JP3915397B2 - 転動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、外方部材と内方部材との間が導電状態となっている転動装置に係り、特に、複写機,レーザービームプリンタ等の事務機器、ハードディスクドライブ(スピンドルモータ,スイングアーム)等の情報機器、その他のモータなどにおいて、好適に使用される転動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般の事務機器や情報機器、例えば複写機においては、その可動部分には多数の転がり軸受が使用されている。該転がり軸受の内外輪の軌道面と転動体との間には回転中は油膜が形成されていて、前記軌道面と前記転動体とは非接触となっている。このような転がり軸受においては前記回転に伴って静電気が発生するため、その放射ノイズが複写機の複写画像に歪み等の悪影響を及ぼす等の不都合が生じる場合がある。
【0003】
このような不都合が生じることを防止するため、導電性グリースを軸受内部に封入することにより、内外の軌道輪及び転動体を導電状態とした転がり軸受(特許第2579798号)や、導電性グリースを軸受内部に封入するとともに、導電性を有するシールを備えることにより、内外の軌道輪間を導電状態とした転がり軸受(実公平8−5370号公報)が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような導電性を有するシールを備えた転がり軸受においては、回転時間が長時間となると導電性グリースから基油がにじみ出て、シールと内輪との摺接部分に油膜が形成されることがある(以降は、このような現象を「油にじみ」と記す)。そうすると、シールと内輪とが非接触状態となるため内外輪間の導電性が阻害されて、内外輪間の電気抵抗値が大きくなる。
【0005】
このように内外輪間の電気抵抗値が大きくなると、転がり軸受の回転に伴って静電気が発生(帯電)するので、前述と同様の不都合、すなわち、静電気の放射ノイズが該転がり軸受の使用されている機器に悪影響を及ぼすおそれがあった。例えば、該機器が複写機であれば、放射ノイズによって複写画像に歪み等が生じる場合があった。
【0006】
そこで、本発明は上記のような従来の転動装置が有する問題点を解決し、外方部材と内方部材との間の導電状態が長期間にわたって良好に維持されて、帯電が生じにくい転動装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る請求項1の転動装置は、外方部材と、内方部材と、前記外方部材と前記内方部材との間に転動自在に配設された複数の転動体と、前記外方部材及び前記内方部材のうち一方に取り付けられ他方に滑り接触するシール部材と、前記外方部材と前記内方部材との間で前記シール部材の内側に配された潤滑剤と、を備えた転動装置において、前記潤滑剤が導電性固体粉末を含有する導電性グリースであり、前記シール部材が導電性を有するとともに、前記シール部材のうち前記外方部材又は前記内方部材と摺接する部分と、前記外方部材又は前記内方部材のうち前記シール部材と摺接する部分と、の少なくとも一方を、芳香族リン酸エステルをジエステル油に1〜20wt%溶解してなる体積抵抗率が1×10 7 Ω・cm以下の導電性潤滑油で覆ったことを特徴とする。
また、本発明に係る請求項2の転動装置は、外方部材と、内方部材と、前記外方部材と前記内方部材との間に転動自在に配設された複数の転動体と、前記外方部材及び前記内方部材のうち一方に取り付けられ他方に滑り接触するシール部材と、前記外方部材と前記内方部材との間で前記シール部材の内側に配された潤滑剤と、を備えた転動装置において、前記潤滑剤が導電性固体粉末を含有する導電性グリースであり、前記シール部材が導電性を有するとともに、前記シール部材のうち前記外方部材又は前記内方部材と摺接する部分と、前記外方部材又は前記内方部材のうち前記シール部材と摺接する部分と、の少なくとも一方を、ポリオキシエチレンアルキルエーテルフォスフェートをジエステル油に1〜20wt%溶解してなる体積抵抗率が1×10 7 Ω・cm以下の導電性潤滑油で覆ったことを特徴とする。
【0008】
このような構成とすれば、前記潤滑剤により油にじみが生じて、前記外方部材又は前記内方部材と前記シール部材との摺接部分に油膜が形成されても、前記導電性潤滑油の作用により、前記外方部材又は前記内方部材と前記シール部材との導電性が維持されるから、前記外方部材と前記内方部材との間の導電状態が長期間にわたって良好に維持されて(前記外方部材と前記内方部材との間の電気抵抗値が、良好な値に安定して維持されて)、帯電が生じにくい。
【0009】
前記導電性潤滑油の体積抵抗率は、1×107 Ω・cm以下である必要がある。1×107 Ω・cm超過であると、前記外方部材と前記内方部材との間の導電状態が低下し(前記外方部材と前記内方部材との間の電気抵抗値が大きくなり)、帯電が生じるおそれがある。
前記導電性潤滑油としては、高い極性を有する化合物,導電性物質等(以降は導電剤と記す)を慣用の潤滑油に溶解又は分散させたものが好適に用いられる。このとき、導電剤の濃度は1〜20wt%とすることが好ましい。1wt%未満であると、導電性潤滑油の体積抵抗率が1×107 Ω・cm超過となる。また、20wt%を超えて使用しても、導電性潤滑油の体積抵抗率をさらに下げる効果が期待できない。
【0010】
高い極性を有する化合物としては、エステル結合,エーテル結合など、分子構造中にヘテロ元素である酸素を有する炭化水素系化合物などがあげられ、具体的には、以下に例示する帯電防止効果を有する界面活性剤が好適である。
すなわち、ソルビタン脂肪酸エステル,グリセリン脂肪酸エステル,ポリグリセリン脂肪酸エステル,ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル,ポリオキシエチレンアルキルアミン脂肪酸アミド等のノニオン系界面活性剤、N−アシルアミノ酸又はその塩,ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩,ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩,アルキルスルホカルボン酸塩,アルキルリン酸又はその塩,ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸又はその塩,芳香族リン酸エステル等のアニオン系界面活性剤、アルキルアンモニウム塩,アルキルベンジルアンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤、酢酸ベタイン,イミダゾリニウムベタイン等の両性界面活性剤である。
【0011】
また、導電性物質としては、電荷移動錯体やイオン導電性物質がある。
電荷移動錯体としては、芳香族化合物,ヘテロ芳香族化合物,アミン類等の電子供与体(ドナー)と、ハロゲン,テトラシアノキノジメタン(TCNQ)等の電子受容体(アクセプタ)とで形成される分子化合物がある。この分子化合物の具体例をドナー/アクセプタの形式で示すと、ビイオラントレン/ヨウ素,ピレン/ヨウ素,ピリダジン/ヨウ素,N−n−ブチルイソキノリニウム/TCNQ,テトラチオフルバレン/TCNQ,N−メチルフェナジン/TCNQ,テトラセレノフルバレン/TCNQ,ヘキサメチレン−テトラセレノフルバレン/TCNQ,オクタデシルピリジン/TCNQ,リチウム/TCNQ,テトラチオフルバレン/2,4,6−トリシアノトリアジン等がある。
【0012】
イオン導電性物質としては、クラウンエーテル,ポリアルキレングリコール等と金属イオンとを組み合わせたものや、比較的低分子量の導電性ポリマーがあげられる。
上記のような導電剤のうちの複数を組み合わせて導電性潤滑油に用いると、導電性潤滑油の効果をさらに高めることができる場合がある。すなわち、帯電防止効果を有する界面活性剤,電荷移動錯体,及びイオン導電性物質のうち2種以上を混合し、導電剤として用いることが好ましい。
【0013】
また、前記外方部材と前記内方部材との間で前記シール部材の内側に配された前記潤滑剤がグリースであって、ジアルキルジフェニルアミンなどの酸化防止剤やトリクレジルフォスフェートなどの極圧剤のような比較的体積抵抗率が低い添加剤を該グリースが含有していた場合には、導電性潤滑油中の導電剤との相乗効果により、前記外方部材と前記内方部材との間の導電性が向上するので、好ましい。
【0014】
導電性潤滑油に使用される潤滑油の種類は特に限定される物ではなく、ポリα−オレフィン系,エステル系,エーテル系,グリコール系,アルコール系,フッ素系等の慣用の潤滑油が例示できる。導電性潤滑油は潤滑性を有しているから、前記外方部材又は前記内方部材と前記シール部材との摺接部分に潤滑性を付与できるので好ましい。ただし、該摺接部分に潤滑性を付与できる範囲であれば、潤滑油に有機溶剤等を混合して用いても差し支えない。
【0015】
また、このような導電性潤滑油で、前記シール部材,前記外方部材,前記内方部材を覆う方法は特に限定されるものではないが、導電性潤滑油を塗布又は噴霧する方法が最も一般的である。
なお、前記外方部材と前記内方部材との間で前記シール部材の内側に配された潤滑剤(又はその基油)をはじく性質を有する撥油剤を、前記外方部材又は前記内方部材と前記シール部材との摺接部分やその近傍に塗布すれば、油にじみが抑制されて、前記外方部材又は前記内方部材と前記シール部材との摺接部分に油膜が形成されにくくなるので好ましい。そうすれば、前記外方部材と前記内方部材との間の導電状態が長期間にわたって良好に維持されて、帯電が生じにくい。
【0016】
この撥油剤は、前記シール部材のうち前記外方部材又は前記内方部材と摺接する部分と、前記外方部材又は前記内方部材のうち前記シール部材と摺接する部分と、の少なくとも一方に塗布すれば、上記の効果が得られるが、前記摺接部分のみならず、その近傍にわたって塗布してもよい。また、この撥油剤は、前記導電性潤滑油に重ねて塗布してもよいし、前記導電性潤滑油を塗布した部分を避けて塗布してもよい。このような撥油剤としては、フッ素系の撥油剤が好ましく使用される。
【0017】
なお、本発明における前記外方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合には外輪、同じくリニアガイド装置の場合にはスライダ、同じくボールねじの場合にはボールねじナットをそれぞれ意味する。また、本発明における前記内方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合には内輪、同じくリニアガイド装置の場合には案内レール、同じくボールねじの場合にはねじ軸をそれぞれ意味する。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明に係る転動装置の実施の形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は本発明に係る転動装置の一実施形態である玉軸受21の構造を示す縦断面図である。この玉軸受21は、外輪22と、内輪23と、外輪22と内輪23との間に転動自在に配設された複数の玉24と、複数の玉24を保持する保持器25と、弾性ゴム26aと金属製の芯金26bとからなる接触形のシール26,26と、から構成されている。
【0019】
このシール26は外輪22のシールみぞ22bに取り付けられていて、そのリップ部26cは内輪23の外周面に滑り接触している。そして、外輪22と内輪23とシール26,26とで囲まれた空間には導電性グリース27が充填され、シール26,26により玉軸受21内部に密封されている。
そして、この導電性グリース27によって、前記両輪22,23の軌道面22a,23aと玉24との接触面が潤滑されるとともに、外輪22と内輪23と玉24とが導電状態となっている。さらに、外輪22又は内輪23が接地されていて(図示せず)、玉軸受21の回転により発生する静電気が除去されるようになっている。
【0020】
この導電性グリース27は、リチウム石けん合成油グリースに、金属粉末や炭素粉末(例えばカーボンブラック)等の導電性固体粉末を添加することにより、導電性を付与した物である。
このような導電性グリース27は、導電性とともに優れた潤滑性を有しているので、玉軸受21の軌道面22a,23aと玉24との金属接触が生じにくく、軌道面22a,23aに酸化膜が生成しにくい。その結果、導電性の経時的な低下が生じにくい。
【0021】
なお、導電性グリース27の代わりに通常の(導電性を有していない)グリースを用いてもよい。また、玉軸受21の潤滑方式は、グリース潤滑ではなく潤滑油による油潤滑でもよい。
また、シール26の弾性ゴム26aは導電性ゴムにより構成されていて、シール26は導電性を有している。そして、シール26のリップ部26cが内輪23の外周面に摺接しているので、外輪22と内輪23との間はシール26を介して導電状態となっている。
【0022】
さらに、リップ部26cのうち内輪23の外周面と摺接している部分と、内輪23の外周面のうちリップ部26cと摺接している部分との少なくとも一方には、アニオン系界面活性剤である芳香族リン酸エステル(導電剤アニオン系界面活性剤)をジエステル油(潤滑油)に溶解してなる導電性潤滑油(芳香族リン酸エステルの濃度は5wt%)が塗布されている。この導電性潤滑油の体積抵抗率は、1×107 Ω・cm以下と小さい値である。
【0023】
シール26と内輪23との摺接部分に体積抵抗率の小さい導電性潤滑油が存在しているので、導電性グリース27により油にじみが生じて、シール26のリップ部26cと内輪23の外周面との間に油膜が形成されたとしても、シール26と内輪23との導電性が維持される。よって、外輪22と内輪23との間の導電状態が長期間にわたって良好に維持されて(外輪22と内輪23との間の電気抵抗値が、良好な値に安定して維持されて)、帯電が生じにくい。
【0024】
なお、導電性潤滑油は、少なくとも前述の箇所に塗布してあれば十分な効果が得られるが、その箇所の近傍にまで塗布しても差し支えない。例えば、シール26の表面全体に塗布してもよい。
さらに、シール26及び内輪23には撥油剤が塗布されている。この撥油剤は、導電性グリース27の基油をはじく性質を有しているので、油にじみが抑制されて、シール26と内輪23との摺接部分に油膜が形成されにくくなっている。よって、外輪22と内輪23との間の導電状態がより長期間にわたって良好に維持されて、帯電が生じにくくなっている。
【0025】
この撥油剤は、シール26のうち内輪23の外周面と摺接する部分及びその近傍と、内輪23の外周面のうちシール26と摺接する部分及びその近傍と、に塗布してあれば十分であるが、シール26の表面全体に塗布してもよい。
このような玉軸受21は、両輪22,23間の導電性が良好で帯電が生じにくく、且つその状態が長期間にわたって良好に維持されるから、帯電した静電気の放射ノイズが生じて、玉軸受21が使用されている機器に悪影響を与えるおそれが小さい。よって、複写機,レーザービームプリンタ等の事務機器、ハードディスクドライブ等の情報機器、その他のモータなどに、好適に使用することができる。
【0026】
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
例えば、導電性潤滑油の種類は上記の例に限定されるものではなく、導電性潤滑油に使用される導電剤及び潤滑油の種類は、課題を解決するための手段の項に前記したものであれば、何ら問題ない。
【0027】
また、本実施形態においては、玉軸受は内輪回転形式であったが、外輪回転形式でもよい。
さらに、本実施形態においては、転動装置として玉軸受を例示して説明したが、本発明の転動装置は、他の種類の様々な転動装置に対して適用することができる。例えば、玉軸受以外の種々の転がり軸受,ボールねじ,リニアガイド装置,直動ベアリング等の転動装置にも好適に適用可能である。
【0028】
次に、上記の玉軸受21とほぼ同様な構成の数種の玉軸受について、回転中の内外輪間の電気抵抗値を測定して、導電性が経時変化する程度を評価した結果について説明する。
まず、抵抗値を測定する装置について、図2の概略構成図を参照しながら説明する。
【0029】
図2中、符号1は測定対象の玉軸受を表し、その内輪1aに取付けられた軸部材2をモータ3によって回転駆動することによって、軸受1を回転するように構成されている。そして、内輪1aと一体となっている軸部材2と外輪1bとの間に、定電圧電源4によって、所定の定電圧が印加されるとともに、当該定電圧電源4と並列に抵抗測定装置5が接続されている。
【0030】
抵抗測定装置5は、測定した電圧値(アナログ値)を、A/D変換回路6に出力する。A/D変換回路6は、予め設定されたサンプリング周期でデジタル値に変換し、当該変換したデジタル信号を演算処理装置7に出力する。本実施形態では、サンプリング周期を50kHz(サンプリング時間間隔=0.02ms)に設定してある。
【0031】
演算処理装置7は、最大抵抗値演算部7Aと、閾値処理部7Bと、波数カウント部7Cとを備える。最大抵抗値演算部7Aは、入力したデジタル信号に基づき最大抵抗値を演算する。閾値処理部7Bは、入力したデジタル信号について所定閾値で閾値処理を行い雑音を除去する。波数カウント部7Cは、閾値処理部7Bからのパルスカウントについて、経時的なパルス値の増減変化によって、所定時間単位毎の変動回数つまり波山の波数をカウントし、その単位時間当たりの波数の平均値を求める。また演算処理装置7は、求めた最大抵抗値及び単位時間当たりの波数の平均値を表示装置8に出力する。
【0032】
本実施形態では、上記波数をカウントする単位時間を0.328秒に設定してある。
表示装置8は、ディスプレイなどから構成され、演算処理装置7が求めた最大抵抗値及び単位時間当たりの波数の平均値を表示する。
次に、上記構成の装置を使用して玉軸受1の電気抵抗値を評価する方法について説明する。
【0033】
モータ3を駆動して軸部材2つまり内輪1aを所定回転速度で回転させた状態で、定電圧電源4から軸受1の内外輪1a,1b間に所定の定電圧を印加する。このとき、内外輪1a,1b間に電流が流れるが、スパーク等によって、電圧が変動する。その電圧が抵抗測定装置5で測定され、続いてA/D変換回路6によってデジタル値に変換され、そのデジタル信号に基づいて、演算処理装置7が、最大抵抗値及び所定単位時間当たりの波数を求め、その値が表示装置8に表示される。
【0034】
後述する構成の3種類の軸受(実施例1,2及び比較例1)について、上記構成の装置を使用して、回転中の内外輪1a,1b間の電気抵抗値(最大値)を100時間毎に測定した。
測定結果を図3のグラフに示し、測定条件を以下に示す。
・軸部材2の回転速度:300rpm
・軸受1に与えるラジアル荷重(Fr):9.8N
・回転時間 :600時間
・印可電圧 :6.2V
・最大電流 :100μA
・雰囲気温度:25℃
・雰囲気湿度:50%RH
・サンプリング周期:50kHz、0.328秒
実施例1,2及び比較例1の軸受は、前述の玉軸受21とほぼ同様の構成であるが、実施例1の軸受は、導電性を有するシールと内輪との摺接部分に、導電性潤滑油及び撥油剤を塗布したものである(すなわち、玉軸受21とまったく同様の構成である)。そして、図3のグラフにおいては▲印で示してある。
【0035】
また、実施例2の軸受は、導電性を有するシールと内輪との摺接部分に、導電性潤滑油のみを塗布したもので(撥油剤は塗布していない)、その他の構成は玉軸受21と同様である。そして、グラフにおいては■印で示してある。
さらに、比較例1の軸受は、導電性を有するシールと内輪との摺接部分には、導電性潤滑油及び撥油剤のいずれも塗布していないもので、その他の構成は玉軸受21と同様である。そして、グラフにおいては◆印で示してある。
【0036】
なお、図3のグラフにおける縦軸の抵抗値は、比較例1の軸受の100時間における抵抗値を1としたときの相対値で示している。
また、いずれの軸受も、その寸法は内径8mm,外径22mm,幅7mmで、導電性グリースの封入量は155〜165mgである。
グラフから分かるように、比較例1の軸受は200時間を過ぎると、抵抗値が急激に上昇したのに対し、実施例1,2の軸受は200時間を過ぎても抵抗値が安定しており、導電性潤滑油を塗布した効果が見られた。特に、実施例2の軸受は600時間まで抵抗値が安定しており、撥油剤の塗布が非常に効果的であることが分かった。
【0037】
次に、導電性潤滑油について説明する。まず、導電剤(高い極性を有する化合物や導電性物質)と潤滑油との比率について説明する。
図4は、アニオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンアルキルエーテルフォスフェート(導電剤)とジエステル油(潤滑油)とからなる導電性潤滑油において、ポリオキシエチレンアルキルエーテルフォスフェートの添加量と導電性潤滑油の体積抵抗率との関係を示すグラフ(測定温度は25℃)である。
【0038】
グラフから分かるように、導電剤の添加量が1wt%未満であると、導電性潤滑油の体積抵抗率が1×107 Ω・cm超過となるが、1wt%以上であれば体積抵抗率が1×107 Ω・cm以下という小さな値となる。ただし、20wt%を超えて添加しても、それ以上体積抵抗率を下げる効果は期待できないので、ポリオキシエチレンアルキルエーテルフォスフェートの添加量は、1〜20wt%とすることが好ましい。
【0039】
また、図5は、上記のような導電性潤滑油を用いた軸受(導電性潤滑油以外の構成は、前述の玉軸受21と同様)について、300時間にわたって軸受を回転させた場合の、内外輪間の電気抵抗値の上昇率を評価した結果を示すグラフである(測定の方法及び条件は、前述の図3の場合と同様である)。グラフの横軸は、導電性潤滑油におけるポリオキシエチレンアルキルエーテルフォスフェートの添加量である。そして、グラフの縦軸は、回転100時間から300時間までの間の抵抗値の上昇率である(すなわち、300時間回転時の抵抗値を、100時間回転時の抵抗値を1とした相対値で示したものである)。
【0040】
図5のグラフから、導電性潤滑油の体積抵抗率が1×107 Ω・cm以下の場合(ポリオキシエチレンアルキルエーテルフォスフェート添加量が5wt%及び10wt%のもの)は、軸受の電気抵抗値の経時変化(上昇)を小さく抑えられることが分かる。よって、このことからも、前記添加量は1wt%以上とする必要があると言える。
【0041】
なお、導電剤及び潤滑油の組合せが他の場合であっても、これらの傾向はほぼ同様である。
【0042】
【発明の効果】
以上のように、本発明の転動装置は、外方部材と内方部材との間の導電状態が長期間にわたって良好に維持されて、帯電が生じにくい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の転動装置の一実施形態である玉軸受の構造を示す縦断面図である。
【図2】軸受の電気抵抗値を測定する装置の概略構成図である。
【図3】軸受の回転時間と軸受の電気抵抗値との相関を示すグラフである。
【図4】導電性潤滑油におけるポリオキシエチレンアルキルエーテルフォスフェートの添加量と、導電性潤滑油の体積抵抗率との相関を示すグラフである。
【図5】導電性潤滑油におけるポリオキシエチレンアルキルエーテルフォスフェートの添加量と、軸受の電気抵抗値の上昇率との相関を示すグラフである。
【符号の説明】
21 玉軸受
22 外輪
23 内輪
24 玉
26 シール
26c リップ部
27 導電性グリース
Claims (2)
- 外方部材と、内方部材と、前記外方部材と前記内方部材との間に転動自在に配設された複数の転動体と、前記外方部材及び前記内方部材のうち一方に取り付けられ他方に滑り接触するシール部材と、前記外方部材と前記内方部材との間で前記シール部材の内側に配された潤滑剤と、を備えた転動装置において、
前記潤滑剤が導電性固体粉末を含有する導電性グリースであり、前記シール部材が導電性を有するとともに、
前記シール部材のうち前記外方部材又は前記内方部材と摺接する部分と、前記外方部材又は前記内方部材のうち前記シール部材と摺接する部分と、の少なくとも一方を、芳香族リン酸エステルをジエステル油に1〜20wt%溶解してなる体積抵抗率が1×107 Ω・cm以下の導電性潤滑油で覆ったことを特徴とする転動装置。 - 外方部材と、内方部材と、前記外方部材と前記内方部材との間に転動自在に配設された複数の転動体と、前記外方部材及び前記内方部材のうち一方に取り付けられ他方に滑り接触するシール部材と、前記外方部材と前記内方部材との間で前記シール部材の内側に配された潤滑剤と、を備えた転動装置において、
前記潤滑剤が導電性固体粉末を含有する導電性グリースであり、前記シール部材が導電性を有するとともに、
前記シール部材のうち前記外方部材又は前記内方部材と摺接する部分と、前記外方部材又は前記内方部材のうち前記シール部材と摺接する部分と、の少なくとも一方を、ポリオキシエチレンアルキルエーテルフォスフェートをジエステル油に1〜20wt%溶解してなる体積抵抗率が1×10 7 Ω・cm以下の導電性潤滑油で覆ったことを特徴とする転動装置。
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