JP2002327046A - 粒状構造体及びその製造方法 - Google Patents

粒状構造体及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 環境や生物に対する負荷が低く、種々の機能
性を有するPHAを利用して、コアの材質の制約が少な
く、コアが高密度に内包されたカプセル構造体を提供す
ること。 【解決手段】 3-ヒドロキシプロピオン酸ユニット、3-
ヒドロキシ-n-酪酸ユニット及び3-ヒドロキシ-n-吉草酸
ユニットより選択される少なくとも一つのモノマーユニ
ットを有するポリヒドロキシアルカノエートによって粒
状体の表面の少なくとも一部を被覆して粒状構造体を得
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、様々な粒状体(以
下、「コア」と呼ぶ)を内包出来る、3-ヒドロキシプロ
ピオン酸ユニット、3-ヒドロキシ-n-酪酸ユニット及び3
-ヒドロキシ-n-吉草酸ユニットから選択されたモノマー
ユニットのホモあるいは共重合ポリマーを外被とする粒
状構造体((以下、「カプセル構造体」と呼ぶ))等に
関し、塗料、インキ、コーティング剤、接着剤、消火
剤、化粧品、土建材料、更には農薬、医薬、診断薬、肥
料等の各種製剤等の用途として幅広く利用できる。ま
た、本発明は界面活性剤や有機溶媒を用いずに上記の粒
状構造体を作成する製造方法に関する。また、この粒状
構造体の、特に電子写真用トナーへの利用に関する。
【0002】
【従来の技術】マイクロカプセルはトナー、塗料、イン
キ、コーティング剤、接着剤、消火剤、化粧品、土建材
料、農薬、医薬、診断薬、肥料等、様々な用途への利用
が検討されている。例えば特開平5-085873号公報には徐
放性肥料が、特開平6-295059には感熱記録材料が、特開
平9−208494号公報には、徐放性医薬製剤に関す
るマイクロカプセルが開示されている。
【0003】また、特開平8-286416号公報では、帯電の
安定化を図ったカプセルトナーが、特開平9-292735号公
報では、熱感受性カプセルトナーが開示され、その他、
特開平5-119531号公報、特開平5-249725号公報、特開平
6-332225号公報、特開平9-43896号公報、特開平10-7867
6号公報、特開平11-7163号公報、特開2000-66444号公
報、特開2000-112174号公報、特開2000-330321号公報な
どのカプセルトナーが開示されている。
【0004】近年、省エネルギーの観点から、電子写真
において用いられるトナーの性質として、低温定着性が
要求されている。トナーの低温定着性を達成するには、
トナーを構成している結着樹脂のガラス転移温度を下げ
ることが直接的であり、過去に多くの検討がなされてい
る。しかし、トナーのガラス転移温度を下げ過ぎると、
トナー粒子同士が凝集(ブロッキング)を起こしたり、
帯電不良が発生し易くなる等の不具合を生じてしまい、
トナーに要求される諸特性が損なわれることがわかって
いる。
【0005】そこでこの問題を改善するために、低いガ
ラス転移温度をもつ樹脂からなるコア(芯材料)の表面
を、ガラス転移温度の高い樹脂からなるシェルによりカ
プセル化したカプセルトナーが多数提案されている。こ
れらは懸濁重合法や界面重合法によりカプセル化されて
おり、例えば、特開平5−113687号公報では、着
色剤を含むコアバインダーを、界面重合法によりポリエ
ーテル・ウレアポリマーのシェルでカプセル化すること
により、トナー同士が凝集することを抑制すると共に、
トナー画像の定着性等を改良している。一方、特開平1
1−194531号公報では高いガラス転移温度の樹脂
からなるコアの表面を、低いガラス転移温度の樹脂から
なるシェルによりカプセル化したカプセルトナーが提案
され、低温定着性等を実現している。
【0006】上記のマイクロカプセルは、界面重合法
(2種のモノマーもしくは反応物を分散相と連続相に別
々に溶解しておき、両者の界面においてモノマーを重合
させて壁膜を形成させる方法)、懸濁重合法(水性媒体
中で芯物質をモノマー中に分散し、次いで系の温度を上
昇することで壁膜を形成させる方法)、乳化重合法(界
面活性剤を溶解した水媒体中に水不溶のモノマーを添加
して攪拌し、乳化剤のミセルにモノマーを取り込ませ、
ミセル内でモノマーを重合して壁膜を形成させる方
法)、in−situ重合法(液体または気体のモノマ
ーと触媒、もしくは反応性の物質2種を連続相核粒子側
のどちらか一方から供給して反応を起こさせ壁膜を形成
させる方法)、コアセルベーション(相分離)法(芯物
質粒子を分散している高分子溶液を高分子濃度の高い濃
厚相と希薄相に分離させ、壁膜を形成させる方法)、液
中乾燥法(芯物質を壁膜物質の溶液に分散した液を調製
し、この分散液の連続相が混和しない液中に分散液を入
れて複合エマルションとし、壁膜物質を溶解している媒
質を徐々に除くことで壁膜を形成させる方法)、等の化
学的方法によって製造されてきた。
【0007】しかし上記従来の方法によって製造された
マイクロカプセルでは、大量に使用する懸濁安定剤や乳
化剤などの界面活性剤や重合反応剤などがカプセル内や
カプセル外被に残留することが、カプセルの使用目的に
よっては問題となる場合がある。例えばトナーでは電気
特性や流動性に影響する場合があることが問題になって
いる。また、医療・化粧品・肥料・農薬等、人体や環境
中に使用する場合には、用途が非常に限定されたり、ま
た使用できる界面活性剤や重合反応剤が厳しく制限され
ることになる。
【0008】また、上記従来の方法による製造方法で
は、マイクロカプセル中にコアと同時に分散媒を内包し
てしまうため、マイクロカプセル全体積中に占めるコア
の体積密度が低いという問題がある。これは例えばカラ
ー複写機のトナーなどが高精彩、高解像度の画質を要求
される中で問題になってきている。
【0009】そこでマイクロカプセルの外被を構成する
ポリマーをコアに吸着させ、それによって直接コア表面
を被覆する方法が検討されている。例えば、ICI社の商
品名「Solsperse」のように、顔料とポリマー
の両者に結合可能な分散剤を使用し、分散剤を介して顔
料表面にポリマーを被覆する方法(「色材ハンドブッ
ク」p428)や、表面処理によって無機物粒子のイオン性
を弱くする、あるいはポリマーに極性基を導入すること
でポリマーを無機粒子に吸着させ、被覆する方法が検討
されている。また、特開平8−286416号公報など
では、カプセルを形成するモノマーと同じ成分をコアに
含有させることで両者の親和性を上げ、コア表面にカプ
セル外被を形成するなどの方法が採られている。しか
し、これらの方法ではコアとして使用可能な材料が限定
され、また、操作が煩雑となるなどの問題があった。
【0010】また、上記従来のマイクロカプセルの製造
方法では、モノマーの重合やポリマーの溶解等のために
有機溶媒を用いる場合が多く、有機溶媒に可溶なコアを
使用することができなかったり、また大量生産のために
大量に有機溶媒を使用する場合、設備や人体・環境への
負荷が大きくなる傾向にある。
【0011】ところでここ数年、地球温暖化防止の観点
から、大気中の二酸化炭素濃度の原因となる石油資源の
使用量を削減しようとする動きが活発化しており、それ
とともに、植物の光合成作用により、大気中の二酸化炭
素を固定化することで得られる糖質を原料としたプラス
ティックの生産が注目されている。
【0012】中でも、アルカリゲネス属等、多くの微生
物に糖質を与えることによって合成され、細胞質内にグ
ラニュルの形で蓄積されるポリ-3-ヒドロキシ-n-酪酸
(以下、PHBと略す場合もある)や3-ヒドロキシ-n-酪酸
と3-ヒドロキシ-n-吉草酸との共重合体(以下、PHB/Vと
略す場合もある)等のポリヒドロキシアルカノエート
(以下、PHAと略す場合がある)は、従来の石油由来の
プラスチックと同様に、溶融加工等により各種製品に利
用できることから、非石油系プラスティックの代表とし
て取り上げられるまでになっている。その上、微生物
等、各種生物によって分解可能な生分解性を有してお
り、環境中や生物体内での残留性が極めて低いという利
点を有する。
【0013】さらに生体適合性に優れていることを利用
した医療材料、また光学活性を有するアイソタクチック
ポリマーであることを利用した光学材料等、機能性材料
としても、非常に優れた面を有している。
【0014】以上のような機能性を有するPHAを、石油
系プラスティックを代替して積極的に活用していくこと
は、環境や生物に対する負荷の軽減に貢献し、また材料
技術の進歩につながるものと確信される。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、環境や生物に対する負荷が低く、種々の機
能性を有するPHAを利用して、コアの材質の制約が少な
く、コアが高密度に内包されたカプセル構造体を提供す
ることにある。また、従来マイクロカプセルの汚染源と
なっていた界面活性剤、重合反応剤等の添加物を使用せ
ず、有機溶媒を使用しないカプセル構造体の簡便な製造
方法を提供することにある。
【0016】さらに上記カプセル構造体を利用した形態
として、低温定着性と耐ブロッキング性等を発揮しうる
電子写真用カプセルトナー及びその製造方法を提供する
ことにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明者らが鋭意検討した結果、3-ヒドロキシプロ
ピオン酸ユニット、3-ヒドロキシ-n-酪酸ユニット及び3
-ヒドロキシ-n-吉草酸ユニットより選択される少なくと
も一つのモノマーユニットを有するPHA(以下、scl-PHA
(短鎖長PHA;short chain length PHAの意味)と略
す)の合成酵素をコア(芯材料)表面に固定化し、ここ
に3-ヒドロキシプロピオニル補酵素A、3-ヒドロキシブ
チリル補酵素A及び3-ヒドロキシバレリル補酵素Aより選
択される少なくとも一つを加えて反応させることによ
り、コア表面にscl-PHAを合成させ、コアをscl-PHAで被
覆した構造体を得ることができることを見出し、本発明
を完成するに至った。
【0018】即ち本発明は、scl-PHA合成酵素によって
合成されたscl-PHAがコアの少なくとも一部を被覆した
カプセル構造体に関する。
【0019】また、コアにscl-PHA合成酵素を固定化
し、該酵素により3-ヒドロキシプロピオニル補酵素A、3
-ヒドロキシブチリル補酵素A、3-ヒドロキシバレリル補
酵素Aより選択される少なくとも一つを重合させること
により、コアの少なくとも一部をscl-PHAで被覆するこ
とを特徴とする、scl-PHAを外被とするカプセル構造体
の製造方法に関する。
【0020】また本発明は、ガラス転移温度がトナーの
低温定着性と耐ブロッキング性にとって好適なscl-PHA
をカプセル構造体外被として用いることで、低温定着性
と耐ブロッキング性を具備した上記カプセル構造体から
なる電子写真用トナー、及びその製造方法に関する。
【0021】なお、本発明における粒状構造体は、その
表面の少なくとも一部にポリヒドロキシアルカノエート
を被覆した構成を有し、目的とする特性が得られる範囲
内で全表面が必ずしも被覆されている必要はない。全表
面が被覆された状態では、先に述べたとおり、粒状体を
コアとし、ポリヒドロキシアルカノエートの被覆層をシ
ェルとしたマイクロカプセル構造の粒状構造体を得るこ
とができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
【0023】本発明は、scl-PHA生産菌から抽出したscl
-PHA合成酵素に、(R)-3-ヒドロキシプロピオニルCoA、
(R)-3-ヒドロキシブチリルCoA及び(R)-3-ヒドロキシ
バレリルCoAの少なくとも1種を与えることでscl-PHAを
合成する、scl-PHAのin-vitro(無細胞系)合成を利用
したものである。
【0024】scl-PHAはscl-PHA生産菌の体内で次のよう
な複数の酵素反応系により合成されている。scl-PHAの
生合成は、種々の炭素源から、生体内の様々な代謝経路
を経て生成された(R)-3-ヒドロキシプロピオニルCoA、
(R)-3-ヒドロキシブチリルCoA及び(R)-3-ヒドロキシ
バレリルCoAの少なくとも1種を基質とした、酵素によ
る重合反応によって行われる。この重合反応を触媒する
酵素を本発明ではscl-PHA合成酵素と呼ぶことにする。
その中で、例えばPHBを合成する酵素であれば、通常、P
HB合成酵素(PHBポリメラーゼ、PHBシンターゼともい
う)と呼ばれている。
【0025】なお、CoAとは補酵素A(coenzyme A)の
略称であり、その化学構造は下記化学式の通りである。
【0026】
【化1】
【0027】本発明ではこの酵素反応系の最後の段階を
利用しており、(R)-3-ヒドロキシプロピオニルCoA、
(R)-3-ヒドロキシブチリルCoA及び(R)-3-ヒドロキシ
バレリルCoAの少なくとも1種をscl-PHA合成酵素によっ
て重合することでscl-PHAを合成している。
【0028】scl-PHAをin-vitroで合成した例はこれま
でにいくつか知られており、例えばProc.Natl.Acad.Sc
i.USA,92,6279-6283(1995)では、アルカリゲネス・ユ
ウトロファス(Alcaligenes eutrophus)由来のPHB合成
酵素に3-ヒドロキシブチリルCoAを作用させることによ
りPHBを合成している。また、Int.J.Biol.Macromol.,2
5,55-60(1999)では、アルカリゲネス・ユウトロファ
ス由来のPHB合成酵素に、3-ヒドロキシブチリルCoAを作
用させることによりPHBを合成している。さらにこの報
告では、ラセミ体の3-ヒドロキシブチリルCoAを作用さ
せたところ、酵素の立体選択性によって、R体の3-ヒド
ロキシ-n-酪酸ユニットのみからなるPHBが合成されたと
している。Macromol.Rapid Commun.,21,77-84(2000)
においても、アルカリゲネス・ユウトロファス由来のPH
B合成酵素を用いた細胞外でのPHB合成が報告されてい
る。また、FEMS Microbiol.Lett.,168,319-324(1998)
では、クロマチウム・ビノサム(Chromatium vinosum)
由来のPHB合成酵素に3-ヒドロキシブチリルCoAを作用さ
せることによりPHBを合成している。
【0029】このようにin-vitroでのscl-PHA合成例は
いくつかあるが、本発明のように、カプセル構造体とし
て利用した報告はない。
【0030】scl-PHA合成酵素を生産する微生物として
は、例えば、PHBやPHB/V生産菌として知られている微生
物を用いることができる。このような微生物として、ア
エロモナス属(Aeromonas sp.)、アルカリゲネス属(A
lcaligenes sp.)、クロマチウム属(Chromatium s
p.)、コマモナス属(Comamonas sp.)、メチロバクテ
リウム属(Methylobacterium sp.)、パラコッカス属
(Paracoccus sp.)、シュードモナス属(Pseudomonas
sp.)などが知られている。また、本発明者らにより分
離された、バルクホルデリア・セパシア・KK01株(Burk
holderia cepacia KK01)、ラルストーニャ・ユートロ
ファ・TB64株(Ralstonia eutroSCL-PHA TB64)、アル
カリゲネス属・TL2株(Alcaligenes sp. TL2)などを用
いることができる。なお、KK01株は寄託番号FERM BP-42
35として、TB64株は寄託番号FERM BP-6933として、TL2
株は寄託番号FERM BP-6913として、経済産業省生命工学
工業技術研究所特許微生物寄託センターにそれぞれ寄託
されている。
【0031】また、このような野生株以外に、scl-PHA
合成酵素を生産するために、形質転換体を用いることも
できる。scl-PHA合成酵素遺伝子のクローニング、発現
ベクターの作製、および、形質転換体の作製は、定法に
従って行うことができる。scl-PHA合成酵素遺伝子のク
ローニングに関しては、これまでにアルカリゲネス・ユ
ートロファスのPHBシンターゼ遺伝子(phbC)がクロ
ーニングされている。また本発明者らはバークホルデリ
ア・セパシア(Burkholderia cepacia)KK01株(FERM BP-
4235)のphbCについてクローニングを完了しており、ま
たラルストーニャ・ユートロファ(Ralstonia eutroph
a)TB64株(FERM BP-6933)のphbCについてもクローニ
ングを完了している。形質転換体はこのphbCを含むベク
ターを宿主に導入する事によって作出できる。phbCを含
むベクターは、例えばプラスミドベクター、ファージベ
クター等にphbCを挿入することによって得られる。宿主
としては、例えば大腸菌(エシェリチア・コリ:Escher
ichia coli)が良く用いられる。
【0032】以上に挙げたようなscl-PHA生産菌は、単
独で、あるいは必要に応じて2種以上を組み合わせて用
いることができる。
【0033】本発明に用いるこれらの微生物を培養する
培地としては、各微生物の増殖に必要な成分、例えば炭
素源、窒素源、リン源、その他無機塩及び必要に応じそ
の他の有機成分等を含有する培地を適宜選択して用い
る。例えば、微生物の生育や生存に悪影響を及ぼすもの
でない限り、一般的な天然培地(肉汁培地、酵母エキス
など)や、栄養源を添加した合成培地など、いかなる種
類の培地をも用いることができる。
【0034】培養は液体培養、固体培養等該微生物が増
殖し、scl-PHA合成酵素を生産する培養方法ならいかな
る培養方法でも用いることができる。さらに、バッチ培
養、フェドバッチ培養、半連続培養、連続培養等の種類
も問わない。液体バッチ培養の形態としては、振とうフ
ラスコによって振とうさせて酸素を供給する方法、ジャ
ーファーメンターによる攪拌通気方式の酸素供給方法が
ある。また、これらの工程を複数段接続した多段方式を
採用してもよい。
【0035】培養温度としては使用する菌株が良好に増
殖可能な温度であれば良く、例えば14〜40℃、好ましく
は 20〜37℃程度が適当である。
【0036】また、scl-PHA合成酵素遺伝子を導入した
形質転換体を用いた場合、大腸菌等の細菌を宿主として
得られた形質転換体であれば、培地及び培養方法は前記
と同様でよいが、発現ベクター等により耐性を付与した
菌株に関しては、必要に応じて培地にカナマイシン、ア
ンピシリン、テトラサイクリン、クロラムフェニコー
ル、ストレプトマイシン等の抗生物質を添加しても良
い。また、発現ベクターにおいて誘導性のプロモーター
を用いている場合は、培養に際して該プロモーターに対
応する誘導物質を培地に添加して発現を促しても良い。
例えば、イソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド
(IPTG)、テトラサイクリン、インドールアクリル酸
(IAA)等が誘導物質として挙げられる。
【0037】培養したscl-PHA生産菌からのscl-PHA合成
酵素の抽出は、培養液をフレンチプレス、超音波破砕、
凍結融解等によって破砕する方法や、硫酸アンモニウム
等により蛋白質成分を沈殿・回収した硫安塩析などの方
法によって行えばよい。また、遠心分離機によって培養
液から菌体を分離回収し、濃縮してからこれらの方法を
施してもよい。
【0038】scl-PHA合成酵素は精製を行うことが好ま
しいが、精製を行わない粗酵素の状態で用いてもよい。
ただし粗酵素を用いた場合、コア表面にscl-PHA合成酵
素以外のたんぱく質等の菌体成分が固定化されるため、
コア表面に固定化されるscl-PHA合成酵素の密度が低く
なること、また菌体成分中のプロテアーゼ等によってsc
l-PHA合成酵素活性が低下することなどを考慮する必要
がある。
【0039】scl-PHA合成酵素の分離・精製方法として
は、例えばヌクレアーゼ等の分解酵素を用いて核酸成分
を低分子化した後、イオンクロマトグラフィー、吸着ク
ロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、
等電点分画法、密度勾配遠心法、電気泳動法、分子ふる
い法、二相分離法等の方法を単独または複数組み合わせ
ることによって行えばよい。
【0040】特に、遺伝子組換えタンパク質は、N末端
やC末端にヒスチジン残基等の「タグ」を結合した融合
タンパク質の形で発現させ、このタグを介して親和性樹
脂に結合させることによって、より簡便に精製すること
ができる。融合タンパク質から目的のタンパク質を分離
するには、トロンビン、血液凝固因子Xa等のプロテアー
ゼで切断する。あるいは、発現ベクターとしてpTYB1(N
ew Englan Biolab社製)を用いた場合のようにタグがイ
ンテインを含む場合はジチオスレイトール(dithiothre
itol)などで還元条件として切断する。アフィニティク
ロマトグラフィーによる精製を可能とする融合タンパク
質には、ヒスチジンタグの他にグルタチオンS-トランス
フェラーゼ(GST)、キチン結合ドメイン(CBD)、マル
トース結合タンパク(MBP)、あるいはチオレドキシン
(TRX)等も公知である。GST融合タンパク質は、GST親
和性レジンによって精製することができる。また、scl-
PHA合成酵素には必要に応じて、金属塩、グリセリン、
ジチオスレイトール、EDTA、ウシ血清アルブミン(BS
A)などの安定化剤、付活剤を適宜添加して用いること
ができる。
【0041】scl-PHA合成酵素の活性測定は、従来公知
の各種方法を用いることができるが、例えば、(R)-3-
ヒドロキシプロピオニルCoA、(R)-3-ヒドロキシブチリ
ルCoA及び(R)-3-ヒドロキシバレリルCoAの少なくとも
1種がscl-PHA合成酵素の触媒作用により重合してscl-P
HAになる過程で放出されるCoAを、5,5'-ジチオビス-(2-
ニトロ安息香酸)で発色させて測定する方法を用いるこ
とができる。
【0042】scl-PHA合成酵素をコアに固定化する方法
に関しては、コア材料の種類や構造、作製したカプセル
構造体の使用形態等に応じていかなる方法を用いてもよ
いが、特にイオン吸着や疎水吸着を利用した固定化方法
が簡便である。
【0043】scl-PHA合成酵素などの酵素たんぱく質
は、アミノ酸の多数結合したポリペプチドであり、リシ
ン、ヒスチジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタ
ミン酸などの遊離のイオン性基を有するアミノ酸によっ
てイオン吸着体としての性質を示し、またアラニン、バ
リン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、トリプト
ファン、フェニルアラニン、プロリンなどの遊離の疎水
性基を有するアミノ酸によって、また有機高分子である
という点で疎水吸着体としての性質を有している。した
がって程度の差はあるが、イオン性や疎水性もしくはイ
オン性、疎水性両方の性質を有する固体に吸着すること
が可能である。
【0044】主にイオン吸着によってscl-PHA合成酵素
を固定化するコアとしては、イオン性官能基を表面に発
現しているものであれば良く、例えば、カオリナイト、
ベントナイト、タルク、雲母等の粘土鉱物、アルミナ、
二酸化チタン等の金属酸化物、シリカゲル、ヒドロキシ
アパタイト、リン酸カルシウムゲル等の不溶性無機塩な
どが挙げられる。また、これら粘土鉱物や金属酸化物、
不溶性無機塩を主要な成分としている無機顔料もイオン
吸着性コアとして挙げられる。またこの他に、イオン交
換樹脂、キトサン、ポリアミノポリスチレン等、イオン
性官能基を有する有機ポリマーが挙げられる。
【0045】また、主に疎水吸着によってscl-PHA合成
酵素を固定化するコアとしては、コア表面が非極性であ
ればよく、例えばスチレン系ポリマー、アクリル系ポリ
マー、メタクリル系ポリマー、ビニルエステル類、ビニ
ル系ポリマーなど、イオン性官能基を表面に発現してい
ない、もしくは疎水性官能基を表面に発現している多く
の有機ポリマーが挙げられる。また、芳香環を複数有す
るアゾ顔料や縮合多環のフタロシアニン系顔料、アント
ラキノン系顔料等の有機顔料、カーボンブラックなどを
挙げられる。
【0046】イオン吸着または疎水吸着によるscl-PHA
合成酵素のコアへの固定化は、酵素とコアを所定の溶液
中で混合することによって達成される。このとき、コア
の表面に均等にscl-PHA合成酵素が吸着されるように反
応容器を適当な強度で振とうすることが望ましい。
【0047】また、溶液のpHや塩濃度、温度等を適当
に選択することで、コアとscl-PHA合成酵素のイオン吸
着性、疎水吸着性をある程度制御することができる。そ
のため、scl-PHA合成酵素の活性の許容される範囲内で
溶液の調整を行うことが望ましい。
【0048】また、あらかじめ電気泳動やぬれ角等を測
定し、コアやscl-PHA合成酵素の荷電状態や疎水性を調
べることで、吸着に適した溶液条件を設定することがで
きる。
【0049】さらに直接コアとscl-PHA合成酵素の吸着
量を測定して溶液条件を求めることもできる。吸着量の
測定は、例えば、コアの分散された溶液に濃度既知のsc
l-PHA合成酵素を添加し、吸着反応を行った後に溶液中
のscl-PHA合成酵素濃度を測定し、差し引き法により吸
着酵素量を求める等の方法を用いればよい。
【0050】イオン吸着や疎水吸着によってscl-PHA合
成酵素を固定化しにくいコアの場合は、操作の煩雑さや
酵素の失活の可能性を考慮すれば、共有結合法によって
もかまわない。例えば、芳香族アミノ基を有するコアを
ジアゾ化し、これに酵素をジアゾカップリングする方法
や、カルボキシル基、アミノ基を有するコアと酵素の間
にペプチド結合を形成させる方法、ハロゲン基を有する
コアと酵素のアミノ基等との間でアルキル化する方法、
臭化シアンで活性化した多糖類コアと酵素のアミノ基を
反応させる方法、コアのアミノ基と酵素のアミノ基との
間を架橋する方法、アルデヒド基またはケトン基を有す
る化合物とイソシアニド化合物の存在下、カルボキシル
基、アミノ基を有するコアと酵素を反応させる方法、ジ
スルフィド基を有するコアと酵素のチオール基との間で
交換反応させる方法などがある。
【0051】また、scl-PHA合成酵素をリガンドが導入
されたコアにアフィニティ吸着によって固定化してもよ
い。この場合、リガンドとしてscl-PHA合成酵素の酵素
活性を維持しながらアフィニティ吸着を行えるものであ
れば、いかなるものも選択できる。また、scl-PHA合成
酵素にタンパク質等の他の生体高分子を結合させ、結合
した生体高分子をアフィニティ吸着することでscl-PHA
合成酵素を固定化してもよい。scl-PHA合成酵素と生体
高分子との結合は遺伝子組換え等によって行ってもよい
し、化学的に行ってもよい。例えば、実施例に後述する
ように、形質転換によってグルタチオン-S-トランスフ
ェラーゼ(Glutathione S-transferase)をscl-PHA合成
酵素に融合し、グルタチオン-S-トランスフェラーゼの
リガンドであるグルタチオンを導入したセファロース
(Sepharose)に融合タンパク質をアフィニティ吸着
し、固定化することができる。
【0052】コアに固定化する酵素の量は、カプセル構
造体の外被として形成させる膜厚やコアの表面積に応じ
て適宜設定すればよいが、1分間に1μmolのCoAを放出さ
せる酵素量を1単位(U)とした場合、コア1 gあたり10
単位(U)から1,000単位(U)、望ましくは50 単位(U)から5
00単位(U) の範囲内に設定すると良い。
【0053】上記方法により作製された固定化酵素は、
そのままでも用いることができるが、さらに凍結乾燥等
を施した上で使用することもできる。
【0054】本発明の方法に用いるコアとしては、前述
の方法等によってscl-PHA合成酵素を固定化することの
できるものであればいかなるものでも良く、有機高分子
化合物や無機系固形物から適宜選択して用いることがで
きる。また、単独もしくは複数の混合物として用いても
よい。
【0055】本発明では、カプセル構造体の製造に有機
溶媒を用いず、水溶媒で製造するため、親水性の無機顔
料など、有機溶媒には分散性が悪いが、水溶媒には分散
性の良い材料もコアとして用いることができる。また、
有機溶媒では溶解してしまう材料もコアとして用いるこ
とができる。
【0056】さらに本発明においては、scl-PHAから構
成されるカプセル外被の生分解性機能をより効果的にす
るため、コア材料として生分解性プラスチックを使用す
るのも好ましい。生分解性プラスチックとしては、微生
物によって生産したscl-PHAを利用してもよく、また、
「エコスター」「エコスタープラス」(萩原工業)「バ
イオポール」(アイ・シー・アイ・ジャパン)「アジコ
ート」(味の素)「プラクセル」「ポリカプロラクト
ン」(ダイセル化学)「ショーレックス」「ビオノー
レ」(昭和電工)「ラクティ」(島津製作所)「レイシ
ア」(三井化学)等の市販の生分解性プラスチックを使
用しても良い。
【0057】また、本発明に効果的に適用されるコアと
して顔料が挙げられる。顔料としては、公知の有機若し
くは無機の顔料を使用することができる。ブラック系の
顔料としては無機系のカ−ボンブラック、四三酸化鉄、
有機系のシアニンブラック等が挙げられる。ホワイト系
の顔料としては亜鉛華,酸化チタン,アンチモン白,硫
化亜鉛などが挙げられる。イエロー系顔料としては、無
機系の黄鉛、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、チタン
黄、オーカー等が挙げられる。また、難溶性金属塩(ア
ゾレーキ)のアセト酢酸アニリド系モノアゾ顔料として
は、ハンザイエローG( C.I.No. pigment Yellow 1、
以下、同様)、ハンザイエロー10G(pigment Yellow
3)、ハンザイエローRN( pigment Yellow 6
5)、ハンザブリリアントイエロー5GX( pigment Y
ellow 74)、ハンザブリリアントイエロー10GX
( pigment Yellow 98)、パーマネントイエローFG
L( pigment Yellow 97)、シムラレーキファストイ
エロー6G( pigment Yellow 133)、リオノールイ
エローK−2R( pigment Yellow 169)、またアセ
ト酢酸アニリドジスアゾ顔料としては、ジスアゾイエロ
ーG( pigment Yellow 12)、ジスアゾイエローGR
( pigment Yellow 13)、ジスアゾイエロー5G( p
igment Yellow 14)、ジスアゾイエロー8G( pigme
nt Yellow 17)、ジスアゾイエローR( pigment Yel
low 55)、パーマネントイエローHR( pigment Yel
low 83)が挙げられる。縮合アゾ顔料としては、クロ
モフタルイエロー3G( pigment Yellow 93)、クロ
モフタルイエロー6G( pigment Yellow 94)、クロ
モフタルイエローGR( pigment Yellow 95)が挙げ
られる。更に、ベンズイミダゾロン系モノアゾ顔料とし
ては、ホスタパームイエローH3G( pigment Yellow
154)、ホスタパームイエローH4G( pigment Yel
low 151)、ホスタパームイエローH2G( pigment
Yellow 120)、ホスタパームイエローH6G( pig
ment Yellow 175)、ホスタパームイエローHLR
( pigment Yellow156)が挙げられる。また、イソ
インドリノン系顔料としては、イルガジンイエロー3R
LTN( pigment Yellow 110)、イルガジンイエロ
ー2RLT、イルガジンイエロー2GLT( pigment Y
ellow 109)、ファストゲンスーパーイエローGRO
H( pigment Yellow 137)、ファストゲンスーパー
イエローGRO( pigment Yellow 110)、サンドリ
ンイエロー6GL( pigment Yellow 173)が挙げら
れ、その他、スレン系顔料であるフラバントロン( pig
ment Yellow 24)、アントラミリミジン( pigment Y
ellow 108)、フタロイルアミド型アントラキノン
( pigment Yellow 123)、ヘリオファストイエロー
E3R( pigment Yellow 99)、金属錯体顔料である
アゾ系ニッケル錯体顔料( pigment Green10)、ニト
ロソ系ニッケル錯体顔料( pigment Yellow153)、
アゾメチン系銅錯体顔料( pigment Yellow117)、
更にキノフタロン顔料であるフタルイミドキノフタロン
顔料( pigment Yellow 138)等が挙げられる。ま
た、マゼンタ系顔料としては無機系のカドミウムレッ
ド、ベンガラ、銀朱、鉛丹、アンチモン朱が挙げられ
る。また、アゾ系顔料のアゾレーキ系としては、ブリリ
アントカーミン6B( pigment Red57:1)、レーキ
レッド( pigment Red53:1)、パーマネントレッド
F5R( pigment Red48)、リソールレッド( pigme
nt Red49)、ペルシアオレンジ( pigment Orange1
7)、クロセイオレンジ( pigment Orange18)、ヘ
リオオレンジTD( pigment Orange19)、ピグメン
トスカーレット( pigmentRed60:1)、ブリリアン
トスカーレットG( pigment64:1)、ヘリオレッド
RMT( pigment Red51)、ボルドー10B( pigme
nt Red63)、ヘリオボルドーBL( pigment Red5
4)が挙げられ、また、不溶性アゾ系(モノアゾ、ジス
アゾ系、縮合アゾ系)としては、パラレッド( pigment
Red1)、レーキレッド4R( pigment Red3)、パー
マネントオレンジ( pigment Orange5)、パーマネン
トレッドFR2( pigment Red2)、パーマネントレッ
ドFRLL( pigment Red9)、パーマネントレッドF
GR( pigment Red112)、ブリリアントカーミンB
S( pigment Red114)、パーマネントカーミンFB
( pigment Red5)、P.V.カーミンHR( pigment
Red150)、パーマネントカーミンFBB( pigment
Red146)、ノバパームレッドF3RK−F5RK
( pigment Red170)、ノバパームレッドHFG( p
igment Orange38)、ノバパームレッドHF4B(pig
ment Red187)、ノバパームオレンジHL.HL−7
0( pigment Orange36)、P.V.カーミンHF4
C( pigment Red185)、ホスタバームブラウンHF
R( pigment Brown25)、バルカンオレンジ( pigme
nt Orange16)、ピラゾロンオレンジ( pigment Oran
ge13)、ピラゾロンレッド( pigment Red38)が挙
げられ、更に、縮合アゾ顔料としてクロモフタールオレ
ンジ4R( pigment Orange31)、クロモフタールス
カーレットR( pigment Red166)、クロモフタール
レッドBR( pigmentRed144)が挙げられる。ま
た、縮合多環系顔料であるアントラキノン顔料としてピ
ランスロンオレンジ( pigment Orange40)、アント
アントロンオレンジ( pigment Orange168)、ジア
ントラキノニルレッド( pigment Red177)が挙げら
れ、チオインジゴ系顔料としてチオインジゴマゼンタ
( pigmentViolet38)、チオインジゴバイオレット
( pigment Violet36)、チオインジゴレッド( pig
ment Red88)が挙げられ、ペリノン系顔料としてペリ
ノンオレンジ( pigment Orange43)が挙げられ、更
にペリレン系顔料として、ペリレンレッド( pigment R
ed190)、ペリレンバーミリオン( pigment Red12
3)、ペリレンマルーン(pigment Red179)、ペリ
レンスカーレット( pigment Red149)、ペリレンレ
ッド( pigment Red178)が挙げられ、キナクリドン
系顔料としてキナクリドンレッド( pigment Violet1
9)、キナクリドンマゼンタ( pigment Red122)、
キナクリドンマルーン( pigment Red206)、キナク
リドンスカーレット( pigment Red207)が挙げら
れ、その他、縮合多環顔料としてピロコリン系顔料、赤
色系フルオルビン系顔料、染付けレーキ系顔料(水溶性
染料+沈殿剤→レーキ化固着)が挙げられる。
【0058】シアン系顔料としては、無機系の群青、紺
青、コバルトブルー、セルリアンブルー等が挙げられ、
またフタロシアニン系として、ファーストゲンブル−B
B(pigment Blue 15)、スミトン・シアニン・ブル
ーHB( pigment Blue 15)、シアニンブルー502
0( pigment Blue 15:1)、スミカプリント・シア
ニン・ブルーGN−O( pigment Blue 15)、ファス
ト・スカイブルーA−612( pigment Blue 17)、
シアニン・グリーンGB( pigment Green7)、シアニ
ングリーンS537−2Y( pigment Green36)、ス
ミトン・ファストバイオレットRL( pigment Violet
23)が挙げられ、また、スレン系顔料であるインダン
トロンブルー(PB−60P,PB−22,PB−2
1,PB−64)、塩基性染料レーキ顔料であるメチル
バイオレット・リン・モリブデン酸レーキ(PV−3)
等が挙げられる。また体質顔料としてバライト粉,炭酸
バリウム,クレー,シリカ,ホワイトカーボン,タル
ク,アルミナホワイトなどが挙げられる。その他、上記
顔料の表面に樹脂をコーティングした加工顔料も同様に
使用することができる。
【0059】また、本発明のカプセル構造体を、電子写
真用のカプセルトナーとして用いる場合には、コアとし
て、従来公知のトナーや、従来公知のトナーとして使用
される材料から構成される粒子を用いることができる。
【0060】本発明のトナーとして使用されうる材料と
して、バインダー樹脂、着色剤、荷電制御剤、磁性材料
等が挙げられる。
【0061】バインダー樹脂としては、通常、トナーを
製造する際に用いられているものであればいずれも使用
することができ、特に限定されない。例えば、スチレン
系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、エポキシ系ポリ
マー、ポリオレフィン系ポリマーおよびポリウレタン系
ポリマーなどが挙げられ、単独または混合して使用する
ことができる。スチレン系ポリマーとしては、スチレン
と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体およびこれ
らと共重合可能な他の単量体の共重合体、スチレンとジ
エン系単量体(ブタジエン、イソプレンなど)との共重
合体およびこれらと共重合可能な他の単量体の共重合体
などが挙げられる。ポリエステル系ポリマーとしては芳
香族ジカルボン酸と芳香族ジオールのアルキレンオキサ
イド付加物との重縮合物などが挙げられる。エポキシ系
ポリマーとしては芳香族ジオールとエピクロルヒドリン
との反応物およびこれの変性物などが挙げられる。ポリ
オレフィン系ポリマーとしてはポリエチレン、ポリプロ
ピレンおよびこれらと他の共重合可能な単量体との共重
合体鎖などが挙げられる。ポリウレタン系ポリマーとし
ては芳香族ジイソシアネートと芳香族ジオールのアルキ
レンオキサイド付加物との重付加物などが挙げられる。
【0062】このバインダー樹脂を製造する方法として
は、従来よりトナーの製造方法として知られている方法
を用いればよく、破砕法、懸濁重合法、乳化重合法、分
散重合法等の重合法を用いることもできる。また、重合
方法に応じて架橋剤、重合開始剤を用いることもでき
る。以下に述べる着色剤、荷電制御剤、磁性材料等は、
バインダー樹脂の製造時に添加しても、また、バインダ
ー樹脂を製造した後に膨潤、或いは機械的打ち込み等に
より導入してもよい。
【0063】着色剤としては、通常、トナーを製造する
際に用いられているものであればいかなるものも使用す
ることができ、特に限定されない。そのうち、顔料とし
ては例えば前述のものを用いることができる。また、バ
インダー樹脂を用いる場合は着色剤として染料を用いる
こともできる。染料としては、例えば、三菱化成製のダ
イアレジン Yellow−3G、Yellow−F、
Yellow−H2G、Yellow−HG、Yell
ow−HC、Yellow−HL、Orange−H
S、Orange−G、Red−GG、Red−S、R
ed−HS、Red−A、Red−K、Red−H5
B、Violet−D、Blue−J、Blue−G、
Blue−N、Blue−K、Blue−P、Blue
−H3G、Blue−4G、Green−C、Brow
n−Aや、保土ヶ谷化学製の藍染SOT染料 Yell
ow−1、Yellow−3、Yellow−4、Or
ange−1、Orange−2、Orange−3、
Scarlet−1、Red−1、Red−2、Red
−3、Brown−2、Blue−1、Blue−2、
Violet−1、Green−1、Green−2、
Green−3、Black−1、Black−4、B
lack−6、Black−8や、BASFのsuda
n染料 Yellow−146、Yellow−15
0、Orange−220、Red−290、Red−
380、Red−460、Blue−670や、オリエ
ント化学工業製の、オイルブラック、オイルカラー Y
ellow−3G、Yellow−GG−S、Yell
ow−#105、Orange−PS、Orange−
PR、Orange−#201、Scarlet−#3
08、Red−5B、Brown−GR、Brown−
#416、Green−BG、Green−#502、
Blue−BOS、Blue−IIN、Black−H
BB、Black−#803、Black−EB、Bl
ack−EX、住友化学工業製のスミプラスト ブルー
GP、ブルーOR、レッド−FB、レッド−3B、イエ
ローFL7G、イエローGCや、日本化薬製の カヤロ
ン ポリエステルブラックEX−SF300、カヤセッ
トRed B、ブルーA−2R 等を挙げることができ
る。
【0064】上記の染料及び顔料は、単独で使用して
も、混合して使用してもよい。なお、環境保全や人体に
対する安全性などを考慮した場合には、各種食用色素を
好適に使用することができる。
【0065】上記着色剤のカプセル化トナー中の含有量
は、所望とする着色効果などに応じて広く選択すること
が可能であるが、通常、バインダー樹脂100質量部に
対して、0.1質量部乃至15質量部程度であればよ
く、より好ましくは、1.0質量部乃至10質量部程度
であればよい。ここで、着色剤の含有量が0.1質量部
未満であると、トナーとしての隠蔽力不足になり、15
質量部を超える場合には、着色剤の種類によってはOH
Pの透明性が劣るようになる。
【0066】帯電制御剤としては、通常、トナーを製造
する際に用いられているものであれば、正荷電制御剤若
しくは負荷電制御剤、いずれも使用することができ、特
に限定されない。
【0067】例えば、ニグロシン系染料、トリフェニル
メタン系染料、四級アンモニウム塩、アミン系或いはイ
ミン系化合物、サリチル酸又はアルキルサリチル酸の金
属化合物、含金モノアゾ系染料、カルボキシリル基又は
スルホシキル基を有する化合物、ニトロフミン等のフミ
ン酸及びフミン塩類等を挙げることができる。
【0068】上記荷電制御剤のカプセル化トナー中の含
有量は、通常、バインダー樹脂100質量部に対して、
0.1〜50質量%、好ましくは0.3〜30質量%であ
る。ここで、荷電制御剤の含有量が0.1質量%未満で
あると、帯電量が低く、50質量%を超えるとトナーの
帯電安定性が悪くなる。
【0069】本発明のカプセル化トナーは、磁性材料を
コアに含有させ磁性トナーとしてもよい。この場合に
は、磁性材料に、着色剤の役割を兼ねさせることもでき
る。この際に使用される磁性材料としては、マグネタイ
ト、ヘマタイト、フェライトの如き酸化鉄;鉄、コバル
ト、ニッケルのような金属或いはこれらの金属とアルミ
ニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜
鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、
カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステ
ン、バナジウムのような金属との合金及びその混合物が
挙げられる。本発明において用いることのできるこれら
の磁性材料としては、平均粒子径が2μm以下、好まし
くは0.1〜0.5μm程度のものが好ましい。
【0070】上記磁性材料のカプセルトナー中の含有量
は、通常、バインダー樹脂100質量部に対し20〜2
00質量部、特に好ましくは、バインダー樹脂100質
量部に対して40〜150質量部とすることが好まし
い。
【0071】以上が、本発明のカプセル構造体を、カプ
セルトナーとして使用する場合のコアの例示であるが、
上記カプセルトナーのコアはscl-PHAでカプセル化され
るため、コアのガラス転移温度(Tg)としては、通
常、低温定着性をトナーに求めた場合のガラス転移温度
である40〜75℃の範囲内になくてもかまわない。例え
ば、20〜40℃、75〜120℃等であっても有効に使用する
ことができる。
【0072】本発明に使用されるカプセル構造体のコア
の粒径としては、特に限定されないが、0.01μm以上が
カプセル構造体の作成上望ましい。粒径の上限は特にな
いが、粒子表面にscl-PHA合成酵素を均等な密度で吸着
させる点から、1mm程度までが扱いやすい。カプセルト
ナーの場合、高画質化を達成するために、重量平均径で
3〜8μmの範囲内のコアを使用するのが好ましい。そし
てカプセルトナーとして重量平均径で3〜10μmの範囲
とするのが好ましい。重量平均径が3μm未満のカプセ
ルトナーでは、転写効率の低下が生じ、感光体上に転写
残トナーが多く残り易く、カブリ・転写不良に基づく画
像の不均一ムラの原因となり易く、好ましくない。ま
た、カプセルトナーの重量平均径が10μmを超える場合
には、文字やライン画像の飛び散りが生じ易い。
【0073】本発明のカプセル構造体の製造方法では、
コアの粒径が均一であれば、カプセル構造体の粒径も比
較的均一にすることができるが、逆に粒径や形状の不均
一なコアもほぼ一様にカプセル化することができるた
め、コアの粒径や形状の均一性は問わない。
【0074】コアの粒径や粒度分布の測定は、例えば、
コールターカウンターTA−II型或いはコールターマル
チサイザー(コールター社製)等を用いて測定を行えば
よい。
【0075】通常、水溶媒中で本発明のごときマイクロ
カプセルを製造する場合、コアが有機顔料など疎水性の
ものであれば、カプセル形成時にコアが凝集するという
問題が生じるが、本方法ではカプセル形成前にscl-PHA
合成酵素を固体粒子に吸着させるため、酵素たんぱく質
のイオン性官能基による電気的反発力や立体反発力によ
って疎水性の固体粒子を水媒体中である程度分散するこ
とができ、疎水性コアのカプセル化を比較的容易にする
ことができる。
【0076】しかし、コアに酵素を固定化する段階で
は、ある程度の分散処理をすることが好ましい。その
際、界面活性剤等を用いずにカプセルを製造できるとい
う本発明の特長を生かすため、攪拌や超音波処理など、
機械的な分散手法を用いるのが好ましいが、用途的に問
題なければ、酵素活性に影響しない組成及び濃度の、従
来公知の界面活性剤を用いてコアを分散させてもかまわ
ない。
【0077】コアに固定化された上記scl-PHA合成酵素
によってscl-PHAの合成を行うためのモノマーとして、
(R)-3-ヒドロキシプロピオニルCoA、(R)-3-ヒドロキ
シブチリルCoA、(R)-3-ヒドロキシバレリルCoAを使用
する。(R)-3-ヒドロキシブチリルCoAは市販されてお
り、シグマ・アルドリッチ・ジャパン(株)等で入手でき
る。また、酵素を用いたin vitro合成法、微生物や植物
などの生物体を用いたin vivo合成法、化学合成法等の
中から適宜選択した方法で合成して用いることができ
る。例えば、酵素合成法は該基質の合成に一般に用いら
れている方法であり、市販のアシルCoAシンセターゼ
(アシルCoAリガーゼ、E.C.6.2.1.3)を用いた下記反
応、
【0078】
【化2】
【0079】による酵素合成法(Eur.J.Biochem.,250,4
32-439(1997)、Appl.Microbiol. Biotechnol.,54,37-43
(2000) など)を用いることができる。
【0080】本発明では、上記scl-PHA合成酵素を固定
化したコアを分散した水系反応液に(R)-3-ヒドロキシ
プロピオニルCoA、(R)-3-ヒドロキシブチリルCoA及び
(R)-3-ヒドロキシバレリルCoAの少なくとも1種を添加
し、反応条件を整えることでscl-PHA合成酵素により
(R)-3-ヒドロキシプロピオニルCoA、(R)-3-ヒドロキ
シブチリルCoA及び(R)-3-ヒドロキシバレリルCoAの少
なくとも1種を重合し、それによってコアをscl-PHAで
被覆して、scl-PHAを外被としたカプセル構造体を形成
する。
【0081】上記水系反応液は、scl-PHA合成酵素の活
性を発揮させ得る条件に調整されたものであれば、どの
ようなものを用いても良いが、例えば通常、緩衝液を用
いてpH5.5からpH9.0、好ましくはpH7.0からpH 8.5とな
るように調製する。ただし、使用するscl-PHA合成酵素
の至適pHやpH安定性によっては、上記範囲以外の条件を
設定してもかまわない。
【0082】緩衝液の種類は、使用するscl-PHA合成酵
素の活性を発揮させ得るものであれば、設定するpH領域
に応じて適宜選択して用いることができるが、一般の生
化学反応に用いられる緩衝液、例えば、酢酸バッファ
ー、リン酸バッファー、リン酸カリウムバッファー、3-
(N-モルフォリノ)プロパンスルフォン酸(MOPS)バッフ
ァー、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-3-アミノプ
ロパンスルフォン酸(TAPS)バッファー、トリス塩酸バ
ッファー、グリシンバッファー、2-(シクロヘキシルア
ミノ)エタンスルフォン酸(CHES)バッファーなどを用
いると良い。緩衝液の濃度も、使用するscl-PHA合成酵
素の活性を発揮させ得るものであれば特に限定はされな
いが、通常5.0 mMから1.0 M、好ましくは0.1 Mから0.2
Mの濃度のものを使用すると良い。反応温度も、使用す
るscl-PHA合成酵素に応じて適宜設定すればよいが、通
常、4℃から50℃、好ましくは20℃から40℃に設定する
と良い。ただし、使用するscl-PHA合成酵素の至適温度
や耐熱性によっては、上記範囲以外に条件を設定しても
かまわない。反応時間は、使用するscl-PHA合成酵素の
安定性等にもよるが、通常、1分間から24時間、好まし
くは30分間から3時間の範囲内で適宜選択して設定す
る。反応液中の(R)-3-ヒドロキシプロピオニルCoA、
(R)-3-ヒドロキシブチリルCoA及び(R)-3-ヒドロキシ
バレリルCoAの少なくとも1種の濃度(2種以上の場合
はそれらの合計)は、使用するscl-PHA合成酵素の活性
を発揮させ得る範囲内で適宜設定するものであるが、通
常、0.1 mMから1.0M、好ましくは0.2 mMから0.2 Mの範
囲内で設定すると良い。なお、反応液中における(R)-3
-ヒドロキシプロピオニルCoA、(R)-3-ヒドロキシブチ
リルCoA及び(R)-3-ヒドロキシバレリルCoAの少なくと
も1種の濃度が高い場合、一般に、反応系のpHが低下す
る傾向にあるため、(R)-3-ヒドロキシプロピオニルCo
A、(R)-3-ヒドロキシブチリルCoA及び(R)-3-ヒドロキ
シバレリルCoAの少なくとも1種の濃度を高く設定する
場合は、前記の緩衝液濃度も高めに設定することが好ま
しい。
【0083】上記カプセル構造体製造時においては、コ
アの表面に固定化されているscl-PHA合成酵素に(R)-3-
ヒドロキシプロピオニルCoA、(R)-3-ヒドロキシブチリ
ルCoA及び(R)-3-ヒドロキシバレリルCoAの少なくとも
1種が均等に供給されることが望ましく、反応容器を適
当な強度で振とうすることが好ましい。
【0084】本発明によって得られた上記カプセル構造
体がscl-PHAで被覆されていることを確認する方法とし
て、例えばガスクロマトグラフィー等による組成分析と
電子顕微鏡等による形態観察とを組み合わせた方法や、
飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF-SIMS)とイオ
ンスパッタリング技術を用いて、各構成層のマススペク
トルから構造を判定する方法などを用いることができ
る。しかし、さらに直接的かつ簡便な確認方法として、
本発明者らによって新たに開発された、ナイルブルーA
染色と蛍光顕微鏡観察とを組み合わせた方法を用いるこ
ともできる。本発明者らは、scl-PHA合成酵素を用いた
無細胞系(in vitro)でのscl-PHA合成を簡便に判定で
きる方法について鋭意検討を続けてきた結果、scl-PHA
に特異的に結合して蛍光を発する性質を有する薬剤であ
り、Appl.Environ.Microbiol.,44,238-241(1982) にお
いて微生物細胞(in vivo)でのscl-PHA生産の簡易的判
別に用いることができると報告されているナイルブルー
Aが、適切な使用方法および使用条件の設定によって、
無細胞系でのscl-PHA合成の判定にも用いることができ
ることを見出し、上記の方法を完成させた。即ち、本方
法では、所定濃度のナイルブルーA溶液を、scl-PHAを含
む反応液に混合し、蛍光顕微鏡で一定の波長の励起光を
照射しながら観察することにより、合成されたscl-PHA
のみから蛍光を発せしめ、これを観察することによっ
て、無細胞系でのscl-PHA合成を簡易に判定することが
できる。使用したコアが上記条件下で蛍光を発する性質
を有するものでない限り、上記方法を本発明の構造体の
製造に応用することにより、コアの表面を被覆したscl-
PHAを直接的に観察し、評価することができる。
【0085】上記カプセル構造体のscl-PHA外被の膜厚
は、反応時間、3HB-CoA濃度、酵素濃度、温度等の反応
条件を変えることで0.01〜10μmの範囲内である程度制
御することが可能である。また、電子写真用カプセルト
ナーの場合、0.1μm未満の場合は定着性が劣り、2μm
を超えるとオフセットが発生し易くなるといった問題か
ら、scl-PHA外被の膜厚は0.1μm〜2μm程度とするの
が好ましい。
【0086】また、本発明のカプセル構造体の製造方法
では、同一分散液中のコアに被覆されるscl-PHA外被の
膜厚をある程度均一にすることができるため、コアの粒
径をあらかじめ揃えることで、カプセル構造体の粒径を
ある程度均一にすることができる。逆に粒径や形状の不
均一なコアも、ある程度均一な膜厚で被覆することが可
能である。
【0087】また、本発明のカプセル構造体では、scl-
PHA外被をコアの表面に直接形成することができるた
め、カプセル構造体中のコアの密度を高くすることがで
きる。このコアの密度は、コアの粒径とscl-PHA外被の
膜厚によって制限されるが、10〜95体積%の範囲内で制
御することが可能であり、目的に応じて設定すればよ
い。
【0088】scl-PHA外被の膜厚は、カプセル構造体を
エポキシ樹脂で固めた後、ミクロトームにより超薄切片
を作製し、四酸化ルテニウム、四酸化オスニウムなどに
より染色した後、透過型電子顕微鏡により観察すること
で、あるいはコールターカウンターマルチサイザー(コ
ールター社製)等の粒径測定装置を用いて、カプセル化
前後のコアの粒径の差を測定することで求めることがで
きる。
【0089】同様に、本発明のカプセル構造体では、外
被を構成するscl-PHAの分子量を、反応時間、3HB-CoA
濃度、酵素濃度、温度等の反応条件変えることで、Mn
(数平均分子量)(ポリスチレン換算)で1,000から1,0
00万程度の範囲内で制御することが可能である。例え
ば、電子写真用カプセルトナーとして使用する場合は、
3,000から100万程度とするのが望ましい。
【0090】この分子量の制御によってある程度カプセ
ル外被のscl-PHAのガラス転移温度を制御することがで
きる。電子写真用カプセルトナーとして使用する場合、
ガラス転移温度が45℃未満であると、保存時にトナー
の融着やブロッキングが生じ易くなり、また75℃を超
えると低温での定着性が劣るようになるため、カプセル
外被のscl-PHAのガラス転移温度は45℃〜75℃の範
囲、好ましくは、50℃〜70℃の範囲となるように設
定することが好ましい。
【0091】scl-PHAの分子量は、コアがクロロホルム
に溶解しないことが前提となるが、例えば、カプセル構
造体外被のscl-PHAをクロロホルムに溶解し、GPC
(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測
定すればよい。
【0092】ガラス転移温度の測定は、例えば、パーキ
ンエルマー社製のDSC−7のような高精度の内熱式入
力補償型の示差走査熱量計を用いて測定を行えばよい。
測定方法としては、ASTM D3418−82に準じ
て行えばよい。
【0093】本発明のカプセル構造体の外被を構成する
scl-PHAは生分解性の機能を有するため、適当なコアを
選ぶことで、生物に対し安全であり、環境に廃棄されて
も汚染を引き起こすことがない。また、自然界もしくは
生体内において、カプセル外被が徐々に分解するため、
徐放性機能を発現することが可能で、農薬や医薬製剤等
の用途に有用である。
【0094】また、本発明のカプセル構造体外殻のscl-
PHAはR体のみからなるアイソタクチックなポリマーで
あるため、光学材料としての用途にも利用することが可
能である。
【0095】本発明のカプセル構造体は、上記の方法に
より製造されるが、界面活性剤を使用せずに製造するこ
とが可能であるため、界面活性剤による汚染のないカプ
セル構造体として使用できる。また3HB-CoAや緩衝液に
由来する塩によるカプセル構造体の汚染はごく微量であ
り、生物的には無害であり、かつ容易に洗浄しうるた
め、カプセルの使用目的に影響することはほとんどな
い。
【0096】また、本発明の製造方法は酵素反応のみを
用いたものであるため、温度等の反応条件が温和で、乳
化や懸濁のための高速攪拌などを必要とせず、またコア
に酵素とモノマーを加えるだけという、極めて簡便な製
造プロセスで行うことが可能である。
【0097】さらに、本発明の製造方法は有機溶媒を使
用しないため、有機溶媒を使用する際に必要となる密閉
度の高い容器、排気装置、高度な廃液処理などが不要と
なり、コストも抑制され、ラージスケール化が容易で人
体や環境への負荷も少ない、といった特徴を有する。
【0098】本発明の製造方法によって得られたカプセ
ル構造体は反応液のまま水分散体として用いることがで
きるし、緩やかな遠心分離や吸引ろ過等によりカプセル
構造体を回収した後、別の水溶液に分散させて使用する
こともできる。また、回収したカプセル構造体をscl-PH
A不溶性の有機溶媒に分散させたり、溶媒置換を行ってs
cl-PHA不溶性の有機溶媒に分散して溶剤分散体として用
いることもできる。また、上記の方法を用いて、カプセ
ル構造体を洗浄することもできる。
【0099】粉末状のカプセル構造体を取得するために
は、粒径の大きい場合には緩やかな遠心分離や吸引ろ過
等によりウェットケーキを得たのち、減圧乾燥やジェッ
トミルなどで乾燥を行えばよい。また、粒径の小さな場
合にはスプレードライ法などにより乾燥を行えばよい。
【0100】粒径の揃ったコアを用いることで、製造さ
れるカプセル構造体の粒径をある程度揃えることが可能
であるが、より粒径を揃えるため、カプセル構造体製造
後にさらに分級を行ってもよい。
【0101】さらに上記カプセル構造体に目的に応じて
添加物を施用したり、各種二次加工や化学修飾等の処理
を施して使用することもできる。
【0102】例えば、電子写真用カプセルトナーでは、
流動性、帯電性、現像性、耐久性を向上する目的で種々
の外添剤を添加して使用することができる。この際に使
用する外添剤としては、通常、トナーに使用されている
従来公知のいかなる外添剤でも用いることができる。具
体的には、例えば、シリカ、酸化チタン、アルミナ等の
微粉末が挙げられる。そして、例えばシリカであれば、
BETが30m2/g以上、特に300m2/g以上のも
のが良好な結果を与える。この場合のシリカ微粉末の量
としては、カプセルトナー100質量部に対して、0.
01〜8質量部、好ましくは0.1〜5質量部程度使用
する。この際に使用するシリカ微粉末としては、必要に
応じて、疎水化及び帯電性コントロールの目的で、シリ
コーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーン
オイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリン
グ剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他の
有機ケイ素化合物の如き処理剤で処理されたものを使用
することが好ましい。これらの処理剤は混合して使用し
てもよい。
【0103】また、本発明の電子写真用カプセルトナー
の現像性及び耐久性を向上させるために、酸化亜鉛、酸
化アルミニウム、酸化コバルト、二酸化マンガン、チタ
ン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウムのような無
機粉体を添加することも好ましい。
【0104】更に、本発明の電子写真用カプセルトナー
に、下記に挙げるような滑剤粉末を添加してもよい。例
えば、テフロン(登録商標)、ポリフッ化ビニリデンの
如きフッ素樹脂;フッ化カーボンの如きフッ素化合物;
ステアリン酸亜鉛の如き脂肪酸金属塩;脂肪酸、脂肪酸
エステルの如き脂肪酸誘導体;硫化モリブデン等が挙げ
られる。
【0105】本発明の電子写真用カプセルトナーは、単
独で非磁性一成分現像剤として使用されたり、磁性キャ
リアとともに磁性二成分現像剤を構成したりする非磁性
トナーや、単独で磁性一成分トナーとして使用される磁
性トナー等、従来公知の種々のトナーに適用することが
できる。ここで二成分現像方法に用いる場合のキャリア
としては、従来知られているものをいずれも使用するこ
とができる。具体的には、表面酸化または未酸化の鉄、
ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、希土類の如き
金属及びそれらの合金または酸化物で形成される平均粒
径20〜300μmの粒子を、キャリア粒子として使用
できる。また、本発明において用いるキャリアは、上記
したキャリア粒子の表面が、スチレン系樹脂、アクリル
系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステ
ル樹脂の如き物質によって付着または被覆されているも
のであることが好ましい。また、本発明を用いてキャリ
ア粒子をscl-PHAで被覆してもよい。
【0106】なお、本発明のカプセル構造体およびその
利用方法およびその製造方法は、上記の方法に限定され
るものではない。
【0107】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。ただし、以下に述べる実施例は本発明の最良
の実施形態の一例ではあるが、本発明の技術的範囲はこ
れら実施例に限定されるものではない。尚、実施例中で
使用する「部」はすべて「質量部」を意味する。 <PHB合成酵素生産能を有する形質転換体の作製>TB
64株を100mlのLB培地(1%ポリペプトン、0.
5%酵母エキス、0.5%塩化ナトリウム、pH7.4)
で、30℃、一晩培養後、マーマーらの方法により染色
体DNAを分離回収した。得られた染色体DNAを制限
酵素Sau3AIで部分分解した。ベクターはpUC18を使用
し、制限酵素BamHIで切断し、脱リン酸化処理(Molecul
ar Cloning,1巻,572頁,1989年;Cold Spring Harbo
r Laboratory出版)の後、DNAライゲーションキット
Ver.II(宝酒造)を用いて染色体DNAのSau3AI部分分
解断片と連結した。次に、この連結DNA断片を用いて
大腸菌(Escheichia coli)HB101株を形質転換し、TB
64株の染色体DNAライブラリーを作製した。
【0108】次に、TB64株のPHB合成系酵素群遺
伝子を含むDNA断片を得るための表現型スクリーニン
グを行った。選択培地には2%グルコースを含有するL
B培地を用い、寒天平板培地上のコロニーが適当な大き
さに生育してきた時点でスダンブラックB溶液を噴霧
し、UV光照射により蛍光を発するコロニーを取得し
た。取得したコロニーからアルカリ法によりプラスミド
を回収することでPHB合成系酵素群遺伝子を含むDN
A断片を得ることができた。
【0109】ここで取得した遺伝子断片を不和合性グル
ープであるIncP、IncQ、あるいはIncWの何れにも属さな
い広宿主域複製領域を含むベクターpBBR122(Mo Bi Te
c)に組み換え、この組み換えプラスミドをラルストー
ニャ・ユートロファTB64m1株(PHB合成能欠損
株)にエレクトロポレーション法により形質転換したと
ころ、TB64m1株のPHB合成能が復帰し、相補性
を示した。
【0110】このPHB合成系酵素群遺伝子を含む断片
についてサンガー法により塩基配列を決定した。その結
果、配列番号:1で示される塩基配列を有するPHB合
成系酵素遺伝子が該断片中に存在することが確認でき
た。
【0111】次に、配列番号:2で示されるPHB合成
酵素遺伝子の開始コドン近傍の塩基配列を有するオリゴ
ヌクレオチドを設計・合成し(アマシャムファルマシア
・バイオテク)、このオリゴヌクレオチドをプライマー
としてPCRを行い、 PHB合成酵素遺伝子を含む断
片を増幅した(LA−PCRキット;宝酒造)。
【0112】次に、上のようにして得られたPCR増幅
断片について制限酵素BamHIを用いて完全分解し、発現
ベクターpTrc99Aの制限酵素BamHIで切断、脱リン酸化処
理(Molecular Cloning,1巻,5.7.2頁,1989
年;Cold Spring Harbor Laboratory出版)したもの
に、DNAライゲーションキットVer.II(宝酒造)を用
いて連結した。
【0113】得られた組換えプラスミドで大腸菌(Esch
erichia coli HB101)を塩化カルシウム法により形質転
換し(宝酒造)、得られた組換え体より回収した組換え
プラスミドをpTB64-phbとした。
【0114】pTB64-phbで大腸菌(Escherichia coli HB
101)を塩化カルシウム法により形質転換し、pTB64-phb
組換え株を得た。
【0115】<GST融合PHB合成酵素生産能を有する形質
転換体の作製>pTB64-phb組換え株をLB培地200m
lに植菌して、37℃、125ストローク/分で振盪培
養した。12時間培養の後、培養液200mlをグルコ
ース2%を含むLB培地200mlに植菌して(計40
0ml)、37℃、125ストローク/分で12時間振
盪培養した。このようにして得られた菌体を遠心分離に
よって回収し、常法によりプラスミドDNAを回収した。
【0116】pTB64-phbに対して、上流側プライマーと
なる、オリゴヌクレオチド(配列番号:3)および下流
側プライマーとなる、オリゴヌクレオチド(配列番号:
4)をそれぞれ設計・合成した(アマシャムファルマシ
ア・バイオテク)。このオリゴヌクレオチドをプライマ
ーとして、pTB64-phbをテンプレートとしてPCRを行い、
上流にBamHI制限部位、下流にXhoI制限部位を有するPHB
合成酵素遺伝子の完全長を増幅した(LA−PCRキット;
宝酒造)。
【0117】精製したPCR増幅産物をBamHIおよびXhoIに
より消化し、プラスミドpGEX‐6P‐1(アマシャムファ
ルマシア・バイオテク社製)の対応する部位に挿入し
た。これらのベクターを用いて大腸菌(JM109)を形質
転換し、発現用菌株を得た。菌株の確認は、Miniprep
(Wizard Minipreps DNA Purification Systems、PROME
GA社製)を用いて大量に調製したプラスミドDNAをBa
mHI、XhoIで処理して得られるDNA断片により行っ
た。
【0118】<PHB合成酵素の調製>得られた発現用菌
株をアンピシリン(100μg/L)を添加した2×YT培地(ポ
リペプトン16g/L、酵母エキス10g/L、NaCl 5g/L、PH 7.
0)100mlで30℃にて一晩前培養した。これをアンピシリ
ン(100μg/L)を添加した2×YT培地(ポリペプトン16g/
L、酵母エキス10g/L、NaCl 5g/L、PH 7.0)10リットル
に添加し、30℃にて3時間培養後、イソプロピル-β-D-
チオガラクトピラノシド(IPTG)を最終濃度1mMとなる
ように添加し、30℃にて3時間培養した。
【0119】回収した培養液を4℃、8000gで10分間遠
心処理し、上清を取り除いた後、菌体ペレットを4℃のP
BS溶液500mlに再懸濁した。この菌液をあらかじめ4℃
に冷却しておいたベッセルに各回40mlずつ注入し、フレ
ンチプレスによって2200kg/cm2に加圧しながら少しずつ
ノズルから菌液を解放することで菌体破砕処理を行っ
た。菌体破砕液を4℃、8000gで10分間遠心処理した
後、上清を回収した。この上清を0.45μmのフィルター
で濾過し、固形夾雑物を取り除き、上清中に目的のグル
タチオンS-トランスフェラーゼ(GST)の融合したPH
B合成酵素が存在することをSDS-PAGEで確認した。
【0120】次に、このGST融合PHB合成酵素をグル
タチオン・セファロース4B(Glutathion SeSCL-PHAro
se 4B : アマシャムファルマシア・バイオテク社製)で
精製した。グルタチオン・セファロース4Bの75%スラ
リー6.65mlを4℃、500gで5分間遠心処理し、上清を取
り除いた後、4℃のPBS溶液200mlに再懸濁し、さらに4
℃、500gで5分間遠心処理し、上清を取り除いた。さら
に4℃のPBS溶液5mlに再懸濁し、グルタチオン・セファ
ロース4B の50%スラリーとした。
【0121】このグルタチオン・セファロース4Bの50
%スラリー10mlに先ほど調整した上清全量を添加し、室
温で30分間緩やかに振とうしてグルタチオン・セファロ
ース4Bに上清中の目的とする融合たんぱく質をアフィ
ニティ吸着させた。その後、4℃、500gで5分間遠心処
理し、上清を取り除いた後、4℃のPBS溶液5mlに再懸濁
し、再び同様の遠心処理を行い、上清を除いた。このG
ST融合PHB合成酵素を固定化したグルタチオン・セフ
ァロース4Bを固定化酵素(1)とした。
【0122】その後、PBS溶液への再懸濁と遠心処理を2
回繰り返して洗浄した後、最後に5℃のクリベージ緩衝
液(Cleavage Buffer;Tris-HCl50mM、NaCl150mM、EDTA
1mM、Dithiothreitol1mM、PH7)5mlに懸濁した。これに
4% のプレシション・プロテアーゼ(PreScission Prote
ase;アマシャム ファルマシア バイオテク社製)の
クリベージ緩衝液溶液0.5mlを添加し、5℃で4時間緩や
かに振とうした。これを4℃、500gで5分間遠心処理
し、上清を回収した。次に上記と同様に調整したグルタ
チオン・セファロース4Bの50%スラリー1mlを、4
℃、500gで5分間遠心処理し、上清を除いた後のグルタ
チオン・セファロース4Bに先ほど回収した上清を添加
し、緩やかに攪拌して上清中に残留したプレシション・
プロテアーゼをグルタチオン・セファロース4Bに吸着
させた。次いで4℃、500gで5分間遠心処理して上清を
回収した。この上清はSDS-PAGEにより、シングルバンド
を示し、精製されていることを確認した。
【0123】また、含有するPHB合成酵素活性を以下の
方法で測定した。まず、ウシ血清アルブミン(Sigma社
製)を0.1 M トリス塩酸バッファー(pH8.0) に3.0 mg/m
l溶解した溶液100μlを酵素溶液100μlに添加して混合
し、30℃で1分間プレインキュベートした。これに、3-
ヒドロキシブチリルCoAを0.1 M トリス塩酸バッファー
(pH8.0) に3.0 mM溶解した溶液100μlを添加して混合
し、30℃で1〜30分間インキュベートしたのち、トリク
ロロ酢酸を0.1 M トリス塩酸バッファー(pH8.0) に10mg
/ml溶解した溶液300μlを添加して反応を停止させた。
反応停止したこの溶液を遠心分離(15,000×g、10分
間)し、5,5'-ジチオビス-(2-ニトロ安息香酸)を0.1 M
トリス塩酸バッファー(pH8.0) に2.0 mM溶解した溶液50
0μlを上清500μlに添加し、30℃で10分間インキュベー
トしたのち、412 nmの吸光度を測定した。そして1分間
に1μmolのCoAを放出させる酵素量を1単位(U)とし
て、酵素活性を計算した。その結果、比活性として7.5U
/mlが得られた。この液を、ライホゲルを添加して限外
濾過濃縮し、10 U/mlとしたものを精製酵素液(1)とし
た。
【0124】<PHB合成酵素含有粗酵素液の調製方法>K
K01及びTL2株を、酵母エキス0.5%、ミネラル溶液
(下記参照)0.3%を含有したM9培地(下記組成)10
リットルで30℃、24時間培養し、回収した培養液を4
℃、8000gで10分間遠心処理し、上清を取り除いた後、
菌体ペレットを4℃のPBS溶液500mlに再懸濁した。この
菌液をあらかじめ4℃に冷却しておいたベッセルに各回
40mlずつ注入し、フレンチプレスによって2200kg/cm2
加圧しながら少しずつノズルから菌液を解放することで
菌体破砕処理を行った。得られた菌体破砕液を4℃、80
00gで10分間遠心処理した後、上清を回収した。この上
清を0.45μmのフィルターで濾過し、固形夾雑物を取り
除き、含有するPHB合成酵素活性を前述の方法で測定し
た。その結果、比活性としてKK01株からは1.6U/ml、TL
2株からは1.2U/mlが得られた。この液を、ライホゲル
を添加して限外濾過濃縮し、10 U/mlとした粗酵素液
を、KK01株由来のものを粗酵素液(1)、TL2株由来の
ものを粗酵素液(2)とした。 (M9培地) Na2HPO4: 6.2 g KH2PO4 : 3.0 g NaCl : 0.5 g NH4Cl : 1.0 g (培地1リットル中、pH7.0) (ミネラル溶液) ニトリロ三酢酸: 1.5 g MgSO4 : 3.0 g MnSO4 : 0.5 g NaCl : 1.0 g FeSO4 : 0.1 g CaCl2 : 0.1 g CoCl2 : 0.1 g ZnSO4 : 0.1 g CuSO4 : 0.1 g AlK(SO4)2 : 0.1 g H3BO3 : 0.1 g Na2MoO4 : 0.1 g NiCl2 : 0.1 g (1リットル中、pH7.0) <実施例1>GST融合PHB合成酵素を固定化したグル
タチオン・セファロース4Bをコアとした本発明のカプ
セル構造体を下記の方法で調製した。
【0125】固定化酵素(1)1質量部を0.1 Mリン酸バ
ッファー(pH7.0)48質量部に懸濁し、3-ヒドロキシブ
チリルCoA(シグマ・アルドリッチ・ジャパン(株)社
製)1質量部、ウシ血清アルブミン(Sigma社製)0.1質
量部を添加し、30℃で2時間緩やかに振盪した。上記反
応液10μlをスライドグラス上に採取し、1%ナイルブル
ーA水溶液10μlを添加し、スライドグラス上で混合した
後、カバーグラスを載せ、蛍光顕微鏡(330〜380 nm励
起フィルタ、420 nmロングパス吸収フィルタ、(株)ニコ
ン製)観察を行った。その結果、グルタチオン・セファ
ロース4B表面が蛍光を発していることが確認された。
従って、該グルタチオン・セファロース4BはPHBによ
り表面を被覆されていることがわかった。
【0126】対照として、0.1 Mリン酸バッファー(pH
7.0)90質量部にグルタチオン・セファロース4B 10質
量部を添加し、30℃で2.5時間緩やかに振盪した後、同
様にナイルブルーAで染色して蛍光顕微鏡観察を行っ
た。その結果、グルタチオン・セファロース4B表面は
全く蛍光を発しなかった。
【0127】さらに、該粒子の一部を遠心分離(10,000
×g、4℃、10分間)により回収し、真空乾燥したのち、
クロロホルムに懸濁し、60℃で20時間攪拌して外被を成
すPHBを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレン
フィルターでろ過し、ロータリーエバポレーターで減圧
濃縮したのち、常法に従ってメタノリシスを行い、ガス
クロマトグラフィー−質量分析装置(GC-MS,島津QP-50
50、EI法)で分析し、モノマーユニットのメチルエステ
ル化物の同定を行った。その結果、3-ヒドロキシ酪酸ユ
ニットからなるPHBであることが確認された。
【0128】さらに、該PHBの分子量をゲルパーミエー
ションクロマトグラフィー(GPC;東ソーHLC-8020、カ
ラム;ポリマーラボラトリーPLgel MIXED-C(5μm)、溶
媒;クロロホルム、カラム温度;40℃、ポリスチレン換
算)により評価した結果、Mn=34,000、Mw=54,000
であった。
【0129】<実施例2>精製されたPHB合成酵素液を
用いて、アルミナをコアとした本発明のカプセル構造体
を下記の方法で調製した。精製酵素液(1)10質量部に
アルミナ粒子(粒径0.12μm〜135μm)1質量部、PBS39
質量部を添加し30℃にて30分間緩やかに振盪してPHB合
成酵素をアルミナ表面に吸着させた。これを遠心分離
(10,000×g、4℃、10分間)し、沈殿をPBS溶液に懸濁
し、再度遠心分離(10,000×g、4℃、10分間)して固定
化酵素を得た。
【0130】上記固定化酵素を0.1 Mリン酸バッファー
(pH7.0)48質量部に懸濁し、3-ヒドロキシブチリルCo
A(シグマ・アルドリッチ・ジャパン(株)社製)1質量
部、ウシ血清アルブミン(Sigma社製)0.1質量部を添加
し、30℃で2時間緩やかに振盪した。
【0131】上記反応液10μlをスライドグラス上に採
取し、1%ナイルブルーA水溶液10μlを添加し、スライ
ドグラス上で混合した後、カバーグラスを載せ、蛍光顕
微鏡(330〜380 nm励起フィルタ、420 nmロングパス吸
収フィルタ、(株)ニコン製)観察を行った。その結果、
アルミナ粒子表面が蛍光を発していることが確認され
た。従って、該アルミナ粒子はPHBにより表面を被覆さ
れていることがわかった。
【0132】対照として、0.1 Mリン酸バッファー(pH
7.0)49質量部にアルミナ粒子1質量部を添加し、30℃で
2.5時間緩やかに振盪した後、同様にナイルブルーAで染
色して蛍光顕微鏡観察を行った。その結果、アルミナ粒
子表面は全く蛍光を発しなかった。
【0133】さらに、該粒子の一部を遠心分離(10,000
×g、4℃、10分間)により回収し、真空乾燥したのち、
クロロホルムに懸濁し、60℃で20時間攪拌して外被を成
すPHBを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレン
フィルターでろ過し、ロータリーエバポレーターで減圧
濃縮したのち、常法に従ってメタノリシスを行い、ガス
クロマトグラフィー−質量分析装置(GC-MS,島津QP-50
50、EI法)で分析し、モノマーユニットのメチルエステ
ル化物の同定を行った。その結果、3-ヒドロキシ酪酸ユ
ニットからなるPHBであることが確認された。
【0134】さらに、該PHBの分子量をゲルパーミエー
ションクロマトグラフィー(GPC;東ソーHLC-8020、カ
ラム;ポリマーラボラトリーPLgel MIXED-C(5μm)、溶
媒;クロロホルム、カラム温度;40℃、ポリスチレン換
算)により評価した結果、Mn=31,000、Mw=50,000
であった。
【0135】<実施例3>PHB合成酵素を含有した粗酵
素液を用いて、アルミナをコアとした本発明のカプセル
構造体を調製した。
【0136】粗酵素液(1)10質量部にアルミナ粒子
(粒径0.12μm〜135μm)1質量部、PBS39質量部を添加
し30℃にて30分間緩やかに振盪してPHB合成酵素をアル
ミナ表面に吸着させた。これを遠心分離(10,000×g、4
℃、10分間)し、沈殿をPBS溶液に懸濁し、再度遠心分
離(10,000×g、4℃、10分間)して固定化酵素を得た。
【0137】上記固定化酵素を0.1 Mリン酸バッファー
(pH7.0)48質量部に懸濁し、3-ヒドロキシブチリルCo
A(シグマ・アルドリッチ・ジャパン(株)社製)1質量
部、ウシ血清アルブミン(Sigma社製)0.1質量部を添加
し、30℃で2時間緩やかに振盪した。
【0138】上記反応液10μlをスライドグラス上に採
取し、1%ナイルブルーA水溶液10μlを添加し、スライ
ドグラス上で混合した後、カバーグラスを載せ、蛍光顕
微鏡(330〜380 nm励起フィルタ、420 nmロングパス吸
収フィルタ、(株)ニコン製)観察を行った。その結果、
アルミナ粒子表面が蛍光を発していることが確認され
た。従って、該アルミナ粒子はPHBにより表面を被覆さ
れていることがわかった。
【0139】対照として、0.1 Mリン酸バッファー(pH
7.0)49質量部にアルミナ粒子1質量部を添加し、30℃で
2.5時間緩やかに振盪した後、同様にナイルブルーAで染
色して蛍光顕微鏡観察を行った。その結果、アルミナ粒
子表面は全く蛍光を発しなかった。
【0140】さらに、該粒子の一部を遠心分離(10,000
×g、4℃、10分間)により回収し、真空乾燥したのち、
クロロホルムに懸濁し、60℃で20時間攪拌して外被を成
すPHBを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレン
フィルターでろ過し、ロータリーエバポレーターで減圧
濃縮したのち、常法に従ってメタノリシスを行い、ガス
クロマトグラフィー−質量分析装置(GC-MS,島津QP-50
50、EI法)で分析し、モノマーユニットのメチルエステ
ル化物の同定を行った。その結果、3-ヒドロキシ酪酸ユ
ニットからなるPHBであることが確認された。
【0141】さらに、該PHBの分子量をゲルパーミエー
ションクロマトグラフィー(GPC;東ソーHLC-8020、カ
ラム;ポリマーラボラトリーPLgel MIXED-C(5μm)、溶
媒;クロロホルム、カラム温度;40℃、ポリスチレン換
算)により評価した結果、Mn=28,000、Mw=45,000
であった。
【0142】<実施例4>PHB合成酵素を含有した粗酵
素液を用いて、アルミナをコアとした本発明のカプセル
構造体を調製した。
【0143】粗酵素液(2)10質量部にアルミナ粒子
(粒径0.12μm〜135μm)1質量部、PBS 39質量部を添加
し30℃にて30分間緩やかに振盪してPHB合成酵素をアル
ミナ表面に吸着させた。これを遠心分離(10,000×g、4
℃、10分間)し、沈殿をPBS溶液に懸濁し、再度遠心分
離(10,000×g、4℃、10分間)して固定化酵素を得た。
【0144】上記固定化酵素を0.1 Mリン酸バッファー
(pH7.0)48質量部に懸濁し、3-ヒドロキシブチリルCo
A(シグマ・アルドリッチ・ジャパン(株)社製)1質量
部、ウシ血清アルブミン(Sigma社製)0.1質量部を添加
し、30℃で2時間緩やかに振盪した。
【0145】上記反応液10μlをスライドグラス上に採
取し、1%ナイルブルーA水溶液10μlを添加し、スライ
ドグラス上で混合した後、カバーグラスを載せ、蛍光顕
微鏡(330〜380 nm励起フィルタ、420 nmロングパス吸
収フィルタ、(株)ニコン製)観察を行った。その結果、
アルミナ粒子表面が蛍光を発していることが確認され
た。従って、該アルミナ粒子はPHBにより表面を被覆さ
れていることがわかった。
【0146】対照として、0.1 Mリン酸バッファー(pH
7.0)49質量部にアルミナ粒子1質量部を添加し、30℃で
2.5時間緩やかに振盪した後、同様にナイルブルーAで染
色して蛍光顕微鏡観察を行った。その結果、アルミナ粒
子表面は全く蛍光を発しなかった。
【0147】さらに、該粒子の一部を遠心分離(10,000
×g、4℃、10分間)により回収し、真空乾燥したのち、
クロロホルムに懸濁し、60℃で20時間攪拌して外被を成
すPHBを抽出した。抽出液を孔径 0.45μmのメンブレン
フィルターでろ過し、ロータリーエバポレーターで減圧
濃縮したのち、常法に従ってメタノリシスを行い、ガス
クロマトグラフィー−質量分析装置(GC-MS,島津QP-50
50、EI法)で分析し、モノマーユニットのメチルエステ
ル化物の同定を行った。その結果、3-ヒドロキシ酪酸ユ
ニットからなるPHBであることが確認された。
【0148】さらに、該PHBの分子量をゲルパーミエー
ションクロマトグラフィー(GPC;東ソーHLC-8020、カ
ラム;ポリマーラボラトリーPLgel MIXED-C(5μm)、溶
媒;クロロホルム、カラム温度;40℃、ポリスチレン換
算)により評価した結果、Mn=29,000、Mw=46,000
であった。
【0149】<実施例5>3リットルの四つ口セパラブ
ルフラスコに、還流冷却管、温度計、窒素導入管、撹拌
機を取り付け、このフラスコ中に下記の組成からなる混
合物を投入し、高速攪拌装置TK−ホモミキサーで1
0,000rpm、10分間攪拌して造粒した後、回転
数を1,000rpmに減速し、窒素ガスによるバブリ
ングを十分に行った。次に、攪拌装置を三日月形状の攪
拌羽根に変更し、緩やかな攪拌と共に、80℃に加熱し
たオイルバス中で16時間重合した。 ・イオン交換水 1200部 ・ポリビニルアルコール 15部 ・ドデシル硫酸ナトリウム 0.1部 ・スチレンモノマー 75部 ・アクリル酸−nブチル 25部 ・ジ−tert−ブチルサリチル酸クロム錯塩 5部 ・銅フタロシアニン 5部 ・2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 6部 重合反応終了後、反応容器を室温まで冷却した後、分散
液を5回のデカンテーションにより洗浄し、濾過、水
洗、乾燥して青色の粉体であるコア粒子(1)を得た。
得られたコア粒子をコールターカウンターマルチサイザ
ー(コールター社製)を用いて測定したところ、重量平
均粒径で6.5μmであった。
【0150】また、このコア粒子(1)のガラス転移温
度(Tg)を示差走査熱量計(パーキンエルマー社製D
SC−7)によって測定したところ、88.5℃であった。
【0151】このコア粒子(1)のカプセル化は次のよ
うに行った。精製酵素液(1)10質量部にコア粒子(1)
1質量部、PBS 39質量部を添加し30℃にて30分間緩やか
に振盪してPHB合成酵素をコア粒子表面に吸着させた。
これを遠心分離(10,000×g、4℃、10分間)し、沈殿を
PBS溶液に懸濁し、再度遠心分離(10,000×g、4℃、10
分間)して固定化酵素を得た。上記固定化酵素を0.1 M
リン酸バッファー(pH7.0)48質量部に懸濁し、3-ヒド
ロキシブチリルCoA(シグマ・アルドリッチ・ジャパン
(株)社製)1質量部、ウシ血清アルブミン(Sigma社製)
0.1質量部を添加し、30℃で2時間緩やかに振盪した。
【0152】反応終了後、得られた粒子を濾別、水洗
後、40℃、4時間減圧乾燥して、青色のカプセルトナ
ー(1)を得た。このカプセルトナー(1)の重量平均粒
子径を前述と同様に測定したところ、7.1μmであっ
た。
【0153】また、このカプセルトナー(1)のガラス
転移温度(Tg)を前述と同様に測定したところ、70.8
℃であった。
【0154】このカプセルトナー(1)を光学顕微鏡に
より観察した結果、円滑な表面を有する粒子の内部に青
色のコア粒子の存在が認められた。
【0155】また、カプセルトナー(1)を導電性テー
プによりアルミ製の試料台に固定し、イオンコーターに
より金を薄く蒸着した。走査型電子顕微鏡により高分子
微粒子の形状を観察したところ、表面が平滑なカプセル
外被によってコア粒子(1)が完全に被覆されているこ
とが確認された。
【0156】さらに、カプセルトナー(1)をエポキシ
樹脂で固めた後、ミクロトームにより超薄切片を作製
し、四酸化オスニウムにより染色した後、透過型電子顕
微鏡により、拡大倍率1万倍〜10万倍で観察したとこ
ろ、1つのコアと、外被とからなる2層構造を有するカ
プセル構造が観察された。そして染色の濃度差から外被
の厚さを求めたところ、平均0.34μmであった。
【0157】この測定結果を用いてカプセルトナー
(1)に占める青色コア粒子(1)の体積割合を求めたと
ころ、77%(V/V)であり、カプセル構造体中に高密
度に着色成分であるコア粒子が充填されていることがわ
かった。
【0158】次に、カプセルトナー(1)10質量部に
対し、解砕処理したBET値360m2/gの疎水性シ
リカ0.2部をヘンシェルミキサーで混合し、外添して
トナー組成物(1)とした。
【0159】作製したトナーの画像評価を行うため、上
記で得たトナー6部に対して、平均粒径が35μmのフ
ェライトコアにシリコーン樹脂をコートしたキャリア9
4部をポリ瓶に入れ、ターブラーミキサーで混合撹拌し
て二成分現像剤(1)を作製した。そして、この現像剤
をキヤノン製フルカラーレーザーコピア複写機CLC−
500改造機に搭載し、23℃,60%RH環境下、初
期及び1万枚複写後の画像についてSEMで観察し、画
質の評価及び現像剤の劣化状態の評価を行なった。
【0160】画質の評価としては、1画素内でのレーザ
ーのパルス幅変調(PWM)による多値記録により、極
小スポットの再現性を顕微鏡観察により評価した。その
結果、得られる画像は、ハーフトーンのドット再現性
が、初期及び1万枚複写後も非常に良好であり、現像器
及び感光体の汚染も発生しなかった。又、1万枚複写後
の現像剤を走査電子顕微鏡で観察したところ、トナーの
破砕やつぶれ等は全くなく、キャリア表面へのトナース
ペントも観察されなかった。
【0161】また、トナーの耐ブロッキング性の評価を
行うために、50〜70℃まで1℃おきに設定した温度
下に、上記で得たトナー組成物(1)をそれぞれ3日間放
置した後の凝集性を観察し、各トナー組成物を前述のキ
ャリアを用いて同様に現像化して画像評価を行った。そ
して、ハイライト領域のガサツキ具合の変化する点を耐
ブロッキング温度とした。その結果、トナー組成物
(1)の耐ブロッキング温度は62℃と高く、耐ブロッ
キング性に優れることがわかった。
【0162】また、定着性の評価としては、CLC−5
00と同じ定着器構成を有する外部定着器による定着試
験を行った。定着試験の方法としては、幅2cm、長さ
10cmの短冊を作り、その上の未定着画像を、外部定
着器の上部ローラーの温度をモニターしながら短冊の長
さ方向にそってローラーを通過させることによって定着
させ、得られた定着画像について、短冊の後部にオフセ
ットが見られるか否かで定着性を判断した。その結果、
定着開始温度が97℃と低く、低温定着性に優れること
がわかった。
【0163】<比較例1>カプセルトナー(1)の代わり
に、コア粒子(1)をカプセル化せずにそのままトナー
組成物及び二成分現像剤に使用して実施例5と同様の評
価を行った。その結果、耐ブロッキング温度は74℃と
高かったが、定着開始温度が115℃と高かった。
【0164】<実施例6>下記組成の混合物を150−
180℃に調整されたニーダーにて溶融混合処理(10
分)した後冷却、固化せしめた。次いで、粗粉砕機によ
り粗粉砕した後、ジェットミル粉砕機にて微粉砕を行
い、さらに気流式分級機にて分級し、黒色の粉体である
コア粒子(2)を得た。
【0165】 ポリエステル樹脂 100部 カーボンブラック 6部 ジ−tert−ブチルサリチル酸クロム錯塩 5部 得られたコア粒子の粒径をコールターカウンターマルチ
サイザー(コールター社製)を用いて測定したところ、
重量平均粒径で4.3μmであった。また、このコア粒子
(2)のガラス転移温度(Tg)を示差走査熱量計(パ
ーキンエルマー社製DSC−7)によって測定したとこ
ろ、42.6℃であった。
【0166】このコア粒子(2)のカプセル化は次のよ
うに行った。粗酵素液(1)10質量部にコア粒子(2)1
質量部、PBS 39質量部を添加し30℃にて30分間緩やかに
振盪してPHB合成酵素をコア粒子表面に吸着させた。こ
れを遠心分離(10,000×g、4℃、10分間)し、沈殿をPB
S溶液に懸濁し、再度遠心分離(10,000×g、4℃、10分
間)して固定化酵素を得た。
【0167】上記固定化酵素を0.1 Mリン酸バッファー
(pH7.0)48質量部に懸濁し、3-ヒドロキシブチリルCo
A(シグマ・アルドリッチ・ジャパン(株)社製)1質量
部、ウシ血清アルブミン(Sigma社製)0.1質量部を添加
し、30℃で2時間緩やかに振盪した。反応終了後、得ら
れた粒子を濾別、水洗後、40℃、4時間減圧乾燥し
て、黒色のカプセルトナー(2)を得た。このカプセル
トナー(2)の重量平均粒子径を前述と同様に測定した
ところ、4.8μmであった。
【0168】また、このカプセルトナー(2)のガラス
転移温度(Tg)を前述と同様に測定したところ、70.2
℃であった。
【0169】このカプセルトナー(2)を光学顕微鏡に
より観察した結果、円滑な表面を有する粒子の内部に青
色のコア粒子の存在が認められた。
【0170】また、実施例5と同様に走査型電子顕微鏡
による観察を行ったところ、表面が平滑なカプセル外被
によってコア粒子(2)が完全に被覆されていることが
確認された。
【0171】さらに、実施例5と同様に透過型電子顕微
鏡による観察を行ったところ、1つのコアと、外被とか
らなる2層構造を有するカプセル構造が観察された。そ
して染色の濃度差から外被の厚さを求めたところ、平均
0.26μmであった。
【0172】この測定結果を用いてカプセルトナー
(2)に占める黒色コア粒子(2)の体積割合を求めたと
ころ、73%(V/V)であり、カプセル構造体中に高密
度に着色成分であるコア粒子が充填されていることがわ
かった。
【0173】次に、実施例5と同様に疎水性シリカを外
添してトナー組成物(2)とし、さらに同様に二成分現
像剤(2)を作製し、画質の評価及び現像剤の劣化状態
の評価を行なった。その結果、得られる画像は、ハーフ
トーンのドット再現性が、初期及び1万枚複写後も非常
に良好であり、現像器及び感光体の汚染も発生しなかっ
た。又、1万枚複写後の現像剤を走査電子顕微鏡で観察
したところ、トナーの破砕やつぶれ等は全くなく、キャ
リア表面へのトナースペントも観察されなかった。
【0174】また、実施例5と同様にトナーの耐ブロッ
キング性の評価を行った。その結果、トナー組成物
(2)の耐ブロッキング温度は60℃と高く、耐ブロッ
キング性に優れることがわかった。
【0175】又、実施例5と同様に定着性の評価を行っ
た。その結果、定着開始温度が94℃と低く、低温定着
性に優れることがわかった。
【0176】<比較例2>カプセルトナー(2)の代わり
に、コア粒子(2)をカプセル化せずにそのままトナー
組成物及び二成分現像剤に使用して実施例5と同様の評
価を行った。その結果、定着開始温度が92℃と低く、
低温定着性に優れていたが、耐ブロッキング温度は51
℃と低く、耐ブロッキング性に劣ることがわかった。
【0177】<実施例7>下記組成の混合物を150−
180℃に調整されたニーダーにて溶融混合処理(10
分)した後冷却、固化せしめた。次いで、粗粉砕機によ
り粗粉砕した後、ジェットミル粉砕機にて微粉砕を行
い、さらに気流式分級機にて分級し、黄色の粉体である
コア粒子(3)を得た。
【0178】 エポキシ樹脂 100部 C.I.ピグメント・イエロー 12 6部 ジ−tert−ブチルサリチル酸クロム錯塩 5部 得られたコア粒子の粒径をコールターカウンターマルチ
サイザー(コールター社製)を用いて測定したところ、
重量平均粒径で7.5μmであった。また、このコア粒子
(3)のガラス転移温度(Tg)を示差走査熱量計(パ
ーキンエルマー社製DSC−7)によって測定したとこ
ろ、88.5℃であった。
【0179】このコア粒子(3)のカプセル化は次のよ
うに行った。粗酵素液(2)10質量部にコア粒子(1)1
質量部、PBS 39質量部を添加し30℃にて30分間緩やかに
振盪してPHB合成酵素をコア粒子表面に吸着させた。こ
れを遠心分離(10,000×g、4℃、10分間)し、沈殿をPB
S溶液に懸濁し、再度遠心分離(10,000×g、4℃、10分
間)して固定化酵素を得た。上記固定化酵素を0.1 Mリ
ン酸バッファー(pH7.0)48質量部に懸濁し、3-ヒドロ
キシブチリルCoA(シグマ・アルドリッチ・ジャパン
(株)社製)1質量部、ウシ血清アルブミン(Sigma社製)
0.1質量部を添加し、30℃で2時間緩やかに振盪した。
【0180】反応終了後、得られた粒子を濾別、水洗
後、40℃、4時間減圧乾燥して、黄色のカプセルトナ
ー(3)を得た。このカプセルトナー(3)の重量平均
粒子径を前述と同様に測定したところ、8.4μmであっ
た。また、このカプセルトナー(3)のガラス転移温度
(Tg)を前述と同様に測定したところ、70.8℃であっ
た。
【0181】このカプセルトナー(3)を光学顕微鏡に
より観察した結果、円滑な表面を有する粒子の内部に青
色のコア粒子の存在が認められた。
【0182】また、実施例5と同様に走査型電子顕微鏡
による観察を行ったところ、表面が平滑なカプセル外被
によってコア粒子(3)が完全に被覆されていることが
確認された。
【0183】さらに、実施例5と同様に透過型電子顕微
鏡による観察を行ったところ、1つのコアと、外被とか
らなる2層構造を有するカプセル構造が観察された。そ
して染色の濃度差から外被の厚さを求めたところ、平均
0.47μmであった。
【0184】この測定結果を用いてカプセルトナー
(2)に占める黒色コア粒子(2)の体積割合を求めたと
ころ、71%(V/V)であり、カプセル構造体中に高密
度に着色成分であるコア粒子が充填されていることがわ
かった。
【0185】次に、実施例5と同様に疎水性シリカを外
添してトナー組成物(3)とし、さらに同様に二成分現
像剤(3)を作製し、画質の評価及び現像剤の劣化状態
の評価を行なった。その結果、得られる画像は、ハーフ
トーンのドット再現性が、初期及び1万枚複写後も非常
に良好であり、現像器及び感光体の汚染も発生しなかっ
た。又、1万枚複写後の現像剤を走査電子顕微鏡で観察
したところ、トナーの破砕やつぶれ等は全くなく、キャ
リア表面へのトナースペントも観察されなかった。
【0186】また、実施例5と同様にトナーの耐ブロッ
キング性の評価を行った。その結果、トナー組成物
(3)の耐ブロッキング温度は62℃と高く、耐ブロッ
キング性に優れることがわかった。
【0187】又、実施例5と同様に定着性の評価を行っ
た。その結果、定着開始温度が98℃と低く、低温定着
性に優れることがわかった。
【0188】<比較例3>カプセルトナー(3)の代わ
りに、コア粒子(3)をカプセル化せずにそのままトナ
ー組成物及び二成分現像剤に使用して実施例5と同様の
評価を行った。その結果、耐ブロッキング温度は77℃
と高かったが、定着開始温度が119℃と高かった。
【0189】
【発明の効果】本発明によれば、粒状体の材質の制約が
少なく、粒状体が高密度に内包されたscl-PHAを外被と
する粒状構造体を提供することが可能となる。また、本
発明によれば、上記の優れた粒状構造体を、界面活性
剤、重合反応剤等によって汚染されない、かつ有機溶媒
を使用しない簡便な製造方法を提供することが可能とな
る。また、本発明の粒状構造体を利用して、低温定着性
と耐ブロッキング性を発揮しうる電子写真用トナーを提
供できる。さらに、本発明の粒状構造体の製造方法を利
用した、上記電子写真用トナーの製造方法を提供でき
る。
【0190】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> CANON INC. <120> Material having a particle structure and a production method there of <130> 4460001 <160> 4 <170> Microsoft Word <210>1 <211>1770 <212>DNA <213>Ralstonia eutropha TB64 <220> <221>CDS <222>(1)...(1770) Polyhydroxybutyrate synthase encoding sequence <400>1 atggcgaccg gcaaaggcgc ggcagcttcc acgcaggaag gcaagtccca accattcaag 60 ttcacgccgg ggccattcga tccagccaca tggctggaat ggtcccgcca gtggcagggc 120 actgaaggca acggccacgc tgccgcgtcc ggcattccgg gcctggatgc gctggcaggc 180 gtcaagatcg cgccggcgca gctgggtgat atccagcagc gctacatgaa ggacttctca 240 gcgctgtggc aggccatggc cgagggcaag gccgaggcca ccggtccgct gcacgaccgg 300 cgcttcgccg gcgacgcatg gcgcaccaac ctcccatatc gcttcgctgc cgcgttctac 360 ctgctcaatg cgcgcgcctt gaccgagctg gccgatgccg tcgaggccga tgccaagacc 420 cgccagcgca tccgcttcgc gatctcgcaa tgggtcgatg cgatgtcgcc cgccaacttc 480 cttgccacca atcccgaggc gcagcgcctg ctgatcgagt cgggcggcga atcgctgcgt 540 gccggcgtgc gcaacatgat ggaagacctg acacgcggca agatctcgca gaccgacgag 600 agcgcgtttg aggtcggccg caatgtcgcg gtgaccgaag gcgccgtggt cttcgagaac 660 gagtacttcc agctgttgca gtacaagccg ctgaccgaca aggtgcacgc gcgcccgctg 720 ctgatggtgc cgccgtgcat caacaagtac tacatcctgg acctgcagcc ggagagctcg 780 ctggtgcgcc atgtggtgga gcagggacat acggtgtttc tggtgtcgtg gcgcaatccg 840 gacgccagca tggccggcag cacctgggac gactacatcg agcacgcggc catccgcgcc 900 atcgaagtcg cgcgcgacat cagcggccag gacaagatca acgtgctcgg cttctgcgtg 960 ggcggcacca ttgtctcgac cgcgctggcg gtgctggccg cgcgcggcga gcacccggcc 1020 gccagcgtca cgctgctgac cacgctgctg gactttgccg acaccggcat cctcgacgtc 1080 tttgtcgacg agggccatgt gcagttgcgc gaggccacgc tgggcggcgg cgccggcgcg 1140 ccgtgcgcgc tgctgcgcgg ccttgagctg gccaatacct tctcgttcct gcgcccgaac 1200 gacctggtgt ggaactacgt ggtcgacaac tacctgaagg gcaacacgcc ggtgccgttc 1260 gacctgctgt tctggaacgg cgacgccacc aacctgccgg ggccgtggta ctgctggtat 1320 ctgcgccaca cgtacctgca gaacgagctc aaggtaccgg gcaagctgac cgtgtgcggc 1380 gtgccggtgg acctggccag catcgacgtg ccgacctata tctacggctc gcgcgaagac 1440 catatcgtgc cgtggaccgc ggcctatgcc tcgaccgcgc tgctggcgaa caagctgcgc 1500 ttcgtgctgg gtgcgtcggg ccatatcgcc ggtgtgatca acccgccggc caagaacaag 1560 cgcagccact ggactaacga tgcgctgccg gagtcgccgc agcaatggct ggccggcgcc 1620 atcgagcatc acggcagctg gtggccggac tggaccgcat ggctggccgg gcaggccggc 1680 gcgaaacgcg ccgcgcccgc caactatggc aatgcgcgct atcgcgcaat cgaacccgcg 1740 cctgggcgat acgtcaaagc caaggcatga <210>2 <211>32 <212>DNA <220> <223>Primer sequence for PCR <400>2 gagagaggat ccaatcatgg cgaccggcaa ag <210> 3 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer for PCR multiplication <400> 3 cgggatccgc gaccggcaaa ggcgcggcag 30 <210> 4 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer for PCR multiplication <400> 4 cgatctcgag tcatgccttg gctttgacgt 30
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03G 9/087 C08L 67:00 C08L 67:00 G03G 9/08 321 (72)発明者 野本 毅 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 矢野 哲哉 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2H005 AA01 AB06 CA08 4B064 AD64 CA02 CA21 DA16 4F071 AA43 AD02 AE09 AG02 AG31 AH19 BA06 BB12 BC02 4J029 AA02 AB02 AB07 AC01 AC02 AC05 AE11 EA02 HA01 HB01 JD03 JD05 KA04 KB13 KB18 KB25 KD17 KE10 KE17 KJ08 4J037 CA08 CA12 CA25 CC01 CC24 DD05 EE03 EE06 EE12 EE17 FF05 FF15

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3-ヒドロキシプロピオン酸ユニット、3-
    ヒドロキシ-n-酪酸ユニット及び3-ヒドロキシ-n-吉草酸
    ユニットより選択される少なくとも一つのモノマーユニ
    ットを有するポリヒドロキシアルカノエートが、粒状体
    の表面の少なくとも一部を被覆していることを特徴とす
    る粒状構造体。
  2. 【請求項2】 前記粒状体が着色剤を少なくとも含有し
    ている請求項1に記載の粒状構造体。
  3. 【請求項3】 前記着色剤が顔料を少なくとも含有して
    いる請求項2に記載の粒状構造体。
  4. 【請求項4】 前記粒状体が顔料粒子である請求項1に
    記載の粒状構造体。
  5. 【請求項5】 3-ヒドロキシプロピオン酸ユニット、3-
    ヒドロキシ-n-酪酸ユニット及び3-ヒドロキシ-n-吉草酸
    ユニットより選択される少なくとも一つのモノマーユニ
    ットを有するポリヒドロキシアルカノエートで表面の一
    部を被覆した粒状体からなる粒状構造体の製造方法であ
    って、 粒状体を水性媒体に分散する工程と、 水性媒体に分散された粒状体の表面にポリヒドロキシア
    ルカノエート合成酵素を固定化する工程と、 該酵素により3-ヒドロキシプロピオニル補酵素A、3-ヒ
    ドロキシブチリル補酵素A及び3-ヒドロキシバレリル補
    酵素Aより選択される少なくとも一つを重合させて前記
    ポリヒドロキシアルカノエートを合成させることによ
    り、該粒状体の少なくとも一部を該ポリヒドロキシアル
    カノエートで被覆する工程とを有することを特徴とする
    粒状構造体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記粒状体が着色剤を少なくとも含有し
    ている請求項5に記載の粒状構造体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記着色剤が顔料を少なくとも含有して
    いる請求項6に記載の粒状構造体の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記粒状体が顔料であることを特徴とす
    る、請求項5に記載の粒状構造体の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記ポリヒドロキシアルカノエート合成
    酵素が、ポリヒドロキシアルカノエート合成酵素の生産
    能を有する微生物、または該生産能に関与する遺伝子を
    導入した形質転換体により生産されるポリヒドロキシア
    ルカノエート合成酵素である、請求項5〜8のいずれか
    に記載の粒状構造体の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記ポリヒドロキシアルカノエート合
    成酵素の生産能を有する微生物が、バルクホルデリア・
    セパシア・KK01株(Burkholderia cepacia KK01、FERM
    BP-4235)、ラルストーニャ・ユートロファ・TB64株(R
    alstonia eutroSCL-PHA TB64、FERM BP-6933)、アルカ
    リゲネス属・TL2株(Alcaligenes sp.TL2、FERM BP-691
    3)からなる群から選択される少なくとも1つの微生物
    である、請求項9に記載の粒状構造体の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1から請求項4のいずれかに記
    載の構造体を含む電子写真用トナー。
  12. 【請求項12】 請求項1から請求項4のいずれかに記
    載の構造体から成る電子写真用トナー。
  13. 【請求項13】 電子写真用トナーの製造方法におい
    て、請求項5から請求項8のいずれかに記載の方法を用
    いて粒状構造体を製造する工程を少なくとも含む、電子
    写真用トナーの製造方法。
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