JP2004292693A - 導電性グリース組成物及び転動装置 - Google Patents

導電性グリース組成物及び転動装置 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた導電性を有するとともに導電性の経時的な低下が生じにくい導電性グリース組成物を提供する。また、電気抵抗値が小さく長期間にわたって帯電しにくい転動装置を提供する
【解決手段】玉軸受10の空隙部16内に、導電性付与添加剤として荷電性ミクロゲルを、基油としてPAOを、増ちょう剤としてリチウム石けんをそれぞれ含有するグリース組成物Gを充填した。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた導電性を有するとともに導電性の経時的な低下が生じにくい導電性グリース組成物に関する。また、本発明は、電気抵抗値が小さく長期間にわたって帯電しにくい(導電性に優れる)転動装置に係り、特に、事務機器(複写機,レーザービームプリンタ等)及び情報機器における回転部分(感光ドラム(定着部),ヒートローラ支持部等)、ハードディスクドライブ(以降はHDDと記す)のスピンドルモータやスイングアーム、その他のモータなどに好適に使用可能な転動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的な事務機器や情報機器、例えば複写機においては、その可動部分には多数の転がり軸受が使用されている。該転がり軸受の内外輪の軌道面と転動体との間には回転中は油膜が形成されていて、前記軌道面と前記転動体とは非接触となっている。このような転がり軸受においては前記回転に伴って静電気が発生するため、その放射ノイズが複写機の複写画像に歪み等の悪影響を及ぼす等の不都合が生じる場合がある。
【0003】
このような不都合が生じることを防止するため、導電性グリース組成物を転がり軸受内部に封入することによって内外の軌道輪及び転動体を導電状態とするとともに、前記内外の軌道輪のうち一方を接地することによって静電気を該転がり軸受から除去するという対策が取られている。このような導電性グリース組成物としては、カーボンブラックを増ちょう剤兼導電性付与添加剤として使用したもの(例えば、特公昭63−24038号公報)や、有機金属化合物である帯電防止剤又は油溶性の界面活性剤を溶解したもの(特開平3−35091号公報)が知られている。
【0004】
また、コンピュータ関連機器のHDDにおいては、その回転部分を支承する転がり軸受が原因で、ハードディスクと情報を読み取るヘッドとの間に静電気が発生すると、ヘッドが読み取り障害を起こす等の不都合が生じる場合がある。そのため、転がり軸受の軌道輪を接地することにより、静電気を該転がり軸受から除去するという対策が取られている。
【0005】
【特許文献1】
特公昭63−24038号公報
【特許文献2】
特開平3−35091号公報
【特許文献3】
特開2002−80879号公報
【特許文献4】
特開2002−250353号公報
【特許文献5】
特開2002−194373号公報
【特許文献6】
特開2002−332490号公報
【特許文献7】
特開平3−126773号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、カーボンブラックを用いた上記従来の導電性グリース組成物は、初期には優れた導電性を示すものの、経時的に導電性が低下して行く場合があるという問題があった。
このような現象が生じる原因は、以下のように考えられている。すなわち、導電性グリース組成物は当初は転がり軸受の軌道輪の軌道面と転動体との接触面に十分に存在していて、その導電性グリース組成物中のカーボンブラックにより、前記軌道輪と前記転動体との間の導電性が確保されているものの、前記軌道輪と前記転動体との相対運動によりカーボンブラックが前記接触面から排除されたり、カーボンブラック粒子のチェーンストラクチャーが破壊されたりすることにより、導電性が経時的に低下していくと考えられている。
【0007】
そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、優れた導電性を有するとともに導電性の経時的な低下が生じにくい導電性グリース組成物を提供することを課題とする。また、電気抵抗値が小さく長期間にわたって帯電しにくい(導電性に優れる)転動装置を提供することを併せて課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る請求項1の導電性グリース組成物は、導電性付与添加剤として荷電性ミクロゲルを含有することを特徴とする。
本発明の導電性グリース組成物は、導電性付与添加剤として荷電性ミクロゲルを含有しているので、優れた導電性を有している。また、潤滑性も優れているので、転動装置に使用した場合には、軌道面と転動体のような相対運動する部材同士の金属接触を防止できる。よって、前記軌道面等に酸化膜が生じにくいので、導電性の経時的な低下が生じにくい。
【0009】
ここで、荷電性ミクロゲルについて説明する。ミクロゲルとは、三次元網目構造を有する分子からなるゲル粒子であり、その大きさは通常0.1〜5μmである。
荷電性ミクロゲルは荷電性を有しているため、電気を通しやすい性質を有している。また、カーボンブラックと比べて粒径が大きく、導電ストラクチャーがゲル粒子同士の絡まり合いによって構成されているので、カーボンブラックのような凝集に依存したチェーンストラクチャーと比べて結びつきが強固である。さらに、ゲルは無機粒子等とは異なり弾性体であり、軌道面と転動体との間に挟まれた場合でも弾性変形するので、転動装置の動作を阻害することがなく、トルク上昇や音響上昇を引き起こしにくいと考えられる。さらに、ゲルは極性物質であるので、カーボンブラックに比べて軌道面に吸着されやすい。このことも導電性の経時的な低下が生じにくい原因の一つであると考えられる。
【0010】
また、本発明に係る請求項2の導電性グリース組成物は、請求項1に記載の導電性グリース組成物において、前記荷電性ミクロゲルは電着性のコア/シェル型超微粒子であることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項3の導電性グリース組成物は、請求項1に記載の導電性グリース組成物において、前記荷電性ミクロゲルはカチオン性ミクロゲルであることを特徴とする。
【0011】
ここで、コア/シェル型超微粒子について説明する。コア/シェル型超微粒子とは、ゲル等の粒子において、核(コア)が外殻(シェル)に覆われた構造を有するものである。そして、コア部分とシェル部分との性質が異なっており、例えば、コア部分が親水性でシェル部分が疎水性であるものや、コア部分がイオン会合体でシェル部分が炭化水素基で覆われた会合体であるもの等がある。
【0012】
電着性のコア/シェル型超微粒子の具体例としては、例えば特開平3−126773号公報に記載のものがあげられる。すなわち、コア成分が加水分解性のアルコキシシラン基及び水酸基を有するスチレン・アクリル系コポリマーで形成され、シェル成分がウレタン結合,アミノ基,及び水酸基を有するスチレン・アクリル系コポリマーで形成されたものであり、アリル基を有する第4級アンモニウム塩系カチオン基を有する反応性乳化剤を用いる2段乳化重合によって製造されるものである。
【0013】
また、カチオン性ミクロゲルの具体例としては、例えばエポキシ化ポリブタジエンをアミノ化した樹脂で形成されたものがあげられる。カチオン性ミクロゲルの平均粒径は0.1〜5μmである。
さらに、本発明に係る請求項4の導電性グリース組成物は、請求項1〜3のいずれかに記載の導電性グリース組成物において、前記荷電性ミクロゲルの含有量は組成物全体の0.1〜10質量%であることを特徴とする。
【0014】
荷電性ミクロゲルの含有量が0.1質量%未満であると、導電性グリース組成物の導電性が不十分となる。一方、10質量%超過であると、導電性グリース組成物の各種性能の低下が生じるおそれがある(潤滑不良や基油と増ちょう剤との分離等)。さらに、混和ちょう度が小さくなり導電性グリース組成物が硬くなって、軸受等に封入して使用した場合にトルクが大きくなるおそれがある。
【0015】
導電性グリース組成物に十分な導電性を付与するためには、荷電性ミクロゲルの含有量を1質量%以上とすることが好ましいので、荷電性ミクロゲルの含有量は組成物全体の1〜10質量%とすることがより好ましい。
さらに、本発明に係る請求項5の導電性グリース組成物は、請求項1〜4のいずれかに記載の導電性グリース組成物において、増ちょう剤を含有しており、その含有量は組成物全体の5〜30質量%であることを特徴とする。
【0016】
増ちょう剤の含有量が5質量%未満であると、グリース状とすることが困難となり、軸受等に封入して使用した場合にグリース組成物が漏出しやすくなる。一方、30質量%超過であると、基油の量が相対的に少なくなるため潤滑性が不十分となるおそれがある。このような問題がより生じにくくするためには、増ちょう剤の含有量は組成物全体の8〜20質量%とすることがより好ましい。
【0017】
増ちょう剤としては、グリース組成物において一般的に使用される増ちょう剤を問題なく使用することができる。例えば、アルミニウム石けん,バリウム石けん,カルシウム石けん,リチウム石けん,ナトリウム石けん等の金属石けん、リチウムコンプレックス石けん,カルシウムコンプレックス石けん,アルミニウムコンプレックス石けん等の金属複合石けん、ジウレア,トリウレア,テトラウレア,ポリウレア等のウレア化合物、シリカゲル,ベントナイト等の無機系化合物、ウレタン化合物、ウレア・ウレタン化合物、テレフタルアミド酸ナトリウム等があげられ、これらは単独又は2種以上を混合して用いることができる。また、後述する基油としてフッ素油を使用する場合には、増ちょう剤としてポリテトラフルオロエチレン等のフッ素化合物を使用できる。
【0018】
これらの増ちょう剤の中では、12−ヒドロキシステアリン酸リチウム,リチウムコンプレックス石けん等のリチウム石けんが好ましく、ステアリン酸リチウム石けんは耐フレッチング性,耐摩耗性の向上を促進する効果がある。
さらに、本発明に係る請求項6の導電性グリース組成物は、請求項1〜5のいずれかに記載の導電性グリース組成物において、極性を有しない合成炭化水素油又は高度精製された鉱油を基油として含有しており、該基油の40℃における動粘度は5〜120mm/sであることを特徴とする。
【0019】
本発明の導電性グリース組成物の基油としては、グリース組成物において一般的に使用される基油を問題なく使用することができるが、合成油,鉱油,動植物油が好ましく、シリコーン油,エステル油,ポリアルキルグリコール油,合成炭化水素油,エーテル油,フッ素油,鉱油が特に好ましい。なお、これらの基油は単独又は2種以上を混合して用いることができる。
【0020】
上記のような基油のうち合成炭化水素油及び鉱油は、分子中に極性基を有していないので樹脂に対してケミカルアタックを起こさない。よって、その少なくとも一部分が樹脂によって構成された転動装置に導電性グリース組成物を充填する場合には、合成炭化水素油や鉱油を基油として用いることが好ましい。また、転動装置の周辺に樹脂製の部材が配されていて、転動装置内の導電性グリース組成物が該樹脂製の部材に接触する可能性があるような場合にも同様である。合成炭化水素油や鉱油を基油として用いれば、導電性グリース組成物によって樹脂が劣化することを防止することができる。
【0021】
また、分子中に極性基を有していない基油に対しては荷電性ミクロゲルが凝集しにくいので、荷電性ミクロゲルがグリース組成物中に一様に分散しやすい。その結果、グリース組成物を転動装置に充填した場合には、該転動装置の音響性能が優れたものとなる。
なお、合成炭化水素油の中ではポリα−オレフィン油(以降はPAOと記す)が最も好ましく、鉱油は高度精製されたものが最も好ましい。このようなポリα−オレフィン油や高度精製された鉱油は、粘度指数が120以上と高いので好ましい。なお、本発明においては、「高度精製された鉱油」とは、ASTM D3238−95に規定されたn−d−M法環分析による芳香族系成分の比率(%C)が1質量%未満で、且つ、パラフィン系成分の比率(%C)が90質量%以上である鉱油を意味する。
【0022】
さらに、基油の粘度が大きすぎると導電性に悪影響を及ぼすので、40℃における動粘度は120mm/s以下が好ましい。120mm/sを超えると、油膜が比較的厚くなって抵抗値が大きくなる。ただし、動粘度が5mm/s未満であると、蒸発損失や潤滑性の問題から適当ではない。
さらに、本発明に係る請求項7の転動装置は、外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配置された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配設された複数の転動体と、を備える転動装置において、前記内方部材と前記外方部材との間に形成され前記転動体が配設された空隙部内に、請求項1〜6のいずれかに記載の導電性グリース組成物を充填したことを特徴とする。
【0023】
このような転動装置は、電気抵抗値が小さく長期間にわたって帯電しにくい(すなわち、導電性に優れている)。よって、事務機器(複写機,レーザービームプリンタ等)及び情報機器における回転部分(感光ドラム(定着部),ヒートローラ支持部等)、HDDのスピンドルモータやスイングアーム、その他のモータなどに好適に使用可能である。
【0024】
また、このような転動装置は、導電性を有しているので静電気が発生しにくい。よって、この転動装置を複写機に使用した場合には、静電気の放射ノイズによって複写画面に歪み等の悪影響が生じることが抑制される。
さらに、本発明に係る請求項8の転動装置は、請求項7に記載の転動装置において、少なくとも一部分が樹脂で構成されていることを特徴とする。
【0025】
分子中に極性基を有していない合成炭化水素油や鉱油を基油として含有する導電性グリース組成物は、樹脂に対してケミカルアタックを起こさないので、少なくとも一部分が樹脂で構成されている転動装置に好適である。すなわち、本発明に係る請求項8の転動装置は、樹脂部分が導電性グリース組成物によって劣化することがほとんどないので長寿命である。
【0026】
なお、本発明は、種々の転動装置に適用することができる。例えば、転がり軸受,ボールねじ,リニアガイド装置,直動ベアリング等である。
本発明における前記内方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合には内輪、同じくボールねじの場合にはねじ軸、同じくリニアガイド装置の場合には案内レール、同じく直動ベアリングの場合には軸をそれぞれ意味する。また、前記外方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合には外輪、同じくボールねじの場合にはナット、同じくリニアガイド装置の場合にはスライダ、同じく直動ベアリングの場合には外筒をそれぞれ意味する。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明に係る導電性グリース組成物及び転動装置の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明に係る転動装置の一実施形態である玉軸受10の構造を示す部分縦断面図である。この玉軸受10(呼び番号608,内径8mm,外径22mm,幅7mm)は、外輪11と、内輪12と、外輪11と内輪12との間に転動自在に配設された複数の玉13と、複数の玉13を保持する保持器14と、外輪11のシールドみぞ11b,11bに取り付けられたシールド15,15と、で構成されている。これらの軸受部品は全て金属製である。
【0028】
また、外輪11と内輪12とシールド15,15とで囲まれた空隙部16内には導電性グリース組成物Gが充填され、シールド15により玉軸受10内部に密封されている。
そして、この導電性グリース組成物Gによって、前記両輪11,12の軌道面11a,12aと玉13との接触面が潤滑されるとともに、外輪11と内輪12と玉13とが導電状態とされている。さらに、外輪11又は内輪12が接地されていて(図示せず)、玉軸受10の回転により発生する静電気が除去されるようになっている。
【0029】
この導電性グリースGは、基油としてPAO(40℃における動粘度は31mm/s)を使用し、それに増ちょう剤としてリチウム石けん(組成物全体の10質量%)と、導電性付与添加剤として荷電性ミクロゲル(組成物全体の5質量%)と、をそれぞれ添加して、混和ちょう度を255としたものである。
そして、この荷電性ミクロゲルは、特開平3−126773号公報に記載の製造方法に基づいて製造したものである。すなわち、90%イソホロジイソシアネート/2−ヒドロキシエチルアクリレート/メチルイソブチルケトキシムブロック体の溶液を調整し、それを基油(PAO)と混合して、133Paの減圧下80℃で撹拌しながら水分を除去した。
【0030】
このような導電性グリース組成物Gは、荷電性ミクロゲルを含有していることから導電性とともに優れた潤滑性を有しているので、玉軸受10の軌道面11a,12aと玉13との金属接触が生じにくく、軌道面11a,12aに酸化膜が生成しにくい。その結果、導電性の経時的な低下が生じにくい。
なお、外輪11及び内輪12は、その一部分が樹脂で構成されているものでもよく、保持器14及びシールド15は樹脂製でもよい。また、シールド15を、導電性を有する弾性ゴムで構成された接触式のシールとしてもよい。そうすれば、シールが導電性を有しており、また、シールのリップ部が内輪12の外周面に摺接するので、外輪11と内輪12との間はシールを介して導電状態となり好ましい。
【0031】
このような玉軸受10は、両輪11,12間の導電性が良好で帯電が生じにくく、且つその状態が長期間にわたって良好に維持される。したがって、玉軸受10が帯電しにくいから、静電気の放射ノイズが生じて玉軸受10が使用されている機器に悪影響を与えるおそれが小さい。よって、複写機,レーザービームプリンタ等の事務機器、ハードディスクドライブ等の情報機器、その他のモータなどに、好適に使用することができる。
【0032】
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
例えば、本実施形態においては転動装置の例として深溝玉軸受をあげて説明したが、本発明は、他の種類の様々な転がり軸受に対して適用することができる。例えば、アンギュラ玉軸受,自動調心玉軸受,円筒ころ軸受,円すいころ軸受,針状ころ軸受,自動調心ころ軸受等のラジアル形の転がり軸受や、スラスト玉軸受,スラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受である。
【0033】
また、本発明は、転がり軸受に限らず、他の種類の様々な転動装置に対して適用することができる。例えば、ボールねじ,リニアガイド装置,直動ベアリング等である。
さらに、本実施形態においては導電性グリース組成物を深溝玉軸受に適用した例を示して説明したが、本発明の導電性グリース組成物は、その用途は特に限定されるものではなく、電気接点用グリース等のように、導電性を要求されるものであれば他の用途にも使用可能である。ただし、2つの物体が転がり運動又は転がり・滑り運動することにより導電性グリース組成物が剪断を受ける状態で使用されるような用途において、前記物体に酸化膜が生成することにより導電性が劣化する場合に最も有効である。
【0034】
さらにまた、基油及び増ちょう剤の種類及び量は前述のものに限定されるものではなく、また、導電性グリース組成物には各種性能をさらに向上させるために、所望により種々の添加剤を混合してもよい。例えば、酸化防止剤,防錆剤,極圧剤,油性向上剤,金属不活性化剤など、グリース組成物に一般的に使用される添加剤を、単独又は2種以上混合して用いることができる。
【0035】
酸化防止剤としては、例えば、アミン系,フェノール系,硫黄系等の酸化防止剤やジチオリン酸亜鉛等があげられる。また、防錆剤としては、例えば、石油スルフォン酸塩,カルシウムスルフォネート,ソルビタンエステル等があげられる。さらに、極圧剤としては、例えば、モリブデン系,リン系等の極圧剤があげられる。さらに、油性向上剤としては、例えば、脂肪酸,動植物油等があげられる。さらに、金属不活性化剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール等があげられる。
【0036】
これら添加剤の添加量は、本発明の目的を損なわない程度であれば特に限定されるものではない。
さらにまた、本発明の導電性グリース組成物の混和ちょう度は前述の数値に限定されるものではないが、180〜330であることが好ましい。なお、ここで言う混和ちょう度とは、日本工業規格のK2220に規定された方法に従って測定した値である。混和ちょう度が180未満であると、導電性グリース組成物が硬すぎるため、該導電性グリース組成物を充填した転動装置のトルク性能が低下する。また、330を超えると、導電性グリース組成物が軟らかすぎるため、転動装置からの導電性グリース組成物の漏れ量が多くなる。
【0037】
次に、前述の玉軸受10とほぼ同様な構成の5種の玉軸受(実施例1〜3及び比較例1,2)について、導電性の評価を行った結果について説明する。各軸受に封入された導電性グリース組成物の組成及び混和ちょう度は、表1に示す通りである。なお、基油の40℃における動粘度は、前述のPAOにモービル・ケミカル・プロダクツ・インターナショナル・インク社製のMobil Pure Syn4,6,8を混合することにより調整した。
【0038】
【表1】
Figure 2004292693
【0039】
導電性の評価を行う玉軸受を、抵抗値を測定する装置に装着した。そして、回転中の内外輪間の電気抵抗値(最大値)を測定した。ここで、抵抗値を測定する装置の構成を、図2の概略構成図を参照しながら説明する。
図2中、符号1は測定対象の玉軸受を表し、その内輪1aに取付けられた軸部材2をモータ3で回転駆動することによって軸受1を回転するように構成されている。そして、内輪1aと一体となっている軸部材2と外輪1bとの間に、定電圧電源4によって所定の定電圧が印加される。
この定電圧電源4と並列に接続されている抵抗測定装置5は、測定した電圧値(アナログ値)をA/D変換回路6に出力する。A/D変換回路6は、予め設定されたサンプリング周期でデジタル値に変換し、当該変換したデジタル信号を演算処理装置7に出力する。本実施形態では、サンプリング周期を50kHz(サンプリング時間間隔=0.02ms)に設定してある。
【0040】
演算処理装置7は、最大抵抗値演算部7Aと、閾値処理部7Bと、波数カウント部7Cとを備える。最大抵抗値演算部7Aは、入力したデジタル信号に基づき最大抵抗値を演算する。閾値処理部7Bは、入力したデジタル信号について所定閾値で閾値処理を行い雑音を除去する。波数カウント部7Cは、閾値処理部7Bからのパルスカウントについて、経時的なパルス値の増減変化によって、所定時間単位毎の変動回数つまり波山の波数をカウントし、その単位時間当たりの波数の平均値を求める。また演算処理装置7は、求めた最大抵抗値及び単位時間当たりの波数の平均値を表示装置8に出力する。本実施形態では、上記波数をカウントする単位時間を0.328秒に設定してある。表示装置8は、ディスプレイなどから構成され、演算処理装置7が求めた最大抵抗値及び単位時間当たりの波数の平均値を表示する。
【0041】
次に、上記構成の装置を使用した、玉軸受1の抵抗値の評価方法について説明する。
モータ3を駆動して軸部材2つまり内輪1aを所定回転速度で回転させた状態で、定電圧電源4から軸受1の内外輪1a,1b間に所定の定電圧を印加する。このとき、内外輪1a,1b間に電流が流れるが、スパーク等によって電圧が変動する。その電圧が抵抗測定装置5で測定され、続いて、A/D変換回路6によってデジタル値に変換され、そのデジタル信号に基づいて、演算処理装置7が最大抵抗値及び所定単位時間当たりの波数を求め、その値が表示装置8に表示される。
【0042】
測定条件を以下に示す。
軸部材2の回転速度:150min−1
軸受1に与えるラジアル荷重(Fr):19.6N
印可電圧 :6.2V
最大電流 :100μA
雰囲気温度 :25℃
雰囲気湿度 :50%RH
回転は1000時間行い、200時間毎に内外輪1a,1b間の電気抵抗値(最大値)の測定を行った。
【0043】
導電性の評価結果(軸受抵抗の最大値)を、図3のグラフにまとめて示す。導電性付与添加剤として荷電性ミクロゲルを使用した実施例1〜3と、導電性付与添加剤としてカーボンブラックを使用した比較例1,2とを比べると、回転初期の軸受抵抗の最大値はほぼ同レベルであった。しかし、グラフから分かるように導電性の経時的な低下の度合いが異なり、1000時間回転後の軸受抵抗の最大値は、実施例1〜3の方が比較例1,2よりも格段に小さく、導電性が優れていた。
【0044】
次に、実施例1の導電性グリース組成物において、荷電性ミクロゲルの含有量を種々変更したものを用意して、前述と同様の方法により導電性を評価した(回転初期の軸受抵抗の最大値を測定した)。その結果を図4のグラフに示す。
このグラフから、導電性グリース組成物全体における荷電性ミクロゲルの含有量が0.1質量%以上であれば導電性が優れており、1質量%以上であれば導電性が特に優れていることが分かる。
【0045】
【発明の効果】
以上のように、本発明の導電性グリース組成物は、電性付与添加剤として荷電性ミクロゲルを含有しているので、優れた導電性を有するとともに導電性の経時的な低下が生じにくい。また、本発明に係る請求項6の導電性グリース組成物は、極性を有しない合成炭化水素油又は高度精製された鉱油を基油として含有しているので、樹脂に対してケミカルアタックを起こさない。
さらに、本発明の転動装置は、電気抵抗値が小さく長期間にわたって帯電しにくい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る転動装置の一実施形態である深溝玉軸受の構造を示す部分縦断面図である。
【図2】軸受の抵抗値を測定する装置の概略構成図である。
【図3】軸受の回転時間と軸受抵抗の最大値との相関を示すグラフである。
【図4】荷電性ミクロゲルの含有量と回転初期の軸受抵抗の最大値との相関を示すグラフである。
【符号の説明】
10 玉軸受
11 外輪
11a 軌道面
12 内輪
12a 軌道面
13 玉
16 空隙部
G 導電性グリース

Claims (8)

  1. 導電性付与添加剤として荷電性ミクロゲルを含有することを特徴とする導電性グリース組成物。
  2. 前記荷電性ミクロゲルは電着性のコア/シェル型超微粒子であることを特徴とする請求項1に記載の導電性グリース組成物。
  3. 前記荷電性ミクロゲルはカチオン性ミクロゲルであることを特徴とする請求項1に記載の導電性グリース組成物。
  4. 前記荷電性ミクロゲルの含有量は組成物全体の0.1〜10質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の導電性グリース組成物。
  5. 増ちょう剤を含有しており、その含有量は組成物全体の5〜30質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の導電性グリース組成物。
  6. 極性を有しない合成炭化水素油又は高度精製された鉱油を基油として含有しており、該基油の40℃における動粘度は5〜120mm/sであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の導電性グリース組成物。
  7. 外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配置された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配設された複数の転動体と、を備える転動装置において、前記内方部材と前記外方部材との間に形成され前記転動体が配設された空隙部内に、請求項1〜6のいずれかに記載の導電性グリース組成物を充填したことを特徴とする転動装置。
  8. 少なくとも一部分が樹脂で構成されていることを特徴とする請求項7に記載の転動装置。
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