JP2002321319A - 酸素ガスバリア性を有する多層樹脂フィルム及びその製造方法 - Google Patents
酸素ガスバリア性を有する多層樹脂フィルム及びその製造方法Info
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Abstract
含有していない樹脂からなる多層樹脂フィルム、特に高
湿度下でも優れた酸素ガスバリア性を発揮し、しかも容
易に入手可能な素材から低コストで製造することができ
る多層樹脂フィルムを提供すること。 【解決手段】 二軸延伸ポリプロピレン系樹脂フィルム
の少なくとも一方の面に、ポリビニルアルコール系樹脂
層を形成してなる多層樹脂フィルムであって、前記ポリ
ビニルアルコール系樹脂層の面配向度パラメータ(M
P)が2.2以上であることを特徴とする。
Description
有する多層樹脂フィルム(以下、「酸素ガスバリア性フ
ィルム」と略記することがある)及びその製造方法に関
し、特に、高湿度下でも優れた酸素ガスバリア性を有す
る多層樹脂フィルム及びその製造方法に関するものであ
る。本発明の多層樹脂フィルムは、酸素ガスバリア性、
特に、高湿度下でも優れた酸素ガスバリア性を有してお
り種々の分野に適用することができる。本発明の酸素ガ
スバリア性フィルムは主として包装用の分野、例えば食
品包装用フィルムなどに好適に用いることができる。
日用雑貨品などの物品を充填包装する包装用材料として
各種樹脂フィルムが用いられており、例えばポリプロピ
レンフィルムは加工性、透明性、耐熱性など優れた特性
を有しており、汎用されている。しかしながら食品、医
薬品など酸素によってその品質が劣化する物品の包装用
材料には、これら被包装物の品質を保護・保存するため
に高いガスバリア性(酸素遮断性)が要求されており、
十分な酸素ガスバリア性を有していないポリプロピレン
系樹脂フィルムでは適用が難しかった。
素ガスバリア性の低い樹脂フィルムの酸素ガスバリア性
を改善したフィルムとして、例えば、ポリ塩化ビニリデ
ン系樹脂(以下、「PVDC系樹脂」と略記することが
ある)を二軸延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムなどの
基材フィルムにPVDC系樹脂をコーティングしたコー
トフィルムが汎用されている。PVDC系樹脂コートフ
ィルムは吸湿性が極めて低いため、高湿度下でも良好な
酸素ガスバリア性を有するものの、PVDC系樹脂コー
トフィルムを廃棄時に燃焼させると塩化水素ガスなどの
有害ガスが発生するという問題を有していた。特に、近
年、ダイオキシン対策の一環として塩素を含まず、しか
も高い酸素ガスバリア性を有するフィルムが求められて
いる。
ない包装材料として用いることができるフィルムとし
て、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂(以下、「P
VA系樹脂」と略記することがある)をポリプロピレン
系樹脂フィルム等の基材フィルムにコーティングしたP
VA系樹脂コートフィルムが提案されている。しかしな
がら、PVA系樹脂コートフィルムは低湿度下では優れ
た酸素ガスバリア性を示すものの、高い吸湿性を有して
いるため湿度上昇に伴って酸素ガスバリア性が劣化して
しまい、PVDC系樹脂コートフィルムの代替としては
十分な実用性を有していなかった。
ィルムの吸湿性を改善したフィルムとして、例えば、エ
チレン・ビニルアルコール共重合体樹脂(以下、「EV
OH系樹脂」と略記することがある)を基材樹脂フィル
ムにコーティングしたEVOH系樹脂コートフィルムが
提案されている。しかしながら、EVOH系樹脂コート
フィルムは吸湿性は改善されたものの、低湿度下での酸
素ガスバリア性がPVA系樹脂コートフィルムと比べて
低く、十分な酸素ガスバリア性を有していなかった。
「PVA系樹脂のコーティング液に膨潤性を有するコロ
イド性含水層状ケイ酸塩化合物を添加する方法」が、特
許2789705号公報には「膨潤性を有するコロイド
性含水層状ケイ酸塩化合物及び分子内にシリル基を有す
る化合物の少なくとも1種により変性されたPVA系樹
脂よりなる層を形成する方法」が開示されている。しか
しながら、これらを基材樹脂フィルムにコーティングし
たコートフィルムはいずれも製造コストが高いため、製
造コストの低いPVDC系樹脂コートフィルムの代替と
して十分でない。
は、基材フィルムとして一軸延伸ポリエチレンテレフタ
レートフィルムを用い、このフィルムにPVA系樹脂水
溶液を塗布し、その後延伸することにより耐湿、耐熱性
を有する酸素ガスバリア性フィルムを製造する方法が開
示されているが、ここで、基材フィルムとして一軸延伸
ポリプロピレン系樹脂フィルムを用い、このフィルムに
PVA系樹脂水溶液を塗布し、その後延伸して得られる
フィルムはポリプロピレン系樹脂フィルムとPVA系樹
脂との接着性が十分でない旨が記載されている。
リプロピレン系樹脂フィルムを基材フィルムとする酸素
ガスバリア性を有する多層樹脂フィルムには上記のよう
な問題点があった。本発明は、上記従来のポリプロピレ
ン系樹脂フィルムを基材フィルムとする酸素ガスバリア
性を有する多層樹脂フィルムの有する問題点を解決し、
高い酸素ガスバリア性を有し、かつ、塩素を含有してい
ない樹脂からなる多層樹脂フィルム、特に高湿度下でも
優れた酸素ガスバリア性を発揮し、しかも容易に入手可
能な素材から低コストで製造することができる多層樹脂
フィルムを提供することを目的とする。
め、本発明の優れた酸素ガスバリア性を有する多層樹脂
フィルムは、二軸延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムの
少なくとも一方の面に、ポリビニルアルコール系樹脂層
を形成してなる多層樹脂フィルムであって、前記ポリビ
ニルアルコール系樹脂層の面配向度パラメータ(MP)
が2.2以上であることを特徴とする。
ム流れ方向に対し右斜め45度、左斜め45度の方向か
ら垂直偏光、平行偏光(但し、垂直、平行の意味は、赤
外光の入射光、反射光が作る面に対して、垂直である
か、平行であるかを示す)の赤外光を入射させたときの
1095cm-1付近の吸光度比(平行偏光の赤外光で測
定したときの1095cm-1付近の吸光度/垂直偏光の
赤外光で測定したときの1095cm-1付近の吸光度)
の平均を意味する。
ア性を有する多層樹脂フィルムは、高い酸素ガスバリア
性を有し、かつ、塩素を含有していない樹脂からなる多
層樹脂フィルムであって、特に、高湿度下でも優れた酸
素ガスバリア性を発揮することができる。
の厚みを1μm以下とすることができる。
系樹脂フィルムとポリビニルアルコール系樹脂層とを接
着剤層を介して積層することができる。
レフィンを含む接着剤とすることができる。
5%雰囲気下での酸素透過度を1000mL/m2・d
ay・MPa以下とすることができる。
多層樹脂フィルムの製造方法は、未延伸ポリプロピレン
系樹脂フィルムを一方向に延伸した後、該ポリプロピレ
ン系樹脂フィルムの少なくとも一方の面にポリビニルア
ルコール系樹脂層を形成し、次いで前記延伸方向と直角
方向に延伸することを特徴とする。
ア性を有する多層樹脂フィルムの製造方法は、高い酸素
ガスバリア性、特に、高湿度下でも優れた酸素ガスバリ
ア性を発揮し、かつ、塩素を含有していない樹脂からな
る多層樹脂フィルムを容易に入手可能な素材から低コス
トで製造することができる。
着剤層が形成された未延伸ポリプロピレン系樹脂フィル
ムを一方向に延伸した後、該接着剤層の表面にポリビニ
ルアルコール系樹脂層を形成することができる。
を有する多層樹脂フィルム及びその製造方法の実施の形
態を説明する。
脂フィルムは図1に示す様に、二軸延伸ポリプロピレン
系樹脂フィルム1を基材樹脂フィルムとして、該フィル
ムの少なくとも一方の面に接着剤層3を設け、さらに該
接着剤層を介してPVA系樹脂層2が形成されてなるこ
とを基本構成とする多層樹脂フィルムである。
例示する概略図であり、本発明はこれに限定されるもの
でななく、本発明の酸素ガスバリア性フィルムにヒート
シール性樹脂など任意の樹脂フィルムや樹脂以外の材料
を積層させて目的に応じた構成とすることも可能であ
る。また本発明の酸素ガスバリア性フィルムにラミネー
ト加工、印刷加工など目的に応じて種々の加工を施して
もよい。さらに、酸素ガスバリア性を阻害しない範囲で
基材樹脂フィルムである二軸延伸ポリプロピレン系樹脂
フィルムとPVA系樹脂層との間に接着剤層以外の別の
層を設けることも可能である。
樹脂フィルムは、ポリプロピレンホモポリマー(プロピ
レン単独重合体)、ポリプロピレンを主成分としてエチ
レン、ブテン、ペンテン、ヘキセンなどのα−オレフィ
ンから選ばれる1種又は2種以上とのランダム共重合体
やブロック共重合体など、或いはこれらの重合体を二種
以上混合した混合体によるものであってよく、二軸延伸
されたポリプロピレン系樹脂フィルムであればよい。
ムの物性改質を目的として酸化防止剤、帯電防止剤、可
塑剤など、公知の添加剤が添加されていてもよく、例え
ば、石油樹脂やテルペン樹脂などが添加されていてもよ
い。
プロピレン系樹脂フィルムの厚みは、機械強度、透明性
など、所望の目的に応じて任意の厚みとすることがで
き、特に限定されないが、通常は10〜250μmであ
ることが推奨され、包装材料として用いる場合は15〜
60μmであることが望ましい。
ポリプロピレン系樹脂フィルムには、少なくとも一方の
面に、目的に応じて例えばコロナ放電処理、プラズマ処
理、オゾン処理、薬品処理などの従来公知の方法による
表面処理や、公知のアンカー処理剤を用いたアンカー処
理などが施されていてもよい。
伸ポリプロピレン系樹脂フィルムは、二軸延伸ポリプロ
ピレン系樹脂単層フィルムであってもよく、或いは二軸
延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムを含む複数の樹脂フ
ィルムが積層された積層型フィルムであってもよく、積
層型フィルムとする場合の積層体の種類、積層数、積層
方法などは特に限定されず、目的に応じて公知の方法か
ら任意に選択することができるが、PVA系樹脂層を形
成する面は二軸延伸ポリプロピレン系樹脂フィルム面で
ある。
プロピレン系樹脂フィルムとPVA系樹脂層の間に形成
され、二軸延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムとPVA
系樹脂層とを接着させる作用を有するものである。
延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムとPVA系樹脂層の
間に存在し、かつ、二軸延伸ポリプロピレン系樹脂フィ
ルムとPVA系樹脂層とを接着させることができるので
あれば、介在する積層体の種類、積層数などは特に限定
されない。
ては、その原料などは特に限定されないが、接着剤層が
酸変性ポリオレフィンを含むものが好ましい。例えば、
接着剤層がポリオレフィン系重合体を(メタ)アクリル
酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸などの不
飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィンを含む
ものが推奨され、特に0.01〜5モル%のマレイン酸
又は無水マレイン酸をオレフィン重合体にグラフと共重
合させたグラフト共重合体を含むものが接着剤層として
好適に用いられる。
が、接着性、コストの観点からも接着剤層の厚みは0.
5〜5μmとすることが望ましい。また、接着剤層には
目的に応じて帯電防止剤などの添加剤が添加されていて
もよい。
定されず、目的に応じて適宜組み合わせることができ
る。例えば、接着剤層が酸変性ポリオレフィンと添加剤
からなる場合、その成分組成は酸変性ポリオレフィンを
99%とし、添加剤を1%としてもよい。
A系樹脂層は、偏光ATRスペクトルによって得られる
該PVA系樹脂層の面配向度パラメータ(MP)が2.
2以上であれば、その原料、混合比率、添加剤の有無な
どは特に限定されない。面配向度パラメータ(MP)の
値が2.2以上であれば、高湿度下であっても優れた酸
素ガスバリア性を発揮することができる。このような面
配向度を有する本発明の多層樹脂フィルムは、従来のP
VA系樹脂コートフィルムよりも種々の環境において使
用することができる酸素ガスバリア性を有する。
P)は、酸素ガスバリア性フィルムのPVA系樹脂層を
赤外偏光ATR法(全反射測定法)によって測定した値
であり、詳細には赤外偏光ATR法における偏光ATR
スペクトルによって得られた面配向度パラメータ(M
P)である。IRスペクトルによってPVA系樹脂層の
面配向度を評価する場合、1095cm-1付近の吸収強
度を用いて評価する。1095cm-1のピークは、フィ
ルムは厚み方向に遷移モーメントを持つような吸収であ
り、この1095cm-1のピークを評価することによ
り、PVA系樹脂コート層の面配向度を評価できる。な
お、一般に面配向度が高いほど、より優れた酸素ガスバ
リア性が得られるので、PVA系樹脂層の面配向度パラ
メータのMPは好ましくは2.5以上、より好ましくは
2.8以上、最も好ましくは3.2以上である。
ルムの流れ方向と幅方向の2方向から、偏光方向を平行
方向と垂直方向の2方向から評価することによって、4
種類の偏光ATRスペクトルが得られるが、面配向度パ
ラメータ(MP)を評価することによって、延伸による
面配向度を定量することができる。
止剤、滑り剤、アンチブロッキング剤などの公知の無
機、有機の各種添加剤を含有していてもよく、本発明の
目的を阻害しない範囲であれば、添加剤の種類、添加量
については特に限定されない。
ガスバリア性に応じて任意の厚みとすることができる
が、透明性、取り扱い性、経済性の観点から酸素ガスバ
リア性を発揮するのに必要最小限の厚みとすることが推
奨される。通常は、乾燥後の厚みで1μm以下とするこ
とが好ましく、PVA系樹脂層の面配向度パラメータ
(MP)が2.2以上であれば、PVA系樹脂層が1μ
m以下であっても優れた酸素ガスバリア性を有する。
性」とは、温度23℃、相対湿度85%雰囲気下で10
00mL/m2・day・MPa以下の酸素透過度を有
していることである。
の製造方法を詳述するが、該製造方法に適宜変更を加え
て本発明のフィルムを製造することも全て本発明の技術
範囲に含まれる。
延伸のポリプロピレン系樹脂フィルムの少なくとも一方
の面に、接着剤層を形成した後、該フィルムを一方向に
延伸し、その後該接着剤層の上層にPVA系樹脂層を積
層し、次いで前記延伸方向に対して直角方向に延伸する
ことに要旨を有する製造方法を採用することによって製
造することができる。
しては、通常公知のものを用いることができ、その原
料、添加剤、成膜方法などは特に限定されず、用途に応
じた未延伸のポリプロピレン系樹脂フィルムを用いるこ
とができる。また該フィルムの厚み、表面処理の有無、
積層の有無などについても上記した通り特に限定され
ず、要するにポリプロピレン系の樹脂フィルムであれば
よい。
リプロピレン系樹脂フィルムとPVA系樹脂層とを接着
させる作用を有するものであれば原料や添加剤の種類、
量などは特に限定されない。そのような接着剤層として
は酸変性ポリオレフィンを含むものが望ましく、例えば
ポリオレフィン系重合体を(メタ)アクリル酸、マレイ
ン酸、無水マレイン酸、フマール酸などの不飽和カルボ
ン酸で変性した酸変性ポリオレフィンが推奨され、特に
0.01〜5モル%のマレイン酸又は無水マレイン酸を
オレフィン重合体にグラフト共重合させたグラフト共重
合体が好適に用いることができる。
フィルムの少なくとも一方の面に、接着剤層を形成する
が、その形成方法としては例えば共押出し法によって接
着剤層を未延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムに積層さ
せることができる。
の範囲内であれば特に限定されない。
(A)に延伸するが、このときの延伸方向は特に限定さ
れない。また延伸倍率は目的に応じて適宜決定すること
ができ、特に限定されないが、通常4〜6倍とすること
が望ましい。
層にPVA系樹脂層を積層するが、PVA系樹脂層とし
て例えば、市販のポリビニルアルコール系樹脂を任意の
量の可塑剤、添加剤と共に水に溶解したポリビニルアル
コール系樹脂水溶液(以下、「PVA系樹脂水溶液」と
略記する。)を用いることができる。
水溶液の濃度は通常5〜15%NVであって、通常は表
面張力が高いため少量のアルコール、活性剤、レベリン
グ剤などを併用することが好ましい。
ル系樹脂とは、ビニルアルコールのモノマー単位を主成
分とするポリマーであって、酢酸ビニル重合体、トリフ
ルオロ酢酸ビニル重合体、ギ酸ビニル重合体、トリメチ
ルシリルビニルエーテル重合体などを鹸化して得られる
ポリマーなどが挙げられる。また、特に限定されるもの
ではないが、重合度300〜2000、鹸化度75%以
上のものが好ましい。
は、75%未満では薄い皮膜の場合にガスバリア性の改
良不足となり、一方99.5%を越えると水系溶媒によ
る溶液を調製しにくくなり、調製できても経時的にゲル
化しやすく、かなり低濃度の水系溶液としなければコー
トが困難となる従って鹸化度は酸素ガスバリア性から下
限が75%、コート適性から上限が99.5%であるの
が一般的であり、好ましくは80〜99%、特に好まし
くは97〜99%である。また、共重合されていてもよ
く、高分子の二次的反応、グラフト重合などにより変性
されている重合体であってもよい。
グ性及びコーティング後の該フィルムの延伸性を阻害す
ることなく、さらに優れた酸素ガスバリア性を付与する
という観点からも、ポリビニルアルコール系樹脂の重合
度(以下、いずれも「数平均分子量」を示す。)は好ま
しくは300以上、より好ましくは500以上であり、
また、重合度の上限は、好ましくは2600以下、より
好ましくは2000以下とすることが推奨される。重合
度が300未満になると、結晶化速度が速すぎるため、
十分な延伸性が得られないことがある。また重合度が2
600を超えるとPVA系樹脂水溶液粘度が高くなり過
ぎて、ゲル化しやすくなるためコーティングが困難とな
ることがある。
法としては特に限定されず公知の方法を採用すればよい
が、例えばリバースロールコーティング法、ロールナイ
フコーティング法、ダイコーティング法などの公知の方
法によってPVA系樹脂層を接着剤層に積層することが
できる。
向(A)に対して直角方向に延伸するが、この際、積層
したPVA系樹脂層を乾燥させる工程を別途設けずに、
PVA系樹脂層を積層後、直ちに該フィルムを前記延伸
方向に対して直角方向に延伸する工程に送り、該延伸工
程の予熱ゾーン或いは延伸中の条件設定によって積層し
たPVA系樹脂層を乾燥させることが好ましい。また乾
燥温度としては、特に限定されないが通常80〜170
℃程度で行うことが推奨される。
宜決定することができ、特に限定されないが、PVA系
樹脂層積層後の延伸では好ましくは5倍以上、より好ま
しくは8倍以上であって好ましくは10倍以下とするこ
とが望ましい。
して直角方向に延伸することによって、従来のPVA系
樹脂コートフィルムよりも薄膜にすることが可能となる
と共に、面配向度が高くなるので、薄膜でありながら優
れたガスバリア性を有する積層型樹脂フィルムとするこ
とができる。
ィルムは、上記した様な一連の二軸延伸ポリプロピレン
系樹脂フィルムの製造工程中でPVA系樹脂層を積層
し、延伸、乾燥させるインラインコートを採用すること
が可能となったため、製造コストを大幅に下げることが
できる。
ピレン系樹脂フィルムの製造工程とは、基材フィルムと
接着剤層とを押出し機などの積層装置を導入し、二軸延
伸後、巻取るまでをいう。
フラインコートとは、接着剤層が積層された基材樹脂フ
ィルムを二軸延伸した後に、別途PVA系樹脂水溶液を
積層、乾燥させる工程を設けて行うことである。
トで積層する一連の製造工程としては、基材フィルムと
接着剤層を積層する押出し部、該積層フィルムを一方向
に延伸する第一延伸部、該延伸フィルムにPVA系樹脂
層を積層するPVA系樹脂コーティング部、該PVA系
樹脂層積層フィルムを前記延伸方向と直角方向に延伸す
る第二延伸部を少なくとも有する一連の製造工程であ
る。
方向)に延伸した後に該延伸方向と直角方向であるフィ
ルムの横方向に延伸してもよく、或いはその逆でもよい
が、特に一連の製造工程を採用する場合、先に横方向に
延伸するとその後の装置が大型化するので、先に縦方向
に延伸することが望ましい。
て、基材樹脂フィルムとPVA系樹脂層との接着性が良
好なフィルムを得ることができ、しかも高湿度下でも優
れた酸素ガスバリア性を有する多層樹脂フィルムを低コ
ストで提供することが可能となる。
的に応じてさらに任意の樹脂層などを形成させることも
可能である。例えば押出しラミネート法、或いはドライ
ラミネート法など公知の方法を用いてヒートシール性樹
脂層を形成することも可能である。このようなヒートシ
ール性樹脂層を形成する熱可塑性重合体としては、HD
PE、LDPE、LLDPEなどのポリエチレン樹脂
類、PP樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレ
ン−αオレフィンランダム共重合体、アイオノマー樹脂
などが例示されるが、通常ヒートシール樹脂でもよい。
なお、ダイオキシン対策などの環境面からも積層する樹
脂には塩素を含有していない樹脂を形成することが望ま
しい。
説明するが、下記実施例は本発明を限定するものではな
く、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更して、実施す
ることはいずれも本発明の範囲内に含まれる。なお、実
施例の濃度表示は、特に断らない限り質量基準である。
96質量%に、極性基を実質的に含まない石油樹脂(ト
ーネックス社製「エスコレッツE5300」)4質量%
を混合した樹脂 接着剤層:酸変性ポリオレフィン(三井化学社製「アド
マーQB550」)PVA系樹脂水溶液:水にPVA系
樹脂(クラレ社製「ポリビニールアルコールRS11
0」)を攪拌しながら徐々に添加し、密封後、攪拌しな
がら約90℃に加熱し、このPVA系樹脂を完全に溶解
させる。その後、液温を低下させ、50℃の液温時に、
さらにイソプロピルアルコールが7%となる様に添加し
た(PVA系樹脂水溶液濃度8%、イソプロピルアルコ
ール濃度7%)
出し機を用いて別々に溶融混錬したものをTダイに基材
樹脂フィルム/接着剤層を19.0/1.0(質量比)
の割合で供給し、Tダイ内部で積層して樹脂温度260
℃になるように2層積層状態で共押出しし、さらに温度
25℃のキャスティングロールにてキャスティングして
基材樹脂フィルムと接着剤層からなる厚み20μmの2
層フィルム(基材樹脂フィルムの膜厚19.0μmと接
着剤層の膜厚1.0μm)を製造した後、該フィルムを
一方向(縦方向)に4倍延伸して一軸延伸ポリプロピレ
ンフィルムを得た。得られた該フィルムの接着剤層上の
上記PVA系樹脂水溶液をリバースロールコーティング
法を用いて延伸後のPVA系樹脂層の膜厚が0.6μm
となる様にPVA系樹脂層を積層して3層からなる樹脂
フィルムを製造し、該フィルムを前記延伸方向に対して
直角方向(横方向)に9倍延伸し、図1に示す様な積層
型樹脂フィルムを得た。なお、コーティングしたPVA
系樹脂水溶液は延伸工程の予熱ゾーン(100〜180
℃)で乾燥させて、コロナ放電処理を行った。
に、PVA系樹脂(クラレ社製「ポリビニールアルコー
ルRS117」)を用いた以外は実施例1と同様にして
多層樹脂フィルム試験材を製造した。
(横方向)の延伸倍率を8倍とした以外は実施例2と同
様にして試験材を製造した。
(横方向)の延伸倍率を5倍とした以外は実施例2と同
様にして試験材を製造した。
にコロナ放電処理を施し、該コロナ放電処理面に下記ア
ンカー剤を、乾燥後のコート量が0.3g/m2となる
ようにグラビアコートした。さらに、該アンカー層上に
下記PVA系樹脂水溶液をグラビアコートした後(オフ
ラインコート)乾燥(140℃)させ、多層樹脂フィル
ムを得た。このときのPVA系樹脂層の膜厚は2μmで
あった。 ・基材樹脂フィルム:膜厚20μmの二軸延伸ポリプロ
ピレン系樹脂フィルム(極性基を実質的に含まない石油
樹脂、トーネックス社製「エスコレッツE5300」4
質量%含む) ・PVA系樹脂水溶液:水にPVA系樹脂(クラレ社製
「ポリビニールアルコールRS110」)を攪拌しなが
ら徐々に添加し、密封後、さらに攪拌しながら約90℃
に加熱し、PVA系樹脂を完全に溶解させる。その後、
液温を低下させ、50℃の液温時に、さらにイソプロピ
ルアルコールが7%となる様に添加した(PVA系樹脂
水溶液濃度10%、イソプロピルアルコール濃度7%) ・アンカー剤:イソシアネート系接着剤
樹脂層を積層する際のグラビアコートのコート量を調節
して、PVA系樹脂層の厚みが0.7μmとなるように
した他は比較例1と同様にして多層樹脂フィルムを得
た。
及びPVA系樹脂水溶液を用いたが、接着剤層を形成せ
ずに基材樹脂フィルムに直接PVA系樹脂層を形成し
た。それ以外は実施例1と同様の方法を用いて2層から
なる樹脂フィルム製造した。しかしながら、PVA系樹
脂層と基材樹脂フィルムとの接着性が得られず、該フィ
ルムを巻取る際に押さえロール側にPVA系樹脂層が粘
着してしまい基材樹脂フィルムと剥離して、試験材とし
て用いることができなかった。
記の評価基準を用いてフィルムの面配向度パラメータ
(MP)を測定すると共に、温度23℃、相対湿度65
%及び85%下での酸素透過度を測定した。結果を表1
に示す。
o−Rad社製FT−IR(FTS−60A/896)
にATR測定用付属装置(Perkin−Elmer社
製)、偏光子及び対称形のエッジを有するIntern
al Reflection Element(Ge、
入射角45度、厚み2mm×長さ50mm×幅20m
m)を取り付けた)を用いて赤外偏光ATR法によって
各試験片(長さ45mm×幅17mm)の面配向度を測
定した。
ion Elementの中央部(幅12mm)のみに
赤外光が入射するように端部の赤外光を遮断した。
方形に切り取った試料を使用した。試料を切り取る際、
長さ方向をフィルムの流れ方向に対し右斜め45度の方
向にとった試料(Sample L)と左斜め45度の
方向にとった試料(Sample R)の二種類をサン
プリングする。Sample L、Sample Rを
2枚ずつ切り取り、コート面をInternal Re
flection Elementに密着させて、各々
の試料において反射面に対し平行偏光、垂直偏光の光を
照射して吸収測定を行う。
偏光の光を照射して測定したスペクトルをSpectrum(L
⊥)//、垂直偏光の光を照射して測定したスペクトルを
Spectrum(L//)⊥とし、Sample Rに対し長さ
方向から平行偏光の光を照射して測定したスペクトルを
Spectrum(R⊥)//、垂直偏光の光を照射して測定した
スペクトルをSpectrum(R//)⊥とする。
は同様なスペクトルパターンを示し、またSpectrum(L
//)⊥とSpectrum(R//)⊥も同様なスペクトルパター
ンを示すが、試料によっては微調整が必要になる場合が
ある。そのような場合、切り取る試料の角度を調節し
て、直交する試料間で同様なスペクトルが得られるよう
な試料の組み合わせをSample L、Sample
Rとする。
おいて、1140cm-1付近の吸収と1095cm-1付
近の吸収の吸光度を求める。PVA系樹脂コート面のス
ペクトルの1140cm-1付近のピークの高波数側の谷
部と1095cm-1付近のピークの低波数側の谷部の二
点を結んだ線をベースラインとし、ベースラインから吸
収帯のピークまでの高さをコート層吸収帯の吸光度とす
る。ここで1095cm-1付近のピークの吸光度をA
1095とするSpectrum(L⊥)//、Spectrum(L//)⊥、
Spectrum(R⊥)//、Spectrum(R//)⊥のA1095の値
を求め、それぞれA1095((L⊥)//)、A1095((L
//)⊥)、A1095((R⊥)//)、A
1095((R//)⊥)で表す。さらにA
1095((L⊥)//)/A1095((L//)⊥)、A
1095((R⊥)//)/((R//)⊥)の値を求め、この
平均を面配向度パラメータMPとする。要するに、MP
={A1095((L⊥)//)/A1095((L//) ⊥)+A
1095((R⊥)//)/A1095((R//)⊥)}/2であ
る。
OCON OX−TRAN2/20」(モダンコントロ
ール社製)を使用した。また測定条件として相対湿度6
5%と85%の雰囲気下(温度23℃)で各試験片のそ
れぞれの相対湿度下での酸素透過度を測定(測定時間は
30分)した。なお、酸素透過度の単位はmL/m2・
day・MPaである。
バリア性フィルムは、従来のPVA系樹脂コートフィル
ムと比べて面配向度が向上しており、しかも、薄膜であ
っても高湿度下での酸素バリア性に優れていることが分
かる。かつ、従来のPVA系樹脂コートフィルムに比較
してPVA系樹脂層が薄膜でありながら、低湿度下では
同等の酸素ガスバリア性が得られることが明らかとなっ
た。
層樹脂フィルムの製造方法は、一連の二軸延伸ポリプロ
ピレン系樹脂フィルムの製造工程(インラインコート)
でPVA系樹脂層を形成することが可能となり、従来の
PVA系樹脂コートフィルムの製造方法(オフラインコ
ート)と比べて、工業生産上も極めて実用的で低コスト
である。
樹脂フィルムは、高い酸素ガスバリア性を有し、かつ、
塩素を含有していない樹脂からなる多層樹脂フィルムで
あって、特に、高湿度下でも優れた酸素ガスバリア性を
発揮することができる。
脂フィルムの製造方法は、二軸延伸ポリプロピレン系樹
脂フィルムにPVA系樹脂水溶液をオフラインでコーテ
ィングした従来のPVA系樹脂コートフィルムと比べて
PVA系樹脂層が薄膜であり、かつ、PVA系樹脂層形
成工程を新たに加えることなく、一連の二軸延伸ポリプ
ロピレン系樹脂フィルムの製造工程中でPVA系樹脂層
の積層が可能であり、さらに、容易に入手可能な素材か
ら低コストで製造することができる。
フィルムの一例の断面図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 二軸延伸ポリプロピレン系樹脂フィルム
の少なくとも一方の面に、ポリビニルアルコール系樹脂
層を形成してなる多層樹脂フィルムであって、前記ポリ
ビニルアルコール系樹脂層の面配向度パラメータ(M
P)が2.2以上であることを特徴とする酸素ガスバリ
ア性を有する多層樹脂フィルム。 - 【請求項2】 ポリビニルアルコール系樹脂層の厚みが
1μm以下であることを特徴とする請求項1記載の酸素
ガスバリア性を有する多層樹脂フィルム。 - 【請求項3】 二軸延伸ポリプロピレン系樹脂フィルム
とポリビニルアルコール系樹脂層とが接着剤層を介して
積層されてなることを特徴とする請求項1又は2記載の
酸素ガスバリア性を有する多層樹脂フィルム。 - 【請求項4】 接着剤層が酸変性ポリオレフィンを含む
接着剤からなることを特徴とする請求項1、2又は3記
載の酸素ガスバリア性を有する多層樹脂フィルム。 - 【請求項5】 温度23℃、相対湿度85%雰囲気下で
の酸素透過度が1000mL/m2・day・MPa以
下であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載
の酸素ガスバリア性を有する多層樹脂フィルム。 - 【請求項6】 請求項1、2、3、4又は5記載の酸素
ガスバリア性を有する多層樹脂フィルムの製造方法であ
って、未延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムを一方向に
延伸した後、該ポリプロピレン系樹脂フィルムの少なく
とも一方の面にポリビニルアルコール系樹脂層を形成
し、次いで前記延伸方向と直角方向に延伸することを特
徴とする酸素ガスバリア性を有する多層樹脂フィルムの
製造方法。 - 【請求項7】 少なくとも一方の面に接着剤層が形成さ
れた未延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムを一方向に延
伸した後、該接着剤層の表面にポリビニルアルコール系
樹脂層を形成することを特徴とする請求項6記載の酸素
ガスバリア性を有する多層樹脂フィルムの製造方法。
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