JP5865138B2 - 制御パラメータの決定方法及び装置 - Google Patents

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Description

本発明は、一般的な制御器において、制御パラメータを決定する際に用いられる制御対象の係数を動的に推定する制御パラメータの決定方法と、そのための装置に関するものである。
一般的な制御器において、その制御能力を最大限に発揮するためには、制御パラメータを適切な値に設定することが重要であり、そのためには、制御対象を数式モデルで表した場合に用いられる係数(以下、制御対象の係数と呼ぶ)の値を、正確に把握する必要がある。例えば、制御対象が一次遅れ系に近似できるような場合は、制御パラメータ決定の際に、制御対象の時定数を用いることが多い。よって、時定数を正確に推定することが出来れば、それを下に、制御器の制御パラメータを設定し、最適な制御を行うことが可能となるのであるが、制御パラメータ決定の際に用いた時定数の値が、実際の値に対して過大である場合には、一般的に制御パラメータも過大となり、出力値の振動等を生じる可能性がある。また、逆に、前記時定数の値が、実際の値に対して過小であった場合には、一般的に制御パラメータも過小となり、制御器として求められる性能を十分に発揮出来ないことが考えられる。
ところで、従来より、制御対象の係数を推定する手法は、数多く実用化されており、例えば、特開平8−76807号公報(特許文献1)においては、プロセスの特性に応じた近似伝達関数を決め、かかるプロセスのステップ応答から得られる各測定値に基づいて、前記近似伝達関数を規定する時定数や無駄時間遅れ等の各係数を求めるようにしたプロセス伝達関数同定装置が明らかにされている。また、特開平6−324707号公報(特許文献2)においては、制御対象にステップ波形を加えて観測した応答波形を、最小2乗法を用いて無駄時間と1次遅れ特性の制御対象として近似することにより、無駄時間や時定数を求め、それらに基づいてゲインを設定したPIDコントローラにより制御対象を制御するようにした制御装置が、明らかにされている。
しかしながら、それら特許文献1,2において採用されている制御対象の係数の推定方法にあっては、何れも、制御対象の各係数を同定するためにステップ波形を入力する必要があり、たとえオンラインで同定するとしても、ステップ信号入力による同定と同定結果を用いた制御とを同時に行うことが出来ず、制御対象の係数の時間変化に対応した制御を行うことは、難しいものであった。
また、制御入力信号の波形にとらわれずに、動的に制御対象の係数を同定する方法としては、逐次最小二乗同定手法が広く用いられている。この方法は、非特許文献1にも明らかにされているように、現在の時間ステップに至るまでの複数の時間ステップにおける実機での出力と数式モデルでの出力との誤差の二乗に、忘却係数と呼ばれるパラメータλ(0<λ<1であるが、一般的にはλ=0.97〜0.995が用いられる)を用いて決定される重みをかけたものの総和が最小となるように、数式モデルの係数を逐次的に算出する方法である。この方法を用いて時定数を推定すると、図7に示すように、時定数が緩やかに変化する場合、対象の変化に追従した同定が可能である。
しかしながら、時定数の変化が比較的急となる制御対象においては、図8のように、推定精度が著しく悪化し、制御器の制御性能に悪影響を及ぼす。このとき、忘却係数を大きく(λ=0.995)すると、時間遅れが大きくなり、一方忘却係数を小さく(λ=0.97)すると、推定値が一時的に過大となるため、逐次最小二乗同定手法のパラメータである忘却係数を調整しても、精度向上につながらない。また、図7、図8では、出力の測定ノイズを考慮していないが、図9のように、測定ノイズを考慮した場合、忘却係数が1未満の場合は、定常部で時定数が0となり、実用的でなくなる。これに対し、忘却係数を1とした場合は、過去の全時間ステップにおける二乗誤差を同等の重みで評価することになるため、時定数の時間変化に追従した推定を行うことが出来ないのである。
そこで、特公平7−104715号公報(特許文献3)においては、前記した最小二乗同定手法に用いられる評価関数において、各時間ステップの二乗誤差にかかる重みを、制御対象の係数の変化状況に応じて決定することで、急な係数の変動が起きても推定精度が悪化しないような方法が、明らかにされている。このような方法によれば、例えば、制御対象の係数が急に変化する状況において、移動平均的期間を短く変更できるため、係数の変動に充分に追従し得る同定が可能であると考えられる。
しかしながら、かかる特許文献3の手法では、各時間ステップの二乗誤差にかかる重みを逐次的に決定する方法が、別途に必要であり、その設定の仕方によって、推定精度が大きく影響される可能性が高い。また、結局、複数の時間ステップを含む二乗誤差の荷重和を評価関数とするため、制御対象の係数が時間ステップごとに変化するような対象においては、時間遅れや測定誤差が常に生じることとなり、場合によってはその誤差が過大になり、制御系に影響を及ぼす可能性がある。さらに、上述のように重み決定法が別途必要であり、係数の更新に用いるアルゴリズムも逐次最小二乗同定手法を拡張したものとなるために、制御器の構成が複雑となってしまうのである。
特開平8−76807号公報 特開平6−324707号公報 特公平7−104715号公報
片山 徹著、計測自動制御学会編「システム同定入門」朝倉書店、平成16年5月25日、P.71−82
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、制御パラメータの決定の際に重要となる制御対象の係数のうち、一つの代表的な係数を動的に推定するにあたり、その代表的な係数の急な時間変化があったとしても、精度を落とすことなく、且つシンプルなアルゴリズムで算出できるような制御パラメータの決定方法を、提供することにある。
そして、本発明にあっては、かくの如き課題の解決のために、制御対象への制御入力と該制御対象からの出力とから制御パラメータを計算し、その計算された制御パラメータを制御入力の決定に用いる制御方式であって、かかる制御対象の動特性が数式モデルによって表現可能であり、且つ該数式モデルに用いられる各物理量が変数として測定或いは推定可能である方式において、前記数式モデルにおける、前記制御パラメータを計算するための代表係数を除く、各係数のモデル化誤差を考慮した最大値と最小値、及び前記各変数の測定誤差或いは推定誤差を考慮した最大値と最小値を、それぞれ求める第一のステップと、該第一のステップで求めた各係数及び各変数の最大値と最小値から、前記代表係数の取り得る最大値と最小値とを求める第二のステップと、前記代表係数の設定値が該第二のステップで求められた代表係数の取り得る最大値と最小値の範囲内にあるかどうか、を判定する第三のステップとを含み、かかる第三のステップにおいて、該代表係数の設定値が前記代表係数の取り得る最大値と最小値の範囲内にある場合には、該代表係数の設定値を維持して、同じ代表係数の設定値を用いて制御パラメータを計算するようにする一方、該代表係数の設定値が前記代表係数の取り得る最大値と最小値の範囲外となる場合において、該設定値が該最大値を超えたときには、該設定値が減少するように更新し、また該設定値が該最小値を下回ったときには、該設定値が増加するように更新して、その更新された代表係数の設定値を用いて前記制御パラメータを計算するようにしたことを特徴とする制御パラメータの決定方法を、その要旨とするものである。
ところで、このような本発明に従う制御パラメータの決定方法の望ましい態様の一つにあっては、前記数式モデルは、次式:
yd=(Ku−y)/T
(但し、uは制御入力、yは出力、ydは該出力の微分値、Tは時定数、
Kは定常部における該出力と該制御入力との比である)
にて表される一次遅れモデルとされることとなる。
また、かかる本発明に従う制御パラメータの決定方法の好ましい態様の一つによれば、前記数式モデルにおける時定数が、前記代表係数として用いられることとなる。
さらに、本発明に従う制御パラメータの決定方法の別の望ましい態様の一つによれば、前記代表係数の設定値の更新は、前記代表係数の取り得る最大値或いは最小値と更新前の設定値との差に、0.01以上の値を乗じ、これに更新前の設定値を加算して得られる値を、新たな設定値として実施されることとなる。
なお、本発明にあっては、制御対象への制御入力と該制御対象からの出力とから制御パラメータを計算し、その計算された制御パラメータを制御入力の決定に用いる制御装置であって、かかる制御対象の動特性が数式モデルによって表現可能であり、且つ該数式モデルに用いられる各物理量が変数として測定或いは推定可能である装置において、前記数式モデルにおける、前記制御パラメータを計算するための代表係数を除く、各係数のモデル化誤差を考慮した最大値と最小値、及び前記各変数の測定誤差或いは推定誤差を考慮した最大値と最小値を、それぞれ求める第一の手段と、該第一のステップで求めた各係数及び各変数の最大値と最小値から、前記代表係数の取り得る最大値と最小値とを求める第二の手段と、前記代表係数の設定値が該第二のステップで求められた代表係数の取り得る最大値と最小値の範囲内にあるかどうか、を判定する第三の手段とを含み、かかる第三の手段において、該代表係数の設定値が前記代表係数の取り得る最大値と最小値の範囲内にある場合には、該代表係数の設定値を維持して、同じ代表係数の設定値を用いて制御パラメータを計算するようにする一方、該代表係数の設定値が前記代表係数の取り得る最大値と最小値の範囲外となる場合において、該設定値が該最大値を超えたときには、該設定値が減少するように更新し、また該設定値が該最小値を下回ったときには、該設定値が増加するように更新して、その更新された代表係数の設定値を用いて前記制御パラメータを計算するようにしたことを特徴とする制御パラメータの決定装置も、その要旨としている。
従って、このような本発明に従う制御パラメータの決定方法にあっては、制御対象の出力の誤差や出力の微分値の誤差等の各変数の誤差、及び制御対象の数学モデルにおける各係数の誤差を考慮して、代表係数の取り得る最大値と最小値、即ち、代表係数の取り得る範囲を求めることで、制御パラメータの計算に用いられる代表係数の設定値が前記範囲を外れたときのみ、最大値を超える場合は減少、最小値未満の場合は増加させて値が更新されるようにされているところから、アルゴリズムをシンプルにすることが可能となると共に、常に瞬時データのみを用いて代表係数の設定値の更新を行うため、従来の方法に比べて、推定の時間遅れを少なくすることが出来るのである。
なお、各変数及び各係数の範囲を考慮せずに瞬時データを用いて数式モデルから代表係数を直接算出すると、代表係数の真値と大きな誤差を持つ可能性があるが、かかる本発明に従う制御パラメータの計算方法にあっては、あらかじめ外乱やモデル化誤差の影響を考慮して、各変数及び各係数に範囲を設け、代表係数の計算式と代表係数の設定値とのずれが前記範囲で説明出来ないときのみ、代表係数の設定値の更新が行われるようにすることで、外乱やモデル化誤差の影響による計算結果の急な変動を、効果的に抑制することが出来るのである。
例えば、本発明に従う制御パラメータの決定方法の望ましい態様の一つに従って、代表係数を時定数としたとき、仮に、前記範囲をもたせずに時定数を計算すると、定常部で外乱等の影響により、計算結果が大きく振動する恐れがある。また、従来の逐次最小二乗同定手法で計算した場合にあっては、前述の通り定常部で時定数が0となる。これに対し、本発明によれば、制御対象の出力の偏差および出力の微分値が小さい場合は、前記範囲が大きくなるため、時定数の設定値が更新される可能性が低くなり、特に定常部では更新が行われないため、一定の値を保ち続けることとなるのである。
また、かかる本発明に従う制御パラメータの決定方法の好ましい態様の一つにて示した数式モデルでは、制御対象の係数は、時定数:Tと定常部における入出力比:Kの二つとなるのであるが、Kの誤差範囲が小さい場合には、非定常部で上記範囲が狭くなるため、非常に高い精度で時定数:Tを推定することが出来るのである。
本発明に従う制御パラメータ決定装置を備えた制御系の一例を示す、ブロック説明図である。 図1に示される制御パラメータ決定装置の代表係数設定装置における、代表係数の更新アルゴリズムの一例を示すフローチャートである。 代表係数として時定数を選んだ際における、設定値の更新方法の一例を概略的に示した説明図である。 本発明に従う制御パラメータ決定方法において、代表係数として時定数を選択して、シミュレーションを行った結果を示すグラフであって、(a)は、出力の目標値に対する制御入力と実際の出力の時間による変化の様子を、(b)は、時定数の真値に対する設定値の変化の様子を、それぞれ示している。 時定数を固定した状態で制御パラメータを求める方法にてシミュレーションを行った結果を示すグラフである。 図4、図5に示したシミュレーションを実施する際に用いた、実際の時定数の時間変化を示すグラフである。 時定数が緩やかに変化する場合において、逐次最小二乗同定によって時定数を推定した結果の一例を示すグラフである。 時定数が急に変化する場合において、逐次最小二乗同定によって時定数を推定した結果の一例を示すグラフである。 時定数が急に変化すると共に、出力の測定ノイズが生じた場合において、逐次最小二乗同定によって時定数を推定した結果の一例を示すグラフである。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
先ず、図1には、本発明に従う制御パラメータの決定方法を採用した制御パラメータ決定装置を一般的な制御系に適用した実施形態の一つが、ブロック図の形態において、概略的に示されている。そこにおいて、制御パラメータ決定装置10は、制御対象20の出力24が制御器30にフィードバックされ、かかるフィードバックされた出力24から制御器30に実装されたPI制御手法やPID制御手法といった所定の制御手法に従って、制御対象20を制御するように構成された、一般的な制御ループに組み込まれて、用いられている。
より詳細には、制御パラメータ決定装置10は、代表係数設定装置12と制御パラメータ計算装置14とから構成されており、制御器30から出力され制御対象20に入力される制御入力22と、制御対象20からの出力24とが、その入力として与えられている。また、代表係数設定装置12においては、後述するアルゴリズムを用いて、制御入力22と出力24とから制御対象20の代表係数を動的に推定し、その推定結果が、代表係数の設定値16として、制御パラメータ計算装置14に送られるように構成されている。
ここで、かかる代表係数設定装置12における代表係数の設定値16は、例えば、図2に示される如きアルゴリズムに従って、決定されることとなる。即ち、先ず、ステップ:S1において、制御器30にて制御対象20の制御に用いられる制御パラメータ18を計算するための代表係数(p)を除く、制御対象20の動特性を示す数式モデルにおける、各係数のモデル化誤差を考慮した最大値と最小値と、各変数の測定誤差或いは推定誤差を考慮した最大値と最小値を、それぞれ求める。
続いて、ステップ:S2において、ステップ:S1で求めた各係数及び各変数の最大値と最小値から、前記代表係数(p)の取り得る最大値(pmax )と最小値(pmin )とを求める。なお、代表係数(p)は、制御対象20の動特性を示す数式モデルにおける各係数の中から適宜に選択され得るものではあるが、例えば、制御対象20を制御器30にて実際に制御する実験を繰り返して、得られた実験データから、変化の大きなものが、代表係数として選択されることとなる。また、各係数及び各変数の取り得る範囲は、そのような実験を繰り返すことで得られる実験データ等から、求めることが出来るのである。
そして、そのように、各係数及び各変数と代表係数(p)の取り得る範囲を求めた後に、代表係数(p)の設定値が、ステップ:S2で求められた代表係数の取り得る最大値(pmax )と最小値(pmin )の範囲内にあるか、どうかを判定して、代表係数(p)の設定値を更新する。即ち、ステップ:S3において、代表係数(p)の設定値が、ステップ:S2で求められた代表係数の取り得る最大値(pmax )を超えているか判定し、超えている場合は、ステップ:S4にて代表係数(p)の設定値を減少させるように更新して、設定値の更新作業を終了する。一方、超えていない場合には、ステップ:S3からステップ:S5に移行する。そして、ステップ:S5においては、代表係数(p)の設定値が、ステップ:S2で求められた代表係数の取り得る最小値(pmin )を下回っているか判定して、下回っている場合は、ステップ:S6にて代表係数(p)の設定値を増加するように更新して、設定値の更新作業を終了する。そして、ステップ:S5にて設定値が最小値を下回っていないと判断された場合は、代表係数(p)が、ステップ:S2で求めた範囲内に収まっていることになるので、代表係数(p)の設定値を更新せずに、終了する。
なお、代表係数(p)の設定値16の更新後の値は、代表係数(p)の取り得る範囲内に収まるような値に更新する方法の他、制御対象20の特性によって、例えば、代表係数(p)の取り得る最大値(pmax )又は最小値(pmin )と更新前の設定値との差に、0.01以上の値を乗じて、これに更新前の設定値を加算して得られる値を、新たな設定値16とする方法等が、適宜に選択されて採用されることとなる。
その後、このようにして得られた代表係数(p)の設定値16が、制御パラメータ計算装置14に送られ、かかる制御パラメータ計算装置14において、かかる設定値16を用いて、制御器30における制御パラメータ18が計算され、制御器30に与えられるのである。
さらに、このように計算された制御パラメータ18と制御対象20の出力24とから、制御器30において、制御対象20に対して適切な制御入力22となるように算出することによって、制御対象20の出力24を制御するのである。なお、制御器30としては、一般的なPI制御手法やPID制御手法のみではなく、現代制御、ロバスト制御手法等、公知の各種の制御手法が適宜選択されて、適用されることとなる。
従って、本発明に従うパラメータの決定方法を用いた制御パラメータ決定装置10にあっては、制御対象20の出力の誤差や出力の微分値の誤差等の各変数の誤差、及び制御対象20の数学モデルにおける各係数の誤差を考慮して、代表係数(p)の取り得る最大値(pmax )と最小値(pmin )、即ち、代表係数(p)の取り得る範囲を求め、制御パラメータの計算に用いられる代表係数(p)の設定値16が前記範囲を外れたときのみ、設定値16が更新されるようにされているところから、常に瞬時データのみを用いて代表係数(p)の設定値16の更新を行うこととなり、アルゴリズムをシンプルにすることが可能となるのである。
また、かかる制御パラメータ決定装置10にあっては、シンプルなアルゴリズムにて常に瞬時データのみを用いて代表係数(p)の設定値16の更新を行うようにされているところから、従来の制御パラメータ計算方法に比べて、効果的に推定の時間遅れを少なくすることが出来、代表的な係数の急な時間変化があったとしても、精度を落とすことなく、制御パラメータを算出することが可能となる。即ち、かかる本発明に従うパラメータの計算方法にあっては、代表係数の変化が大きく、且つ代表係数以外の誤差範囲が小さい対象に対して、特に有効な制御パラメータの計算方法となるのである。
ここで、図2に示した、代表係数設定装置12における代表係数(p)の更新アルゴリズムを、制御対象20を一般的な一次遅れモデルに近似出来るものとして、前記代表係数(p)を時定数(T)とした一例について、以下に詳細に説明する。なお、時定数(T)の計算法の基本的な考え方としては、一定時間毎に時定数の最大値、最小値を理論式によって算出し、現在用いている時定数の設定値が、この範囲内にあるか、どうかを判定し、範囲外であった場合には、その範囲内に収まるように、時定数(T)の設定値を更新するものとした(図3参照)。
先ず、前述したように、制御対象20において、制御入力:uと出力:yとの関係が、一次遅れ系に近似可能であることから、制御対象20の伝達関数:P(s)を以下のように定義する。ここで、Kは定常状態における入出力比であり、Tは時定数である。また、sはラプラス演算子である。
Figure 0005865138
このとき、出力の微分値:ydと出力:yと制御入力:uとの関係を表した微分方程式は、以下の形で表される。
Figure 0005865138
かかる(2)式を変形すると、次式(3)を得る。
Figure 0005865138
実際には、モデル化誤差やノイズの影響等から、K及びydが、それぞれ誤差:Ke 、yde を持つと考えられるため、これらの誤差を考慮した場合、Tは以下のように表される。(但し、出力:yの測定誤差は、Kの誤差に含まれるものとした)
Figure 0005865138
ここで、Ke の範囲を[−Kem,+Kem]、yde の範囲を[−ydem,+ydem]とすると(Kem>0,ydem>0)、(4)式におけるTの最大値:Tmax と最小値:Tmin が求まる。但し、Tの計算値が負となることや、(4)式の分母が0となることがないように、予め(Ke,yde)の範囲を制約しておく。そして、制御対象の時定数の設定値:Ti が範囲[Tmin,Tmax]内にある場合は、Ti の更新を行わず、Ti が範囲[Tmin,Tmax]から外れている場合は、Ti がこの範囲に近づくようにTi の更新を行う。
そして、実際にPI制御手法の制御パラメータの計算に上記の手法を用いてシミュレーションを行い、その結果として、出力の目標値に対する実際の出力及び制御入力の推移を示すグラフを図4(a)に、また時定数の真値に対する設定値の推移を示すグラフを図4(b)に、それぞれ示した。一方、比較のために、制御パラメータの計算に用いる時定数(T)の設定値を初期値のまま固定した状態で制御パラメータを求めてシミュレーションを行った結果として、T=5に固定した場合を図5(a)に、T=100に固定した場合を図5(b)に、出力の目標値に対する実際の出力及び制御入力の推移を示すグラフとして、それぞれ示した。なお、これらのシミュレーションにおいては、図6に示されるように、実際の時定数(時定数の真値)が、制御開始時に大きくなり、時間経過と共に、次第に小さくなるように仮定して、シミュレーションを実施した。また、その際、出力の測定ノイズや、検出時間遅れ等も仮定した。
以上のシミュレーションを行った結果より、本発明に従う制御パラメータ決定方法に従って時定数(T)を調整した図4(a)の結果からは、オーバーシュート、ハンチング共に抑制できることが確認された。一方、時定数(T)を固定した場合には、T=5と固定した場合の結果を示す図5(a)からは、出力のオーバーシュートが発生していることが確認出来、また、T=100と固定した場合の結果を示す図5(b)からは、定常部で出力が振動的となり、過制御となっていることが確認出来る。
以上、本発明の代表的な実施形態の一つについて詳述してきたが、それは、あくまでも例示に過ぎないものであって、本発明は、そのような実施形態に係る具体的な記述によって、何等限定的に解釈されるものではないことが、理解されるべきである。また、一々列挙はしないが、本発明が、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施されるものであり、またそのような実施の態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範疇に属するものであることは、言うまでもないところである。
10 制御パラメータ決定装置
12 代表係数設定装置
14 制御パラメータ計算装置
16 代表係数の設定値
18 制御パラメータ
20 制御対象
22 制御入力
24 出力
30 制御器

Claims (5)

  1. 制御対象への制御入力と該制御対象からの出力とから制御パラメータを計算し、その計算された制御パラメータを制御入力の決定に用いる制御方式であって、かかる制御対象の動特性が数式モデルによって表現可能であり、且つ該数式モデルに用いられる各物理量が変数として測定或いは推定可能である方式において、
    前記数式モデルにおける、前記制御パラメータを計算するための代表係数を除く、各係数のモデル化誤差を考慮した最大値と最小値、及び前記各変数の測定誤差或いは推定誤差を考慮した最大値と最小値を、それぞれ求める第一のステップと、
    該第一のステップで求めた各係数及び各変数の最大値と最小値から、前記代表係数の取り得る最大値と最小値とを求める第二のステップと、
    前記代表係数の設定値が該第二のステップで求められた代表係数の取り得る最大値と最小値の範囲内にあるかどうか、を判定する第三のステップとを、
    含み、かかる第三のステップにおいて、該代表係数の設定値が前記代表係数の取り得る最大値と最小値の範囲内にある場合には、該代表係数の設定値を維持して、同じ代表係数の設定値を用いて制御パラメータを計算するようにする一方、該代表係数の設定値が前記代表係数の取り得る最大値と最小値の範囲外となる場合において、該設定値が該最大値を超えたときには、該設定値が減少するように更新し、また該設定値が該最小値を下回ったときには、該設定値が増加するように更新して、その更新された代表係数の設定値を用いて前記制御パラメータを計算するようにしたことを特徴とする制御パラメータの決定方法。
  2. 前記数式モデルが、次式:
    yd=(Ku−y)/T
    (但し、uは制御入力、yは出力、ydは該出力の微分値、Tは時定数、
    Kは定常部における該出力と該制御入力との比である)
    にて表される一次遅れモデルである請求項1に記載の制御パラメータの決定方法。
  3. 前記数式モデルにおける時定数が、前記代表係数として用いられる請求項2に記載の制御パラメータの決定方法。
  4. 前記代表係数の設定値の更新が、前記代表係数の取り得る最大値或いは最小値と更新前の設定値との差に、0.01以上の値を乗じ、これに更新前の設定値を加算して得られる値を、新たな設定値として実施される、請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の制御パラメータの決定方法。
  5. 制御対象への制御入力と該制御対象からの出力とから制御パラメータを計算し、その計算された制御パラメータを制御入力の決定に用いる制御装置であって、かかる制御対象の動特性が数式モデルによって表現可能であり、且つ該数式モデルに用いられる各物理量が変数として測定或いは推定可能である装置において、
    前記数式モデルにおける、前記制御パラメータを計算するための代表係数を除く、各係数のモデル化誤差を考慮した最大値と最小値、及び前記各変数の測定誤差或いは推定誤差を考慮した最大値と最小値を、それぞれ求める第一の手段と、
    該第一のステップで求めた各係数及び各変数の最大値と最小値から、前記代表係数の取り得る最大値と最小値とを求める第二の手段と、
    前記代表係数の設定値が該第二のステップで求められた代表係数の取り得る最大値と最小値の範囲内にあるかどうか、を判定する第三の手段とを、
    含み、かかる第三の手段において、該代表係数の設定値が前記代表係数の取り得る最大値と最小値の範囲内にある場合には、該代表係数の設定値を維持して、同じ代表係数の設定値を用いて制御パラメータを計算するようにする一方、該代表係数の設定値が前記代表係数の取り得る最大値と最小値の範囲外となる場合において、該設定値が該最大値を超えたときには、該設定値が減少するように更新し、また該設定値が該最小値を下回ったときには、該設定値が増加するように更新して、その更新された代表係数の設定値を用いて前記制御パラメータを計算するようにしたことを特徴とする制御パラメータの決定装置。
JP2012060210A 2012-03-16 2012-03-16 制御パラメータの決定方法及び装置 Active JP5865138B2 (ja)

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