JP2002316994A - 糖誘導単量体及び該単量体からなる耐熱性高誘電性ポリマ−並びに該ポリマ−の製造方法 - Google Patents

糖誘導単量体及び該単量体からなる耐熱性高誘電性ポリマ−並びに該ポリマ−の製造方法

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JP2002316994A
JP2002316994A JP2001116363A JP2001116363A JP2002316994A JP 2002316994 A JP2002316994 A JP 2002316994A JP 2001116363 A JP2001116363 A JP 2001116363A JP 2001116363 A JP2001116363 A JP 2001116363A JP 2002316994 A JP2002316994 A JP 2002316994A
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polymer
group
saccharide
monomer
meth
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JP2001116363A
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Ryosuke Nishida
良祐 西田
Hiroshi Ono
宏 小野
Motoyasu Fukukawa
元康 福川
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Japan Exlan Co Ltd
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Japan Exlan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】低吸湿性と、高誘電性を兼ね備え、有機電子材
料として求められる電気的特性を具備した耐熱性高誘電
性ポリマーおよび該ポリマーを与える糖誘導単量体を提
供する。 【構成】糖または糖誘導体化合物の含有する水酸基また
は他の官能基に、重合性の官能基を、また残る水酸基ま
たは他の官能基の全部または一部に、シアノエチル基を
導入した単量体、および該単量体を単独重合、または架
橋を導入した共重合により低吸湿性で、耐熱性を持った
高誘電性ポリマーを得る。 【効果】優れた電気的特性および機械的特性により、広
い用途に適応でき、特に電気,電子部品、例えば有機分
散型エレクトロルミネッセンス用バインダー、固体電解
質、コンデンサー材料等として有用であり、また帯電防
止剤や電子写真感光体、液晶配向膜用の部材として用い
た場合、より高い特性を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は糖誘導単量体と該単
量体よりなる高誘電性ポリマ−並びに該ポリマ−の製造
方法に関するものであり、更に詳しくは、エレクトロル
ミネッセンス(EL)素子用バインダ−やフィルムコンデ
ンサ用等の誘電材料として、およびポリマ−バッテリ−
やエレクトロクロミック素子、電解コンデンサ−、電気
二重層コンデンサ−、リチウムイオン二次電池等に用い
られる固体電解質として有用な、特に高誘電率を有しか
つ耐熱性および耐吸湿性に優れた高誘電性ポリマ−およ
び該ポリマ−を与える糖誘導単量体に関する。
【0002】
【従来の技術】有機電子材料の、たとえば分散型EL素
子用バインダ−は、高誘電性、長寿命化のための低吸湿
性、電気的特性値の温度による不変性(耐熱性)、蛍光体
や電極面との高い接着性といった特性を有することが要
求されている。一方、こうした中で、分散型EL素子用
バインダ−に用いられる有機ポリマ−として、(1)ポリ
ビニルアルコ−ル、セルロ−スもしくはその誘導体類、
プルランなどの水酸基を多数有するポリマ−のシアノエ
チル化物、(2)シアノエチル化アクリル系モノマ−のホ
モもしくはコポリマ−、(3)ビニリデンフルオライドの
ホモもしくはコポリマ−(ビニリデンフルオライド系フ
ッ素ゴム)などが使用されている。
【0003】しかしながら、上記(1)のシアノエチル化
物は、未反応水酸基を有するため吸湿性が大きく、有機
分散型EL素子(単にEL素子という)の寿命が短かく
(発光による輝度、発光効率の低下)、EL素子の製作に
当っては吸湿対策を採り且つ、EL素子自体を不透湿性
の透明材料で密封シ−ルしなければならないが、それで
も寿命は十分でなく、密封シ−ルなしの、いわゆるパッ
ケ−ジレスタイプのEL素子には全く使用不可能であ
る。また上記(2)のポリマ−は、(1)のシアノエチル化
物より吸湿性は改善されており、密封シ−ルを行ったE
L素子では寿命の改善効果は見られるが、パッケ−ジレ
スタイプのEL素子では未だ実用に耐えない。さらに上
記(3)のビニリデンフルオライド系フッ素ゴムでは、吸
湿性が小さく特にパッケ−ジレスタイプのEL素子に使
用されているが、誘電率が不足で、十分な輝度を得にく
いという重大な欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述のような
従来技術のかかえる課題を解決しようとするものであ
り、低い吸湿性と、高い誘電性を兼ね備え、また、特に
耐熱性に優れる、有機電子材料として求められる電気的
特性を具備した高誘電性ポリマ−および該ポリマ−を与
える糖誘導単量体を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、高誘電率を
有しかつ耐熱性、耐吸湿性に優れたポリマ−の開発につ
いて鋭意研究を進めた結果、シアノエチル化された糖ま
たは糖誘導体化合物より誘導された単量体と架橋性単量
体による架橋ポリマ−とすること、或いは、シアノエチ
ル化された糖または糖誘導体化合物より誘導され、かつ
特定の重合部位を有する単量体を重合することにより、
目的のポリマ−が得られることを見出し、本発明を完成
させるに至った。
【0006】即ち上述した本発明の目的は、糖または糖
誘導体化合物の有する水酸基または他の官能基に、エチ
レン系不飽和基が導入され、残る水酸基及びまたは他の
官能基の全部または一部にシアノエチル基を導入してな
る糖誘導単量体、および該単量体を重合、又は該糖誘導
単量体と架橋性単量体を共重合して得られ、好ましくは
融点が70℃以上であるか、又は融点を有しないことを
特徴とする耐熱性高誘電性ポリマ−により達成される。
またかかるポリマ−を得る方法としては、糖誘導単量体
単独又は該単量体と架橋性単量体の混合物に、紫外線ま
たは電子線を照射することにより、重合又は共重合を行
う製造方法が挙げられる。
【0007】なかでも本発明における糖誘導単量体とし
ては、糖または糖誘導体化合物が、環状ピラノ−ス型ま
たは環状フラノ−ス型の構造を含むことを特徴とするも
の、更には、導入されているエチレン系不飽和基が、糖
または糖誘導体化合物の有する水酸基または他の官能基
の有するヘテロ原子に直接結合したメタクリロイル基で
あることを特徴とするものが特に好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明における糖または糖誘導体
化合物(以下、糖化合物と記す)としては、特に限定は
なく、天然のもの、合成のもの等必要とされる特性に応
じて適宜選定、使用できる。例えば、グリセリンアルデ
ヒド、ジヒドロキシアセトン等のトリオ−ス類;エリト
ロ−ス、エリトロフラノ−ス、トレオ−ス、トレオフラ
ノ−ス、エリツルロ−ス等のテトロ−ス類;アルドペン
ト−ス、ケトペント−ス、アルドペントピラノ−ス、ア
ルドペントフラノ−ス、ケトペントフラノ−ス等のペン
ト−ス類;
【0009】アラボピラノ−ス、アラボフラノ−ス、キ
シロピラノ−ス、キシロフラノ−ス、リボフラノ−ス、
リポピラノ−ス、リキソピラノ−ス、リキソフラノ−ス
等のアルドペント−ス類;リブロ−ス、リブロフラノ−
ス、キシルロ−ス、キシルロフラノ−ス等のケトペント
−ス類;アルドヘキソ−ス、アルドヘキシピラノ−ス、
アルドヘキソフラノ−ス、ケトヘキソ−ス、ケトヘキソ
ピラノ−ス、ケトヘキソフラノ−ス等のヘキソ−ス類;
グルコ−ス、グルコピラノ−ス、グルコフラノ−ス、ガ
ラクト−ス、ガラクトピラノ−ス、マンノ−ス、マンノ
ピラノ−ス、タロ−ス、タロピラノ−ス等のアルドヘキ
ソ−ス類;フルクト−ス、フルクトフラノ−ス、フルク
トピラノ−ス、ソルボ−ス、ソルボピラノ−ス、タガト
−ス、タガトピラノ−ス、プシコ−ス、プシコピラノ−
ス等のケトヘキソ−ス類;
【0010】グリセロ−ガラクト−ヘプト−ス、グリセ
ロ−ガラクト−ヘプトピラノ−ス、グリセロ−マンノ−
ヘプト−ス、グリセロ−マンノ−ヘプトピラノ−ス、グ
リセロ−グルコ−ヘプト−ス、グリセロ−グルコ−ヘプ
トピラノ−ス等のアルドヘプト−ス類;アルトロ−ヘプ
チュロ−ス、アルトロ−ヘプチュロピラノ−ス、アンヒ
ドロ−アルトロ−ヘプチュロピラノ−ス、マンノ−ヘプ
リュロ−ス、マンノ−ヘプリュロピラノ−ス、タロ−ヘ
プチュロ−ス、タロ−ヘプチュロピラノ−ス、アロ−ヘ
プチュロ−ス、アロ−ヘプチュロピラノ−ス、アルトロ
−ヘプチュロ−ス、アルトロ−ヘプチュロピラノ−ス等
のケトヘプト−スまたはヘプチュロ−ス類;グリセロ−
マンノ−オクチュロ−ス、グリセロ−マンノ−オクチュ
ロピラノ−ス、グリセロ−ガラクト−オクチュロ−ス、
グリセロ−ガラクト−オクチュロピラノ−ス等のケトオ
クト−スまたはオクチュロ−ス類;エリスロ−グルコ−
ノニュロ−ス、エリスロ−グルコ−ノニュロピラノ−
ス、エリスロ−ガラクト−ノニュロ−ス、エリスロ−ガ
ラクト−ノニュロピラノ−ス等のケトノノ−スまたはノ
ニュロ−ス類;
【0011】その他、デオキシ糖、ジデオキシ糖、アミ
ノ糖、イオウ糖、分枝糖、酸性糖、糖アルコ−ル、糖エ
ステル、糖エ−テル、O−グリコシド、N−グリコシ
ド、C−グリコシド糖の配糖体などを挙げることができ
る。
【0012】また、天然オリゴ糖あるいは合成オリゴ糖
としては、マルトオリゴ糖、セロオリゴ糖、イソマルト
オリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、ラミナ
リオリゴ糖、グルカンオリゴ糖、ソホロオリゴ糖、キト
オリゴ糖、N−アセチルキトオリゴ糖、ラクトオリゴ
糖、メリオリゴ糖、イヌロオリゴ糖、フルクタン、キシ
ラン、マンナンなどを挙げることができる。また、以上
の糖化合物およびこれらの化合物が化学的修飾された糖
誘導体等を挙げることができる。
【0013】これらでなる本発明の高誘電性ポリマ−の
高い誘電性は、大きな双極子モ−メントを有するシアノ
エチル基の立体構造により発現されると考えられてお
り、上記の糖化合物の中でも特に不斉構造を有する糖を
用いることにより、双極子モ−メントの方向性が固定さ
れより好ましい結果を与える。またさらにピラノ−ス型
またはフラノ−ス型等の環状構造を有しているもので
は、立体構造が完全に固定されているうえ、環構造に基
づく平面構造により糖化合物全体の構造に基づく双極子
モ−メントの方向性までもが固定され、最も好ましい結
果をあたえる。
【0014】ここで、エチレン系不飽和基およびシアノ
エチル基が導入される、上記の糖化合物が有する官能基
としては、糖がもつ官能基であれば天然由来、あるいは
合成により導入したもの等特に限定はない。具体的に
は、糖を基本的に構成する水酸基、および他の官能基と
しては1級、2級、3級等のアミノ基、カルボキシル
基、カルボニル基、メルカプト基、アルデヒド基、スル
ホン酸基、リン酸基、エ−テル基等を挙げることができ
る。これらの官能基、あるいは該官能基にエチレン系不
飽和基やシアノエチル基を導入する反応方法について
は、講談社発行「糖化学の基礎」、阿武喜美子、瀬野信
子著 1984年に例示がなされており、それらの方法
を適宜使用することができる。
【0015】本発明のポリマ−の主鎖は、物理的、化学
的特性に優れた炭素−炭素結合よりなる必要があり、か
かるポリマ−を得るための単量体としては、重合後に目
的の主鎖を形成するエチレン系不飽和基が導入されてい
る必要がある。ここで言うエチレン系不飽和基とは少な
くとも重合可能な炭素−炭素二重結合を有した基であ
り、具体的には、オレフィン類、アリル化合物、ハロゲ
ノオレフィン、脂肪酸ビニルエステル、スチレン類、ビ
ニルエ−テル化合物、共役ジエン類、環状ジエン、ニト
リル類、アクリルアミド類、ビニルケトン類、N−ビニ
ル化合物類、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタア
クリル酸、メタアクリル酸エステル等より誘導された重
合性の炭素−炭素二重結合を有する官能基を指す。なか
でも、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタアクリル
酸、メタアクリル酸エステル、アリルアルコ−ル、メタ
アリルアルコ−ル、ビニルエステル、スチレン、アクリ
ルアミド類よりなる群より選ばれた単量体より誘導され
たエチレン系不飽和基が重合特性、取扱いの点で工業的
にも特に好ましい。
【0016】また本発明のポリマーにおいて、側鎖とな
る糖誘導体単位と主鎖を結合する構造、即ち糖化合物の
含有する水酸基または他の官能基と、該基に導入される
エチレン系不飽和基との間の結合の構造としては、本発
明の耐熱性高誘電性ポリマ−を与えるものであれば特に
限定はなく、例えばアミド結合、エステル結合、炭素−
炭素、エ−テル結合等が挙げられる。
【0017】糖化合物に導入するエチレン系不飽和基の
数にも制限は認められず、糖化合物1分子当たり1個以
上であればよい。導入した官能基が1個であれば生成し
た糖誘導単量体を重合してなる高誘電性ポリマ−は溶剤
可溶性であるので、いろいろの賦形が可能である。導入
した官能基が2個以上となると、ポリマ−に架橋が導入
されたりするので、熱的、化学的に安定ではあるが加工
性には制限を受けるから、重合時に必要な賦形を同時に
行う、等の工夫をすることは言うまでもない。
【0018】エチレン系不飽和基の導入方法としては特
に限定はなく、糖化合物の含有する水酸基または他の官
能基(前に例示した)と結合可能な官能基、例えば水酸
基、カルボキシル基、アミノ基、グリシジル基、エステ
ル基、エ−テル基等を有し、かつエチレン系不飽和基を
有する単量体化合物を用い、これを糖化合物と化学的に
結合させるなどの方法をとることができる。
【0019】エチレン系不飽和基のうち、(メタ)アク
リル酸基を導入するための化合物の具体的な例として
は、(メタ)アクリル酸クロライド、(メタ)アクリル
酸ブロマイド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−
ト、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、ヒドロ
キシブチル(メタ)アクリレ−ト、ヒドロキシフェノキ
シプロピル(メタ)アクリレ−ト、グリセロ−ルモノ
(メタ)アクリレ−ト、クロロヒドロキシ(メタ)アク
リレ−ト、ポリプロピレングリコ−ルモノ(メタ)アク
リレ−ト、ポリエチレングリコ−ルモノ(メタ)アクリ
レ−ト、ポリテトラメチレングリコ−ルモノ(メタ)ア
クリレ−ト、(メタ)アクリル酸、およびジメチルアミ
ノエチル、コハク酸モノヒドロキシエチル、フタ−ル酸
モノヒドロキシエチル、テトラヒドロフルフリル、グリ
シジル、イソシアネ−トエチル等の単官能性(メタ)ア
クリル酸エステルを挙げることができる。なお(メタ)
は、アクリレ−トとメタアクリレ−トの双方を表意する
ものである。
【0020】アリル基を導入するための化合物の具体的
な例としては、塩化アリル、フタル酸ジアリル、アリル
アルコ−ル等を、ビニル基を導入するための化合物の具
体的な例としては、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビ
ニル、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエ
チレン;酢酸ビニル、クロル酢酸ビニル;蟻酸、プロピ
オン酸、酪酸、トリメチル酢酸、カプロン酸、カプリル
酸、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、ジクロ
ル酢酸、トルクロル酢酸、トリフルオロ酢酸等の酸ビニ
ルエステル;炭酸ジビニル、コハク酸ジビニル、グルタ
ル酸ジビニル等をあげることができる。
【0021】スチレン基を導入するための化合物の具体
的な例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ジビ
ニルベンゼン、クロルスチレン、シアノスチレン、アミ
ノスチレン、ヒドロキシスチレン等をあげることができ
る。また、アクリルアミド基を導入するための化合物の
具体的な例としては、アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、N−メチロ−ルアクリルアミド、ジアセトンアクリ
ルアミド;メトキシ、ブトキシメチルヒドロキシエチ
ル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、ヒドロキ
シフェノキシプロピル、グリセロ−ル、ポリプロピレン
グリコ−ル、ポリエチレングリコ−ル、ポリテトラメチ
レングリコ−ル、ジメチルアミノエチル、コハク酸モノ
ヒドロキシエチル、フタル酸モノヒドロキシエチル、テ
トラヒドロフルフリル、グリシジル、イソシアネ−トエ
チル等のアクリルアミドおよびメタアクリルアミド等を
あげることができる。
【0022】なかでも、エチレン系不飽和基としてメタ
クリロイル基が糖化合物の有する水酸基または他の官能
基のヘテロ原子に直接結合した構造でなる糖誘導単量体
の場合、得られたホモポリマ−の融点は、70℃以上と
耐熱性に優れ、且つ誘電特性にすぐれるため特に好まし
い。該構造の場合、得られるポリマ−は、メタクリロイ
ル基に由来する炭素−炭素結合でなる主鎖と側鎖として
の糖化合物との距離が極めて短くなることより、立体障
害が大きくなるため、分子運動が規制されるためこのよ
うな優れた耐熱性が発現できたものと考えられる。
【0023】本発明のうち、糖誘導単量体の製造方法に
関しては、第1の方法としては、既述のエチレン系不飽
和基を有する、糖化合物の含有する水酸基及びまたは他
の官能基の、全部または一部にシアノエチル基を導入す
る方法により、本目的を達成できる。本法によると、反
応のステップが短くなり有利である。しかしその反面、
シアノエチル化反応時に使用する強アルカリによっても
化学的に影響を受けない化学構造である必要がある。ま
た、第2の方法としては、既述の糖化合物に含まれる水
酸基または他の官能基の1部を保護基により保護し、次
に残部水酸基及びまたは他の官能基の全部または一部に
シアノエチル基を導入した後に、脱保護し、該脱保護さ
れたあるいはシアノエチル基の導入が行われていない水
酸基または他の官能基を対象にエチレン系不飽和基を導
入する方法により本目的を達成するものである。本法で
は、製造ステップは多くなるものの、保護基を必要に応
じ選択することにより、シアノエチル化反応というシビ
アな条件にも影響を受けることなく確実に収率よく糖誘
導単量体を得ることができるという利点がある。
【0024】一方、糖化合物へのシアノエチル基の導入
の方法としても、本発明の目的を達成できる限りにおい
ては特に限定はない。具体的には、アルカリ触媒を用い
たアクリロニトリルの糖化合物の有する水酸基へのマイ
ケル付加による、所謂シアノエチル化反応によるもの、
2−クロロプロパンニトリルによる置換反応によるも
の、トシル化などにより水酸基を脱離基とした置換反応
などを挙げることができるが、中でも反応の容易なシア
ノエチル化によるものが好ましい。シアノエチル化の方
法としては、Organic Reaction 19
49年、5巻 79ペ−ジ、Bruson,H.A.ら
の総説に記載されている方法を適宜利用することができ
る。
【0025】このアルカリ触媒としては、例えば水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、トリト
ンBなどを挙げることができる。中でも、安価で効率の
良い、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが優れてい
る。
【0026】また、導入されるシアノエチル基の数とし
ても、エチレン系不飽和基の結合に使用された官能基以
外の水酸基及びまたは他の官能基の少なくとも1つ以上
に導入されている限りにおいては何ら限定ない。しか
し、一般に単位重量あたりシアノエチル基の量が増える
ほど誘電率が高くなることから、本発明の目的である高
い誘電性を発現させるためにはこのシアノエチル基の数
が多いほうがより好ましい。最も好ましいものは、エチ
レン系不飽和基との結合に使用された官能基以外のすべ
ての水酸基及び他の官能基にシアノエチル基を導入した
ものである。また、水酸基および又は他の官能基が残っ
ていた場合、これが吸湿し性能低下の原因となるため、
これらはできるだけ少ないほうが良い。尚、出発材料と
して、単位重量当たりの水酸基または他の官能基を多く
持つ糖化合物を用いることが好ましいことは言うまでも
ない。
【0027】本発明の最終目的物である高誘電性のポリ
マ−を得るための、糖誘導単量体の重合の方法について
は、エチレン系不飽和基が重合するものであれば、特に
限定はなく一般の重合法、ラジカル重合、アニオン重
合、カチオン重合、紫外線重合、電子線重合などを用い
ることができる。なかでも、ラジカル重合、紫外線重
合、電子線重合は、エチレン系不飽和基以外の官能基へ
の影響が少なく、重合方法としては特に好ましい。ま
た、重合方式としても特に限定は無く、バルク重合、溶
液重合、乳化重合、分散重合等用途に応じて適宜使用す
ることができる。
【0028】また、この重合においては、本発明の糖誘
導単量体の単独重合体であっても、他の単量体との共重
合体のいずれであっても良く、高誘電性ポリマーに必要
とされる特性、用途に応じて適宜選択することができ
る。また、共重合の場合のコモノマ−としても特に限定
はなく、重合方法に応じた単量体を適宜使用することが
できる。
【0029】例えば、本発明に好適な重合性のエチレン
系不飽和基を有する糖誘導単量体の場合の共重合性単量
体とは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、
ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデ
シル、テトラデシル、ヘキサデシル、ステアリル、2−
エチルヘキシル、シクロヘキシル等のアルキル(メタ)
アクリレ−ト;
【0030】2−メトキシエチル、3−メトキシブチ
ル、2−ブトキシエチル、エトキシジエチレングリコ−
ル、メトキシトリエチレングリコ−ル、メトキシジプロ
ピレングリコ−ル、フェノキシエチル、フェノキシジエ
チレングリコ−ル、ノニルフェノキシエチル、イソボル
ニル、ジシクロペンテニルオキシエチル、グリシジル等
の単官能性(メタ)アクリル酸エステル;
【0031】1,6−ヘキサンジオ−ルジ(メタ)アク
リレ−ト、1,9−ノナンジオ−ルジ(メタ)アクリレ
−ト、ネオペンチルグリコ−ルジ(メタ)アクリレ−
ト、エチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ジエ
チレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、テトラエチ
レングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ポリエチレン
グリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、プロピレングリコ
−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ジプロピレングリコ−ル
ジ(メタ)アクリレ−ト、トリジプロピレングリコ−ル
ジ(メタ)アクリレ−ト、ポリジプロピレングリコ−ル
ジ(メタ)アクリレ−ト、ヒドロキシピバロン酸等の多
官能性(メタ)アクリル酸エステル;
【0032】(メタ)アクリロニトリル、シアン化ビニ
リデン等の不飽和ニトリル類;塩化ビニル、臭化ビニ
ル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニ
ルおよびハロゲン化ビニリデン類;(メタ)アクリル
酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸およ
びこれらの塩類;メチルビニルケトン、フェニルビニル
ケトン、メチルイソブテニルケトン、メチルイソプロペ
ニルケトン等の不飽和ケトン類;蟻酸ビニル、酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル
等のビニルエステル類;メチルビニルエ−テル、エチル
ビニルエ−テル等のビニルエ−テル類;(メタ)アクリ
ルアミドおよびそのアルキル置換体;ビニルスルホン
酸、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸等
の不飽和スルホン酸およびこれらの塩類;
【0033】スチレン、メチルスチレン、クロロスチレ
ン等のスチレンおよびそのアルキルまたはハロゲン置換
体;アリルアルコ−ルおよびそのエステルまたはエ−テ
ル類;ビニルピリジン、ビニルイミダゾ−ル、ジメチル
アミノエチル(メタ)アクリレ−ト、ジエチルアミノエ
チル(メタ)アクリレ−ト等の塩基性ビニル化合物;ア
クロレイン、メタクリロレイン等の不飽和アルデヒド
類;グリシジル(メタ)アクリレ−ト、N−メチロ−ル
(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)ア
クリレ−ト、トリアリルイソシアヌレ−ト、ジビニルベ
ンゼン、メチレンビス(メタ)アクリルアミド等の架橋
性単量体;
【0034】ビニルトルエンスルホン酸、(メタ)アク
リル酸スルホプロピル、(メタ)アクリル酸スルホエチ
ル、 (メタ)アクリルアミドメタンスルホン酸、2−
(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン
酸等のスルホン酸基含有単量体およびその塩型の単量
体;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、2−(メタ)ア
クリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリ
ロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイ
ルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、2−
(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル
酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸
等のカルボキシル基含有単量体およびその塩型の単量
体;
【0035】(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッ
ドフォスフェ−ト、ビス・(メタ)アクリロイルオキシ
エチルアシッドフォスフェ−ト、(メタ)アクリロイル
オキシエチルフェニ−ルアシッドフォスフェ−ト、(メ
タ)アクリロイルオキシエチルジフェニ−ルアシッドフ
ォスフェ−ト、(メタ)アクリロイルオキシポリアルキ
ルアシッドフォスフェ−ト等のリン酸基含有単量体およ
びその塩型の単量体などを挙げることができる。なお、
上記(メタ)は、アクリレ−トとメタアクリレ−トの双
方、アクリルアミドとメタアクリルアミドの双方及びア
リルとメタアリルの双方を表意するものである。
【0036】本発明の高誘電性ポリマ−の分子量につい
ては、特に限定はなく、重合条件を適宜選定することに
より、使用される用途に応じた分子量のものを重合し、
使用することができる。本発明の高誘電性ポリマ−は、
成膜して使用する場合が多く、分子量が低すぎる場合は
膜の強度が不足する場合がある。又逆に分子量が高すぎ
る場合は、成膜するための溶液の粘度が非常に高いもの
となり薄い均一な膜を作成することが困難となる場合が
ある。高誘電性ポリマ−の1種を単独で使用する場合、
好適な範囲としては、重量平均分子量で1万から50万
の範囲である。また、他のポリマ−と併用する場合に
は、強度を他のポリマ−でもたせることができるため、
分子量的に低い場合でも使用可能となり、重量平均分子
量で、3000から10000程度のものも使用でき
る。
【0037】本発明に言うところの耐熱性に優れると
は、実用的に想定される高温、例えば70℃以上でも、
成形された時の形態が維持されている状態を指す。具体
的には、ポリマ−としての融点が70℃以上であるこ
と、あるいは融点を有さず、高温においても、変形、流
動性等の溶融挙動が認められないことを意味する。
【0038】本発明における、高誘電性とは、下記で示
される複素誘電率ε*の実部誘電率ε’(本件発明中で
誘電率と呼ぶ)の値が、20℃、1000Hzの条件に
おいて、15以上、より好ましくは20以上のものを指
す。尚、iは、虚数単位、ε’’は、虚数部をあらわし
誘電損失を意味する。 ε* = ε’ + iε’’
【0039】次に本発明のポリマ−を与える方法のう
ち、糖誘導単量体と架橋性単量体を共重合して得る方法
について詳細に説明する。用いられる架橋性の単量体
(以下単に架橋剤と記す)としては、既述の糖誘導単量
体との共重合が可能であるものであれば、特に限定はな
い。例えば、エチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−
ト、ジエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ト
リエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ポリエ
チレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,3−ブ
チレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,6−ヘ
キサンジオ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ネオペンチル
グリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ポリプロピレング
リコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシ−
1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン、2,2−ビ
ス[4−((メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル]
プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシ
・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4
−((メタ)アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]
プロパン、トリプロピレングリコ−ルジ(メタ)アクリ
レ−ト、トリメチロ−ルプロパントリ(メタ)アクリレ
−ト、テトラメチロ−ルメタントリ(メタ)アクリレ−
ト、テトラメチロ−ルメタンテトラ(メタ)アクリレ−
ト、ジビニルベンゼン、メチレンビスアクリルアミド、
トリアリルイソシアヌレ−ト、アジピン酸ジビニル、
(メタ)アクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ソルビ
ン酸ビニル、桂皮酸ビニル等をあげることができる。
【0040】また、糖化合物の有する水酸基または他の
官能基に、2つ以上のエチレン系不飽和基が導入されて
なる架橋性の糖誘導単量体も、該単量体自体が大きな双
極子を有している点より、高い誘電性を発現することが
可能となるため、それ単独で重合させることの他に、優
れた架橋剤として用いることができる。
【0041】なお、糖誘導単量体と架橋剤の共重合割合
については、目的の物理的、化学的および電気的特性が
得られる限りにおいては何ら制約はない。ただあまり
に、糖誘導単量体の量が少ない場合、誘電率が低くなる
こと、反対に架橋剤の量が少なすぎる場合、高温におけ
る形態の維持が充分にできなくなるなどの問題を起こ
す。従って、架橋剤の割合としては、糖誘導単量体との
総和に対して0.5重量%〜40重量%の範囲であるこ
とが好ましい。
【0042】糖誘導単量体と架橋剤の共重合の方法とし
ても特に限定はなく、一般に用いられるラジカル重合、
アニオン重合、カチオン重合、紫外線重合、電子線重合
などの方法を用いて共重合を行うことができる。また、
重合方式としても特に限定は無く、バルク重合、溶液重
合、乳化重合、分散重合等用途に応じて適宜使用するこ
とができる。
【0043】なかでも、架橋されたフィルム状高誘電性
ポリマーを得る方法としては、糖誘導単量体と架橋剤と
必要に応じて溶剤等とを混合し、これに紫外線または電
子線によりラジカル種を発生する開始剤を添加した光硬
化性組成物または電子線硬化性組成物を作成し、該組成
物を基材に塗布後、これに紫外線または電子線を照射す
ることにより共重合を行う方法が製造上の点より好まし
い。以下、紫外線または電子線照射により共重合を行う
方法について詳述する。
【0044】まず、該方法に用いうる開始剤の具体的な
例としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン,
4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン,4−t−ブ
チル−トリクロロアセトフェノン,ジエトキシアセトフ
ェノン,2−ヒドロキシ−2フェニル−1−フェニルプ
ロパン−1−オン,1−(4−ドデシルフェニル)−2
−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン,1−
(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−
メチルプロパン−1−オン,4−(2−ヒドロキシエト
キシ)−フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)
ケトン,1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケト
ン,2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]
−2−モルホリノプロパン−1等のアセトフェノン系化
合物;ベンゾイン,ベンゾインメチルエ−テル,ベンゾ
インエチルエ−テル,ベンゾインイソプロピルエ−テ
ル,ベンゾインイソブチルエ−テル,ベンジルジメチル
ケタ−ル等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン,ベ
ンゾイル安息香酸,ベンゾイル安息香酸メチル,4−フ
ェニルベンゾフェノン,ヒドロキシベンゾフェノン,ア
クリル化ベンゾフェノン,4−ベンゾイル4’−メチル
ジフェニルサルファイド,3,3’−ジメチル−4−メ
トキシベンゾフェノン,4,4’−ジメチルアミノベン
ゾフェノン,4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノ
ン,3,3’、4,4’−テトラ(t−ブチルパ−オキ
シカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化
合物;チオキサントン,2−クロロチオキサントン,2
−メチルチオキサントン,2,4−ジメチルチオキサン
トン,2,4−ジエチルチオキサントン,2,4−ジイ
ソプロピルチオキサントン,イソプロピルチオキサント
ン,1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン,2,
4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系化合
物;α−アシロキシムエステル,メチルフェニルグリオ
キシレ−ト,ベンジル,9,10−フェナンスレンキノ
ン,カンファ−キノン,ジベンゾスベロン,2−エチル
アントラキノン,4’,4‘’−ジエチルイソフタロフ
ェノン等のケトン系化合物;2,2‘−ビス(2−クロ
ロフェニル)−4,4’,5,5‘−テトラフェニル−
1,2’−イミダゾ−ル等のイミダゾ−ル系化合物;
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィ
ンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系化合
物;その他カルバゾ−ル系化合物等が使用可能である。
【0045】これらの重合開始剤は単独で、或いは2種
類以上併用して使用しても良い。また、該重合開始剤の
使用量は、重合性単量体に対して、通常0.1〜30重
量%、好ましくは0.5〜10重量%が用いられる。該
重合開始剤の使用量が0.1重量%未満であると、前記
組成物の硬化性が著しく遅くなり実用的ではない。一方
該重合開始剤の使用量が30重量%を超えると、高い誘
電特性を発現する糖誘導単量体に由来する部分の重合後
の組成物中における含有率が低くなり、目的とする高い
誘電特性を得ることが困難となり好ましくない。
【0046】本発明の硬化性組成物の光硬化性あるいは
電子線硬化性を更に向上させるため、必要に応じてトリ
エチルアミン、ジエチルアミン、ジエタノ−ルアミン、
エタノ−ルアミン、ジメチルアミノ安息香酸、ジメチル
アミノ安息香酸メチル、チオキサントン、2−イソプロ
ピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサント
ン、アセチルアセトンの如き増感剤や、過酸化ベンゾイ
ル、アゾビスイソブチロニトリル等に代表される熱ラジ
カル発生剤をさらに配合することができる。
【0047】さらに、本発明の光硬化性組成物あるいは
電子線硬化性組成物には、光硬化性あるいは電子線硬化
性を著しく低下しない範囲内で、各種熱重合抑制剤、レ
ベリング剤、増粘剤、減粘剤、チキソトロピ−付与剤、
ハレ−ション防止剤、艶消し剤、着色顔料、希釈剤、フ
ィラ−、強化剤、熱可塑性樹脂等を含んでいてもよい。
また、他の重合性樹脂、例えばアクリルウレタン樹脂、
不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリエ
ステル(メタ)アクリレ−ト樹脂、感光性エポキシ樹
脂、オキセタン化合物等を、物性および誘電特性が犠牲
にならない範囲で混合しても良い。
【0048】本発明の光硬化性組成物は従来公知の方法
により硬化させることができ、例えば紫外線により硬化
させる場合は、まず組成物を基材に塗布し、該組成物中
に含まれる溶剤や揮発性成分を蒸発乾燥させたのち、中
圧水銀ランプ等を光源として一定時間露光し硬化させる
ことが一般的である。光硬化時の雰囲気としては、乾燥
空気中でも十分に硬化してタックフリ−の硬化塗膜が短
時間で得られるが、窒素、アルゴン等の不活性ガス中で
硬化させると、耐水性や耐薬品性等の硬化塗膜性能がよ
り向上する。基材への塗布方法、光源の種類、露光方法
等については特に限定されない。また、光硬化後の塗膜
物性をさらに高めるため、適切な温度に再加熱する、い
わゆるポストベ−ク工程を行うことも可能である。な
お、本発明の光硬化性組成物は硬化物の生産性の観点か
ら紫外線硬化が適しているが、可視光線、近赤外線等の
活性光線によって硬化させることも可能である。
【0049】また、本発明の電子線硬化性組成物も従来
公知の方法により硬化させることができ、この場合は例
えば、まず該組成物を基材に塗布し、該組成物中に含ま
れる溶剤や揮発性成分を蒸発乾燥させたのち、加速電圧
20〜200KeV、好ましくは150〜300KeV
の電子線照射装置を用いて一定時間電子線照射し硬化さ
せることが一般的である。電子線硬化時の雰囲気として
は、乾燥空気中でも十分に硬化してタックフリ−の硬化
塗膜が短時間で得られるが、窒素、アルゴン等の不活性
ガス中で硬化させると、耐水性や耐薬品性等の硬化塗膜
性能がより向上する。基材への塗布方法、電子線照射装
置の種類、照射方法等については特に限定されない。
【0050】なお、上記の溶剤や揮発性成分としては、
上記糖誘導単量体および架橋剤が溶解する溶剤であれば
特に限定はなく、通常用いられる溶剤を任意に選定でき
る。ただ、塗工性や乾燥性を考慮すると、トルエン、キ
シレン等の芳香族系溶剤、アセトン、メチルエチルケト
ン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサ
ノン等のケトン系溶剤、メチルセロソルブ、エチルセロ
ソルブ等のセロソルブ系有機溶剤、酢酸エチル、酢酸ブ
チル等のエステル系溶剤、およびテトラヒドロフラン等
が挙げられ、特にこれらの溶剤からなる混合系溶剤が好
ましく使用される。本発明の光硬化性組成物または電子
線硬化性組成物における単量体濃度は特に限定されない
が、一般的には重量基準で約1〜50重量%の範囲が好
ましい。
【0051】本発明の高誘電性ポリマ−の使用形態とし
ても、なんら限定はなく必要とされる用途に応じた形で
使用することができる。一般には基材の上に塗布したも
の、フィルム状にしたものとして使用されるが特にそれ
に限定はされない。また、使用に際しては、該ポリマ−
を単独で使用することはもちろん、誘電性を高めるため
の有機および無機系の添加剤、あるいはその他の機能を
付与させるための添加剤を併せて使用することは本発明
をなんら逸脱するものではない。
【0052】
【作用】本発明の高誘電性ポリマ−は、側鎖の糖化合物
が有する水酸基および/またはその他の官能基に、高い
双極子モ−メントを有するシアノエチル基が多数導入さ
れているため、大きな双極子モ−メントを有し、しかも
糖化合物が不斉構造を持つ場合、あるいはピラノ−ス型
またはフラノ−ス型等の環状構造を有している場合に
は、その不斉あるいは環構造に基づく方向性をもった双
極子モ−メントを有するに至り、結果的に高い誘電性が
発現されたものと考えられる。また、本発明のポリマ−
主鎖は、炭素−炭素結合よりなっていることより、強
度、伸度といった機械的な特性も併せてもつ実用性の高
いポリマ−となっている。さらに、糖化合物をベースと
する単量体は任意に構造を設計できることから、水酸基
をはじめとする糖化合物の親水性基を完全に封鎖するこ
とができ、吸湿性の低いポリマ−とすることが可能とな
った。また、エチレン系不飽和基が重合してなる炭素−
炭素結合に基づく主鎖と側鎖としての糖化合物との結合
間距離を短くする、あるいは架橋を導入することによ
り、上記の優れた誘電特性を有し、且つ耐熱性に優れる
ポリマ−を得ることが可能となった。
【0053】
【実施例】以下に実施例を用いて本発明をさらに説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。まず、
測定方法について説明する。エチレン系不飽和基、およ
びシアノエチル基の導入については、NMRによる化学
構造分析より構造および、置換度を確認した。またシア
ノエチル基の導入の確認については、CHN元素分析法
により窒素含有率(N%)を測定し、このN%よりシア
ノエチル基の導入度合いも判定した。また、吸湿率は、
ポリマ−を120℃で2時間絶乾後重量を測定し、25
℃×75%RHの条件下に24時間放置し吸湿後の重量
を測定、その重量差より絶乾ポリマー当りの平衡吸湿率
(%)を求めた。従って、この平衡吸湿率が低いほど耐
湿性に優れているといえる。また、ポリマ−の分子量
は、GPC測定を行い、ポリスチレン基準で表した重量
平均分子量で表した。なお、実施例および比較例中に使
用した、部および率は重量基準を意味する。
【0054】誘電率は、Schlumberger社
製、IGA(IMPEDANCE GAIN−PHAS
E ANALYZER)を用いて20℃で、1kHzの
条件で測定を行った。この際の被測定用検体としては、
ポリマ−をアセトンまたはジメチルホルムアミドに溶解
し、6cm角の平滑な白金板上に塗布した後、乾燥して
溶剤を完全に除去して膜を形成させたものを用いた。ま
た、架橋ポリマーについては、硬化性組成物を白金板上
に塗布し、硬化後、板上の硬化ポリマー膜について測定
を行った。誘電率の高さの判定は、15以上の場合実用
可能な高い誘電率であると判断した。
【0055】実施例1 先ず、シアノエチル基の導入は以下の手順で行った。即
ち、磁気回転子、還流冷却器を付した300mLの3つ
口フラスコに予めアノマ−位の水酸基をメチルエ−テル
として保護した、メチル−α−グルコピラノシド5部、
アクリロニトリル50部、40%水酸化カリウム水溶液
1部を仕込み、攪拌下加熱し50℃まで昇温し、50℃
で18時間シアノエチル化反応を行う。反応終了後室温
まで冷却し、分液ロ−トを用い酢酸エチルで抽出後、飽
和食塩水で洗浄を行う。得られた有機層から、溶媒を除
去することによりメチル−O−テトラシアノエチル−グ
ルコピラノシド 6部を得た。
【0056】次に保護基の変換のために、磁気回転子、
還流冷却器を付した100mLのフラスコに、上記で得
たアノマ−位の水酸基がメチルエ−テルにより保護さ
れ、シアノエチル化された、メチル−O−テトラシアノ
エチル−グルコピラノシド2部、無水酢酸20部および
98%硫酸0.1部の混合溶液を加え、窒素置換下室温
で30分間攪拌を行う。反応終了後、氷水で冷却し、飽
和重曹によりクエンチした後、分液ロ−トを用い酢酸エ
チルで抽出を行う。得られた有機層から、溶媒を除去す
ることにより保護基をメトキシ基からアセトキシ基に変
えたアセチル−O−テトラシアノエチル−グルコピラノ
シド 1.5部を得た。
【0057】次にエチレン系不飽和基の導入の為に、磁
気回転子、還流冷却器を付した100mLのフラスコに
上記で得たアセチル−O−テトラシアノエチル−グルコ
ピラノシド1部、塩化メチレン30部、ヒドロキシエチ
ルメタクリレ−ト1.5部、および99%トリメチルシ
リルトリフレ−ト5部を加え、窒素置換下25℃で1時
間グリコシル化反応を行う。反応終了後、分液ロ−トを
用い水で洗浄を行い、得られた有機層から、溶媒を除去
し、シリカゲルクロマトグラフィ−を用いた精製によ
り、本発明のメタクリロイル基がスペーサを介して導入
された糖誘導単量体であるメタクリロイルオキシエチル
−O−テトラシアノエチル−グルコピラノシド 1.0
部を得た。該単量体のN%を測定したところ11.1%
であり、グルコシル基の有する水酸基のすべてにシアノ
エチル基が導入されたことが確認できた。
【0058】磁気回転子、還流冷却器を付した50mL
のフラスコに得られたメタクリロイルオキシエチル−O
−テトラシアノエチル−グルコピラノシド 1.0部お
よびアゾビスジメチルバレロニトリル 0.002部を
溶解したテトラヒドロフラン2部を加え、窒素置換後、
65℃で18時間攪拌し、重合を行う。反応終了後、室
温まで冷却し、溶媒を除去することにより、本発明の高
誘電性ポリマ−である、ポリメタクリロイルオキシエチ
ル−O−テトラシアノエチル−グルコピラノシド 1.
0部を得た。該ポリマ−の誘電率を測定したところ、3
3と非常に高いものであり、平衡吸湿率は0.1%と耐
湿性にも優れていた。また該ポリマ−の重量平均分子量
は71000、融点65℃であり、室温での膜状態も良
好であった。
【0059】実施例2 メチル−α−マンノピラノシドをメチル−α−グルコピ
ラノシドの代わりに用いたこと以外は実施例1と同様な
方法により、メタクリロイルオキシエチル−O−テトラ
シアノエチル−マンノピラノシドおよび、その重合体で
あるポリメタクリロイルオキシエチル−O−テトラシア
ノエチル−マンノピラノシド1.1部を得た。マンノピ
ラノシド誘導単量体のN%は11.1%であり、該ポリ
マ−の誘電率を測定したところ、糖化合物の種類をマン
ノピラノシドに変更しても26と高いものであった。平
衡吸湿率も0.3%と優れていた。また重量平均分子量
は81000、融点55℃であり、室温では充分な膜特
性を有していた。
【0060】実施例3 Macromolecules,30,2016(19
97)記載の小林らの方法を用い、重合性官能基として
スチレン誘導体由来のビニル基を有した2糖類ラクト−
ス誘導体である(p−ビニルベンズアミド)−β−ラク
ト−スを得た。該ラクト−ス誘導体を実施例1と同様な
方法によりシアノエチル化反応を行い、ラクト−ス基由
来の水酸基にシアノエチル基を導入することにより、収
率は低いながら本発明の糖誘導単量体、(p−ビニルベ
ンズアミド)−β−ヘプタシアノエチルラクト−スを得
た。該単量体のN%を測定したところ13.2%あり、
7つの水酸基全てにシアノエチル基が導入できたことが
確認できた。
【0061】得られた(p−ビニルベンズアミド)−β
−ヘプタシアノエチルラクト−スをメタクリロイルオキ
シエチル−O−テトラシアノエチル−グルコピラノシド
のかわりに用い、実施例1と同様な方法により重合を実
施した結果、本発明の誘電性ポリマ−である、ポリ(p
−ビニルベンズアミド)−β−ヘプタシアノエチルラク
ト−スを得た。該ポリマ−の誘電率を測定したところ、
33と非常に高いものであった。平衡吸湿率は、0.7
%と若干高めであるが実用に耐えるものであった。また
重量平均分子量は34000、融点は55℃であった。
【0062】実施例4 ヒドロキシエチルメタクリレ−トの代わりに、アリルア
ルコ−ルを用いた以外は実施例1と同様な方法によっ
て、アリル−O−テトラシアノエチル−グルコピラノシ
ドを得た。得られた単量体のN%は、12.8%とアノ
マ−位以外のすべての水酸基をシアノエチル化できてい
ることが確認できた。次に該単量体を、同じく実施例1
と同様な方法により、重合した結果、分子量が1200
0の重合体を得ることができた。ただ、他の実施例に比
べ、分子量が低い結果となった理由としては、重合部位
がアリル構造を有しているため、連鎖移動が起こり重合
度があまり上がらなかったのではないかと考えられる。
得られたポリマ−の誘電率は、31と良好な誘電特性を
有しておりまた、平衡吸湿率は0.1%と優れていた。
なお、該ポリマ−の融点は、45℃であった。
【0063】実施例5 実施例1で得られたアセチル−O−テトラシアノエチル
−グルコピラノシド10.8部をテトラヒドロフラン1
80部に溶解し、これに50部の1N−KOHを添加
後、室温、攪拌下30分間加水分解反応を行った。反応
混合物には、酢酸エチル250部を添加し、分液ロ−ト
に移し飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥
し、溶媒を除去しカラムクロマトクグラフにより精製
し、テトラシアノエチル−グルコピラノ−ス9.1部を
得た。
【0064】つぎに、テトラシアノエチル−グルコピラ
ノ−ス3.4部を無水テトラヒドロフラン90部に溶解
し、これにトリエチルアミン3.7部、ジメチルアミノ
ピリジン0.2部およびメタクリル酸クロライド2.0
部を添加し、室温で1時間エステル化反応を行った。得
られた反応混合物は、水洗、乾燥、カラム精製され、メ
タクリロイル基が直接糖化合物のアノマー位の水酸基酸
素原子に結合した、メタクリロイル−テトラシアノエチ
ル−グルコピラノシド3.8部を得た。該単量体のN%
は12.0%であり、アノマ−位以外のすべての水酸基
にシアノエチル基が導入されていることが確認された。
【0065】得られた単量体を実施例1と同様な方法に
より、重合することによりポリ−メタクリロイル−テト
ラシアノエチル−グルコピラノシドを得た。得られたポ
リマ−は、分子量125000、誘電率30、平衡吸湿
率0.2%といずれも優れた特性を有していた。さら
に、該ポリマ−は、DSCによる200℃までの融点測
定では顕著な融点は認められなかった。また、誘電率の
測定においても、120℃まで温度を上げて測定を行っ
たが、軟化、流動化等は認められず、極めて耐熱性に優
れていることが確認された。
【0066】実施例6 実施例1で得られた、メタクリロイルオキシエチル−O
−テトラシアノエチル−グルコピラノシド8部に、3部
のテトラヒドロフランに溶解したエチレングリコ−ルジ
メタクリレ−ト0.4部および3部のテトラヒドロフラ
ンに溶解したジメトキシフェニルアセトフェノン0.2
部を添加し、溶解混合後、エバポレ−タ−により溶媒を
除去する。次に、得られた粘調な光硬化性組成物を白金
プレ−ト板上に50μm厚みで塗布し、50℃の熱プレ
−ト上に置き、365nmの紫外線を30分間照射し
た。得られた塗膜は、ジメチルホルムアミド、酢酸エチ
ル、メタノ−ル、ヘキサン等のいずれの有機溶媒にも溶
解することはなく、架橋構造が導入できていることが確
認された。また、該ポリマーは、誘電率25、平衡吸湿
率0.1%と良好な特性を有していた。また、誘電率の
測定時120℃まで加熱したが、溶融、流動化現象は認
められず、耐熱性に優れたものであった。
【0067】実施例7 実施例1において、ヒドロキシエチルメタアクリレ−ト
のかわりに、ヒドロキシエチルアクリレ−トを用いるこ
とにより、アクリロイルオキシエチル−O−テトラシア
ノエチル−グルコピラノシドを得た(N%=11.3
%)。得られた単量体8部に、3部のテトラヒドロフラ
ンに溶解したトリプロピレングリコ−ルジアクリレ−ト
0.4部を添加し、溶解混合後、エバポレ−タ−により
溶媒を除去した。次に、かくして得られた電子線硬化性
組成物を白金プレ−ト板上に50μm厚みで塗布し、電
子線照射装置を用いて電子線を照射し(加速電圧150
kV、被照射線量5kGy)表面タックのない硬化塗膜
を得た。得られた塗膜は、ジメチルホルムアミド、酢酸
エチル、メタノ−ル、ヘキサン等のいずれの有機溶媒に
も溶解することはなく、架橋構造が導入できていること
が確認された。また、該ポリマーは、誘電率23、平衡
吸湿率0.1%と良好な特性を有していた。また、誘電
率の測定時120℃まで加熱したが、溶融、流動化現象
は認められず、耐熱性に優れたものであった。
【0068】比較例1 プルラン(林原研究所製PF−20)30部を純水12
0部に溶解し、25%水酸化ナトリウム水溶液36部を
添加後、アセトン120部、次いでアクリロニトリル1
50部を加え、室温下14時間シアノエチル化反応を実
施した。酢酸13.5部を添加して中和後、純水中に攪
拌しながら注ぎ込み反応物を晶出させた。得られた晶出
物をアセトンに再溶解させた後、純水で再晶出させて精
製した。この操作を3回繰り返した後、精製物を60℃
減圧下で乾燥して、白色の精製シアノエチル化プルラン
55部を得た。CHN元素分析の結果から、全ての水酸
基がシアノエチル化されたとする理論量に対し、85%
のシアノエチル基が導入出来ていることを確認した。得
られたシアノエチル化プルランの誘電率は21と高い誘
電率を示したものの、平衡吸湿率は3.2%と、耐湿性
に劣ったものであった。これは、未反応の親水性の高い
水酸基がシアノエチル化プルラン中に残存しているた
め、このような結果になったものと考えられる。
【0069】比較例2 ポリヒドロキシ化合物であるペンタエリトリット13
6.15部に4%水酸化ナトリウム溶液188部を加
え、4ツ口フラスコ中で攪拌する。これにアクリロニト
リル164.1部を滴下し、反応温度を40〜45℃に
調節しながらマイケル付加反応を完結させた。得られる
シアノエチル化物にアクリル酸680部、p−トルエン
スルホン酸36.7部、さらに重合禁止剤としてハイド
ロキノン2.7部を加え、1リットルベンゼン中で還流
下エステル化反応を行った後、過剰のアクリル酸を水洗
除去してポリヒドロキシ化合物誘導シアノエチル化アク
リル酸エステル単量体を得た。該単量体のN%は、1
1.3%であり、理論量に対し約9割のシアノエチル基
が導入できていることを確認した。
【0070】4ツ口フラスコに、ポリヒドロキシ化合物
誘導シアノエチル化単量体100部、2,2'−アゾビス
イソブチロニトリル0.1部、ラウリルメルカプタン0.
1部およびジメチルホルムアミド100部を仕込み、窒
素ガス下60℃で3時間攪拌、重合を行なった。次にメ
タノ−ル300部を加え、ポリマ−分を沈析させ、メタ
ノ−ル/水(50/50、重量比)混合液で数回洗浄す
る。その後、溶剤を減圧乾燥してポリヒドロキシ化合物
誘導シアノエチル化ホモポリマ−を得た。このポリマ−
の誘電率は13.5と低いものであった。本比較例の場
合、高誘電率を発現するシアノエチル基を多量に側鎖に
有しているものの、本発明のようにその双極子モ−メン
トが立体的に固定されていないため、自由に動き打ち消
しあった結果、高い誘電率が発現されなかったのではな
いかと考えられる。
【0071】
【発明の効果】本発明によれば、従来のシアノエチル化
物と比べて遊離の水酸基量を減らすことができる、ある
いは完全に該水酸基を無くすことができることから低い
吸湿性を有し、かつ立体的に規制された双極子モ−メン
トより誘導される高い誘電率を有する高誘電体を得るこ
とができる。また、本発明により得られる高誘電性ポリ
マ−は主骨格が炭素−炭素結合よりなるため、フィルム
化等の成形においても工業的に優れた機械的強度、また
耐熱性を有するものである。
【0072】ポリマ−の設計自由度の向上および各種特
性の向上が図れることから、広い用途に適応でき、特に
電気,電子部品、例えば有機分散型エレクトロルミネッ
センス用バインダ−、固体電解質、コンデンサ−材料等
として有用であり、また帯電防止剤や電子写真感光体、
液晶配向膜用の部材として用いた場合、より高い信頼性
を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福川 元康 岡山県岡山市海吉959−5 Fターム(参考) 4C057 BB02 CC03 DD03 JJ05 JJ10 4J027 AH03 BA04 BA05 BA07 BA19 BA20 BA21 BA25 BA26 BA29 CB10 CC05 CC06 4J043 QC22 QC27 RA01 SA14 SA42 SA49 SA71 UA621 UB081 XA40 ZA42 ZB21 ZB47

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 糖または糖誘導体化合物の有する水酸基
    または他の官能基に、エチレン系不飽和基が導入され、
    残る水酸基及びまたは他の官能基の全部または一部にシ
    アノエチル基を導入してなる糖誘導単量体。
  2. 【請求項2】 糖または糖誘導体化合物が、環状ピラノ
    −ス型または環状フラノ−ス型の構造を含むことを特徴
    とする請求項1記載の糖誘導単量体。
  3. 【請求項3】 エチレン系不飽和基が、糖または糖誘導
    体化合物の有する水酸基または他の官能基の有するヘテ
    ロ原子に直接結合したメタクリロイル基であることを特
    徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の糖誘導単量
    体。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の糖誘導
    単量体を重合、又は該糖誘導単量体と架橋性単量体を共
    重合して得られることを特徴とする耐熱性高誘電性ポリ
    マ−。
  5. 【請求項5】 融点が70℃以上であるか、又は融点を
    有しないことを特徴とする請求項4記載の耐熱性高誘電
    性ポリマ−。
  6. 【請求項6】 請求項1〜3のいずれかに記載の糖誘導
    単量体又は該糖誘導単量体と架橋性単量体の混合物に、
    紫外線または電子線を照射することにより、重合又は共
    重合を行うことを特徴とする請求項4又は5のいずれか
    に記載の耐熱性高誘電性ポリマ−の製造方法。
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