JP3413025B2 - 圧電素子 - Google Patents

圧電素子

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JP3413025B2
JP3413025B2 JP24505096A JP24505096A JP3413025B2 JP 3413025 B2 JP3413025 B2 JP 3413025B2 JP 24505096 A JP24505096 A JP 24505096A JP 24505096 A JP24505096 A JP 24505096A JP 3413025 B2 JP3413025 B2 JP 3413025B2
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専治 嶋貫
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超音波診断装置や
超音波探傷装置などに用いられる圧電素子に関する。
【0002】
【従来の技術】超音波診断装置や超音波探傷装置などの
に用いられる超音波プローブは、圧電素子を主体として
構成され、超音波を対象物に向けて照射し、その対象物
における音響インピーダンスの異なる界面からの反射エ
コーを受信することにより前記対象物の内部状態を画像
化することができる。従来、圧電素子としては、電気機
械結合係数(k33´,ktなど)が大きく、かつケーブ
ルや装置浮遊容量による損失が少ない送受信回路とのマ
ッチングが取りやすい誘電率の大きなチタン酸ジルコン
酸鉛(PZT)系セラミックが用いられている。
【0003】現在、超音波プローブは厚さが数10μm
〜数100μmの短冊状の圧電素子を数10〜200個
程度配列したアレイプローブが主流であり、圧電素子数
は高分解能化の要求と共に増加する傾向にある。また、
超音波プローブの高感度化や高帯域化の要求に対しても
圧電素子自体の圧電特性の向上が求められている。これ
らの要求に対しては大きな電気機械結合係数を有するP
b[(Zn1/3 Nb2/31-x Tix ]O3 (ただし、
xは0.05≦x≦0.20を示す)、Pb[(Mg
1/3 Nb2/31-y Tiy ]O3 (ただし、yは0.2
0≦y≦0.40を示す)、Pb[(Ni1/3 Nb
2/31-z Tiz ]O3 (ただし、zは0.30≦z≦
0.50を示す)、Pb[(Co1/3 Nb2/31-u
u ]O3 (ただし、uは0.10≦u≦0.30を示
す)、Pb[(A1/2 Nb1/21-w Tiw ]O3 (た
だし、AはSc、In、Fe、Yおよび希土類元素から
選ばれる1種、wは0.30≦w≦0.50を示す)等
の2価または3価の金属元素を含む複合酸化物、これら
の複合酸化物においてNbの一部をTaで置換したタン
タル酸−チタン酸鉛の複合酸化物、およびこれらを組み
合わせた複合酸化物などのペロブスカイト型酸化物単結
晶を圧電体として用いた超音波プローブが期待されてい
る。例えば、亜鉛酸ニオブ酸鉛Pb(Zn1/3 Nb
2/3 )O3 −チタン酸鉛PbTiO3 の固溶系単結晶で
は電気機械結合係数(k33´)が85〜90%と大き
く、PZT系圧電セラミックのk33´の70%と比べて
圧電特性が優れていることが知られている。この単結晶
を用いると、高感度信号が得られる低周波でも圧電素子
を薄くできる。また、短冊状の圧電素子を作製するため
の裁断において、ダイシングマシンのブレードの切り込
み深さを浅くでき、薄いブレードでも垂直に切り込める
ので製造歩留まりを向上できる。その上、サイドローブ
が低減された超音波プローブを提供できる。さらに比誘
電率が従来のPZT系圧電セラミックと同等以上である
ため、送受信回路とのマッチングが良好になり、ケーブ
ルや装置浮遊容量分による損失が低減された高感度な信
号を得ることができる。特に、前記固溶体においてチタ
ン酸鉛のモル分率を20%以下の組成からなる単結晶を
圧電体として用いた圧電素子を備えた超音波プローブは
従来のPZT系圧電セラミックを圧電体として用いた超
音波プローブに比べて6dB以上の大きい高感度な信号
が得られる。このため、Bモード像の場合、身体的変化
による小さな病変や空隙が明瞭に深部まで見ることが可
能な高分解能の画像が得られる。また、CFM像などを
得ることができるドプラモードの場合には、直径が数μ
m程度の微小な血球からの反射エコーも大きい信号とし
て得られるようになる。
【0004】ところで、超音波プローブの圧電素子に用
いられる圧電材料は、大きさが10mm角以上の面積を
持つ板状で、さらに大きい電気機械結合係数および高い
誘電率を有し、かつ個々の圧電素子において圧電・誘電
体の特性が均一であることが望まれている。ブリッジマ
ン法による単結晶の育成方法では、実用上、問題のない
レベルまで組成変動を抑制することができている。この
ように前述した単結晶からなる圧電体を用いて低周波数
駆動の超音波プローブを製造する場合では薄い単結晶を
用いることができ、薄いブレードにより寸法精度の高い
短冊状の圧電素子の作製が可能で製造歩留まりの向上、
高感度化、サイドローブの低減が可能になった。
【0005】しかしながら、前述した方法で製造した超
音波プローブの中で信号レベルが低く、高分解能の画像
が得られないものが混在する場合がある。感度の低い超
音波プローブを構成する圧電素子は電気機械結合係数
(k33´)の値が初期値より低下し、このk33´の低下
が信号レベルを小さくする原因になっている。信号レベ
ルの小さい圧電単結晶を有する圧電素子は脱分極されて
いたり、または分極不足であったりするため、圧電単結
晶本来の電気機械結合係数(k33´)を示さない。この
ように超音波プローブを製造する際、短冊状の圧電素子
の圧電体が脱分極したり、分極不足が生じると、その感
度が実質的に低下したり、帯域が狭くなるという問題が
あった。したがって、前述したペロブスカイト型酸化物
単結晶は優れた電気機械結合係数を有するにもかかわら
ず、この単結晶から超音波プローブを量産的に製造する
ことが困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】例えば、Pb[(Zn
1/3 Nb2/31-x Tix ]O3 (ただし、xは0.0
5≦x≦0.20を示す)のようなペロブスカイト型鉛
複合酸化物単結晶を超音波プローブの圧電体として用い
ると、従来のPZT系圧電セラミックと異なり、裁断
時、または電極の形成時に電気機械結合係数の値がばら
ついたり、本来の値より低下する。このため、従来のP
ZT系圧電セラミックを用いた超音波プローブと同程度
の感度しか得られない、または超音波プローブの性能の
ばらつきが生じるという問題があった。本発明は、脱分
極の抑制および分極不足を改善した高い電気機械結合係
数を有する圧電素子を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる圧電素子
は、ペロブスカイト型鉛複合酸化物単結晶から裁断され
た裁断面を有する圧電体に電極を形成した圧電素子にお
いて、前記圧電体の電極形成面は、{100}面であ
り、かつ前記圧電体の裁断面は{100}面または{1
10}面であることを特徴とするものである。
【0008】ここで、{100}面とは(100)面,
(010)面,(001)面,(−100)面,(0−
10)面,(00−1)面を意味する。また、{11
0}面とは(110)面,(101)面,(011)
面,(−1−10)面,(−10−1)面,(0−1−
1)面,(−110)面,(−101)面,(0−1
1)面,(1−10)面,(10−1)面,(01−
1)面を意味する。
【0009】このような本発明によれば、ペロブスカイ
ト型鉛複合酸化物単結晶からなる圧電体の電極形成面を
{100}面とし、かつ前記圧電体の裁断面を{10
0}面または{110}面とすることによって脱分極を
抑制ないし防止できるため、高い電気機械結合係数を有
する圧電素子を得ることができる。このような圧電素子
は、例えば電気機械結合係数(k33´)が85%以上
で、個々の圧電素子間のばらつきも小さいが、前記裁断
面が{100}面または{110}面を外れる圧電体を
有する圧電素子では電気機械結合係数(k33´)が80
%を低下すると同時に個々の圧電素子間のばらつきも大
きくなる。
【0010】前記ペロブスカイト型鉛複合酸化物単結晶
を用いると、高感度信号が得られる低周波でも圧電素子
を薄くできる。また、短冊状の圧電素子を作製するため
の裁断において、ダイシングマシンのブレードの切り込
み深さを浅くでき、薄いブレードでも垂直に切り込める
ので製造歩留まりを向上できる。その上、サイドローブ
が低減された超音波プローブを提供できる。さらに比誘
電率が従来のPZT系圧電セラミックと同等以上である
ため、送受信回路とのマッチングが良好になり、ケーブ
ルや装置浮遊容量分による損失が低減された高感度な信
号を得ることができる。
【0011】したがって、圧電体の電極形成面を{10
0}面とし、かつ前記圧電体の裁断面を{100}面ま
たは{110}面とすることによって、前記ペロブスカ
イト型鉛複合酸化物単結晶本来の圧電特性を損なうこと
なく、高感度で広帯域の超音波プローブを実現できる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係わる圧電素子を
詳細に説明する。この圧電素子は、ペロブスカイト型鉛
複合酸化物単結晶から裁断された裁断面を有する圧電体
に電極を形成した構造で、前記圧電体の電極形成面を
{100}面とし、かつ前記圧電体の裁断面を{10
0}面または{110}面とした較正を有する。
【0013】前記ペロブスカイト型鉛複合酸化物単結晶
は、例えばPb[(Zn1/3 Nb2/31-x Tix ]O
3 (ただし、xは0.05≦x≦0.20を示す)、P
b[(Mg1/3 Nb2/31-y Tiy ]O3 (ただし、
yは0.20≦y≦0.40を示す)、Pb[(Ni
1/3 Nb2/31-z Tiz ]O3 (ただし、zは0.3
0≦z≦0.50を示す)、Pb[(Co1/3 Nb
2/31-u Tiu ]O3 (ただし、uは0.10≦u≦
0.30を示す)、Pb[(A1/2 Nb1/21-w Ti
w ]O3 (ただし、AはSc、In、Fe、Yおよび希
土類元素から選ばれる1種、wは0.30≦w≦0.5
0を示す)にて表される組成物、もしくは前記式中のP
bの一部を10モル%以内の量でNa、Sr、Ca、お
よびLaの少なくとも1種で置換した組成物、または前
記式中のNbの一部をTaで置換した組成物であること
が好ましい。
【0014】前記ペロブスカイト型鉛複合酸化物単結晶
は、100℃以下の温度で菱面晶を示すものが好まし
い。前記単結晶からなる圧電体の厚さ(t)は0.05
mm≦t≦0.50mmにすることが好ましい。
【0015】前記電極としては、導電性材料であれば特
に制限されず、例えばTi/Au(Ti;10〜50n
m、Au100〜1000nm)電極、Cr/Au(C
r;10〜50nm、Au;100〜1000nm)電
極等を用いることができる。これら電極は、スパッタ
法、蒸着法、塗布法等により形成される。
【0016】次に、本発明に係わる圧電素子を備える超
音波プローブ(アレー型超音波プローブ)を図1を参照
して詳細に説明する。ペロブスカイト型鉛複合酸化物単
結晶からなる複数の圧電体1は、バッキング材2上に互
いに分離して接着されている。前記各々の圧電体1は図
の矢印A方向に振動する。第1電極3は、前記各々の圧
電体1の超音波送受信面からその側面および前記送受信
面と反対側の面の一部に亘ってそれぞれ形成されてい
る。第2電極4は、前記各々の圧電体1の前記送受信面
と反対側の面に前記第1電極3と所望の距離隔ててそれ
ぞれ形成されている。このような前記圧電体1、前記第
1、第2の電極3、4により圧電素子(超音波送受信素
子)が構成される。音響マッチング層5は、前記各々の
第1電極3を含む前記各圧電体1の超音波送受信面にそ
れぞれ形成されている。音響レンズ6は、前記各音響マ
ッチング層5の全体に亘って形成されている。フレキシ
ブル印刷配線板7は、前記各々の第1電極3に接続され
ている。アース電極板8は、前記各々の第2電極4に例
えばはんだ付けにより接続されている。図示しない複数
の導体(ケーブル)は前記フレキシブル印刷配線板7お
よびアース電極板8にそれぞれ接続される。
【0017】このような図1に示す構造の超音波プロー
ブは、例えば次のような方法により作製される。まず、
直方体形状のペロブスカイト型鉛複合酸化物単結晶片に
導電膜をスパッタ法により蒸着し、選択エッチング技術
により超音波送受信面および前記送受信面と反対側の面
に導電膜を残す。つづいて、前記単結晶片の超音波送受
信面となる面に音響マッチング層を形成し、これらをバ
ッキング材2上に接着する。ひきつづき、ブレードを用
いて前記音響マッチング層から前記単結晶片に亘って複
数回切断することにより前記バッキング材2上に第1、
第2電極3、4を有する互いに分離された複数の圧電体
1と前記各圧電体1上にそれぞれ配置された複数の音響
マッチング層5が形成される。この時、図2に示すよう
に前記圧電体1の電極形成面は{100}面、例えば
(001)面、(00−1)面を示し、裁断面は{10
0}面、例えば(100)面、(−100)面を示す。
【0018】次いで、前記音響マッチング層5に音響レ
ンズ6を形成した後、フレキシブル印刷配線板7を前記
第1電極3にそれぞれ接続し、前記第2電極4にアース
電極板8を例えばはんだ付けにより接続し、さらに図示
しない複数の導体(ケーブル)を前記フレキシブル印刷
配線板7およびアース電極板8にそれぞれ接続すること
により超音波プローブを作製する。
【0019】
【実施例】以下、本発明の好ましい実施例を詳細に説明
する。 (実施例1)まず、純度が99.9%以上のPbO、Z
nO、Nb25 およびTiO2 を、亜鉛酸ニオブ酸鉛
(Pb[Zn1/3 Nb2/3 ]O3 ;PZNと略す)とチ
タン酸鉛(PbTiO3 ;PTと略す)のモル比が9
1:9(つまりPb[(Zn1/3 Nb2/31-x Ti
x ]O3 ,x=0.09、91PZN−9PTと略す)
になるように秤量し、この秤量物にフラックスとして同
量の酸化鉛(PbO)を加えた。これらの粉末に純水を
加え、ジルコニアボ−ルを用いてボールミルで1時間混
合した。この混合物を乾燥し、ライカイ機で十分に混合
粉砕した後、ゴム製容器に入れて2トン/cm2 の圧力
で静水圧プレスを行って成形した。この塊状物1100
gを250ccの有底筒状白金容器内に入れ、さらに前
記容器を電気炉に入れ、1250℃の温度まで5時間昇
温した後、0.8℃/hrの冷却速度で800℃まで徐
冷し、その後室温まで徐冷した。つづいて、前記白金容
器を20%硝酸で8時間煮沸し、フラックスを溶かし出
して結晶を取り出した。
【0020】得られた単結晶は、約40mm角×30m
mLであるほぼ直方体のブロックであった。この結晶構
造をX線回折法により調べ、かつ組成をICPに組成分
析した。その結果、室温で菱面体のペロブスカイト型構
造で、かつPb[(Zn1/3Nb2/31-x Tix ]O3
,xが0.89〜0.91あることがわかった。
【0021】次いで、得られた単結晶についてX線ラウ
エカメラを用いて<100>方位軸を出し、この軸に垂
直にスライスして厚さ0.8mmの{100}面単結晶
片を切り出した。さらに、全面が{100}面でかつ平
面寸法が11mm×22mmになるように切り出した。
つづいて、前記単結晶片の{100}面を#2000の
砥粒により研磨して0.3mm厚さに仕上げた。ひきつ
づき、前記単結晶片の両面{100}面にTi/Au電
極をスパッタ法により形成し、150〜250℃の絶縁
オイル中で1kV/mmの電界を30分間印加した後電
界冷却して分極を行なった。容量および共振、反共振周
波数を測定した。その結果、比誘電率が2200、音速
2850m/s、電気機械結合係数k33´は85〜87
%であることが確認された。
【0022】さらに、前記単結晶を用いて前述した図1
に示すアレイ形超音波プローブを作製した。すなわち、
前記91PZT−9PTの圧電単結晶を加工して厚さ2
50μmの角板を作製した。得られた角板の上下面およ
び側面にTi/Au導体膜をスパッタ法により蒸着し、
選択エッチング技術により前記角板の一方の側面に位置
する前記導電膜部分および超音波送受信面となる面と反
対側の面に位置する前記導電膜の一部を除去した。つづ
いて、前記角板の超音波送受信面となる面に音響マッチ
ング層を形成し後、これらをバッキング材2上に接着し
た。ひきつづき、厚さ30μmのダイヤモンドブレード
を用いて前記音響マッチング層から前記角板に亘って切
り込み、190μmのピッチ短冊状に切断した。この切
断により、前記バッキング材2上に第1、第2電極3、
4を有する互いに分離された100個の圧電体1と前記
各圧電体1上にそれぞれ配置された複数の音響マッチン
グ層5が形成された。なお、前記圧電体1は図2に示す
ように電極形成面は(001)面、(00−1)面を示
し、対向する裁断面は(100)面、(−100)面を
示した。
【0023】次いで、前記音響マッチング層5に音響レ
ンズ6を形成した後、フレキシブル印刷配線板7を前記
各々の第1電極3にそれぞれ半田付け接続し、アース電
極板8を前記各第2電極4に半田付けにより接続し、さ
らに図示しない110pF/m、長さ2mの複数の導体
(ケーブル)をフレキシブル印刷配線板7およびアース
電極板8にそれぞれ接続することにより前述した図1に
示す構造のアレイ形超音波プローブを製造した。
【0024】得られたアレイ形超音波プローブについ
て、パルスエコー法により反射エコーを測定した。その
結果、中心周波数が2.5MHzのエコーが全素子に亘
って得られた。
【0025】(実施例2)まず、純度が99.9%以上
のPbO、ZnO、Nb25 およびTiO2 を、亜鉛
酸ニオブ酸鉛(Pb[Zn1/3 Nb2/3 ]O3 ;PZN
と略す)とチタン酸鉛(PbTiO3 ;PTと略す)の
モル比が91:9(つまりPb[(Zn1/3 Nb2/3
1-x Tix ]O3 ,x=0.09、91PZN−9PT
と略す)になるように秤量し、この秤量物にフラックス
として同量の酸化鉛(PbO)を加えた。これらの粉末
に純水を加え、ジルコニアボ−ルを用いてボールミルで
1時間混合した。この混合物を乾燥し、ライカイ機で十
分に混合粉砕した後、ゴム製容器に入れて2トン/cm
2 の圧力で静水圧プレスを行って成形した。この塊状物
1100gを250ccの有底筒状白金容器内に入れ、
さらに前記容器を電気炉に入れ、1250℃の温度まで
5時間昇温した後、0.8℃/hrの冷却速度で800
℃まで徐冷し、その後室温まで徐冷した。つづいて、前
記白金容器を20%硝酸で8時間煮沸し、フラックスを
溶かし出して結晶を取り出した。
【0026】得られた単結晶は、約40mm角×35m
mLであるほぼ直方体のブロックであった。この結晶構
造をX線回折法により調べ、かつ組成をICPに組成分
析した。その結果、室温で菱面体のペロブスカイト型構
造で、かつPb[(Zn1/3Nb2/31-x Tix ]O3
,xが0.89〜0.91あることがわかった。
【0027】次いで、得られた単結晶についてX線ラウ
エカメラを用いて<100>方位軸を出し、この軸に垂
直にスライスして厚さ0.4mmの{100}面単結晶
片を切り出した。さらに、他の2つの側面が{110}
面でかつ平面寸法が11mm×22mmになるように切
り出した。つづいて、前記単結晶片の{100}面を#
2000の砥粒により研磨して0.22mm厚さに仕上
げた。ひきつづき、前記単結晶片の両面{100}面に
Ti/Au電極をスパッタ法により形成し、150〜2
50℃の絶縁オイル中で1kV/mmの電界を30分間
印加した後電界冷却して分極を行なった。容量および共
振、反共振周波数を測定した。その結果、比誘電率が2
100、音速2800m/s、電気機械結合係数k33´
は88〜89%であることが確認された。
【0028】さらに、前記単結晶を用いて前述した図1
に示すアレイ形超音波プローブを作製した。すなわち、
前記91PZT−9PTの圧電単結晶を加工して厚さ2
20μmの角板を作製した。得られた角板の上下面およ
び側面にTi/Au導体膜をスパッタ法により蒸着し、
選択エッチング技術により前記角板の一方の側面に位置
する前記導電膜部分および超音波送受信面となる面と反
対側の面に位置する前記導電膜の一部を除去した。つづ
いて、前記角板の超音波送受信面となる面に音響マッチ
ング層を形成し後、これらをバッキング材2上に接着し
た。ひきつづき、厚さ25μmのダイヤモンドブレード
を用いて前記音響マッチング層から前記角板に亘って切
り込み、200μmのピッチ短冊状に切断した。この切
断により、前記バッキング材2上に第1、第2電極3、
4を有する互いに分離された100個の圧電体1と前記
各圧電体1上にそれぞれ配置された複数の音響マッチン
グ層5が形成された。なお、前記圧電体1は図2に示す
ように電極形成面は(001)面、(00−1)面を示
し、対向する裁断面は(110)面、(−1−10)面
を示した。
【0029】次いで、前記音響マッチング層5に音響レ
ンズ6を形成した後、フレキシブル印刷配線板7を前記
各々の第1電極3にそれぞれ半田付け接続し、アース電
極板8を前記各第2電極4に半田付けにより接続し、さ
らに図示しない110pF/m、長さ2mの複数の導体
(ケーブル)をフレキシブル印刷配線板7およびアース
電極板8にそれぞれ接続することにより前述した図1に
示す構造のアレイ形超音波プローブを製造した。
【0030】得られたアレイ形超音波プローブについ
て、パルスエコー法により反射エコーを測定した。その
結果、中心周波数が2.5MHzのエコーが全素子に亘
って得られた。
【0031】(比較例1)実施例2と同様な単結晶につ
いてX線ラウエカメラを用いて<100>方位軸を出
し、この軸に垂直にスライスして厚さ0.4mmの{1
00}面単結晶片を切り出した。さらに、他の2つの側
面が{100}面から10゜ずれた面になるように11
mm×22mmの矩形状に切り出した。つづいて、前記
単結晶片の{100}面を#2000の砥粒により研磨
して0.25mm厚さに仕上げた。ひきつづき、前記単
結晶片の両面{100}面にTi/Au電極をスパッタ
法により形成し、150〜250℃の絶縁オイル中で1
kV/mmの電界を30分間印加した後電界冷却して分
極を行なった。容量および共振、反共振周波数を測定し
た。その結果、比誘電率が2300〜2600、音速2
800〜3000m/s、電気機械結合係数k33´は6
5〜77%で、k33´が小さく、各特性値もばらつくこ
とが確認された。
【0032】さらに、前記単結晶を用いて前述した図1
に示すアレイ形超音波プローブを作製した。すなわち、
前記91PZT−9PTの圧電単結晶を加工して厚さ2
50μmの角板を作製した。得られた角板の上下面およ
び側面にTi/Au導体膜をスパッタ法により蒸着し、
選択エッチング技術により前記角板の一方の側面に位置
する前記導電膜部分および超音波送受信面となる面と反
対側の面に位置する前記導電膜の一部を除去した。つづ
いて、前記角板の超音波送受信面となる面に音響マッチ
ング層を形成し後、これらをバッキング材2上に接着し
た。ひきつづき、厚さ25μmのダイヤモンドブレード
を用いて前記音響マッチング層から前記角板に亘って切
り込み、200μmのピッチ短冊状に切断した。この切
断により、前記バッキング材2上に第1、第2電極3、
4を有する互いに分離された100個の圧電体1と前記
各圧電体1上にそれぞれ配置された複数の音響マッチン
グ層5が形成された。なお、前記圧電体1は電極形成面
が(001)面、(00−1)面を示し、対向する裁断
面が(110)面、(−1−10)面からそれぞれ10
゜ずれたていた。また、前記切断後に切り込み部を上面
および側面から顕微鏡で観察した。その結果、蛇行や斜
めの切り込みは認められなかったが、部分的に幾つかの
割れや欠けが認められた。
【0033】次いで、前記音響マッチング層5に音響レ
ンズ6を形成した後、フレキシブル印刷配線板7を前記
各々の第1電極3にそれぞれ半田付け接続し、アース電
極板8を前記各第2電極4に半田付けにより接続し、さ
らに図示しない110pF/m、長さ2mの複数の導体
(ケーブル)をフレキシブル印刷配線板7およびアース
電極板8にそれぞれ接続することにより前述した図1に
示す構造のアレイ形超音波プローブを製造した。
【0034】得られたアレイ形超音波プローブについ
て、パルスエコー法により反射エコーを測定した。その
結果、中心周波数が2.5MHzのエコーが全素子の9
0%しか認められなかった。短冊状に切断した後のイン
ピーダンス特性を測定すると、10%の素子が不良であ
った。エコーが得られた素子でも感度は従来のPZT系
圧電セラミックよりも1dB高いが、実施例1、2より
も感度が3〜4dB低く、感度ばらつきもアレイ素子で
最大3dBと大きかった。その結果、周波数帯域も−6
dBで比帯域の平均値が80%と狭いことが確認され
た。
【0035】さらに、実施例1、2および比較例1の超
音波プローブについて音場測定を行い、印加パルスの遅
延時間を制御してビームを60゜偏向させた状態でのサ
イドローブレベルを調べた。その結果、実施例1、2の
超音波プローブは比較例1の超音波プローブに比べて4
dBサイドローブレベルが低く、良好な特性を示した。
【0036】なお、前記実施例ではペロブスカイト型鉛
複合酸化物単結晶として91PZN−9PTを用いた
が、Pb[(Mg1/3 Nb2/31-y Tiy ]O3 (た
だし、yは0.20≦y≦0.40を示す)、Pb
[(Ni1/3 Nb2/31-z Tiz]O3 (ただし、z
は0.30≦z≦0.50を示す)、Pb[(Co1/3
Nb2/31-u Tiu ]O3 (ただし、uは0.10≦
u≦0.30を示す)、Pb[(A1/2 Nb1/21-w
Tiw ]O3 (ただし、AはSc、In、Fe、Yおよ
び希土類元素から選ばれる1種、wは0.30≦w≦
0.50を示す)の単結晶を用いた場合でも同様な優れ
た特性を有する圧電素子、超音波プローブを実現できる
ことを確認した。前記実施例では、単結晶をフラックス
法により作製したが、ブリッジマン法やキロプーロス
法、水熱育成法などで作製してもよい。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係わる圧
電素子は脱分極の抑制および分極不足を改善した高い電
気機械結合係数を有する。また、前記圧電素子は幅、長
さが20mm以上の大面積にしても圧電特性のばらつき
を1%以下に抑えることができる。その結果、高感度、
広帯域の大型の超音波プローブを実現でき、ひいては超
音波診断装置や超音波探傷装置等に有効に利用できる等
顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる圧電素子を備えたアレイ形超音
波プローブを示す斜視図。
【図2】図1のアレイ形超音波プローブに組み込まれる
複数の圧電素子を示す斜視図。
【符号の説明】
1…圧電体、 2…バッキング材、 3、4…電極、 5…音響マッチング層、 6…音響レンズ、 7…フレキシブル印刷配線板、 8…アース電極。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01L 41/22 H01L 41/22 Z (56)参考文献 特開 平6−38963(JP,A) 特開 平7−99348(JP,A) 特開 平6−305830(JP,A) 特開 平9−214014(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 41/09

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ペロブスカイト型鉛複合酸化物単結晶か
    ら裁断された裁断面を有する圧電体に電極を形成した圧
    電素子において、 前記圧電体の電極形成面は、{100}面であり、かつ
    前記圧電体の裁断面は{100}面または{110}面
    であることを特徴とする圧電素子。
  2. 【請求項2】 前記ペロブスカイト型鉛複合酸化物単結
    晶は、 Pb[(Zn1/3 Nb2/31-x Tix ]O3 (ただ
    し、xは0.05≦x≦0.20を示す)、 Pb[(Mg1/3 Nb2/31-y Tiy ]O3 (ただ
    し、yは0.20≦y≦0.40を示す)、 Pb[(Ni1/3 Nb2/31-z Tiz ]O3 (ただ
    し、zは0.30≦z≦0.50を示す)、 Pb[(Co1/3 Nb2/31-u Tiu ]O3 (ただ
    し、uは0.10≦u≦0.30を示す)、 Pb[(A1/2 Nb1/21-w Tiw ]O3 (ただし、
    AはSc、In、Fe、Yおよび希土類元素から選ばれ
    る1種、wは0.30≦w≦0.50を示す)にて表さ
    れる組成物、もしくは前記式中のPbの一部を10モル
    %以内の量でNa、Sr、Ca、およびLaの少なくと
    も1種で置換した組成物または前記式中のNbの一部を
    Taで置換した組成物であることを特徴とする請求項1
    記載の圧電素子。
  3. 【請求項3】 前記ペロブスカイト型鉛複合酸化物単結
    晶は、100℃以下の温度で菱面晶を示すものである請
    求項1または2記載の圧電素子。
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