JP2002299883A - 電磁波シールド材およびその製造方法 - Google Patents

電磁波シールド材およびその製造方法

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JP2002299883A
JP2002299883A JP2001094738A JP2001094738A JP2002299883A JP 2002299883 A JP2002299883 A JP 2002299883A JP 2001094738 A JP2001094738 A JP 2001094738A JP 2001094738 A JP2001094738 A JP 2001094738A JP 2002299883 A JP2002299883 A JP 2002299883A
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Japan
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electromagnetic wave
wave shielding
shielding material
radiation
curable resin
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JP2001094738A
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Shigeyuki Yokoyama
茂幸 横山
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Tomoegawa Co Ltd
Original Assignee
Tomoegawa Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた光透過性と視認性を有することは勿
論、簡素化された層構成において複数の機能を併せ持つ
優れた電磁波シールド材およびその製造方法を提供す
る。 【解決手段】 金属メッシュの両面に透明基体を積層
し、二つの開口を有するように透明基体の端部を袋状に
結着する。次いで、一方の開口から袋状の透明基体内を
減圧するとともに、他方の開口から、少なくとも近赤外
線遮断層、発色光補正色層、接着剤層のいずれかを形成
する放射線硬化型樹脂を注入し、これを硬化して、電磁
波シールド材を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子機器等の目視
面に装備されて機器内部から外部へ、あるいは機器外部
から内部への電磁波の透過を遮断する電磁波シールド材
およびその電磁波シールド材を製造するにあたって好適
な製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年では、電子機器から発する電磁波を
遮断するための手段の一つとして、電磁波シールド材が
注目されている。電磁波シールド材としては、微粒子分
級用の篩に代表されるような金属ワイヤを格子状に編ん
だ金属メッシュ、いわゆる金網が知られている。また、
例えば、ポリエステル等の樹脂製繊維を基材とし、この
基材に銅やニッケル等の金属を無電解メッキ等の手段に
よりコーティングした金属メッシュを用いた電磁波シー
ルド材も知られている。
【0003】これらの電磁波シールド材の中には、プラ
ズマディスプレイ等のディスプレイに適用されるものが
ある。その場合、なるべく薄いことが要求されるととも
に、光透過性と、これに相反する電磁波シールド性とを
バランスよく両立させる必要があり、このような要件を
満たした電磁波シールド材としては、本発明者により特
開平11−350168号に開示された、フォトレジス
ト法を用いた金属箔メッシュがある。また、本発明者
は、粘着剤を介して基材に貼着された構成に制限されな
い単体の金属箔メッシュを好適に製造する方法も特願平
2001−76183号で報告している。これらの金属
箔メッシュは、電磁波シールド材としてディスプレイに
用いる場合、目視面を黒色化することによりディスプレ
イの視認性を向上させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような金属メッシュは表面に凹凸を有するため、コータ
ー等による一般的な方法では塗工することができず、例
えば、近赤外線遮断、発色光補正、反射防止等の機能を
備えた電磁波シールド材では、図2に示すように、反射
防止膜をPETフィルム上に形成した反射防止層21
と、近赤外線遮断剤を含有させた樹脂22をPETフィ
ルム23上に塗工した近赤外線遮断層と、金属メッシュ
24をそれぞれ個別に製造し、反射防止層21と近赤外
線遮断層とPETフィルム25とを粘着剤層26を介し
て一体的に貼着し、これとディスプレイパネルの基材2
7との間にホットメルト樹脂層21を介して金属メッシ
ュ24を積層して製造していた。そのため、このような
複数の機能を有する電磁波シールド材は、非常に多くの
層構成となり、光透過率が低下してしまう等の問題があ
った。
【0005】したがって、本発明は、優れた光透過性と
視認性を有することは勿論、簡素化された層構成におい
て複数の機能を併せ持つ優れた電磁波シールド材および
その製造方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】よって、本発明の電磁波
シールド材は、金属メッシュの孔内に、放射線硬化型樹
脂が充填されていることを特徴としている。また、本発
明においては、上記の放射線硬化型樹脂は、少なくとも
近赤外線遮断層、発色光補正色層、接着剤層のいずれか
を形成することが好ましい。
【0007】本発明によれば、電磁波シールド材の金属
メッシュの孔内に、複数の機能を有する放射線硬化型樹
脂が充填されていることによって、複数の機能を併せ持
つ多機能なディスプレイ用前面パネルとする場合にも、
層構成を簡素化することができる。
【0008】また、本発明の電磁波シールド材の製造方
法は、少なくとも一つの開口を有する袋状物に金属メッ
シュを入れる工程と、この開口から放射線硬化型樹脂を
注入する工程と、放射線硬化型樹脂を硬化する工程とを
備えることを特徴としている。本発明の電磁波シールド
材の製造方法の他の形態としては、金属メッシュの両面
に透明基体を積層する工程と、少なくとも一つの開口を
有するように透明基体の端部を袋状に結着する工程と、
この開口から放射線硬化型樹脂を注入する工程と、開口
を設けた端部に対向する端部から、透明基体を面方向に
押圧し、余分な放射線硬化型樹脂を開口から絞り出す工
程と、放射線硬化型樹脂を硬化する工程とを備えること
を特徴としている。また、本発明の電磁波シールド材の
製造方法のさらなる他の形態としては、金属メッシュの
両面に透明基体を積層する工程と、少なくとも二つの開
口を有するように透明基体の端部を袋状に結着する工程
と、開口の一方から袋状の透明基体内を減圧する工程
と、開口の他方から放射線硬化型樹脂を注入する工程
と、放射線硬化型樹脂を硬化する工程とを備えることを
特徴としている。
【0009】本発明の電磁波シールド材の製造方法によ
れば、上記の優れた光透過性と視認性を有するとともに
簡素化された層構成において複数の機能を併せ持つ優れ
た電磁波シールド材を好適に製造することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の電
磁波シールド材の実施形態について説明する。図1は、
本発明の電磁波シールド材を模式的に示した図である。
図1(a)において、金属メッシュ11は、ディスプレ
イパネルの基材12と、反射防止膜が形成されたPET
フィルム13に、近赤外線遮断剤を含有した放射線硬化
型樹脂14を介して結着されている。また、この金属メ
ッシュ11は、孔内においても放射線硬化型樹脂14が
充填されている。そのため、このように簡素化された層
構成であっても、図2に示した従来の電磁波シールド材
と同様の機能を発揮することができ、しかも、少ない層
構成であるため、光透過率に優れている。
【0011】また、本発明の電磁波シールド材は、図1
(b)に示すように、金属メッシュ11の孔内に放射線
硬化型樹脂14を充填し、概ね金属メッシュと同様の厚
さの電磁波シールド材とすることができるため、本発明
によれば、電磁波シールド性と他の機能を併せ持った単
層の薄い電磁波シールド材を提供することができる。
【0012】本発明の電磁波シールド材は、上記のよう
に、金属メッシュの孔内に、放射線硬化型樹脂を充填し
ていることを最大の特徴としているが、この金属メッシ
ュが透明基体上に直接または他の層を介して積層された
構成で電磁波シールド材として用いられてもよい。この
透明基体は、基体単体でも、他の機能を備えた層構成に
おける基体でもよい。また、本発明においては、金属メ
ッシュの透明基体が設けられていない面に他の層を設け
てもよい。以下、本発明の電磁波シールド材を構成する
部材および製造方法について詳細に説明する。
【0013】1.構成部材 A.金属メッシュ 本発明の電磁波シールド材における金属メッシュとして
は、金属ワイヤを格子状に編んだ金網や、ポリエステル
等の樹脂製繊維に銅やニッケル等の金属を無電解メッキ
等の手段によりコーティングしたもの、樹脂フィルム等
の支持体に金属塗料をメッシュ状に塗工したもの等を用
いることができるが、電磁波シールド性が他の金属メッ
シュより高く、極めて薄い金属メッシュが得られ、かつ
光透過性が優れていることから、本発明では金属箔にメ
ッシュパターンを形成した金属箔メッシュが好ましい。
【0014】本発明の電磁波シールド材の金属箔メッシ
ュの材料としては、銅、鉄、ニッケル、アルミニウム、
金、銀、プラチナ等の金属や、これら金属の2種以上の
合金(例えば銅−ニッケル合金、ステンレス等)、さら
には金属化合物等の、箔化が可能な金属系材料が用いら
れる。また、酸化防止等、必要に応じて表面をメッキ処
理したものも適宜に用いることができる。特に好ましく
は、銅、アルミニウム、鉄、ニッケルの合金もしくは金
属化合物で、圧延等により箔化が容易なものであれば安
価に製造可能であることから好ましい。また、その厚さ
はできるだけ薄い方が好ましく、5〜50μm、好まし
くは8〜40μm、より好ましくは10〜25mであ
る。
【0015】本発明における金属箔メッシュのメッシュ
パターンは、光透過性と電磁波遮蔽性とを両立させるた
め、メッシュパターンのライン部の幅を10〜50μ
m、好ましくは15〜30μmとし、開口率を80%以
上、好ましくは85%以上とすることが好ましい。な
お、ここで言う開口率とは、金属箔の使用有効面積に対
する孔の総面積を言う。また、メッシュパターンの孔の
幅(ライン部のピッチ)は100〜500μmが適当で
あり、好ましくは150〜300μmである。
【0016】また、このメッシュパターンは幾何学模様
であることが好ましく、この孔の形状は、正方形、長方
形等の平行四辺形、円形または正六角形(ハニカム形
状)等から適宜に選択される。また、どの部分において
も一定の特性(主に光透過性および電磁波遮蔽性等)を
有することが肝要であるから、規則的に配列されている
ことが好ましい。
【0017】本発明における金属箔メッシュのパターン
形成方法としては、例えば、圧延材からなる金属箔にパ
ンチング加工により多数の孔を穿設したり、同様の金属
箔にフォトレジスト法を用いてエッチング処理を施して
多数の孔を穿設したりする方法が挙げられるが、精細度
の高い幾何学模様のメッシュパターンを容易に形成する
ことができるため特に後者が好適である。
【0018】本発明に用いる金属箔メッシュの最適な製
造方法を詳述すると、まず、金属箔の両面にフォトレジ
スト層をラミネートし、一方の面はフォトマスクを用い
て所望のメッシュパターンを露光し、他方の面は全面露
光により層全体を硬化させる。フォトレジスト層の厚さ
は10〜25μm程度が好適であり、また、紫外線の照
射量は80〜160mJ程度が好適である。なお、この
メッシュパターンの露光は、上記のマスクを用いた紫外
線等の照射に代えて、レジスト上にレーザ光を直接照射
する印刷手段を用いてもよい。
【0019】次いで、マスクを除去し、炭酸ソーダ水溶
液等のレジスト除去用の処理液に浸漬して、未露光部の
レジストを除去する。これにより、一方の面では露光部
のレジストからなるメッシュパターンが金属箔の表面に
現像され、他方の面ではエッチング工程の際の保護層が
形成される。次に、例えば塩酸中に塩化第二鉄を溶解さ
せたエッチング処理液中に全体を浸漬する化学エッチン
グ等のエッチング手段で未現像部に対応する部分の金属
箔をエッチングし、その後、苛性ソーダ希釈液等のレジ
スト除去用処理液に全体を浸漬して、残っている現像部
および保護層としたレジストを一度に除去することによ
り、金属箔メッシュ単体を得る。
【0020】上記フォトレジスト樹脂としては、従来公
知の種々のフォトレジストを使用することができるが、
光重合タイプの感光性樹脂が好ましく、具体的には、光
重合性モノマー、バインダー樹脂、光重合開始剤および
その他の助剤を含んでなる、通常用いられる光硬化性の
組成物が好適に用いられる。本発明の金属箔メッシュの
製造方法においては、特にアルカリ水現像タイプ等のド
ライフィルムレジストが好適である。
【0021】光重合性モノマーとしては、例えば、エチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ
(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオールジ
(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(メタ)ア
クリロキシプロピロキシフェニル]プロパン、トリメチ
ロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリ
スリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)
アクリロキシエチルホスフェート、トリス(2−ヒドロ
キシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレー
ト、ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレー
ト、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メ
タ)アクリレート、グリセリントリグリシジルエーテル
トリ(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらは単
独でまたは2種以上を混合して用いられる。
【0022】バインダー樹脂としては、例えば、ビニル
系共重合体、ポリエステル、エポキシ樹脂などが挙げら
れ、これらは通常単独でまたは2種以上を混合して用い
られる。前記ビニル系共重合体に用いられるモノマー成
分としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)ア
クリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)
アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、2−
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−エチルへ
キシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸メト
キシエチル、スチレン、(メタ)アクリルアミド、(メ
タ)アクリロニトリル、酢酸ビニルなどが挙げられ、こ
れらのモノマーは通常単独でまたは2種以上を混合して
用いられる。
【0023】前記ポリエステルは、(無水)フタル酸、
イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロ無水フタル
酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、無水
トリメリット酸、無水ピロメリト酸などの2価以上のカ
ルボン酸とエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、1,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、
ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ネ
オペンチルグリコール、水素化ビスフェノールA、グリ
セリン、トリメチロールプロパンなどの2価以上のアル
コールとのエステル化反応により得られる。
【0024】また、前記エポキシ樹脂としては、例え
ば、ビスフェノールエポキシ樹脂、ノボラックエポキシ
樹脂などが挙げられ、これらに酢酸、シュウ酸、(メ
タ)アクリル酸などの1価のカルボン酸を付加したもの
であってもよい。
【0025】本発明においては、光重合性モノマーと、
バインダー樹脂との配合割合(重量比)は10/90〜
70/30、特に30/70〜50/50となるように
調整されるのが好ましい。
【0026】光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフ
ェノン、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチル
アミノ)ベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、
2−エチルアントラキノン、チオキサトン類、ベンゾイ
ンアルキルエーテル類、ベンジルケタール類などが挙げ
られ、これらは単独でまたは混合して用いられる。該光
重合開始剤は、通常フォトレジストの全固形分中に0.
01〜30重量%含有することが好ましい。
【0027】なお、前記フォトレジストには、必要に応
じて、増感剤、染料、着色顔料、密着改良剤、重合禁止
剤、塗面改良剤、可塑剤等を含有させることができる。
また、前記フォトレジストの市販品としては、日本合成
化学工業社製のアルフォNITシリーズ、三京化成社製
のPMERシリーズ、デュポンジャパン社製のリストン
シリーズ等が挙げられる。
【0028】また、本発明の電磁波シールド材における
金属箔メッシュは、ディスプレイの視認性を向上させる
ために、そのシールド材の前面側(ディスプレイの目視
面側)を黒色にすることが好ましい。黒色化処理として
は、酸化処理、硫化処理、黒色メッキ処理等の方法が知
られているが、具体的には、金属箔メッシュ単体に硫酸
によるソフトエッチ処理を行い、金属箔表面の防錆処理
膜を除去し、水洗後、水酸化ナトリウムおよび亜塩素酸
ナトリウムの水溶液による酸化処理を65〜75℃で1
0分程度行うことにより、金属箔メッシュを黒色化す
る。また、本発明における金属箔メッシュは、金属箔表
面に粒子径をコントロールした金属メッキを予め行うこ
とにより、金属箔表面を黒色化し、さらに、現像レジス
ト部を除去する工程の後に、エッチングされた金属箔メ
ッシュを加熱酸化することにより、金属メッキされてい
ない部分の黒色化を行うこともできる。なお、上記のよ
うな方法により得られる金属箔メッシュは、粘着剤等を
介して基体に貼着された構成ではなく、金属箔メッシュ
単体であるので、黒色化処理は両面に施すこともでき
る。
【0029】B.放射線硬化型樹脂 本発明の電磁波シールド材においては、放射線硬化型樹
脂をそのまま硬化させて結着剤層を形成しても、また、
近赤外線遮断剤や染料または顔料を含有させたものを硬
化させて近赤外線遮断層または発色光補正層を形成して
もよく、これらの層により、本発明の電磁波シールド材
に複数の機能を付与することができる。
【0030】放射線硬化型樹脂としては、アクリロイル
基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタク
リロイルオキシ基等重合性不飽和結合を有するモノマ
ー、オリゴマー、プレポリマーを適宜混合した組成物が
用いられる。モノマーの例としては、スチレン、メチル
アクリレート、ラウリルアクリレート、エトキシジエチ
レングリコールアクリレート、メトキシトリエチレング
リコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレー
ト、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボルニ
ルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、
2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ
−3−フェノキシアクリレート等の単官能アクリレー
ト、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−
ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロ
パントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアク
リレート、ペンタエリスリトールアクリレート、ジペン
タエリスリトールヘキサアクリレート、トリメチロール
プロパンアクリル酸安息香酸エステル、トリメチロール
プロパン安息香酸エステル等の多官能アクリレート等の
アクリル酸誘導体、メチルメタクリレート、2−エチル
ヘキシルメタクリレート、n−ステアリルメタクリレー
ト、シクロヘキシルメタクリレート、テトラヒドロフル
フリルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレー
ト、メトキシポリエチレンメタクリレート、2−ヒドロ
キシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタ
クリレート等の単官能メタクリレート、1,6−ヘキサ
ンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパン
トリメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、エ
チレングリコールジメタクリレート等の多官能メタクリ
レート等のメタクリル酸誘導体、グリセリンジメタクリ
レートヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタエリス
リトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネ
ート等のウレタンアクリレート等を挙げることができ
る。オリゴマー、プレポリマーとしては、ポリエステル
アクリレート、ポリウレタンアクリレート、エポキシア
クリレート、ポリエーテルアクリレート、アルキットア
クリレート、メラミンアクリレート、シリコンアクリレ
ート等のアクリレート、不飽和ポリエステル、エポキシ
系化合物等を挙げることができる。これらは単独、もし
くは複数混合して使用してもよい。モノマーは硬化膜の
可撓性が要求される場合は少な目にし、さらに架橋密度
を低くするためには、1官能、2官能のアクリレート系
モノマーを使用することが好ましく、逆に、硬化膜に耐
熱性、耐摩耗性、耐溶剤性等過酷な耐久性を要求される
場合は、モノマーの量を増やし、3官能以上のアクリレ
ート系モノマーを使用することが好ましい。
【0031】上記のような放射線硬化型樹脂を硬化する
には、例えば紫外線、電子線、X線などの放射線を照射
すればよいが、必要に応じて適宜重合開始剤を添加する
ことができる。なお、紫外線により硬化させる場合は、
光重合開始剤を添加する必要がある。光重合開始剤とし
ては、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2
−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジル
ジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フ
ェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオ
メチルフェニル)プロパン−1−オン等のアセトフェノ
ン類、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエ
ーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン
イソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類、ベンゾ
フェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニ
ルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフ
ェニルサルファイド、4−ベンゾイル−N,N−ジメチ
ル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)
エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベン
ゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等の
ベンゾフェノン類、2,4−ジエチルチオキサントン、
1−クロロ−4−ジクロロチオキサントン等のチオキサ
ントン類、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニ
ルベンゾイルオキサイド等を挙げることができる。これ
らは単独もしくは複数、混合して使用することができ
る。また、促進剤(増感剤)として、N,N−ジメチル
パラトルイジン、4,4’−ジエチルアミノベンゼンフ
ェノン等アミン系化合物を混合し、使用することもでき
る。光重合開始剤の含有量としては、放射線硬化型樹脂
に対し、0.1〜10重量%の範囲がよい。この範囲よ
り多くても少なくても効果が悪くなる。
【0032】近赤外線遮断剤としては、金属の硫化物と
チオウレア化合物、フタロシアニン系近赤外吸収剤、金
属錯体系近赤外吸収剤、銅化合物ビスチオウレア化合
物、リン化合物と銅化合物、酸化インジウム、酸化錫、
二酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化
亜鉛、酸化タンタル、酸化ニオブ、硫化亜鉛などの金属
酸化物膜等が挙げられる。
【0033】また、上記のような近赤外線遮断剤を本発
明に用いた場合、電磁波シールド材自体に色が付いてし
まうため、本発明においては、放射線硬化型樹脂に染料
や顔料を含有させて、画像上の発色を補正する発色光補
正層を形成することが好ましい。本発明に用いられる染
料としては、アゾメチン系、スクアリリウム系、シアニ
ン系、オキソノール系、アントラキノン系、アゾ系、ベ
ンジリデン系の化合物を挙げることができる。
【0034】C.透明基体 本発明の電磁波シールド材に使用する透明基体として
は、屈折率(JIS K−7142)が1.45〜1.
55の範囲にあるものが望ましい。具体例には、ポリエ
チレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロ
ース(TAC)、ポリアリレート、ポリエーテル、ポリ
カーボネート(PC)、ポリスルホン、ポリエーテルス
ルホン、セロファン、芳香族ポリアミド、ポリビニルア
ルコール、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(P
P)、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリスチレン
(PS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共
重合体(ABS)、ポリメチルメタクリレート(PMM
A)、ポリアミド、ポリアセタール(POM)、ポリフ
ェニレンテレフタレート(PPE)、ポリブチレンテレ
フタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド
(PPS)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテ
ルアミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(P
EEK)、ポリイミド(PI)、ポリテトラフルオロエ
チレン等の各種樹脂フィルム、石英ガラス、ソーダガラ
ス等のガラス基体等を好適に使用することができる。こ
れらの中でも、本電磁波シールド材をPDPやLCDに
用いる場合には、特にPET、PC、TACが好まし
い。
【0035】これら透明基体の透明性は高いもの程良好
であるが、光線透過率(JIS C−6714)として
は80%以上、より好ましくは90%以上が良い。ま
た、その透明基体をPDPに用いる場合には、PDPの
表面ガラスを保護してPDP表面に衝撃を受けた場合に
ガラスの飛散を防ぐことができるため、透明基体はフィ
ルムであることが好ましい。透明基体の厚さは、軽量化
の観点から薄いほうが望ましいが、その生産性を考慮す
ると、1〜700μmの範囲のもの、好ましくは10〜
200μmの範囲のものを使用することが好適である。
【0036】また、透明基体に、アルカリ処理、コロナ
処理、プラズマ処理、フッ素処理、スパッタ処理等の表
面処理や、界面活性剤、シランカップリング剤等の塗
布、あるいはSi蒸着などの表面改質処理を行うことに
より、機能付与層と透明基体との密着性を向上させるこ
とができる。
【0037】D.その他の層 本発明におけるその他の層とは、電磁波シールド材の機
能に悪影響を与えないものであればいずれのものでもよ
いが、具体的には以下の層が挙げられる。 (1)反射防止層および防眩層 反射防止層および防眩層に関しては、磨りガラスのよう
に、光を散乱もしくは拡散させて像をボカス手法を採用
することができる。すなわち、光を散乱もしくは拡散さ
せるためには、光の入射面を粗面化することが基本とな
っており、この粗面化処理には、サンドブラスト法やエ
ンボス法等により基体表面を直接粗面化する方法、基体
表面に放射線、熱の何れかもしくは組み合わせにより硬
化する樹脂中にシリカなどの無機フィラーや、樹脂粒子
などの有機フィラーを含有させた粗面化層を設ける方法
および基体表面に海島構造による多孔質膜を形成する方
法を挙げることができる。
【0038】また、反射防止層を形成する他の方法とし
ては、屈折率の高い材料と低い材料を交互に積層し、多
層化(マルチコート)することで、表面の反射が抑えら
れ、良好な反射防止効果を得ることができる。通常、こ
の反射防止層は、SiO2に代表される低屈折率材料
と、TiO2、ZrO2等の高屈折率材料とを交互に蒸着
等により成膜する気相法や、ゾルゲル法等によって形成
される。
【0039】反射防止効果を向上させるためには、低屈
折率層の屈折率は、1.45以下であることが好まし
い。これらの特徴を有する材料としては、例えばLiF
(屈折率n=1.4)、MgF2(n=1.4)、3N
aF・AlF3(n=1.4)、AlF3(n=1.
4)、Na3AlF6(n=1.33)、SiO2(n=
1.45)等の無機材料を微粒子化し、アクリル系樹脂
やエポキシ系樹脂等に含有させた無機系低反射材料、フ
ッ素系、シリコーン系の有機化合物、熱可塑性樹脂、熱
硬化型樹脂、放射線硬化型樹脂等の有機低反射材料を挙
げることができる。
【0040】さらに、5〜30nmのシリカ超微粒子を
水もしくは有機溶剤に分散したゾルとフッ素系の皮膜形
成剤を混合した材料を使用することもできる。該5〜3
0nmのシリカ超微粒子を水もしくは有機溶剤に分散し
たゾルは、ケイ酸アルカリ塩中のアルカリ金属イオンを
イオン交換等で脱アルカリする方法や、ケイ酸アルカリ
塩を鉱酸で中和する方法等で知られた活性ケイ酸を縮合
して得られる公知のシリカゾル、アルコキシシランを有
機溶媒中で塩基性触媒の存在下に加水分解と縮合するこ
とにより得られる公知のシリカゾル、さらには上記の水
性シリカゾル中の水を蒸留法等により有機溶剤に置換す
ることにより得られる有機溶剤系のシリカゾル(オルガ
ノシリカゾル)が用いられる。これらのシリカゾルは水
系および有機溶剤系のどちらでも使用することができ
る。有機溶剤系シリカゾルの製造に際し、完全に水を有
機溶剤に置換する必要はない。前記シリカゾルはSiO
2として0.5〜50重量%濃度の固形分を含有する。
シリカゾル中のシリカ超微粒子の構造は球状、針状、板
状等様々なものが使用可能である。また、皮膜形成剤と
しては、アルコキシシラン、金属アルコキシドや金属塩
の加水分解物や、ポリシロキサンをフッ素変性したもの
などを用いることができる。
【0041】低屈折率層は、上記で述べた材料を例えば
溶剤に希釈し、スピンコーター、ロールコーティングや
印刷等によるウェットコーティング法や、真空蒸着、ス
パッタリング、プラズマCVD、イオンプレーティング
等による気相法で高屈折率層上に設けて乾燥後、熱や放
射線(紫外線の場合は上述の光重合開始剤を使用する)
等により硬化させることによって得ることができる。
【0042】高屈折率層においては、屈折率を高くする
ために高屈折率のバインダー樹脂を使用するか、高い屈
折率を有する超微粒子をバインダー樹脂に添加すること
によって行うか、あるいはこれらを併用することによっ
て行う。高屈折率層の屈折率は1.55〜2.70の範
囲にあることが好ましい。
【0043】高屈折率層に用いる樹脂は、透明なもので
あれば任意であり、熱硬化型樹脂、熱可塑性樹脂、放射
線(紫外線を含む)硬化型樹脂などを用いることができ
る。熱硬化型樹脂としては、フェノール樹脂、メラミン
樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレー
ト樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ア
ミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素
樹脂、ポリシロキサン樹脂等を用いることができ、これ
らの樹脂に、必要に応じて架橋剤、重合開始剤等の硬化
剤、重合促進剤、溶剤、粘度調整剤等を加えることがで
きる。
【0044】高い屈折率を有する超微粒子としては、例
えば、紫外線遮蔽の効果をも得ることができる、ZnO
(屈折率n=1.9)、TiO2(n=2.3〜2.
7)、CeO2(n=1.95)の微粒子、また、帯電
防止効果が付与されて埃の付着を防止することもでき
る、アンチモンがドープされたSnO2(n=1.9
5)またはITO(n=1.95)の微粒子が挙げられ
る。その他の微粒子としては、Al23(n=1.6
3)、La23(n=1.95)、ZrO2(n=2.
05)、Y23(n=1.87)等を挙げることができ
る。これらの超微粒子は単独または混合して使用され、
有機溶剤または水に分散したコロイド状になったものが
分散性の点において良好であり、その粒径としては、1
〜100nm、塗膜の透明性から好ましくは、5〜20
nmであることが望ましい。
【0045】高屈折率層を設けるには、上記で述べた材
料を例えば溶剤に希釈し、スピンコーター、ロールコー
ター、印刷等の方法で基体上に設けて乾燥後、熱や放射
線(紫外線の場合は上述の光重合開始剤を使用する)等
により硬化させれば良い。
【0046】(2)帯電防止層 帯電防止層は、アルミニウム、錫等の金属、ITO等の
金属酸化膜を蒸着、スパッタ等で極めて薄く設ける方
法、アルミニウム、錫等の金属微粒子やウイスカー、酸
化錫等の金属酸化物にアンチモン等をドープした微粒子
やウィスカー、7,7,8,8−テトラシアノキノジメ
タンと金属イオンや有機カチオンなどの電子供与体(ド
ナー)との間でできた電荷移動錯体をフィラー化したも
の等をポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂
等に分散し、ソルベントコーティング等により設ける方
法、ポリピロール、ポリアニリン等にカンファースルホ
ン酸等をドープしたものをソルベントコーティング等に
より設ける方法等により設けることができる。帯電防止
層の透過率は光学用途の場合、80%以上が好ましい。
【0047】(3)ハードコート層 ハードコート層としては、無機または有機のハードコー
ト層用樹脂により形成されたものが用いられ、例えば、
ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)
アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等の
アクリロイル基、メタクリロイル基を2個以上含んだ多
官能重合性化合物を紫外線、電子線等の活性エネルギー
線によって重合硬化させたもの等を挙げることができ
る。
【0048】(4)防汚層 防汚層は、臨界表面張力を20dyn/cm以下に制御
することによって防汚性を発揮する層である。この層の
臨界表面張力が20dyn/cmより大きい場合は、表
面に付着した汚れが取れにくくなる。防汚層の材料とし
ては、放射線硬化型樹脂を好適に用いることができる
が、その中でも、特に、フッ素系の含フッ素材料が汚れ
防止の点において好ましい。
【0049】前記含フッ素材料としては、有機溶媒に溶
解し、その取り扱いが容易であるフッ化ビニリデン系共
重合体や、フルオロオレフィン/炭化水素オレフィン共
重合体、含フッ素エポキシ樹脂、含フッ素エポキシアク
リレート、含フッ素シリコーン、含フッ素アルコキシシ
ラン、さらに、TEFRON AF1600(デュポン
社製 屈折率n=1.30)、CYTOP(旭硝子
(株)社製 n=1.34)、17FM(三菱レーヨン
(株)社製 n=1.35)、オプスターJN−721
2(日本合成ゴム(株)社製 n=1.40)、LR2
01(日産化学工業(株)社製 n=1.38)等を挙
げることができる。これらは単独でも複数組み合わせて
も使用することができる。
【0050】また、2−(パーフルオロデシル)エチル
メタクリレート、2−(パーフルオロ−7−メチルオク
チル)エチルメタクリレート、3−(パーフルオロ−7
−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリ
レート、2−(パーフルオロ−9−メチルデシル)エチ
ルメタクリレート、3−(パーフルオロ−8−メチルデ
シル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等の含
フッ素メタクリレート、3−パーフルオロオクチル−2
−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオ
ロデシル)エチルアクリレート、2−(パーフルオロ−
9−メチルデシル)エチルアクリレート等の含フッ素ア
クリレート、3−パーフルオロデシル−1,2−エポキ
シプロパン、3−(パーフルオロ−9−メチルデシル)
−1,2−エポキシプロパン等のエポキサイド、エポキ
シアクリレート等の放射線硬化型の含フッ素モノマー、
オリゴマー、プレポリマー等を挙げることができる。こ
れらは単独もしくは複数種類混合して使用することも可
能である。
【0051】しかしながら、これらは防汚性には優れて
いるが、ヌレ性が悪いため、組成によっては基体上で防
汚層をはじくという問題や、防汚層が基体から剥がれる
という問題が生じるおそれがある。そのため、これらを
用いる場合には、放射線硬化型樹脂として用いられるア
クリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ
基、メタクリロイルオキシ基等重合性不飽和結合を有す
るモノマー、オリゴマー、プレポリマーを適宜混合して
使用することが望ましい。
【0052】2.製造方法 本発明の電磁波シールド材の製造方法は、少なくとも一
つの開口を有する袋状物に金属メッシュを入れる工程
と、開口から放射線硬化型樹脂を注入する工程と、放射
線硬化型樹脂を硬化する工程とを備えていることを特徴
とする。このような製造方法によれば、本発明の金属メ
ッシュの孔内に放射性硬化型樹脂が充填された電磁波シ
ールド材を得ることができる。
【0053】前記の袋状物としては、透明または不透明
な樹脂フィルム等を少なくとも一つの開口を有する袋の
形態としたものが挙げられる。この袋状物は、放射線硬
化型樹脂が硬化された後、必要に応じて金属メッシュか
ら剥離すればよい。また、他の袋状物としては、ガラス
基体や硬質樹脂などの硬質材の一方の面に樹脂フィルム
等の柔軟材を形成し、その端部を結着して袋の形態とし
たものや、ガラス基体や硬質樹脂などの硬質材どうしを
対向させ、その端部を樹脂フィルム等の柔軟材で結着し
て袋の形態としたものも挙げられる。これらの中でも、
前記の透明基体を用いて下記のように袋状物を製造する
ことが、金属メッシュに透明基体が積層された電磁波シ
ールド材を一体として簡易に製造することができるので
好ましい。
【0054】本発明の電磁波シールド材の製造方法の第
1実施形態としては、図3に示すように、まず、金属メ
ッシュ31の両面に透明基体32を積層し、次いで、テ
ープ等を用いて一つの開口33を有するように透明基体
32の端部34を袋状に結着する。次に、金属メッシュ
31の孔内に気泡が留まらないように徐々に開口33か
ら放射線硬化型樹脂を注入し、孔内に気泡が留まってし
まった場合には振動等により気泡を除去した後、開口3
3を設けた端部に対向する端部から、ローラー等の手段
により透明基体32を面方向に押圧し、余分な放射線硬
化型樹脂を開口33から絞り出す。ここで、開口33を
テープ等で塞ぎ、袋状の透明基体32を密閉してもよ
い。次いで、紫外線等の照射により放射線硬化型樹脂を
硬化して、電磁波シールド材を製造する。
【0055】また、本発明の製造方法の第2実施形態と
しては、図4に示すように、金属メッシュ41の両面に
透明基体42を積層し、次いで、テープ等により二つの
開口43,44を有するように透明基体42の端部45
を袋状に結着する。次に、一方の開口43から袋状の透
明基体内42を減圧した後、他方の開口44から放射線
硬化型樹脂を注入する。この際、透明基体42内の減圧
を行いながら放射線硬化型樹脂の注入を同時に行っても
よいが、予め透明基体44内を減圧状態としておく方が
金属メッシュ41の孔内における気泡の形成を防ぐこと
ができるため好ましい。また、同様の理由から、透明基
体42を立てた状態でこれらの工程を行う場合には、放
射線硬化型樹脂を下方の開口44から注入することが好
ましい。さらに、この工程の後に、開口43,44をテ
ープ等で塞ぎ、袋状の透明基体42を密閉してもよい。
次いで、紫外線等の照射により放射線硬化型樹脂を硬化
して、電磁波シールド材を製造する。
【0056】前記の袋状物を形成する樹脂フィルムおよ
び透明基体は、孔内に気泡のない放射線硬化型樹脂が充
填された金属メッシュを得ることができることから、柔
軟性を有することが好ましい。また、上記第1実施形態
および第2実施形態においては、二つ以上の開口を設け
てもよい。
【0057】本発明においては、金属メッシュの配置の
正確さおよび接着性を向上させるために、その後の工程
においても剥離しない透明基体の袋状にした際の内側
に、接着剤等を介して予め接着させておくことが好まし
い。また、本発明においては、透明基体を剥離し、その
面に他の層を積層することもできる。
【0058】
【実施例】<実施例1>反射防止フィルム(商品名:日
油ARフィルム、日本油脂社製)の片面に、接着剤(商
品名:アロンメルトPES−310S30、東亜合成化
成社製)100gに架橋剤(商品名:コロネートL、日
本ポリウレタン工業社製)5gを混合したものを、ドク
ターコーティングにより厚さ4μmとなるように塗工
し、100℃で2分間乾燥した後、室温で8時間冷却し
た。次いで、銅箔メッシュを積層し、これらを2枚のガ
ラス板により挟持させ、55度で3時間加熱した。次
に、ガラス板を取り除いた後、銅箔メッシュに対向する
ようにPETフィルムを積層し、この積層体の3辺の端
部をテープにより貼り合わせて袋状とし、その中に下記
配合の紫外線硬化型樹脂を注入した。その後、ラミネー
ターにより、面方向から押力をかけて余分な紫外線硬化
型樹脂を取り除き、積層体の開放されている残りの端部
をテープにより貼り合わせ、紫外線を照射して本発明の
実施例1の電磁波シールド材を製造した。
【0059】 [紫外線硬化型樹脂の配合] ・末端アクリロイル基含有ウレタンプレポリマー (商品名:UF8001、共栄社化学社製) 20重量部 ・多官能モノマー (商品名:ライトアクリレートTMP−A、共栄社化学社製) 60重量部 ・単官能モノマー (商品名:ライトアクリレートEC−A、共栄社化学社製) 20重量部 ・光開始剤 (商品名:ダロキュア1173、チバガイギー社製) 1.5重量部
【0060】<実施例2>実施例1と同様の工程によ
り、接着剤を介して反射防止フィルムに積層し、加熱さ
れた銅箔メッシュからガラス板を取り除いた後、銅箔メ
ッシュに対向するようにPETフィルムを積層し、この
積層体の4辺の端部を上部と下部に開口を有するように
テープにより貼り合わせて袋状とした。次に、上部の開
口から減圧しながら、実施例1の紫外線硬化型樹脂に近
赤外線遮断剤を含有した樹脂を下部の開口から注入し
た。そして、袋に該樹脂が満たされた後に、積層体の上
下の開口部をテープにより貼り合わせ、紫外線を照射し
て本発明の実施例2の電磁波シールド材を製造した。
【0061】このようにして得られた実施例1および2
の電磁波シールド材は、簡素化された層構成であり、か
つ優れた光透過性と視認性を有し、実施例2において
は、近赤外線遮断性をも併せ持っていた。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の電磁波シ
ールド材は、金属メッシュの孔内に、少なくとも近赤外
線遮断層、発色光補正色層、接着剤層のいずれかを形成
する放射線硬化型樹脂を充填することにより、優れた光
透過性と視認性を有することは勿論、簡素化された層構
成において複数の機能を併せ持つことができる。また、
本発明の電磁波シールド材の製造方法は、袋状の透明基
体の内部で放射線硬化型樹脂を金属メッシュの孔内に充
填させ、硬化させることにより、上記電磁波シールドシ
ートを好適に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電磁波シールド材の一実施形態を示
した模式図である。
【図2】 従来の電磁波シールド材を示した模式図であ
る。
【図3】 本発明の電磁波シールド材の製造方法の第1
実施形態を示した模式図である。
【図4】 本発明の電磁波シールド材の製造方法の第2
実施形態を示した模式図である。
【符号の説明】
11,24,31,41…金属メッシュ、12,27…
ディスプレイパネルの基材、13,21…反射防止膜を
有するPETフィルム、14,28…ホットメルト樹脂
層、22…近赤外線遮断材を含む樹脂層、23,25…
PETフィルム、26…粘着剤、32,42…透明基
体、33,43,44…開口、34,45…結着端部。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29K 105:22 B29K 105:22 105:24 105:24 B29L 9:00 B29L 9:00 31:00 31:00 Fターム(参考) 4F204 AA44 AD03 AD08 AD16 AD17 AE03 AG01 AG03 AH33 EA03 EB01 EB12 EF02 EF05 EF27 EK09 EK17 EK18 5E321 AA04 BB23 BB41 CC16 GG05 GG11 5G435 AA01 AA16 BB06 GG33

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属メッシュの孔内に、放射線硬化型樹
    脂が充填されていることを特徴とする電磁波シールド
    材。
  2. 【請求項2】 前記放射線硬化型樹脂は、少なくとも近
    赤外線遮断層、発色光補正層層、接着剤層のいずれかを
    形成することを特徴とする請求項1に記載の電磁波シー
    ルド材。
  3. 【請求項3】 前記金属メッシュは、金属箔に多数の孔
    が穿設されることにより、該孔と、孔の周囲の金属箔部
    分であるライン部とからなる幾何学模様のメッシュパタ
    ーンが前記金属箔に形成されてなることを特徴とする請
    求項1または2に記載の電磁波シールド材。
  4. 【請求項4】 少なくとも一つの開口を有する袋状物に
    金属メッシュを入れる工程と、 前記開口から放射線硬化型樹脂を注入する工程と、 前記放射線硬化型樹脂を硬化する工程とを備えることを
    特徴とする電磁波シールド材の製造方法。
  5. 【請求項5】 金属メッシュの両面に透明基体を積層す
    る工程と、 少なくとも一つの開口を有するように前記透明基体の端
    部を袋状に結着する工程と、 前記開口から放射線硬化型樹脂を注入する工程と、 前記開口を設けた端部に対向する端部から、前記透明基
    体を面方向に押圧し、余分な前記放射線硬化型樹脂を前
    記開口から絞り出す工程と、 前記放射線硬化型樹脂を硬化する工程とを備えることを
    特徴とする電磁波シールド材の製造方法。
  6. 【請求項6】 金属メッシュの両面に透明基体を積層す
    る工程と、 少なくとも二つの開口を有するように前記透明基体の端
    部を袋状に結着する工程と、 前記開口の一方から袋状の前記透明基体内を減圧する工
    程と、 前記開口の他方から放射線硬化型樹脂を注入する工程
    と、 前記放射線硬化型樹脂を硬化する工程とを備えることを
    特徴とする電磁波シールド材の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記透明基体は、前記金属メッシュに対
    向する面に接着剤層を有し、他方の面に反射防止層を有
    することを特徴とする請求項5または6に記載の電磁波
    シールド材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP5247447B2 (ja) * 2006-08-10 2013-07-24 電気化学工業株式会社 接着剤組成物及びそれを用いた部材の仮固定方法

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