JPH10101827A - 基材の表面処理方法 - Google Patents

基材の表面処理方法

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JPH10101827A
JPH10101827A JP8256758A JP25675896A JPH10101827A JP H10101827 A JPH10101827 A JP H10101827A JP 8256758 A JP8256758 A JP 8256758A JP 25675896 A JP25675896 A JP 25675896A JP H10101827 A JPH10101827 A JP H10101827A
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JP
Japan
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monomer
substrate
hydrophilic monomer
photopolymerization initiator
group
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Pending
Application number
JP8256758A
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English (en)
Inventor
Kenji Otsuka
健二 大塚
Yuji Eguchi
勇司 江口
Takashi Sawara
敬 佐原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 屋外で使用される物品の表面に親水性、耐汚
染性に優れた各種機能を与える表面処理方法を提供す
る。 【解決手段】 基材上に設けられ、光重合開始剤を含有
する下塗り層の表面に、親水性モノマー及び疎水性モノ
マー並びに分子内に二以上の不飽和性基を有する架橋剤
を接触させた状態で活性光線を照射することにより、該
親水性モノマー及び疎水性モノマー並びに上記架橋剤の
グラフト重合反応を行わせる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機能性表面を有す
る物品の表面処理方法に関する。更に詳しくは、親水
性、耐汚染性に優れた物品を得ることのできる表面処理
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年塗料の分野では、屋外で使用する塗
膜に汚染防止性を付与するために、塗膜表面を親水性に
する試みがなされている。例えば特開平4−37017
6号公報には親水性セグメントと疎水性セグメントを有
するセグメント化ポリマーと塗料用樹脂からなる組成物
が開示されている。
【0003】しかしながらこの組成物による塗膜表面は
対水接触角が40°〜60°であり、親水性がそれ程高
くないため、油状成分が付着すると水洗による油状成分
の除去は困難である。また特開平7−136584号公
報にはオルガノシリケート及び/又はその加水分解縮合
物を混合した塗料を塗布硬化する方法が開示されてい
る。この方法では親水性の発現には酸処理が必要であ
る。
【0004】基材上に設けられた光重合開始剤を含有す
る下塗り層の表面に親水性モノマー及び分子内に二以上
の不飽和性基を有する架橋剤を接触させた状態で活性光
線を照射することにより、親水性に優れかつ厚みが厚い
塗膜が得られる。この塗膜は、水洗によって膨潤し、油
状成分の除去が容易になる。しかしながら、塗膜が膨潤
するため、汚染粒子成分が塗膜内部に侵入しやすく、い
ったん塗膜が乾燥してしまうと汚染粒子成分の除去は困
難となる。
【0005】一方、基材上に設けられた光重合開始剤を
含有する下塗り層の表面に疎水性モノマーを接触させた
状態で活性光線を照射することにより、疎水性に優れた
塗膜が得られる。この塗膜は、粒子成分に対する親和性
が低いため、粒子成分の付着後も水洗による除去は容易
であるが、油状成分に対する親和性が高いため、油状成
分をバインダーとして汚染粒子成分がつきやすいという
欠点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題すなわち
本発明の目的は、屋外で使用される物品の表面に親水
性、耐汚染性に優れた各種機能を与える表面処理方法を
提供することである。
【0007】親水性モノマー及び疎水性モノマー及び分
子内に二以上の不飽和性基を有する架橋剤を接触させた
状態で活性光線を照射することにより、該親水性モノマ
ー及び疎水性モノマー及び上記架橋剤をグラフト重合反
応させる。このようにすれば、親水性モノマーを架橋さ
せているため、親水性に優れかつ厚みが厚い塗膜が得ら
れるので水洗によって塗膜が膨潤し、油状成分の除去を
容易とし、かつ親水性モノマーの重合架橋した塗膜の中
に混在する疎水性モノマーの重合部分によって、汚染粒
子成分の塗膜内部への進入を抑制することができ、親水
性、耐汚染性に優れた各種機能を与えることができるこ
とを見出して発明に至ったものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、基材上に設け
られ、光重合開始剤を含有する下塗り層の表面に、親水
性モノマー及び疎水性モノマー並びに分子内に二以上の
不飽和性基を有する架橋剤を接触させた状態で活性光線
を照射することにより、該親水性モノマー及び疎水性モ
ノマー並びに上記架橋剤のグラフト重合反応を行わせる
基材の表面処理方法に関する。
【0009】本発明で処理を施される基材としては、ポ
リオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹
脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン
等の有機高分子のみならず、ガラス、金属等の無機物
質;不飽和ポリエステル樹脂にガラスファイバーを分散
させたものなど各種複合材料等の処理も可能である。上
記基材には、密着性向上等の目的で前処理が施されてい
てもよい。上記前処理としては、コロナ放電処理、プラ
ズマ処理、紫外線、電子線、放射線等の電離活性線によ
る処理、粗面化処理、化学薬品処理、プライマー処理等
が挙げられる。
【0010】上記下塗り層に含有される光重合開始剤と
しては、公知の光重合開始剤を用いることが出来る。上
記光重合開始剤としては、紫外線で活性化するソジウム
メチルジチオカーバメイトサルファイド、テトラメチル
チウラムモノサルファイド、ジフェニルモノサルファイ
ド、ジベンゾチアゾイルモノサルファイド及びジサルフ
ァイドなどのサルファイド類;チオキサントン、エチル
チオキサントン、2−クロロチオキサントン、ジエチル
チオキサントン、ジイソプロピルチオキサントンなどの
チオキサントン誘導体;
【0011】ヒドラゾン、アゾビスイソブチロニトリ
ル、ベンゼンジアゾニウムなどのジアゾ化合物;ベンゾ
イン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエ
ーテル、ベンゾインイソプロピルエ−テル、ベンゾフェ
ノン、ジメチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケト
ン、ベンジルアントラキノン、t−ブチルアントラキノ
ン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキ
ノン、2−アミノアントラキノン、2−クロロアントラ
キノン、ベンジルジメチルケタール、メチルフェニルグ
リオキシレートなどの芳香族カルボニル化合物;
【0012】1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケ
トン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロ
パン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェ
ニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2, 2
−ジエトキシアセトフェノン、2, 2−ジメトキシアセ
トフェノンなどのアセトフェノン誘導体;4−ジメチル
アミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エ
チル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジエチ
ルアミノ安息香酸イソプロピルなどのジアルキルアミノ
安息香酸エステル類;
【0013】ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチ
ルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、キュメン
ハイドロパーオキサイドなどの過酸化物;9−フェニル
アクリジン、9−p−メトキシフェニルアクリジン、9
−アセチルアミノアクリジン、ベンズアクリジンなどの
アクリジン誘導体;9,10−ジメチルベンズフェナジ
ン、9−メチルベンズフェナジン、10−メトキシベン
ズフェナジンなどのフェナジン誘導体;4,4' ,4"
−トリメトキシ−2,3−ジフェニルキノキサリンなど
のキノキサリン誘導体;2,4,5−トリフェニルイミ
ダゾイル二量体;ハロゲン化ケトン;アシルホスフィン
オキシド、アシルホスフォナ−トなどのアシル化リン化
合物等が挙げられる。
【0014】また、可視光線で活性化する2−ニトロフ
ルオレン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−
1,3,5−トリアジン、3,3' −カルボニルビスク
マリン、チオミヒラーケトン等を用いることもできる。
【0015】<ラジカル開裂型の光重合開始剤>本発明
の光重合開始剤としては、前述のような光重合開始剤の
中でも開裂してラジカルを発生する化合物を用いること
が好ましい。上記開裂型の光重合開始剤に、紫外線等の
活性光線を照射する方法によれば、短時間の処理で親水
性モノマー及び疎水性モノマー並びに分子内に二以上の
不飽和性基を有する架橋剤のグラフト重合が行われる。
このため、基材に対して短時間の処理で各種機能を与え
ることが可能となり、工業的生産において有利である。
【0016】上記開裂型の光重合開始剤の例として、次
の一般式(1)で表される構造を有する化合物が挙げら
れる。一般式(1)を有する化合物については、EPC
0281941号公開明細照射に製法等が開示されてい
る。
【0017】
【化1】 (但し、R1 は下記式(2),(3)で示す化合物を表
す。R2 はH,ハロゲン,C1〜C12のアルキルであ
り、R3 は有機基を介して有機高分子,金属酸化物,有
機−無機複合材等に化学結合したものである。R4 ,R
5 はそれぞれ独立してH,C1〜C12のアルキル,C
1〜C12のアルケニル,C1〜C12のアルコキシ,
フェニルであり、R6 はOR8 ,N(R8 2 ,SOR
8 ,下記式(4),(5),(6)で示す化合物を表
す。R8 はH,C1〜C6のアルキル,C1〜C6のア
ルカノイルを示す。)
【0018】
【化2】
【0019】
【化3】
【0020】
【化4】
【0021】
【化5】
【0022】
【化6】 (R7 はC1〜C6のアルキル,C1〜C6のアルカノ
イル,フェニル,ベンゾイルを示す。)
【0023】<下塗り層>本発明で使用する下塗り層と
しては、上記光重合開始剤と各種材料との混合物を用い
ることが出来る。光重合開始剤とともに下塗り層を構成
する材料は、光重合開始剤と親水性モノマー及び疎水性
モノマー及び分子内に二以上の不飽和性基を有する架橋
剤の重合の阻害、又は、基材と下塗り層の密着性の低下
が問題とならないものであれば、特に限定されるもので
はない。
【0024】本発明においては、下塗り層中の光重合開
始剤により親水性モノマー及び疎水性モノマー及び分子
内に二以上の不飽和性基を有する架橋剤をグラフト重合
させる。下塗り層と基材の密着性が悪いと、表面機能の
耐久性が劣る結果となるため、基材の性質を考慮し、下
塗り層構成材料として、基材と下塗り層の密着性を向上
させる材料を選択すべきである。
【0025】上記下塗り層構成材料としては、有機高分
子、金属酸化物、有機−無機複合材料等を用いることが
出来る。上記有機高分子としては、ポリオレフィン樹
脂、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート、ポリウ
レタン、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリスチレン等が
挙げられる。上記金属酸化物としては、所謂ゾル−ゲル
法による、Si、Ti、Zr、B、Al等の金属アルコ
キシドの加水分解、脱水縮合による高分子量化の生成物
等が挙げられる。上記有機−無機複合材料としては、上
記ゾル−ゲル法による金属アルコキシドの高分子量化の
際にシランカップリング剤、チタネートカップリング
剤、アルミネートカップリング剤等のカップリング剤お
よび任意の有機化合物を加えて得たものを用いることが
出来る。
【0026】上記基材密着性を向上させ、さらに、処理
品の耐久性を向上させる手段として、前処理、添加剤等
の公知の手法を利用することが出来る。上記重合阻害又
は密着性低下が問題とならない範囲内であれば、処理品
の用途に応じた添加物を加えることも出来る。
【0027】なお、本発明者らによれば、高分子の光重
合開始剤(繰り返し単位中に光重合開始剤構造を有する
高分子化合物)を用いる方法、架橋性官能基を有する光
重合開始剤を用いる方法、光重合開始剤に架橋性化合物
(多官能(メタ)アクリレート等)を添加する方法、無
機基材に対してシランカップリング剤兼用光重合開始剤
(光重合開始剤構造と金属アルコキシド等の加水分解、
脱水縮合が可能である構造を有する化合物)を用いる方
法が有効であることが確認されている。
【0028】例えば、高分子の光重合開始剤は、下記一
般式(7)で表される4−(2−ヒドロキシエトキシ)
フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン
(チバ・ガイギー社から商品名「イルガキュアー295
9」で市販されている。)を2−(メタ)アクリロキシ
エチルイソシアネート又は(メタ)アクリル酸若しくは
(メタ)アクリル酸の誘導体と反応させて下記一般式
(8)で表される重合性不飽和基を有する化合物(8)
を得て、この化合物(8)を重合、又は、任意の重合性
モノマーと共重合を行わせることによって得ることが出
来る。
【0029】
【化7】
【0030】
【化8】 (式中、R1 はHまたはCH3 を表し、R2 は−O−,
−OC2 4 NHCOO−を表す。)
【0031】上記共重合によって高分子の光重合開始剤
を得る場合、化合物(8)の割合が少なすぎると親水性
モノマー及び疎水性モノマー及び分子内に二以上の不飽
和性基を有する架橋剤の表面グラフト重合が起こり難く
なるため、化合物(8)を共重合させた後の下塗り層組
成物中に化合物(8)が1モル%以上含まれていること
が好ましく、さらに好ましくは5モル%以上である。な
お、本明細書中で量に関して「下塗り層組成物」という
場合、光重合開始剤に相当する化合物以外の添加物等を
含んだものを指す。
【0032】上記高分子を光重合開始剤とする場合、分
子量は特に限定されるものではないが、重量平均分子量
で5,000〜500,000の範囲であることが好ま
しい。
【0033】上記化合物(8)と共重合される重合性モ
ノマーは、特に限定されるものではなく、使用する基
材、後の工程で塗布する親水性モノマー及び疎水性モノ
マー並びに分子内に二以上の不飽和性基を有する架橋剤
の性質に応じて選択される。例えば、下塗り層が水溶性
であると親水性モノマーと下塗り層組成物が互いに溶解
してしまうため、下塗り層組成を水に不溶とする。
【0034】上記親水性モノマーを用いる場合の化合物
(8)と共重合される重合性モノマーとしては、スチレ
ン、メチルスチレン等のスチレン類、酢酸ビニル等のビ
ニルエステル類、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)
アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル類、
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニ
ルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケト
ン等のビニルケトン類等が挙げられる。これらは単独で
も2種以上を混合して用いてもよい。
【0035】さらに、上記化合物(8)と共重合される
重合性モノマーとして、エポキシ基、カルボキシル基、
アクリロイル基、イソシアネート基、水酸基、アミノ
基、メチロール基、アルコキシシリル基等の架橋性官能
基を有するモノマー、重合性不飽和基を2以上有するモ
ノマーを選択して共重合体を合成し、側鎖に架橋性の官
能基を有する高分子の光重合開始剤を用いて、当該架橋
性官能基による架橋を利用して機能性表面の耐久性を向
上させることが出来る。
【0036】また、下塗り層として、光重合開始剤に架
橋性化合物を添加した組成物を用いる方法によっても、
同様に下塗り層の架橋を行わせることが出来、耐久性の
良好な処理品が得られる。上記架橋性化合物として好ま
しいものとしては、分子内に2以上の重合性不飽和基を
有する(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0037】上記分子内に2以上の不飽和性基を有する
(メタ)アクリレートとしては、ペンタエリスリトール
トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテト
ラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペン
タアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリ
レート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘ
キサアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メ
タ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパント
リアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ
アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリ
レート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、E
O変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ジメ
チロールトリシクロデカンジアクリレート、ネオペンチ
ルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(アクリ
ロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロ
キシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。さら
に、2官能以上のウレタンアクリレートオリゴマー、ポ
リエステルアクリレートオリゴマー、ポリエーテルアク
リレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマー
等を用いることが出来る。
【0038】上記(メタ)アクリレートと光重合開始剤
からなる下塗り層を設ける場合は、(メタ)アクリレー
ト100重量部に対して光重合開始剤0.1〜20重量
部であることが好ましい。光重合開始剤の割合が少なす
ぎるとグラフト重合が起こりにくくなり、多すぎると架
橋が不充分で耐久性が向上されず、黄変が発生する原因
となり易い。
【0039】また、本発明の下塗り層として、ガラス等
の無機系材料からなる基材に対して一般式(9)で表さ
れる加水分解性シリル基を有する化合物又は該化合物の
加水分解物を用いると、基材密着性が非常に良好とな
り、好ましい結果を与える。
【0040】
【化9】 (式中、R1 ,R2 ,R3 はCH3 ,C2 5 ,OCH
3 ,OC2 5 を表し、R1 ,R2 ,R3 の少なくとも
2つがOCH3 ,OC2 5 のいずれかである。)
【0041】このような化合物のひとつである一般式
(10)を有する化合物は、上記一般式(7)で表され
る光重合開始剤、及び下記一般式(11)で表されるイ
ソシアネート基を含有するシランカップリング剤の付加
反応により得ることが出来る。
【0042】
【化10】
【0043】
【化11】 (式(10)及び式(11)において、R1 ,R2 ,R
3 はCH3 ,C2 5 ,OCH3 ,OC2 5 を表し、
1 ,R2 ,R3 の少なくとも2つがOCH3 ,OC2
5 のいずれかである。)
【0044】上記シランカップリング剤(11)として
は、3−トリメトキシシリルプロピルイソシアネート
(信越化学社製「KBM−9007」)、3−トリエト
キシシリルプロピルイソシアネート(信越化学社製「K
BE−9007」)、3−ジメトキシメチルシリルプロ
ピルイソシアネート(信越化学社製「KBM−920
7」)、3−ジエトキシメチルシリルプロピルイソシア
ネート(信越化学社製「KBE−9207」)等が市販
されているので、これを用いることが出来る。
【0045】上記化合物(10)を合成する方法として
は、従来公知のウレタン生成反応が利用可能である。例
えば、上記シランカップリング剤(11)と上記光重合
開始剤(7)に、ジラウリン酸ジ−n−ブチルスズのよ
うなウレタン合成用の触媒を少量添加して反応させるこ
とが出来る。
【0046】上記化合物(10)又はその加水分解物か
らなる下塗り層を設けた後に、加熱を行って、加水分解
性シリル基の反応を行わせることにより、耐久性に優れ
た処理品を得ることが出来る。
【0047】上記化合物(10)とともに一般式 Si
(R1 4 (但し、R1 はOCH3 ,OC2 5 ,C
1,I,NCOを表す。)で表される加水分解性シラン
化合物を含有する下塗り層組成物を用いて、該加水分解
性シラン化合物の加水分解、加熱によって架橋する性質
を利用して機能性表面の耐久性、無機系基材との密着性
をさらに向上させることが出来る。
【0048】上記一般式Si(R1 4 で表される加水
分解性シラン化合物としては、例えば、テトラメトキシ
シラン、テトラエトキシシラン等が挙げられる。上記加
水分解性シラン化合物の添加量は、化合物(10)10
0重量部に対し、10〜400重量部であることが好ま
しい。少なすぎると架橋の効果が不充分で耐久性向上の
目的が達成されず、多すぎて化合物(10)の割合が減
少する程ではグラフト重合がうまく進行しないためであ
る。上記加水分解性シリル基を有する化合物を光重合開
始剤として用いる場合にも、多官能(メタ)アクリレー
ト等の架橋性化合物の添加によって機能性表面の耐久性
を向上させることが出来る。
【0049】本発明の下塗り層組成物には、必要に応じ
て、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、界面活
性剤等が添加されてもよい。
【0050】<下塗り層形成>上記光重合開始剤が化学
的に結合した高分子からなる下塗り層組成物を、スプレ
ーコート、バーコート、ディッピング、ロールコート、
スピンコート等の方法によって基材表面に塗布して、下
塗り層を設ける。上記下塗り層の厚みは、薄すぎると均
一な層を設けることが困難であり、厚すぎると経済性が
悪くなるため、乾燥状態で0.1〜20μmとすること
が好ましい。上記塗布時に作業が容易なように、下塗り
層組成物を公知の有機溶媒に溶解させて溶液として用い
るとよい。
【0051】上記化合物(10)等で加水分解性シリル
基(Si(R1 4 )を有する化合物を含有する系の場
合は、基材上に当該化合物を含有する層を設けた後に加
熱硬化を行うことによって、下塗り層組成物の架橋を行
わせてから親水性モノマー及び疎水性モノマー及び分子
内に二以上の不飽和性基を有する架橋剤を重合させるこ
とが好ましい。
【0052】上記加熱硬化の条件は、化合物(10)等
の光重合開始剤の安定性を考慮して決定されるが、50
〜200℃の温度下で数分〜3時間程度の加熱が好まし
い。加熱の際には、化合物(10)および/又はアルコ
キシシラン化合物を加水分解して用いた方が架橋反応が
速やかに進行するので有利である。また、下塗り層が架
橋性官能基、架橋剤等を含有する構成であって、当該架
橋性官能基、架橋剤等を加熱により架橋させる場合の加
熱硬化条件も同様である。
【0053】本発明においては、基材上に設けられた前
記下塗り層表面に、親水性モノマー及び疎水性モノマー
並びに分子内に二以上の不飽和性基を有する架橋剤を接
触させた状態で活性光線を照射して、当該親水性モノマ
ー及び疎水性モノマー並びに分子内に二以上の不飽和性
基を有する架橋剤のグラフト重合反応を行わせる。
【0054】<親水性モノマー>本発明に用いる親水性
モノマーは、分子内に少なくとも1の重合性不飽和基と
少なくとも1の親水基を有するものである。上記親水基
としては、水酸基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、一
級、二級、三級アミノ基又はアミド基、四級アンモニウ
ム塩基、カルボン酸基、カルボン酸塩基、リン酸基、リ
ン酸塩基、ポリエチレングリコール鎖、モルホリノ基、
硫酸塩基等が挙げられる。酸性基および/又は塩基性基
を有するものはグラフト重合の前又は後に中和反応を行
わせて用いてもよい。
【0055】上記親水性モノマーの具体例として、2−
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキ
シプロピル(メタ)アクリレート、グリセロール(メ
タ)アクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプ
ロパンスルホン酸、スルホン酸ナトリウムエトキシ(メ
タ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N,N−
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−
ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−イソ
プロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロ
ピルアクリルアミド、2−メタクリロキシエチルトリメ
チルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリル酸、(メ
タ)アクリル酸ナトリウム、2−(メタ)アクリロイル
オキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキ
シエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエ
チルヘキサヒドロフタル酸、ω−カルボキシ−ポリカプ
ロラクトンモノアクリレート、エチレンオキサイド変性
リン酸(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール
(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、スチ
レンスルホン酸等が挙げられる。上記親水性モノマー
は、単独でも2種以上を用いてもよい。
【0056】基材に与える親水性能の優劣および耐久性
という観点から、上記親水性モノマーの中でスルホン酸
基又はスルホン酸塩基を有するモノマーを用いた場合が
最も好ましい結果を与える。上記スルホン酸基を有する
モノマーとして、2−アクリルアミド−2−メチルプロ
パンスルホン酸、p−スチレンスルホン酸、ビニルスル
ホン酸、アリルスルホン酸等が挙げられ、これらの塩を
用いてもよい。
【0057】<疎水性モノマー>本発明に用いる疎水性
モノマーは、分子内に少なくとも1の重合性不飽和基と
少なくとも1の疎水基を有するものである。上記疎水基
としては、フルオロアルキル基、アルキル基、ジメチル
シロキシ基等が挙げられる。上記疎水性モノマーとして
は、一般式(12)で表されるフルオロアルキル(メ
タ)アクリレート、一般式(13)で表されるフルオロ
アルキルビニル、一般式(14)で表されるアルキル
(メタ)アクリレート、一般式(15)で表されるジメ
チルシロキシ基を有する(メタ)アクリレート等が好適
である
【0058】
【化12】 (式中、R1 はHまたはCH3 を表し、1 は2〜20の
整数,n は2以上の整数であり、m +n =21+1であ
る。)
【0059】
【化13】 (式中、l は2〜10の整数,m =21+1である。)
【0060】
【化14】 (式中、R1 はHまたはCH3 を表し、1 は2〜20の
整数,m +n =21+1である。)
【0061】
【化15】 (式中、R1 はHまたはCH3 を表し、Xは10〜10
0の整数である。)
【0062】<親水性モノマー及び疎水性モノマー>本
発明に用いる親水性モノマー及び疎水性モノマーは、上
記親水性モノマーの少なくとも1種と、上記疎水性モノ
マーの少なくとも1種を混合することにより調製され
る。この場合、疎水性モノマーの添加量が少なすぎると
効果が認められず、多すぎると塗膜の膜厚を厚くするこ
とが困難となるため、疎水性モノマーは親水性モノマー
100重量部に対して0.1〜50重量部、より好まし
くは0.5〜20重量部添加される。
【0063】<架橋剤>上記親水性モノマー及び疎水性
モノマーに、分子内に二以上の不飽和性基を有する架橋
剤が添加された状態で親水性モノマー及び疎水性モノマ
ーのグラフト重合を行わせることにより、グラフト鎖が
架橋され、機能性表面の膜厚を増大させることが出来
る。
【0064】上記分子内に二以上の不飽和性基を有する
架橋剤としては、N,N’−メチレンビスアクリルアミ
ド、N,N’−プロピレンビスアクリルアミド、ジアク
リルアミドジメチルエーテル、1,2−ジアクリルアミ
ドエチレングリコール、ペンタエリスリトールトリアク
リレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
テトラデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート
等が挙げられる。市販品では、新中村科学社製「UA−
W1」、「UA−W2」、共栄化学社製「エポキシエス
テル200EA」、「エポキシエステル400EA」等
が挙げられる。
【0065】上記架橋剤の添加量は、少なすぎると効果
が認められず、多すぎるとクラックが発生する原因とな
るため、親水性モノマー及び疎水性モノマー100重量
部に対して、2〜300重量部に限定される。
【0066】親水性モノマー及び疎水性モノマー並びに
分子内に二以上の不飽和性基を有する架橋剤を下塗り層
を設けた基材表面に接触させる方法としては、ディッピ
ング、スプレー法、ポッティング、カーテンコート等に
よって塗工する方法、親水性モノマー及び疎水性モノマ
ー及び分子内に二以上の不飽和性基を有する架橋剤を気
化させて接触させる方法等が挙げられる。
【0067】本発明においては、親水性モノマー及び疎
水性モノマー及び分子内に二以上の不飽和性基を有する
架橋剤の相溶性を向上させるためや塗布作業が容易にな
るように、溶媒を加えてもよい。
【0068】上記溶媒としては水又は水と極性溶媒を混
合したものが好ましい。上記極性溶媒としては、メタノ
ール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノー
ル、n−ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコー
ル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノ
ン等のケトン類、メチルセロソルブ、エチルセロソル
ブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、テトラヒドロ
フラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド
等を用いることが出来る。
【0069】親水性モノマー及び疎水性モノマー並びに
分子内に二以上の不飽和性基を有する架橋剤に添加する
溶媒の添加量は親水性モノマー及び疎水性モノマー並び
に分子内に二以上の不飽和性基を有する架橋剤100重
量部に対して100〜2000重量部、より好ましくは
200〜1000重量部である。
【0070】上記親水性モノマー及び疎水性モノマー並
びに分子内に二以上の不飽和性基を有する架橋剤に、下
塗り層の光重合開始剤とは別に光重合開始剤を加えてグ
ラフト重合を促進することが出来る。親水性モノマー及
び疎水性モノマー並びに分子内に二以上の不飽和性基を
有する架橋剤に加える光重合開始剤は、本発明の下塗り
層と同じものを用いても、他に公知の光重合開始剤を用
いてもよい。具体的には、下塗り層のところで例示した
ものから選択すればよい。
【0071】親水性モノマー及び疎水性モノマー並びに
分子内に二以上の不飽和性基を有する架橋剤に光重合開
始剤を加える場合の添加量は、親水性モノマー及び疎水
性モノマー及び分子内に二以上の不飽和性基を有する架
橋剤100重量部に対して0. 1〜10重量部であるこ
とが好ましい。
【0072】<グラフト重合>上記親水性モノマー及び
疎水性モノマー並びに分子内に二以上の不飽和性基を有
する架橋剤を下塗り層の表面に接触させた状態で、紫外
線等の活性光線を照射してグラフト重合を行わせる。活
性光線としては紫外線照射が最も実用的である。 上記
紫外線の照射には、光源として超高圧水銀灯、高圧水銀
灯、メタルハロライドランプ、キセノンランプ、低圧殺
菌ランプ等が用いられる。
【0073】紫外線の照射量は、親水性モノマー及び疎
水性モノマーの種類、下塗り層中の光重合開始剤の存在
量によって異なるが、100mJ/cm2 〜20J/c
2が適当である。酸素阻害を防止するために、不活性
ガス雰囲気下あるいは透明プラスチックフィルム、ガラ
ス板等によるラミネートで酸素を遮断した状態で活性光
線照射を行う事が好ましい。
【0074】親水性モノマー及び疎水性モノマーの種類
によっては、任意の後処理を行って重合後の官能基の安
定化を行うことが好ましい。例えば、カルボン酸基、ス
ルホン酸基、リン酸基を有するモノマーを用いた場合に
は、アルカリ処理を行って、当該カルボン酸基等をアル
カリ金属又はアルカリ土類金属の塩としておくことが好
ましい。
【0075】上記アルカリ処理には、例えば、炭酸ナト
リウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、炭酸マグネシウム等の水溶
液又はアルコール溶液等を用いることが出来る。上記ア
ルカリ溶液の濃度は表面層が侵されないように、0. 1
〜5重量%であることが好ましい。本発明の表面処理を
行った後は、水洗等によって基材上の余剰付着物を除去
することが好ましい。
【0076】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施例を説明す
る。 (実施例1) <重合性不飽和基を有する光重合開始剤(化合物(1
8))の合成>冷却管および窒素導入管を備えたガラス
容器内を窒素置換を行い、テトラヒドロフラン(TH
F)30gを入れ、化学式(17)で示す4−(2−ヒ
ドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−
プロピル)ケトン(チバ・ガイギー社製、イルガキュア
ー2959)10.0g(4.46×10-2mol)を
溶解させた。化学式(16)で示す2−メタクリロキシ
エチルイソシアネート(昭和電工社製、カレンズMO
I)6.92g(4.46×10-2mol)を添加して
均一な溶液とし、触媒としてジラウリン酸ジ−n−ブチ
ルスズ90mgを滴下しながら室温にて攪拌を行った。
反応溶液の温度は数分で上昇した。3時間室温で攪拌を
続けた後、反応系を50℃に保って3時間放置して、化
学式(18)で示される生成物の反応を完結させた。
【0077】
【化16】
【0078】
【化17】
【0079】
【化18】
【0080】減圧によってTHFを除去して固形状の生
成物を得た。生成物のIRスペクトルをKBr錠剤法に
よって測定した。原料の2−メタクリロキシエチルイソ
シアネートに由来する2280cm-1付近のイソシアネ
ート基に由来する吸収は消失し、生成物のウレタン結合
中のNH基に由来する吸収が3400cm-1付近(NH
伸縮)および1550cm-1付近(NH変角)に観察さ
れた。以上のことから生成物が化学式(18)で示され
る構造を持つことが確認された。
【0081】<光重合開始部を有する高分子(20)の
重合>冷却管および窒素導入管を備えたガラス容器内を
窒素置換を行い、メチルエチルケトン(MEK)80g
を入れ、化合物(18)5.01g(1.32×10 -2
mol)を溶解させ、化学式(19)で示すメタクリル
酸メチル(MMA)11.87g(1.19×10-1
ol)を添加して均一な溶液とした。反応系を60℃に
加熱し、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)85
mgをMEK2gに溶解させた溶液を添加して3時間重
合を行わせた。AIBNのMEK溶液を添加して3時間
重合を行わせる操作を3回行い、9時間重合させて重合
体(20)を得た。
【0082】
【化19】
【0083】
【化20】
【0084】
【化21】
【0085】反応溶液を多量のヘキサン中に投じて重合
体(20)を析出させて濾別した。メタノールで洗浄し
て、未反応の化学式(18)で示される生成物を除去し
た。得られた重合体(20)は14.15g(収率8
7.6%)であった。得られた重合体(20)をGPC
によって測定した。重量平均分子量Mw=84,00
0、分子量分布Mw/Mn=3.0であった。 1H−N
MRによって重合体(20)における化合物(18)の
導入率を調べたところ、16モル%であった。
【0086】<親水性モノマー溶液の調製>イオン交換
水3.5gに2−アクリルアミド−2−メチルプロパン
スルホン酸(日東化学社製、TBAS−Q、以下「親水
性モノマーA」という。)1.0g、炭酸ナトリウム
0.26gを加えて攪拌し、発生する二酸化炭素を十分
に除去した。さらに、架橋剤としてN,N’−ビスメチ
レンアクリルアミド0.09g(和光純薬社製)を加え
て親水性モノマーAの水溶液を調製した。
【0087】<疎水性モノマー溶液の調整>イソプロパ
ノール4.0gにパーフルオロオクチルエチルアクリレ
ート(共栄社化学製,FA−108、以下「疎水性モノ
マーA」という。)1.0gを加えて攪拌し疎水性モノ
マーBの溶液を調整した。 <親水性モノマー及び疎水性モノマー溶液の調整>親水
性モノマーAの水溶液5gに対し、疎水性モノマーBの
溶液2.5gを加えて攪拌し、親水性モノマー及び疎水
性モノマーからなる溶液(「混合モノマー溶液」とい
う)を調整した。
【0088】<下塗り層形成>上記操作によって得られ
た化合物(15)1.0gをMEK4.0gに溶解さ
せ、メイヤーバーを用いてアクリル板(三菱レイヨン社
製、アクリライトEX、3mm厚)上に塗布した。80
℃で2分間乾燥させて、光重合開始部を有する高分子の
層(乾燥後の厚さ4.4μm)を設けた。
【0089】<グラフト重合>上記混合モノマー溶液
0.2mlを、下塗り層上にポッティング塗布し、光源
として高圧水銀灯を用いて紫外線を5秒間(1J/cm
2 )照射して、グラフト重合を行わせた後、流水により
表面の余剰付着物を洗い流して乾燥させ、基材に表面処
理を施した。
【0090】(実施例2、3)基材として、アクリル板
に代えて、実施例2はポリカーボネート板(旭ガラス社
製、レキサン、3mm厚)、実施例3はポリ塩化ビニル
板(三協化成社製、サンプレート、3mm厚)を用いた
こと以外は、実施例1と同様にして基材に表面処理を施
した。
【0091】(実施例4、5)親水性モノマー溶液の調
製において、親水性モノマーとして実施例4はアクリル
酸(キシダ化学社製、以下「親水性モノマーB」とい
う)、実施例5はN,N’−ジメチルアクリルアミド
(興人社製、以下「親水性モノマーC」という)を用
い、親水性モノマー溶液を調製したこと以外は、実施例
1と同様にして基材に表面処理を施した。
【0092】(実施例6〜8)疎水性モノマー溶液の調
製において、疎水性モノマーとして実施例6はトリフル
オロアクリレート(ダイキンファインケミカル研究所
製、「疎水性モノマーB」)、実施例7はラウリルアク
リレート(共栄社化学製、「疎水性モノマーC」)、実
施例8はステアリルアクリレート(共栄社化学製、「疎
水性モノマーD」)を用い、疎水性モノマー溶液を調製
したこと以外は、実施例1と同様にして基材に表面処理
を施した。
【0093】(実施例9、10)親水性モノマー溶液の
調製において、架橋剤として実施例9はウレタンアクリ
レートオリゴマー(新中村化学社製、UA−W2)、実
施例10はウレタンアクリレートオリゴマー(新中村化
学社製、UA−W1)、を用い、親水性モノマー溶液を
調製したこと以外は、実施例1と同様にして基材に表面
処理を施した。
【0094】(比較例1)混合モノマー溶液を親水性モ
ノマーA水溶液のみとして用いたこと以外は、実施例1
と同様に基材に表面処理を施した。 (比較例2)混合モノマー溶液を親水性モノマーB水溶
液のみとして用いたこと以外は、実施例1と同様に基材
に表面処理を施した。 (比較例3)混合モノマー溶液を親水性モノマーC水溶
液のみとして用いたこと以外は、実施例1と同様に基材
に表面処理を施した。 (比較例4)混合モノマー溶液を疎水性モノマーA溶液
のみとして用いたこと以外は、実施例1と同様に基材に
表面処理を施した。 (比較例5)混合モノマー溶液を疎水性モノマーB溶液
のみとして用いたこと以外は、実施例1と同様に基材に
表面処理を施した。 (比較例6)混合モノマー溶液を疎水性モノマーC溶液
のみとして用いたこと以外は、実施例1と同様に基材に
表面処理を施した。 (比較例7)混合モノマー溶液を疎水性モノマーD溶液
のみとして用いたこと以外は、実施例1と同様に基材に
表面処理を施した。 (比較例8)親水性モノマー溶液A調整の際に架橋剤を
添加しないこと以外は、実施例1と同様に基材に表面処
理を施した。
【0095】以上全ての実施例、比較例では、グラフト
重合の際に1mm厚のスライドグラスによるラミネート
を行っている。実施例1〜10及び比較例1〜8の表面
処理を施した基材について、対水接触角、基材密着性、
耐汚染性及び外観の評価を行った。結果を表1に示す。
外観は、透明平滑なものを○、透明性と平滑性の少なく
とも何れかに欠けるものを×とした。
【0096】<対水接触角評価>表面処理を施した基材
について、室温23℃、湿度50%の室内で、接触角計
(協和界面科学社製、CA−X150)を用いて液滴法
によって3点測定を行った。平均値を表1に示す。な
お、表面に親水性モノマーがグラフト重合される前の下
塗り層(実施例1)に紫外線を1J/cm2 照射した基
材について、同様に接触角を測定したところ、61.2
度であった。
【0097】<基材密着性評価>表面処理を施した基材
の表面に、JIS−K5400に従ってカッターで傷を
入れて1mm角の基盤目を100個作り、セロハン粘着
テープ(積水化学社製、#252、25mm幅、SP粘
着力:750gf/25mm幅)を付着させた。このテ
ープの一端を基材の表面に直角に保ち、瞬間的に剥離し
て残った基盤目の数を示す。100個の基盤目全てが剥
離した状態が0、全て剥離しない状態が100である。
【0098】<耐汚染性評価>表面処理を施した基材の
表面(7cm×5cm)に、イオン交換水10g、カー
ボンブラック(ホルベイン工業製)、0.5g、ディー
ゼルオイル0.5gの混合水溶液を1g塗布し、室温で
24時間乾燥後、水洗を行った。汚染物質の除去性を評
価した結果を表1に示す。評価は目視により次のように
行った。 ○:完全に除去 △:ほほ除去される ×:除去され
ない
【0099】
【表1】
【0100】
【発明の効果】本発明の基材の表面処理方法において、
基材上に設けられた光重合開始部を含有する下塗り層の
表面に、親水性モノマー及び疎水性モノマー及び分子内
に二以上の不飽和性基を有する架橋剤を接触させた状態
で、該親水性モノマー及び疎水性モノマー及び上記架橋
剤のグラフト重合反応を行わせることによって、親水性
モノマーを架橋させているため、親水性に優れかつ厚み
が厚い塗膜が得られるので水洗によって塗膜が膨潤し、
油状成分の除去を容易とし、かつ疎水性モノマーによっ
て、粒子成分の塗膜内部への進入を抑制することがで
き、親水性、耐汚染性に優れた各種機能を与えることが
できた。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材上に設けられ、光重合開始剤を含有
    する下塗り層の表面に、親水性モノマー及び疎水性モノ
    マー並びに分子内に二以上の不飽和性基を有する架橋剤
    を接触させた状態で活性光線を照射することにより、該
    親水性モノマー及び疎水性モノマー並びに上記架橋剤の
    グラフト重合反応を行わせることを特徴とする基材の表
    面処理方法。
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