JP2000072904A - 活性エネルギー線を用いる表面処理方法 - Google Patents
活性エネルギー線を用いる表面処理方法Info
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Abstract
雰囲気の置換や活性エネルギー線を透過する透明材での
被覆が不用であり、かつ曲面の基材への処理が容易であ
ること、更には重合した塗膜において、ラジカル重合性
単量体のグラフト化量が多く、活性エネルギー線照射に
より副生する単独重合体の洗浄が容易であり、また優れ
た外観の処理面を得ることができる活性エネルギー線を
用いる表面処理方法を提供する。 【解決手段】 基材に光重合開始基含有化合物ないし光
重合開始基含有重合体を含む層を形成し、その層上にラ
ジカル重合性単量体を含む組成物を接触させ、その組成
物に活性エネルギー線を照射する表面処理方法におい
て、ラジカル重合性単量体を含む組成物が粘性付与物
質、特に分子量が50〜5000である粘性付与物質を
含有することを特徴とする活性エネルギー線を用いる表
面処理方法。
Description
どの基材の表面を改質するための活性エネルギー線を用
いる表面処理方法に関する。更に詳細には、酸素による
ラジカル重合性単量体の重合阻害を防止するために従来
行われている窒素などの不活性ガスによる重合雰囲気の
置換や活性エネルギー線を透過する透明材での被覆が不
用であり、ラジカル重合性単量体のグラフト化量が多
く、活性エネルギー線照射により副生する単独重合体の
洗浄が容易であり、曲面の基材への処理が容易であり、
また優れた外観の処理面を得ることができる活性エネル
ギー線硬化性の表面処理剤及びそれを用いる表面処理方
法に関するものである。
性、撥油性、印刷性、塗装性、接着性、帯電防止性、防
曇性、防汚性などの性質を付与する処理方法の1つとし
て光グラフト重合が知られている。例えば、基材上に形
成された光開始基を有する疎水性重合体の層上に、親水
性単量体からなる群より選ばれる少なくとも1種を接触
させて活性エネルギー線を照射する防曇膜の製造方法が
開示されている(特開平10−45927号公報)。ま
たポリビニルアルコールやポリビニルピロリドンなどの
高分子化合物をラジカル重合性化合物の水溶液に添加し
て液粘度を増加させたものを高分子フィルム、例えばポ
リ塩化ビニルフィルムの片面に塗布し、次にフィルムの
他方の面より回転する円筒状の光源から活性エネルギー
線を照射することにより前記高分子フィルムから水素を
引き抜いてグラフト化する該高分子フィルムの改質方法
が開示されている(特開昭54−74870号公報)。
10−45927号公報に記載の方法では、粘度が低い
ため薄膜しか形成できず、十分な性能を得るためには、
照射する雰囲気を窒素置換などにより酸素を除去するこ
とが必要であった。また、特開昭54−74870号公
報に記載の方法では、光照射により単量体のグラフト化
重合が進行するが、基材となる高分子フィルムを幹にし
てグラフト化するためグラフト化量が不十分である。ま
た光照射により単量体水溶液全体が増粘ゲル化するため
に、副生する単独重合体の洗浄が困難となり、その結果
として洗浄にむらができて処理面が外観不良となる。ま
た、単量体水溶液が高粘度であるために、熱等の原因で
少量のラジカルが発生した場合に、ラジカル重合の自動
加速効果により液全体が増粘・ゲル化して使用不能とな
り易い。このために、室温で比較的長期間(1週間以
上)保存した後の単量体水溶液の使用が困難となること
があった。
に塗布する方法としては流し塗りやバーコーター等で塗
布することができるものの、スプレーで塗布した場合に
は溶液が微粒化せずに、いわゆる糸引き状態となり作業
が困難となる。そのために、塗布する基材が平面板に限
定されるという問題点があった。この発明は、上記のよ
うな従来技術に存在する問題に着目してなされたもので
ある。その目的とするところは、重合前において、ラジ
カル重合性単量体を含む組成物のスプレー塗布が可能で
あり、かつラジカル重合性単量体を含む組成物の経日安
定性にも優れていること、そして重合の際において、窒
素などの不活性ガスによる重合雰囲気の置換や活性エネ
ルギー線を透過する透明材での被覆が不用であり、かつ
曲面の基材への処理が容易であること、更には重合した
塗膜において、ラジカル重合性単量体のグラフト化量が
多く、活性エネルギー線照射により副生する単独重合体
の洗浄が容易であり、また優れた外観の処理面を得るこ
とができる活性エネルギー線を用いる表面処理方法を提
供することにある。
を解決する方法を求めて鋭意研究した結果、本発明を完
成した。即ち、第1の発明の活性エネルギー線を用いる
表面処理方法は、基材に光重合開始基含有化合物ないし
光重合開始基含有重合体を含む層を形成し、その層上に
ラジカル重合性単量体を含む組成物を接触させ、その組
成物に活性エネルギー線を照射する表面処理方法におい
て、ラジカル重合性単量体を含む組成物が粘性付与物質
を含有することを特徴とするものである。第2の発明の
活性エネルギー線を用いる表面処理方法は、第1の発明
において、粘性付与物質の分子量が50〜5000であ
る。第3の発明の活性エネルギー線を用いる表面処理方
法は、第1又は第2の発明において、上記ラジカル重合
性単量体を含む組成物の25℃における粘度が5〜10
00cpsである。第4の発明の活性エネルギー線を用
いる表面処理方法は、第1、第2又は第3の発明におい
て、前記粘性付与物質が下記構造のグリセリン誘導体で
ある。
〜22のアシル基、R2は水素原子、炭素数1〜22の
アシル基または
ある。)
いて詳細に説明する。この発明の活性エネルギー線を用
いる表面処理方法は、基材上に形成された光重合開始基
含有化合物ないし光重合開始基含有重合体を含む下層の
上に、粘性付与物質を含有させたラジカル重合性単量体
を含む組成物である上層を接触させて活性エネルギー線
を照射することにより実施され、最終的に得られる膜は
二層構造となる。即ち、基材上に形成される層に含まれ
る光重合開始基含有化合物は活性エネルギー線照射によ
りラジカルを発生し、それが層を形成する化合物から水
素を引き抜いて発生したラジカルを出発点としてラジカ
ル重合性単量体をグラフト共重合することにより、また
層中に含まれるラジカル重合性単量体と上記ラジカル重
合性単量体を含む組成物中のラジカル重合性単量体との
グラフト共重合体を生成することにより基材を表面処理
するものである。さらには、層に光重合開始基含有重合
体を含ませた場合には光重合開始剤断片を出発点として
ラジカル重合性単量体をグラフト共重合することにより
基材を表面処理するものである。
おいて、上層にはラジカル重合性単量体を含む組成物
(以下、組成物ロと略記する。)が塗布されるが、そこ
で用いられる各成分について説明する。前記粘性付与物
質とは、前記ラジカル重合性単量体若しくはラジカル重
合性単量体を溶解できる溶剤と任意に混合することが可
能な下記(ア)〜(シ)の疎水性または親水性の化合物
である。 (ア)下記(I)〜(XIII)の疎水性単官能ラジカル重
合性単量体、1)〜15)の親水性単官能ラジカル重合
性単量体、(a)〜(g)の多官能ラジカル重合性単量
体からなる群から選ばれる1種以上の単量体から形成さ
れる単独重合体または共重合体。
チル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メ
タクリル酸ステアリル、メタクリル酸ヒドロキシエチル
などの炭素数が1〜22のアルキル基を持つ(メタ)ア
クリル酸エステル。 (II)フマル酸ジメチル、フマル酸メチルエチル、フマ
ル酸モノメチル、フマル酸ジイソプロピル、イタコン酸
ジメチル、イタコン酸モノイソプロピル、イタコン酸ブ
チルエチルなどの不飽和ジカルボン酸エステル。 (III)スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレ
ンなどのスチレン誘導体。 (IV)酢酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル。 (V)N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマ
レイミドなどのN−置換マレイミド。 (VI)メチルビニルケトン、ブチルビニルケトンなどの
不飽和ケトン。 (VII)メチルビニルエーテル、アリルビニルエーテル
などのビニルエーテル。 (VIII)アリルフェニルエーテル、アリルメチルエーテ
ル、プロピオン酸アリルなどのアリル化合物。 (IX)ポリスチレン系、ポリメチルメタクリレート系、
ポリブチルアクリレート系、シリコーン系などのメタク
リロイル基を有するマクロモノマー(例えば、東亜合成
(株)製の商品名:AS−6、AN−6、AA−6、A
B−6、AK−5が挙げられる。)。 (X)下記構造に代表されるフッ素含有単量体。
fはC6F13,C8F17,C12F35,C1 6F33などのパーフ
ルオロアルキル基である。) (XI)チッソ製「サイラプレーンFM−0711」、
「サイラプレーンFM−0721」、「サイラプレーン
FM−0725」に代表されるシリコーン系単量体。 (XII)γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシ
シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラ
ンなどのシランカップリング剤系単量体。 (XIII)N−ステアリルアクリルアミド、N−ラウリル
アクリルアミドなどの長鎖アルキル基を有するN−置換
アクリルアミド。
マル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、β−
(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサク
シネートなどの不飽和カルボン酸。 2)マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン
酸無水物、4−メタクリロキシエチルトリメリット酸無
水物などの不飽和酸無水物。 3)ヒドロキシフェノキシエチル(メタ)アクリレー
ト、エチレンオキサイドの付加モル数が2〜90のヒド
ロキシフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アク
リレート、プロピレンオキサイドの付加モル数が2〜9
0のヒドロキフェノキシポリプロピレングリコール(メ
タ)アクリレート、ビニルフェノール、ヒドロキシフェ
ニルマレイミドなどのフェノール基含有単量体。 4)スルホキシエチル(メタ)アクリレート、スチレン
スルホン酸、アクリルアミド−t−ブチルスルホン酸、
(メタ)アリルスルホン酸などのスルホン酸基含有単量
体。 5)モノ−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシ
ッドホスフェートなどのリン酸基含有単量体。
ミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−
イソプロピル(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモ
ルホリン、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)ア
クリルアミド、(メタ)アクリルアミド、N−メチロー
ル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミ
ド。 7)N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレー
トなどのアミノアルキル(メタ)アクリレート。 8)2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジ
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロ
キシアルキル(メタ)アクリレート。 9)エチレンオキサイドの付加モル数が2〜98のポリ
エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エチレ
ンオキサイドの付加モル数が2〜98のメトキシポリエ
チレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エチレン
オキサイド付加モル数が2〜98のフェノキシポリエチ
レングリコールモノ(メタ)アクリレート、エチレンオ
キサイド付加モル数が1〜4のノニルフェノールモノエ
トキシレート(メタ)アクリレート、メトキシエチルア
クリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)ア
クリレートなどのポリオキシエチレンのモノ(メタ)ア
クリレート。
塩、スチレンスルホン酸ナトリウム、スルホン酸ナトリ
ウムエトキシ(メタ)アクリレート、アクリルアミド−
t−ブチルスルホン酸のナトリウム塩などの酸基含有単
量体のアルカリ金属塩。 11)(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルトリメチル
アンモニウムクロライド、(メタ)アクリル酸ヒドロキ
シプロピルトリメチルアンモニウムクロライドなどの四
級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート。 12)アリルグリコール、エチレンオキサイド付加モル
数が3〜32のポリエチレングリコールモノ(メタ)ア
リルエーテル、メトキシポリエチレングリコールモノア
リルエーテルなどの(メタ)アリル化合物。 13)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタ
ムなどの環状複素環含有化合物。 14)アクリロニトリル、メタクリロニトリル、シアン
化ビニリデンなどのシアン化ビニル。 15)化学式化6〜化12で例示される反応性乳化剤。
キシアルキレン基を表しm,nはそれぞれ1〜100、
R3又はR4:炭素数1〜22のアルキル基]
ルAIS−112およびAIS−212、花王(株)製
のラテムルS−180、180−A、日本乳化剤(株)
製のAntox−MS−2N、Antox−MS−6
0、RA−4211、三洋化成(株)製のエレミノール
JS−2、RS−30、第一工業製薬(株)製のアクア
ロンHS−20、HS−10、HS−5、ニューフロン
テアA−229E、旭電化工業(株)製のSE−10N
などを挙げることができる。
ト、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチ
レングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロ
パントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラ
メタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタク
リレート、出光石油化学製のフォスファゼン系6官能メ
タクリレートである「PPZ」などの多官能メタクリレ
ート。 (b)エチレングリコールジアクリレート、ジエチレン
グリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジ
アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレー
ト、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペン
タエリスリトールヘキサアクリレートなどの多官能アク
リレート。 (c)メチレンビスアクリルアミド、エチレンビスアク
リルアミドなどの多官能アクリルアミド。 (d)メチレンビスマレイミド、フェニレンビスマレイ
ミドなどの多官能マレイミド。
ル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、ポリエチ
レングリコールジアリルエーテル、フタル酸ジアリル、
シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリルなど
の多官能アリル化合物。 (f)ジビニルベンゼン、アジピン酸ジビニル、ジビニ
ルエーテルなどの多官能ビニル化合物。 (g)コロイダルシリカをγ−メタクリロキシプロピル
トリメトキシシランなどのシランカップリング剤で変成
したメタクロイル変成コロイダルシリカ。
ビニルアルコール。 (ウ)油溶性ないし水溶性のポリアミド。 (エ)三井化学(株)製「三井ハイワックス」、三菱化
学(株)製「ダイヤレン30」、三洋化成(株)製「サ
ンワックス」、日本石油(株)製「日石レクスポー
ル」、BASF社製「A−Wax」、イーストマン・ケ
ミカル社製「エポレン」などに代表されるポリエチレン
ワックス、三洋化成(株)製「ビスコール」、チッソ
(株)製「ビスタック」に代表されるポリプロピレンワ
ックスなどのポリオレフィンワックス。 (オ)ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサ
イド、ポリエチレンオキサイドとポリプロピレンオキサ
イドとのブロック共重合体などのポリアルキレン オキサイド。 (カ)グリセリン、ジグリセリン、テトラグリセリン、
ヘキサグリセリン、デカグリセリンなどのポリグリセリ
ンおよびテトラグリセリンモノステアレート、ヘキサグ
リセリントリオレート、ペンタグリセリンペンタラウレ
ートなどの下式で表されるポリグリセリンに代表される
グリセリン誘導体。
〜22のアシル基、R2は水素原子、炭素数1〜22の
アシル基または
ある。)
ートなどのセルロースアセテート、セルロイド、粉末セ
ルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒド
ロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導
体。 (ケ)クマロンプラスチック、フェノキシプラスチッ
ク、ポリブテン、液状ポリブタジエン、ブタジエンゴム
(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリ
ロニチリルブタジエンゴム(NBR)などの液状ゴム、
石油樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂などのオリゴマ
ー。 (コ)アルミナゾル。 (サ)シリカゲル。
ーガム、アラビアゴム、トラガントガム、タマリンド種
子、ゼラチンなどの天然高分子。使用するラジカル重合
性単量体の極性などの性状に応じて、これらの中からそ
れぞれ適応する粘性付与物質が選ばれる。例えば、親水
性のラジカル重合性単量体の場合はグリセリン誘導体、
ポリエチレングリコール類、親水性ラジカル重合性単量
体より形成される重合体などを、疎水性のラジカル重合
性単量体の場合は疎水性ラジカル重合性単量体より形成
される重合体やポリオレフィンワックスなどを、フッ素
系単量体の場合はポリメタクリル酸ステアリルなどを適
宜用いることができる。組成物ロに粘性付与物質を含有
させることにより、組成物ロの液膜の形態保持性、ラジ
カル重合性単量体のグラフト重合効率を高めることがで
きる。この粘性付与物質の分子量としては特に限定され
ないが、経日安定性、スプレーによる塗工性や活性エネ
ルギー線照射により副生する単独重合体の洗浄性をさら
に良好にするために、粘性付与物質として分子量が50
〜5000のものを使用することが好ましい。
0重量%が好ましく、1重量%未満では活性エネルギー
線照射によるラジカル重合性単量体のグラフト重合効率
や塗布した液膜の安定性が悪くなり、また、50重量%
を越えると塗布性や経日安定性が低下する傾向にある。
前記ラジカル重合性単量体とは、前記(I)〜(XIII)
の疎水性単官能ラジカル重合性単量体、1)〜15)の
親水性単官能ラジカル重合性単量体、(a)〜(g)の
多官能ラジカル重合性単量体が挙げられ、これらの単量
体の中から適宜その1種を単独でまたは2種以上を混合
して使用することができる。
らの中からそれぞれ適応する単量体が選ばれる。例え
ば、親油性や吸油性を付与するためにはメタクリル酸ス
テアリルやイタコン酸ジラウリル、N−ステアリルアク
リルアミドなどの長鎖アルキル基を有する疎水性単量体
やポリエチレンマクロモノマーなどを、親水性、吸水性
や防曇性を付与するためにはアクリルアミド、アクリル
アミド−t−ブチルスルホン酸、N−ビニルピロリドン
などの親水性単量体を、撥水性撥油性を付与するために
はフッ素含有モノマーを、防汚性を付与するためにはシ
リコーン系単量体を、帯電防止性を付与するには四級ア
ンモニウム塩系単量体を適宜用いることができる。組成
物ロ中のラジカル重合性単量体成分の量は組成物全体に
対して5〜60重量%が好ましい。5重量%未満では活
性エネルギー線照射によるラジカル重合性単量体のグラ
フト重合効率が悪くなり、また、60重量%を越えると
塗布性や経日安定性が低下する傾向にある。組成物ロ中
のラジカル重合性単量体及び粘性付与物質の合計濃度は
5〜100重量%、より好ましくは20〜100重量%
である。組成物ロ中にはラジカル重合性単量体や粘性付
与物質を溶解し、かつ光重合開始基含有化合物ないし光
重合開始基含有重合体を含む層が溶解しないような溶媒
で希釈して用いてもよい。前記溶媒としては特に限定さ
れないが、例えば、水、メタノール、アセトン、メチル
エチルケトン等の極性溶媒、ヘキサン、ヘプタン、トル
エン、キシレン、鉱油等の非極性溶媒が挙げられる。
に用いられる添加剤を含有していてもよい。そのような
添加剤としては、例えば、過ヨウ素酸ナトリウムやリポ
フラビンなどの酸素トラップ剤、光重合開始剤、硬化
剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、チタネートカップリ
ング剤、シランカップリング剤や界面活性剤等が挙げら
れる。組成物ロの粘度は特に限定されないが、経日安定
性、スプレー塗工性や活性エネルギー線照射後の重合物
の水洗性をさらに良好にするために、5〜1000cp
sの範囲にあることが好ましい。
記の方法で得ることができる。 (i)光重合開始剤、光重合開始基を有する単量体、光重
合開始基を有する単量体の単独重合体ないし共重合体
(以下、光重合開始剤等と略記する。)からなる群から
選ばれる1種以上を含有する組成物(以下、組成物イと
略記する。)を基材に塗布することにより層を形成す
る。 (ii)光重合開始基を有さず、かつ官能基を有する重合体
の表面に、化学反応によって光開始基を導入する方法。
具体的には、ヨーロピアン・ポリマー・ジャーナル(E
ur.Polym.J.),29巻、63頁,1993
年、及び、ポリマー・マテリアル・サイエンス・アンド
・エンジニアリング(Polym.Mater.Sc
i.Eng.),60巻,1頁,1989年などに記載
の方法である。 即ち、水酸基を有する基材に、アルコ
キシシリル基を有する光重合開始剤を反応させる方法等
である。
るため好ましい。ここで、光重合開始剤とは、活性エネ
ルギー線の照射によりラジカルを発生させる基を有する
化合物をいい、その具体例を例示すると例えば、4−フ
ェノキシジクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2
−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンなどのアセ
トフェノン誘導体、ベンゾイン、ベンゾインイソプロピ
ルエーテルなどのベンゾイン誘導体、ベンゾフェン、4
−フェニルベンゾフェノンなどのベンゾフェノン誘導
体、チオキサントン、イソプロピルチオキサントンなど
のチオキサントン誘導体、2,4,6−トリメチルベン
ゾイルジフェニルホスフィンオキサイドなどのアシルホ
スフィンオキサイド類、3,3’,4,4’−テトラ
(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンな
どの過酸化物類、(η6-ベンゼン)(η5-シクロペンタ
ジエニル)鉄(II)のヘキサフルオロフォスフェート塩
などの鉄−アレン化合物類などが挙げられる。
有する単量体を具体的に示すと、S−(メタ)アクリロ
イル−O−メチルキサンテート、S−(メタ)アクリロ
イル−O−エチルキサンテート、S−(メタ)アクリロ
イル−O−プロピルキサンテートなどのキサンテート
類、2,2’−アゾビス[2−(アクリロイルオキシメ
チル)プロピオニトリル]、2,2’−アゾビス[2−
(メタクリロイルオキシメチル)プロピオニトリル]な
どのアゾ化合物、1−{4−(2−(メタ)アクリロイ
ルオキシエトキシ)フェニル}−2−ヒドロキシ−2−
メチルプロパン−1−オン、{4−(2−(メタ)アク
リロイルオキシエトキシ)フェニル}(1−ヒドロキシ
シクロヘキシル)ケトン、1−{4−(2−(メタ)ア
クリロイルオキシエトキシ)フェニル}−2−モルホリ
ノ−2−メチルプロパン−1−オン、1−{4−(2−
(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル}−2
−ジメチルアミノ−2−メチルプロパン−1−オンなど
のケトン化合物などが例示される。これらの化合物をそ
のまま用いて光重合開始基含有化合物を含む層を形成す
るか、又は単独重合体若しくは共重合体として用いて光
重合開始基含有重合体を含む層を形成する。
る場合には、光重合開始基を有する単量体の他に、光重
合開始基を有しない単量体の1種又は2種以上を併用し
て形成することができる。特に、光重合開始基を有しな
い単量体を用いることは、基材との密着性や機械的強度
が不十分となる場合、これらの物性を改良する目的で使
用される。前記光重合開始基を有しない単量体は特に限
定されず、具体的には、前記(I)〜(XIII)の疎水性
単官能ラジカル重合性単量体、1)〜15)の親水性単
官能ラジカル重合性単量体、(a)〜(g)の多官能ラ
ジカル重合性単量体が例として挙げられる。例えば、下
記に示す基材との密着性を改良する場合には、次の光重
合開始基を有しない単量体を使用することが好ましい。
即ち、基材にガラスを用いる場合にはγ−メタクリロキ
シプロピルメトキシシランを、基材にメタクリル樹脂板
や塩ビシートを用いる場合にはメタクリル酸メチルを、
基材にエポキシ樹脂を用いる場合にはメタクリル酸グリ
シジルを、基材にポリオレフィンシートを用いる場合に
はメタクリル酸ステアリルを、基材にポリスチレン板を
用いる場合にはスチレンがそれぞれ挙げられる。
物は、層としての形態保持性、基材との密着性や塗工性
を得るために、通常高分子化合物や溶剤などのその他の
化合物と混合して用いるが、上記した層としての要件を
充たす場合には、単独でも使用することができる。前記
その他の化合物としては、溶剤に可溶性で光重合開始剤
等と均一混合ないし分散することが可能であるという条
件を満たす限り、有機低分子化合物、有機高分子化合
物、無機低分子化合物、無機高分子化合物を問わずに各
種の化合物を適宜用いることができる。前記有機低分子
化合物の具体例を示すと、例えば、デカンなどの飽和炭
化水素、トルエン、ナフタレン、アントラセンなどの芳
香族炭化水素、イミダゾール、キサンテンなどの複素環
化合物、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭
化水素、プロピルアルコール、ステアリルアルコールな
どのアルコール類、フェノール、クレゾールなどのフェ
ノール、エチルグリシジルエーテルなどのエーテル、プ
ロピオンアルデヒドなどのアルデヒド、イソブチルメチ
ルケトンなどのケトン、酢酸、アジピン酸などのカルボ
ン酸またはそれらの酸無水物、ベンゼンスルホン酸、硫
酸ジメチル、ドデシルメルカプタンなどの硫黄含有化合
物、エチルアミン、N−メチルアニリン、アセトアミ
ド、アゾベンゼンなどの窒素含有化合物、前記(I)〜
(XIII)の疎水性単官能ラジカル重合性単量体、1)〜
15)の親水性単官能ラジカル重合性単量体、(a)〜
(g)の多官能ラジカル重合性単量体などのラジカル重
合性単量体類が挙げられる。
例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリ酢酸ビニル、ポ
リ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ
メタクリル酸グリシジルなどの疎水性重合体、ポリメタ
クリル酸、ポリメタクリル酸ヒドロキシエチル、ポリ
N,N−ジメチルアクリルアミド、ポリヒドロキシスチ
レン、水溶性ポリアミドなどの親水性重合体が挙げられ
る。前記無機低分子化合物の具体例を示すと、例えば、
過塩素酸カリウム、塩化ナトリウム、ヘキサシアノ鉄
(II)酸カリウムなどの塩類、酸化チタン、酸化銅など
の金属酸化物が挙げられる。前記無機高分子化合物の具
体例を示すと、例えば、コロイダルシリカ、シリコー
ン、ポリホスホニトリルクロライド、ポリアミノボラゾ
ールなどが挙げられる。光重合開始剤等及びその他の化
合物を均一混合して使用するが、塗布性を得るために、
各種の溶剤と均一混合して用いてもよい。
基含有重合体を含む層中には、通常の塗膜を形成する際
に用いられる添加剤を含有してもよい。そのような添加
剤としては、例えば、硬化剤、紫外線吸収剤、レベリン
グ剤、界面活性剤や、コロイダルシリカなどの無機フィ
ラー等が挙げられる。また、基材との密着性を向上させ
るために、通常用いられるシランカップリング剤、チタ
ネートカップリング剤等を添加してもよい。
は、例えば次のような手順に従って行われる。 (A)組成物イを基材上に塗布する。塗布を行った後、
必要により乾燥、熱硬化などを行う。 (B)組成物イからなる下層を形成した基材上に組成物
ロを所定の厚みで塗布する。 (C)活性エネルギー線を照射して、光重合開始基より
ラジカルを発生させ、ラジカル重合性単量体のグラフト
重合を行い、ラジカル重合性単量体の重合体の膜を形成
する。 (D) 未反応のラジカル重合性単量体やラジカル重合
性単量体の単独重合体がある場合など、必要に応じて水
などの溶剤によって洗浄除去する。 (E) 洗浄等で膜に残存した溶剤などを除去するため
必要に応じて乾燥を行う。
いし光重合開始基含有重合体を含む層と組成物ロとを接
触させることが目的である。前記塗布の方法としては、
バーコーター、ロールコーター、カーテンフローコータ
ーやスプレーなどを使用した従来公知の方法が採用でき
る。中でも、基材として曲面の成型品を用いる場合には
スプレーが適しているが、何ら限定するものではない。
なお、接触させる方法としては、前記塗布法以外の従来
公知の方法を用いても良い。
処理方法によれば、酸素によるラジカル重合性単量体の
重合の阻害を防止するために従来行われている窒素など
の不活性ガスによる重合雰囲気の置換や活性エネルギー
線を透過する透明材での被覆を行わなくても、良好に光
グラフト化による表面処理を実施できるが、ラジカル重
合性単量体を含む組成物の雰囲気を窒素などの不活性ガ
スで置換してもまたは、組成物を活性エネルギー線を透
過し、かつ酸素を遮断する材料、例えば、ガラス、石
英、透明プラスチック製の板、フィルム等で覆っても差
し支えない。手順(C)において用いる活性エネルギー
線としては、用いる光重合開始基の分解を進行させるも
のであれば特に限定はされず、紫外線、可視光線、電子
線等が使用される。好ましくは、200〜800nm、
さらに好ましくは、300〜600nmの紫外線及び可
視光線が適当である。光源としては、高圧水銀灯、低圧
水銀灯、ハロゲンランプ、キセノンランプ、エキシマレ
ーザー、色素レーザー、YAGレーザー、太陽光等が挙
げられる。
ク、ガラス、金属やプラスチック成形材料、フィルムな
どの様々な材料が適用できる。ラジカル重合性単量体を
含む組成物中に多官能のアクリレートなどの架橋成分が
含まれている場合などで、活性エネルギー線照射により
組成物全体が十分な強度の塗膜になる場合には、ラジカ
ル重合性単量体、ラジカル重合性単量体の単独重合体、
粘性付与物質などが含まれていても差し支えない。その
ような場合には、前記手順(D)や(E)を省略するこ
とができる。
の発明をさらに具体的に説明するが、この発明はこれに
より限定されるものではない。なお、本文および表中の
%は重量%を表す。また、数平均分子量はゲルパーミエ
ーションクロマトグラフ(GPC)によりテトラヒドロ
フラン、ジメチルホルムアミドまたはトルエンを展開溶
剤として測定した値である。更に、組成物ロの粘度はウ
ベローデ粘度計を用いて25℃にて測定した値である。
シ)エトキシカルボニルオキシ)エトキシ}フェニル]
−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン PI2:メチル[2−{4−(2−ヒドロキシ−2−メ
チル−1−オキソプロピル)フェノキシ}エチル]フマ
レート PI3:ビス[2−{4−(2−ヒドロキシ−2−メチ
ル−1−オキソプロピル)フェノキシ}エチル]イタコ
ネート PI4:1−{4−(2−メタクリロイルエトキシ)フ
ェニル}−2,2−ジメトキシ−2−フェニルエタン−
1−オン PI5:1,2−ジフェニル−1,2−エタンジオン−
2−O−アクリロイルオキシム
ート(信越化学工業(株)製、商品名:KBM−50
3) BP:ベンゾフェノン KIP:光重合開始剤(Fratelli Lambert社製、商品
名:ESACURE KIP100F) BTTB:3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパ
ーオキシカルボニル)ベンゾフェノン(日本油脂(株)
製、光重合開始剤) D2959:光重合開始剤(メルク社製、商品名:イル
ガキュアー2959) PPZ:ホスファゼン系6官能メタクリレート(出光石
油化学(株)製、商品名:出光PPZ)
チルアクリレート SMA:ステアリルメタクリレート DQ−100:メタクリロイルオキシエチルトリメチル
アンモニウムクロライド(共栄社化学(株)製、商品
名:ライトエステルDQ−100) ATBS:アクリルアミド−t−ブチルスルホン酸(東
亜合成(株)製、商品名:ATBS)のナトリウム塩
品名:ラピゾールAIS−112) ポリグリ:ポリグリセリン(坂本薬品工業(株)製、商
品名:ポリグリセリン#500) DMA:N,N−ジメチルアクリルアミド PVP:ポリビニルピロリドン PVA:完全ケン化ポリビニルアルコール(日本合成化
学工業(株)製、商品名 :ゴーセノール NM−14、重合度:1400) HEMA:ヒドロキシエチルメタクリレート MeOH:メタノール LPO:ラウロイルペルオキシド(日本油脂(株)製、
商品名:パーロイルL)
造) 攪拌機、温度計、パージガス導入口、水冷コンデンサー
を備えた300ミリリットルの反応容器に、MEK 5
0gを仕込み、窒素ガス通気下、80℃に加熱した。そ
の後、攪拌しながら、MMA 90g、PI1 10
g、MEK 50g、及び、LPO 5gの混合物を2時
間かけて滴下した。滴下終了後、そのまま4時間攪拌を
続け重合を完結した。得られた溶液を石油エーテル中に
注入してポリマーを析出させた後、乾燥して光重合開始
基含有重合体aを得た。その数平均分子量(表中、Mn
と略記)は21000であった。また、紫外線吸収スペ
クトルから、仕込み量と同量の光重合開始基が重合体中
に導入されていることを確認した。
〜eの製造) モノマーを表1の種類及び量に変える以外は参考例1と
同様に重合を行い、光重合開始基含有重合体b〜eを得
た。
造) 攪拌機、温度計、パージガス導入口、水冷コンデンサー
を備えた300ミリリットルの反応容器に、MEK 8
0gを仕込み、窒素ガス通気下、80℃に加熱した。そ
の後、攪拌しながら、MMA 40g、MEK 80g、
LPO 6g及びチオグリコール酸オクチル 2gの混合
物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、そのまま4時
間攪拌を続け重合を完結した。得られた溶液を石油エー
テル中に注入してポリマーを析出させた後、乾燥して粘
性付与物質であるPMMA−Iを得た。その数平均分子
量(Mn)は3300であった。
造) 攪拌機、温度計、パージガス導入口、水冷コンデンサー
を備えた300ミリリットルの反応容器に、MEK 8
0gを仕込み、窒素ガス通気下、80℃に加熱した。そ
の後、攪拌しながら、DMA 40g、MEK 80g、
LPO 6g及びチオグリコール酸オクチル 2gの混合
物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、そのまま4時
間攪拌を続け重合を完結した。得られた溶液を石油エー
テル中に注入してポリマーを析出させた後、乾燥して粘
性付与物質であるPDMA−Iを得た。その数平均分子
量(Mn)は4500であった。
造) 攪拌機、温度計、パージガス導入口、水冷コンデンサー
を備えた300ミリリットルの反応容器に、ヘプタン8
0gを仕込み、窒素ガス通気下、80℃に加熱した。そ
の後、攪拌しながら、SMA 40g、ヘプタン 80
g、LPO 6g及びチオグリコール酸オクチル 2gの
混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、そのまま
4時間攪拌を続け重合を完結した。得られた溶液を石油
エーテル中に注入してポリマーを析出させた後、乾燥し
て粘性付与物質であるPSMA−Iを得た。その数平均
分子量(Mn)は3000であった。
造) 攪拌機、温度計、パージガス導入口、水冷コンデンサー
を備えた300ミリリットルの反応容器に、MEK 4
0gを仕込み、窒素ガス通気下、80℃に加熱した。そ
の後、攪拌しながら、MMA 120g、MEK 40
g、及びLPO 5gの混合物を2時間かけて滴下し
た。滴下終了後、そのまま4時間攪拌を続け重合を完結
した。得られた溶液を石油エーテル中に注入してポリマ
ーを析出させた後、乾燥して粘性付与物質であるPMM
A−IIを得た。その数平均分子量(Mn)は25000
であった。
製造) 攪拌機、温度計、パージガス導入口、水冷コンデンサー
を備えた300ミリリットルの反応容器に、MEK 4
0gを仕込み、窒素ガス通気下、80℃に加熱した。そ
の後、攪拌しながら、DMA 120g、MEK 40g
及びLPO 5gの混合物を2時間かけて滴下した。滴
下終了後、そのまま4時間攪拌を続け重合を完結した。
得られた溶液を石油エーテル中に注入してポリマーを析
出させた後、乾燥して粘性付与物質であるPDMA−II
を得た。その数平均分子量(Mn)は81000であっ
た。
製造) 攪拌機、温度計、パージガス導入口、水冷コンデンサー
を備えた300ミリリットルの反応容器に、ヘプタン
40gを仕込み、窒素ガス通気下、80℃に加熱した。
その後、攪拌しながら、SMA 120g、ヘプタン 4
0g及びLPO 5gの混合物を2時間かけて滴下し
た。滴下終了後、そのまま4時間攪拌を続け重合を完結
した。得られた溶液を石油エーテル中に注入してポリマ
ーを析出させた後、乾燥して粘性付与物質であるPSM
A−IIを得た。その数平均分子量(Mn)は39000
であった。
を備えた300ミリリットルの反応容器に、MEK 8
0gを仕込み、窒素ガス通気下、80℃に加熱した。そ
の後、攪拌しながら、VP 40g、MEK 80g、L
PO 6g及びチオグリコール酸オクチル 0.5gの混
合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、そのまま4
時間攪拌を続け重合を完結した。得られた溶液を石油エ
ーテル中に注入してポリマーを析出させた後、乾燥して
粘性付与物質であるPVPを得た。その数平均分子量
(Mn)は10500であった。
II 35g、PPZ10g及びPGM 50gの均一混
合物を用い、10cm×10cm、厚さ2mmのポリカ
ーボネート板に、乾燥膜厚が5μmになるようにバーコ
ーターを用いて塗布し、60℃で10分間乾燥した。
次に、得られた塗膜上に組成物ロとしてMAA 20
g、参考例7で得たPDMA−I 5g、及びイオン交換
水75gを均一混合したもの(粘度:12cps)をス
プレーガン(吐出圧力:2kgf/cm 2) を用いて塗布した
ところ、塗布液の微粒化が良好で糸引き等は見られなか
った。続いて、1kW高圧水銀灯により1分間光照射
(光照射量:5J/cm2 )した後、水道流水により水
洗を行ったところ、副生した単独重合体などを容易に除
去することができた。洗浄後、乾燥することにより、無
色透明で表面外観の良好な表面処理膜を得た。
について下記に示す評価方法により物性及び表面に付与
した機能を評価した。評価結果を表4に示した。 (1)粘度測定 (株)東京計器製B型粘度計を用いて25℃における組
成物ロの粘度を測定した。 (2)経日安定性 組成物ロを40℃の恒温槽に放置した後、組成物ロの流
動性を観察し、次の三段階により評価した。 ○:14日後も流動性が良好であった。 △:1〜7日の間にゲル化して流動性がなくなった。 ×:1日後にゲル化して流動性がなくなった。
2.0kgf/cm2で組成物をガラス板上へ組成物ロ
を塗工し、スプレーノズルから出る組成物ロの微粒化の
程度を目視により観察し、次の三段階により評価した。 ○:微粒化が良好であった。 △:粒子が少し大きかった。 ×:糸引きした。 (4)液膜の形態保持性 組成物ロの塗工性の評価で組成物ロを塗工したガラス板
を20゜に傾けて10分放置した後の塗膜の流れ性を目
視で観察して、次の二段階の評価を行った。 ○:塗膜が流動せず安定であった。 ×:塗膜がガラス板から流動した。 (5)光照射後の水洗性 光照射を行った組成物ロをシャワー状のノズルより噴射
される水道水により5分間洗浄し、洗浄の状態を目視で
観察し、次の三段階により評価した。 ○:副製する単独重合体などを容易に除去できた。 △:若干の洗浄残りがあった。 ×:シャワー洗浄では単独重合体などをほとんど除去で
きなかった。
ruments社製)で測定し、増加量をグラフト膜厚(μ
m)として表した。 (8)塗膜硬度 表面処理後の基材について、JIS K−5400に準
じた鉛筆引っかき試験を行い、塗膜硬度を鉛筆の硬さで
表した。 (9)親水性 基材の表面処理前後の水に対する静的接触角を測定し
た。処理前に比べてこの値が低下していることにより、
親水性が付与されていることを確認した。 ○:接触角が低下した。 ×:接触角が基材に近く変化がなかった。
た。 ○:接触角が90゜以上に上昇した。 ×:接触角が基材に近く変化がなかった。 (11)親油性 基材の表面処理前後のデカンに対する静的接触角を測定
した。 ○:接触角が低下した。 ×:接触角が基材に近く変化がなかった。 (12)帯電防止性 基材の表面処理前後の表面固有抵抗をJIS K−69
11に準じて測定した。 ○:表面固有抵抗が低下した。 ×:表面固有抵抗が基材に近く変化がなかった。
温恒湿室内で処理面に息を吹きかけ、曇りの状態を目視
によって次の基準にて判断した。 ○:全く曇らなかった。 △:やや曇りが見られた。 ×:全面が曇った。
たものを用い、組成物ロ及び洗浄溶剤として表3に記載
したものを用い、そして実施例1に準じる方法で表面処
理膜を作り、その物性及び機能等を評価した。評価結果
を表4に示した。
間、b:100℃で15分間を意味している。
たものを用い、組成物ロ及び洗浄溶剤として表6に記載
したものを用い、そして実施例1に準じる方法で表面処
理膜を作り、その物性及び機能等を評価した。評価結果
を表7に示した。
間、b:100℃で15分間を意味している。
わかる。すなわち、比較例1、2の粘性付与物質を含ま
ない組成物ロを使用したものでは、塗工した組成物ロの
粘度が低いため基材からの液垂れが起こり、液膜厚を確
保できない。また、ラジカル重合性単量体のグラフト量
も少なく、付与を試みた性能を発現できていない。
を使用したものでは、組成物ロの経日安定性、スプレー
による塗工性に優れ、微粒化が良好であり、糸引き等が
見られず、かつ塗布を行った液膜は安定であり、液垂れ
等が見られなかった。また、光照射により副生した単独
重合体などを容易に除去することができ、公知の活性エ
ネルギー線を用いる表面処理方法に比べて、作業性、ス
プレーによる塗工性共に優れていることは明らかであ
る。さらには、公知の活性エネルギー線を用いる表面処
理方法に比べて、多量のグラフト重合体を形成できるの
で厚いグラフト膜を得ることができ、且つ、得られた表
面処理膜の表面外観にも優れていることは明らかであ
る。
ば、次のような優れた効果を奏する。 (1)酸素によるラジカル重合性単量体の重合阻害を防
止するために従来行われている活性ガスによる重合雰囲
気の置換や活性エネルギー線を透過する透明材での被覆
を行わなくても、ラジカル重合性単量体を効率よくグラ
フト重合することができ、ラジカル重合性単量体の重合
体よりなる表面処理層を容易に形成することができる。
また、得られた表面処理膜には多量のグラフト重合体が
形成されるので厚いグラフト膜を得ることができ、目的
の性能を充分に発現できる。更に、表面処理膜はラジカ
ル重合性単量体が光重合開始基を有する化合物を含む重
合体の層にグラフト重合することにより形成されるた
め、剥離する恐れがない。しかも、実用的な塗膜強度を
有しているとともに、基材との密着性も良好である。加
えて、ラジカル重合性単量体を含む組成物の塗膜の形態
保持性にも優れており、液垂れなども見られない。
る表面処理方法は、ガラス、鉄やセラミックのような無
機材料または各種プラスチックのような有機材料の表面
に平面や曲面などの基材の形状に関わらず好適に適応で
き、産業上有用である。 (2)適度の分子量の粘性付与物質を組成物ロに含有さ
せることにより、スプレーで塗工を行った場合にも塗液
を良好に微粒化することができる。 (3)活性エネルギー線の照射により副生する単独重合
体を容易に除去できることから、作業性が優れている。 (4)組成物ロは、適度の量の粘性付与物質を含んでい
るので、経日安定性に優れている。 (5)組成物ロに添加する粘性付与物質としてグリセリ
ン誘導体を用いることにより、スプレーによる塗工性及
び組成物ロの経日安定性を向上させ、さらに副生する単
独重合体の除去が容易となる。
Claims (4)
- 【請求項1】 基材に光重合開始基含有化合物ないし光
重合開始基含有重合体を含む層を形成し、その層上にラ
ジカル重合性単量体を含む組成物を接触させ、その組成
物に活性エネルギー線を照射する表面処理方法におい
て、ラジカル重合性単量体を含む組成物が粘性付与物質
を含有することを特徴とする活性エネルギー線を用いる
表面処理方法。 - 【請求項2】 前記粘性付与物質の分子量が50〜50
00である請求項1に記載の活性エネルギー線を用いる
表面処理方法。 - 【請求項3】 前記ラジカル重合性単量体を含む組成物
の25℃における粘度が5〜1000cpsである請求
項1又は請求項2に記載の活性エネルギー線を用いる表
面処理方法。 - 【請求項4】 前記粘性付与物質が下記構造のグリセリ
ン誘導体である請求項1、請求項2又は請求項3に記載
の活性エネルギー線を用いる表面処理方法。 【化1】 (式中、nは0〜20、R1 は水素原子または炭素数1
〜22のアシル基、R2は水素原子、炭素数1〜22の
アシル基または 【化2】 (R1 は水素原子または炭素数1〜22のアシル基)で
ある。)
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---|---|---|---|
JP24576398A JP4366728B2 (ja) | 1998-08-31 | 1998-08-31 | 活性エネルギー線を用いる表面処理方法 |
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-
1998
- 1998-08-31 JP JP24576398A patent/JP4366728B2/ja not_active Expired - Lifetime
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