.7)を用
いた以外は、実施例1と同様にして永久磁石サンプルを
得た。
【0071】実施例6 室温に調製されたホウ酸水溶液(pH=6.3)を用い
た以外は、実施例1と同様にして永久磁石サンプルを得
た。
【0072】実施例7 永久磁石本体を珪酸ナトリウム水溶液に浸漬した後、1
50℃で30分放置して乾燥して珪酸ナトリウム被膜を
形成し、かつ室温(25℃)に調製されたホウ酸水溶液
(pH=4.7)を用いた以外は、実施例1と同様にし
て永久磁石サンプルを得た。
【0073】実施例8 永久磁石本体を珪酸ナトリウム水溶液に浸漬した後、1
50℃で30分放置して乾燥して珪酸ナトリウム被膜を
形成し、かつ75℃に調製されたホウ酸水溶液(pH=
4.7)を用いた以外は、実施例1と同様にして永久磁
石サンプルを得た。実施例9 珪酸ナトリウムの重量比を50%に調製した珪酸ナトリ
ウム水溶液(モル比n=(SiO/NaO)=
2)を用いた以外は、実施例1と同様にして永久磁石サ
ンプルを得た。
【0074】比較例1 室温(25℃)に調製された硝酸水溶液(pH=2.
4)を用いた以外は、実施例1と同様にして永久磁石サ
ンプルを得た。
【0075】比較例2 室温(25℃)に調製された塩酸水溶液(pH=2.
6)を用いた以外は、実施例1と同様にして永久磁石サ
ンプルを得た。
【0076】比較例3 永久磁石本体に珪酸ナトリウム被膜を形成した後、ホウ
酸水溶液(pH=3.4)への浸漬を行わずに、50℃
に調製された純水への浸漬を15分間行い、乾燥させた
以外は、実施例1と同様にして永久磁石サンプルを得
た。
【0077】比較例4 硝酸水溶液のpHを4.4に変えた以外は、比較例1と
同様にして永久磁石サンプルを得た。
【0078】比較例5 塩酸水溶液のpHを4.8に変えた以外は、比較例2と
同様にして永久磁石サンプルを得た。
【0079】実施例1〜9および比較例1〜5で得られ
たそれぞれの永久磁石サンプルを用いて、耐湿性(耐食
性)、耐溶解性(耐汚染性)および接着性の評価を行っ
た。
【0080】「耐湿性」は、永久磁石サンプルを、85
℃,85%RH試験槽に168時間投入した後の外観変
化を観察することにより行った。そして、「変化なし」
の場合を耐食性ありと、「錆が発生」した場合を耐食性
なしと、それぞれ評価した。
【0081】「耐溶解性」は、永久磁石サンプルを、5
0ccの超純水に浸漬し、40℃で20時間放置後、当
該磁石サンプルからのNa溶出量(ppm/cm
を、誘導結合高周波プラズマ分光分析(ICP分光分
析、InductivelyCoupled Plas
ma Spectrometry)にて測定することに
より行った。そして、超純水へのNa溶出量が0.1p
pm/cm未満(好ましくは0.05ppm/cm
以下)の場合を耐溶解性ありと評価した。
【0082】「接着性」は、永久磁石サンプルに、嫌気
性アクリル系接着剤(ロックタイト392)を塗布し、
表面が洗浄された鉄板に圧着した後、150℃に昇温し
た乾燥機に30分投入後、圧縮せん断試験を行うことに
より評価した。そして、接着強度が80kg/cm
以上の場合を接着性良好と評価した。なお、圧縮せん断
試験では、サンプル数を各10個とし、サンプル形状を
10mm×5mm×厚さ3mmとし、その平均値を接着
強度とした。圧縮せん断試験は室温で5mm/分の速度
で行った。
【0083】結果を表1に示す。
【0084】
【表1】
【0085】表1に示すように、特定の酸を含む酸性水
溶液で浸漬処理した実施例1〜9の磁石サンプルでは、
比較例1〜5の磁石サンプルと比較して、耐湿性(耐食
性)、耐溶解性および接着性のいずれも優れていること
が確認できた。
【0086】参考例1 室温に調製された亜硫酸水溶液(pH=2.2)を用い
た以外は、実施例1と同様にして永久磁石サンプルを得
た。
【0087】参考例2 珪酸ナトリウムの重量比を3%に調製した珪酸ナトリウ
ム水溶液(モル比n=(SiO/NaO)=
1)を用いた以外は、実施例1と同様にして永久磁石サ
ンプルを得た。参考例3 珪酸ナトリウムの重量比を80%に調製した珪酸ナトリ
ウム水溶液(モル比n=(SiO/NaO)=
2)を用いた以外は、実施例1と同様にして永久磁石サ
ンプルを得た。参考例4 85℃に調製されたホウ酸水溶液(pH=3.4)を用
いた以外は、実施例1と同様にして永久磁石サンプルを
得た。
【0088】参考例1〜4で得られた永久磁石サンプル
を用いて、耐湿性、耐溶解性および接着性の評価を行っ
た。その結果、参考例1のサンプルでは、酸処理に用い
た水溶液のpHが2.2であったので、実施例1のサン
プル(pH=3.4)と比較して磁石本体の素材が若干
侵される傾向が見られたが、実用に際しては問題がない
ことが確認できた。参考例2のサンプルでは、形成され
る被膜の厚みが0.005μmと薄膜であったため、実
施例1のサンプル(膜厚=0.3μm)と比較して耐食
性が低下する傾向が見られた。参考例3のサンプルで
は、形成される被膜の厚みが7.1μmの厚膜であった
ため、実施例1のサンプル(膜厚=0.3μm)と比較
して被膜が均一に形成されない傾向が見られたが、実用
に際しては問題がないことが確認できた。参考例4で
は、ホウ酸水溶液の温度が85℃に調製されていたた
め、実施例1(ホウ酸水溶液の温度:室温)と比較し
て、被膜に損傷を与える傾向がみられたが、実用に際し
ては問題がないことが確認できた。
【0089】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、耐食性や接着性に優れ、磁石周辺を汚染するおそれ
が少ない保護被膜を有する磁石を安価に製造できる磁石
の製造方法を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23D 5/00 C23D 5/00 K H01F 1/053 B22F 1/02 E // B22F 1/02 H01F 1/04 H (72)発明者 西沢 剛一 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 Fターム(参考) 4K018 AA27 BA18 BC28 BD01 DA11 FA24 KA45 4K026 AA02 BA02 BB08 CA15 CA27 DA02 DA03 DA11 EB04 EB05 EB11 5E040 AA04 BC01 CA01 HB14 NN05 NN17 NN18 5E062 CD04 CG07

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 希土類元素を含む磁石本体の表面にアル
    カリ珪酸塩被膜を形成する工程と、 前記アルカリ珪酸塩被膜を、ホウ酸、シュウ酸および亜
    硫酸から選ばれる少なくとも一つを含む酸性水溶液で処
    理する工程とを有する磁石の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記アルカリ珪酸塩被膜を前記酸性水溶
    液に浸漬して処理する請求項1に記載の磁石の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記酸性水溶液が80℃以下に調製され
    ている請求項1または2に記載の磁石の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記酸性水溶液での処理時間が30分以
    内である請求項3に記載の磁石の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記酸性水溶液のpHが3以上に調製さ
    れている請求項1〜4のいずれかに記載の磁石の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 前記磁石本体の表面にアルカリ珪酸塩被
    膜を0.01μm以上5μm以下で形成する請求項1〜
    5のいずれかに記載の磁石の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記磁石本体の表面にアルカリ珪酸塩被
    膜を形成するために用いるアルカリ珪酸塩水溶液には、
    O・nSiO(ただし、MはNaまたはK)
    がSiO換算で3〜50%含有してあり、M
    (ただし、MはNaまたはK)に対するSiOのモ
    ル比(n=SiO/MO)が0.5〜15であ
    る請求項1〜6のいずれかに記載の磁石の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記磁石本体が、R(RはYを含む希土
    類元素の一種以上)、TM(TMはFeを主成分とする
    遷移元素)およびホウ素を含むR−TM−B系希土類磁
    石で構成してある請求項1〜7のいずれかに記載の磁石
    の製造方法。
JP2001133665A 2001-04-27 2001-04-27 磁石の製造方法 Expired - Fee Related JP3740552B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001133665A JP3740552B2 (ja) 2001-04-27 2001-04-27 磁石の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001133665A JP3740552B2 (ja) 2001-04-27 2001-04-27 磁石の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002329629A true JP2002329629A (ja) 2002-11-15
JP3740552B2 JP3740552B2 (ja) 2006-02-01

Family

ID=18981481

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001133665A Expired - Fee Related JP3740552B2 (ja) 2001-04-27 2001-04-27 磁石の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3740552B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100357490C (zh) * 2005-10-19 2007-12-26 哈尔滨工业大学 提高轻金属及其复合材料表面耐蚀性的稀土转化膜方法
JP2008135563A (ja) * 2006-11-28 2008-06-12 Tdk Corp 希土類磁石及びその製造方法
JPWO2008004472A1 (ja) * 2006-07-03 2009-12-03 コニカミノルタオプト株式会社 情報記録媒体用ガラス基板の製造方法およびそれを用いる磁気ディスク
US8113017B2 (en) 2006-07-03 2012-02-14 Konica Minolta Opto, Inc. Method for cleaning a glass substrate, method for fabricating a glass substrate, and magnetic disk using same
US8383252B2 (en) 2007-09-28 2013-02-26 Tdk Corporation Rare earth magnet and its production method
JP2019173058A (ja) * 2018-03-27 2019-10-10 Jx金属株式会社 被膜が形成された金属粉及びその製造方法並びに該金属粉を用いた積層造形物

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100357490C (zh) * 2005-10-19 2007-12-26 哈尔滨工业大学 提高轻金属及其复合材料表面耐蚀性的稀土转化膜方法
JPWO2008004472A1 (ja) * 2006-07-03 2009-12-03 コニカミノルタオプト株式会社 情報記録媒体用ガラス基板の製造方法およびそれを用いる磁気ディスク
JP4623211B2 (ja) * 2006-07-03 2011-02-02 コニカミノルタオプト株式会社 情報記録媒体用ガラス基板の製造方法およびそれを用いる磁気ディスク
US8113017B2 (en) 2006-07-03 2012-02-14 Konica Minolta Opto, Inc. Method for cleaning a glass substrate, method for fabricating a glass substrate, and magnetic disk using same
US8141386B2 (en) 2006-07-03 2012-03-27 Konica Minolta Opto, Inc. Method for fabricating a glass substrate for an information recording medium, and magnetic disk using the same
JP2008135563A (ja) * 2006-11-28 2008-06-12 Tdk Corp 希土類磁石及びその製造方法
US8383252B2 (en) 2007-09-28 2013-02-26 Tdk Corporation Rare earth magnet and its production method
JP2019173058A (ja) * 2018-03-27 2019-10-10 Jx金属株式会社 被膜が形成された金属粉及びその製造方法並びに該金属粉を用いた積層造形物

Also Published As

Publication number Publication date
JP3740552B2 (ja) 2006-02-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4656323B2 (ja) 希土類永久磁石材料の製造方法
JP4508175B2 (ja) フッ化物コート膜形成処理液およびフッ化物コート膜形成方法
WO2007119551A1 (ja) 希土類永久磁石材料の製造方法
KR102219024B1 (ko) 희토류 영구 자석의 제조방법
WO2014034849A1 (ja) 希土類永久磁石の製造方法
JP5573848B2 (ja) 耐食性磁石およびその製造方法
JP3698308B2 (ja) 磁石およびその製造方法
JP3740552B2 (ja) 磁石の製造方法
JPS63217601A (ja) 耐食性永久磁石及びその製造方法
US9275795B2 (en) Corrosion-resistant magnet and method for producing the same
JP2008218647A (ja) 希土類磁石の酸洗浄方法および前記方法によって酸洗浄された希土類磁石
JP2003017349A (ja) 磁石の製造方法
JP3208057B2 (ja) 耐食性永久磁石
JP4372105B2 (ja) 高耐食性永久磁石及びその製造方法
JP3248982B2 (ja) 永久磁石およびその製造方法
JP3935092B2 (ja) R−tm−b系永久磁石
JPH0613211A (ja) 耐食性のすぐれた永久磁石及びその製造方法
JP2000232011A (ja) 耐食性皮膜を有するFe−B−R系永久磁石およびその製造方法
JP2006049864A (ja) 耐食性希土類磁石及びその製造方法
JP3142172B2 (ja) 接着性を改善したr−tm−b系永久磁石およびその製造方法
JP2005210135A (ja) 接合構造物及びその製造方法
JPH04288804A (ja) 永久磁石およびその製造方法
JP2631492B2 (ja) 耐食性永久磁石の製造方法
EP4120297A1 (en) Method for recycling rare earth sintered magnet
JP2004273582A (ja) 接着性に優れた希土類永久磁石

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040511

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050527

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050726

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050916

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20051018

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20051020

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3740552

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091118

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101118

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111118

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121118

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121118

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131118

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees