JP2002309935A - 耐熱鋳鋼製排気系部品 - Google Patents

耐熱鋳鋼製排気系部品

Info

Publication number
JP2002309935A
JP2002309935A JP2001365328A JP2001365328A JP2002309935A JP 2002309935 A JP2002309935 A JP 2002309935A JP 2001365328 A JP2001365328 A JP 2001365328A JP 2001365328 A JP2001365328 A JP 2001365328A JP 2002309935 A JP2002309935 A JP 2002309935A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mold
heat
exhaust system
cast steel
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001365328A
Other languages
English (en)
Inventor
Masami Hatta
雅美 八田
Takayuki Sasai
隆之 笹井
Takayuki Akiyama
貴之 秋山
Tomomi Hayata
智臣 早田
Seishin Ueda
精心 上田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Proterial Ltd
Original Assignee
Hitachi Metals Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Metals Ltd filed Critical Hitachi Metals Ltd
Priority to JP2001365328A priority Critical patent/JP2002309935A/ja
Publication of JP2002309935A publication Critical patent/JP2002309935A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Exhaust Silencers (AREA)
  • Exhaust Gas After Treatment (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄肉の耐熱鋳鋼製排気系部品を欠陥なく製造
することができ、焼成後の高温を維持したまま溶融金属
を鋳込むことができる鋳型の高温強度を有するととも
に、鋳込み後の鋳型の崩壊性に優れて型ばらしの作業性
を向上した鋳型を用い、主要形状部の肉厚が1.5〜3
mmである耐熱鋳鋼製排気系部品を得る。 【解決手段】 焼成後の高温を維持した鋳型にフェライ
ト系耐熱鋳鋼、若しくはオーステナイト系耐熱鋳鋼を注
湯し主要形状部の肉厚が1.5〜3mmである耐熱鋳鋼
製排気系部品を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用内燃機関
等の排気系部品に用いられる、耐熱鋳鋼製排気系部品に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年自動車の居住性確保のために、車体
の寸法を確保したまま、客室寸法を大きくすることが行
われている。そのため、エンジンなどを収容する車体前
部の容積も極力減少させられているが、環境問題への対
応のためにエンジン以外の触媒などの補器類が増加して
きており、その間を縫って排気系部品は配置されるた
め、従来にも増して複雑形状品への要求が高くなってい
る。さらに、排気ガス規制に伴うエンジンの高性能化に
よる排気ガス温度の上昇に対応するため、耐熱性、耐熱
疲労性、耐酸化性に優れた排気系部品に対する需要が高
まっている。また、排気ガス規制により冷間始動時に排
気浄化装置を早く活性化させるための低熱容量化および
軽量化要求のため薄肉化の必要性がある。
【0003】耐熱鋳鋼製排気系部品は、一般に、形状自
由度が高く、近年要求されている高い排ガス温度での耐
熱性、耐熱疲労性、耐酸化性も優れており、排気系部材
としての需要が高まっている。しかしながら耐熱鋳鋼製
品は合金含有量が多く融点も高いことから、鋳鉄鋳物に
比べ鋳造ひけが大きく、湯流れ性も悪いため押し湯の効
果が得にくく、薄肉品の製造は困難であった。特に、最
近は排気系部材の軽量化が進み、例えば、排気系マニホ
ールド主要部の肉厚は平均的には5mm程度、特に薄い所
では3mm以下の肉厚が求められている。
【0004】そのような薄肉の耐熱鋳鋼製品を欠陥な
く、製造するためには、約1500〜1600℃の溶融
金属が接触する鋳型を、出来るだけ高温に保持した状態
で鋳込み、凝固が始まる前に鋳型内への溶融金属の充填
が終了するようにすれば良いとされている。
【0005】溶融金属が鋳込まれる鋳造用鋳型(以下
「鋳造用鋳型」を単に「鋳型」という)には、有機系粘
結剤を用いて造型される、シェルモールド鋳型、コール
ドボックス鋳型などがある。狭い箇所が連続するキャビ
ティに、鋳鋼などの溶融金属を約1500℃〜1600
℃の高温で鋳込むと、鋳込み中に溶融金属の一部が凝固
して湯廻り不良を生じる。また、湯回り性を改善するた
め鋳型を所定の温度に加温すると、有機系粘結剤に含ま
れる有機物が燃えて鋳型の形状を保つことが困難であ
る。さらに、有機物の燃焼に伴って分解ガスが発生し、
鋳込まれた鋳物にガス欠陥が発生しやすい。このため特
に鋳鋼材において薄肉品の鋳造は困難であった。湯廻り
不良の問題を回避する方法として、比較的耐熱性に富む
無機系粘結剤を用いた鋳型を高温に予熱することが考え
られる。しかし、無機系粘結剤は常温における粘結強度
と熱間強度が二律背反の関係にあり、熱間強度を優先さ
せれば常温における粘結強度が不足して造型の効率が悪
くなる。また常温強度を優先させれば、熱間強度が不足
して鋳型を焼成することが現実上不可能となる。また、
いずれの状態においても、高温にさらされた後に室温ま
で下げると鋳型が焼結される特徴があり、無機系粘結剤
を用いた室温の鋳型に溶融金属を鋳込む際には、鋳込み
後の鋳型の崩壊性が極度に悪くなる難点があった。
【0006】これを解決しようと、特開平3−2487
40号公報には、鋳物砂に有機系粘結剤を加えて造型し
た鋳型に、コロイダルシリカに不純物を添加、又は水ガ
ラスにコロイダルシリカを添加して、SiO2/Na2
のモル比が4.5〜6.0となる無機系粘結剤を含浸さ
せ、低温乾燥又は減圧マイクロ波乾燥後、大気中高温下
で有機物を燃焼させ、無機系粘結剤で鋳型形状を保持す
る鋳型造型法の記載がある。また、同公報には、無機系
粘結剤に界面活性剤を添加して、含浸を真空減圧下で行
い、圧力と含浸時間により含浸層の厚さを調整する記載
がある。また同公報には、コロイダルシリカはSiO2
含有率が極めて高いため、常温における抗折力が極めて
低く、鋳型として用いることができず、一方、水ガラス
(SiO2/Na2Oのモル比約4.3)や珪酸ソーダ
(約2.4〜3.3)では抗折力が高くなり過ぎ、崩壊性
で問題となるとの記載もある。そして、特開平3−24
8740号公報によれば、得られる鋳型は常温において
充分な強度を有すると共に、焼き付きもなく、溶湯注入
後の砂落ち性も良く、また、有機系粘結剤の使用におけ
るような鋳型からのガス発生も少なく、一連の工程によ
り生産性よく鋳型造型を行うことができ、さらに減圧又
はマイクロ波乾燥を行うことにより乾燥時間を短縮する
こともできるとしている。
【0007】また、特開平7−232967号公報に
は、(a)骨材と第1のバインダによって成形品素体を
成形する工程;(b)周期律表4A族又は4B族(炭素
を除く)と3A族又は3B族の金属アルコキシド及びそ
の部分加水分解物から選ばれた1種又は2種類以上の金
属アルコキシド類と、アルカリ金属又はアルカリ土類金
属のアルカリ化合物を含むアルコール溶液からなる第2
のバインダを、工程(a)によって成形された成形品素
体に含浸させ加水分解させる工程;(c)成形品素体を
乾燥し高温焼成する工程、以上の工程からなる鋳型の製
造方法の記載がある。そして、特開平7−232967
号公報によれば、第2のバインダーがアルコール溶液で
あることから、成形品素体内への浸透が容易であり、表
面から内部へ効率よく含浸され、低温から高温までの鋳
型強度を増大させることができる。そして、中子を成形
する場合には、鋳込み時の中子からのガス発生が少ない
ので、生型鋳造、金型鋳造やダイカスト鋳造にそのまま
用いることが可能で、中子に上述した第2のバインダー
を傾斜含浸することが可能となる。更に、鋳型内部の強
度は上がっていないから、鋳造後の崩壊性も良く型ばら
しの作業性がよく、鋳型を焼成した直後の高温の鋳型に
注湯することにより、湯廻りが良くなり、製品の薄肉化
が可能になって、ステンレス鋳鋼等の薄肉製品の鋳造が
可能になるとしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
特開平3−248740号公報記載の鋳型では、鋳型を
焼成後の高温を維持した状態で溶融金属を約1500〜
1600℃で鋳込むと、鋳型の崩壊性が悪いため、中子
に用いた場合には溶湯注入後に崩壊できず、鋳造後の鋳
物に砂付きが発生しやすい。また、含浸時間を制御して
粘結剤の含浸層厚さを制御することは実質的に困難であ
る。
【0009】一方、特開平7−232967号公報記載
の鋳型では、第2のバインダーがアルコール溶液である
ことから、成形品素体内へ過剰に浸透してしまい、注湯
後の崩壊性が悪くなる。また、原料の中に多少毒性のも
のがある有機物を使用することから、鋳型に原料は残ら
ないとはいえ作業環境の改善対策に要する原価の増大が
無視できない。これらの欠点を改善して、低コストの鋳
型とする必要がある。また、無機系粘結剤に比較して原
料が非常に高価であるため、この点でも鋳型費ひいては
鋳物の原価を増大させる。また、特開平7−23296
7号公報で用いる第1及び第2のバインダーは、大気中
においてゾル→ゲル反応が非常に早く終了し、バインダ
ーとして鋳型に含浸できなくなることが多い。そうなる
とバインダーは常に新品を用いなければならないため、
無機系粘結剤と比較して管理面で問題が多い。
【0010】本発明は上記課題に鑑みてなされたもので
あって、薄肉の耐熱鋳鋼製排気系部品を欠陥なく、製造
することのでき、焼成前まで鋳型を取り回しできる程度
の常温強度を有し、焼成後の高温を維持したまま溶融金
属を鋳込むことができる鋳型の高温強度を有するととも
に、鋳込み後の鋳型の崩壊性に優れて型ばらしの作業性
を向上した鋳型を用い、主要形状部の肉厚が1.5〜3
mmである耐熱鋳鋼製排気系部品を得ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、薄肉の耐
熱鋳鋼製排気系部品を欠陥なく、製造することができ、
焼成後の高温を維持したまま溶融金属を鋳込む鋳型で、
無機系粘結剤のSiO 2/Na2Oのモル比を調整し、ま
た、無機系粘結剤を珪酸塩水溶液又はコロイダルシリカ
とし、必要に応じ水を加えて濃度を調整することで、上
記課題が解決できるとの知見を得、本発明に想到した。
【0012】即ち、本発明の耐熱鋳鋼製排気系部品の製
造方法は、鋳物砂を所望形状に造型後、粘結剤を含浸
し、乾燥、次いで焼成され、焼成後の高温を維持しつつ
溶融金属が鋳込まれる鋳造用鋳型において、該粘結剤は
SiO2/Na2Oのモル比が4〜20である無機系粘結
剤である鋳造用鋳型を用いて鋳造することを特徴とす
る。ここで、SiO2/Na2Oのモル比を4〜20とし
たのは、SiO2/Na2Oのモル比が4未満では崩壊性
が悪くなるからであり、一方、SiO2/Na2Oのモル
比が20を超えると、焼成途中の600℃付近において
の鋳型強度が下がり、昇温時における鋳型温度の不均一
に伴う鋳型割れを生じ易くなり、鋳型として必要な高温
強度が得られないためである。主型として使用する場
合、SiO2/Na2Oのモル比は好ましくは5〜10で
あり、崩壊性をより必要とする中子として使用する場合
は、好ましくは6〜15である
【0013】本発明において、前記無機系粘結剤が珪酸
塩水溶液、又はコロイダルシリカであり、前記無機系粘
結剤は濃度20〜100%であることが好ましい。無機
系粘結剤を珪酸塩水溶液、又はコロイダルシリカとする
ことで、粘結剤の管理が容易となる。ここで、無機系粘
結剤を濃度20〜100%としたのは、濃度が20%未
満では、含浸して焼成後の高温強度が小さくなるからで
あり、一方、濃度が80%を超えると、SiO2/Na2
Oのモル比との関係によっては、高温強度が大きくなり
すぎて鋳型の崩壊性が悪くなる恐れがある。主型として
使用する場合は、濃度を40〜80%とすることが好ま
しく、中子として使用する場合は、特に、崩壊性を良く
する必要があるため、濃度を30〜70%とすることが
好ましい。上記の製造方法を用いることにより、本発明
の排気形部品である排気系部品の主要形状部の肉厚が、
1.5〜3mmであり、フェライト系耐熱鋳鋼からなる耐
熱鋳鋼製排気系部品を製造することが出来る。好ましい
組成範囲は質量比率で、C:0.05〜1.20%、S
i:2.0%以下、Mn:2.0%以下、Ni:0.1〜
2.0%、Cr:16〜25%、Nbおよび/または
V:0.01〜6.0%、Wおよび/またはMo:1.0
〜5.0%、を含むフェライト系耐熱鋳鋼からなると好
ましい。
【0014】前記フェライト系耐熱鋳鋼は、通常のα相
のほかにγ相からα相+炭化物に変態した相(以下α′
相という)を有するとともに、α′相の面積率{α′/
(α′+α)}が20〜90%であると良い。
【0015】さらに、前記フェライト系耐熱鋳鋼は質量
比率で、N:0.01〜0.15%、C−Nb/8:0.
05〜0.45%を含有すると好適である。
【0016】本発明の他の発明は、排気系部品の主要形
状部の肉厚が、1.5〜3mmであり、オーステナイト系
耐熱鋳鋼からなることを特徴とする耐熱鋳鋼製排気系部
品である。好ましい組成範囲は質量比率で、C:0.2
〜1.0%、Si:2.0%以下、Mn:2.0%以下、
Ni:8〜20%、Cr:15〜30%、Nb:0.2
〜6.0%、W:1.0〜6.0%、を含むオーステナイ
ト系耐熱鋳鋼からなると好ましい。
【0017】前記オーステナイト系耐熱鋳鋼製排気系部
品は、質量比率で、B:0.001〜0.01%、Mo:
0.2〜1.0%、Co:20%以下、N:0.01〜0.
3%、S:0.01〜0.5%のいずれか一種以上、C−
Nb/8:0.05〜0.6%を含有すると好適である。
【0018】本発明の耐熱鋳鋼製排気系部品が、排気マ
ニホールド、タービンハウジング、タービンハウジング
一体排気マニホールド、触媒ケース、触媒ケース一体排
気マニホールドであることを特徴とする耐熱鋳鋼製排気
系部品である。尚、耐熱鋳鋼製排気系部品はこれらの部
品に限らず、触媒ケース入口に接合されるディフューザ
ー、タービンハウジングから接合されるアウトレットの
ように排気系部品に接合される排気アダプターをも含む
ことができる。
【0019】本発明の第1の発明の、耐熱鋳鋼製排気系
部品の好ましい組成である各合金元素の組成範囲、およ
び相の組合せの限定理由について詳細に説明する。
【0020】(1)C:0.05〜1.2% Cは、溶湯の流動性即ち流動性を改善するので、主要管
状部が5mm以下の薄肉の鋳造品を製造するには非常に大
切な元素である。またCは、α′相を適当量生成する作
用を有し、さらには900℃以上の高温における強度を
高く維持する働きがある。これらの作用を有効に発揮す
るために、Cは0.05%以上必要である。なお、一般
のフェライト系耐熱鋳鋼では室温でα相のみであるが、
炭素量の調整により、高温から常温まで存在するα相の
ほかに、高温ではCが固溶したγ相ができる。このγ相
は冷却中に炭化物を析出して(α相+炭化物)に変態す
る。このような相をα′相と呼ぶ。
【0021】一方、Cの含有量が1.2%を越えると
α′相が存在しにくくなって、マルテンサイト組織にな
り、また耐酸化性、耐蝕性の低下を引き起こす、Cr炭
化物の析出が顕著になる。このため、Cは0.05〜1.
2%とする。望ましくは0.1〜1.0%である。
【0022】(2)Si:2.0%以下 Siは、本Fe−Cr系合金のγ相の範囲を狭め、組織
の安定性を増し、耐酸化性の改善効果もある。さらに、
鋳造性の改善、脱酸剤としての作用、溶接性の向上、鋳
物のピンホール欠陥の低減効果等もある。しかし多すぎ
ると、Cとのバランス(炭素当量)により一次炭化物を
粗大化し、鋳鋼の加工性、溶接性を低下したり、また、
フェライト基地組織中のSi含有量が過多となって延性
の低下を起こしたり、高温でのδ相を形成したりする。
このため、Siの含有量は2.0%以下とする。望まし
くは0.3〜1.5%である。
【0023】(3)Mn:2.0%以下 Mnは、Siと同様に溶湯の脱酸剤として有効であり、
また鋳造時の湯流れ性を向上させて生産性を改善する。
このような作用を有効にするためと、多量に含むと溶接
性の阻害や、靱性が低下するため、Mnの含有量を2.
0%以下とする。望ましくは0.3〜1.5%である。
【0024】(4)Ni:0.1〜2.0% Niは、Cと同様にγ相形成元素であり、α′相を適当
量存在させるためには、0.1%以上添加するのが好ま
しい。一方、2.0%を越えると耐酸化性の優れたα相
が減少し、かつα′相がマルテンサイト化して著しく延
性を低下させる。そのためNi含有量を2.0%以下と
する。望ましくは0.3〜1.5%である。
【0025】(5)Cr:16〜25% Crは、耐酸化性を改善し、フェライト組織を安定にす
る元素であるが、その効果を確実にするため16%以上
とする。一方、多量の添加はCrの一次炭化物を粗大化
させ、高温でのδ相形成を助長し、著しく脆化を起こ
す。そのため、Crの上限を25%とする。望ましくは
17〜22%である。
【0026】(6)Nbおよび/またはV:0.01〜
6.0% Nbおよび/またはVは、Cと結合して微細な炭化物を
形成し、高温での引張強さならびに耐熱疲労性を増大さ
せる。また、Crの炭化物の生成を抑制することによっ
て耐酸化性と切削性と溶接性を向上させる。このような
目的でNbおよび/またはVは0.01%以上とする。
しかし、多量に添加すると、結晶粒界に生成する共晶炭
化物が多くなり、強度と延性が著しく低下するので、N
bおよび/またはVの含有量は6.0%以下とする。望
ましくは0.5〜3.0%である。
【0027】(7)Wおよび/またはMo:1.0〜5.
0% Wは、フェライト基地を強化して、室温における延性を
損なわずに、高温強度を向上させる作用を有する。従っ
て、耐クリープ性および、変態点温度上昇による耐熱疲
労性向上の目的で、1.0%以上のWを添加する。しか
し、その含有量が5.0%を越えると、粗大な共晶炭化
物が生成し、延性の悪化を引き起こすので、5.0%以
下とする。
【0028】なお、Wとほぼ同様の効果は、Moを添加
しても得られるので、Moを単独、またはWとMoを複
合添加することも可能である。望ましくは1.0〜3.0
%である。
【0029】(8)残部 残部は、Feからなり、P、S等の一般的に考えられる
不可避的不純物を、一般的な量含むことができるものか
ら構成される。必要に応じて、Nを添加することもでき
る。
【0030】(9)α′相の面積率:20〜90% 本フェライト系耐熱鋳鋼は、通常のα相のほかにγ相か
ら(α相+炭化物)に変態したα′相を有する。なお通
常のα相とはδ(デルタ)フェライトを意味する。ま
た、析出した炭化物は、Fe、Cr、W、Nb等の炭化
物(M23C6、M7C3、MC等)である。このα′相の
面積率{α′/(α+α′)}が20%未満では、室温
における延性が低く、鋳鋼は極めて脆い。一方、90%
を越えると硬くなりすぎ、室温における延性が低下する
とともに、機械加工性が著しく悪くなる。そのため面積
率{α′/(α+α′)}は20〜90%とする。望ま
しくは20〜60%である。
【0031】(10)N:0.01〜0.15% Nは、Cと同様に、高温強度および耐熱疲労性を改善す
る元素で、0.01%以上で効果が現れる。一方、製造
の安定性を確保するためと、Cr窒化物の析出による脆
化を避けるため、0.15%以下とする。望ましくは0.
03〜0.10%である。
【0032】(11)C−Nb/8:0.05〜0.45
% 本フェライト系耐熱鋳鋼は、Nbの共晶炭化物を生成さ
せて、鋳造性を高めると共に、γ相から変態したα′相
を生成させ、高強度、高延性を得ている。共晶炭化物
(NbC)は、重量比率でCとCの8倍のNbとで形成
されるが、共晶炭化物(NbC)のほかにα相を適量得
るには、共晶炭化物生成に消費されるC以上のCが必要
となる。即ち、C−Nb/8が0.05%以上必要であ
る。しかし、C−Nb/8が0.45%を越えると硬く
脆くなるので、0.05〜0.45%とする。望ましくは
0.10〜0.30%である。
【0033】本発明の第2の発明の、オーステナイト系
耐熱鋳鋼の好ましい組成である各合金元素の組成範囲の
限定理由について詳細に説明する。
【0034】(1)C:0.2〜1.0% Cは、溶湯の流動性、即ち鋳造性を良くする作用があ
り、また、一部基地に固溶して、固溶強化する作用があ
る。一方、一次および二次炭化物を形成し、高温強度を
高める作用もある。Nbと共晶炭化物を形成し、鋳造性
を高める作用がある。このような作用を有効に発揮する
ために、Cは0.2%以上必要である。
【0058】しかし、Cの含有量が1.0%を越えると
共晶炭化物をはじめ、各種の炭化物の析出量が多くなり
過ぎて脆化し延性が低下すると共に加工性が劣化する。
このため、Cは、0.2〜1.0%とする。望ましくは、
0.3〜0.6%である。
【0035】(2)Si:2.0%以下 Siは、溶湯の脱酸剤としての役割を有するほか、耐酸
化性、溶接性の改善に有効な元素である。しかし、過剰
に加えるとオーステナイト組織が不安定になり、鋳造性
の劣化を招きまた、加工性、溶接性の阻害や溶接割れを
助長するので、Siの含有量は2%以下とする。望まし
くは0.3〜1.5%である。
【0036】(3)Mn:2.0%以下 Mnは、Siと同様に溶湯の脱酸剤として有効であるほ
か、溶接性向上にも有効である。さらに、溶接割れの低
減に有効である。しかし、あまり多く加えると耐酸化性
の劣化や、靱性が低下するので、2%以下とする。望ま
しくは、0.3〜1.5%である。
【0037】(4)Ni:8〜20% Niは、後記のCrとともに本耐熱鋳鋼をオーステナイ
ト組織とし、その組織を安定にして鋳造性を高めるのに
有効な元素である。特に、900℃以上の高温域におい
て、特に本発明の望ましい肉厚である5mm以下の主要管
状部において、良好な鋳造性を有するためには、8%以
上の添加が必要である。さらに、溶接割れの低減に有効
である。Niの増加とともに上記特性は向上するが、2
0%を越えても効果は飽和し、経済的にも不利である。
そのため、Ni含有量は8〜20%とする。望ましく
は、8〜15%である。
【0038】(5)Cr:15〜30% Crは、上記Niと共存し、鋳鋼組織をオーステナイト
化して、高温強度や耐酸化性を高めるほか、炭化物を形
成し高温強度を高めるのに有効な元素である。特に、9
00℃の高温域でこれらの効果を有効なものにするため
には、15%以上の添加が必要である。しかし、添加量
が30%を越えると、過剰に二次炭化物が析出するこ
と、さらにはα相などの脆い析出物などが析出し、脆化
が著しくなる。そのためCr含有量を15〜30%とす
る。望ましくは、17〜25%である。
【0039】(6)Nb:0.2〜6.0% Nbは、Cと結合して微細な炭化物を形成し、高温強度
を改善する。また、Cr炭化物の生成を抑制することに
よって、耐酸化性を向上させる。これらの効果を有効に
発揮させるためには、含有量は0.2%以上必要であ
る。しかし、多量に添加すると、結晶粒界に生成する共
晶炭化物が多くなって脆化し、強度と延性が著しく低下
するので、Nbの含有量は6.0%以下とする。望まし
くは、1.0〜4.0%である。
【0040】(7)W:1.0〜6.0% Wは、高温強度を改善する。この効果を得るためには
1.0%以上の添加が必要である。しかし、多量に添加
すると耐酸化性が劣化するので6.0%が上限である。
そのためWの含有量は1.0〜6.0%とする。望ましく
は、2.0〜4.0%である。なお、Wとほぼ同様の効果
はMoを添加しても得られるので、Wの一部または全量
を、Moに置換することも可能である。この場合、重量
比率でW=2Moの割合でWをMoに置換するものとす
る。
【0041】(8)残部 残部は、Feからなり、P、S等の一般的に考えられる
不可避的不純物を、一般的な量含むことができるものか
ら構成される。必要に応じて、Nを添加することもでき
る。
【0042】(9)B:0.001〜0.01% Bは、鋳鋼の結晶粒界を微細にするとともに、その凝集
粗大化を遅らせ、高温強度と靱性を改善する。このた
め、0.001%以上の添加が望ましい。一方、Bの多
量の添加は硼化物を析出させ、高温強度を劣化させるの
で、0.01%を上限とする。そのためBの含有量は0.
001〜0.01%とする。
【0067】(10)Mo:0.2〜1.0% Mo、はWと同様の作用を有する元素である。しかし、
Moの単独添加はWよりも効果が少ない。Wの一部を置
換し複合効果させるためMoの添加量は0.2〜1.0%
とするのがよい。
【0043】(11)Co:20%以下 Coは、Niと同様オーステナイト組織を安定にし、高
温強度を高める元素であり、特にNiと複合添加させる
ことにより、一層オーステナイト組織が安定する。ま
た、Sが存在する使用雰囲気では、Niは低融点の硫化
物をつくるため、特にCoの使用が有利である。Niと
Coは相互に置換することが可能であるが、Ni+Co
の合計が30%を越えても効果が飽和し、経済的にも不
利であるので8%以上、30%以下とする。なお、Co
単独で20%を越えても効果が飽和し、経済的にも不利
であるので、20%以下とする。
【0044】(12)N:0.01〜0.3% Nは、強力なオーステナイト生成元素であり、オーステ
ナイト基地を安定にする。また、結晶粒微細化に有効な
元素であり、本発明のような、鍛造・圧延などの加工に
よる結晶粒微細化が不可能な主要管状部を、鋳造で製造
する際には極めて有効である。この結晶粒微細化によ
り、構造物として重要な材料の延性の確保が可能にな
り、また、本系耐熱鋳鋼のような、オーステナイト系耐
熱鋳鋼に特有な、被削性が悪いという欠点を改善でき
る。
【0045】また、NはCの拡散速度を遅らせ、析出炭
化物の凝集を遅らせるので、脆化に対して有効である。
この効果を得るためには、0.01%以上の添加が必要
である。しかし、多量に添加すると、Cr2N−Cr2
3C6の粒界析出を生じ、脆化を促進する一方、有効な
Cr量が減少し耐酸化性を劣化させるので、0.3%を
上限とする。望ましくは、0.03〜0.2%である。
【0046】(13)S:0.01〜0.5% Sは、鋳鋼においては球状もしくは、塊状の硫化物を生
成し、機械加工において、切粉の分断を促進するため、
被削性が向上する。この効果を得るためには、0.01
%以上必要である。しかし、多量に添加すると、粒界に
硫化物が多量に析出し、高温強度を劣化させ、さらに靱
性が低下するので、0.5%を限度とする。そのため、
Sの含有量は0.01〜0.5%である。望ましくは、
0.03〜0.25%である。
【0047】(14)C−Nb/8:0.05〜0.6% 本オーステナイト系耐熱鋳鋼は、Nbの共晶炭化物を生
成させて鋳造性を高めると共に、適当量の炭化物を析出
させ、高強度を得ている。共晶炭化物(NbC)は、重
量比率でCとCの8倍のNbとで形成されるが、共晶炭
化物(NbC)のほかに析出炭化物を適当量得るには、
共晶炭化物生成に消費されるC以上のCが必要となる。
即ち、C−Nb/8が、0.05%以上必要である。し
かし、C−Nb/8が0.6%を越えると硬く脆くな
り、延性と加工性が劣化するので、0.05〜0.6%と
する。特に、薄肉鋳物では共晶炭化物の割合は鋳造性に
重要であるので、望ましくは0.07〜0.3%である。
【0048】本発明によれば、熱容量が低く肉厚の薄い
耐熱鋳鋼製排気系部品を得ることができる。
【0049】
【発明の実施の形態】以下、発明の実施の形態を詳細に
説明する。図1は、実施の形態に係る鋳型の要部断面図
であり、図2は無機系粘結剤を含浸する装置の概略断面
図である。図1で、1は鋳型であり、この鋳型1は、下
型2aと上型2bからなる主型2と、主型2内に配置さ
れる中子3からなり、主型2と中子3ほかで形成される
キャビティ4は主要部の間隙が3mmであり、また主型
2には湯口5及び湯道6を設けている。そして、下型2
a、上型2b及び中子3は、以下の工程により製作して
いる。先ず、下型2a、上型2bは、シェルモールド
法、コールドボックス法、水溶性フェノールレジン法お
よびアルカリフェノールレジン法などの造型法により鋳
物砂と有機系粘結剤を混練後に造型を行う。そして、下
型2a及び上型2bを図2の含浸装置に装入し、真空ポ
ンプにより減圧室21の下半分に貯留された無機系粘結
剤22をコロイダルシリカとして、この無機系粘結剤2
2に浸漬した後、減圧室21を減圧して、コロイダルシ
リカを鋳型1の砂粒間の空隙内に含浸させる。なお、無
機系粘結剤はSiO2/Na2Oのモル比で4〜20、そ
の濃度は20〜100、さらにはモル比で5〜10、濃
度で40〜80%を好ましい範囲として含浸させてい
る。
【0050】一方、中子3は、上述した下型2a、上型
2bとは工程を変え、含浸装置の減圧室21の下半分に
貯留された無機系粘結剤22を珪酸塩水溶液、コロイダ
ルシリカあるいはこれらの濃度を20〜100%に調整
した水溶液として、この無機系粘結剤22に浸漬した
後、真空ポンプにより減圧室21を減圧して、無機系粘
結剤を鋳型1の砂粒間の空隙内に含浸させる。なお、無
機系粘結剤のSiO2/Na2Oはモル比で4〜20、そ
の濃度は20〜100%、さらにはモル比で6〜15、
濃度で30〜70%を好ましい範囲として含浸させてい
る。
【0051】次に、含浸装置から取り出した下型2a、
上型2b及び中子3に対してマイクロ波・高温雰囲気又
は恒温恒湿雰囲気による乾燥を行う。さらに、下型2
a、上型2b及び中子3を組み立てて鋳型1とし、焼成
炉(図示せず)に入れて、大気中、700〜1200℃
×1時間で焼成する。鋳型を焼成することで、有機粘結
剤を焼失させるとともに無機系粘結剤中のSiO2/N
2Oが砂粒間の空隙内で焼結され、砂粒間が結合され
る。そして、焼成直後の高温が維持された約800〜1
000℃の鋳型に、例えばオーステナイト系耐熱鋳鋼組
成で約1500〜1600℃と高温の溶融金属を湯口5
から鋳込む。主型2は、無機系粘結剤のSiO2/Na2
Oを、モル比で4〜20、濃度を20〜100%、好ま
しくはモル比で5〜10、濃度で約40〜80%の範囲
として含浸し、焼成しているので、溶融金属に充分に耐
え得る高温強度を有している。また鋳型1は、溶融金属
が鋳込まれる温度に近い、約800〜1000℃の高温
に予熱されているので、キャビティ4への湯廻りが良好
となる。
【0052】次に、鋳込み後、室温付近まで放冷した後
に鋳型1と鋳物とを分離する。中子3に、無機系粘結剤
として珪酸塩水溶液のSiO2/Na2Oを、モル比で4
〜20、濃度を20〜100%、好ましくはモル比で6
〜15、濃度で約30〜70%として含浸し、焼成し、
砂粒間の結合力を制御したことにより、中子3は容易に
崩壊して鋳物から分離される。このように、主型2や中
子3など鋳型1の使う箇所によって、無機系粘結剤とし
て、珪酸塩水溶液又はコロイダルシリカのSiO2/N
2Oのモル比や濃度を変えて含浸することで、焼成後
直ちに高温の溶融金属を鋳込む際の高温強度や、鋳込み
後、鋳物と分離する場合の崩壊性も調整される。
【0053】
【実施例1】珪砂に有機粘結剤としてフェノール樹脂を
質量比2〜5%混合した鋳物砂で、図1に示す触媒ケー
スの鋳型の上下型を造型した。図1で、1は鋳型であ
り、この鋳型1は、下型2aと上型2bからなる主型2
と、主型2内に配置される中子3からなり、主型2と中
子3ほかで形成されるキャビティ4は主要部の間隙が3
mmであり、また主型2には湯口5及び湯道6を設けて
いる。そして、下型2a及び上型2bを図2の含浸装置
に装入し、真空ポンプにより減圧室21の下半分に貯留
された無機系粘結剤22を珪酸塩水溶液として、この無
機系粘結剤22に浸漬した後、減圧室21を減圧して、
珪酸塩水溶液を鋳型1の砂粒間の空隙内に含浸させる。
なお、無機系粘結剤はSiO2/Na2Oのモル比で4〜
20、その濃度は20〜100、さらにはモル比で5〜
10、濃度で40〜80%を好ましい範囲として含浸さ
せている。
【0054】一方、中子3は、上述した下型2a、上型
2bとは工程を変え、含浸装置の減圧室21の下半分に
貯留された無機系粘結剤22を珪酸塩水溶液の濃度を2
0〜100%に調整した水溶液として、この無機系粘結
剤22に浸漬した後、真空ポンプにより減圧室21を減
圧して、無機系粘結剤を鋳型1の砂粒間の空隙内に含浸
させる。なお、無機系粘結剤のSiO2/Na2Oはモル
比で4〜20、その濃度は20〜100%、さらにはモ
ル比で6〜15、濃度で30〜70%を好ましい範囲と
して含浸させている。
【0055】次に、含浸装置から取り出した下型2a、
上型2b及び中子3に対してマイクロ波・高温雰囲気又
は恒温恒湿雰囲気による乾燥を行う。さらに、下型2
a、上型2b及び中子3を組み立てて鋳型1とし、焼成
炉(図示せず)に入れて、大気中、700〜1200℃
×1時間で焼成する。鋳型を焼成することで、有機粘結
剤を焼失させるとともに無機系粘結剤中のSiO2/N
2Oが砂粒間の空隙内で焼結され、砂粒間が結合され
る。そして、焼成直後の高温が維持された約800〜1
000℃の鋳型に、質量比率で、C:0.05〜1.20
%、Si:2.0%以下、Mn:2.0%以下、Ni:
0.1〜2.0%、Cr:16〜25%、Nbおよび/ま
たはV:0.01〜6.0%、Wおよび/またはMo:
1.0〜5.0%を含む表1に示すフェライト系耐熱鋳鋼
組成で、約1500〜1600℃と高温の溶融金属を湯
口5から鋳込む。主型2は、無機系粘結剤のSiO2
Na2Oを、モル比で4〜20、濃度を20〜100
%、好ましくはモル比で5〜10、濃度で約40〜80
%の範囲として含浸し、焼成しているので、溶融金属に
充分に耐え得る高温強度を有している。また鋳型1は、
溶融金属が鋳込まれる温度に近い、約800〜1000
℃の高温に予熱されているので、キャビティ4への湯廻
りが良好となる。そして、鋳込み後室温付近まで放冷し
た後に鋳型1と鋳物とを分離し、主要形状部の肉厚が、
1.5〜3mmである耐熱鋳鋼製触媒ケースを得た。
【0056】本触媒ケースの鋳造時に、JIS規格Y形
B号供試材を同時に作製し、以下に述べる各種の評価試
験を行った。
【0057】(1)室温引張試験 標点間距離が50mm、標点の直径が14mmの丸棒試験片
(JIS4号試験片)を用いて行った。
【0058】(2)高温引張試験 標点間距離が50mm、標点の直径が10mmのつばつき試
験片を用いて、1000℃で行った。
【0059】(3)熱疲労試験 標点間距離が20mm、標点の直径が10mmの丸棒試験片
を用いて、加熱冷却に伴う伸び縮みを機械的に完全に拘
束した状態で、下記の条件で加熱冷却サイクルを繰り返
し、熱疲労破壊を起こさせた。 下限温度:150℃ 上限温度:1000℃ 各1サイクル:12分 なお、試験機として、電気−油圧サーボ方式の熱疲労試
験機を用いた。
【0060】(4)酸化試験 直径10mm、長さ20mmの丸棒試験片を作成し、100
0℃において200時間大気中に保持し、取り出し後に
ショットブラスト処理を施して、酸化スケールを除去
し、酸化試験前後の単位面積あたりの重量変化(酸化減
量:mg/mm2)を求めることにより、耐酸化性を評価し
た。
【0061】以上の室温引張試験結果と高温引張試験結
果を表2に、熱疲労試験結果と酸化試験結果を表3に示
す。本発明による方法で製造された触媒ケースは、従来
材である比較例4と比較して、室温性質は同等以上であ
って、高温性質がさらに優れていることがわかる。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
【実施例2】実施例1と同様の方法で上型、下型、中子
を作成し、鋳型を焼成して、焼成直後の高温が維持され
た約800〜1000℃の鋳型に、質量比率で、C:
0.2〜1.0%、Si:2.0%以下、Mn:2.0%以
下、Ni:8〜20%、Cr:15〜30%、Nb:
0.2〜6.0%、W:1.0〜6.0%を含む表4に示す
オーステナイト系耐熱鋳鋼組成で、約1500〜160
0℃と高温の溶融金属を湯口5から鋳込み、後室温付近
まで放冷した後に鋳型と鋳物とを分離し、主要形状部の
肉厚が、1.5〜3mmである耐熱鋳鋼製排気マニホール
ドを得た。
【0066】また、本排気マニホールドの鋳造時に、J
IS規格Y形B号供試材を同時に作製し、以下に述べる
各種の評価試験を行った。
【0067】(1)室温引張試験 標点間距離が50mm、標点の直径が14mmの丸棒試験片
(JIS4号試験片)を用いて行った。
【0068】(2)高温引張試験 標点間距離が50mm、標点の直径が10mmのつばつき試
験片を用いて、900℃で行った。
【0069】(3)熱疲労試験 標点間距離が20mm、標点の直径が10mmの丸棒試験片
を用いて、加熱冷却に伴う伸び縮みを機械的に完全に拘
束した状態で、下記の条件で加熱冷却サイクルを繰り返
し、熱疲労破壊を起こさせた。 下限温度:100℃ 上限温度:900℃ 各1サイクル:12分 なお、試験機として、電気−油圧サーボ方式の熱疲労試
験機を用いた。
【0070】(4)酸化試験 直径10mm、長さ20mmの丸棒試験片を作成し、900
℃において200時間大気中に保持し、取り出し後にシ
ョットブラスト処理を施して、酸化スケールを除去し、
酸化試験前後の単位面積あたりの重量変化(酸化減量:
mg/cm2)を求めることにより、耐酸化性を評価した。
【0071】以上の室温引張試験結果と高温引張試験結
果を表5に、熱疲労試験結果と酸化試験結果を表6に示
す。本発明による方法で製造された触媒ケースは、従来
材である比較例19と比較して、室温性質は同等以上で
あって、高温性質がさらに優れていることがわかる。
【0072】
【表4】
【0073】
【表5】
【0074】
【表6】
【0075】
【発明の効果】以上、本発明によれば、熱容量が低く肉
厚の薄い耐熱鋳鋼製排気系部品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る鋳型の要部断面図で
ある。
【図2】本発明の実施の形態に係る鋳型の製造状況を示
した図である。
【符号の説明】
1:鋳型 2:主型 2a:下型 2b:上型 3:中子 4:キャビティ 5:湯口 6:湯道 21:減圧室 22:無機系粘結剤 23:真空ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C22C 38/00 302 C22C 38/00 302Z 38/58 38/58 (72)発明者 早田 智臣 福岡県京都郡苅田町長浜町35番地 日立金 属株式会社九州工場内 (72)発明者 上田 精心 福岡県京都郡苅田町長浜町35番地 日立金 属株式会社九州工場内 Fターム(参考) 3G004 BA07 FA04 3G091 AB01 BA39

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 排気系部品の主要形状部の肉厚が、1.
    5〜3mmであり、フェライト系耐熱鋳鋼からなることを
    特徴とする耐熱鋳鋼製排気系部品。
  2. 【請求項2】 排気系部品の主要形状部の肉厚が、1.
    5〜3mmであり、オーステナイト系耐熱鋳鋼からなるこ
    とを特徴とする耐熱鋳鋼製排気系部品。
  3. 【請求項3】 前記耐熱鋳鋼製排気系部品が、排気マニ
    ホールド、タービンハウジング、タービンハウジング一
    体排気マニホールド、触媒ケース、触媒ケース一体排気
    マニホールド、集合管であることを特徴とする請求項1
    乃至2記載の耐熱鋳鋼製排気系部品。
JP2001365328A 2001-02-08 2001-11-29 耐熱鋳鋼製排気系部品 Pending JP2002309935A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001365328A JP2002309935A (ja) 2001-02-08 2001-11-29 耐熱鋳鋼製排気系部品

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001-32534 2001-02-08
JP2001032534 2001-02-08
JP2001365328A JP2002309935A (ja) 2001-02-08 2001-11-29 耐熱鋳鋼製排気系部品

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002309935A true JP2002309935A (ja) 2002-10-23

Family

ID=26609137

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001365328A Pending JP2002309935A (ja) 2001-02-08 2001-11-29 耐熱鋳鋼製排気系部品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002309935A (ja)

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005103314A1 (ja) * 2004-04-19 2005-11-03 Hitachi Metals, Ltd. 高Cr高Niオーステナイト系耐熱鋳鋼及びそれからなる排気系部品
WO2007094500A1 (ja) * 2006-02-17 2007-08-23 Hitachi Metals, Ltd. 耐熱鋳鋼製排気マニホールド
JP2008189974A (ja) * 2007-02-02 2008-08-21 Nisshin Steel Co Ltd 排ガス経路部材用フェライト系ステンレス鋼
WO2009104792A1 (ja) * 2008-02-22 2009-08-27 日立金属株式会社 オーステナイト系耐熱鋳鋼及びそれからなる排気系部品
US7914732B2 (en) * 2006-02-23 2011-03-29 Daido Tokushuko Kabushiki Kaisha Ferritic stainless steel cast iron, cast part using the ferritic stainless steel cast iron, and process for producing the cast part
WO2011125901A1 (ja) * 2010-03-31 2011-10-13 日立金属株式会社 常温靭性に優れたフェライト系耐熱鋳鋼及びそれからなる排気系部品
CN103140595A (zh) * 2010-10-01 2013-06-05 日立金属株式会社 具有优异的流动性、耐气体缺陷性、韧性和被削性的铁素体系耐热铸钢和由其构成的排气系统零件
KR101371715B1 (ko) * 2011-07-25 2014-03-07 기아자동차(주) 오스테나이트계 내열주강 및 이를 이용하여 제조된 배기매니폴드
CN104321453A (zh) * 2012-05-10 2015-01-28 日立金属株式会社 被削性优异的奥氏体系耐热铸钢和由其构成的排气系统零件
KR101690551B1 (ko) * 2016-03-25 2016-12-29 (주) 캐스텍코리아 터보하우징 중력주조 쉘몰드 금형
CN107849964A (zh) * 2015-08-10 2018-03-27 天纳克有限责任公司 废气壳体
JP2018135592A (ja) * 2017-02-23 2018-08-30 愛知製鋼株式会社 高圧水素用オーステナイト系ステンレス鋼

Cited By (30)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005103314A1 (ja) * 2004-04-19 2005-11-03 Hitachi Metals, Ltd. 高Cr高Niオーステナイト系耐熱鋳鋼及びそれからなる排気系部品
EP1741799A1 (en) * 2004-04-19 2007-01-10 Hitachi Metals, Ltd. HIGH-Cr HIGH-Ni AUSTENITIC HEAT-RESISTANT CAST STEEL AND EXHAUST SYSTEM COMPONENT PRODUCED FROM SAME
JPWO2005103314A1 (ja) * 2004-04-19 2008-03-13 日立金属株式会社 高Cr高Niオーステナイト系耐熱鋳鋼及びそれからなる排気系部品
EP1741799A4 (en) * 2004-04-19 2009-04-01 Hitachi Metals Ltd AUSTENITIC CAST STEEL WITH HIGH HEAT-RESISTANT HEAT-RESISTANT CR-Ni CONTENT PRODUCED THEREFROM
JP4985941B2 (ja) * 2004-04-19 2012-07-25 日立金属株式会社 高Cr高Niオーステナイト系耐熱鋳鋼及びそれからなる排気系部品
US8241558B2 (en) 2004-04-19 2012-08-14 Hitachi Metals, Ltd. High-Cr, high-Ni, heat-resistant, austenitic cast steel and exhaust equipment members formed thereby
WO2007094500A1 (ja) * 2006-02-17 2007-08-23 Hitachi Metals, Ltd. 耐熱鋳鋼製排気マニホールド
US7914732B2 (en) * 2006-02-23 2011-03-29 Daido Tokushuko Kabushiki Kaisha Ferritic stainless steel cast iron, cast part using the ferritic stainless steel cast iron, and process for producing the cast part
JP2008189974A (ja) * 2007-02-02 2008-08-21 Nisshin Steel Co Ltd 排ガス経路部材用フェライト系ステンレス鋼
WO2009104792A1 (ja) * 2008-02-22 2009-08-27 日立金属株式会社 オーステナイト系耐熱鋳鋼及びそれからなる排気系部品
JPWO2009104792A1 (ja) * 2008-02-22 2011-06-23 日立金属株式会社 オーステナイト系耐熱鋳鋼及びそれからなる排気系部品
US8388889B2 (en) 2008-02-22 2013-03-05 Hitachi Metals Ltd. Heat-resistant, austenitic cast steel and exhaust member made thereof
JP5353716B2 (ja) * 2008-02-22 2013-11-27 日立金属株式会社 オーステナイト系耐熱鋳鋼及びそれからなる排気系部品
US8900510B2 (en) 2010-03-31 2014-12-02 Hitachi Metals, Ltd. Heat-resistant, ferritic cast steel having excellent room-temperature toughness, and exhaust member made thereof
JPWO2011125901A1 (ja) * 2010-03-31 2013-07-11 日立金属株式会社 常温靭性に優れたフェライト系耐熱鋳鋼及びそれからなる排気系部品
CN102822370A (zh) * 2010-03-31 2012-12-12 日立金属株式会社 常温韧性优异的铁素体系耐热铸钢和由其构成的排气系统零件
EP2554703A4 (en) * 2010-03-31 2017-10-04 Hitachi Metals, Ltd. Ferrite heat-resistant cast steel having excellent normal-temperature toughness and exhaust system component formed from the same
JP5626338B2 (ja) * 2010-03-31 2014-11-19 日立金属株式会社 常温靭性に優れたフェライト系耐熱鋳鋼及びそれからなる排気系部品
WO2011125901A1 (ja) * 2010-03-31 2011-10-13 日立金属株式会社 常温靭性に優れたフェライト系耐熱鋳鋼及びそれからなる排気系部品
KR101745927B1 (ko) 2010-03-31 2017-06-12 히타치 긴조쿠 가부시키가이샤 상온 인성이 우수한 페라이트계 내열 주강 및 그것으로 이루어진 배기계 부품
EP2623623A4 (en) * 2010-10-01 2015-01-28 Hitachi Metals Ltd HIGH-RESISTANCE HOT-MOLDED FERRITIC STEEL WITH EXCELLENT PROPERTIES IN TERMS OF COLLABILITY, ABSENCE OF GASEOUS DEFECTS, TENACITY AND MISINIBILITY AND EXHAUST COMPONENT COMPRISING SAID STEEL
EP2623623A1 (en) * 2010-10-01 2013-08-07 Hitachi Metals, Ltd. Heat-resistant ferritic cast steel having excellent melt flowability, freedom from gas defect, toughness, and machinability, and exhaust system component comprising same
CN103140595A (zh) * 2010-10-01 2013-06-05 日立金属株式会社 具有优异的流动性、耐气体缺陷性、韧性和被削性的铁素体系耐热铸钢和由其构成的排气系统零件
KR101371715B1 (ko) * 2011-07-25 2014-03-07 기아자동차(주) 오스테나이트계 내열주강 및 이를 이용하여 제조된 배기매니폴드
US8845824B2 (en) 2011-07-25 2014-09-30 Hyundai Motor Company Austenitic heat-resisting cast steel and exhaust manifold using the same
CN104321453B (zh) * 2012-05-10 2016-08-24 日立金属株式会社 被削性优异的奥氏体系耐热铸钢和由其构成的排气系统零件
CN104321453A (zh) * 2012-05-10 2015-01-28 日立金属株式会社 被削性优异的奥氏体系耐热铸钢和由其构成的排气系统零件
CN107849964A (zh) * 2015-08-10 2018-03-27 天纳克有限责任公司 废气壳体
KR101690551B1 (ko) * 2016-03-25 2016-12-29 (주) 캐스텍코리아 터보하우징 중력주조 쉘몰드 금형
JP2018135592A (ja) * 2017-02-23 2018-08-30 愛知製鋼株式会社 高圧水素用オーステナイト系ステンレス鋼

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4985941B2 (ja) 高Cr高Niオーステナイト系耐熱鋳鋼及びそれからなる排気系部品
JP4379753B2 (ja) 排気系部品、およびそれを用いた内燃機関、並びに排気系部品の製造方法
JP4825886B2 (ja) フェライト系球状黒鉛鋳鉄
JP5168713B2 (ja) 薄肉鋳物部品及びその製造方法
KR101799844B1 (ko) 우수한 탕류성, 내가스 결함성, 인성 및 피삭성을 가지는 페라이트계 내열 주강, 및 이들로 이루어지는 배기계 부품
JP2002309935A (ja) 耐熱鋳鋼製排気系部品
JP6481692B2 (ja) 熱疲労特性に優れたオーステナイト系耐熱鋳鋼及びそれからなる排気系部品
KR101745927B1 (ko) 상온 인성이 우수한 페라이트계 내열 주강 및 그것으로 이루어진 배기계 부품
JP2011012313A (ja) フェライト系球状黒鉛鋳鉄及びその製造方法、並びにこれを用いた自動車の排気系部品
JP3821310B2 (ja) 耐熱球状黒鉛鋳鉄
JP4070695B2 (ja) 耐熱合金部品素材
KR20150013181A (ko) 피삭성이 우수한 오스테나이트계 내열 주강 및 그것으로 이루어지는 배기계 부품
JP3597211B2 (ja) 高温強度に優れた球状黒鉛鋳鉄
JP2007254884A (ja) フェライト系ステンレス鋳鋼、それを用いた鋳物部品の製造方法及び鋳物部品
JP4213901B2 (ja) 常温での硬度および強度に優れた鋳造時の割れ感受性が小さい低熱膨張鋳造合金およびその製造方法
JP3700977B2 (ja) 安価で、鋳造性、高温強度、耐酸化性の良好なオーステナイト系耐熱鋳鋼及びそれからなる排気系部品
JP3375001B2 (ja) 鋳造性および被削性の優れたオーステナイト系耐熱鋳鋼およびそれからなる排気系部品
JPH07228950A (ja) 高温強度および被削性の優れたオーステナイト系耐熱鋳鋼およびそれからなる排気系部品
JP2000273582A (ja) 圧力容器用鋳鋼材及びそれを用いた圧力容器の製造方法
JP2011068921A (ja) オーステナイト系鋳鉄とその製造方法およびオーステナイト系鋳鉄鋳物
JPH06322475A (ja) 排気系部品及びその製造方法
KR20220015198A (ko) 구상 흑연 주철 및 이로 이루어진 엔진 배기계 부품
KR20150066759A (ko) 고온강도가 우수한 실리콘-구리-텅스텐계 구상흑연주철
JP3054102B2 (ja) フェライト系耐熱鋳鋼
JPH1161343A (ja) 高温強度とくにクリープ破断強度の優れたフェライト系耐熱鋳鋼およびそれからなる排気系部品