JP2002301862A - インクジェット記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

インクジェット記録媒体及びその製造方法

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JP2002301862A JP2001181895A JP2001181895A JP2002301862A JP 2002301862 A JP2002301862 A JP 2002301862A JP 2001181895 A JP2001181895 A JP 2001181895A JP 2001181895 A JP2001181895 A JP 2001181895A JP 2002301862 A JP2002301862 A JP 2002301862A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】紙基材とインク受容層を備え、紙基材が優れた
耐水性を有し、またインクジェット記録時に紙基材のイ
ンク吸収によるコックリングや, 高湿度環境下での基材
吸湿による基材の波打ちの防止、これらを満足するイン
クジェット用記録媒体とその製造方法を提供する。 【解決手段】(イ)パルプ繊維中のセルロース骨格のピ
ラノース環のカルビノール基の一部を酸化することでカ
ルボニル基を有するパルプ繊維を抄紙した紙を基材と
し、基材の一方の面にインク受容層を備えることが特徴
のインクジェット記録媒体で、特には、(イ)のカルボ
ニル基含有パルプ繊維の水分散スラリーに求核性を有す
る水溶性高分子または高分子粒子を内添、抄紙した紙を
基材とし、基材の一方の面にインク受容層を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はインクジェットプリ
ンタ用の記録媒体に関するもので、特に、それを構成す
る紙基材及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年のインクジェットプリンタの技術進
歩は目覚しいものがある。インクジェットプリンタから
吐出されるインク滴の微小化、粒状感の減少、解像度の
上昇、レギュラーインクとライトインクとの併用、ドッ
ト再現性、色再現性が優れてきたことなどインクジェッ
トプリンタ自体の性能向上に加え、インクジェット記録
媒体においても、文書、図、画像等の用途に応じて最適
な記録媒体を選択できるようになったことから、非常に
良好な画質を得られるようになった。
【0003】しかし、インクジェット記録媒体の基材が
紙である場合,従来のインクジェット記録媒体では、イ
ンクジェット記録によって良好な画質を得ても、インク
受容層だけでは吸収しきれないインクを基材である紙ま
でが吸収してしまうために基材にコックリング(波打
ち)が生じ,基材にコックリングが生じないフィルムを
用いたときと比べ,記録された画像の品位が劣ることが
あった。
【0004】また、基材が紙であり、かつインク受容層
を基材の一方の面にしか設けていないインクジェット記
録媒体を高湿度の環境下に放置したとき、基材側から吸
湿することで基材が波打ちし、やはり基材にフィルムを
用いたときと比べ、記録された画像の品位が劣ることが
あった。
【0005】仮に、インク受容層が基材の両面に設けて
あっても、またはインク受容層とインク受容層とは異な
る吸湿を抑制する層を基材の両面に設けても、インク受
容層が吸湿した水分を徐々に基材の紙が吸収してしまう
ために、やはり基材が波打ちし、記録された画像の品位
が劣ることがあった。
【0006】インクジェット記録の際に基材として用い
る紙にコックリングを生じさせない、あるいは高湿度の
環境下に放置したときに基材が吸湿することによる基材
の波打ちを生じさせない、すなわち基材への耐水性を付
与する方法としては、(1)紙を抄紙する際のサイズ剤
のパルプ原料への添加(内添)、(2)抄紙された紙へ
のサイズ剤の塗工、あるいは含浸(外添)、(3)紙の
片面または両面にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
エチレンテレフタレート等のプラスチックフィルム等の
ラミネート、等の方法がある。
【0007】しかし、内添や外添単独の方法では、やは
りインクジェット記録の際に、インク受容層だけではイ
ンクを吸収しきれず、基材の紙までインクを吸収してし
まうためにコックリングが生じることがあった。
【0008】また仮に、コックリングが生じないにして
も、内添や外添をしていないときと同様、、高湿度の環
境下に放置すると基材が吸湿するために基材が波打ちす
ることがあり、記録された画像の品位が劣ることがあっ
た。
【0009】一方、基材である紙の片面または両面にプ
ラスチックフィルムをラミネートすることで、基材の耐
水性を飛躍的に向上させることができるが、この方法で
は製造時にコストがかかり、リサイクル時にはラミネー
トされたプラスチックを剥離しなければならず、さらに
コストと時間を要する。また、近年、特に謳われている
環境保護の立場からそのままでは焼却できないという問
題があった。
【0010】プラスチックフィルムを基材に用いれば、
インクの吸収によるコックリングや高湿度の環境下での
基材の吸湿による基材の波打ちは生じないが、やはりコ
ストがかかる上、リサイクル時に問題があった。
【0011】従って、インクの吸収によるコックリング
や高湿度の環境下での基材の吸湿による基材の波打ちが
生じないカルボニル基含有パルプ繊維を使用することに
より基材に耐水性を付与した本発明のインクジェット記
録媒体は非常に有用である。
【0012】また、近年の環境保護・省資源の立場から
推進される紙の再生利用の面でも、カルボニル基含有パ
ルプ繊維を使用することにより基材に耐水性を付与した
本発明のインクジェット記録媒体は非常に有用である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、紙基材とイ
ンク受容層を備えたインクジェット記録媒体であって,
紙基材が優れた耐水性を有すること、すなわち、インク
ジェット記録時に紙基材がインクを吸収することによる
コックリングや, 高湿度の環境下での基材の吸湿による
基材の波打ちを防止すること、これらを満足するインク
ジェット記録媒体及びその製造方法を提供することを目
的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明者らはこれまでの紙の耐水性付与技術である
内添、外添、サイズ剤の塗工、プラスチックフィルムの
ラミネート等とは全く異なり、紙の原料であるパルプ繊
維自体を改質することにより前記課題を解決し、インク
ジェット記録媒体を完成するに至った。
【0015】すなわち、請求項1に示す発明は、(イ)
パルプ繊維中のセルロース骨格のピラノース環のカルビ
ノール基の一部を酸化することでカルボニル基を有する
パルプ繊維を抄紙した紙を基材とし、該基材の少なくと
も一方の面にインク受容層を備えていることを特徴とす
るインクジェット記録媒体である。
【0016】これによると、紙基材が優れた耐水性を有
し、インクジェット記録時に紙基材がインクを吸収する
ことによるコックリングを防止し、かつ高湿度の環境下
での基材の吸湿による基材の波打ちが防止される点で有
効である。
【0017】請求項2に示す発明は、前記(イ)のカル
ボニル基含有パルプ繊維、及び、(ロ)カルボニル基非
含有パルプ繊維、を混抄した紙を基材とし、該基材の少
なくとも一方の面にインク受容層を備えていることを特
徴とする請求項1に記載のインクジェット記録媒体であ
る。
【0018】請求項3に示す発明は、前記(イ)のカル
ボニル基含有パルプ繊維、の水分散スラリーに求核性を
有する水溶性高分子あるいは高分子粒子を内添および抄
紙した紙を基材とし、該基材の少なくとも一方の面にイ
ンク受容層を備えていることを特徴とする請求項1に記
載のインクジェット記録媒体である。
【0019】これによると、カルボニル基含有パルプ繊
維と求核性を有する水溶性高分子あるいは高分子粒子の
内添との併用で、カルボニル基含有パルプ繊維のみを使
用したときよりも、耐水性のより優れた紙基材を得るこ
とができる。
【0020】請求項4に示す発明は、前記(イ)のカル
ボニル基含有パルプ繊維、及び、(ロ)カルボニル基非
含有パルプ繊維、の両方を含む水分散スラリーに求核性
を有する水溶性高分子あるいは高分子粒子を内添および
抄紙した紙を基材とし、該基材の少なくとも一方の面に
インク受容層を備えていることを特徴とする請求項1ま
たは2に記載のインクジェット記録媒体である。
【0021】請求項5に示す発明は、(イ)パルプ繊維
中のセルロース骨格のピラノース環のカルビノール基の
一部を酸化することでカルボニル基を有するパルプ繊維
を抄紙した紙を基材とし、該基材の少なくとも一方の面
にインク受容層を形成したことを特徴とするインクジェ
ット記録媒体の製造方法である。
【0022】請求項6に示す発明は、前記(イ)のカル
ボニル基含有パルプ繊維、及び、(ロ)カルボニル基非
含有パルプ繊維、を混抄した紙を基材とし、該基材の少
なくとも一方の面にインク受容層を形成したことを特徴
とする請求項5に記載のインクジェット記録媒体の製造
方法である。
【0023】請求項7に示す発明は、前記(イ)のカル
ボニル基含有パルプ繊維、の水分散スラリーに求核性を
有する水溶性高分子あるいは高分子粒子を内添および抄
紙した紙を基材とし、該基材の少なくとも一方の面にイ
ンク受容層を形成したことを特徴とする請求項5に記載
のインクジェット記録媒体の製造方法である。
【0024】請求項8に示す発明は、前記(イ)のカル
ボニル基含有パルプ繊維、及び、(ロ)カルボニル基非
含有パルプ繊維、の両方を含む水分散スラリーに求核性
を有する水溶性高分子あるいは高分子粒子を内添および
抄紙した紙を基材とし、該基材の少なくとも一方の面に
インク受容層を形成したことを特徴とする請求項5また
は6に記載のインクジェット記録媒体の製造方法であ
る。
【0025】
【発明の実施の形態】請求項1に記載の、カルボニル基
含有パルプ繊維は、通常のパルプ原料、すなわち木材繊
維で何ら構わない。
【0026】具体的には、針葉樹かまたは広葉樹の漂白
または未漂白の状態の亜硫酸パルプ、クラフトパルプ、
砕木パルプ,熱機械パルプ、または化学熱機械パルプ等
を単独、あるいは2種類以上混ぜ合わせて用いても構わ
ない。
【0027】請求項2,4に記載の、カルボニル基含有
パルプ繊維とカルボニル基非含有パルプ繊維を混抄する
場合は、前述の木材パルプの他に、紙の剛性を考慮しな
がら、非木材繊維である麻類、綿、藁、竹、ケナフ、バ
カス、シオグサ、エスパルト、楮、三椏、雁皮、ラミー
等を使用しても構わない。
【0028】パルプ繊維の酸化は、セルロース繊維の非
晶質領域で進行しやすいので、酸化反応を抑制するため
に水酸化ナトリウムによるマーセル化や銅エチレンジア
ミン溶液による再生処理、SO2−DEM(ジエチルアミ
ン)−DMSO溶液による再生非晶化処理を行い、部分的あ
るいは全体的に結晶化度を下げてもよい。
【0029】前記(イ)について、特に、パルプ繊維中
のセルロース骨格のピラノース環の第2位と第3位のカ
ルビノール基の両方あるいは片方を酸化したカルボニル
基含有パルプ繊維は、基材の耐水化に対し、より効果的
で好ましい。
【0030】そもそも、カルボニル基含有パルプ繊維に
耐水性が付与されるのは、カルボニル基が高い電荷極性
と疎水性を有し、カルボニル基含有パルプ繊維をそのま
ま、あるいはカルボニル基含有パルプ繊維とカルボニル
基非含有パルプ繊維を抄造して乾燥することで、紙中に
強固な水素結合や疎水性を有する結合が生じるためであ
ると考えられる。
【0031】特に、セルロース骨格中のピラノース環の
第2位と第3位のカルビノール基の両方あるいは片方が
酸化されたカルボニル基含有パルプ繊維は、基本骨格で
あるセルロース分子の剛直なピラノース環が開環してい
ることから、カルボニル基の疎水性等の特性が発現しや
すいと考えられる。
【0032】パルプ繊維中のセルロース骨格で、ピラノ
ース環の第2位と第3位のカルビノール基の両方あるい
は片方を酸化するには酸化剤を使用する。水中での酸化
が可能で毒性の低い酸化剤としては、過ヨウ素酸、ある
いは過ヨウ素酸塩(過ヨウ素酸カリウム、過ヨウ素酸ナ
トリウム)を挙げることができるが、水への溶解度が高
い過ヨウ素酸ナトリウムは好適である。
【0033】酸化剤の使用は、パルプ繊維中のセルロー
ス骨格で、ピラノース環の第2位と第3位のカルビノー
ル基を酸化することを目的としており、パルプ中の脱リ
グニンを目的とした漂白で使用される酸化剤とは目的が
異なる。
【0034】すなわち、パルプ漂白の漂白剤として用い
られる次亜塩素酸塩、二酸化窒素、あるいは過酸化水素
などで酸化漂白する場合には、リグニン等の着色成分を
分解除去してしまうためにパルプ繊維の強度が劣化して
しまう。
【0035】過ヨウ素酸での酸化によるパルプの反応で
は,セルロースのβ−1、4−グリコシド結合の切断な
どの副反応が起こり、過ヨウ素酸ナトリウムなどは光に
対して不安定なため分解するので、暗所のもと、室温以
下の温度で操作を行うのが望ましい。
【0036】また、アルカリ雰囲気下では特に、カルボ
ニル基含有セルロースのβ−脱離による主鎖の切断や過
酸化が起こるので、できれば中性、もしくは酸性側で反
応を行うことが望ましい。好ましくはpH=3.0〜
7.0、より好ましくはpH=3.3〜5.0付近であ
る。
【0037】反応用に添加する過ヨウ素酸、或いは過ヨ
ウ素酸ナトリウムの量は、添加量や酸化反応時間が多い
ほど、あるいは長いほど、生成するカルボニル基の量も
多くなるが、副反応によるパルプ繊維の劣化も起こるの
で、所望する耐水性などの物性を考慮に入れて調整す
る。反応機構的には、パルプのグルコース単位あたり等
モルの過ヨウ素酸が理論上反応するが、グルコース単位
あたり1.0mol以上添加すると、生成物の水分散性
が悪くなり、パルプ繊維間やセルロース分子間での凝集
が起こってくると考えられる。
【0038】また、酸化反応時間は、過ヨウ素酸、或い
は過ヨウ素酸ナトリウムの添加量が少なければ影響は少
ないが、添加量がグルコース単位あたり0.6mol以
上あれば、酸化反応時間が72時間を超えるあたりか
ら、反応生成物の水分散性が低くなってくる。望ましく
は、過ヨウ素酸、あるいは過ヨウ素酸ナトリウムの添加
量がグルコース単位あたり0.05〜0.6molの添
加量で、反応時間は24〜65時間くらいが適当であ
る。
【0039】パルプ繊維を過ヨウ素酸を使用して酸化す
る場合、叩解度が低ければ、パルプ表面積が大きく反応
も多少均一に進行するが、叩解によって生じるパルプ表
面上の羽毛立ち繊維(ミクロフィリブリル)は、副反応
によって切断され易く、叩解度は高くなる。
【0040】叩解度は、酸化反応で叩解度が高くなるこ
とを考慮に入れて、100cfs以上であることが望ま
しい。
【0041】過ヨウ素酸、或いは過ヨウ素酸ナトリウム
の添加量が多ければ、叩解度が高くなる傾向も大きくな
る。従って、過ヨウ素酸を用いて酸化するパルプの叩解
度は、過ヨウ素酸、あるいは過ヨウ素酸塩の添加量と所
望する耐水性などの物性を考慮に入れて調整するのが望
ましい。
【0042】パルプ繊維の過ヨウ素酸による酸化が進む
と、セルロース中の結晶領域は非晶質化されて結晶化度
が低下してくることがX線解析によって確認されてお
り、カルボニル基含有パルプ繊維のみを用いて抄紙した
紙やカルボニル基含有パルプ繊維とカルボニル基非含有
パルプ繊維を用いて混抄した紙、特に、カルボニル基含
有パルプ繊維のみを用いた紙の耐水性は向上してくる反
面、紙本来の靭性が低下し透明性が発現されてくる。
【0043】請求項3,4に記載の、カルボニル基に対
して求核性を有する水溶性高分子として、 i)1級あるいは2級アミノ基を有するモノマーの重合
体あるいは共重合体、 ii)アミド基を有するモノマーの重合体あるいは共重
合体、 iii)ポリエチレンイミン類及びその誘導体、 iv)尿素-ホルムアルデヒド樹脂類、メラミン-ホルム
アルデヒド樹脂類、 v)アミン類と2官能基以上有する化合物との付加重合
体あるいは縮重合体、 vi)ヒドラジノ基あるいはヒドラジノ基、アミジノ基
を側鎖に有した高分子、 vii)水酸基あるいはメルカプト基を側鎖に有した高
分子、 viii)キトサン及びその誘導体、 を挙げることができる。
【0044】前記i)は、具体的には、アリルアミン、
メタアクリルアミンのような1級アミノ類やメチルアリ
ルアミン、エチルアリルアミンのような2級アミン類の
重合体で、遊離アミンあるいは塩酸,硫酸,燐酸,蟻
酸,酢酸のような無機または有機酸の塩でもよい。ま
た、共重合させるモノマーとして、(メタ)アクリルア
ミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロ
ール(メタ)アクリルアミドのようなアクリルアミド類、
N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドのよ
うなN−ビニルアミド類、(メタ)アクリル酸メチルの
ような(メタ)アクリル酸エステル類、アクロレイン
類、(メタ)アクリロニトリル類、スチレン類、酢酸ビ
ニル類などを例示できる。また、(メタ)アクリル酸,
マレイン酸、フマル酸のような不飽和カルボン酸類、ス
チレンスルホン酸等の不飽和スルホン酸でこれらのナト
リウム塩やカリウム塩のようなアルカリ金属塩またはア
ンモニウム塩でも構わない。
【0045】前記ii)は、アミド基含有モノマーの重
合体の他に、アミド基をホフマン分解しアミノ基を有す
る、マンニッヒ反応によってアミノアルキルアミド基を
有する、加水分解によりアミノ基を有する変性重合体で
もよい。
【0046】前記iii)は、公知の方法で重合した分
岐状あるいは線状ポリエチレンイミン類であり、iv)
も同様に公知の方法で重合したものである。
【0047】前記v)は、アルキレンジハロライド類と
アルキレンポリアミン類との重合体であるポリアルキル
ポリアミン類やアルキレンジアミン類とエピハロヒドリ
ン類またはα、γ−ジハロ−β−ヒドリン類との反応に
よって得られるポリアミンエピハロヒドリン樹脂類、ア
ルキレンジアミン類とジカルボン酸類との反応によって
得られるポリアミド樹脂類とエピハロヒドリン類または
α、γ−ジハロ−β−ヒドリン類との反応によって得ら
れるポリアミドエポキシ樹脂類である。
【0048】前記vi)は、(メタ)アクリル酸エステ
ル類の重合体あるいは共重合体にヒドラジンやヒドラジ
ンヒドラートを反応させてカルボン酸ヒドラジノ基を導
入したもの及びそれらをヒドラゾノ基に変性したものが
挙げられる。
【0049】前記vii)は、酢酸ビニルを出発原料と
するポリビニルアルコールやアクリル酸等を共重合した
ものが挙げられる。ただし、メルカプト基は悪臭がする
ので、好適ではない。
【0050】請求項3,4に記載の、カルボニル基に対
して求核性を有する高分子粒子として、1級あるいは2
級アミノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、アミジノ基
あるいはこれらの塩、アミド基、水酸基、メルカプト基
等を有したカチオン性あるいはノニオン性のラテックス
類、あるいは前述の官能基を有したノニオン性の界面活
性剤や乳化剤で分散されたラテックス類が挙げられる。
ラテックス樹脂として、スチレン・ブタジエン系、アク
リロニトリル・ブタジエン系、ポリブタジエン系、アク
リレート系等が挙げられる。
【0051】請求項3,4に記載の、カルボニル基に対
して求核性を有する水溶性高分子あるいは高分子粒子
は、カルボニル基含有パルプ繊維のみの、あるいはカル
ボニル基含有パルプ繊維とカルボニル基非含有パルプ繊
維の両方を含む水分散スラリーに内添し、抄紙すること
により、乾燥工程で架橋構造がカルボニル基含有パルプ
繊維中で形成され、耐水性や紙力の複合効果を生む。
【0052】これは、カルボニル基含有パルプ繊維のカ
ルボニル基がアルデヒド基やケトンの場合、カルボニル
炭素は求核攻撃を受けやすく、各含窒素官能基、例えば
1級あるいは2級アミノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ
基、またはその無機酸塩、有機酸塩と縮合反応し、水酸
基やメルカプト基とは付加反応するためである。また、
カルボニル基がカルボン酸の場合は、前述の各含窒素官
能基と求核置換反応するためである。
【0053】本発明のインクジェット記録媒体の基材と
して用いる紙は、カルボニル基含有パルプ繊維、または
カルボニル基含有パルプ繊維とカルボニル基非含有パル
プ繊維の両方を含む水分散スラリーに求核性を有する水
溶性高分子あるいは高分子粒子を内添し定着させ、抄
造、プレス工程、乾燥工程を経て作製できる。これらの
工程は、従来の紙の製造工程と変わらず、特別な工程を
経ないで基材として用いる紙に耐水性を付与することが
できる。
【0054】このようにして得られた耐水性を有する紙
基材の少なくとも一方の面にインク受容層を設ける。イ
ンク受容層の構成に特に制限はないが、製造コスト等の
点から1〜2層が好ましい。
【0055】インク受容層は顔料、高分子樹脂(バイン
ダー)から構成され、顔料として例えばシリカ、アルミ
ナ、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、
酸化チタン、酸化亜鉛、ケイ酸アルミニウム、水酸化ア
ルミニウム、ホウ酸カルシウム、水酸化亜鉛、カオリ
ン,タルク、クレー、ゼオライト、スメクタイト、ハイ
ドロタルサイト等の無機顔料、ベンゾグアナミン樹脂粒
子、尿素−ホルムアルデヒド樹脂粒子、メラミン−ホル
ムアルデヒド樹脂粒子等の有機顔料が挙げられるが、も
ちろんこれらに限定されるものではない。
【0056】また、高分子樹脂として例えばポリビニル
アルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ソ
ーダ、ポリアクリルアミド、デンプン、ゼラチン、カゼ
イン、アラビアゴム等の水溶性樹脂、ポリアミド樹脂、
ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ア
ルキッド樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラー
ル、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート
等の有機溶剤可溶性樹脂が挙げられるが、もちろんこれ
らに限定されるものではない。
【0057】なお、高分子樹脂によっては必ずしも顔料
を併用する必要はなく、高分子樹脂のみを用いても構わ
ない。
【0058】インク受容層側からの吸湿防止には、イン
ク受容層へのサイズ剤の添加が効果的であり、具体的に
は、ウレタン系サイズ剤、ロジンエステル系サイズ剤、
アクリルエマルジョン系サイズ剤、スチレンアクリルエ
マルジョン系サイズ剤、スチレンマレイン酸系サイズ剤
等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0059】インク受容層を基材の一方の面にしか設け
ていない場合,インク受容層とは反対の面に記録媒体の
カールやインク受容層表面との摩擦係数を考慮して背面
層を設けても構わない。
【0060】
【実施例】以下,本発明を実施例及び比較例によりさら
詳細に説明する。インク受容層形成用塗工液の組成を表
1及び表2に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】<製造例1>原料パルプは、針葉樹クラフ
トパルプ(NBKP)抄紙用原料を、JIS−P820
9『パルプ試験用手漉き紙調整方法』に準拠して解離
し、JIS−P8121『パルプのろ水度試験方法』に
準拠したカナダ標準ろ水度試験方法で、100cfsの
叩解度のものを水で希釈して、1.0質量%濃度のパル
プスラリーを調整した。調整したNBKP水分散スラリ
ー6L(絶乾パルプ量60g)に対して、過ヨウ素酸ナ
トリウムをパルプ中のグルコース単位(分子量162)
あたり0.1mol量にあたる約16gを添加し、冷暗
所中、撹拌機にて撹拌し酸化反応を行い、48時間後の
カルボニル基含有パルプ繊維を各々取り出し、エチレン
グリコールを数mlを加えて未反応の過ヨウ素酸ナトリ
ウムを分解後、メタノールを同容量加えて、微小なカル
ボニル基含有パルプ繊維を再沈させて、約200mes
hの金網で濾過し、十分に水洗後、約1.0質量%のカ
ルボニル基含有パルプ繊維の水分散スラリーを得た。
【0064】<実施例1>製造例1で調整した本発明に
関わるカルボニル基含有パルプ繊維の水分散スラリーの
48時間反応試料をそのまま、標準型手漉き角形抄紙機
で、坪量約80g/m2の紙を抄紙し、脱水プレス
(3.5kgf/cm2)を5分間行い、ヤンキードラ
イヤー(表面温度約120℃)で乾燥させ紙を作製し、
これをインクジェット記録媒体の基材とした。この紙基
材の片方の面に、表1の塗工液をメイヤーバーを用い
て、基材上に乾燥塗工量で20g/m2となるように塗
工、乾燥するこでインク受容層を作成し、サイズ度25
0のインクジェット記録媒体を製造した。
【0065】<実施例2>製造例1で調整した本発明に
関わるカルボニル基含有パルプ繊維の水分散スラリーの
48時間反応試料を用いて、実施例1と同様の手順によ
り基材の紙を作製し、この紙基材の片方の面に、表2の
塗工液をメイヤーバーを用いて、基材上に乾燥塗工量で
20g/m2となるように塗工、乾燥するこでインク受
容層を作成し、サイズ度230のインクジェット記録媒
体を製造した。
【0066】<実施例3>製造例1で調整した本発明に
関わるカルボニル基含有パルプ繊維の水分散スラリーの
48時間反応試料と製造例1で調整したカルボニル基非
含有のNBKP水分散スラリーを固形分混合比率=1:
1で混ぜ合わせ、実施例1と同様の手順により基材の紙
を作製し、実施例1と同様の手順によりインク受容層を
作成し、混抄紙を基材としたサイズ度200のインクジ
ェット記録媒体を製造した。
【0067】<実施例4>製造例1で調整した本発明に
関わるカルボニル基含有パルプ繊維の水分散スラリーの
48時間反応試料と製造例1で調整したカルボニル基非
含有のNBKP水分散スラリーを固形分混合比率=1:
1で混ぜ合わせ、実施例1と同様の手順により基材の紙
を作製し、実施例2と同様の手順によりインク受容層を
作成し、混抄紙を基材としたサイズ度170のインクジ
ェット記録媒体を製造した。
【0068】<実施例5>製造例1で調整した本発明に
関わるカルボニル基含有パルプ繊維の水分散スラリーの
48時間反応試料に、市販のポリアクリルアミド樹脂
(分子量約500万)の固形分1質量%水溶液を対絶乾
パルプ重量比で5質量%を混合し5分間攪拌定着後、実
施例1と同様の手順により基材の紙を作製し、実施例1
と同様の手順によりインク受容層を作成し、サイズ度3
50のインクジェット記録媒体を製造した。
【0069】<実施例6>製造例1で調整した本発明に
関わるカルボニル基含有パルプ繊維の水分散スラリーの
48時間反応試料に、市販のポリアクリルアミド樹脂
(分子量約500万)の固形分1質量%を水溶液を対絶
乾パルプ重量比で5質量%混合し5分間攪拌定着後、実
施例1と同様の手順により基材の紙を作製し、実施例2
と同様の手順によりインク受容層を作成し、サイズ度3
40のインクジェット記録媒体を製造した。
【0070】<実施例7>製造例1で調整した本発明に
関わるカルボニル基含有パルプ繊維の水分散スラリーの
48時間反応試料と製造例1で調整したカルボニル基非
含有のNBKP水分散スラリーを固形分混合比率=1:
1で混ぜ合わせ、さらに市販のポリアクリルアミド樹脂
(分子量約500万)の固形分1質量%水溶液を対絶乾
パルプ重量比で5質量%混合し5分間攪拌定着後、実施
例1と同様の手順により基材の紙を作製し、実施例1と
同様の手順によりインクジェット受容層を作成し、混抄
紙を基材としたサイズ度300のインクジェット記録媒
体を製造した。
【0071】<実施例8>製造例1で調整した本発明に
関わるカルボニル基含有パルプ繊維の水分散スラリーの
48時間反応試料と製造例1で調整したカルボニル基非
含有のNBKP水分散スラリーを固形分混合比率=1:
1で混ぜ合わせ、さらに市販のポリアクリルアミド樹脂
(分子量約500万)の固形分1質量%水溶液を対絶乾
パルプ重量比で5質量%混合し5分間攪拌定着後、実施
例1と同様の手順により基材の紙を作製し、実施例2と
同様の手順によりインクジェット受容層を作成し、混抄
紙を基材としたサイズ度280のインクジェット記録媒
体を製造した。
【0072】<実施例9>製造例1で調整した本発明に
関わるカルボニル基含有パルプ繊維の水分散スラリーの
48時間反応試料に、市販のポリアミド-エピクロルヒ
ドリン樹脂の固形分1質量%水溶液を対絶乾パルプ重量
比で5質量%混合し5分間攪拌定着後、実施例1と同様
の手順により基材の紙を作製し、実施例1と同様の手順
によりインク受容層を作成し、サイズ度350のインク
ジェット記録媒体を製造した。
【0073】<実施例10>製造例1で調整した本発明
に関わるカルボニル基含有パルプ繊維の水分散スラリー
の48時間反応試料に、市販のポリアミド-エピクロル
ヒドリン樹脂の固形分1質量%水溶液を対絶乾パルプ重
量比で5質量%混合し5分間攪拌定着後、実施例1と同
様の手順により基材の紙を作製し、実施例2と同様の手
順によりインク受容層を作成し、サイズ度330のイン
クジェット記録媒体を製造した。
【0074】<実施例11>製造例1で調整した本発明
に関わるカルボニル基含有パルプ繊維の水分散スラリー
の48時間反応試料と製造例1で調整したカルボニル基
非含有のNBKP水分散スラリーを固形分混合比率=
1:1で混ぜ合わせ、さらに市販のポリアミド-エピク
ロルヒドリン樹脂の固形分1質量%水溶液を対絶乾パル
プ重量比で5質量%混合し5分間攪拌定着後、実施例1
と同様の手順により基材の紙を作製し、実施例1と同様
の手順によりインクジェット受容層を作成し、混抄紙を
基材としたサイズ度300のインクジェット記録媒体を
製造した。
【0075】<実施例12>製造例1で調整した本発明
に関わるカルボニル基含有パルプ繊維の水分散スラリー
の48時間反応試料と製造例1で調整したカルボニル基
非含有のNBKP水分散スラリーを固形分混合比率=
1:1で混ぜ合わせ、さらに市販のポリアミド-エピク
ロルヒドリン樹脂の固形分1質量%水溶液を対絶乾パル
プ重量比で5質量%混合し5分間攪拌定着後、実施例1
と同様の手順により基材の紙を作製し、実施例2と同様
の手順によりインクジェット受容層を作成し、混抄紙を
基材としたサイズ度280のインクジェット記録媒体を
製造した。
【0076】<実施例13>製造例1で調整した本発明
に関わるカルボニル基含有パルプ繊維の水分散スラリー
の48時間反応試料に、市販のカチオン性スチレン−ブ
タジエン系ラテックスの固形分1質量%水分散液を対絶
乾パルプ重量比で5質量%混合し5分間攪拌定着後、実
施例1と同様の手順により基材の紙を作製し、実施例1
と同様の手順によりインク受容層を作成し、サイズ度3
40のインクジェット記録媒体を製造した。
【0077】<実施例14>製造例1で調整した本発明
に関わるカルボニル基含有パルプ繊維の水分散スラリー
の48時間反応試料に、市販のカチオン性スチレン−ブ
タジエン系ラテックスの固形分1質量%水分散液を対絶
乾パルプ重量比で5質量%混合し5分間攪拌定着後、実
施例1と同様の手順により基材の紙を作製し、実施例2
と同様の手順によりインク受容層を作成し、サイズ度3
30のインクジェット記録媒体を製造した。
【0078】<実施例15>製造例1で調整した本発明
に関わるカルボニル基含有パルプ繊維の水分散スラリー
の48時間反応試料と製造例1で調整したカルボニル基
非含有のNBKP水分散スラリーを固形分混合比率=
1:1で混ぜ合わせ、さらに市販のカチオン性スチレン
−ブタジエン系ラテックスの固形分1質量%水分散液を
対絶乾パルプ重量比で5質量%混合し5分間攪拌定着
後、実施例1と同様の手順により基材の紙を作製し、実
施例1と同様の手順によりインクジェット受容層を作成
し、混抄紙を基材としたサイズ度280のインクジェッ
ト記録媒体を製造した。
【0079】<実施例16>製造例1で調整した本発明
に関わるカルボニル基含有パルプ繊維の水分散スラリー
の48時間反応試料と製造例1で調整したカルボニル基
非含有のNBKP水分散スラリーを固形分混合比率=
1:1で混ぜ合わせ、さらに市販のカチオン性スチレン
−ブタジエン系ラテックスの固形分1質量%水分散液を
対絶乾パルプ重量比で5質量%混合し5分間攪拌定着
後、実施例1と同様の手順により基材の紙を作製し、実
施例2と同様の手順によりインクジェット受容層を作成
し、混抄紙を基材としたサイズ度260のインクジェッ
ト記録媒体を製造した。
【0080】<実施例17>製造例1で調整した本発明
に関わるカルボニル基含有パルプ繊維の水分散スラリー
の48時間反応試料と製造例1で調整したカルボニル基
非含有のNBKP水分散スラリーを固形分混合比率=
1:2で混ぜ合わせ、さらに市販のポリアミド-エピク
ロルヒドリン樹脂の固形分1質量%水溶液を対絶乾パル
プ重量比で5質量%混合し5分間攪拌定着後、実施例1
と同様の手順により基材の紙を作製し、実施例1と同様
の手順によりインクジェット受容層を作成し、混抄紙を
基材としたサイズ度270のインクジェット記録媒体を
製造した。
【0081】<実施例18>製造例1で調整した本発明
に関わるカルボニル基含有パルプ繊維の水分散スラリー
の48時間反応試料と製造例1で調整したカルボニル基
非含有のNBKP水分散スラリーを固形分混合比率=
1:2で混ぜ合わせ、さらに市販のポリアミド-エピク
ロルヒドリン樹脂の固形分1質量%水溶液を対絶乾パル
プ重量比で5質量%混合し5分間攪拌定着後、実施例1
と同様の手順により基材の紙を作製し、実施例2と同様
の手順によりインクジェット受容層を作成し、混抄紙を
基材としたサイズ度260のインクジェット記録媒体を
製造した。
【0082】<比較例1>コート紙(商品名:ニューエ
イジ127.9g/m2サイズ度56(内添および外添
サイズ品)、王子製紙(株)製)の片方の面に、表1の
塗工液をメイヤーバーを用いて、基材上に乾燥塗工量で
20g/m2となるように塗工、乾燥することでインク
ジェット受容層を作成し、インクジェット記録媒体を製
造した。
【0083】<比較例2>コート紙(商品名:ニューエ
イジ127.9g/m2サイズ度56(内添および外添
サイズ品)、王子製紙(株)製)の片方の面に、表2の
塗工液をメイヤーバーを用いて、基材上に乾燥塗工量で
20g/m2となるように塗工、乾燥することでインク
ジェット受容層を作成し、インクジェット記録媒体を製
造した。
【0084】<比較例3>紙基材に代えて、白色PET
フィルム基材(商品名:W712E100、三菱化学ポ
リエステルフィルム(株)社製)の片方の面に、表1の
塗工液をメイヤーバーを用いて、基材上に乾燥塗工量で
20g/m2となるように塗工、乾燥することでインク
受容層を作成し、インクジェット記録媒体を製造した。
【0085】<比較例4>紙基材に代えて、白色PET
フィルム基材(商品名:W712E100、三菱化学ポ
リエステルフィルム(株)社製)の片方の面に、表2の
塗工液をメイヤーバーを用いて、基材上に乾燥塗工量で
20g/m2となるように塗工、乾燥することでインク
受容層を作成し、インクジェット記録媒体を製造した。
【0086】これらのインクジェット記録媒体を使用
し、インクジェットプリンタ(商品名:BJF850、
キヤノン(株)社製)でISO/JIS−SCID高精
細カラーデジタル標準画像データN1a.TIFFのイ
ンクジェット記録を行った。記録結果は下記の評価方法
に基づき行った。 [コックリング]インクジェット記録後、インクジェッ
ト記録媒体をガラス板の上に置き、目視でコックリング
の有無を観察した。 [保存性]インクジェット記録後、インクジェット記録
媒体を40℃、90%の環境下に24時間放置し、基材
が吸湿することによる基材の波打ちの有無を観察した。
【0087】この評価結果を表3に示す。
【0088】
【表3】
【0089】表3から分かるように、実施例により得ら
れたインクジェット記録媒体は、基材として用いる紙に
内添及び外添を施した比較例1、2よりも、コックリン
グ、高湿度の環境下での基材の吸湿による基材の波打ち
のいずれに関しても明らかに優れている。さらに、実施
例1〜18は、プラスチックフィルムであるPETフィ
ルムを基材として用いた比較例3,4と同等の基材の耐
水性を有する。
【0090】
【発明の効果】本発明によれば、パルプ繊維中のセルロ
ース骨格のピラノース環のカルビノール基を酸化するこ
とで耐水性を付与した基材にインク受容層を設けること
により、インクジェット記録時に紙基材がインクを吸収
することによるコックリングを防止することができ、さ
らに、インクジェット記録媒体を高湿度環境下に放置し
たときの基材の波打ちを防止することができる。また、
紙基材の抄紙を行う際に、カルボニル基に対して求核性
を有する水溶性高分子あるいは高分子粒子を内添するこ
とで、基材に対しより耐水性を付与することができる。
本発明は、パルプ繊維自体の改質により、フィルム基材
と同等の基材の耐水性を有するインクジェット記録媒体
として非常に優れている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山脇 健太郎 東京都台東区台東1丁目5番1号 凸版印 刷株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EA13 FC06 2H086 BA15 BA21 BA35 BA36 4L055 AA02 AC06 AF10 AG04 AG63 AG72 AG75 AG87 AG89 AH49 AH50 BB30 FA19 FA30 GA09

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(イ)パルプ繊維中のセルロース骨格のピ
    ラノース環のカルビノール基の一部を酸化することでカ
    ルボニル基を有するパルプ繊維を抄紙した紙を基材と
    し、該基材の少なくとも一方の面にインク受容層を備え
    ていることを特徴とするインクジェット記録媒体。
  2. 【請求項2】前記(イ)のカルボニル基含有パルプ繊
    維、及び、(ロ)カルボニル基非含有パルプ繊維を混抄
    した紙を基材とし、該基材の少なくとも一方の面にイン
    ク受容層を備えていることを特徴とする請求項1に記載
    のインクジェット記録媒体。
  3. 【請求項3】前記(イ)のカルボニル基含有パルプ繊
    維、の水分散スラリーに求核性を有する水溶性高分子あ
    るいは高分子粒子を内添および抄紙した紙を基材とし、
    該基材の少なくとも一方の面にインク受容層を備えてい
    ることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記
    録媒体。
  4. 【請求項4】前記(イ)のカルボニル基含有パルプ繊
    維、及び、(ロ)カルボニル基非含有パルプ繊維、の両
    方を含む水分散スラリーに求核性を有する水溶性高分子
    あるいは高分子粒子を内添および抄紙した紙を基材と
    し、該基材の少なくとも一方の面にインク受容層を備え
    ていることを特徴とする請求項1または2に記載のイン
    クジェット記録媒体。
  5. 【請求項5】(イ)パルプ繊維中のセルロース骨格のピ
    ラノース環のカルビノール基の一部を酸化することでカ
    ルボニル基を有するパルプ繊維を抄紙した紙を基材と
    し、該基材の少なくとも一方の面にインク受容層を形成
    したことを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方
    法。
  6. 【請求項6】前記(イ)のカルボニル基含有パルプ繊
    維、及び、(ロ)カルボニル基非含有パルプ繊維を混抄
    した紙を基材とし、該基材の少なくとも一方の面にイン
    ク受容層を形成したことを特徴とする請求項5に記載の
    インクジェット記録媒体の製造方法。
  7. 【請求項7】前記(イ)のカルボニル基含有パルプ繊
    維、の水分散スラリーに求核性を有する水溶性高分子あ
    るいは高分子粒子を内添および抄紙した紙を基材とし、
    該基材の少なくとも一方の面にインク受容層を形成した
    ことを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録
    媒体の製造方法。
  8. 【請求項8】前記(イ)のカルボニル基含有パルプ繊
    維、及び、(ロ)カルボニル基非含有パルプ繊維、の両
    方を含む水分散スラリーに求核性を有する水溶性高分子
    あるいは高分子粒子を内添および抄紙した紙を基材と
    し、該基材の少なくとも一方の面にインク受容層を形成
    したことを特徴とする請求項5または6に記載のインク
    ジェット記録媒体の製造方法。
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