JP2002194373A - 導電性グリース - Google Patents

導電性グリース

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JP2002194373A
JP2002194373A JP2000394063A JP2000394063A JP2002194373A JP 2002194373 A JP2002194373 A JP 2002194373A JP 2000394063 A JP2000394063 A JP 2000394063A JP 2000394063 A JP2000394063 A JP 2000394063A JP 2002194373 A JP2002194373 A JP 2002194373A
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grease
conductive grease
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JP2000394063A
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Hirotoshi Miyajima
裕俊 宮島
Koutetsu Denpo
功哲 傳寳
Atsushi Yokouchi
敦 横内
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Original Assignee
NSK Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた導電性を有するとともに、導電性の経
時的な低下が生じにくく、且つ、振動発生の原因となり
にくい導電性グリースを提供する。 【解決手段】 基油と増ちょう剤と導電性付与添加剤と
を備えた導電性グリースにおいて、前記導電性付与添加
剤をキレート化合物とし、その含有量を前記導電性グリ
ース全体の0.1〜15重量%とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた導電性を有
するとともに導電性の経時的な低下が生じにくい導電性
グリースに係り、特に、各種事務機器,ハードディスク
ドライブ(以降はHDDと記す)のスピンドルモータ,
スイングアーム,その他のモータなどに用いられる転が
り軸受に好適に使用される導電性グリースに関する。
【0002】
【従来の技術】一般情報機器、例えば複写機において
は、その可動部分には多数の転がり軸受が使用されてい
る。該転がり軸受の軌道面と転動体との間には回転中は
油膜が形成されていて、前記軌道面と前記転動体とは非
接触となっている。このような転がり軸受においては回
転に伴って静電気が発生するため、その放射ノイズが複
写機の複写画像に歪み等の悪影響を及ぼす等の不都合が
生じる場合がある。
【0003】このような不都合を回避するため、導電性
グリースを転がり軸受に封入することにより内外の軌道
輪及び転動体を導電状態にするとともに、前記内外の軌
道輪のうち一方を接地することにより、静電気を該転が
り軸受から除去するという対策が取られている。このよ
うな導電性グリースとしては、カーボンブラックを増ち
ょう剤及び導電性付与添加剤として添加したもの(例え
ば、特公昭63−24038号公報に記載のもの)や、
有機金属化合物の帯電防止剤又は油溶性の界面活性剤を
溶解してなるもの(特開平3−35091号公報)が知
られている。
【0004】また、コンピュータ関連機器のHDDにお
いては、その回転部分を支承する転がり軸受が原因で、
ハードディスクと情報を読み取るヘッドとの間に静電気
が発生すると、ヘッドが読み取り障害を起こす等の不都
合が生じる場合がある。そのため、転がり軸受の軌道輪
を接地することにより、静電気を該転がり軸受から除去
するという対策が取られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、カーボ
ンブラックを用いた上記従来の導電性グリースは、初期
には優れた導電性を示すものの、経時的に導電性が低下
して行く場合があるという問題があった。このような現
象が生じる原因は、以下のように考えられている。すな
わち、カーボンブラックは基油に不溶の微粒子であるた
め、カーボンブラックの分散状態が経時的に変化しやす
く、カーボンブラックが凝集を起こしやすい。そうする
と、導電性を発現させるカーボンブラックの網目構造が
破壊されて、導電性が低下してしまうのである。
【0006】また、カーボンブラックは、グリースの増
ちょう剤として用いられる通常の有機化合物とは異な
り、軸受に微小ながら振動を生じさせるという問題点を
有しているので、コンピュータ関連機器においては大き
な問題となる。さらに、特開平3−35091号公報に
記載の導電性グリースは、有機金属化合物の帯電防止剤
又は油溶性の界面活性剤を溶解することにより導電性を
高めたグリースである。しかしながら、この帯電防止剤
や界面活性剤の解離定数は極小さいもので、グリース中
に存在するイオン性物質の量は極少量であるので、グリ
ースの導電性は極小さく、十分なものとは言えなかっ
た。
【0007】そこで、本発明は上記のような従来の導電
性グリースが有する問題点を解決し、優れた導電性を有
するとともに、導電性の経時的な低下が生じにくく、且
つ、振動発生の原因となりにくい導電性グリースを提供
することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明は次のような構成からなる。すなわち本発明
の導電性グリースは、基油と増ちょう剤と導電性付与添
加剤とを備えた導電性グリースにおいて、前記導電性付
与添加剤をキレート化合物とし、その含有量を前記導電
性グリース全体の0.1〜15重量%としたことを特徴
とする。
【0009】このような構成であれば、前記キレート化
合物が前記基油に溶解して、グリース中にイオン性物質
が多量に存在することとなるので、前記導電性グリース
の導電性が優れている。また、カーボンブラックの場合
とは異なり導電性付与添加剤が溶解しているので、導電
性の経時的な低下が生じにくく、且つ、振動発生の原因
となりにくい。
【0010】前記キレート化合物としては、クラウンエ
ーテル,ポリオキシエチレン化合物,有機リン酸エステ
ルが好ましい。そして、このようなキレート化合物の含
有量は、導電性をより優れたものとするためには、前記
導電性グリース全体の0.6〜10重量%とすることが
より好ましい。
【0011】また、陰イオン性又は陽イオン性界面活性
剤のような有機金属化合物や、アミン類,アルコール
類,エステル類,エーテル類,カルボン酸類のような分
極率の高い官能基を有する化合物を、添加剤としてさら
に添加すると、導電性グリースの導電性をさらに優れた
ものとすることができる。分極率の高い官能基を有する
化合物は、プロトン等のイオンが付加することによって
容易にイオン性物質となるので、上記のような効果を発
現するものである。
【0012】以下に、本発明の導電性グリースが備える
各成分について説明する。 〔導電性付与添加剤〕回転中の転がり軸受の軌道面と転
動体との間には、グリースにより油膜が形成されてい
て、前記軌道面と前記転動体とは非接触となっている。
油は通常電気を通さないため、この油膜が転がり軸受の
導電性や帯電防止機能を阻害する要因となっている。し
たがって、転がり軸受に優れた導電性を付与するために
は、電荷担体たるイオンを生じさせる電解質をグリース
の基油に溶解させればよい。しかし、有機物である基油
は、通常は非極性であるか極性があっても極微弱である
ため、水のように電解質を溶解することは困難である。
【0013】本発明は、有機物である基油に可溶な電解
質を導電性付与添加剤として用いることにより、上記の
ような問題点を解決したものである。このような電解質
としては、金属イオンに有機化合物(配位子)が多座配
位したキレート化合物が好適である。また、メチルエチ
ルケトン,メチルイソブチルケトン等のような抽出剤
(金属イオンの抽出に使用される試薬)に、金属イオン
を配位させたものも使用可能である。なお、配位させる
金属イオンの種類は特に限定されるものではなく、どの
ような金属イオンでもよいが、カリウムイオンやナトリ
ウムイオンが最もよく使用される。
【0014】キレート化合物は、有機化合物の部分を有
しているため基油に可溶である一方、金属イオンが配位
しているので電解質として作用し、グリースに導電性を
付与するのである。本発明の導電性グリースに特に好適
に使用されるキレート化合物としては、前述したよう
に、クラウンエーテル,ポリオキシエチレン化合物,有
機リン酸エステル等の配位子に金属イオンが配位した化
合物があげられる。これらの配位子は、水層に存在する
金属イオンを有機層に抽出する抽出試薬としても一般的
に知られている。
【0015】ただし、この他のキレート化合物も、導電
性付与添加剤として問題なく使用可能である。配位子と
しては、例えば、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)
等のポリアミノカルボン酸類、クエン酸等のオキシカル
ボン酸類、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、
シュウ酸イオン等があげられる。次に、クラウンエーテ
ル,ポリオキシエチレン化合物,有機リン酸エステルに
ついて、詳細に説明する。
【0016】クラウンエーテルやポリオキシエチレン化
合物のように、分子内にオキシエチレン構造(−CH2
CH2 O−)を含む化合物は、金属と配位しやすい化合
物である。大環状化合物であるクラウンエーテルは、酸
素原子の非共有電子対により環状構造の内側(空孔部
分)が電子で満たされている。つまり、環状構造の内側
は負に分極しているので、この部分に金属の陽イオンが
配位して錯体を形成する。クラウンエーテルは、その分
子形状によって特定の金属イオンと選択的に錯体を形成
する特性を有することが知られている。すなわち、クラ
ウンエーテルの空孔の大きさと取り込まれる金属イオン
の大きさがほぼ一致した場合に、錯体形成能が最大にな
るのである。
【0017】しかし、金属イオンがクラウンエーテルの
空孔よりも大きい場合でも、金属イオン1個に対してク
ラウンエーテル2分子以上が配位することで、錯体を形
成することができる。したがって、本発明においては、
クラウンエーテルの種類や、金属イオンとクラウンエー
テルとの組み合わせは、特に限定されない。なお、クラ
ウンエーテルの種類としては、例えば、15−クラウン
−5や18−クラウン−6があげられる。
【0018】次に、鎖状化合物であるポリオキシエチレ
ン化合物は、分子鎖がらせん構造を取り、そのらせん構
造の中に金属イオンを取り込んで錯体を形成する。錯体
の形成能は一般にクラウンエーテルより低いと言われて
いるが、基油への溶解度が高いので多量に使用すること
ができる。また、有機リン酸エステルは様々な金属イオ
ンとの錯体形成が可能であることが知られているが、そ
の機構は明らかではない。
【0019】本発明の導電性グリースにおける前記キレ
ート化合物の含有量は、前記導電性グリース全体の0.
1〜15重量%とする必要がある。0.1重量%未満で
あると、導電性グリースの導電性が不足する。また、1
5重量%を越えるとグリースの性能低下(基油と増ちょ
う剤との分離など潤滑不良)が生じて、転がり軸受など
に封入して使用した場合に該転がり軸受の寿命が低下す
るおそれがある。このような性質をより好ましいものと
するためには、前記キレート化合物の含有量は0.6〜
10重量%とすることがより好ましい。
【0020】なお、キレート化合物は配位子に金属イオ
ンが配位した化合物であるが、キレート化合物の代わり
に、金属イオンが配位していない配位子を導電性付与添
加剤として用いてもよく、そうして得られたグリースは
上記の導電性グリースと同様の効果を奏する。もちろ
ん、キレート化合物と配位子とを混合して用いてもよ
い。このような金属イオンが配位していない配位子を添
加したグリースが、導電性を有する理由は明らかになっ
てはいないが、増ちょう剤である金属石けんや基油中の
水がイオンの供給源として働き、グリース中では配位子
の一部又は全部がキレート化合物となっているものと推
測される。
【0021】〔その他の添加剤〕本発明の導電性グリー
スに、陰イオン性又は陽イオン性界面活性剤のような有
機金属化合物や、アミン類,アルコール類,エステル
類,エーテル類,カルボン酸類のような分極率の高い官
能基を有する化合物を、添加剤としてさらに添加するこ
とは、以下の理由により好ましい。
【0022】上記化合物のうち少なくとも1種をキレー
ト化合物と共存させると、キレート化合物に配位して錯
イオンを形成するので、キレート化合物をグリースの基
油中により安定に溶解することができる。その結果、導
電性グリースの導電性を、さらに優れたものとすること
ができる。有機金属化合物としては、スルホコハク酸ジ
−2−エチルヘキシルナトリウム,ジノニルナフタレン
スルホン酸バリウム,ジノニルナフタレンスルホン酸カ
ルシウム,ジンクアルキルジチオホスフェート(ZnD
TP),トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホ
スファイト等があげられる。
【0023】有機金属化合物の添加量は特に限定される
ものではないが、導電性グリース全体の0.5〜5重量
%であることが望ましい。また、アミン類としてはオク
タデシルアミン,ジオレイルアミン,ドデシルジメチル
アミン等、アルコール類としてはオレイルアルコール,
ステアリルアルコール等、エステル類としてはソルビタ
ンモノオレート,ステアリルステアレート,ブチルステ
アレート等があげられる。
【0024】なお、本発明の導電性グリースには、通常
のグリースに使用される慣用の添加剤を添加してもよ
い。例えば、摩耗防止添加剤,極圧添加剤,油性剤,酸
化防止剤等があげられる。酸化防止剤としては、フェニ
ル−α−ナフチルアミン,フェノチアジンなどのアミン
類、ジ−t−ブチル−p−クレゾールなどのフェノール
類、ジアルキルジチオリン酸塩類,ジアルキルジチオカ
ルバミン酸塩類等があげられる。
【0025】なお、これらの他の添加剤を添加すると、
導電性付与添加剤との相互作用によって、導電性グリー
スの導電性が向上する場合がある。 〔増ちょう剤〕本発明の導電性グリースには、通常の増
ちょう剤を問題なく使用することができる。例えば、リ
チウム,カルシウム,バリウムなどの石けん類、あるい
はコンプレックス石けん、ポリテトラフルオロエチレ
ン、ウレア化合物等である。
【0026】〔基油〕本発明の導電性グリースに使用さ
れる基油としては、鉱油,ポリ−α−オレフィン油(P
AO)等の合成炭化水素油,エステル油,フッ素油,エ
ーテル油,ポリグリコール油などがあげられ、これらは
単独又は2種以上混合して用いることができる。ただ
し、エステル油は抵抗値が元来低いので、特に好まし
い。
【0027】基油の粘度は特に限定されるものではない
が、40℃における動粘度を15〜120mm2 /se
cとすることが好ましい。15mm2 /sec未満のも
のは、耐熱性の点から一般にグリースの基油として使用
されない。また、120mm 2 /sec超過であると、
油膜が比較的厚くなって抵抗値が100kΩを超え、事
務機用途には適さない場合がある。
【0028】
【発明の実施の形態】本発明に係る導電性グリースの実
施の形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は
本発明に係る導電性グリースを備えた玉軸受21の構造
を示す縦断面図である。この玉軸受21は、外輪22
と、内輪23と、外輪22と内輪23との間に転動自在
に配設された複数の玉24と、複数の玉24を保持する
保持器25と、外輪22のシールみぞ22bに取り付け
られた接触形式のシール26,26と、で構成されてい
る。また、外輪22と内輪23とシール26,26とで
囲まれた空間(軸受内部空間)には導電性グリース27
が充填され、シール26により玉軸受21の内部に密封
されている。
【0029】そして、この導電性グリース27によっ
て、前記両輪22,23の軌道面22a,23aと玉2
4との接触面が潤滑されるとともに、外輪22と内輪2
3と玉24とが導電状態となっている。さらに、外輪2
2又は内輪23が接地されていて(図示せず)、玉軸受
21の回転により発生する静電気が除去されるようにな
っている。
【0030】導電性グリース27は、基油としてエステ
ル油(40℃における動粘度は53mm2 /sec)を
使用し、それに増ちょう剤としてリチウム石けんを15
重量%、導電性付与添加剤としてキレート化合物である
15−クラウン−5を0.6重量%、それぞれ添加した
ものである(残部は基油)。このような導電性グリース
27は、潤滑性とともに優れた導電性を有している。ま
た、導電性付与添加剤が基油に溶解しているので、導電
性の経時的な低下が生じにくく、且つ、カーボンブラッ
クのように振動発生の原因となりにくい。
【0031】また、シール26を導電性ゴムにより構成
する等の手法により、シール26にも導電性を保持させ
れば、導電性の経時的な低下をより抑制することがで
る。よって、このような導電性グリース27は、複写
機,レーザープリンタ等の事務機器や、HDDのスピン
ドルモータ,スイングアーム,その他のモータ等に用い
られる転がり軸受の静電気対策として顕著な有効性を発
揮するものである。
【0032】なお、本実施形態は本発明の一例を示した
ものであって、本発明は本実施形態に限定されるもので
はない。例えば、本実施形態においては導電性グリース
を玉軸受に適用した例を示して説明したが、本発明の導
電性グリースは、その用途は特に限定されるものではな
く、他の種類の転がり軸受,ボールねじ,リニアガイ
ド,直動ベアリング等のような転動装置にも適用可能で
あり、さらに、電気接点用グリース等のように、導電性
を要求されるものであれば他の用途にも使用可能であ
る。
【0033】次に、上記の玉軸受21とほぼ同様な数種
の玉軸受について、回転中の内外輪間の抵抗値を測定し
て、導電性が経時変化する程度を評価した結果について
説明する。まず、抵抗値を測定する装置について、図2
の概略構成図を参照しながら説明する。
【0034】図2中、符号1は、測定対象の玉軸受を表
し、その内輪1aに取付けられた軸部材2をモータ3に
よって回転駆動することによって、軸受1を回転するよ
うに構成されている。そして、内輪1aと一体となって
いる軸部材2と外輪1bとの間に、定電圧電源4によっ
て所定の定電圧が印加されるとともに、当該定電圧電源
4と並列に抵抗測定装置5が接続されている。なお、符
号Rは抵抗を表す。
【0035】抵抗測定装置5は、測定した電圧値(アナ
ログ値)を、A/D変換回路6に出力する。A/D変換
回路6は、予め設定されたサンプリング周期でデジタル
値に変換し、当該変換したデジタル信号を演算処理装置
7に出力する。本実施形態では、サンプリング周期とし
て50kHz(サンプリング時間間隔=0.02ms)
に設定してある。
【0036】演算処理装置7は、最大抵抗値演算部7A
と、閾値処理部7Bと、波数カウント部7Cとを備え
る。最大抵抗値演算部7Aは、入力したデジタル信号に
基づき最大抵抗値を演算する。閾値処理部7Bは、入力
したデジタル信号について所定閾値で閾値処理を行い雑
音を除去する。波数カウント部7Cは、閾値処理部7B
からのパルスカウントについて、経時的なパルス値の増
減変化によって、所定時間単位毎の変動回数つまり波山
の波数をカウントし、その単位時間当たりの波数の平均
値を求める。また演算処理装置7は、求めた最大抵抗値
及び単位時間当たりの波数の平均値を表示装置8に出力
する。
【0037】本実施形態では、上記波数をカウントする
単位時間を0.328秒に設定してある。表示装置8
は、ディスプレイなどから構成され、演算処理装置7が
求めた最大抵抗値及び単位時間当たりの波数の平均値を
表示する。次に、上記構成の装置を使用した玉軸受1の
抵抗値評価の方法について説明する。
【0038】モータ3を駆動して軸部材2つまり内輪1
aを所定回転速度で回転させた状態で、定電圧電源4か
ら軸受1の内外輪1a,1b間に所定の定電圧を印加す
る。このとき、内外輪1a,1b間に電流が流れるが、
スパーク等によって電圧が変動する。その電圧が抵抗測
定装置5で測定され、続いてA/D変換回路6によって
デジタル値に変換され、そのデジタル信号に基づいて、
演算処理装置7が、最大抵抗値、及び所定単位時間当た
りの波数を求め、その値が表示装置8に表示される。
【0039】封入するグリースの種類を変えた6種類の
軸受(実施例1〜4及び比較例1,2)を用意し、上記
構成の装置を使用して、各軸受について、回転中の内外
輪1a,1b間の抵抗値(最大値)を100時間毎に測
定した。ここで、6種類の軸受は共に内径8mm、外径
22mm、幅7mmの玉軸受である。また、6種類のグ
リースの構成は以下に示した通りであり、その封入量は
軸受内部空間の容積の35vol%である。
【0040】実施例1のグリースは、増ちょう剤として
リチウム石けんを15重量%含有し、導電性付与添加剤
として15−クラウン−5を0.6重量%含有するもの
である。また、実施例2のグリースは、実施例1のグリ
ースにスルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルナトリウ
ムを1.2重量%添加したものである。
【0041】さらに、実施例3のグリースは、増ちょう
剤としてリチウム石けんを15重量%含有し、導電性付
与添加剤としてポリオキシエチレンエーテルホスフェー
トを5.0重量%含有し、さらに、スルホコハク酸ジ−
2−エチルヘキシルナトリウムを1.2重量%添加した
ものである。さらに、実施例4のグリースは、増ちょう
剤としてリチウム石けんを15重量%含有し、導電性付
与添加剤として芳香族リン酸エステルを5.0重量%含
有し、さらに、スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシル
ナトリウムを1.2重量%添加したものである。
【0042】次に、比較例1のグリースは、増ちょう剤
としてリチウム石けんを15重量%含有しているのみ
で、導電性付与添加剤は含有していないものである。し
たがって、導電性は有していない。そして、比較例1の
グリースは、増ちょう剤と導電性付与添加剤とを兼ねて
カーボンブラックを15重量%含有するものである。
【0043】なお、これらのグリースにおいては、残部
はすべて基油(エステル油)であり、その40℃におけ
る動粘度は53mm2 /secである。測定条件を以下
に示す。 軸部材2の回転数:400rpm 軸受1に与えるラジアル荷重(Fr):30N 回転時間 :500時間 印可電圧 :6.2V 抵抗R :62kΩ 雰囲気温度:25℃ そして、サンプリング周期は50kHz、0.328秒
で行った。
【0044】次に、結果を図3のグラフに示して、その
内容を検討する。なお、図3のグラフにおいては、実施
例1の結果を四角印(□)、実施例2の結果を白三角印
(△)、実施例3の結果を黒三角印(▲)、実施例4の
結果を丸印(○)、比較例1の結果を菱形印(◆)、比
較例2の結果をバツ印(×)で示した。そして、グラフ
中の各抵抗値は、実施例1の回転0時間における抵抗値
を1とした場合の相対値で示した。
【0045】実施例1,2及び比較例1の結果から、ク
ラウンエーテルを含有することにより、グリースが良好
な導電性を有していることが分かる。そして、スルホコ
ハク酸ジ−2−エチルヘキシルナトリウムのような有機
金属化合物を合わせて含有すると、さらに導電性が良好
となることが分かる。また、実施例3,4に関しても、
実施例2と同程度の優れた導電性が認められる。これら
のグリース(実施例2,3,4)は、キレート化合物と
有機金属化合物とを組み合わせて添加することにより、
グリース中のイオン濃度を増大させたので、導電性が向
上したものである。
【0046】なお、比較例2の結果から、カーボンブラ
ックを増ちょう剤に用いたグリースは、初期には優れた
導電性を示すが、回転時間の増加とともにカーボンブラ
ックの網目構造が破砕されて、抵抗値が徐々に増大する
ことが観察された。それに比べて、実施例1〜4は経時
変化がほとんどなく、長期にわたって良好に使用可能で
あることがわかる。
【0047】次に、キレート化合物の含有量と導電性及
び軸受寿命との相関性を検討した結果について、図4を
参照しながら説明する。実施例2のグリースにおいて、
15−クラウン−5の含有量を種々変化させたものを用
意し、上記の試験(図3の試験)と全く同条件で抵抗値
の測定を行った。抵抗値は、軸受を回転させ始めてから
2時間ほど経過して、抵抗値が変動せず安定したときの
測定値である。また、同試験により、軸受の寿命も同時
に評価した。
【0048】なお、図4のグラフにおいては、抵抗値を
菱形印(◆)、軸受寿命を四角印(□)で示した。そし
て、グラフ中の各抵抗値又は軸受寿命は、クラウンエー
テル(15−クラウン−5)の含有量が0重量%の場合
の抵抗値又は軸受寿命を1とした場合の相対値で示し
た。図4のグラフから分かるように、クラウンエーテル
を僅か0.1重量%含有させると抵抗値は急激に低下し
た。そして、含有量を増加させるに伴い抵抗値が低下し
て、0.6重量%以上では抵抗値は一定となった。
【0049】また、軸受寿命は、クラウンエーテルの含
有量が10%を超えると次第に低下し、15%以上にな
ると急激に低下した。軸受寿命については、クラウンエ
ーテルの代わりにポリオキシエチレンアルキルエーテル
ホスフェートや芳香族リン酸エステルを含有する導電性
グリースを用いて同様の試験を行ったが、ほぼ同様の結
果であった。このことから、キレート化合物の含有量
は、導電性グリース全量に対して0.1〜15重量%と
することが好ましく、0.6〜10重量%することがよ
り好ましい。
【0050】なお、本実施形態においては、導電性付与
添加剤としてキレート化合物の配位子(金属イオンを配
位していない)を添加した導電性グリースについて説明
したが、配位子に金属イオンを配位したキレート化合物
を導電性付与添加剤として添加したものでもよいことは
勿論である。また、導電性付与添加剤としてキレート化
合物を含有することにより優れた導電性を備えた導電性
グリースについて説明したが、同様の考え方を潤滑油に
適用し、導電性付与添加剤としてキレート化合物を潤滑
油に溶解させれば、優れた導電性を備えた導電性潤滑剤
とすることができる。
【0051】
【発明の効果】以上のように、本発明の導電性グリース
は、優れた導電性を有するとともに、導電性の経時的な
低下が生じにくく、且つ、振動発生の原因となりにく
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の導電性グリースを備えた玉軸受の構造
を示す縦断面図である。
【図2】抵抗値を測定する装置の概略構成図である。
【図3】玉軸受の回転時間と抵抗値との相関を示すグラ
フである。
【図4】導電性グリースにおけるクラウンエーテルの含
有量と導電性及び軸受寿命との相関を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
21 玉軸受 22 外輪 23 内輪 24 玉 27 導電性グリース
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10N 40:02 C10N 40:02 50:10 50:10 (72)発明者 横内 敦 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 Fターム(参考) 4H104 BB17B BE13B CD02B DA02A DB04C EA14C EB02 FA01 FA02 LA20 PA01 QA18

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基油と増ちょう剤と導電性付与添加剤と
    を備えた導電性グリースにおいて、前記導電性付与添加
    剤をキレート化合物とし、その含有量を前記導電性グリ
    ース全体の0.1〜15重量%としたことを特徴とする
    導電性グリース。
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