JPH08100027A - シクロデキストリン固定化ポリマーの製造方法 - Google Patents

シクロデキストリン固定化ポリマーの製造方法

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JPH08100027A
JPH08100027A JP23647794A JP23647794A JPH08100027A JP H08100027 A JPH08100027 A JP H08100027A JP 23647794 A JP23647794 A JP 23647794A JP 23647794 A JP23647794 A JP 23647794A JP H08100027 A JPH08100027 A JP H08100027A
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cyclodextrin
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maleic anhydride
immobilized
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Masanobu Yoshinaga
雅信 吉永
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Abstract

(57)【要約】 【目的】α,β不飽和酸あるいはその誘導体を酸ハロゲ
ン化する必要がなく、しかも高い導入率でシクロデキス
トリンの誘導体を固定するシクロデキストリン固定化ポ
リマーの製造方法を提供することを目的とする。 【構成】無水マレイン酸にシクロデキストリン誘導体を
反応させたモノマーと、α,β不飽和酸あるいはその誘
導体のモノマーとを共重合させるか、α,β不飽和酸あ
るいはその誘導体のモノマーと無水マレイン酸との共重
合体に、シクロデキストリン誘導体を反応させることに
よりシクロデキストリン固定化ポリマーを製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はシクロデキストリン固定
化ポリマーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】シクロデキストリンはグルコースが6単
位以上α−1,4結合した環状オリゴ糖で、グルコース
単位6、7、8個のものは特によく知られ、それらの応
用に関する公知文献も多い。これらの応用例はいずれも
シクロデキストリン環の内部が疎水性であり、なおかつ
この環の大きさがグルコース単位量で定まっていること
による選択的包接能を利用するもので、クロマト分離用
の充填剤、触媒、あるいは食品の異味、異臭のマスキン
グ、揮発性物質の保持、難溶性物質の可溶化などに用い
られている。
【0003】このような選択的包接能が疎水性物質の分
離や抽出にあたっての有力な手段になろうことは容易に
予測できるが、シクロデキストリンが水溶性であるため
分離、抽出剤として用いるには、反応系から包接化合物
を分離すること、および包接された化合物をシクロデキ
ストリンから分離することが困難であるなど、解決すべ
き課題が多い。
【0004】シクロデキストリンの持つ包接能を維持し
たままでポリマー等に固定すればそれをカラムに充填
し、イオン交換樹脂や活性炭と同様に吸着、脱着操作
で、あるいはクロマトグラフィー操作で成分の分離、回
収、除去が容易にできる。
【0005】そこで、これまでシクロデキストリンの固
定化が様々な方法で試みられているが、固定化されたシ
クロデキストリンの利用率が低かったり、またシクロデ
キストリンを固定化した母体ポリマーが疎水性物質を吸
着するために、選択性が不十分となったり、また製造に
多大の費用を要するものであるなど、産業上有利に利用
するにはいずれも不適当なものであった。
【0006】例えば、特公昭55−27083号、特公
昭55−41643号、特公昭56−15806号の各
公報には、シクロデキストリン誘導体を有するポリスチ
レン系重合体の製造法が記載されており、この方法によ
ればスチレンモノマーに対し、必ず1ユニットのシクロ
デキストリン誘導体が固定されるが、その高分子反応に
おいては、反応性が低く固定量は十分でない。また、特
開昭55−75402号、特開昭63−314201号
の各公報では、グリシジル基あるいはそのエポキシ環を
開環した箇所にシクロデキストリンを高分子反応させて
固定化を行っているが、この方法においても十分な量の
シクロデキストリンを母体に結合するには、長時間の反
応によらねばならず、また実際に結合されたシクロデキ
ストリンは仕込みの量の一部にすぎず、モノマーに対し
必ずシクロデキストリンを1つ固定化することはでき
ず、優れたシクロデキストリンの包接能を種々の目的で
活用するには経済性の面で問題があった。
【0007】本発明者らは、上記の問題点を解決するた
めに、特開平3−221501号、特開平3−2215
02号、特開平4−25503号、特開平4−2550
4号、特開平5−25203号の各公報に記載のよう
に、α,β不飽和酸あるいはその誘導体の酸ハロゲン化
モノマー、または末端にイソシアネート基を有するα,
β不飽和酸あるいはその誘導体のモノマーと、シクロデ
キストリンの誘導体を反応させることにより高い導入率
でシクロデキストリンを含有させることができた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしこの方法では、
シクロデキストリンの誘導体を反応させるために、α,
β不飽和酸あるいはその誘導体を酸ハロゲン化したり、
末端にイソシアネート基を導入する必要があり、この合
成に手間がかかっていた。
【0009】本発明は、上記問題点を解決するためにな
されたものであって、α,β不飽和酸あるいはその誘導
体を酸ハロゲン化する必要がなく、しかも高い導入率で
シクロデキストリンの誘導体を固定するシクロデキスト
リン固定化ポリマーの製造方法を提供することを目的と
する。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は前記課題に
鑑みて鋭意研究の結果、無水マレイン酸にシクロデキス
トリン誘導体を反応させたモノマーと、α,β不飽和酸
あるいはその誘導体のモノマーとを共重合させるか、あ
るいは、α,β不飽和酸あるいはその誘導体のモノマー
と無水マレイン酸との共重合体に、シクロデキストリン
誘導体を反応させることにより上記目的を達成されるこ
とを見いだした。
【0011】
【実施例】以下に本発明をさらに詳細に説明する。
【0012】本発明に用いられるシクロデキストリン誘
導体としては、1個の一級水酸基を残して残りの水酸基
を保護基にて保護したシクロデキストリン誘導体や、シ
クロデキストリンの一級水酸基の1個のみをアルコール
アミン、メルカプトエチルアルコールおよびグリコール
酸で置換したシクロデキストリン誘導体が挙げられる。
これらシクロデキストリン誘導体の合成方法について
は、特開平5−25203号公報に詳細に記載されてい
る。なお、シクロデキストリン(以下場合によりCDと
いう)としては、α−CD、β−CD、γ−CD等のい
ずれも用いることができる。
【0013】また、本発明に用いられるα,β不飽和酸
あるいはその誘導体としては、エチレン、スチレン、ア
クリル酸、メタクリル酸およびこれらの誘導体等が挙げ
られる。
【0014】以下に、本発明によるシクロデキストリン
固定化ポリマーの合成方法の反応例を示す。
【0015】
【化1】
【0016】[実施例1]脱水したピリジン中に無水マ
レイン酸を溶解し、室温下で6−モノヒドロキシ−pe
rメチルβ−CDを加える。添加後50〜60℃下で2
4時間反応させる。反応終了後放冷し、減圧下ピリジン
を留去する。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ーにて分離精製しCDモノマーを得る(収率約90
%)。得られたCDモノマーをジオキサンに加熱して溶
解し、次いでスチレンをCDモノマーと等モル量添加溶
解、さらに開始剤(2,2’−アゾビスイソブチロニト
リル(AIBN)またはベンゾイルパーオキサイド(B
PO))を加える。系が発熱するので冷却しながら50
〜60℃に抑えながら撹拌重合させる。30分後さらに
ジオキサンを加え2時間反応、アセトンを系に加えて希
釈してから大量のベンゼン中に注ぎ再沈殿させる。得ら
れた沈殿物はよくn−ヘキサンで洗浄し減圧乾燥するこ
とで共重合体を得る(化1参照)。得られたポリマーの
重合度をGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)を用い
て測定したところ、平均分子量は約25,000であっ
た。
【0017】
【化2】
【0018】[実施例2]エチレン−無水マレイン酸交
互共重合体を脱水したジオキサン(あるいはアセトン)
に溶解し少量のピリジンを添加する。次いで室温下で6
−モノヒドロキシperアセチルβ−CDのジオキサン
(あるいはアセトン)溶液を滴下する。滴下終了後50
〜60℃で24時間反応させる。反応終了後放冷し、減
圧下溶媒を留去し、残渣を大量のベンゼン中に注ぎ再沈
殿させる。得られた沈殿物はよくn−ヘキサンで洗浄
し、減圧乾燥することで目的物を得る(化2参照)。得
られたポリマーの核磁気共鳴(NMR)スペクトルを測
定して構造解析し、さらに滴定法にてカルボキシル基の
量を測定したところ、無水マレイン酸部分の約75%に
CD誘導体が導入されていた。
【0019】
【化3】
【0020】[実施例3]脱水したピリジン中に無水マ
レイン酸を溶解し、室温下で6−モノグリコリル−pe
rメチルβ−CDを加える。添加後50〜60℃下で2
4時間反応させる。反応終了後放冷し、減圧下ピリジン
を留去する。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ーにて分離精製し、CDモノマーを得る(収率約90
%)。得られたCDモノマーをテトラヒドロフランに溶
解し、次いでアクリル酸メチルを添加溶解し、さらに開
始剤(AIBNまたはBPO)を加える。この溶液を減
圧下で封管し、50〜60℃で6時間重合させる。反応
終了後放冷し、アセトンを系に加え希釈後大量のベンゼ
ン中に注ぎ再沈殿させる。得られた沈殿物はよくn−ヘ
キサンで洗浄し減圧乾燥することで共重合体を得る(化
3参照)。
【0021】
【化4】
【0022】[実施例4]6−モノグリコリル−per
メチルβ−CDを6−モノヒドロキシエチルアミノ−p
erメチルβ−CDとし(CDモノマーの収率:約80
%)、アクリル酸メチルをメタクリル酸メチルにした以
外は実施例3と同様にして共重合体を得る(化4参
照)。
【0023】
【化5】
【0024】[実施例5]6−モノグリコリル−per
メチルβ−CDを6−モノヒドロキシエチルチオ−pe
rメチルβ−CDとし(CDモノマーの収率:約70
%)、アクリル酸メチルをメタクリル酸メチルにした以
外は実施例3と同様にして共重合体を得る(化5参
照)。
【0025】
【化6】
【0026】[実施例6]エチレン−無水マレイン酸共
重合体(エチレン:マレイン酸=1:1)を脱水したジ
オキサン(あるいはアセトン)に溶解し少量のピリジン
を添加する。次いで室温下6−モノヒドロキシエチルア
ミノperメチルβ−CDのジオキサン(あるいはアセ
トン)溶液を滴下する。滴下終了後50〜60℃で24
時間反応させる。反応終了後放冷し、減圧下溶媒を留去
し、残渣を大量のベンゼン中に注ぎ再沈殿させる。得ら
れた沈殿物はよくn−ヘキサンで洗浄し、減圧乾燥する
ことで目的物を得る(化6参照)。
【0027】
【化7】
【0028】[実施例7]イソブテン−無水マレイン酸
交互共重合体を脱水したN,N’−ジメチルホルムアミ
ド(DMF)(あるいはジメチルスルホキシド(DMS
O))に溶解し、少量のピリジン(またはイミダゾー
ル)を添加する。次いで室温下で6−モノヒドロキシエ
チルチオperアセチルβ−CDのDMF(あるいはD
MSO)溶液を滴下する。滴下終了後50〜60℃で2
4時間反応させる。反応終了後放冷し、減圧下溶媒を留
去し残渣を大量のシクロヘキサン中に注ぎ再沈殿させ
る。得られた沈殿物はよくn−ヘキサンで洗浄し、減圧
乾燥することで目的物を得る(化7参照)。
【0029】
【化8】
【0030】[実施例8]6−モノヒドロキシエチルチ
オperアセチルβ−CDを6−モノグリコリルper
エチルβ−CDにした以外は実施例7と同様にして目的
物を得る(化8参照)。
【0031】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の方
法によれば、CDを1つ導入したモノマーとα,β不飽
和酸(誘導体)とを交互共重合させるか、あるいはα,
β不飽和酸(誘導体)−無水マレイン酸共重合体のマレ
イン酸部分に直接CD誘導体を反応させるので、得られ
るポリマー中に高い導入率でシクロデキストリンを含有
させることができる。しかも、本発明の方法はα,β不
飽和酸あるいはその誘導体を酸ハロゲン化する必要がな
く、簡単な製造方法である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無水マレイン酸にシクロデキストリン誘導
    体を反応させたモノマーと、α,β不飽和酸あるいはそ
    の誘導体のモノマーとを共重合させることを特徴とする
    シクロデキストリン固定化ポリマーの製造方法。
  2. 【請求項2】α,β不飽和酸あるいはその誘導体のモノ
    マーと無水マレイン酸との共重合体に、シクロデキスト
    リン誘導体を反応させることを特徴とするシクロデキス
    トリン固定化ポリマーの製造方法。
JP23647794A 1994-09-30 1994-09-30 シクロデキストリン固定化ポリマーの製造方法 Pending JPH08100027A (ja)

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