JP2002295488A - 転がり軸受 - Google Patents

転がり軸受

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JP2002295488A JP2001094258A JP2001094258A JP2002295488A JP 2002295488 A JP2002295488 A JP 2002295488A JP 2001094258 A JP2001094258 A JP 2001094258A JP 2001094258 A JP2001094258 A JP 2001094258A JP 2002295488 A JP2002295488 A JP 2002295488A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた導電性を有するとともに、導電性の経
時的な低下が生じにくい転がり軸受を提供する。 【解決手段】 玉軸受21は、外輪22と、内輪23
と、外輪22と内輪23との間に転動自在に配設された
複数の玉24と、複数の玉24を保持する保持器25
と、外輪22のシールみぞ22bに取り付けられた接触
形のシール26,26と、で構成されている。また、外
輪22と内輪23とシール26,26とで囲まれた空間
には、カーボンブラックを5.0wt%含有する導電性
グリース27が充填され、シール26により玉軸受21
内部に密封されている。そして、内輪23の軌道面23
a,外輪22の軌道面22a,及び玉24の転動面24
aに形成された酸化膜の厚さは100nm以下とされて
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた導電性を有
する(内外輪間の抵抗値が低い)とともに、導電性の経
時的な低下が生じにくい転がり軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】一般情報機器、例えば複写機において
は、その可動部分には多数の転がり軸受が使用されてい
る。該転がり軸受の軌道面と転動体との間には回転中は
油膜が形成されていて、前記軌道面と前記転動体とは非
接触となっている。このような転がり軸受においては回
転に伴って静電気が発生するため、その放射ノイズが複
写機の複写画像に歪み等の悪影響を及ぼす等の不都合が
生じる場合がある。
【0003】このような不都合を回避するため、導電性
グリースを転がり軸受に封入することにより内外の軌道
輪及び転動体を導電状態にするとともに、前記内外の軌
道輪のうち一方を接地することにより、静電気を該転が
り軸受から除去するという対策が取られている。このこ
とを図8を参照しながら説明する。
【0004】図8の玉軸受121は、外輪122と、内
輪123と、外輪122と内輪123との間に転動自在
に配設された複数の玉124と、複数の玉124を保持
する保持器125と、外輪122のシールみぞ122b
に取り付けられた接触形のシール126,126と、で
構成されている。また、外輪122と内輪123とシー
ル126,126とで囲まれた空間には導電性グリース
127が充填され、シール126により玉軸受121内
部に密封されている。
【0005】そして、この導電性グリース127によっ
て、前記両輪122,123の軌道面122a,123
aと玉124との接触面が潤滑されるとともに、外輪1
22と内輪123と玉124とが導電状態となってい
る。さらに、外輪122又は内輪123は、この玉軸受
121が使用されている情報機器、例えば複写機等の本
体を通して接地されていて(図示せず)、玉軸受121
の回転により発生する静電気が除去されるようになって
いる。
【0006】導電性グリースとしては、カーボンブラッ
クを増ちょう剤及び導電性付与添加剤として添加したも
のが主流であり(例えば、特公昭63−24038号公
報に記載のもの)、このような導電性グリースは初期に
は優れた導電性を示す。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者らは、上記のような従来の導電性グリースは、その導
電性が経時的に低下して行く場合があることを確認し
た。このような現象の原因としては、従来は以下のよう
なことが考えられていた。すなわち、導電性グリースは
当初は転がり軸受の軌道輪の軌道面と転動体との接触面
に十分に存在していて、その導電性グリース中のカーボ
ンブラックにより、前記軌道輪と前記転動体との間の導
電性が確保されているものの、前記軌道輪と前記転動体
との相対運動により前記導電性グリースが前記接触面か
ら排除されたり、カーボンブラック粒子のチェーンスト
ラクチャーが破壊されたりすることにより、導電性が経
時的に低下して行くと考えられていた。
【0008】また、接触面から排除された導電性グリー
スが再度接触面に入りにくいのは、この種のグリースの
ちょう度が低いことと、導電性付与添加剤が基油に不溶
の微粒子であることによると考えられていた。しかしな
がら、本発明者らが鋭意検討した結果、導電性(抵抗
値)の経時変化は下記のような要因によって生じるもの
と推察するに至った。
【0009】従来のカーボンブラックを含有する導電性
グリースを封入した転がり軸受(内径8mm、外径22
mm、幅7mmの玉軸受)を回転試験(Fr=19.6
N、回転数150rpm、回転時間500時間)に供
し、該回転試験後の転がり軸受の軌道面をオージェ電子
分光分析により調査した。その結果、前記軌道面に酸化
膜が生成していることが認められた。このことから、導
電性の経時変化の原因は導電性グリースの性能劣化では
なく、絶縁性を有する酸化膜が軌道面に形成したことに
よるものであると考えられる。
【0010】すなわち、転動体の表面と軌道面との金属
接触により、軌道面に微小な損傷が生じる。この損傷部
分には新生面が露出するが、この新生面は活性が高いた
め、空気中の酸素等により直ちに酸化され酸化膜が形成
される。この酸化膜が導電性を低下させ、結果として経
時的な抵抗値の上昇が見られることとなる。そこで、本
発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、
導電性の経時的な低下が生じにくい転がり軸受を提供す
ることを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発
明の転がり軸受は、内輪と、外輪と、前記内輪と前記外
輪との間に転動自在に配設された複数の転動体と、を備
える転がり軸受において、前記内輪と前記外輪との間に
形成され前記転動体が内設された空隙部内に、導電性付
与添加剤を0.1〜10wt%含有する導電性グリース
を充填し、前記内輪の軌道面,前記外輪の軌道面,及び
前記転動体の転動面に形成された酸化膜の厚さを100
nm以下としたことを特徴とする。
【0012】このような構成であれば、前記内輪の軌道
面,前記外輪の軌道面,及び前記転動体の転動面に形成
された酸化膜の厚さが小さいので、転がり軸受の導電性
が経時的に低下することを抑制することができる。な
お、前記酸化膜の厚さは、転がり軸受内部に充填される
前記導電性グリースの種類によって影響を受ける傾向が
あるが、その種類は特に限定されるものではない。
【0013】以下に、前記導電性グリースが備える各成
分について説明する。 〔導電性付与添加剤〕導電性グリースに添加される導電
性付与添加剤としては、導電性を備えた粉末が好適に使
用され、その代表例としてはカーボンブラック等があげ
られる。また、カーボンブラックに代わるものとして
は、アセチレンブラックなどの繊維状カーボンを主成分
とする粒子、金,銀,銅,スズ,亜鉛,アルミニウムな
どの金属粒子、酸化銀,硫化ニオブ,硝酸銀などの金属
化合物粒子等があげられる。
【0014】これらの導電性付与添加剤は、導電性の付
与とともに増ちょう剤としても作用するので単独で用い
ることもできるが、グリースにおいて通常使用される増
ちょう剤(リチウム石けん,ウレア化合物等)を、前記
導電性付与添加剤に共存させてもよい。導電性グリース
における前記導電性付与添加剤の含有量は、0.1〜1
0wt%であることが必要である。0.1wt%未満で
あると、導電性グリースの導電性が不足する。また、1
0wt%を超えるとグリースの性能低下(基油と増ちょ
う剤との分離など潤滑不良)が生じるおそれがあり、さ
らに、ちょう度が小さくなり導電性グリースが硬くな
り、軸受などに封入し使用する場合に軸受トルクが大き
くなったりする。導電性グリースに十分な導電性を付与
するためには、前記導電性固体粉末は1wt%以上とす
ることがより好ましく、したがって1〜10wt%であ
ることがより好ましい。
【0015】なお、前記増ちょう剤を添加する場合は、
その含有量は5〜20wt%とすることが好ましい。5
wt%未満であると、軸受中のグリースが漏出しやすく
なり、20wt%を超えるとトルクが大となる。また、
導電性グリースの潤滑性及び流動性から、前記増ちょう
剤と前記導電性付与添加剤との総量は5.1〜20.1
wt%とすることが好ましい。
【0016】〔添加剤〕導電性グリースには、以下のよ
うな各種添加剤を添加してもよい。導電性グリースに添
加される摩耗防止添加剤としては、有機リン系化合物等
があげられる。有機リン系化合物としては、例えば、一
般式(RO)3 POで示される正リン酸エステル(TC
P,TOP等)、一般式(RO)2 P(O)Hで示され
る亜リン酸ジエステルや一般式(RO)3 Pで示される
亜リン酸トリエステルのような亜リン酸エステル等があ
げられる。なお、上記のRはアルキル基,アリール基,
アルキルアリール基を示す。
【0017】また、極圧添加剤としては、Zn−DTP
(ジチオリン酸亜鉛),Mo−DTP(ジチオリン酸モ
リブデン)等のDTP金属化合物、Ni−DTC,Mo
−DTC等のDTC金属化合物、イオウ,リン,塩素等
を含む有機金属化合物などがあげられる。さらに、油性
剤としては、アミン系化合物、オレイン酸,コハク酸エ
ステル等の有機脂肪酸化合物、アルケニルコハク酸無水
物等のカルボン酸無水物などがあげられる。
【0018】これらの中から、亜リン酸エステル,TC
P,TOP,DTP金属化合物,及びDTC金属化合物
の化学構造式を図1に示す。これらの構造式中のR以外
の官能基(図1において破線により囲まれた部分の官能
基)は、軌道面等を構成する金属に対して吸着作用を有
していて、そのため前記化合物が軌道面等に吸着され
る。このことにより潤滑性が高められるので、軌道面等
に金属接触による微小な損傷が生じることが防止され
て、導電性を維持する効果が発揮される。
【0019】なお、図1において破線により囲まれた部
分の官能基以外の官能基で上記の作用を有するものとし
ては、例えば、油性剤であるオレイン酸,コハク酸エス
テル等の有機脂肪酸化合物やアルケニルコハク酸無水物
等のカルボン酸無水物中に含まれる官能基、すなわち、
カルボキシル基,酸無水物基があげられる。前記導電性
グリースにおいては、摩耗防止添加剤,極圧添加剤,及
び油性剤のうち少なくとも1種を0.1〜10wt%含
有することが好ましい。0.1wt%未満であると、導
電性の経時的な低下を抑える効果が不十分となり、ま
た、10wt%を超えて添加すると、軌道面等の金属部
分に腐食等の悪影響を及ぼすおそれがある。なお、導電
性の経時的な低下をより長期間にわたって抑えるために
は、0.5〜7wt%とすることがより好ましい。
【0020】そして、導電性の経時的な低下をさらに長
期間にわたって抑えるためには、摩耗防止添加剤と油性
剤とを併用することが好ましい。例えば、摩耗防止添加
剤として亜リン酸エステル、油性剤としてカルボン酸無
水物を用いた場合は、導電性の経時的な低下を抑える効
果が特に優れている。 〔基油〕導電性グリースに使用される基油としては、鉱
油,ポリ−α−オレフィン油(PAO)等の合成炭化水
素油,エステル油,フッ素油,エーテル油,ポリグリコ
ール油などがあげられ、これらは単独又は2種以上混合
して用いることができる。ただし、エステル油等のよう
な極性の高い基油は、転がり軸受の周辺に使用される場
合がある樹脂やトナーへ悪影響を与えるおそれがあるた
め、不適当である場合がある。
【0021】前記基油は、粘度が大きくなりすぎると導
電性に悪影響を及ぼすので、40℃における動粘度は1
20mm2 /sec以下が好ましい。120mm2 /s
ecを超えると、油膜が比較的厚くなって抵抗値が大き
くなる。ただし、動粘度が5mm2 /sec未満である
と、蒸発損失や潤滑性の問題から適当ではない。すなわ
ち、基油の粘度が低すぎると、例えば軸受の回転中に軌
道面と転動体との金属接触を避けるのに十分な潤滑油膜
の形成が困難となる。なお、前記効果をより良好なもの
とするためには、前記基油の40℃における動粘度は1
5〜60mm2/secであることがより好ましい。
【0022】なお、導電性グリースにおける基油の含有
量は、導電性グリース全量から導電性付与添加剤,摩耗
防止添加剤,極圧添加剤,油性剤,増ちょう剤などを差
し引いた部分が基油となるから、75〜90wt%とす
ることが好ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明に係る転がり軸受の実施の
形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図2は、
本発明に係る転がり軸受の一実施形態である玉軸受の構
造を示す縦断面図である。この玉軸受21は、外輪22
と、内輪23と、外輪22と内輪23との間に転動自在
に配設された複数の玉24と、複数の玉24を保持する
保持器25と、外輪22のシールみぞ22bに取り付け
られた接触形のシール26,26と、で構成されてい
る。また、外輪22と内輪23とシール26,26とで
囲まれた空間には導電性グリース27が充填され、シー
ル26により玉軸受21内部に密封されている。
【0024】そして、この導電性グリース27によっ
て、前記両輪22,23の軌道面22a,23aと玉2
4との接触面が潤滑されるとともに、外輪22と内輪2
3と玉24とが導電状態となっている。さらに、外輪2
2又は内輪23が接地されていて(図示せず)、玉軸受
21の回転により発生する静電気が除去されるようにな
っている。
【0025】導電性グリース27は、基油としてポリ−
α−オレフィン油(40℃における動粘度は30.0m
2 /sec)を使用し、それに増ちょう剤としてリチ
ウム石けんを7wt%、導電性付与添加剤としてカーボ
ンブラックを5.0wt%、摩耗防止添加剤として亜リ
ン酸エステル化合物を5.0wt%、それぞれ添加した
ものである(残部が基油)。
【0026】このような玉軸受21は、前記両輪22,
23の軌道面22a,23a及び玉24の転動面24a
の表面に形成されている図示しない酸化膜の厚さが10
0nm以下とされているので、優れた導電性を有する
(前記両輪22,23間の抵抗値が低い)とともに、導
電性の経時的な低下が生じにくい。また、導電性グリー
ス27は、導電性とともに優れた潤滑性を有しているの
で、玉軸受21の軌道面22a,23aと玉24との金
属接触が生じにくく、軌道面22a,23aや転動面2
4aに酸化膜が生成しにくい。その結果、導電性の経時
的な低下が生じにくい。
【0027】また、シール26を導電性ゴムで構成する
等の手法により、シール26にも導電性を保持させれ
ば、導電性の経時的な低下をより抑制することがでる。
よって、このような玉軸受21は、複写機,レーザープ
リンタ等の事務機器の静電気対策として顕著な有効性を
発揮するものである。なお、本実施形態は本発明の一例
を示したものであって、本発明は本実施形態に限定され
るものではない。
【0028】例えば、本実施形態においては、転がり軸
受の例として玉軸受をあげて説明したが、本発明の転が
り軸受は、他の種類の様々な転がり軸受に対して適用す
ることができる。例えば、アンギュラ玉軸受,円筒ころ
軸受,円すいころ軸受,針状ころ軸受,自動調心ころ軸
受等のラジアル形の転がり軸受や、スラスト玉軸受,ス
ラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受である。
【0029】また、本発明は、転がり軸受に限らず、ボ
ールねじ,リニアガイド,直動ベアリング等のような相
対運動する部材を備えた転動装置に適用することも可能
である。次に、上記の玉軸受21とほぼ同様な数種の玉
軸受について、回転中の内外輪間の抵抗値を測定して、
導電性が経時変化する程度を評価した結果について説明
する。
【0030】まず、抵抗値を測定する装置について、図
3の概略構成図を参照しながら説明する。図3中、符号
1は測定対象の玉軸受を表し、その内輪1aに取付けら
れた軸部材2をモータ3によって回転駆動することによ
って、軸受1を回転するように構成されている。そし
て、内輪1aと一体となっている軸部材2と外輪1bと
の間に、定電圧電源4によって所定の定電圧が印加され
るとともに、当該定電圧電源4と並列に抵抗測定装置5
が接続されている。
【0031】抵抗測定装置5は、測定した電圧値(アナ
ログ値)をA/D変換回路6に出力する。A/D変換回
路6は、予め設定されたサンプリング周期でデジタル値
に変換し、当該変換したデジタル信号を演算処理装置7
に出力する。本実施形態では、サンプリング周期として
50kHz(サンプリング時間間隔=0.02ms)に
設定してある。
【0032】演算処理装置7は、最大抵抗値演算部7A
と、閾値処理部7Bと、波数カウント部7Cとを備え
る。最大抵抗値演算部7Aは、入力したデジタル信号に
基づき最大抵抗値を演算する。閾値処理部7Bは、入力
したデジタル信号について所定閾値で閾値処理を行い雑
音を除去する。波数カウント部7Cは、閾値処理部7B
からのパルスカウントについて、経時的なパルス値の増
減変化によって、所定時間単位毎の変動回数つまり波山
の波数をカウントし、その単位時間当たりの波数の平均
値を求める。また演算処理装置7は、求めた最大抵抗値
及び単位時間当たりの波数の平均値を表示装置8に出力
する。
【0033】本実施形態では、上記波数をカウントする
単位時間を0.328秒に設定してある。表示装置8は
ディスプレイなどから構成され、演算処理装置7が求め
た最大抵抗値及び単位時間当たりの波数の平均値を表示
する。次に、上記構成の装置を使用した、玉軸受1の抵
抗値評価の方法について説明する。
【0034】モータ3を駆動して軸部材2つまり内輪1
aを所定回転速度で回転させた状態で、定電圧電源4か
ら軸受1の内外輪1a,1b間に所定の定電圧を印加す
る。このとき、内外輪1a,1b間に電流が流れるが、
スパーク等によって電圧が変動する。その電圧が抵抗測
定装置5で測定され、続いてA/D変換回路6によって
デジタル値に変換され、そのデジタル信号に基づいて、
演算処理装置7が、最大抵抗値及び所定単位時間当たり
の波数を求め、その値が表示装置8に表示される。
【0035】封入するグリースの種類を変えた4種類の
軸受(実施例1,2及び比較例1,2)を用意し、上記
構成の装置を使用して、各軸受について、回転中の内外
輪1a,1b間の抵抗値(最大値)を100時間毎に測
定した。ここで、4種類の軸受は共に内径8mm、外径
22mm、幅7mmの玉軸受である。また、4種類のグ
リースの構成と物性(混和ちょう度及び体積抵抗率)は
表1に示す通りであり、玉軸受への封入量は155〜1
65mgである。
【0036】
【表1】
【0037】測定条件を以下に示す。 軸部材2の回転数:150rpm 軸受1に与えるラジアル荷重(Fr):19.6N 回転時間 :500時間 印可電圧 :6.2V 最大電流 :100μA 雰囲気温度:25℃ 雰囲気湿度:50%RH そして、サンプリング周期は50kHz、0.328秒
で行った。
【0038】次に、結果を図4のグラフに示して、その
内容を考察する。なお、図4のグラフにおいては、実施
例1の結果を菱形印(◆)、実施例2の結果を三角印
(▲)、比較例1の結果を四角印(■)、比較例2の結
果をバツ印(×)で示した。実施例1及び実施例2はカ
ーボンブラックを含有する導電性グリースを備えた軸受
であるが、図4に示したように、これらは初期の抵抗値
が低い。これは、カーボンブラックを含有することによ
り、グリースの体積抵抗率が小さくなったことによる
(表1参照)。しかし、カーボンブラックは含有するが
摩耗防止添加剤は含有しない導電性グリースを備えた軸
受である実施例2は、経時的な抵抗値の上昇が若干見ら
れた。
【0039】また、カーボンブラックを含有しないグリ
ースを使用した比較例1及び比較例2の場合は、初期か
ら抵抗値が大きい。このような軸受は、放射ノイズを誘
導し、複写機やプリンタ等に使用された場合に、複写画
像や印刷画像等の画像系に歪み等の悪影響を及ぼすおそ
れがある。なお、実施例1の軸受のグリースにおいて
は、カーボンブラックの含有量は5wt%で、増ちょう
剤の含有量は7wt%であり、その総量は12wt%で
ある。このグリースと同程度の混和ちょう度及び潤滑性
が得られる含有量の組合せとしては、カーボンブラック
及び増ちょう剤を、1wt%及び11wt%とする場
合、3wt%及び9wt%とする場合、7wt%及び3
wt%とする場合(2wt%分は基油を多くする)が、
それぞれ考えられる。
【0040】次に、実施例1の軸受において、摩耗防止
添加剤の添加量と、軌道面の酸化膜の厚さ及び玉軸受の
抵抗値との関係について検討した結果を、図5のグラフ
を参照しながら説明する。なお、グラフの横軸は摩耗防
止添加剤の添加量を示し、右側の縦軸は酸化膜の厚さ
を、左側の縦軸は軸受抵抗の最大値(回転500時間後
の値)を示す。また、このグラフにおいては、酸化膜の
厚さに関するデータを■印で示し、抵抗値に関するデー
タを◆印で示している。
【0041】この酸化膜の厚さは、オージェ電子分光分
析装置を用いて測定した。すなわち、試料表面に電子線
を照射して、該試料表面から放出されるオージェ電子の
エネルギー解析を行うことによって、該試料表面の元素
分析(定性的分析及び定量的分析)を行うものである。
そして、アルゴンイオン(Ar+ )で該試料表面をスパ
ッタしながら測定を行うことによって、深さ方向につい
ても分析が可能となっている。
【0042】オージェ電子分光分析により得られた測定
チャートの一例を、図6に示す。表面からの深さが0n
mに近い地点、すなわち軌道面の表面付近は、酸素オー
ジェ電子の強度(測定チャートにおいて■印で示したも
の)が強く、鉄オージェ電子の強度(測定チャートにお
いて◆印で示したもの)が小さくなっている。そして、
表面から深くなるにしたがって酸素オージェ電子の強度
が小さくなっている。酸素オージェ電子の強度がバック
グラウンドまで下がった地点(矢印で指し示した点)
が、酸化膜の端部であり、その深さがすなわち酸化膜の
厚さである。図6の例では、酸化膜の厚さは97nmで
ある。
【0043】図5のグラフから、摩耗防止添加剤の添加
量が0.1〜10wt%であると、玉軸受を500時間
運転した後も、酸化膜の厚さが100nm以下となって
いることが分かる。そして、酸化膜の厚さが100nm
以下であると、玉軸受の抵抗値が低くなっていることが
分かる。次に、実施例1の軸受においてカーボンブラッ
クの添加量を変化させたグリースを使用して、抵抗値の
測定を行った結果について、図7を参照しながら説明す
る。なお、図7の抵抗値は初期の値である。
【0044】カーボンブラックは0.1wt%程度の極
少量でも導電性の付与に効果があるため、カーボンブラ
ックの添加量を制限して、増ちょう剤をその分添加すれ
ば、カーボンブラックの分散状態を経時的に良好に保つ
ことができる。ただし、添加量を1wt%以上とすれ
ば、抵抗値を十分に小さくできることがわかる。しか
し、カーボンブラックの添加量が多すぎると、導電性の
元となるカーボンブラックの網目構造が破壊されて早期
に導電性能が変化しやすい。この網目構造の破壊は、グ
リース漏れや油分離を引き起こしやすくするという問題
も引き起こす。また、グリースの適度なちょう度を得る
ためには、カーボンブラックの添加量は10wt%以下
が好ましい。
【0045】すなわち、カーボンブラックの添加量が多
くなると、ちょう度が小さくなり、グリースが硬くな
る。表1のグリースの混和ちょう度が約250であった
のに対し、カーボンブラックを15wt%添加すると混
和ちょう度が200以下となることから、余裕も考慮し
て、カーボンブラックの添加量は10wt%以下が好ま
しい。
【0046】
【発明の効果】以上のように、本発明の転がり軸受は、
優れた導電性を有するとともに、導電性の経時的な低下
が生じにくい。
【図面の簡単な説明】
【図1】各種添加剤の化学構造式を示す図である。
【図2】本発明に係る転がり軸受の一実施形態である玉
軸受の構造を示す部分縦断面図である。
【図3】抵抗値を測定する装置の概略構成図である。
【図4】玉軸受の回転時間と軸受抵抗の最大値との相関
を示すグラフである。
【図5】摩耗防止添加剤の添加量と、酸化膜の厚さ及び
軸受抵抗の最大値との相関を示すグラフである。
【図6】玉軸受の軌道面のオージェ電子分光分析測定チ
ャートである。
【図7】導電性付与添加剤の添加量と軸受抵抗の最大値
との相関を示すグラフである。
【図8】従来の導電性グリースを備えた玉軸受の構造を
示す部分縦断面図である。
【符号の説明】
21 玉軸受 22 外輪 22a 軌道面 23 内輪 23a 軌道面 24 玉 24a 転動面 27 導電性グリース
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16C 33/32 F16C 33/32 33/34 33/34 33/58 33/58 // C10N 10:02 C10N 10:02 30:00 30:00 Z 40:02 40:02 50:10 50:10 (72)発明者 傳寳 功哲 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 Fターム(参考) 3J101 AA01 BA02 BA55 CA40 EA63 EA72 FA11 GA53 4H104 AA04C BA07A BB17B BB31A BH02C EA14C FA01 LA20 PA01 QA18

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内輪と、外輪と、前記内輪と前記外輪と
    の間に転動自在に配設された複数の転動体と、を備える
    転がり軸受において、 前記内輪と前記外輪との間に形成され前記転動体が内設
    された空隙部内に、導電性付与添加剤を0.1〜10w
    t%含有する導電性グリースを充填し、 前記内輪の軌道面,前記外輪の軌道面,及び前記転動体
    の転動面に形成された酸化膜の厚さを100nm以下と
    したことを特徴とする転がり軸受。
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