JP2002299712A - 圧電素子、および超音波発振装置 - Google Patents

圧電素子、および超音波発振装置

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JP2002299712A
JP2002299712A JP2001094155A JP2001094155A JP2002299712A JP 2002299712 A JP2002299712 A JP 2002299712A JP 2001094155 A JP2001094155 A JP 2001094155A JP 2001094155 A JP2001094155 A JP 2001094155A JP 2002299712 A JP2002299712 A JP 2002299712A
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JP
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piezoelectric element
piezoelectric
glass component
electrode
electrode layer
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JP2001094155A
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English (en)
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Koichi Harada
耕一 原田
Yasuharu Hosono
靖晴 細野
Takashi Kobayashi
剛史 小林
Kazuhiro Henmi
和弘 逸見
Mamoru Izumi
守 泉
Yohachi Yamashita
洋八 山下
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 切断加工による素子折れの発生を低減できる
圧電素子を提供することを目的とする。 【解決手段】 圧電体1表面に形成する電極層2中に含
有されるガラス成分の比率を5.05wt%〜30wt
%の範囲内にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は圧電素子および超音
波発振装置に係わり、特に単結晶材料を用いた圧電素子
およびこの圧電素子を用いた超音波発振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】圧電素子は、電圧を印加することで振動
が生じることを利用し、例えば人体内部を検査するため
の医療用超音波診断装置や金属溶接内部の探傷を目的と
する検査装置などの超音波探触子等に利用されている。
【0003】通常、これらの超音波探触子に使用される
圧電体としては電気機械結合係数(kt 、k33やk33
´)の高いペロブスカイト構造のセラミック材料が使用
されてい。
【0004】さらに、ペロブスカイト構造のPb[(Z
1/3 ,Nb2/31-X TiX ]O3は単結晶材料にする
ことで電気機械結合係数が飛躍的に向上することが知ら
れている。この単結晶材料にスパッタや蒸着により電極
を形成して圧電素子を作製した場合、単結晶材料と電極
との接合面での密着強度に問題が生じた。これを解決す
る方法として導電材料にガラス成分を添加した電極ペー
ストを単結晶材料表面に焼き付けて電極層を形成する方
法がある。このようにして得られる電極層はリード線や
単結晶材料との接合性が良好なものとなる(例えば特開
平9−214014号公報)。
【0005】一方、医療用の超音波探触子は、短冊状の
圧電素子を配列した構造である。そのため超音波探触子
用の圧電素子を作製する際には、所定サイズ以上の圧電
単結晶に対向電極を形成した圧電素子を切断することで
短冊状に加工している。
【0006】しかしながら、この方法で圧電素子の切断
を行うと、切断方向に垂直な方向に圧電素子が折れてし
まうという問題が生じる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の圧電素子は、短冊状に切断加工する際に、素子折れが
発生するという問題があった。
【0008】本発明はこのような問題に鑑みて為された
ものであり、切断加工による素子折れの発生を低減でき
る圧電素子、さらにはこの圧電素子を用いた超音波発振
装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の圧電素子は、一
対の電極層と、この一対の電極層間に挟持されたPb
[(B1 ,B2 )1-X TiX ]O3 (ただし、x=0〜
0.55、B1 はZn、Mg、ScおよびInの群から
選ばれる少なくとも一種、B2 はNbを示す)で示され
る単結晶材料からなる圧電体とを具備する圧電素子にお
いて、前記電極層は、導電性材料およびガラス成分を含
有しており、前記導電性材料および前記ガラス成分の総
量に対する前記ガラス成分の含有率が5.05wt%〜
30wt%であることを特徴とする。
【0010】前記ガラス成分は、PbOおよびZnOか
ら選ばれる少なくとも一方を含有し、前記PbOおよび
ZnOの総量が前記ガラス成分に対して50wt%以上
含有することが好ましい。
【0011】本発明の超音波発振装置は、短冊状の圧電
素子を複数個配列した超音波探触子と、前記圧電振動子
に超音波発信用信号を送る起動制御部とを具備する超音
波発振装置において、前記各圧電素子は、一対の電極層
および、この一対の電極層間に挟持されるPb[(B1
,B2 )1-X TiX ]O3 (ただし、x=0〜0.5
5、B1 はZn、Mg、ScおよびInの群から選ばれ
る少なくとも一種、B2はNbを示す)で示される単結
晶材料からなる圧電体とからなり、前記電極層は、導電
性材料およびガラス成分を含有しており、前記導電性材
料および前記ガラス成分の総量に対する前記ガラス成分
の含有率が5.05wt%〜30wt%であることを特
徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】図1および図2に本発明の圧電素
子を例示し、以下図面を参照して本発明を説明する。
【0013】図1は圧電体表面に電極を形成した圧電素
子の斜視図であり、図2は図1に示す圧電素子を短冊状
に切断した時の切断方向からの断面図である。
【0014】図1に示す圧電素子は、単結晶材料からな
る平板状の圧電体1と、この圧電体を挟持する一対の電
極層2とから構成されている。
【0015】電極層2はAgなどの導電材料にPbOな
どのガラス成分が添加されており、このガラス成分によ
って電極層2と圧電体1との接合強度を高めている。こ
のガラス成分の量などによっては、微視的に観察した場
合ガラス成分が析出して電極層2と圧電体1との間にガ
ラス層が形成されることもある。
【0016】この圧電素子を、切断用のブレード5を用
いて切断線Aに沿って切断することで、図2に示すよう
に、複数の短冊状の圧電素子に加工される。
【0017】本発明者らは、圧電素子を短冊状に加工す
る際に、たびたび圧電素子が切断面に垂直方向に割れが
発生することを確認した。そして、電極組成を種々変更
して割れ発生状況を確認し、電極中のガラス添加量を所
定の値に制御して電極層の硬度を単結晶材料の硬度に近
づけることで、切断時の素子折れを低減できることを見
出し本発明に至った。
【0018】以下、本発明についてより詳細に説明す
る。
【0019】本発明に係る圧電体は、実質的にPb
[(B1 ,B2)1-XTiX]O3 (ただし、x=0.0
9〜0.55、B1はZn、Ni、Mg、ScおよびI
nの群から選ばれる少なくとも一種、B2 はNbから選
ばれる少なくとも1種よりなる単結晶材料であればよ
く、例えば10mol%以内であればPbの一部がB
a、Sr、CaあるいはLaで置換されたもの、B1の
一部がMn,Fe,PtあるいはYbで置換されたも
の、B2の一部がWあるいはTaで置換されたものであ
ってもよい。
【0020】この単結晶材料は、電気機械変換効率(以
下、圧電特性と呼ぶ)が高いために、圧電体に適してい
る。
【0021】特に、B1としてZn、Mgを用い、かつ
B2としてNbを用いた単結晶材料は電気エネルギーか
ら機械的なエネルギー(振動エネルギー)への変換効率が
高く好ましく、この場合、<100>結晶面と平行な一
対の面が圧電体表面に露出するようにし、この<100
>結晶面と平行な面に一対の電極を対向して形成するこ
とが好ましい。このようにすることで、電極間に印加し
た電気信号を電極が形成された面から効率よく発信する
ことができる。
【0022】圧電体の形状は、特に制限されず、用途に
よってその形状を任意なものとすることができる。ま
た、圧電体の厚さは(電極間の距離)、圧電素子として
使用する時の振動周波数帯によって適宜選択すればよ
く、使用する周波数帯が高くなるほど圧電体の厚さは小
さく設定する。
【0023】例えば圧電素子を超音波探触子に使用する
際には、電極層が形成される面の長辺を150mm×2
00mm、短辺を60μm〜360μmとし、また厚さ
を100μm〜600μmとすることで電極が形成され
た面から放出される超音波の周波数を1MHz〜20M
Hz程度に調整すればよい。
【0024】電極層は、導電性材料およびガラス成分と
を含有している。
【0025】この電極層は、例えば導電性材料およびガ
ラス成分を分散媒中に分散させた導電性ペーストを圧電
体表面に塗布・成膜した後、この導電性ペーストを焼き
付けることで得られる。
【0026】導電性材料としては、導電性を有するもの
であれば特に制限されず、例えばAg、Pd、Auある
いはPt等といった金属材料が導電性材料中に50wt
%以上含有するものが使用できる。
【0027】ガラス成分としては、通常のガラスに含有
される成分の少なくとも1種を含むものであれば良く、
例えば、SiO2、B23、PbOやZnOなどの酸化
物があげられる。
【0028】導電性材料とガラス成分の総量に対するガ
ラス成分の比率は、5.05wt%〜30wt%の範囲
内、さらには7wt%〜20wt%の範囲内にすること
が望ましい。ガラス成分の比率がこの範囲から外れる
と、圧電素子の切断加工時に圧電素子が折れてしまう恐
れがある。
【0029】この理由は明らかでないが、以下のように
推測する。
【0030】圧電素子は、圧電体と電極層との異なる材
料からなる積層物である。このような積層物の各層の硬
度や粘性等の特性が大きく異なると、切断時に積層界面
近傍に働く応力が大きくなり、積層物に割れを生じさせ
る。
【0031】この現象を圧電素子に適応させてみると、
電極層の主成分である金属成分は、単結晶材料からなる
圧電体に比べて硬度が低く、また粘性が大きい。一方ガ
ラス成分は金属成分、あるいは圧電体に比べその硬度が
高く、また単結晶材料からなる圧電体と同程度の粘性を
有する。そのため、電極層中にガラス成分を添加するこ
とで、電極層と圧電体との硬度や粘性などの特性差を小
さくすることが可能になる。
【0032】すなわち、ガラス成分の比率が5.05w
t%よりも少ないと、硬度や粘性などの面で電極層と圧
電体との間の特性の差が大きくなり、その結果切断時に
素子折れが発生するものと思われる。
【0033】一方、電極層中のガラス成分の比率によっ
ては、電極ペーストから電極層を形成する際の加熱によ
って圧電体との間にガラス層が形成され、ガラス成分の
比率が高まるに従ってガラス層の膜厚は大きくなる傾向
にある。
【0034】ガラス成分の比率が30wt%を超えて添
加されると、電極層と圧電体との間に形成されるガラス
層の厚さが大きくなり、圧電素子を切断する際に、ガラ
ス層中からガラス片が欠落し、切断用のブレードと圧電
素子との間にこのガラス片が挟まって圧電素子を折って
しまうものと考えられる。
【0035】なお、ガラス成分の比率が30wt%以下
であれば、ガラス層自体は形成されないか、形成された
としてもサブミクロン厚レベルの極微量であり、実質的
には電極層と圧電体との間にガラスの析出層は形成され
ない。
【0036】また、電極層中にガラス成分を添加するこ
とで、電極層と圧電体との接合性を高めることができる
という効果も生じる。
【0037】ガラス成分中に占める、PbOやZnOの
比率が50wt%以上であることが好ましい。ガラス成
分としてSiO2やB23など他の成分は単結晶材料と
反応して単結晶材料と電極層との界面に反応層を形成し
てしまう。この反応層は硬度および粘性が極端に低い。
そのためPbOやZnO以外のガラス成分の比率が50
wt%を超えて含有されると、反応層の膜厚が大きくな
り、圧電素子の切断時に、電極層と反応層との界面、あ
るいは反応層と圧電体との界面に働く応力が大きくな
り、圧電素子を折ってしまう恐れがある。 PbOやZ
nOは硬度および粘性が極端に低い反応性を形成しない
ため切断性を低下させない。
【0038】また、圧電体とSiO2やB23とが反応
して得られる反応層は、圧電特性が低いために、圧電素
子の圧電特性を劣化させる恐れもある。
【0039】電極層の厚さは、20μm以下で、かつ圧
電体の厚みに対して1/20以下であることが好まし
い。電極層の厚さが20μmを超える、あるいは圧電体
の厚みに対して1/20を超えると、圧電素子を切断す
る時の圧電体と電極層との間に生じる応力が大きくなる
ために素子折れが発生する恐れがある。また、圧電素子
中の圧電体以外の成分が多いと、圧電素子の圧電特性が
低下する恐れもある。
【0040】電極層の厚さが0.3μmよりも小さい
と、圧電体と電極層との接合強度が低下し、電極層が圧
電体から剥離してしまう恐れがある。
【0041】電極層は、前述したように導電性ペースト
を圧電体に塗布して形成することが可能であるが、塗布
の仕方としてはグラビア印刷、熱転写印刷あるいはスタ
ンプ式の印刷方法や、スクリーン印刷法など特に限定さ
れない。スクリーン印刷法では、スクリーンに塗られた
乳剤の厚み及びスクリーンの目の粗さを調整することに
より自由に電極層の厚さを調整することができる点で好
ましい。
【0042】また、導電性ペーストを構成する成分中の
分散媒は、導電性材料やガラス成分などの電極成分を分
散し得るものであれば特に制限されず用いることがで
き、通常有機溶剤が使用される。例えばジエチレングリ
コールモノブチルエーテルなどの比較的粘性のあるもの
や、ブチルカルビトールのような粘性の低いものを用い
ることもできる。粘性の低いものではアクリル系バイン
ダーやセルロース系バインダーなどを混合することもあ
る。また安全環境保護の立場から澱粉等の水系のバイン
ダーを用いても良い。
【0043】なお、この分散媒は、電極形成時の焼付け
により、蒸発または分解・除去されるために、圧電素子
中には実質的に存在しない。
【0044】電極層の焼き付け温度は、導電性材料の焼
結温度よりも高い温度とすることが好ましい。焼結温度
よりも低いと、得られる電極層の膜強度が十分に得られ
ず、その結果電極層と圧電体との接合強度が十分にとれ
なくなる。具体的な焼結温度は、使用する導電性材料に
よって多少異なるが、概ね500℃以上の温度とすれば
よい。
【0045】さらに電極層の焼付け温度は900℃以下
に設定することが望ましい。900℃を超える高温で導
電性ペーストを焼結すると、ガラス成分が圧電体のペロ
ブスカイト構造を破壊しやすい、あるいは電極層と圧電
体との界面にガラス層が形成されやすくなるため、圧電
素子の圧電効率が低下する恐れがある。このような現象
は焼き付け温度が高くなるに従って著しくなるため、よ
り好ましくは600℃以下、さらには焼結可能な最低限
度の焼き付け温度とすることが好ましい。
【0046】なお、通常、圧電体表面に焼き付け処理に
より電極層を形成した場合、圧電体は脱分極されている
ために圧電特性を持たない。そのため、圧電素子として
機能させるために、通常圧電素子に形成された一対の電
極間に電圧を印加し、圧電体を分極させることで圧電素
子に圧電特性を付与する。この分極のために印加する電
圧としては、例えば0.1V/mm以上とすればよく、
さらにこの電圧を大きくすることで圧電効率を向上させ
ることが可能になる。
【0047】本発明の超音波発振装置は、前述した圧電
素子を搭載したものであり、結石破砕装置などの超音波
発振専用の装置や、超音波診断装置などの超音波の送受
信を行うものにも使用することができる。
【0048】特に、超音波発振に関しては圧電素子の駆
動電圧を大きくすることで、発振する超音波を大きくす
ることが可能であるが、受信精度を高めることを考慮す
ると、高感度(圧電特性が高い)の本発明の圧電素子が
好適である。
【0049】以下に、超音波探触子の一例を図3に、超
音波診断装置の一例を図4に示し、図面を参照して説明
する。
【0050】超音波探触子31は、圧電体11と、圧電
体表面に形成された一対の電極13、14からなる短冊
状の本発明の圧電素子がアレイ状に配列されている。配
列された圧電素子の片面(電極13が形成された面)に
は、音響マッチング層15および音響レンズ16からな
る超音波送受信面が順次形成されている。配列された圧
電素子の超音波送受信面と対向する面にはバッキング層
12が形成されている。さらにそれぞれの電極層14は
フレキシブル印刷配線板18上のそれぞれの配線に電気
的に接続されており、電極層13はアース電極板17上
の配線に接続されている。
【0051】このような超音波探触子31には起動制御
および検出を行う装置32が接続されている。具体的に
は、圧電素子にフレキシブル印刷配線基板18を介し
て、超音波発信用信号を送り、圧電素子で受信され、圧
電素子によって変換された電気信号を検出する装置32
とが接続されている。
【0052】例えば、超音波発信用信号として周波数1
MHz〜20MHz程度、電圧1〜400V程度のパル
ス信号を駆動制御部から圧電素子に送信すると圧電素子
が共振し、圧電素子の電極13が形成された面から超音
波が発振される。圧電素子から発振された超音波は、音
響マッチング層15および音響レンズ16を介して検体
(図示せず)に放出される。
【0053】なお、音響レンズ16は、圧電素子から発
振された超音波を検体内の適当な場所に集束させるため
の音波の集束手段であり、音響マッチング層15は、圧
電素子の音響インピーダンスと検体(人体)の音響イン
ピーダンスとの間の音響インピーダンスを持つ材料で構
成されており、この音響マッチング層15を配置するこ
とで圧電素子で発振された超音波の検体(人体)への透
過性を高めている。
【0054】バッキング層12は、圧電素子の電極14
側から発振される超音波を減衰させるためのものであ
り、例えばゴムなどの防振性の材料が使用される。この
バッキング層12を配置することで、電極14側から発
振される超音波に起因する反射波が圧電素子に到達する
のを防ぎ、電極13側から発振された超音波の反射波の
受信感度が向上する。また、通常バッキング層は超音波
を十分に減衰させるために膜厚3mm以上のものが使用
されるため、バッキング層の機械的な強度は高い。その
ため、通常このバッキング層は各圧電素子の支持体とし
ても兼用される。
【0055】音響レンズから放出された超音波は、検体
内に異物が存在した場合、異物によって反射し反射波が
発生する。この反射波の一部は、音響レンズに到達し、
音響マッチング層を介して圧電素子に到達する。
【0056】反射波は、圧電素子を振動させることで電
気信号に変換され、変換された電気信号はフレキシブル
プリント基板を介して検出部に送られる。検出部では、
例えば各圧電素子に送られてきた電気信号を演算して、
異物の位置や形状などを検出する。
【0057】なお、例えば図3に示す超音波探触子のよ
うに短冊状の圧電素子をアレイ状に配列して使用する場
合、バッキング層などを支持体として、この支持体上に
切断前の圧電素子を接着した後に、支持体上で圧電素子
を短冊状に切断することもできる。予め短冊状に切断加
工された複数の圧電素子を支持体上に配列しても良い
が、支持体表面で圧電素子を短冊状に切断加工すること
で、圧電素子をアレイ状に配列させる作業が簡略化する
ことができる。 [実施例] 実施例1 以下のようにして、板状の圧電素子を作製し、この板状
圧電素子を切断加工して短冊状の圧電素子を作製した
後、この短冊状の圧電素子を用いた超音波探触子を作製
した。 (1) 板状圧電素子の作成 Pb[(Zn1/3Nb2/30.91Ti0.09]O3 からなる
単結晶材料を〈100〉面と平行になるように方位を決
めてワイヤーソーにて0.36mmの厚みに切り出し、
さらに0.260mmまで研磨して圧電体としての単結
晶ウエハーを得た。
【0058】一方、ガラス成分として、組成比Si
2:Bi23:B23:PbO:ZnO=4:6:
6:65:19の粉末を4g準備し、さらに導電性材料
としてAg粉末46gを準備し、両粉末を分散媒として
のブチルカルビトール20gとアクリル系バインダ20
gとからなる混合液中に投入し、攪拌して両粉末を混合
分散媒中に分散させて導電ペーストを調整した。
【0059】この導電ペーストを得られた単結晶ウエハ
ーの両面にスクリーン印刷により塗布して導電ペースト
層を形成した後に、700℃にて15分間焼結すること
で、単結晶ウエハー表面に膜厚10μmでガラス成分の
含有率が8wt%の電極層を形成した。
【0060】切断用ブレードを使用するダイサーを用い
て、この圧電素子を電極面が12mm×25mmのサイ
ズとなるように切断加工し、この板状の圧電素子の電極
間に90Vの電圧を印加して圧電体を分極して圧電素子
に圧電特性を付与した。 (2)短冊状の圧電素子の作製 フェライトゴム製の支持基板を準備し、この支持基板上
に先に得られた板状圧電素子を接着し、さらに板状圧電
素子の表面に膜厚200μmのエポキシ樹脂層(後に音
響マッチング層として機能する:以下第1音響マッチン
グ層と呼ぶ)および膜厚150μmのエポキシ樹脂層
(後に音響マッチング層として機能する:以下第2音響
マッチング層と呼ぶ)を形成した。
【0061】次に、支持基板上に形成された板状圧電素
子を第1および第2音響マッチング層とともに切断し
た。その結果、板状圧電素子は、電極長辺12mm(電
極長辺)×0.14mm(電極短編)×0.28mm
(電極厚0.01mm×2+圧電体厚0.26mm)の
短冊状の圧電素子96個が190μmピッチで配列した
短冊状圧電素子アレイに加工された。
【0062】この短冊状の圧電素子の作製工程中に折れ
た圧電素子は存在しなかった。 (3)超音波探触子の作製 短冊状圧電素子アレイを構成するそれぞれの圧電素子の
支持基板側に形成される電極層に個別にリード線を接続
し、音響マッチング層側の電極層に共通のリード線を接
続した。
【0063】さらに、音響マッチング層表面にシリコン
ゴム製の音響レンズを接着して超音波探触子を作製し
た。 (4)圧電素子評価 得られた超音波探触子中の各圧電素子の評価を行い、圧
電体の比誘電率εrおよび、圧電素子の圧電特性(電気
機械結合係数kt)を測定したところ、誘電率εrは30
00、ktは55.9であった。
【0064】実施例2〜4および比較例1,2 導電性ペースト中のガラス成分の粉末と導電性材料粉末
の比率を表1に示す比率としたことを除き(導電性ペー
スト中の導電性粉末とガラス成分粉末の総量に対するガ
ラス成分の重量比を表1の「ガラス率」欄に示す)、実
施例1と全く同様にして超音波探触子を作製すると共
に、実施例1と全く同様にして圧電素子の評価を行っ
た。
【0065】その結果と、短冊状圧電素子の作成時に発
生する素子折れの結果を表1に示す。
【表1】 実施例5〜8 ガラス成分の組成比を表2に示すものに変えたことを除
き、実施例1と全く同様にして超音波探触子を作製し、
さらに実施例1と全く同様にして圧電素子の評価を行っ
た。
【0066】その結果と、短冊状圧電素子の作成時に発
生する素子折れの結果を表2に示す。
【表2】 実施例9〜12および比較例3,4 圧電体の材料としてPb[(Mg1/3Nb2/30.68Ti
0.32]O3 からなる単結晶材料を用いたことを除き、実
施例1と全く同様にして超音波探触子を作製し、さらに
実施例1と全く同様にして圧電素子の評価を行った。
【0067】その結果と、短冊状圧電素子の作成時に発
生する素子折れの結果を表3に示す。
【表3】 実施例13、14 単結晶材料としてPb[(Sc1/2Nb1/20.58Ti
0.42]O3(実施例13)、Pb[(In1/2Nb1/2
0.64Ti0.36]O3(実施例14)を用いそれぞれ5mm
×5mm×0.1mmの試料を用いてその両面に実施例1
と全く同様にして電極を形成し、幅0.07mm、長さ5mmの
短冊状振動子をそれぞれ切り出した。いずれの超音波探
触子の製造工程中においても圧電素子の素子折れは発生
しなかった。
【0068】表1および表3の結果から、圧電素子の電
極中に含有されるガラス成分の含有量が5.05wt%
〜30wt%の範囲内にある時、短冊状の圧電振動子を
加工成形する際の素子折れを低減することが可能である
ことが分かる。
【0069】また、表2から、ガラス成分中のPbOお
よびZnOの総量が50wt%以上の場合、特に圧電特
性が高いことが分かる。
【0070】
【発明の効果】上述したように、本発明によれば切断加
工による素子折れの発生を低減できる圧電素子、さらに
はこの圧電素子を用いた超音波発振装置を提供すること
が出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 板状圧電素子の斜視図。
【図2】 短冊状の圧電振動子の断面図。
【図3】 超音波診断装置を示す図。
【図4】 超音波探触子を示す斜視図。
【符号の説明】
1、11…圧電体 2、13,14…電極 3…ガラス層 12…バッキング層 15…音響マッチング層 16…音響レンズ 21…超音波探触子 22…駆動制御部 23…検出部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 剛史 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 逸見 和弘 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 泉 守 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 山下 洋八 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 Fターム(参考) 5D019 BB02 BB18 BB25 BB28 GG01 GG03 GG06

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一対の電極層と、この一対の電極層間に挟
    持されたPb[(B1 ,B2)1-XTiX ]O3 (ただ
    し、x=0〜0.55、B1 はZn、Mg、Scおよび
    Inの群から選ばれる少なくとも一種、B2 はNbを示
    す)で示される単結晶材料からなる圧電体とを具備する
    圧電素子において、 前記電極層は、導電性材料およびガラス成分を含有して
    おり、前記導電性材料および前記ガラス成分の総量に対
    する前記ガラス成分の含有率が5.05wt%〜30w
    t%であることを特徴とする圧電素子。
  2. 【請求項2】前記ガラス成分は、PbOおよびZnOか
    ら選ばれる少なくとも一方を含有し、前記PbOおよび
    ZnOの総量が前記ガラス成分に対して50wt%以上
    含有することを特徴とする請求項1記載の圧電素子。
  3. 【請求項3】短冊状の圧電素子を複数個配列した超音波
    探触子と、前記圧電振動子に超音波発信用信号を送る起
    動制御部とを具備する超音波発振装置において、 前記各圧電素子は、一対の電極層および、この一対の電
    極層間に挟持されるPb[(B1 ,B2 )1-X TiX
    3 (ただし、x=0〜0.55、B1 はZn、Mg、
    ScおよびInの群から選ばれる少なくとも一種、B2
    はNbを示す)で示される単結晶材料からなる圧電体と
    からなり、 前記電極層は、導電性材料およびガラス成分を含有して
    おり、前記導電性材料および前記ガラス成分の総量に対
    する前記ガラス成分の含有率が5.05wt%〜30w
    t%であることを特徴とする超音波発振装置。
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