JP3362966B2 - 圧電単結晶、超音波プローブおよびアレイ形超音波プローブ - Google Patents

圧電単結晶、超音波プローブおよびアレイ形超音波プローブ

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JP3362966B2
JP3362966B2 JP14611294A JP14611294A JP3362966B2 JP 3362966 B2 JP3362966 B2 JP 3362966B2 JP 14611294 A JP14611294 A JP 14611294A JP 14611294 A JP14611294 A JP 14611294A JP 3362966 B2 JP3362966 B2 JP 3362966B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、圧電単結晶および前記
圧電単結晶からなる圧電素子を備える医療用診断装置等
に有用な超音波プローブに関する。
【0002】
【従来の技術】超音波プローブは、一対の電極を有する
圧電素子から実質的になる超音波送受信素子を備えてい
る。前記超音波プローブは、超音波を対象物に向けて照
射し、その対象物における音響インピーダンスの異なる
界面からの反射エコーを受信することにより前記対象物
の内部状態を画像化するために用いられる。このような
前記超音波プローブを組み込んだ超音波画像装置は、例
えば人体内部を検査するための医療用診断装置および金
属溶接内部の探傷を目的とする検査装置等に応用されて
いる。
【0003】近年、前記医療用診断装置の一つとして、
人体の断層像(Bモード像)に加え、心臓、肝臓、頸動
脈等を対象に超音波の血流によるドプラシフトを利用し
て血流の速度を2次元でカラー表示することが可能な
「カラーフローマッピング(CFM)法」を採用したも
のが開発され、前記医療用診断装置によりその診断能力
が飛躍的に向上した。前記CFM法を採用した医療用診
断装置は子宮や肝臓、脾蔵などの人体のあらゆる臓器、
器官の診断に用いられ、今後は冠血栓の診断も可能な装
置を目指して研究がなされている。
【0004】前者のBモード像の場合には、身体的変化
による小さな病変や空隙が明瞭に深部まで見えるように
するために、高解像度の画像が高感度で得られることが
要求される。後者のCFM像を得ることができるドプラ
モードの場合には、直径が数μm程度の微小な血球から
の反射エコーを用いるため、前記Bモードの場合に比べ
て得られる信号レベルが小さくなり、より高感度化が要
求される。
【0005】ところで、前述した超音波プローブは従来
より高感度化を達成するためにそれ自体または周辺回路
等から様々な改良がなされている。例えば、超音波プロ
ーブを前記Bモード像の検出に適用する場合には超音波
送受信素子の圧電素子の影響が大きい。このような超音
波プローブに用いられる前記圧電素子は、電気機械結合
係数が大きく、かつケーブルや装置浮遊容量による損失
が少なくなるように送受信回路とのマッチングが取りや
すい誘電率の大きい材料から形成することが必要であ
る。このため、前記圧電素子はジルコン・チタン酸鉛
(PZT)系圧電セラミックから主に形成されている。
【0006】超音波プローブは、短冊状の圧電素子を有
する超音波送受信素子を数10から200個程度配列し
たアレイ形が主流であり、前記超音波送受信素子の数は
高分解能化の要求と共に増加する傾向にある。しかしな
がら、アレイ形超音波プローブを生体と接触させる場
合、超音波送受信面の口径を大きくすることができない
ため、前記超音波送受信素子の数が増大するに伴って圧
電素子1個当たりのインピーダンスが高くなり、送受信
回路とのマッチングが取り難くなる。
【0007】このようなことから、米国特許第4958
327号明細書には誘電率が大きい材料からなる圧電素
子を使用したり、積層構成することが開示されている。
DE3729731A1には、インピーダンス変換器を
使用することが開示されている。しかしながら、前記P
ZT系セラミックは比誘電率が3000を越えると電気
機械結合係数が小さくなる性質を有するため、感度が低
下するという問題が新たに生じる。また、積層構成では
送信感度が積層数に応じて増大するものの、受信感度は
積層数に反比例する。このため、適用可能な分野は圧電
素子が通常より小さい場合やケーブルが長い場合などの
特殊な用途に限られる。さらに、エミッタフォロワなど
のインピーダンス変換器を使用すると、超音波プローブ
の大型化を招くと共にインピーダンス変換器固有の周波
数特性により狭帯域化を引き起こす。
【0008】その他の圧電材料としては、ニオブ酸リチ
ウムなどの単結晶、チタン酸鉛、メタニオブ酸鉛などの
セラミック、ポリフッ化ビニリデンもしくはその共重合
体などの高分子材料からなる圧電素子が知られている。
しかしながら、これらの圧電素子は誘電率および電気機
械結合係数が小さく実用的ではない。また、柱状の圧電
セラミックを樹脂に埋め込んだ1−3型などの複合圧電
素子が知られているが、誘電率が小さくなり圧電素子を
短冊状にして複数配列するアレイ形超音波プローブには
適さない。
【0009】このような圧電材料の中で、Kuwataらは
“Japan J.Appl.Phys,21(1982)において亜鉛ニオブ酸鉛
とチタナ酸鉛の固溶系単結晶からなる棒状圧電素子は電
気機械結合係数k33が92%と極めて大きいことを報告
した。しかしながら、この報告には一部の誘電特性が述
べられているのみで、超音波プローブの設計に必要な音
響インピーダンスや誘電損失、機械的品質係数などが不
明である。特に、超音波プローブで多用されている短冊
状の超音波送受信素子の特性については何等述べられて
いない。さらに、前記固溶系単結晶からスライスして作
製された短冊状の圧電素子を有する複数の超音波送受信
素子を備えた超音波プローブの中には、信号が小さく、
高分解能の画像が得られないものがある。本発明者ら
は、感度の低い超音波プローブについて前記短冊状圧電
素子を有する超音波送受信素子を調べると、見掛け電気
機械結合係数の値が初期値より低下しており、これが原
因であることがわかった。また、見掛け電気機械結合係
数の低下は高電界を再度印加して分極することで改善す
ることができ、超音波プローブの感度も良くなるが、製
造上の再分極は工程が増加して煩雑になりコストアップ
の要因、または経時変化による性能劣化の原因になって
好ましくない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、電気
機械結合係数(k33´)の大きく、かつ短冊状圧電素子
に加工する際もしくは超音波プローブの作製中に脱分極
が起こらず、しかも長期間使用しても経時変化による性
能劣化を防止し得る圧電単結晶を提供しようとするもの
である。
【0011】本発明の別の目的は、幅が狭く、電気機械
結合係数(k33´)の大きい圧電素子を有し、送受信回
路とのマッチングが取り易く、さらに高感度化が可能な
超音波プローブを提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段および作用】本発明による
と、実質的に下記一般式からなる圧電単結晶が提供され
る。 Pb{[M11/3 Nb(2/3)-(2z/3)Ta2z/31-x-y
x M2y }O3 ただし、M1はZn、NiおよびMgから選ばれる少な
くとも1つの金属、M2はPt、Fe、Bi、Rhおよ
びIrから選ばれる少なくとも1つの金属を示し、x、
yおよびzはそれぞれ0.05≦x≦0.2、0.00
001≦y≦0.01、0≦z≦0.1として規定され
る。
【0013】本発明によると、実質的に下記一般式から
なる圧電単結晶が提供される。 Pb{[M31/2 Nb(1/2)-(z/2) Taz/21-x-y
x M2y }O3 ただし、M2はPt、Fe、Bi、RhおよびIrから
選ばれる少なくとも1つの金属、M3はScおよびIn
から選ばれる少なくとも1つの金属を示し、x、yおよ
びzはそれぞれ0.2≦x≦0.6、0.00001≦
y≦0.01、0≦z≦0.1として規定される。
【0014】本発明によると、超音波送受信面を有する
圧電素子と、前記圧電素子の超音波送受信面およびこの
面と反対側の面にそれぞれ形成された一対の電極とを具
備し、前記圧電素子は、実質的に下記一般式からなる単
結晶により形成されることを特徴とする超音波プローブ
が提供される。
【0015】Pb{[M11/3 Nb(2/3)-(2z/3)Ta
2z/31-x-y Tix M2y }O3 ただし、M1はZn、NiおよびMgから選ばれる少な
くとも1つの金属、M2はPt、Fe、Bi、Rhおよ
びIrから選ばれる少なくとも1つの金属を示し、x、
yおよびzはそれぞれ0.05≦x≦0.2、0.00
001≦y≦0.01、0≦z≦0.1として規定され
る。
【0016】本発明によると、超音波送受信面を有する
圧電素子と、前記圧電素子の超音波送受信面およびこの
面と反対側の面にそれぞれ形成された一対の電極とを具
備し、前記圧電素子は、実質的に下記一般式からなる単
結晶により形成されることを特徴とする超音波プローブ
が提供される。
【0017】Pb{[M31/2 Nb(1/2)-(z/2) Ta
z/21-x-y Tix M2y }O3 ただし、M2はPt、Fe、Bi、RhおよびIrから
選ばれる少なくとも1つの金属、M3はScおよびIn
から選ばれる少なくとも1つの金属を示し、x、yおよ
びzはそれぞれ0.2≦x≦0.6、0.00001≦
y≦0.01、0≦z≦0.1として規定される。
【0018】本発明によると、所望方向、例えば一方向
に配列され、超音波送受信面を有する複数の圧電素子
と、前記各圧電素子の超音波送受信面およびこの面と反
対側の面にそれぞれ形成された一対の電極とを具備し、
前記圧電素子は、実質的に下記一般式からなる単結晶に
より形成されることを特徴とするアレイ形超音波プロー
ブが提供される。
【0019】Pb{[M11/3 Nb(2/3)-(2z/3)Ta
2z/31-x-y Tix M2y }O3 ただし、M1はZn、NiおよびMgから選ばれる少な
くとも1つの金属、M2はPt、Fe、Bi、Rhおよ
びIrから選ばれる少なくとも1つの金属を示し、x、
yおよびzはそれぞれ0.05≦x≦0.2、0.00
001≦y≦0.01、0≦z≦0.1として規定され
る。
【0020】本発明によると、所望方向、例えば一方向
に配列され、超音波送受信面を有する複数の圧電素子
と、前記各圧電素子の超音波送受信面およびこの面と反
対側の面にそれぞれ形成された一対の電極とを具備し、
前記圧電素子は、実質的に下記一般式からなる単結晶に
より形成されることを特徴とするアレイ形超音波プロー
ブが提供される。
【0021】Pb{[M31/2 Nb(1/2)-(z/2) Ta
z/21-x-y Tix M2y }O3 ただし、M2はPt、Fe、Bi、RhおよびIrから
選ばれる少なくとも1つの金属、M3はScおよびIn
から選ばれる少なくとも1つの金属を示し、x、yおよ
びzはそれぞれ0.2≦x≦0.6、0.00001≦
y≦0.01、0≦z≦0.1として規定される。
【0022】以下、本発明に係わる圧電単結晶を詳細に
説明する。本発明に係わる圧電単結晶は、実質的に下記
一般式(I) からなる。 Pb{[M11/3 Nb(2/3)-(2z/3)Ta2z/31-x-y Tix M2y }O3 …(I) ただし、M1はZn、NiおよびMgから選ばれる少な
くとも1つの金属、M2はPt、Fe、Bi、Rhおよ
びIrから選ばれる少なくとも1つの金属を示し、x、
yおよびzはそれぞれ0.05≦x≦0.2、0.00
001≦y≦0.01、0≦z≦0.1として規定され
る。
【0023】より具体的には、実質的に下記一般式(I-
1) Pb{[M11/3 Nb(2/3)1-x-y Tix M2y }O3 …(I-1) ただし、M1およびM2は前記一般式(I) と同様な金属
を示し、xおよびyはそれぞれ0.05≦x≦0.2、
0.00001≦y≦0.01として規定される、から
なる圧電単結晶、並びに実質的に下記一般式(I-2) Pb{[M11/3 Nb(2/3)-(2z/3)Ta2z/31-x-y Tix M2y }O3 …(I−
2) ただし、M1およびM2は前記一般式(I) と同様な
金属を示し、x、yおよびzはそれぞれ0.05≦x≦
0.2、0.00001≦y≦0.01、0<z≦0.
1として規定される、からなる圧電単結晶が提供され
る。
【0024】前記一般式(I-1) 、(I-2) 中のM1は、特
にZnが好適である。前記一般式(I-1) 、(I-2) のxを
規定したのは、次のような理由によるものである。前記
xを0.05未満にすると、前記固溶系単結晶のキュリ
ー温度が低下する。また、前記単結晶の切断時や熱影響
により脱分極する。一方、前記xが0.2を越えると大
きな電気機械結合係数k33´が得られないばかりか、誘
電率が低下する。より好ましいxは、0.06〜0.1
3である。
【0025】前記一般式(I-1) 、(I-2) 中のM2は、特
にPtが好適である。前記一般式(I-1) 、(I-2) のyを
規定したのは、次のような理由によるものである。前記
yを0.00001未満にすると前記固溶系単結晶から
なる圧電素子を有する振動子の脱分極を抑制することが
できなくなる。一方、前記yが0.01を越えると前記
圧電単結晶の電気機械結合係数k33´が従来のPZT系
圧電セラミックに比べて小さくなったり、圧電特性の優
れたペロブスカイト構造の圧電単結晶を製造することが
困難になる。より好ましいyは、0.00001〜0.
001である。
【0026】前記一般式(I-2) 中のTaは、前記固溶系
単結晶からなる圧電素子を有する振動子の脱分極を抑制
する効果を有する。前記一般式(I-2) のzが0.1を越
えると、前記圧電単結晶の電気機械結合係数k33´が従
来のPZT系圧電セラミックに比べて小さくなったり、
圧電特性の優れたペロブスカイト構造の圧電単結晶を製
造することが困難になる。より好ましいzは0.001
〜0.05である。
【0027】前記一般式(I-1) 、(I-2) で表される圧電
単結晶は、例えばフラックス法、ブリッジマン法やキロ
プーロス法、水熱育成法等によって製造される。以上説
明した本発明に係わる圧電単結晶は、一般式(I) に示す
ようにPb{[M11/3 Nb2/31-x Tix }O3
(M1が例えばZn)で表される亜鉛ニオブ酸鉛−チタ
ン酸鉛の固溶系単結晶のTiをPt、Fe、Bi、Rh
およびIrから選ばれる少なくとも一つの金属M2で微
量置換した組成を有するため、圧電特性を損なうことな
く、両面に導体層が形成された単結晶を加工して一対の
電極を有する圧電素子からなる超音波送受信素子を作製
する際、或いは超音波プローブの作製時の接合工程等の
熱による超音波送受信素子の脱分極を抑制することがで
きる。特に、一般式(I-2) に示すように亜鉛ニオブ酸鉛
−チタン酸鉛の固溶系単結晶のTiをM2で微量置換す
ると共に前記固溶系単結晶のNbをTaで微量置換した
組成の圧電単結晶は、超音波送受信素子の脱分極をより
一層抑制することが可能になる。また、前記一般式(I)
からなる圧電単結晶は電気機械結合係数k33´が82〜
83%と優れた圧電特性を有する。
【0028】本発明に係わる別の圧電単結晶は、実質的
に下記一般式(II)からなる。 Pb{[M31/2 Nb(1/2)-(z/2) Taz/21-x-y Tix M2y }O3 …(II) ただし、M2はPt、Fe、Bi、RhおよびIrから
選ばれる少なくとも1つの金属、M3はScおよびIn
から選ばれる少なくとも1つの金属を示し、x、yおよ
びzはそれぞれ0.2≦x≦0.6、0.00001≦
y≦0.01、0≦z≦0.1として規定される。
【0029】より具体的には、実質的に下記一般式(II-
1) Pb{[M31/2 Nb(1/2)1-x-y Tix M2y }O3 …(II-1) ただし、M2およびM3は前記一般式(II)と同様な金属
を示し、xおよびyはそれぞれ0.2≦x≦0.6、
0.00001≦y≦0.01として規定される、から
なる圧電単結晶、並びに実質的に下記一般式(II-2) Pb{[M31/2 Nb(1/2)-(z/2) Taz/21-x-y Tix M2y }O3 …(II−
2) ただし、M2およびM3は前記一般式(II)と同様な
金属を示し、x、yおよびzはそれぞれ0.2≦x≦
0.6、0.00001≦y≦0.01、0<z≦0.
1として規定される、からなる圧電単結晶が提供され
る。
【0030】前記一般式(II-1)、(II-2)中のM3は、特
にScが好適である。前記一般式(II-1)、(II-2)のxを
規定したのは、次のような理由によるものである。前記
xを0.2未満にすると、前記固溶系単結晶のキュリー
温度が低下する。また、前記単結晶の切断時や熱影響に
より脱分極する。一方、前記xが0.6を越えると大き
な電気機械結合係数k33´が得られないばかりか、誘電
率が低下する。より好ましいxは、0.2〜0.5であ
る。
【0031】前記一般式(II-1)、(II-2)中のM2は、特
にPtが好適である。前記一般式(II-1)、(II-2)のyを
規定したのは、次のような理由によるものである。前記
yを0.00001未満にすると前記固溶系単結晶から
なる圧電素子を有する振動子の脱分極を抑制することが
できなくなる。一方、前記yが0.01を越えると前記
圧電単結晶の電気機械結合係数k33´が従来のPZT系
圧電セラミックに比べて小さくなったり、圧電特性の優
れたペロブスカイト構造の圧電単結晶を製造することが
困難になる。より好ましいyは、0.00001〜0.
001である。
【0032】前記一般式(II-2)中のTaは、前記固溶系
単結晶からなる圧電素子を有する振動子の脱分極を抑制
する効果を有する。前記一般式(II-2)のzが0.1を越
えると、前記圧電単結晶の電気機械結合係数k33´が従
来のPZT系圧電セラミックに比べて小さくなったり、
圧電特性の優れたペロブスカイト構造の圧電単結晶を製
造することが困難になる。より好ましいzは0.001
〜0.05である。
【0033】前記一般式(II-1)、(II-2)で表される圧電
単結晶は、例えばフラックス法、ブリッジマン法やキロ
プーロス法、水熱育成法等によって製造される。以上説
明した本発明に係わる別の圧電単結晶は、一般式(II)に
示すようにPb{[M31/2 Nb(1/2)1-x Tix
3 (M3が例えばSc)で表されるスカンジウムニオ
ブ酸鉛−チタン酸鉛の固溶系単結晶のTiをPt、F
e、Bi、RhおよびIrから選ばれる少なくとも一つ
の金属M2で微量置換した組成を有するため、圧電特性
を損なうことなく、両面に導体層が形成された単結晶を
加工して一対の電極を有する圧電素子からなる超音波送
受信素子を作製する際、或いは超音波プローブの作製時
の接合工程等の熱による超音波送受信素子の脱分極を抑
制することができる。特に、一般式(II-2)に示すように
スカンジウム亜鉛ニオブ酸鉛−チタン酸鉛の固溶系単結
晶のTiをM2で微量置換すると共に前記固溶系単結晶
のNbをTaで微量置換した組成の圧電単結晶は、超音
波送受信素子の脱分極をより一層抑制することが可能に
なる。また、前記一般式(II)からなる圧電単結晶は電気
機械結合係数k33´が82〜83%と優れた圧電特性を
有する。
【0034】次に、本発明に係わる超音波プローブを図
1および図2を参照して詳細に説明する。圧電単結晶か
らなる複数の圧電素子1は、バッキング材2上に互いに
分離して接着されている。前記各々の圧電素子1は、図
2に示すように短冊形状をなし、2番目に面積が大きい
面を超音波送受信面3として有する。前記各々の圧電素
子1は、図1の矢印A方向に振動する。第1電極4は、
前記各々の圧電素子1の前記超音波送受信面3からその
側面およびおよび前記送受信面3と反対側の面の一部に
亘ってそれぞれ形成されている。第2電極5は、前記各
々の圧電素子1の前記送受信面3と反対側の面に前記第
1電極4と所望の距離隔ててそれぞれ形成されている。
このような前記圧電素子1、前記第1、第2の電極4、
5により超音波送受信素子が構成される。音響マッチン
グ層6は、前記各々の第1電極4を含む前記各圧電素子
1の超音波送受信面3にそれぞれ形成されている。音響
レンズ7は、前記各音響マッチング層6の全体に亘って
形成されている。アース電極板8は、前記各々の第1電
極4に接続されている。フレキシブル印刷配線板9は、
前記各々の第2電極5に例えばはんだ付けにより接続さ
れている。図示しない複数の導体(ケーブル)は前記ア
ース電極板8およびフレキシブル印刷配線板9にそれぞ
れ接続される。
【0035】前記圧電素子1は、実質的に下記一般式
(I) からなる単結晶、または実質的に下記一般式(II)か
らなる単結晶により形成される。 Pb{[M11/3 Nb(2/3)-(2z/3)Ta2z/31-x-y Tix M2y }O3 …(I) ただし、M1はZn、NiおよびMgから選ばれる少な
くとも1つの金属、M2はPt、Fe、Bi、Rhおよ
びIrから選ばれる少なくとも1つの金属を示し、x、
yおよびzはそれぞれ0.05≦x≦0.2、0.00
001≦y≦0.01、0≦z≦0.1として規定され
る。
【0036】 Pb{[M31/2 Nb(1/2)-(z/2) Taz/21-x-y Tix M2y }O3 …(II) ただし、M2はPt、Fe、Bi、RhおよびIrから
選ばれる少なくとも1つの金属、M3はScおよびIn
から選ばれる少なくとも1つの金属を示し、x、yおよ
びzはそれぞれ0.2≦x≦0.6、0.00001≦
y≦0.01、0≦z≦0.1として規定される。
【0037】前記一般式(I) または一般式(II)の単結晶
から形成される前記圧電素子1は、チタン酸鉛の固溶量
が前記超音波送受信面3の面内の中央部で最も少なく、
前記面内の両端部に向かって漸次増加されていることが
好ましい。このような圧電素子は、前記チタン酸鉛の固
溶量を変化に伴って圧電特性、特に電気機械結合係数が
変化する。したがって、前述したアレイ型超音波プロー
ブの圧電素子1の配列方向に直交する方向において、前
記圧電素子1の中央部のチタン酸鉛のモル分率を最も少
なくして電気機械結合係数が最大になるようにし、両端
側に向けてチタン酸鉛のモル分率を漸次増加させて電気
機械結合係を低下するようにすればサイドローブが抑制
された超音波ビームを放射することができる。
【0038】前記圧電素子1は、振動方向の厚さが20
0〜400μmであることが好ましい。前記第1、第2
電極4、5は、例えば蒸着法によるTi/Au、Ni/
AuもしくはCr/Auの二層導電膜、Ti/Ni/A
uの3層導電膜、またはガラスフリットを含む銀焼付け
等から形成される。
【0039】なお、前記電極4、5の配置の形態および
前記アース電極板8、前記フレキシブル印刷配線板9の
前記電極4、5への取付け形態は、前述した図1に限定
されない。例えば、前記前記アース電極板8およびフレ
キシブル印刷配線板9と前記電極4、5との接合ははん
だ付け以外に、導電ペーストの使用、抵抗溶接による方
法で行ってもよい。
【0040】また、電極の配置形態は前記圧電素子の超
音波送受信面およびこの面と反対側の面の全体に形成す
る場合に限らない。例えば、圧電素子の超音波送受信面
およびこの面と反対側の面に一対の電極を互いにずらし
配置すると共に前記各面の所望の領域で互いに対向する
ようにを配置してもよい。
【0041】このような図1に示す構造の超音波プロー
ブは、例えば次のような方法により作製される。この方
法を図3の(A)、(B)を参照して説明する。まず、
図3の(A)に示すように前記一般式(I) または一般式
(II)の単結晶から切り出された矩形状単結晶片11に導
電膜をスパッタ法により蒸着し、選択エッチング技術に
よりの超音波送受信面および前記送受信面と反対側の面
に導電膜12を残す。つづいて、図3の(B)に示すよ
うに前記単結晶片11の超音波送受信面となる面に音響
マッチング材料層13を形成した後、大部分が前記単結
晶片11の超音波送受信面に位置する前記導電膜12に
アース電極板(図示せず)をはんだ付け、または導電ペ
ーストにより接続し、大部分が前記単結晶片11の超音
波送受信面と反対側の面に位置する前記導電膜12にフ
レキシブル印刷配線板(図示せず)をはんだ付け、また
は導電ペーストにより接続する。ひきつづき、これらを
バッキング材2上に接着した後、ブレードを用いて前記
音響マッチング材料層13から前記単結晶片11に亘っ
て一点鎖線に示す方向に複数回スライスする。このよう
なスライス工程により前述した図1に示すように前記バ
ッキング材2上に第1、第2電極4、5を有する互いに
分離された複数の圧電素子1と前記各圧電素子1上にそ
れぞれ配置された複数の音響マッチング層6が形成され
る。なお、前記第1電極4にはアース電極板8がはんだ
付け、または導電ペーストにより接続され、前記第2電
極5にはフレキシブル印刷配線板9がはんだ付け、また
は導電ペーストにより接続される。
【0042】次いで、前記音響マッチング層6に音響レ
ンズ7を接着する。この後、図示しない複数の導体(ケ
ーブル)を前記フレキシブル印刷配線板9に接続するこ
とにより超音波プローブを作製する。
【0043】前記超音波プローブの作製工程において、
前記矩形状単結晶片11は図4に示すようにスライス方
向に対して直交する方向に延びるエッジを面取り加工さ
れて面取り部14が形成されていることが好ましい。前
記面取り加工とは、平面的な面取り、円弧状のRを付け
る面取りを意味するものである。前記面取り加工による
面取り度合は前記単結晶片11の厚さの1/20〜1/
3の範囲にすることが好ましい。前記単結晶のエッジの
面取り度合を前記範囲に限定した理由は、前記度合が前
記範囲を逸脱するとスライス工程での割れの発生を効果
的に抑制できなくなるからである。より好ましい単結晶
のエッジの面取り度合は、前記単結晶の厚さの1/16
〜1/4の範囲である。
【0044】このようなエッジが所定の度合で面取り加
工された矩形状単結晶片11を用いて前述した図3に示
すようにブレード等によりスライスすると、前記ブレー
ドによる機械的応力が前記矩形状単結晶片11のエッジ
に相当する箇所で集中するのを回避できる。その結果、
スライス後に得られた圧電素子の割れ発生を防止するこ
とができる。したがって、割れ等のない圧電素子を有
し、安定した電気機械結合係数を持つ複数の超音波送受
信素子を備えたアレイ形超音波プローブを高歩留まりで
作製することができる。
【0045】また、前記一般式(I) 、(II)からなる単結
晶が劈開面を有する場合には圧電素子はその超音波送受
信面が前記劈開面と平行または前記劈開面に対して20
゜以下の角度を有することが好ましい。ここで、前記圧
電素子の超音波送受信面が前記劈開面と平行または前記
劈開面に対して20゜以下の角度をなすとは、図5に示
すように圧電素子1の超音波送受信面3の法線D´が単
結晶の劈開面15の法線Dとなす角度Θが20゜以下で
ある全ての場合を意味する。したがって、前記超音波プ
ローブの作製工程においては、矩形状単結晶片から例え
ば図6に示すようにその超音波送受信面3が劈開面15
と平行になるように短冊状の圧電素子1を切り出すこと
が好ましい。
【0046】このように劈開面を持つ一般式(I) 、(II)
からなる単結晶をスライスして短冊状の圧電素子を作製
する際、超音波送受信面が前記劈開面と平行または前記
劈開面に対して20゜以下の角度をなすように圧電素子
を切り出すことによって前記劈開面に起因する割れを防
止できると共に前記圧電素子が組み込まれた超音波送受
信素子の使用中における不良発生を防止できる。したが
って、複数の超音波送受信素子を備えた信頼性の高い超
音波プローブを高歩留まりで作製することが可能にな
る。
【0047】本発明に係わる超音波プローブによれば、
実質的に一般式(I) 、(II)からなる単結晶から形成され
た電気機械結合係数が大きく、かつ熱影響による脱分極
が抑制された圧電素子を有する超音波送受信素子を備え
る。したがって、PZT系圧電セラミックから形成され
た圧電素子を有する超音波プローブに比べて高感度でか
つ高信頼性の超音波プローブを実現できる。
【0048】なお、図1ではアレイ形超音波プローブを
示したが、本発明は矩形状、円柱状の圧電素子を有する
単一の超音波送受信素子を備えた超音波プローブも包含
する。このような超音波プローブにおいて、前記一般式
(I) 、(II)からなる単結晶が劈開面を有する場合には例
えば円柱状の圧電素子1は図7に示すようにはその超音
波送受信面3が劈開面15と平行になるように切り出さ
れることが好ましい。また、円柱状の圧電素子はその超
音波送受信面が前記劈開面に対して20゜以下の角度に
なるように切り出されることがが好ましい。
【0049】本発明に係わる別の超音波プローブは、単
結晶により形成された圧電素子を有する超音波送受信素
子を備え、前記圧電素子は、電気機械結合係数k33’、
比誘電率εr (=ε33 T /ε0 )、キュリー点Tc の関
係が下記式(1) を満たす。
【0050】 5≦(k334 ×εr )/Tc ≦20 …(1) 前記式(1) の(k334 ×εr )/Tc が5未満の圧電
素子を有する超音波プローブは高感度化を達成できな
い。一方、前記式(1) の(k334 ×εr )/Tc が2
0を越える圧電素子はキュリー点が低いために前記圧電
素子を有する超音波プローブを得るためにアレイ切断す
ると脱分極し易くなる。また、コンデンサ(電歪)材料
の特性を示すようになり、室温近傍にキュリー点が存在
するため、超音波プローブとして不向きである。したが
って、前記条件を満たす圧電材料であればいかなるもの
でも前記圧電素子に適用できる。具体的な圧電材料とし
ては、亜鉛ニオブ酸鉛−チタン酸鉛の固溶系単結晶、実
質的に前記一般式(I) 、(II)からなる固溶系単結晶等を
挙げることができる。
【0051】前記式(1) の条件を満たす圧電素子を有す
る超音波送受信素子、特に短冊状の超音波送受信素子を
複数配列したアレイ形超音波プローブは、高感度化が達
成される。
【0052】すなわち、前記式(1) はキュリー点が超音
波プローブの使用範囲であり、感度と電気インピーダン
スとのマッチングを決める重要なパラメータである電気
機械結合係数、誘電率およびキュリー点の関係が表され
ている。したがって、前記(1) を満たす圧電素子を有す
る超音波プローブは、有意差を持つ感度の違いは2dB
以上であり、しかも前記圧電素子を用いると切断におけ
る脱分極などによる感度劣化が抑えられ、感度向上が達
成される。
【0053】本発明に係わるさらに別の超音波プローブ
を図8を参照して詳細に説明する。複数の圧電素子21
は、バッキング材22上に互いに分離して接着されてい
る。前記各々の圧電素子21は図の矢印A方向に振動す
る。第1電極23は、前記各々の圧電素子21の超音波
送受信面からその側面およびおよび前記送受信面と反対
側の面の一部に亘ってそれぞれ形成されている。第2電
極24は、前記各々の圧電素子21の前記送受信面と反
対側の面に前記第1電極23と所望の距離隔ててそれぞ
れ形成されている。このような前記圧電素子21、前記
第1、第2の電極23、24により超音波送受信素子が
構成される。音響マッチング層25は、前記各々の第1
電極23を含む前記各圧電素子21の超音波送受信面に
それぞれ形成されている。音響レンズ26は、前記各音
響マッチング層25の全体に亘って形成されている。ア
ース電極板27は、前記各々の第1電極23に接続され
ている。複数のケーブル28を有するフレキシブル印刷
配線板29は、前記各々の第2電極24に例えばはんだ
付けにより接続されている。複数のインピーダンス変換
回路30は、前記ケーブル28にそれぞれ介装されて、
前記フレキシブル印刷配線板29に接続されている。
【0054】前記圧電素子21は、電気機械結合係数を
33´、比誘電率をεr (=ε33 T/ε0 )の関係が、
下記式(2) および式(3) を満たしている。 2×10-4≦k334 /εr ≦5×10-4 (2) 0.7≦k33’ (3) 前記式(3) のk33’が0.7未満では、高感度の超音波
プローブを得ることができない。前記式(3) を満足する
条件下で前記式(2) のk334 /εr が2×10-4未満
の圧電素子を有する超音波プローブは高感度化を達成で
きない。一方、同条件下で前記式(2) のk334 /εr
が5×10-4を越える圧電材料はその開発の容易性を考
えると、誘電率の小さいものが結合係数を大きくする場
合よりも比較的容易であるため、誘電率の低い材料とな
る。このような圧電体において、同一の送信パワーを得
るには超音波プローブの駆動電圧を大きくすれば受信音
圧も大きくなる。しかしながら、アレイプローブ駆動回
路には通常、高圧スイッチが用いられているため、前記
耐圧の限界で駆動電圧を大きくすることができない。し
たがって、前記条件を満たす圧電材料であればいかなる
ものでも前記圧電素子21に適用できる。具体的な圧電
材料としては、亜鉛ニオブ酸鉛−チタン酸鉛の固溶系単
結晶、実質的に前記一般式(I) 、(II)からなる固溶系単
結晶等を挙げることができる。
【0055】本発明に係わるさらに別の超音波プローブ
は、ケーブルや装置の浮遊容量分による電圧損失を低減
するエミッタフォロワなどのインピーダンス変換回路
と、前記式(2) および式(3) の条件を満たす圧電体を有
する超音波送受信素子とを備えることによって、より一
層の感度向上を図れると共に投入パワーを充分に高める
ことができる。
【0056】すなわち、前記式(2) は圧電素子の電気機
械結合係数k33’と比誘電率εr (=ε33 T /ε0 )と
の関係が表され、前記式(3) は前記k33’の下限値を規
定したものである。このような式(2) 、(3) の関係を満
たす圧電素子を有する超音波送受信素子は、前記作用を
なすインピーダンス変換回路と良好にマッチングされる
ため、より一層の高感度化が図られた超音波プローブを
実現することができる。また、前記式(2) における
334 /εr の上限値を5×10-4とすることにより
駆動電圧を大きくでき、投入パワーを充分に高めること
が可能になる。
【0057】
【実施例】以下、本発明の好ましい実施例を詳細に説明
する。 実施例1 まず、出発原料として化学的に高純度のPbO、Zn
O、Nb25 、TiO2 、PtOを用い、これらを純
度補正した後、亜鉛ニオブ酸鉛(PZN)とチタン酸鉛
(PT)とが91:9のモル比で、前記PT中のTiを
Ptで一部置換した組成になるようにに秤量し、さらに
フラックスとして同量のPbOを添加した。この粉末に
純水を添加し、ZrO2 ボールが収納されたボールミル
で1時間混合した。得られた混合物の水分を除去した
後、粉砕機で十分に粉砕し、さらにゴム型容器に入れ、
2トン/cm2 の圧力でラバープレスを行った。ゴム型
から取り出した固形物600gを直径50mm、容量2
50ccの白金製容器に入れ、900℃の温度まで4時
間で昇温して溶解した。冷却後、さらに前記固形物を4
00g入れ、白金製の蓋で密閉し、前記容器を電気炉の
中心に設置した。1260℃の温度まで5時間で昇温
し、0.8℃/hrの速度で800℃まで徐冷した後、
室温まで冷却した。その後、前記白金製容器に30%濃
度の硝酸を添加し、8時間煮沸して固溶系単結晶を取り
出した。得られた単結晶は、矢じりの形状をなし、大き
さが約20mm角であった。前記単結晶の一部を粉砕
し、X線回折を行なって結晶構造を調べたところ、ペロ
ブストカイト構造を有することが確認された。また、前
記粉末をICPにより化学分析を行ったところ、Pb
[(M11/3 Nb2/31-x-y Tix M2y )]O3
(M1;Zn、M2;Pt、x;0.09、y;0.0
001)の組成を有することが確認された。その後、前
記単結晶をラウエカメラを用いて[001]軸の方位を
出し、この軸に垂直にカッタで切断した。
【0058】次いで、前記単結晶の切断面を#2000
の研磨材で研磨して厚さ500μmの単結晶板とした
後、前記研磨面(001)面にNi/Au電極をスパッ
タ法によりそれぞれ形成した。つづいて、前記電極を有
する単結晶板をシリコーンオイルに浸漬し、200℃ま
で昇温した後、1kV/mmの電界を印加しながら40
℃まで冷却した。その後、前記電極を有する単結晶板を
ダイシングソーにより250μm幅の短冊状に切断し
た。得られた短冊状の超音波送受信素子(振動子)の静
電容量、共振周波数および反共振周波数を測定し、電気
機械結合係数k33´および比誘電率(εr =ε33 T /ε
0 )を求めた。その結果、k33´が81〜83%、εr
が2200であった。また、得られた前記短冊状振動子
は前記切断時に前記単結晶の脱分極が起こっていないた
めに圧電特性のばらつきは少なく2%以下であった。な
お、前記単結晶は白金容器を用いてフラックス法により
作製したが、1100〜1260℃の高温で育成する場
合は白金容器のPtが融剤に溶け込むために原料として
用いるPtOなどの白金化合物を添加しなくても同様な
組成を有する単結晶を得ることが可能である。
【0059】また、前記91PZN−9PT−Pの単結
晶を用いて前述した図1に示すアレイ形超音波プローブ
を作製した。すなわち、前記91PZN−9PT−Pの
単結晶から厚さが400μmの単結晶片を形成し、この
単結晶片の(001)面にTi/Au導体膜をスパッタ
法により蒸着し、選択エッチング技術により前記単結晶
片の一方の側面に位置する前記導電膜部分および超音波
送受信面と反対側の面に位置する前記導電膜の一部を除
去した。つづいて、前記単結晶片の超音波送受信面とな
る面に音響マッチング層を形成した後、大部分が前記単
結晶片の超音波送受信面に位置する前記導電膜にアース
電極板を導電ペーストにより接続し、大部分が前記単結
晶片の超音波送受信面と反対側の面に位置する前記導電
膜にフレキシブル印刷配線板を導電ペーストにより接続
する。ひきつづき、これらをバッキング材上にエポキシ
樹脂で接着した。次いで、ダイサにより厚さ50μmの
ブレードで前記音響マッチング層から前記単結晶片に亘
って200μmピッチで切断した。この切断により、前
記バッキング材2上に第1、第2電極4、5を有する互
いに分離された圧電素子1と前記各圧電素子1上にそれ
ぞれ配置された複数の音響マッチング層6が形成され
た。なお、前記第1電極4にはアース電極板8が導電ペ
ーストにより接続され、前記第2電極5にはフレキシブ
ル印刷配線板9が導電ペーストにより接続されている。
次いで、前記音響マッチング層6に音響レンズ7を形成
した。この後、110pF/m、長さ2mの複数の同軸
ケーブルをフレキシブル印刷配線板9に接続してアレイ
形超音波プローブを製造した。
【0060】前記超音波プローブについてパルスエコー
法により反射エコーを測定したところ、全ての超音波送
受信素子から約5MHzの中心周波数を有するエコーが
受信された。
【0061】実施例2 まず、出発原料として化学的に高純度のPbO、Zn
O、Nb25 、TiO2 、Ta25 、PtOを用
い、これらを純度補正した後、亜鉛ニオブ酸鉛(PZ
N)とチタン酸鉛(PT)とが91:9のモル比で、前
記PZN中のNbをTaで、また前記PT中のTiをP
tで一部置換した組成になるようにに秤量し、これを原
料にして実施例1と同様なフラックス法により固溶系単
結晶を育成した。得られた単結晶は、大きさが約15m
m角の矩形状をなしていた。前記単結晶の一部を粉砕
し、X線回折を行なって結晶構造を調べたところ、ペロ
ブストカイト構造を有することが確認された。また、前
記粉末をICPにより化学分析を行ったところ、Pb
{[M11/3 Nb(2/3)-(2z/3)Ta2z/31-x-y Tix
M2y}O3 (M1;Zn、M2;Pt、x;0.0
9、y;0.0003、z;0.003)の組成を有す
ることが確認された。
【0062】得られた単結晶を用いて実施例1と同様、
電極形成、分極、短冊状の切断を行い静電容量、共振周
波数および反共振周波数を測定して電気機械結合係数お
よび比誘電率を求めた。その結果、電気機械結合係数k
33´は80〜81%、比誘電率εr は2200であるこ
とが確認された。前記k33´ばらつきは少なく1%以下
であった。
【0063】実施例3 まず、出発原料として化学的に高純度のPbO、Zn
O、Nb25 、TiO2 、Fe23 を用い、これら
を純度補正した後、亜鉛ニオブ酸鉛(PZN)とチタン
酸鉛(PT)とが91:9のモル比で、前記PT中のT
iをFeで一部置換した組成になるようにに秤量し、こ
れを原料として実施例1と同様なフラックス法により固
溶系単結晶を作製した。得られた単結晶は、大きさが約
10mm角の矩形状をなしていた。前記単結晶の一部を
粉砕し、X線回折を行なって結晶構造を調べたところ、
ペロブストカイト構造を有することが確認された。ま
た、前記粉末をICPにより化学分析を行ったところ、
Pb[(M11/3 Nb2/31-x-y Tix M2y )]O
3 (M1;Zn、M2;Fe、x;0.09、y;0.
0003)の組成を有することが確認された。
【0064】得られた単結晶を用いて実施例1と同様、
電極形成、分極、短冊状の切断を行い静電容量、共振周
波数および反共振周波数を測定して電気機械結合係数お
よび比誘電率を求めた。その結果、電気機械結合係数k
33´は80〜81%、比誘電率εr は2400であるこ
とが確認された。前記k33´ばらつきは少なく1%以下
であった。
【0065】実施例4 まず、出発原料として化学的に高純度のPbO、Zn
O、Nb25 、TiO2 、Bi23 を用い、これら
を純度補正した後、亜鉛ニオブ酸鉛(PZN)とチタン
酸鉛(PT)とが91:9のモル比で、前記PT中のT
iをBiで一部置換した組成になるようにに秤量し、こ
れを原料として実施例1と同様なフラックス法により固
溶系単結晶を作製した。得られた単結晶は、大きさが約
10mm角の矩形状をなしていた。前記単結晶の一部を
粉砕し、X線回折を行なって結晶構造を調べたところ、
ペロブストカイト構造を有することが確認された。ま
た、前記粉末をICPにより化学分析を行ったところ、
Pb[(Zn1/3 Nb2/31-x-y Tix M1y )]O
3 (M1;Bi、x;0.09、y;0.0003)の
組成を有することが確認された。
【0066】得られた単結晶を用いて実施例1と同様、
電極形成、分極、短冊状の切断を行い静電容量、共振周
波数および反共振周波数を測定して電気機械結合係数お
よび比誘電率を求めた。その結果、電気機械結合係数k
33´は81〜82%、比誘電率εr は3000であるこ
とが確認された。前記k33´ばらつきは少なく1%以下
であった。
【0067】実施例5 まず、出発原料として化学的に高純度のPbO、Zn
O、Nb25 、TiO2 、Fe23 、PtOを用
い、これらを純度補正した後、亜鉛ニオブ酸鉛(PZ
N)とチタン酸鉛(PT)とが91:9のモル比で、前
記PT中のTiをFeおよびPtで一部置換した組成に
なるようにに秤量し、これを原料として実施例1と同様
なフラックス法により固溶系単結晶を作製した。得られ
た単結晶は、大きさが約15mm角の矩形状をなしてい
た。前記単結晶の一部を粉砕し、X線回折を行なって結
晶構造を調べたところ、ペロブストカイト構造を有する
ことが確認された。また、前記粉末をICPにより化学
分析を行ったところ、Pb[(M11/3 Nb2/3
1-x-y Tix M2y )]O3 (M1;Zn、M2;Pt
+Fe、x;0.09、y;0.0003)の組成を有
することが確認された。
【0068】得られた単結晶を用いて実施例1と同様、
電極形成、分極、短冊状の切断を行い静電容量、共振周
波数および反共振周波数を測定して電気機械結合係数お
よび比誘電率を求めた。その結果、電気機械結合係数k
33´は80〜81%、比誘電率εr は2300であるこ
とが確認された。前記k33´ばらつきは少なく1%以下
であった。
【0069】なお、実施例1〜5において単結晶の成分
であるM2としてPt、Fe、Biを用いたが、原料段
階でPtO等の代わりにRh23 、IrO2 をM2成
分として用いて単結晶を育成し、この単結晶を用いて製
造された超音波プローブは実施例1〜5と同様な優れた
特性を有していた。
【0070】実施例6 まず、出発原料として化学的に高純度のPbO、Mg
O、Nb25 、TiO2 、PtOを用い、これらを純
度補正した後、マグネシウム・ニオブ酸鉛(PMN)と
チタン酸鉛(PT)とが68:32のモル比で、前記P
T中のTiをPtで一部置換した組成になるようにに秤
量し、これを原料として実施例1と同様なフラックス法
により固溶系単結晶を作製した。得られた単結晶は、大
きさが約15mm角の矩形状をなしていた。前記単結晶
の一部を粉砕し、X線回折を行なって結晶構造を調べた
ところ、ペロブストカイト構造を有することが確認され
た。また、前記粉末をICPにより化学分析を行ったと
ころ、Pb[(M11/3 Nb2/31-x-y Tix M2
y )]O3 (M1;Mg、M2;Pt、x;0.33、
y;0.0003)の組成を有することが確認された。
【0071】得られた単結晶を用いて実施例1と同様、
電極形成、分極、短冊状の切断を行い静電容量、共振周
波数および反共振周波数を測定して電気機械結合係数お
よび比誘電率を求めた。その結果、電気機械結合係数k
33´は81〜83%、比誘電率εr は2900であるこ
とが確認された。前記k33´ばらつきは少なく2%以下
であった。
【0072】実施例7 まず、出発原料として化学的に高純度のPbO、Zn
O、MgO、Nb25、TiO2 、Fe23 、Pt
Oを用い、これらを純度補正した後、マグネシウム。ニ
オブ酸鉛(PMN)と亜鉛ニオブ酸鉛(PZN)とチタ
ン酸鉛(PT)とが34:45:21のモル比で、前記
PT中のTiをPtとFeで一部置換した組成になるよ
うにに秤量し、これを原料として実施例1と同様なフラ
ックス法により固溶系単結晶を作製した。得られた単結
晶は、大きさが約15mm角の矩形状をなしていた。前
記単結晶の一部を粉砕し、X線回折を行なって結晶構造
を調べたところ、ペロブストカイト構造を有することが
確認された。また、前記粉末をICPにより化学分析を
行ったところ、Pb[(M11/3 Nb2/31-x-y Ti
x M2y )]O3 (M1;Mg+Zn、M2;Pt+F
e、x;0.21、y;0.0003)の組成を有する
ことが確認された。
【0073】得られた単結晶を用いて実施例1と同様、
電極形成、分極、短冊状の切断を行い静電容量、共振周
波数および反共振周波数を測定して電気機械結合係数お
よび比誘電率を求めた。その結果、電気機械結合係数k
33´は80〜81%、比誘電率εr は2500であるこ
とが確認された。前記k33´ばらつきは少なく2%以下
であった。
【0074】なお、実施例6、7において単結晶の成分
であるM1としてZn、Mgを用いたが、原料段階でZ
nO等の代わりにNiOをM1成分として用いて単結晶
を育成し、この単結晶を用いて製造された超音波プロー
ブは実施例6、7と同様な優れた特性を有していた。
【0075】比較例1 まず、出発原料として化学的に高純度のPbO、Zn
O、Nb25 、TiO2 、を用い、これらを純度補正
した後、亜鉛ニオブ酸(PZN)とチタン酸鉛(PT)
とが91:9のモル比の組成になるようにに秤量し、こ
れを原料として白金容器に代えてロジウム容器を用いた
以外、実施例1と同様なフラックス法により固溶系単結
晶を作製した。得られた単結晶は、大きさが約10mm
角の矩形状をなしていた。前記単結晶の一部を粉砕し、
X線回折を行なって結晶構造を調べたところ、ペロブス
トカイト構造を有することが確認された。また、前記粉
末をICPにより化学分析を行ったところ、Pb[(M
1/3 Nb2/31-x Tix)]O3 (M1;Zn、
x;0.10)の組成を有することが確認された。
【0076】得られた単結晶を用いて実施例1と同様、
電極形成、分極、短冊状の切断を行い静電容量、共振周
波数および反共振周波数を測定して電気機械結合係数お
よび比誘電率を求めた。その結果、比誘電率εr は20
00であった。また、前記各短冊状振動子について電気
機械結合係数k33´のばらつきを調べたところ、脱分極
が起こっているものがあり、k33´は65〜80%とそ
の値が20%も大きくばらついていた。
【0077】また、本発明に係わるPtを含むPZN−
PTの単結晶と比較例のPZN−PTの単結晶を有する
短冊状振動子におけるPt量(y)に対する電気機械結
合係数の値k33´およびそのばらつきΔk33´を調べ
た。その結果を図9に示す。図9から明らかなようにP
tの量が前述した一般式(I) のyが0.0001≦y≦
0.01の範囲でk33´を損なうことなくΔk33´を低
減できることがわかる。
【0078】前述した図9に示す特性は、Tiの一部を
置換するPtの代わりにFe、Bi、Rh、Irを用い
た場合、またはNbの一部をTaで置換する場合にも同
様であった。
【0079】実施例8 まず、出発原料として化学的に高純度のPbO、Sc2
3 、Nb25 、TiO2 、PtOを用い、これらを
純度補正した後、スカンジウム・ニオブ酸鉛(PSN)
とチタン酸鉛(PT)とが56:44のモル比で、前記
PT中のTiをPtで一部置換した組成になるようにに
秤量し、これを原料として実施例1と同様なフラックス
法により固溶系単結晶を作製した。ただし、フラックス
として4PbO−1B23 の組成のものを用いた。得
られた単結晶は、大きさが約15mm角の矩形状をなし
ていた。前記単結晶の一部を粉砕し、X線回折を行なっ
て結晶構造を調べたところ、ペロブストカイト構造を有
することが確認された。また、前記粉末をICPにより
化学分析を行ったところ、Pb{[M31/2 Nb
(1/2)1-x-y Tix M2y }O3 (M3;Sc、M
2;Pt、x;0.44、y;0.0003)の組成を
有することが確認された。
【0080】得られた単結晶を用いて実施例1と同様、
電極形成、分極、短冊状の切断を行い静電容量、共振周
波数および反共振周波数を測定して電気機械結合係数お
よび比誘電率を求めた。その結果、電気機械結合係数k
33´は80〜82%、比誘電率εr は1400であるこ
とが確認された。前記k33´ばらつきは少なく2%以下
であった。
【0081】実施例9 まず、出発原料として化学的に高純度のPbO、Sc2
3 、Nb25 、TiO2 、Ta23 、PtOを用
い、これらを純度補正した後、スカンジウム・ニオブ酸
鉛(PSN)とチタン酸鉛(PT)とが56:44のモ
ル比で、前記PSN中のNbをTaで、また前記PT中
のTiをPtでそれぞれ一部置換した組成になるように
に秤量し、これを原料として実施例1と同様なフラック
ス法により固溶系単結晶を作製した。ただし、フラック
スとして4PbO−1B23 の組成のものを用いた。
得られた単結晶は、大きさが約15mm角の矩形状をな
していた。前記単結晶の一部を粉砕し、X線回折を行な
って結晶構造を調べたところ、ペロブストカイト構造を
有することが確認された。また、前記粉末をICPによ
り化学分析を行ったところ、Pb{[M31/2 Nb
(1/2)-(z/2) Taz/21-x-y Tix M2y }O3 (M
3;Sc、M2;Pt、x;0.44、y;0.000
4、z;0.003)の組成を有することが確認され
た。
【0082】得られた単結晶を用いて実施例1と同様、
電極形成、分極、短冊状の切断を行い静電容量、共振周
波数および反共振周波数を測定して電気機械結合係数お
よび比誘電率を求めた。その結果、電気機械結合係数k
33´は84〜85%、比誘電率εr は2000であるこ
とが確認された。前記k33´ばらつきは少なく1%以下
であった。
【0083】なお、実施例8、9において単結晶の成分
であるM2としてPtを用いたが、原料段階でPtO等
の代わりにFe23 、Bi23 、Rh23 、Ir
2をM2成分として用いて単結晶を育成し、この単結
晶を用いて製造された超音波プローブは実施例8、9と
同様な優れた特性を有していた。
【0084】また、実施例8、9において単結晶の成分
であるM3としてScを用いたが、原料段階でSc2
3 等の代わりにIn23 をM3成分として用いて単結
晶を育成し、この単結晶を用いて製造された超音波プロ
ーブは実施例8、9と同様な優れた特性を有していた。
【0085】実施例10 (種結晶の作製)まず、出発原料としてPbO、Zn
O、Nb25 、TiO2 、PtOを用い、これらを純
度補正した後、亜鉛ニオブ酸(PZN)とチタン酸鉛
(PT)とが88:12のモル比、前記PT中のTiを
Ptで一部置換した組成になるように秤量し、さらにフ
ラックスとして同量のPbOを添加した。この粉末に純
水を添加し、ZrO2 ボールが収納されたボールミルで
1時間混合した。得られた混合物の水分を除去した後、
粉砕機で十分に粉砕し、さらにゴム型容器に入れ、2ト
ン/cm2 の圧力でラバープレスを行った。ゴム型から
取り出した固形物600gを直径50mm、容量250
ccの白金製容器に入れ、1250℃の温度まで5時間
で昇温して溶解し、0.8℃/hrの速度で800℃ま
で徐冷した後、室温まで冷却した。その後、前記白金製
容器に20%濃度の硝酸を添加し、8時間煮沸して固溶
系単結晶を取り出した。前記単結晶の一部を粉砕し、X
線回折を行なったところ、良好な結晶構造を有すること
が確認された。また、前記単結晶をラウエカメラを用い
て<001>軸の方位を出し、この軸に垂直にカッタで
切断した。切断後の結晶を白金棒に種結晶として取り付
けた。
【0086】(チタン酸鉛の固溶量分布を有する単結晶
の育成)PbO、ZnO、Nb25 、TiO2 、Pt
Oを純度補正した後、亜鉛ニオブ酸(PZN)とチタン
酸鉛(PT)とが88:12のモル比、前記PT中のT
iをPtで一部置換した組成になるように秤量し、さら
にフラックスをPZN−PT:PbO=25モル%:7
5モル%となるように添加してボールミルで混合した。
得られた混合物の水分を除去した後、粉砕機で十分に粉
砕し、さらにゴム型容器に入れ、2トン/cm2 の圧力
でラバープレスを行った。ゴム型から取り出した固形物
を直径50mm、容量250ccの白金製容器に入れ、
970℃の温度まで昇温して前記固形物を完全に溶解さ
せた。この溶融物に前述した方法で作製した種結晶を浸
漬し、前記種結晶を取り付けた白金棒を60rpmの速
度、0.1mm/hrの引上げ速度で引上げを行うこと
により単結晶の育成を行った。この引上げ工程におい
て、別に準備しておいたPZNの原料粉を引上げ開始と
同時に前記白金容器中に添加し、育成された結晶の長さ
が10mmになるまで続行した。なお、添加量は引上げ
長さが10mmになった時にPZNとPTのモル分率が
91:9になるように決めた。その後、添加物をPTの
原料粉に代えて引上げを続行した。添加量は、引上げ長
さが10mmになった時にPZNとPTのモル分率が8
8:12になるように決めた。このようにして20mm
長さの結晶を育成した。
【0087】次いで、育成された結晶を引上げ方向に沿
ってカッタで切断して厚さが約500μmの結晶片を取
り出した。つづいて、前記結晶片を#2000の研磨材
でその厚さが250μmになるまで研磨した。研磨した
結晶片をアルコールとアセトンで充分に洗浄した後、結
晶片の両面にスパッタ法によりTi/Au電極(厚さ
0.2μm/0.5μm)をそれぞれ形成した。ひきつ
づき、シリコーンオイル中に浸漬して200℃まで温度
を上げた後、1kV/mmの電界を印加しながら40℃
まで冷却した。得られた超音波送受信素子(振動子)を
前記結晶片の引上げ方向と直角方向に幅が約150μm
になるように切断し、PTのモル分率が異なる複数の短
冊状振動子を作製した。
【0088】得られた各短冊状振動子の共振周波数と反
共振周波数を測定して電気機械結合係数k33´を求め
た。図10に振動子の切断前の位置に対する電気機械結
合係数k33´、つまりPTのモル分率に対するk33´を
示す。この図10より、PTのモル分率が9%の時に前
記k33´が最大で、PTのモル分率が増加するに従って
前記k33´が減少することがわかる。
【0089】さらに、前記単結晶片を用いて前述した図
1に示すアレイ形超音波プローブを作製した。すなわ
ち、前記単結晶から厚さが400μmの単結晶片を形成
し、この単結晶片の(001)面にTi/Au導体膜を
スパッタ法により蒸着し、選択エッチング技術により前
記単結晶片の一方の側面に位置する前記導電膜部分およ
び超音波送受信面と反対側の面に位置する前記導電膜の
一部を除去した。つづいて、前記単結晶片の超音波送受
信面となる面に音響マッチング層を形成した後、大部分
が前記単結晶片の超音波送受信面に位置する前記導電膜
にアース電極板を例えば導電ペーストによりそれぞれ接
続し、大部分が前記単結晶片の超音波送受信面と反対側
の面に位置する前記導電膜にフレキシブル印刷配線板を
例えば導電ペーストにより接続した。ひきつづき、これ
らをバッキング材上にエポキシ樹脂で接着した後、ダイ
サにより厚さ50μmのブレードで前記音響マッチング
層から前記単結晶片に亘って200μmピッチで切断し
た。この切断により、前記バッキング材2上に第1、第
2電極4、5を有する互いに分離された圧電素子1と前
記各圧電素子1上にそれぞれ配置された複数の音響マッ
チング層6が形成された。なお、前記圧電素子1はその
スライス方向にPTのモル分率が変化し、中央部におい
てPTのモル分率が最小になっていた。また、前記第1
電極4にはアース電極板8が導電ペーストにより接続さ
れ、前記第2電極5にはフレキシブル印刷配線板9が導
電ペーストにより接続されている。次いで、前記音響マ
ッチング層6に音響レンズ7を形成した。この後、複数
のケーブルを前記フレキシブル印刷配線板9に接続して
アレイ形超音波プローブを製造した。
【0090】前記超音波プローブについてスライス方向
の音場測定を行った。この時、実施例11としてスライ
ス方向のPTのモル分率が一定(12%)な単結晶から
形成された圧電素子を有する超音波プローブについて同
様な音場測定を行った。図11は、実施例10の超音波
プローブの音場測定結果、図12は実施例11の超音波
プローブの音場測定結果である。なお、図11および図
12の音圧は音場方向に対して深さ7mmの垂直方向の
面で測定された値を示す。図11および図12から明ら
かなように実施例11の超音波プローブでは端部がメイ
ン波のピークより音圧が高くなっているのに対し、実施
例10の超音波プローブではメイン波の方が高くなり、
ビーム幅が短く高解像能の音場を発生できることがわか
る。
【0091】なお、前記実施例10では単結晶を引上げ
法より作製したが、チタン酸鉛のモル分率を変化させれ
ば、フラックス法やブリッジマン法等で作製してもよ
い。前記実施例10では、電子走査型の超音波プローブ
について説明したが、シングルプローブ等で構成された
メカニカル走査型超音波プローブにも同様に適用でき
る。このような構造の超音波プローブにおいて、例えば
円形(デッスク状)のプローブの場合はチタン酸鉛のモ
ル分率が中心部の電気機械結合係数が大きくなるような
組成比とし、外周縁に向かうに従って小さくなるような
組成にする。
【0092】実施例12 実施例1と同様な方法により育成したPb[(M11/3
Nb2/31-x-y Tix M2y )]O3 (M1;Zn、
M2;Pt、x;0.09、y;0.0001)の組成
を有する単結晶をラウエカメラを用いて[001]軸の
方位を出し、この軸に垂直にカッタで切断し、さらに鏡
面研磨した後、外形加工を施して厚さ300μmで8m
m角の矩形状単結晶片を作製した。
【0093】次いで、後述するスライス工程におけるス
ライス方向と直交する方向に延びる前記矩形状単結晶片
のエッジをセラミックス用面取り機械を用いて前記単結
晶板1の厚さ(t)の1/20(15μm)を400番
のアルミナ粉で面取り加工して前述した図4に示すよう
に記矩形状単結晶片11に面取り部14を形成した。つ
づいて、前述した図3Aに示すように前記面取り部を有
する矩形状単結晶片11に導電膜をスパッタ法により蒸
着し、選択エッチング技術によりの超音波送受信面およ
び前記送受信面と反対側の面に導電膜をした。ひきつづ
き150〜200℃のシリコーンオイル中で1kV/m
mの電界を前記導電膜間に30分間印加した後、電界を
加えながら40℃まで冷却した。その後、前述した図3
Bに示すように前記単結晶片11の超音波送受信面とな
る面に音響マッチング材料層13を形成し、これらをバ
ッキング材2上に接着した後、ブレードを用いて前記音
響マッチング材料層13から前記単結晶片11に亘って
一点鎖線に示す方向に複数回スライスして、前記バッキ
ング材2上に120μm幅の短冊状振動子を50個作製
した。
【0094】実施例13〜18 実施例12と同様な寸法、組成の単結晶片のエッジをセ
ラミックス用面取り機械を用いて前記単結晶板の厚さの
1/16、1/10、1/8、1/5、1/4および1
/3を400番のアルミナ粉で面取り加工した以外、実
施例12と同様な方法によりそれぞれ50個の短冊状振
動子をバッキング材上に作製した。
【0095】実施例19 実施例12と同様な寸法、組成でエッジを有する単結晶
片を用いた以外、実施例12と同様な方法によりそれぞ
れ50個の短冊状振動子をバッキング材上に作製した。
【0096】比較例2、3 単結晶片の代わりに前記単結晶片と同寸法のPZT系圧
電セラミック板を用い、一つはエッジの面取り加工を施
さず、もう一つはエッジをその厚さ)の1/5を面取り
加工した以外、実施例11と同様な方法によりそれぞれ
50個の短冊状振動子をバッキング材上に作製した。
【0097】得られた実施例12〜19および比較例
2、3の各短冊状振動子を顕微鏡で観察して割れの有無
を確認した。サンプル数は、電極が形成された単結晶板
2枚を対象とすることにより100個とした。また、こ
れら振動子の容量を測定し、平均値からの減少分の最大
値を容量ばらつきとした。短冊状振動子が複数箇所で割
れている場合には、その最大形状の振動子の値を用い
た。さらに、前記短冊状振動子の共振、反共振周波数を
測定して電気機械結合係数k33´を求めた。これらの結
果を下記表1に示す。
【0098】
【表1】
【0099】前記表1から明らかなように実施例12〜
19の振動子は、いずれも比較例2、3の振動子に比べ
てk33´が高いことがわかる。また、実施例12〜18
のようにスライス前に単結晶片のエッジをその厚さ
(t)の1/20〜1/3で面取り加工を行うことによ
り、全く面取り加工を行わない実施例19に比べて圧電
素子の割れを抑制でき、しかも作製された短冊状振動子
の静電容量のばらつきが小さいことがわかる。また、比
較例2、3に示すようにPZT系セラミック板を圧電材
料として用いた場合には、面取り加工の有無に関係なく
割れが発生しないことがわかる。
【0100】実施例20 実施例8と同様な方法により育成したPb{[M31/2
Nb(1/2)1-x-y Tix M2y }O3 (M3;Sc、
M2;Pt、x;0.44、y;0.0003)の組成
を有する単結晶をラウエカメラを用いて[001]軸の
方位を出し、この軸に垂直にカッタで切断し、さらに鏡
面研磨した後、外形加工を施して厚さ300μmで8m
m角の矩形状単結晶片を作製した。
【0101】次いで、後述するスライス工程におけるス
ライス方向と直交する方向に延びる前記矩形状単結晶片
のエッジをセラミックス用面取り機械を用いて前記単結
晶板1の厚さ(t)の1/20(15μm)を400番
のアルミナ粉で面取り加工して前述した図4に示すよう
に記矩形状単結晶片11に面取り部14を形成した。つ
づいて、前述した図3の(A)に示すように前記面取り
部を有する矩形状単結晶片11に導電膜をスパッタ法に
より蒸着し、選択エッチング技術によりの超音波送受信
面および前記送受信面と反対側の面に導電膜をした。ひ
きつづき150〜200℃のシリコーンオイル中で1k
V/mmの電界を前記導電膜間に30分間印加した後、
電界を加えながら40℃まで冷却した。その後、前述し
た図3の(B)に示すように前記単結晶片11の超音波
送受信面となる面に音響マッチング材料層13を形成
し、これらをバッキング材2上に接着した後、ブレード
を用いて前記音響マッチング材料層13から前記単結晶
片11に亘って一点鎖線に示す方向に複数回スライスし
て、前記バッキング材2上に120μm幅の短冊状振動
子を50個作製した。
【0102】実施例21〜26 実施例20と同様な寸法、組成の単結晶片のエッジをセ
ラミックス用面取り機械を用いて前記単結晶板の厚さの
1/16、1/10、1/8、1/5、1/4および1
/3を400番のアルミナ粉で面取り加工した以外、実
施例18と同様な方法によりそれぞれ50個の短冊状振
動子をバッキング材上に作製した。
【0103】実施例27 実施例20と同様な寸法、組成でエッジを有する単結晶
片を用いた以外、実施例20と同様な方法によりそれぞ
れ50個の短冊状振動子をバッキング材上に作製した。
【0104】得られた実施例20〜27の各短冊状振動
子を顕微鏡で観察して割れの有無を確認した。サンプル
数は、電極が形成された単結晶板2枚を対象とすること
により100個とした。また、これら振動子の容量を測
定し、平均値からの減少分の最大値を容量ばらつきとし
た。短冊状振動子が複数箇所で割れている場合には、そ
の最大形状の振動子の値を用いた。さらに、前記短冊状
振動子の共振、反共振周波数を測定して電気機械結合係
数k33´を求めた。これらの結果を下記表2に示す。
【0105】
【表2】
【0106】前記表2から実施例20〜26のようにT
iの一部をPtで置換したPSN−PTからなる単結晶
材料を用い、スライス前に単結晶片のエッジをその厚さ
(t)の1/20〜1/3で面取り加工を行って作製さ
れた短冊状振動子は、全く面取り加工を行わない実施例
27に比べて圧電素子の割れを抑制でき、しかも作製さ
れた短冊状振動子の静電容量のばらつきが小さいことが
わかる。
【0107】実施例28〜30 (種結晶の作製)まず、出発原料としてPbO、Zn
O、Nb25 、TiO2 、PtOを用い、これらを純
度補正した後、亜鉛ニオブ酸(PZN)とチタン酸鉛
(PT)とが88:12のモル比、前記PT中のTiを
Ptで一部置換した組成になるように秤量し、さらにフ
ラックスとして同量のPbOを添加した。この粉末に純
水を添加し、ZrO2 ボールが収納されたボールミルで
1時間混合した。得られた混合物の水分を除去した後、
粉砕機で十分に粉砕し、さらにゴム型容器に入れ、2ト
ン/cm2 の圧力でラバープレスを行った。ゴム型から
取り出した固形物600gを直径50mm、容量250
ccの白金製容器に入れ、1250℃の温度まで5時間
で昇温して溶解し、0.8℃/hrの速度で800℃ま
で徐冷した後、室温まで冷却した。その後、前記白金製
容器に20%濃度の硝酸を添加し、8時間煮沸して固溶
系単結晶を取り出した。前記単結晶の一部を粉砕し、X
線回折を行なったところ、良好なペロブスカイト型結晶
構造を有することが確認された。また、前記単結晶をラ
ウエカメラを用いて<001>軸の方位を出し、この軸
に垂直にカッタで切断した。切断後の結晶を白金棒に種
結晶として取り付けた。
【0108】(単結晶の育成)PbO、ZnO、Nb2
5 、TiO2 、PtOを純度補正した後、亜鉛ニオブ
酸(PZN)とチタン酸鉛(PT)とが91:9のモル
比、前記PT中のTiをPtで一部置換した組成になる
ように秤量し、さらにフラックスをPZN−PT:Pb
O=25モル%:75モル%となるように添加してボー
ルミルで混合した。得られた混合物の水分を除去した
後、粉砕機で十分に粉砕し、さらにゴム型容器に入れ、
2トン/cm2 の圧力でラバープレスを行った。ゴム型
から取り出した固形物を直径50mm、容量250cc
の白金製容器に入れ、970℃の温度まで昇温して前記
固形物を完全に溶解させた。この溶融物に前述した方法
で作製した種結晶を浸漬し、前記種結晶を取り付けた白
金棒を60rpmの速度、0.1mm/hrの引上げ速
度で引上げを行うことにより単結晶の育成を行った。得
られた単結晶は、ICPによる化学分析により、Pb
[(M11/3 Nb2/31-x-y Tix M2y )]O3
(M1;Zn、M2;Pt、x;0.09、y;0.0
001)の組成を有することが確認された。なお、前記
xが0.05<x<0.20の範囲の組成を有する単結
晶は(111)面に劈開面を持つ。
【0109】次いで、育成された単結晶をラウエカメラ
を用いて(100)面、(111)面、(110)面の
各方位を確定し、それぞれの方位面が主面(超音波送受
信面)になるように加工して厚さ0.3mm、長さ20
mm、幅10mmの3種の矩形状単結晶片を作製した。
つづいて、前述した図3の(A)に示すように前記各矩
形状単結晶片11に導電膜をスパッタ法により蒸着し、
選択エッチング技術によりの超音波送受信面および前記
送受信面と反対側の面に導電膜を形成した。ひきつづき
150〜200℃のシリコーンオイル中で1kV/mm
の電界を前記導電膜間に30分間印加した後、電界を加
えながら40℃まで冷却した。その後、前述した図3の
(B)に示すように前記各単結晶片11の超音波送受信
面となる面に音響マッチング材料層13を形成し、これ
らをバッキング材2上に接着した後、厚さ50μmのブ
レードを用いて前記音響マッチング材料層13から前記
単結晶片11に亘って一点鎖線に示す方向に複数回スラ
イスして、前記バッキング材2上に150μm幅の短冊
状振動子をそれぞれ100個作製した。なお、(11
1)面の方位を確定し、その方位面が主面(超音波送受
信面)になるように加工した矩形状単結晶片を前記ブレ
ードでスライスことにより得られた短冊状振動子の圧電
素子は、前述した図6に示すように超音波送受信面3が
劈開面15と平行になる。
【0110】前記一連の振動子の製造工程において、ア
レイ化した振動子の圧電素子にひびまたは割れが発生し
て振動子が不良になった割合(100個を基準)を測定
した。その結果を下記表3に示す。
【0111】
【表3】
【0112】前記表3から明らかなように実施例30の
ように超音波送受信面が劈開面と平行な圧電素子を有す
るアレイ化した振動子、すなわち超音波送受信面が単結
晶の劈開面である(111)面と平行な圧電素子を有す
る振動子は、前記圧電素子のひびの発生がなく、ひび発
生に起因する破損率が零であることがわかる。
【0113】なお、前記実施例では圧電単結晶をフラッ
クス法により作製したが、ブリッジマン法やキロポーラ
ス法(溶融引上げ法)、ゾーンメルティング法、水熱育
成法等にで作製してもよい。
【0114】前記実施例では、電極をスパッタ法により
形成したが、銀焼き付け法や蒸着法を用いてもよい。ま
た、電極材料もNi/Auに代えてCr/Auなどの所
定の導電率と密着強度を有するものであれば制限されな
い。
【0115】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば電
気機械結合係数(k33´)の大きく、かつ短冊状圧電素
子に加工する際もしくは超音波プローブの作製中に脱分
極が起こらず、しかも長期間使用しても経時変化による
性能劣化を防止し得る圧電単結晶を提供できる。
【0116】また、本発明によれば、実質的に一般式
(I) 、(II)からなる単結晶から形成された電気機械結合
係数が大きく、かつ熱影響による脱分極が抑制された圧
電素子を有する超音波送受信素子を備え、従来のPZT
系圧電セラミックから形成された圧電素子を有する超音
波プローブに比べて高感度でかつ高信頼性の超音波プロ
ーブを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる超音波プローブを示す斜視図。
【図2】図1の超音波プローブに組み込まれる短冊状圧
電素子を示す斜視図。
【図3】図1に示す超音波プローブの製造工程を示す斜
視図。
【図4】互いに平行する4つの稜が面取り加工された矩
形状の圧電単結晶を示す斜視図。
【図5】劈開面を有する単結晶からなり、超音波送受信
面が前記劈開面に平行になるように切り出された短冊状
の圧電素子を示す斜視図。
【図6】劈開面を有する単結晶からなる短冊状の圧電素
子の超音波送受信面と前記劈開面との位置関係を示す説
明図。
【図7】劈開面を有する単結晶からなり、超音波送受信
面が前記劈開面に平行になるように切り出された円板状
の圧電素子を示す斜視図。
【図8】本発明に係わる別の超音波プローブを示す斜視
図。
【図9】本発明に係わる圧電単結晶から形成された圧電
素子を有する振動子において、前記圧電単結晶中のPt
量の変化させた時の前記振動子の電気機会結合係数k33
´とばらつきΔk33´との関係を示す特性図。
【図10】本発明の実施例における圧電素子を有する振
動子において、前記圧電素子のチタン酸鉛の濃度変化に
対する前記振動子の電気機械結合係数を示す特性図。
【図11】本発明の実施例10における超音波プローブ
のスライス方向の送信音場を示す特性図。
【図12】本発明の実施例11における超音波プローブ
のスライス方向の送信音場を示す特性図。
【符号の説明】
1、21…圧電素子、4、5、23、24…電極、6、
25…音響マッチング層、8、27…アース電極、9、
28…フレキシブル印刷配線板、11…単結晶片、15
…劈開面。
フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平5−196228 (32)優先日 平成5年8月6日(1993.8.6) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平5−196230 (32)優先日 平成5年8月6日(1993.8.6) (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 小林 剛史 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 山下 洋八 神奈川県川崎市幸区柳町70番地 株式会 社東芝柳町工場内 (72)発明者 嶋貫 専治 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 橋本 新一 栃木県大田原市下石上1385番の1 株式 会社東芝那須工場内 (56)参考文献 特開 昭56−115589(JP,A) 特開 平2−94579(JP,A) 特開 平6−38963(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 41/18

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に下記一般式からなる圧電単結
    晶。 Pb{[M11/3 Nb(2/3)-(2z/3)Ta2z/31-x-y Tix M2y }O3 ただし、M1はZn、NiおよびMgから選ばれる少な
    くとも1つの金属、M2はPt、Fe、Bi、Rhおよ
    びIrから選ばれる少なくとも1つの金属を示し、x、
    yおよびzはそれぞれ0.05≦x≦0.2、0.00
    001≦y≦0.01、0≦z≦0.1として規定され
    る。
  2. 【請求項2】 実質的に下記一般式からなる圧電単結
    晶。 Pb{[M31/2 Nb(1/2)-(z/2) Taz/2 1-x-y Tix M2y }O3 ただし、M2はPt、Fe、Bi、RhおよびIrから
    選ばれる少なくとも1つの金属、M3はScおよびIn
    から選ばれる少なくとも1つの金属を示し、x、yおよ
    びzはそれぞれ0.2≦x≦0.6、0.00001≦
    y≦0.01、0≦z≦0.1として規定される。
  3. 【請求項3】 超音波送受信面を有する圧電素子と、 前記圧電素子の超音波送受信面およびこの面と反対側の
    面にそれぞれ形成された一対の電極とを具備し、 前記圧電素子は、実質的に下記一般式からなる単結晶に
    より形成されることを特徴とする超音波プローブ。 Pb{[M11/3 Nb(2/3)-(2z/3)Ta2z/31-x-y Tix M2y }O3 ただし、M1はZn、NiおよびMgから選ばれる少な
    くとも1つの金属、M2はPt、Fe、Bi、Rhおよ
    びIrから選ばれる少なくとも1つの金属を示し、x、
    yおよびzはそれぞれ0.05≦x≦0.2、0.00
    001≦y≦0.01、0≦z≦0.1として規定され
    る。
  4. 【請求項4】 前記圧電素子は、チタン酸鉛の固溶量が
    前記超音波送受信面の面内の中央部で最も少なく、かつ
    前記面内の両端部に向かって漸次増加されていることを
    特徴とする請求項3記載の超音波プローブ。
  5. 【請求項5】 前記単結晶は、互いに平行する4つのエ
    ッジが面取り加工された矩形状をなし、前記圧電素子は
    前記単結晶を前記面取り部の長手方向に直交するように
    スライスすることにより形成されることを特徴とする請
    求項3記載の 超音波プローブ。
  6. 【請求項6】 前記圧電素子は、劈開面を有する前記単
    結晶から前記超音波送受信面が前記劈開面に対して20
    ゜以下の角度になるように切出すことにより形成される
    ことを特徴とする請求項3記載の超音波プローブ。
  7. 【請求項7】 超音波送受信面を有する圧電素子と、 前記圧電素子の超音波送受信面およびこの面と反対側の
    面にそれぞれ形成された一対の電極とを具備し、 前記圧電素子は、実質的に下記一般式からなる単結晶に
    より形成されることを特徴とする超音波プローブ。 Pb{[M31/2 Nb(1/2)-(z/2) Taz/2 1-x-y Tix M2y }O3 ただし、M2はPt、Fe、Bi、RhおよびIrから
    選ばれる少なくとも1つの金属、M3はScおよびIn
    から選ばれる少なくとも1つの金属を示し、x、yおよ
    びzはそれぞれ0.2≦x≦0.6、0.00001≦
    y≦0.01、0≦z≦0.1として規定される。
  8. 【請求項8】 前記圧電素子は、チタン酸鉛の固溶量が
    前記超音波送受信面の面内の中央部で最も少なく、かつ
    前記面内の両端部に向かって漸次増加されていることを
    特徴とする請求項7記載の超音波プローブ。
  9. 【請求項9】 前記単結晶は、互いに平行する4つのエ
    ッジが面取り加工された矩形状をなし、前記圧電素子は
    前記単結晶を前記面取り部の長手方向に直交するように
    スライスすることにより形成されることを特徴とする請
    求項7記載の超音波プローブ。
  10. 【請求項10】 前記圧電素子は、劈開面を有する前記
    単結晶から前記超音波送受信面が前記劈開面に対して2
    0゜以下の角度になるように切出すことにより形成され
    ることを特徴とする請求項7記載の超音波プローブ。
  11. 【請求項11】 所望方向に配列され、超音波送受信面
    を有する複数の圧電素子と、 前記各圧電素子の超音波送受信面およびこの面と反対側
    の面にそれぞれ形成された一対の電極とを具備し、 前記圧電素子は、実質的に下記一般式からなる単結晶に
    より形成されることを特徴とするアレイ形超音波プロー
    ブ。 Pb{[M11/3 Nb(2/3)-(2z/3)Ta2z/31-x-y Tix M2y }O3 ただし、M1はZn、NiおよびMgから選ばれる少な
    くとも1つの金属、M2はPt、Fe、Bi、Rhおよ
    びIrから選ばれる少なくとも1つの金属を示し、x、
    yおよびzはそれぞれ0.05≦x≦0.2、0.00
    001≦y≦0.01、0≦z≦0.1として規定され
    る。
  12. 【請求項12】 所望方向に配列され、超音波送受信面
    を有する複数の圧電素子と、 前記各圧電素子の超音波送受信面およびこの面と反対側
    の面にそれぞれ形成された一対の電極とを具備し、 前記圧電素子は、実質的に下記一般式からなる単結晶に
    より形成されることを特徴とするアレイ形超音波プロー
    ブ。 Pb{[M31/2 Nb(1/2)-(z/2) Taz/2 1-x-y Tix M2y }O3 ただし、M2はPt、Fe、Bi、RhおよびIrから
    選ばれる少なくとも1つの金属、M3はScおよびIn
    から選ばれる少なくとも1つの金属を示し、x、yおよ
    びzはそれぞれ0.2≦x≦0.6、0.00001≦
    y≦0.01、0≦z≦0.1として規定される。
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