JP2002318603A - 制御系の限界ゲインの同定方法およびその装置 - Google Patents

制御系の限界ゲインの同定方法およびその装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】フィ−ドバック制御系において、限界ゲインを
高精度に同定し、制御系の性能を高度に発揮させる。 【解決手段】 制御系に可変ゲイン要素10と飽和要素
30を挿入して自励振動を生じさせる。適応的にゲイン
を調整して、出力信号の振幅と周期を同定し限界ゲイン
・限界周期を得る。さらに、位相を適応的に調整する機
能を付加することによって任意位相における対象の限界
ゲインを得ることによって、伝達特性を同定することも
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、制御系のゲインの
同定方法および同定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】PID制御器を用いたフィ−ドバック制
御系の制御パラメ−タを適性値に設定するためにジ−グ
ラ・ニコルスの限界感度法が知られている。この方法
は、実稼動状態にある系で比例ゲインを少しずつ増加し
ていくと系の振動が始まるので、このときのゲインと位
相を元に制御系の制御パラメ−タを調整する。閉ル−プ
系を安定限界にする比例ゲインが限界ゲインであり、そ
の時の振動周期が限界周期である。ジ−グラ・ニコルス
の限界感度法を用いてパラメ−タの設定を自動的に行な
う技術としては、特開平9−34503号公報「PID
コントロ−ラの調整法」(明電舎)などがある。しか
し、これらの方法は限界ゲインよりもかなり大きなゲイ
ンにならないと、振動が観測されないので、求められる
限界ゲインの精度が悪い。また、特開平9−10630
3号公報「制御系のゲインの自動決定法」(ファナッ
ク)では、速度偏差によるゲイン調整系により自励振動
を起こし、非線形領域での近似ゲインを求めているの
で、正確な限界ゲインが同定できない。米国特許明細書
第4,549,123号には、ル−プ内にリレ−要素を
挿入して自励振動を起こし、記述関数法の考え方を導入
して、精度のより高い限界ゲインを求める方法が示され
ている。しかし、この方法は、制御対象が1入力1出力
系に限られる。また、外乱やノイズによる限界ゲイン同
定精度の低下が見られる点で課題がある。
【0003】発明者らは、制御ル−プ内に飽和要素を導
入し、その入出力信号の偏差を用いて適応的にル−プゲ
インを調整することで、精度良く限界ゲインを求めるこ
とが理論的に可能であることを提案した(「限界ゲイン
の高精度適応同定法の提案」計測自動制御学会第18回
適応制御シンポジウム1998年1月)。この方法は、
記述関数による近似が不要である、振幅を測定せずに限
界ゲインを陽に与えることができる、多変数系に適用で
きる、などの利点がある。しかし、これを実現する具体
的な方法はいまだ提示されていないし、求められるゲイ
ン値は細かな振動を示し、限界ゲインの一定値に収束し
ないという課題もある。また、限界ゲイン・限界周期が
同じでも、特性が異なる制御系があり、このときは、限
界ゲインを与える位相(−180°)以外の他の位相に
おけるゲインを知ることが、系の調整上で重要である
が、上記の文献にはその方法が示されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、フィ−ドバ
ック制御系における限界ゲインや限界周期を、プロセス
の運転状態で精度良く同定する方法と装置を提供するこ
とを目的とする。また、位相交点以外の位相における伝
達関数点を、同様に同定する方法・装置を提供すること
を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、制御対象の伝達関数を含むフィ−ドバッ
ク制御系に対する限界ゲイン同定方法であって、前記フ
ィードバック制御系は、可変ゲイン要素と飽和要素とを
有しており、前記可変ゲイン要素の入力からの振幅を計
測しながら、下記の式によって前記可変ゲイン要素のゲ
インを十分に大きなゲインから漸減させ、自励振動が一
定振幅に収束するときのゲインを限界ゲインとするフィ
−ドバック制御系の限界ゲインの同定方法である。
【数5】 ここで、 k:可変ゲイン要素の値 バ−e:e(t)の振幅 u:飽和要素の飽和値 β>0、β≧0:定数 前記フィードバック制御系は、さらに位相を設定できる
一次遅れ要素を有しており、また、前記可変ゲイン要素
の入力から振幅と周波数を計測し、 計測された振幅と周波数から、前記可変ゲイン要素のゲ
インを漸減するとともに、前記一次遅れ要素に対して位
相を下記の式によって所定位相に十分小さなT(T>
0)から適応的に調整することにより、所定の位相にお
ける前記フィードバック制御系における前記伝達関数を
同定することもできる。
【数6】 ここで T:一次遅れ要素の時定数 ω:周波数 θ:位相の指定値 α>0:定数 また、本発明は、制御対象の伝達関数を含むフィ−ドバ
ック制御系に対する限界ゲイン同定装置であって、前記
フィードバック制御系は、可変ゲイン要素と飽和要素と
を有し、さらに、前記ゲイン要素の入力から振幅を計測
する手段と、下記の式によって前記ゲイン要素のゲイン
を十分大きなゲインから漸減させる調整手段とを有し、
自励振動が一定振幅に収束するときのゲインを計測する
と、そのゲインを前記フィードバック制御系の限界ゲイ
ンとするフィ−ドバック制御系の限界ゲインの同定装置
である。
【数7】 ここで、 k:可変ゲイン要素のゲイン バ−e:e(t)の振幅 u:飽和要素の飽和値 β>0、β≧0:定数 前記フィードバック制御系は、さらに位相を設定できる
一次遅れ要素を有しており、前記ゲイン要素の入力から
振幅を計測する手段は、周波数も計測し、前記調整手段
は、前記一次遅れ要素を所定位相に設定することもで
き、前記調整手段は、計測された振幅と周波数から、前
記可変ゲイン要素のゲインとともに、前記一次遅れ要素
に対して位相を、下記の式によって十分小さなT(T>
0)から所定位相に適応的に調整することにより、所定
の位相における前記フィードバック制御系における前記
伝達関数を同定することもできる。
【数8】 ここで T:一次遅れ要素の時定数 ω:周波数 θ:位相の指定値 α>0:定数
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態を、図面を参照
して詳細に説明する。本発明は、系に自励信号を発生さ
せて、適応的にゲインを調整して、限界ゲインを求めて
いる。以下に、この方法により限界ゲインが求まること
をまず説明し、また、このときのゲインの調整の方法を
説明する。さて、図1に示すゲイン要素10および関数
要素20で構成されたフィ−ドバック系を例に、限界ゲ
インの求め方を説明する。図1において、関数要素20
のG(s)は周波数特性を同定したいプラントの伝達関
数であり、ゲイン要素10のゲインkはk∈Rである。
図1に示したこのフィ−ドバック系は、0<k<Kcr
で安定であり、k>Kcrで不安定になるとする。この
場合、k=Kcrにおいては自励振動が持続する。この
とき、K を限界ゲインと呼び、自励振動の周期を限
界周期ωcrと呼ぶ。Kcrとω は、次式のよう
に、図1のフィ−ドバック系の特性方程式を満たす。
【数9】 1+KcrG(jωcr)=0 (1) この特定方程式により、Kcrとωcrを同定すること
で、周波数特性が
【数10】 G(jωcr)=−1/Kcr (2) により同定できる。
【0007】(Kcrとωcrの同定の考え方)図2の
非線形フィ−ドバック系を考える。図2で示したフィー
ドバック系は、図1のフィードバック系に飽和要素30
を挿入した構成を有している。ここに飽和要素30のφ
は、図3に示すような、飽和値uで飽和する関数出力
を有している。ゲイン要素の値(ゲイン)kが無限大に
近づくとき、飽和要素の出力関数φ(kσ)の極限はリ
レ−要素の特性をもつので、この系は、十分大きなkに
対して、リレ−制御系と同様に振舞う。すなわち、kが
十分大きいとき、不安定モ−ドの振幅が急速に増大し、
しばらくして振幅一定な自励振動状態に落ち着く。この
とき、ゲインkが大きいので、この定常状態におけるゲ
イン要素10の出力vの振幅v(バーvと示す場合も
ある)は、飽和値uに比べて十分大きい。そこで、ゲ
インkを漸減させることにより、振幅vを飽和値u
に近づける。すなわち、自励振動を維持しながら飽和状
態から非飽和状態に近づけ、最終的に、振幅v=u
で振動を保つようにする。このとき、非飽和状態での振
動が生じているので、そのときのゲインkと振動周波数
ωが、限界ゲインKcrと限界周期ωcrを与える。こ
れを達成するために、v>uであればkを減少さ
せ、v <uであればkを増加させる調整則:
【数11】 を用いる。ただし、β>0、β≧0であり、初期値
は十分に大きな値とする。右辺第2項は飽和値の変化速
度を微調整に利用するために用いるので、βはゼロで
も良い。また、(3)式では、ゲイン要素10の入力e
(t)の振幅e(バーe(t)とも記載)を推定し、
=keにより、ゲイン要素10の出力vを求め
ることとし、その有用性は後述する。
【0008】<ゲイン調整則の特性> (k(t)の過渡応答特性)図4のグラフは、調整則を
適用した場合のe(t)の過渡応答例を示す。点線がゲ
イン要素10の入力e(t)であり、実線がその振幅の
周波数推定器(後述)による推定値e(t)である。
このように、e(t)はゼロから急速に増加し一定値
に落ち着くので、適当な正数e、eに対し、e
e(t)≧e が満たされる。この性質から、式(3)
を満たすゲインk(t)は、β=0のとき、つぎの区
間内に存在することが保証される。
【数12】 k(t)≧k(t)≧k(t) (4) ここに、
【数13】 このことの重要性を次に述べる。(3)式では、振幅e
(t)を用いて、ゲイン要素の出力の振幅v=ke
(t)を求めたが、直接に、ゲイン要素の出力v
(t)から周波数推定器を用いてvを推定する方法:
【数14】 が考えられる。しかし、式(7)を用いた調整では、k
(t)が負になることで非振動的な不安定現象が生じ、
同定が失敗する場合があった。これに対し、(3)式を
用いた調整では、(4)式から分かるようにk(t)を
正に保てるので、そのような欠点はない。このため、周
波数推定器のパラメ−タの設定が、(3)式のほうが遥
かに容易である。
【0009】(平衡状態の安定性)上記の過渡特性に従
い、k(t)を十分大きな初期値k(0)から漸減させ
ている。k=Kcrが同定できるには、(3)式により
振幅v=uの自励振動が安定に保たれることが必要
であり、以下ではその条件を求める。図1のフィ−ドバ
ック系の1+kG(s)=0の主要極sはk=Kcr
ときs=−jωcrであるので、k=Kcrの付近にお
ける主要極の近似式は
【数15】 で与えられる。これに対する振動モ−ドの振幅は
【数16】 で与えられるので、つぎのモデルを得る。
【数17】 ただし、k>Kcrではeが増加し、逆にk<Kcr
ではeが減少するので、a>0である。このモデルと
(3)式の調整則からなる系
【数18】 の平衡点は、k=Kcr、e=eE0(=u/K
cr)で与えられる。そこで、新たに、変数をx=k
−Kcr、x=e−eE0とおいて、平衡点まわり
の線形近似式を求めると
【数19】 である。この特性方程式は
【数20】 であるので、β、βにより任意に極配置でき、安定
化のためには、β>0、β=0で十分である。以上
より、この条件を満たすようにβ、βを選ぶこと
で、安定な自励振動が保たれ、k=Kcrが高精度に同
定できる。
【0010】(自励振動の周期と振幅の同定法)式
(3)のアルゴリズムを実現するためには、自励振動の
振幅の包絡線であるe(t)を測定する必要がある。
ここでは、適応ノッチ・フィルタを伴った周波数推定器
を用いて、振動周期と共に、新たに、振幅の包絡線e
(t)をオンラインで同定する方法を与える。周波数推
定器への入力信号が正弦波信号
【数21】 であるとする。このとき、周波数推定器が次式で与えら
れる。
【数22】 ここで、
【数23】 および、振動周波数ωは推定された周波数、ζ>0はダ
ンピング係数、γは可変パラメ−タである。また、ε>
0、N>0、μ>0、α≧1である。入力信号n
(t)に対する定常応答は、次式で表される周期解とな
る。
【数24】 このとき、
【数25】 の関係が成り立つので、過渡時における振幅v>0と変
化率dv/dtの推定値が次式で与えられる。
【数26】 以上のように作用するので、系に自励振動を発生させ
て、適応的にゲインを調整して、限界ゲインを求めるこ
とができる。
【0011】<任意の位相角における伝達関数の同定>
次に、フィ−ドバック系に、ゲイン要素と一次遅れ要素
(位相設定器と同じ意味である)を挿入し、限界ゲイン
を求める方法によって、任意の位相角における伝達関数
を同定する方法について説明する。図5のフィ−ドバッ
ク系を考える。図5は、図1のフィードバック系に一次
遅れ要素40を挿入した構成である。ここで、図1と同
様に、G(s)は周波数応答を求めたいプラントの伝達
関数であり、ゲインkはk∈Rである。図中の一次遅れ
要素40は、一次遅れ要素の時定数Tを用いて
【数27】 で表され、これによる位相遅れθは、一次遅れ要素の時
定数Tにより、
【数28】 で与えられ、0<θ<π/2である。この系において、
【数29】 を満たすゲインk、一次遅れ要素の時定数T、ω=ω
が与えられたとする。このとき、
【数30】 であるから、
【数31】 である。したがって、G(jω)は位相が−π+θ
となる周波数の伝達関数である。そこで、θを与え
て、
【数32】 を満たす一次遅れ要素の時定数Tを求める方法を検討す
る。この一次遅れ要素の時定数Tに対し、系が安定限界
にあれば式(26)を満足するので、ω=ωの自励振
動を生じるように、上述した適応同定法によりゲインk
を調整する。これは、図6に示すように、θだけ回転
させた座標系で見た限界ゲインを求めることと考えられ
る。
【0012】(調整則)式(29)を満たすTを求める
方法のための、一次遅れ要素の時定数Tの調整則を以下
に説明する。まず、
【数33】 とおく。このとき、
【数34】 が成り立てば、ωTとtanθの偏差が減少する。こ
の条件と
【数35】 より、
【数36】 を得る。したがって、一次遅れ要素の時定数Tの調整則
として
【数37】 を用いる。ところで、式(31)より、
【数38】 V(t)=V(0)e−2αt (35) であるから
【数39】 ゆえに、初期偏差がe−αtで減衰する。ゲインkの調
整には、これまでの調整則を用いる。したがって、
【数40】 の両式を調整則とする。ここで、eとωは自励振動の
振幅と周期であり、e、de/dt、ω、dω/d
tは周波数推定器により推定する。初期値としてT=T
(0)を正で十分小さく、また、k=K(0)を十分大
きく与える。この条件の下で実験し、kとTが収束すれ
ば、ωにおける伝達関数が
【数41】 で与えられる。以上のように作用するので、フィ−ドバ
ック系に、図5に示すように、ゲイン要素10と一次遅
れ要素40を挿入し、限界ゲインを求める方法によっ
て、任意の位相角における伝達関数を同定することがで
きる。
【0013】
【実施例】(数値シミュレ−ション)本発明の限界ゲイ
ンを同定する上述のアルゴリズムを実施するために、図
7に示すシミュレーション・システムを構成した。図7
において、このシステムは、周波数推定器50、上述の
式(3)に示した調整を行う適応アルゴリズムを内蔵し
たゲイン調整器60、可変ゲイン要素10、飽和要素7
0、対象制御系の一巡伝達関数器20で構成されてい
る。本発明を実施するために挿入される周波数推定器5
0、調整器60、可変ゲイン要素10、飽和要素70
は、プロセスで一般的に使用されているデジタル制御シ
ステムの機能の一部として限界ゲインを同定するときに
挿入されるものである。あるいは、別のデジタル制御装
置として構成し、既存の制御系に限界ゲインを同定する
ときに挿入してもよい。周波数推定器50は、(16)
〜(19)式で与えられるアルゴリズムが組み込まれて
おり、(22)式と(23)式に従いe、de/d
tの推定値を出力する(ただし、vがeに対応す
る)。また、周波数推定器の機能により振動の周期ωを
観測する。調整器60は、(3)式で与えられる調整則
を内臓して、可変ゲイン要素10のゲインkを調整す
る。飽和要素70は、同定中に出力が異常とならないよ
う、安全のために挿入している。限界ゲインの同定時
は、自励振動の信号e(t)を周波数推定器50に入力
し、自励振動の振幅e(t)を推定する。この推定さ
れた振幅をもとに、調整器60の調整則により可変ゲイ
ン要素60のゲインkを適応的に変化させる。これによ
り、限界ゲインKcrを同定する。このとき、限界周期
ωcrも同時に同定される。以下に、上記図7で示され
たシステムに対して、具体的に一巡伝達関数G(s)の
限界ゲイン等を特定した場合を以下に説明する。
【0014】(数値例 1)一巡伝達関数が(40)式
で表されるプラントを考える。
【数42】 パラメ−タは次のようにする。 調整則: β=0.2、β=0、k(0)=10、
=1 適応ノッチフィルタ(ANF):ε=0.6、ζ=0.
6、μ=0.2、N=1、α=2 そして、外乱として、大きさ0.001のステップ入力
を時刻0に加えたときの結果を図8〜図10に示す。ナ
イキストの安定条件より計算される真値、kcr=0.
1507とωcr=1.032に速やかに収束してい
る。これにより、本発明の方法によって、理論的に求め
られる限界ゲインが高精度に求められていることが示さ
れている。
【0015】(第2の実施例)本発明の第2の実施例を
図11に示す。本発明の所定位相における伝達関数点を
同定するアルゴリズムを実施するために、図11のシス
テムを構成する。図11に示すように、システムは、周
波数推定器52、調整器62、可変ゲイン80、一次遅
れ要素90、飽和要素70、対象制御系の伝達関数20
で構成されている。本発明を実施するために挿入される
周波数推定器52、調整器62、可変ゲイン80、一次
遅れ要素90、飽和要素70は、プロセスで一般的に使
用されているデジタル制御システムの機能の一部として
限界ゲインを同定するときに挿入されるものである。周
波数推定器52は、振動の周期の推定値を出力する。ま
た、(16)〜(19)式で与えられるアルゴリズムが
組み込まれており、(22)式と(23)式に従い推定
値e、de/dtを出力し(ただし、vがeに対
応する)、(18)式に従いdω/dtを出力する。調
整器62は、(37)および(38)式で与えられる調
整則を内臓して、可変ゲイン80、一次遅れ要素90の
ゲインおよび一次遅れ要素部分(位相角)を調整する。
また、飽和要素70は、実施例1と同様に、同定中に出
力が異常とならないよう、安全の目的で挿入したもので
ある。
【0016】(数値例 2)次のプラントに対し、φ
=40°となるときの伝達関数点を求める。パラメ−タ
は次のようにする。 適応則:β=0.3、β=0、u=1、α=5.
0 初期値:k(0)=10、ω(0)=10、T(0)=
0.001 外乱として、大きさ0.001のステップ入力を時刻0
に加えたときの結果を図12〜図15に示す。同様に、
φ=20°、60°、80°においてもシミュレ−シ
ョンを行い、定常状態におけるゲインk、遅れ時間T、
周波数ωの値から計算される伝達関数点を図16に示
す。実線がナイキスト線図であり、*で示した点が本実
施の形態により推定された伝達関数点である。図16か
ら、それぞれの位相において、高精度に同定されている
のが確認できる。上述で説明したように、限界ゲインの
適応同定法を用いて指定した位相のゲインと周波数を求
める方法をシミュレ−ションした。これにより、位相交
点以外の周波数においても、ゲインと周波数を高精度に
同定することができることが分かる。 (応用ができる技術・製品)加熱・蒸留・合成・などの
化学プロセスなどフィ−ドバック制御系を用いているプ
ロセス一般に適用可能。
【0017】
【発明の効果】(1)運転中の実機において制御系の精
度のよい限界ゲイン・限界周期の同定ができる。また、
これは、1変数1出力系のみならず、多変数系多出力系
においても適用できる。これにより、制御系のパラメ−
タの最適な値が設定でき、性能のよいプロセスの制御が
可能となる。 (2)位相が90度〜180度遅れる時の系の伝達関数
点を同定することができる。これによって、対象制御系
のゲインを適切に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ゲイン要素を持つフィ−ドバック系の定義を説
明する図である。
【図2】非線型フィ−ドバック系を説明する図である。
【図3】飽和要素の特性を示す図である。
【図4】振幅の包絡線の変化を示す図である。
【図5】位相遅れ要素を持つフィ−ドバック制御系を説
明する図である。
【図6】位相回転の意味を説明する図である。
【図7】限界ゲインの同定装置を示す図である。
【図8】出力と包絡線の変化を示す図である。
【図9】ゲインの変化を示す図である。
【図10】周期の変化を示す図である。
【図11】所定位相における限界ゲインの同定装置を示
す図である。
【図12】ゲインの変化を示す図である。
【図13】周期の変化を示す図である。
【図14】出力と包絡線の変化を示す図である。
【図15】遅れ時間の変化を示す図である。
【図16】ナイキスト線図と同定点を示す図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 制御対象の伝達関数を含むフィ−ドバッ
    ク制御系に対する限界ゲイン同定方法であって、 前記フィードバック制御系は、可変ゲイン要素と飽和要
    素とを有しており、 前記可変ゲイン要素の入力からの振幅を計測しながら、
    下記の式によって前記可変ゲイン要素のゲインを十分に
    大きなゲインから漸減させ、 自励振動が一定振幅に収束するときのゲインを限界ゲイ
    ンとすることを特徴とするフィ−ドバック制御系の限界
    ゲインの同定方法。 【数1】 ここで、 k:可変ゲイン要素の値 バ−e:e(t)の振幅 u:飽和要素の飽和値 β>0、β≧0:定数
  2. 【請求項2】 前記フィードバック制御系は、さらに位
    相を設定できる一次遅れ要素を有しており、また、前記
    可変ゲイン要素の入力から振幅と周波数を計測し、 計測された振幅と周波数から、前記可変ゲイン要素のゲ
    インを漸減するとともに、前記一次遅れ要素に対して位
    相を下記の式によって所定位相に十分小さなT(T>
    0)から適応的に調整することにより、所定の位相にお
    ける前記フィードバック制御系における前記伝達関数を
    同定することを特徴とする請求項1記載の限界ゲインの
    同定方法。 【数2】 ここで T:一次遅れ要素の時定数 ω:周波数 θ:位相の指定値 α>0:定数
  3. 【請求項3】 制御対象の伝達関数を含むフィ−ドバッ
    ク制御系に対する限界ゲイン同定装置であって、 前記フィードバック制御系は、可変ゲイン要素と飽和要
    素とを有し、 さらに、前記ゲイン要素の入力から振幅を計測する手段
    と、 下記の式によって前記ゲイン要素のゲインを十分大きな
    ゲインから漸減させる調整手段とを有し、 自励振動が一定振幅に収束するときのゲインを計測する
    と、そのゲインを前記フィードバック制御系の限界ゲイ
    ンとすることを特徴とするフィ−ドバック制御系の限界
    ゲインの同定装置。 【数3】 ここで、 k:可変ゲイン要素のゲイン バ−e:e(t)の振幅 u:飽和要素の飽和値 β>0、β≧0:定数
  4. 【請求項4】 前記フィードバック制御系は、さらに位
    相を設定できる一次遅れ要素を有しており、 前記ゲイン要素の入力から振幅を計測する手段は、周波
    数も計測し、 前記調整手段は、前記一次遅れ要素を所定位相に設定す
    ることもでき、前記調整手段は、計測された振幅と周波
    数から、前記可変ゲイン要素のゲインとともに、前記一
    次遅れ要素に対して位相を、下記の式によって十分小さ
    なT(T>0)から所定位相に適応的に調整することに
    より、所定の位相における前記フィードバック制御系に
    おける前記伝達関数を同定することを特徴とする請求項
    3記載の限界ゲインの同定装置。 【数4】 ここで T:一次遅れ要素の時定数 ω:周波数 θ:位相の指定値 α>0:定数
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110138295A (zh) * 2019-04-29 2019-08-16 中国电力科学研究院有限公司 一种测量自并励励磁系统电压控制环静态放大倍数的方法及系统

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