JP3477028B2 - 酸化物単結晶の製造方法および超音波プローブの製造方法 - Google Patents
酸化物単結晶の製造方法および超音波プローブの製造方法Info
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Description
材料に用いられる酸化物単結晶の製造方法、および超音
波診断装置や超音波探傷装置などの超音波送受信素子で
ある超音波プローブの製造方法に関する。
には、マグネシウムニオブ酸鉛、Pb(Mg1/3N
b2/3)O3(PMN)およびPb(In1/2Nb1/2)O
3等のリラクサと総称される複合ペロブスカイト化合物
を主成分とし、これにチタン酸鉛およびジルコン酸鉛等
を添加した材料を積層セラミックコンデンサの誘電体材
料として用いることが記載され、また同材料を圧電アク
チュエータ用材料として用いることが記載されている。
米国特許第3,453,561号明細書には、同材料の
単結晶を光学部品に応用すること、米国特許第5,40
2,791号明細書には同材料の単結晶を医療部品に応
用することが記載されている。
や圧電特性、誘電特性等に優れているため、今後の応用
が期待されている。特に、医療機器や被破壊検査装置の
分野において前記単結晶を超音波圧電振動材料として用
いると、解像度や感度の著しい向上が予想される。前記
装置では、対象物の内部状態を画像するために、送信・
受信の振動子として超音波プローブが用いられている。
このような超音波プローブが組み込まれた超音波画像装
置としては、例えば人体内部を検査するための医療用診
断装置および金属溶接内部の探傷を目的とした検査装置
等が知られている。
ジルコンチタン酸鉛(PZT)と称される圧電セラミッ
ク材料が用いられている。しかしながら、PZTは過去
20年間に亘って殆ど改善されておらず、新素材の開発
が望まれている。
Tix }O3 (ここでB1はZn、Mg、Ni、Sc、
YbおよびInから選ばれる少なくとも1つの元素、B
2はNbおよびTaから選ばれる少なくとも1つの元
素、xは0≦x≦0.55を示す)で表わされる2成分
系からなる圧電単結晶が注目されている。このペロブス
カイト型化合物は、鉛(Pb)の10モル%以下がB
a、Sr、Ca、およびLaから選ばれる少なくとも1
つの元素で置換されることを許容する。
結晶を圧電材料として用いると、その厚さを薄くしても
高感度信号が得られる低周波数で駆動できるため、短冊
状に切断する際、ダイシングマシンのブレード切り込み
深さを浅くでき、薄いブレード厚でも垂直に切り込むこ
とが可能になる。このため、製造歩留まりが向上し、か
つサイドローブが低減された超音波プローブを得ること
ができる。さらに、前述したペロブスカイト化合物は従
来PZT系圧電セラミックと同等以上の比誘電率を有す
るため、送受信回路とのマッチングが良好となり、ケー
ブルや装置浮遊容量分による損失が低減された高感度の
信号が得られる。
る超音波振動子を有する超音波プローブは、従来PZT
系圧電セラミックを用いた超音波プローブに比較して5
dB以上も大きい高感度の信号が得られる。このため、
Bモード像の場合には身体的変化による小さな病変化や
空隙を深部まで明瞭に見ることができる高解像能の画像
が得られる。また、CFM像などを得ることができるド
プラモードの場合には、直径が数μmの微小な血球から
の反射エコーも大きい信号が得られるようになる。
周波数駆動の超音波プローブを製造すると、薄い単結晶
を用いることができ、薄いブレードでも短冊状振動子を
高い寸法精度で切断することができる。その結果、加工
精度上の歩留まりを向上でき、かつ感度低下やサイドロ
ーブレベルの増加を抑制することが可能になる。
1―xTix}O3等の固溶系単結晶は、その内部に異
物やクラック、または傷が発生し易く、超音波プローブ
の振動子として作製する際には前記欠陥領域を避ける必
要がある。超音波診断装置の心臓プローブ用振動子に要
求される標準的な寸法は、15mm×15mm×0.4
mmである。このため、前記固溶系単結晶から結晶内部
の欠陥領域を避けて前記形状の振動子を切り出すと、歩
留まりが著しく低下する。
流電圧を印加して分極処理を施す際、振動子に割れが発
生するという問題があった。この振動子の割れは、甚だ
しい場合には50%にも及ぶため、振動子の量産に支障
となる。
1,B2)1-x Tix }O3 で表わされ、内部にクラッ
クや異物の取り込まれるのを抑制し、かつ振動子に適用
する際の分極処理後においても割れ発生を防止すること
が可能な大型の酸化物単結晶の製造方法を提供しようと
するものである。
が良好となり、ケーブルや装置浮遊容量分による損失が
低減された高感度の信号が得られる等の超音波プローブ
を高歩留まりで製造し得る方法を提供しようとするもの
である。
結晶の製造方法は、下記一般式(I)で表わされる複合
ペロブスカイト化合物から構成される酸化物種結晶を用
意する工程と、前記複合ペロブスカイト化合物からな
り、かつこの化合物をABO3(A;Pb、B;(B
1,B2)1―xTix)として表わした場合、Aサイ
トとBサイトの比(A/B)が1.00<A/B≦1.
10であるセラミック粉末で前記酸化物種結晶を包囲
し、加圧して成形する工程と、前記成形体を密閉容器内
で前記セラミック粉末から放出される鉛雰囲気中、10
00〜1450℃の温度で加熱処理する工程とを具備し
たことを特徴とするものである。
よびInから選ばれる少なくとも1つの元素、B2はN
bおよびTaから選ばれる少なくとも1つの元素、xは
0≦x≦0.55を示す。
法は、前記一般式(I)で表される複合ペロブスカイト
化合物から構成される酸化物種結晶を用意する工程と、
前記複合ペロブスカイト化合物からなり、かつこの化合
物をABO3(A;Pb、B;(B1,B2)1―xT
ix)として表わした場合、AサイトとBサイトの比
(A/B)が1.00<A/B≦1.10であるセラミ
ック粉末で前記酸化物種結晶を包囲し、加圧して成形す
る工程と、前記成形物を密閉容器内で前記セラミック粉
末から放出される鉛雰囲気中、1000〜1450℃の
温度で加熱処理して酸化物単結晶を作製する工程と、得
られた酸化物単結晶から切り出した単結晶板の超音波送
受信面および前記送受信面と反対側の面に導電膜をそれ
ぞれ形成する工程と、前記導電膜に直流電圧を印加して
それら導電膜間の単結晶板を分極処理する工程と、前記
単結晶板の超音波送受信面となる面に音響マッチング層
を形成し、これらをバッキング材上に前記超音波送受信
面と反対側の面がそのバッキング材側に位置するように
形成する工程と、ブレードを用いて前記音響マッチング
層から前記単結晶片に亘って複数回切断することによ
り、前記バッキング材上に第1、第2電極を有する互い
に分離された複数の圧電体と前記各圧電体上にそれぞれ
配置された複数の音響マッチング層を形成する工程と、
前記音響マッチング層に音響レンズを形成する工程とを
具備したことを特徴とするものである。
晶の製造方法を詳細に説明する。まず、出発原料として
化学的に高純度のPbO、MgO、NiO、Sc2
O3、In2 O3 、ZnO、Ta2 O5 、Yb2 O5 、
Nb2 O5 およびTiO2 等の粉末を用意し、これらを
Pb{(B1,B2)1-x Tix }O3 の式で表わされ
る組成になるように調合し、さらに必要に応じてPbO
−B2 O3 系フラックスを加える。この混合粉末を乾式
混合器で十分に混合した後、ゴム製の容器内に収容し、
所望の圧力でラバープレスを行う。得られた塊状物の一
部を白金容器に収容し、加熱して溶解する。
記塊状物の残部を同容器内に収容し、白金蓋で前記容器
を密閉し、この容器を電気炉の中心に設置する。100
0〜1400℃の温度まで昇温し、所望の速度で800
℃前後まで徐冷した後、室温まで放冷する。冷却の間、
白金容器の下部の一点に選択的に酸素を吹付けて冷却す
ることによって核発生を1箇所で起こるようにすること
が可能になる。
を添加し、所望時間煮沸することにより前記一般式
(I)で表わされるペロブスカイト化合物の単結晶を取
り出す。得られた単結晶をラウエカメラを用いて所望の
結晶軸(例えば[001]軸)の方位を出し、この軸に
垂直にカッタで所望寸法の角柱物に切り出し、角柱物の
各面を鏡面研磨して種結晶を作製する。また、前記単結
晶から球面研磨機を用いて所望寸法の球状物からなる種
結晶を作製する。
内に前記種結晶と同一元素からなるセラミック粉末を充
填し、軽く成形してセラミック成形物2を作製する。つ
づいて、図1の(b)に示すように前記金型1内のセラ
ミック成形物2の中央部に前述した方法で作製した種結
晶3を設置する。ひきつづき、図1の(c)に示すよう
に前記種結晶3を含む前記セラミック成形物2上に前記
種結晶と同一元素からなるセラミック粉末を充填し、成
形することにより、ほぼ中心部に種結晶3が位置する、
つまり種結晶3がセラミック粉末で包囲された成形物4
を作製する。
る成形物を取り出し、これをゴム容器に入れ、例えば1
000〜2000kg/cm2 の圧力で静水圧プレスを
施す。つづいて、この成形体を容器に入れ、蓋体で密閉
した後、高温度で、鉛雰囲気中にて熱処理を施すことに
より前記種結晶周囲のセラミック部分を固相成長させ、
単結晶化して酸化物単結晶を製造する。
素、特に前記一般式(I);Pb{(B1,B2)1-x
Tix }O3 、ただし式中のB1はZn、Mg、Ni、
Sc、YbおよびInから選ばれる少なくとも1つの元
素、B2はNbおよびTaから選ばれる少なくとも1つ
の元素、xは0≦x≦0.55を示す、で表わされる複
合ペロブスカイト化合物からなることが好ましい。
れる前記一般式(I)の複合ペロブスカイト化合物にお
いて、xが0.55を越えると得られた酸化物単結晶は
絶縁抵抗が低下するため、分極時に割れ易くなる。ただ
し、Tiは複合ペロブスカイト化合物において必須の成
分ではない。前記B1、B2として前記元素を選択する
ことによりPZTセラミックに比べて優れた圧電特性を
有する酸化物単結晶を得ることが可能になる。
わされる複合ペロブストカイト化合物からなり、かつ前
記化合物をABO3 (A;Pb、B;(B1,B2)
1-x Tix )として表わした場合、AサイトとBサイト
の比(A/B)は1.00<A/B≦1.10であるこ
とが好ましい。A/Bを1.00以下にすると、酸化物
単結晶の成長速度が著しく低下するため、実用的ではな
い。A/Bが1.10を越えると余分なAサイトである
酸化鉛が単結晶の内部に含有され易くなる。なお、前記
過剰の酸化鉛は前記単結晶成長に使用される密閉容器の
内部に配置したジルコン酸鉛等の酸化鉛供給源から供給
することを許容する。
カイト化合物は、鉛の一部をBa、Sr、Ca、Laか
ら選ばれる少なくとも1つの元素で置換することを許容
する。これら元素による置換において、酸化物単結晶の
成長速度の低下を回避するために前記元素の置換量は鉛
に対して10モル%以下にすることが好ましい。
カイト化合物は、Mn、Co、Fe、Sb、W、Cuお
よびHf等の遷移金属;ランタニド元素;アルカリ金属
を含有することを許容する。これらの元素の含有量は、
大きな圧電定数を有する酸化物単結晶を得る観点から1
重量%以下にすることが好ましい。
カイト化合物は、SiO2 、Al2O3 、B2 O3 、P
tO、MgO、Fe2 O3 、Bi2 O3 等の酸化物を含
有することを許容する。この場合、SiO2 、Al2 O
3 、B2 O3 およびPtOの含有量は0.5モル%以
下、その他の酸化物の含有量は1モル%以下にすること
が好ましい。これらの不純物の含有量が前記範囲を越え
ると、ペロブスカイトの結晶以外に、誘電率を低下させ
るパイクロアの結晶が生成したり、多数の欠陥が結晶に
発生したりする。
カイト化合物は、さらに5モル%以下のZrO2 を含有
してもよい。ZrO2 の割合が5モル%を越えると酸化
物単結晶の成長速度が著しく低下し、さらに結晶内部に
おける組成のバラツキが多くなる。
れる前記一般式(I)の複合ペロブスカイト化合物にお
いて、B1元素とB2元素の比は通常、化学量論比で決
められる値(例えばB1:B2=1:1±0.02程度
または1:2±0.02程度)であるが、B1:B2=
1:1±0.2程度または1:2±0.2程度にずらす
ことも可能である。
体の大きさに応じて適宜選択することができるが、セラ
ミック成形体に比べて十分に小さい場合でも全体の単結
晶化が可能である。この種結晶の大きさは、少なくとも
2mm以上であればよい。また、前記種結晶は少なくと
も1つの平滑面を有し、その平滑度が±1.0μm程度
であることが好ましい。このような平滑面は、前述した
鏡面研磨処理により実現することができる。
得られた酸化物単結晶の用途に応じて適宜選択すること
ができる。例えば、医療用超音波プローブに適用する場
合には15mm×15〜70mm×0.5〜10mmの
寸法にする。
て、熱間静水圧プレス(HIP)またはホットプレスに
より焼成することが好ましい。この焼成は、所望の圧力
(例えば50〜300kg/cm2 )にて1100〜1
300℃の温度で行うことが好ましい。このような焼成
を採用することにより理論密度99%以上のセラミック
焼結体を容易に得ることができ、種結晶とセラミックと
の密着性が向上されて単結晶化のための固相反応速度を
高めることが可能になる。このように熱処理に先立って
成形体を焼結した場合、前記種結晶は得られた焼結体の
格子定数との差が±10%以内の格子定数を有するもの
を用いることが好ましく、特に種結晶と焼結体とを同一
材料により形成することが望ましい。
ミックに有機バインダを配合することを許容する。この
ような有機バインダを配合した場合には、前記単結晶化
のための熱処理の前に例えば大気雰囲気下で脱バインダ
処理を施すことが望ましい。
ジウム、ロジウムおよび銀から選ばれる少なくとも1つ
の金属または緻密な磁器等により形成されることが好ま
しい。このような材料からなる容器および蓋体を用いる
ことによって、得られた酸化物単結晶の割れを防止する
ことができる。
したのは、次のような理由によるものである。熱処理温
度を1000℃未満にすると、単結晶化の速度が著しく
低下する恐れがある。一方、熱処理温度が1450℃を
越えると大型で均質な酸化物単結晶を製造することが困
難になる。より好ましい熱処理温度は、1050〜13
00℃である。
体)の形状や熱処理温度によって適宜選択することがで
きる。例えば、厚さが10mm以下の成形体(または焼
結体)を加熱処理する場合には10〜1000時間、よ
り好ましくは100〜400時間にすることが望まし
い。
成形体(または焼結体)から放出される鉛もしくは前記
容器内に別途配置したジルコン酸鉛のような鉛供給源か
らの鉛の放出により実現することができる。
1,B2)1-x Tix }O3 で表わされ、内部にクラッ
クや異物の取り込まれるのを抑制し、かつ振動子に適用
する際の分極処理後においても割れ発生を防止すること
が可能な酸化物単結晶を製造することができる。
x }O3 で表わされる単結晶の内部に異物やクラックが
発生する原因は、その製造方法に起因するものと考えら
れる。従来、これらの単結晶は酸化鉛を主成分とするフ
ラックスを用いるフラックス法やキロポラース法、ブリ
ッジマン法およびフローティングゾーン法等により高温
度で製造されている。このため、得られた酸化物単結晶
の内部にクラックやフラックスおよびパイロクロア構造
の異物が生じやすくなり、大型で良好な単結晶を得るこ
とが困難であった。
x }O3 で表わされる複合ペロブスカイト化合物から構
成される酸化物種結晶を同一元素からなるセラミック粉
末で包囲し、加圧して成形する。このような成形により
前記種結晶の表面周囲にセラミックが密着して配された
成形体が得られる。得られた成形体を密閉容器内で鉛雰
囲気(例えば前記化合物をABO3 (A;Pb、B;
(B1,B2)1-x Tix )として表わした場合、Aサ
イトとBサイトの比(A/B)は1.00<A/B≦
1.10として過剰のPbを密閉容器内に放出させる)
中、1000〜1450℃の温度で加熱処理することに
よって、前記種結晶を核としてその周囲のセラミックが
等方的に固相結晶化反応を生じる。Pb{(B1,B
2)1-x Tix}O3 で表わされる複合ペロブスカイト
化合物における固相結晶化反応は、種結晶とその周囲の
セラミック界面でのPbの液相化により進行し、同時に
Pbの蒸発を伴って組成的な揺らぎを生じる。前述した
ように成形体は内部に位置する種結晶とその周囲のセラ
ミックとは良好に密着された構造をなし、かつ鉛雰囲気
の密閉容器内に収納された状態で熱処理がなされるた
め、前記固相結果反応が円滑に進行して内部にクラック
や異物が取り込まれず、かつ大型で良質な酸化物単結晶
を製造することができる。
って、熱間静水圧プレス(HIP)またはホットプレス
により焼成することにより、前記種結晶に対してより一
層良好に密着した緻密なセラミックの焼結体を形成でき
るため、前記種結晶を核とした固相結晶化の反応速度を
高めることができると共に、より均質の酸化物単結晶を
製造することができる。
物単結晶から任意の方位の単結晶を切り出すことができ
る。例えば、得られた単結晶を[001]軸(またはc
軸)に対して垂直に切出し、この単結晶板の(001)
面に電極を形成し、100〜200℃の温度で0.2〜
2.0kV/cmの電圧を印加しながら室温まで冷却す
る分極処理を施すことによって、優れた電気機械結合係
数を有する振動子を作製することができる。また、得ら
れた単結晶を[111]軸に対して垂直に切出し、この
単結晶板の(111)面に電極を形成し、100〜20
0℃の温度で0.2〜2.0kV/cmの電圧を印加し
ながら室温まで冷却する分極処理を施すことによって、
大きな誘電率を有する単結晶を得ることができる。この
ような両面に電極を有する単結晶を短冊状に加工して振
動子を作製した場合には、厚さ方向([001]軸)の
音速が2000〜3500m/s(半共振周波数と厚さ
の積である周波数定数は1000〜1500Hz・m)
になり、PZT系圧電セラミックの周波数定数(200
0〜3000Hz・m)に比べて25〜50%程度遅く
なる。また、15mm×0.2mm×0.4mmの矩形
板より求めた電気機械結合係数k33´も72〜85%と
優れ、ばらつきも少なく、最大直径100mm程度とい
う大型かつ高性能の振動子が得られる。
を[111]軸に対して平行に切り出した後、(11
1)面に電極を形成した場合には、2000〜8000
程度の高い誘電率を有する振動子を得ることが可能にな
る。
造方法を図2を参照して説明する。まず、前述した方法
により得られた酸化物単結晶を例えば[001]軸(ま
たはc軸)に対して垂直に切出し、この単結晶板の(0
01)面に導電膜をスパッタ法により蒸着し、選択エッ
チング技術により超音波送受信面および前記送受信面と
反対側の面に導電膜を残す。つづいて、前記導電膜に直
流電圧を印加してそれら導電膜管の単結晶板を分極処理
する。前記単結晶板の超音波送受信面となる面に音響マ
ッチング層を形成し、これらをバッキング材上に接着す
る。ひきつづき、ブレードを用いて前記音響マッチング
層から前記単結晶片に亘って複数回切断することにより
前記バッキング材上に第1、第2電極を有する互いに分
離された複数の圧電体と前記各圧電体上にそれぞれ配置
された複数の音響マッチング層が形成される。次いで、
前記音響マッチング層に音響レンズを形成した後、フレ
キシブル印刷配線板を前記第1電極にそれぞれ接続し、
前記第2電極にアース電極板を例えばはんだ付けにより
接続し、さらに複数の導体(ケーブル)を前記フレキシ
ブル印刷配線板およびアース電極板にそれぞれ接続する
ことにより超音波プローブを製造する。
ーブは、図2に示す構造を有する。すなわち、前記単結
晶からなる複数の圧電体11は、バッキング材12上に
互いに分離して接着されている。前記各々の圧電体11
は図の矢印A方向に振動する。第1電極13は、前記各
々の圧電体11の超音波送受信面からその側面およびお
よび前記送受信面と反対側の面の一部に亘ってそれぞれ
形成されている。第2電極14は、前記各々の圧電体1
1の前記送受信面と反対側の面に前記第1電極13と所
望の距離隔ててそれぞれ形成されている。このような前
記圧電体11、前記第1、第2の電極13、14により
圧電素子(超音波送受信素子)が構成される。音響マッ
チング層15は、前記各々の第1電極13を含む前記各
圧電体11の超音波送受信面にそれぞれ形成されてい
る。音響レンズ16は、前記各音響マッチング層15の
全体に亘って形成されている。フレキシブル印刷配線板
17は、前記各々の第1電極13に接続されている。ア
ース電極板18は、前記各々の第2電極14に例えばは
んだ付けにより接続されている。図示しない複数の導体
(ケーブル)は前記フレキシブル印刷配線板17およ
びアース電極板18にそれぞれ接続される。
における圧電体(酸化物単結晶)の割れを防止して圧電
体本来の優れた圧電特性、つまり電気機械結合係数を有
し、送受信回路とのマッチングが良好で、ケーブルや装
置浮遊容量分による損失が低減された高感度の信号が得
られる等の優れた特性を有する超音波プローブを高歩留
まりで製造することができる。
する。 (実施例1) <種結晶の作製>まず、出発原料として化学的に高純度
のPbO、MgO、Nb2 O5 およびTiO2 の粉末を
用意し、これらをPb{(Mg1/3 Nb2/3 )0.68Ti
0.32}O3 (PMNT;68/32)の式で表わされる
組成になるように調合し、さらにフラックスとして等モ
ル量のPbO−B2 O3 フラックスを加えた。この混合
粉末を乾式混合器で十分に混合した後、ゴム製の容器内
に収容し、2000kg/cm2 の圧力でラバープレス
を行なった。得られた塊状物の一部600gを直径50
mmで250cc容量の白金容器に収容し、900℃ま
で4時間で昇温することによって溶解した。
記塊状物の残部400gを同容器内に収容し、白金蓋で
前記容器を密閉し、この容器を電気炉の中心に設置し
た。1200℃の温度まで12時間で昇温した後、1℃
/時間の速度で800℃まで徐冷し、その後室温まで放
冷した。冷却の間、白金容器の下部の一点に選択的に酸
素を吹付けて冷却することによって核発生を1箇所で起
こるようにした。
酸を添加し、8時間煮沸することにより単結晶を取り出
した。得られた単結晶を観察したところ、矢じり状で、
その大きさは20mm角であった。
により結晶構造を調べた。その結果、完全なペロブスカ
イト構造であることが確認された。また、この粉末をI
CPにより分析した。その結果、Pb{(Mg1/3 Nb
2/3 )0.67Ti0.33}O3 の組成を有することが確認さ
れた。さらに、前記単結晶をラウエカメラを用いて[0
01]軸の方位を出し、この軸に垂直にカッタで3mm
×3mm×3mm角に切り出し、得られた立方体の各面
を鏡面研磨することにより種結晶を作製した。
して化学的に高純度のPbO、MgO、Nb2 O5 およ
びTiO2 の粉末を用意し、これらをPb{(Mg1/3
Nb2/3 )0.68Ti0.32}O3 の式で表わされる組成に
なるように調合した。この混合粉末に純水を加え、ジル
コニアボールを用いてナイロン製ポットミル中で20時
間混合、粉砕した後、乾燥し、さらにアルミナ製鞘内で
800℃の温度にて仮焼した。
加し、再度、純水を加え、ジルコニアボールを用いてナ
イロン製ポットミル中で粉砕し、乾燥することにより粉
体を得た。この粉体に有機バインダとしてのポリビニル
アルコールの5%水溶液を5重量%添加し、乳鉢で混合
した後、#48の篩を通過させて造粒を行った。得られ
た造粒粉を直径30mmの金型内に入れ、5MPaの圧
力を加えて厚さ10mmの板状に仮成形した。つづい
て、前記成形物の中心上に前記種結晶を設置し、この上
に前記造粒粉を充填した後、再度、100MPaの圧力
を加えて全体の厚さが20mmの成形物を作製した。
ゴム袋に入れ、200MPaの圧力下で静水圧プレスを
行った。得られた成形体を大気中、600℃で10時間
熱処理して脱バインダを行った。つづいて、脱バインダ
処理した成形体を1200℃、10MPaの圧力で2時
間ホットプレスすることにより焼結体を作製した。この
焼結体は、99.5%の理論密度を有し、結晶構造が完
全な単一のペロブスカイト構造を有していた。
金るつぼ内に入れ、白金製蓋体を溶接シールした。な
お、前記蓋体には0.1mm径のガス抜き穴を有する。
前記るつぼを容量500ccのアルミナ容器に入れ、蓋
を閉めた。このアルミナ容器を電気炉の中央部に入れ、
1200℃で240時間保持した。室温まで100℃/
時間の速度で冷却した。冷却後、前記るつぼ内の熱処理
物を取り出し、破断面を観察した。その結果、粒界が殆
ど見られず、単結晶化していることが確認された。
×0.4mmの角板を切り出し、ラウエX線法により調
べたところ、単結晶化していることが確認された。同様
な寸法の角板を10枚切り出し、各角板の両面にNi−
Au電極を形成し、180℃のシリコンオイル中で1.
0kV/mmの電界を印加して分極処理を施し、その後
電圧を印加したまま室温まで冷却した。その結果、分極
後の振動子の割れは10枚中1枚も認められなかった。
て150μm幅に切断し、矩形状の振動子の電気機械結
合係数k33´を測定した。その結果、k33´は83%で
あり、そのばらつきは2%以内と極めて小さいことがわ
かった。
2に示すアレイ形超音波プローブを作製した。すなわ
ち、前記単結晶体を加工して主面が(001)面である
厚さ200μmの角板を作製した。得られた角板の上下
面および側面にTi/Au導体膜をスパッタ法により蒸
着し、選択エッチング技術により前記角板の一方の側面
に位置する前記導電膜部分および超音波送受信面となる
面と反対側の面に位置する前記導電膜の一部を除去し
た。さらに、180℃の温度で1.0kV/cmの電圧
を印加し、そのまま室温まで冷却して分極処理を施し
た。つづいて、前記角板の超音波送受信面となる面に音
響マッチング層を形成し後、これらをバッキング材12
上に接着した。ひきつづき、厚さ30μmのダイヤモン
ドブレードを用いて前記音響マッチング層から前記角板
に亘って切り込み、120μmのピッチで短冊状に切断
した。この切断により、前記バッキング材2上に第1、
第2電極13、14を有する互いに分離された複数の圧
電体11と前記各圧電体11上にそれぞれ配置された複
数の音響マッチング層15が形成された。次いで、前記
音響マッチング層15に音響レンズ16を形成した後、
フレキシブル印刷配線板17を前記各々の第1電極13
にそれぞれ半田付け接続し、アース電極板18を前記各
第2電極14に半田付けにより接続し、さらに図示しな
い110pF/m、長さ2mの複数の導体(ケーブル)
をフレキシブル印刷配線板17およびアース電極板18
にそれぞれ接続することにより前述した図2に示す構造
のアレイ形超音波プローブを製造した。
て、パルスエコー法により反射エコーを測定した。その
結果、中心周波数が4.0MHzのエコーが全素子に亘
って得られた。感度は、従来のセラミックスより6dB
高く、比帯域85%と広帯域となることがわかった。
(99.9%以上)のPbO、Sc2 O3 、MgO、N
b2 O5 およびTiO2 の粉末を用意し、これらをPb
{(Sc1/2 Nb1/2 )0.29(Mg1/3 Nb2/3 )0.34
Ti0.37}O3 (PSMNT;29/34/37)の式
で表わされる組成になるように調合し、さらにフラック
スとして2倍のモル量のPbO−B2 O3 フラックスを
加えた。この混合粉末を乾式混合器で十分に混合した
後、ゴム製の容器内に収容し、2000kg/cm2の
圧力でラバープレスを行なった。得られた塊状物の一部
600gを直径50mmで250cc容量の白金容器に
収容し、900℃まで4時間で昇温することによって溶
解した。
記塊状物の残部400gを同容器内に収容し、白金蓋で
前記容器を密閉し、この容器を電気炉の中心に設置し
た。1250℃の温度まで12時間で昇温した後、1℃
/時間の速度で800℃まで徐冷し、その後室温まで放
冷した。冷却の間、白金容器の下部の一点に選択的に酸
素を吹付けて冷却することによって核発生を1箇所で起
こるようにした。
酸を添加し、8時間煮沸することにより単結晶を取り出
した。得られた単結晶を観察したところ、矢じり状で、
その大きさは20mm角であった。
により結晶構造を調べた。その結果、完全なペロブスカ
イト構造であることが確認された。また、この粉末をI
CPにより分析した。その結果、組成値がほぼ仕込み値
通り出あることが確認された。さらに、前記単結晶をラ
ウエカメラを用いて[001]軸の方位を出し、この軸
に垂直にカッタで3mm×3mm×3mm角に切り出
し、得られた立方体の各面を鏡面研磨することにより種
結晶を作製した。
して化学的に高純度のPbO、、Sc2 O3 、MgO、
Nb2 O5 およびTiO2 の粉末を用意し、これらをP
b{(Sc1/2 Nb1/2 )0.29(Mg1/3 Nb2/3 )
0.34Ti0.37}O3 の式で表わされる組成になるように
調合した。この混合粉末に純水を加え、ジルコニアボー
ルを用いてナイロン製ポットミル中で20時間混合、粉
砕した後、乾燥し、さらにアルミナ製鞘内で800℃の
温度にて仮焼した。
加し、再度、純水を加え、ジルコニアボールを用いてナ
イロン製ポットミル中で粉砕し、乾燥することにより粉
体を得た。この粉体に有機バインダとしてのポリビニル
アルコールの5%水溶液を5重量%添加し、乳鉢で混合
した後、#48の篩を通過させて造粒を行った。得られ
た造粒粉を直径30mmの金型内に入れ、5MPaの圧
力を加えて厚さ10mmの板状に仮成形した。つづい
て、前記成形物の中心上に前記種結晶を設置し、この上
に前記造粒粉を充填した後、再度、100MPaの圧力
を加えて全体の厚さが20mmの成形物を作製した。
ゴム袋に入れ、200MPaの圧力下で静水圧プレスを
行った。得られた成形体を大気中、600℃で10時間
熱処理して脱バインダを行った。つづいて、脱バインダ
処理した成形体を1200℃、10MPaの圧力で2時
間ホットプレスすることにより焼結体を作製した。この
焼結体は、99.5%の理論密度を有し、結晶構造が完
全な単一のペロブスカイト構造を有していた。
金るつぼ内に入れ、白金製蓋体を溶接シールした。な
お、前記蓋体には0.1mm径のガス抜き穴を有する。
前記るつぼを容量500ccのアルミナ容器に入れ、蓋
を閉めた。このアルミナ容器を電気炉の中央部に入れ、
1200℃で240時間保持した。室温まで100℃/
時間の速度で冷却した。冷却後、前記るつぼ内の熱処理
物を取り出し、破断面を観察した。その結果、粒界が殆
ど見られず、単結晶化していることが確認された。
×0.4mmの角板を切り出し、ラウエX線法により調
べたところ、単結晶化していることが確認された。同様
な寸法の角板を10枚切り出し、各角板の両面にNi−
Au電極を形成し、220℃のシリコンオイル中で2.
0kV/mmの電界を印加して分極処理を施し、その後
電圧を印加したまま室温まで冷却した。その結果、分極
後の振動子の割れは10枚中1枚も認められなかった。
て150μm幅に切断し、矩形状の振動子の電気機械結
合係数k33´を測定した。その結果、k33´は82%で
あり、そのばらつきは2%以内と極めて小さいことがわ
かった。
2に示すアレイ形超音波プローブを作製した。すなわ
ち、前記単結晶体を加工して主面が(001)面である
厚さ200μmの角板を作製した。得られた角板の上下
面および側面にTi/Au導体膜をスパッタ法により蒸
着し、選択エッチング技術により前記角板の一方の側面
に位置する前記導電膜部分および超音波送受信面となる
面と反対側の面に位置する前記導電膜の一部を除去し
た。さらに、180℃の温度で1.0kV/cmの電圧
を印加し、そのまま室温まで冷却して分極処理を施し
た。つづいて、前記角板の超音波送受信面となる面に音
響マッチング層を形成し後、これらをバッキング材12
上に接着した。ひきつづき、厚さ30μmのダイヤモン
ドブレードを用いて前記音響マッチング層から前記角板
に亘って切り込み、120μmのピッチで短冊状に切断
した。この切断により、前記バッキング材2上に第1、
第2電極13、14を有する互いに分離された複数の圧
電体11と前記各圧電体11上にそれぞれ配置された複
数の音響マッチング層15が形成された。次いで、前記
音響マッチング層15に音響レンズ16を形成した後、
フレキシブル印刷配線板17を前記各々の第1電極13
にそれぞれ半田付け接続し、アース電極板18を前記各
第2電極14に半田付けにより接続し、さらに図示しな
い110pF/m、長さ2mの複数の導体(ケーブル)
をフレキシブル印刷配線板17およびアース電極板18
にそれぞれ接続することにより前述した図2に示す構造
のアレイ形超音波プローブを製造した。
て、パルスエコー法により反射エコーを測定した。その
結果、中心周波数が4.0MHzのエコーが全素子に亘
って得られた。感度は、従来のセラミックスより6dB
高く、比帯域85%と広帯域となることがわかった。
(99.9%以上)のPbO、Sc2 O3 、MgO、Z
nO、Nb2 O5 、Ta2 O3 およびTiO2 の粉末を
用意し、これらをPb{(Zn1/3 Nb2/3 )0.30(M
g1/3 Nb2/3 )0.23(Sc1/2Ta1/2 )0.18Ti
0.29}O3 (PZMNSTT;30/23/18/2
9)の式で表わされる組成になるように調合し、さらに
フラックスとして2倍のモル量のPbO−B2 O3 フラ
ックスを加えた。この混合粉末を前記実施例2と同様に
ラバープレスを行なった。得られた塊状物の一部600
gを直径50mmで250cc容量の白金容器に収容
し、900℃まで4時間で昇温することによって溶解し
た。
記塊状物の残部400gを同容器内に収容し、白金蓋で
前記容器を密閉し、この容器を電気炉の中心に設置し
た。1250℃の温度まで12時間で昇温した後、1℃
/時間の速度で800℃まで徐冷し、その後室温まで放
冷した。冷却の間、白金容器の下部の一点に選択的に酸
素を吹付けて冷却することによって核発生を1箇所で起
こるようにした。
酸を添加し、8時間煮沸することにより単結晶を取り出
した。得られた単結晶を観察したところ、矢じり状で、
その大きさは15mm角であった。
により結晶構造を調べた。その結果、完全なペロブスカ
イト構造であることが確認された。また、この粉末をI
CPにより分析した。その結果、Pb{(Zn1/3 Nb
2/3 )0.28(Mg1/3 Nb2/ 3 )0.25(Sc1/2 Ta
1/2 )0.20Ti0.27}O3 の組成を有することが確認さ
れた。さらに、前記単結晶をラウエカメラを用いて[0
01]軸の方位を出し、この軸に垂直にカッタで3mm
×3mm×3mm角に切り出し、得られた立方体の各面
を鏡面研磨することにより種結晶を作製した。
して化学的に高純度のPbO、Sc2 O3 、MgO、Z
nO、Nb2 O5 、Ta2 O3 およびTiO2 の粉末を
用意し、これらをPb{(Zn1/3 Nb2/3 )0.30(M
g1/3 Nb2/3 )0.23(Sc1/2 Ta1/2 )0.18Ti
0.29}O3 の式で表わされる組成になるように調合し
た。この混合粉末に純水を加え、ジルコニアボールを用
いてナイロン製ポットミル中で20時間混合、粉砕した
後、乾燥し、さらにアルミナ製鞘内で800℃の温度に
て仮焼した。
加し、再度、純水を加え、ジルコニアボールを用いてナ
イロン製ポットミル中で粉砕し、乾燥することにより粉
体を得た。この粉体に有機バインダとしてのポリビニル
アルコールの5%水溶液を5重量%添加し、乳鉢で混合
した後、#48の篩を通過させて造粒を行った。得られ
た造粒粉を直径30mmの金型内に入れ、5MPaの圧
力を加えて厚さ10mmの板状に仮成形した。つづい
て、前記成形物の中心上に前記種結晶を設置し、この上
に前記造粒粉を充填した後、再度、100MPaの圧力
を加えて全体の厚さが20mmの成形物を作製した。
ゴム袋に入れ、200MPaの圧力下で静水圧プレスを
行った。得られた成形体を大気中、600℃で10時間
熱処理して脱バインダを行った。つづいて、脱バインダ
処理した成形体を1200℃、10MPaの圧力で2時
間ホットプレスすることにより焼結体を作製した。この
焼結体は、99.5%の理論密度を有し、結晶構造が完
全な単一のペロブスカイト構造を有していた。
金るつぼ内に入れ、白金製蓋体を溶接シールした。な
お、前記蓋体には0.1mm径のガス抜き穴を有する。
前記るつぼを容量500ccのアルミナ容器に入れ、蓋
を閉めた。このアルミナ容器を電気炉の中央部に入れ、
1250℃で240時間保持した。室温まで100℃/
時間の速度で冷却した。冷却後、前記るつぼ内の熱処理
物を取り出し、破断面を観察した。その結果、粒界が殆
ど見られず、単結晶化していることが確認された。
×0.4mmの角板を切り出し、ラウエX線法により調
べたところ、単結晶化していることが確認された。同様
な寸法の角板を10枚切り出し、各角板の両面にNi−
Au電極を形成し、220℃のシリコンオイル中で1.
0kV/mmの電界を印加して分極処理を施し、その後
電圧を印加したまま室温まで冷却した。その結果、分極
後の振動子の割れは10枚中1枚も認められなかった。
て150μm幅に切断し、矩形状の振動子の電気機械結
合係数k33´を測定した。その結果、k33´は81%で
あり、そのばらつきは2.5%以内と極めて小さいこと
がわかった。
2に示すアレイ形超音波プローブを作製した。すなわ
ち、前記単結晶体を加工して主面が(001)面である
厚さ200μmの角板を作製した。得られた角板の上下
面および側面にTi/Au導体膜をスパッタ法により蒸
着し、選択エッチング技術により前記角板の一方の側面
に位置する前記導電膜部分および超音波送受信面となる
面と反対側の面に位置する前記導電膜の一部を除去し
た。さらに、180℃の温度で1.0kV/cmの電圧
を印加し、そのまま室温まで冷却して分極処理を施し
た。つづいて、前記角板の超音波送受信面となる面に音
響マッチング層を形成し後、これらをバッキング材12
上に接着した。ひきつづき、厚さ30μmのダイヤモン
ドブレードを用いて前記音響マッチング層から前記角板
に亘って切り込み、120μmのピッチで短冊状に切断
した。この切断により、前記バッキング材2上に第1、
第2電極13、14を有する互いに分離された複数の圧
電体11と前記各圧電体11上にそれぞれ配置された複
数の音響マッチング層15が形成された。次いで、前記
音響マッチング層15に音響レンズ16を形成した後、
フレキシブル印刷配線板17を前記各々の第1電極13
にそれぞれ半田付け接続し、アース電極板18を前記各
第2電極14に半田付けにより接続し、さらに図示しな
い110pF/m、長さ2mの複数の導体(ケーブル)
をフレキシブル印刷配線板17およびアース電極板18
にそれぞれ接続することにより前述した図2に示す構造
のアレイ形超音波プローブを製造した。
て、パルスエコー法により反射エコーを測定した。その
結果、中心周波数が4MHzのエコーが全素子に亘って
得られた。感度は、従来のセラミックスより5dB高
く、比帯域80%と広帯域となることがわかった。
体との格子定数の差が10%を越える場合には得られた
酸化物単結晶にクラックが僅かに生じた。前記実施例1
〜3では、(PMNT;68/32)、(PSMNT;
29/34/37)、(PZMNSTT;30/23/
18/29)を例に挙げて説明したが、これら組成の酸
化物単結晶の製造に限定されない。例えば、Pb{(S
c1/2 Nb1/2 )0.58Ti0.42}O3 、Pb{(Sc
1/2 Ta1/2 )0.55Ti0.45}O3 、Pb{(Yb1/2
Nb1/2 )0.50Ti0.50}O3 、Pb{(In1/2 Nb
1/2 )0.63Ti0.37}O3 の酸化物単結晶の製造にも同
様に適用できる。
b{(B1,B2)1-x Tix }O3で表わされ、内部
にクラックや異物の取り込まれるのを抑制し、かつ振動
子に適用する際の分極処理後においても割れ発生を防止
することが可能で非破壊検査装置、コンデンサ材料、光
学材料等に好適な大型の酸化物単結晶の製造方法を提供
できる。
が良好となり、ケーブルや装置浮遊容量分による損失が
低減された高感度の信号が得られる等の超音波プローブ
を高歩留まりで製造し得る方法を提供できる。
中心に種結晶が配置されたセラミック成形物を得るため
の工程を示す断面図。
ブを示す斜視図。
Claims (2)
- 【請求項1】 下記一般式(I)で表わされる複合ペロ
ブスカイト化合物から構成される酸化物種結晶を用意す
る工程と、 前記複合ペロブスカイト化合物からなり、かつこの化合
物をABO3(A;Pb、B; (B1,B2)1―xT
ix)として表わした場合、AサイトとBサイトの比
(A/B)が1.00<A/B≦1.10であるセラミ
ック粉末で前記酸化物種結晶を包囲し、加圧して成形す
る工程と、 前記成形体を密閉容器内で前記セラミック粉末から放出
される鉛雰囲気中、1000〜1450℃の温度で加熱
処理する工程と を具備したことを特徴とする酸化物単結晶の製造方法。 Pb{(B1,B2)1―xTix}O3 …(I) ただし、式中のB1はZn、Mg、Ni、Sc、Ybお
よびInから選ばれる少なくとも1つの元素、B2はN
bおよびTaから選ばれる少なくとも1つの元素、xは
0≦x≦0.55を示す。 - 【請求項2】 下記一般式(I)で表わされる複合ペロ
ブスカイト化合物から構成される酸化物種結晶を用意す
る工程と、 前記複合ペロブスカイト化合物からなり、かつこの化合
物をABO3(A;Pb、B; (B1,B2)1―xT
ix)として表わした場合、AサイトとBサイトの比
(A/B)が1.00<A/B≦1.10であるセラミ
ック粉末で前記酸化物種結晶を包囲し、加圧して成形す
る工程と、 前記成形物を密閉容器内で前記セラミック粉末から放出
される鉛雰囲気中、1000〜1450℃の温度で加熱
処理して酸化物単結晶を作製する工程と、 得られた酸化物単結晶から切り出した単結晶板の超音波
送受信面および前記送受信面と反対側の面に導電膜をそ
れぞれ形成する工程と、 前記導電膜に直流電圧を印加してそれら導電膜間の単結
晶板を分極処理する工程と、 前記単結晶板の超音波送受信面となる面に音響マッチン
グ層を形成し、これらをバッキング材上に前記超音波送
受信面と反対側の面がそのバッキング材側に位置するよ
うに形成する工程と、 ブレードを用いて前記音響マッチング層から前記単結晶
片に亘って複数回切断することにより、前記バッキング
材上に第1、第2電極を有する互いに分離された複数の
圧電体と前記各圧電体上にそれぞれ配置された複数の音
響マッチング層を形成する工程と、 前記音響マッチング層に音響レンズを形成する工程と を具備したことを特徴とする超音波プローブの製造方
法。 Pb{(B1,B2)1―xTix}O3 …(I) ただし、式中のB1はZn、Mg、Ni、Sc、Ybお
よびInから選ばれる少なくとも1つの元素、B2はN
bおよびTaから選ばれる少なくとも1つの元素、xは
0≦x≦0.55を示す。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12238497A JP3477028B2 (ja) | 1997-05-13 | 1997-05-13 | 酸化物単結晶の製造方法および超音波プローブの製造方法 |
US09/038,145 US6020675A (en) | 1995-09-13 | 1998-03-11 | Ultrasonic probe |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12238497A JP3477028B2 (ja) | 1997-05-13 | 1997-05-13 | 酸化物単結晶の製造方法および超音波プローブの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10316496A JPH10316496A (ja) | 1998-12-02 |
JP3477028B2 true JP3477028B2 (ja) | 2003-12-10 |
Family
ID=14834482
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12238497A Expired - Lifetime JP3477028B2 (ja) | 1995-09-13 | 1997-05-13 | 酸化物単結晶の製造方法および超音波プローブの製造方法 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3477028B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100430751B1 (ko) * | 2000-02-23 | 2004-05-10 | 주식회사 세라콤 | 페로브스카이트형 구조 산화물의 단결정 성장 방법 |
-
1997
- 1997-05-13 JP JP12238497A patent/JP3477028B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10316496A (ja) | 1998-12-02 |
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