JP2002294887A - 外断熱外壁内の湿気を除去する方法及び外断熱外壁構造体 - Google Patents
外断熱外壁内の湿気を除去する方法及び外断熱外壁構造体Info
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Abstract
風下間の風圧差により通気層内において積極的に気流を
発生させ、外壁内の湿気などの水分を効果的に除去する
方法及びこれを可能にする外断熱外壁構造体を提供する
こと。 【解決手段】 建築物の壁などの外周に外断熱として配
置され、少なくとも外壁板1、通気層2及び断熱材3を
有してなる外壁構造体において、風上側の外壁板1aの
表面に形成された開口11aから進入した風を、風上側
の通気層2aに流通させ、次いで連結管6を通って風下
側の通気層2bに流通させ、更に、風下側の外壁板1b
の表面に形成された開口11bから排出し、該風上及び
風下の両方の通気層2a、2bに風による気流を形成さ
せて外断熱外壁内の湿気を除去する方法。
Description
共同住宅、病院等の建築物の壁、柱、梁などに施工され
る外断熱外壁内の湿気を除去する方法及び外断熱外壁構
造体に関するものである。
ら屋外へ外壁のコンクリートを貫流して透過する。コン
クリートの壁体を貫流する水蒸気量は一般に極少量であ
るが、必ず発生する。特に、常時暖房を実施している寒
冷地では外気の絶対湿度と室内の絶対湿度は10倍以上
の差があり、湿気の流れは一方的である。更に、コンク
リートを通った湿気は断熱材に蓄積される。寒冷地にお
いては、コンクリートの内部、あるいは、断熱材の内部
で露点温度以下の箇所があれば、その部分に結露が発生
する。結露はカビの発生を誘発し外装材を汚損すると共
に、アレルギーの問題を引き起こす。
注目されている。外断熱工法は、住宅、病院等の建築物
の壁などをすっぽり断熱材で外側からくるむため、建物
を長持ちさせる効果がある。このような外断熱工法とし
て、現場の型枠にコンクリートを打ち外断熱外壁構造体
を形成する方法、あるいは予め工場で製造された断熱P
C板を建物の壁等に取り付ける方法などが種々提案され
ている。
壁内の湿気などの水分を除去する方法としては、外壁板
の内側であって、断熱材の外側に空気通気用の通気層を
設置し、該通気層内に日射による外壁の温度上昇に伴う
温度差で発生する上昇流を形成して、湿気を排出させる
方法や、開口部の高度差に伴う風圧差により上昇流を形
成して、湿気を排出させる方法が一般的である。
よる換気方法では、曇天や雨天時には外壁の温度上昇は
期待できない。また、開口部の高度差に伴う風圧差によ
り上昇流を形成する方法は、十分な風を確保するには開
口部を極度に大きくする必要がある。この場合、雨水の
浸入が避けられず、外壁の最も重要な機能である雨水か
ら建築物を保護する性能を阻害するという問題があっ
た。
や雨天時であっても、風上と風下間の風圧差により通気
層内において積極的に通気流を発生させ、外壁内の湿気
を効果的に除去する方法及びこれを可能にする外断熱外
壁構造体を提供することにある。
課題を解決するものであって、建築物の壁などの外周に
外断熱として配置され、少なくとも外壁板、通気層及び
断熱材を有してなる外壁構造体において、風上側の外壁
板に形成された開口から進入した風を、風上側の通気層
に流通させ、次いで連結管を通って風下側の通気層に流
通させ、更に、風下側の外壁板に形成された開口から排
出し、該風上及び風下の両方の通気層に風による通気流
を形成させることを特徴とする外断熱外壁内の湿気を除
去する方法を提供するものである。かかる構成を採るこ
とにより、日射の無い曇天や雨天時であっても、風上と
風下間の風圧差により通気層内において積極的に通気流
を発生させ、外壁内の湿気などの水分を効果的に除去す
ることができる。
外断熱として配置され、少なくとも外壁板、通気層及び
断熱材を有してなる外壁構造体において、互いに対向す
る側面に設置される2つの外壁構造体は、該外壁構造体
のそれぞれの通気層が互いに連結管で連接され、且つ、
外壁板には大気と前記通気層が流通する開口がそれぞれ
形成されていることを特徴とする外断熱外壁構造体を提
供するものである。この外断熱外壁構造体を使用し、建
物の風上側と風下側に風圧差が生じれば、外断熱外壁内
の湿気を有効に除去することができる。
の外板となるプレキャストコンクリート板、通気層、断
熱材及び建物側に位置する内板となるプレキャストコン
クリート板をこの順序で積層してなり、前記外板となる
プレキャストコンクリート板と前記内板となるプレキャ
ストコンクリート板が、結合筋で連結されてなる断熱P
Cコンクリート板であることを特徴とする外断熱外壁構
造体を提供するものである。かかる構成を採ることによ
り、断熱PCコンクリート板においても、前記発明と同
様の効果を奏する。
断熱外壁内の湿気を除去する方法及び外断熱外壁構造体
について、図1〜図4を参照して説明する。図1は建築
物の縦断面を模式的に示した図、図2は戸外の風速と、
通気速度又は風圧差の関係を示す図、図3(A)は平面
視矩形状の建物の風の流れを示す図、図3(B)は平面
視矩形状の建物の風の流れを示す図である。図中、矢印
は風の流れ方向を示す。外断熱外壁構造体10は、建築
物の外周を囲むように施工されるもので、少なくとも外
壁板1a、1b、通気層2a、2b及び断熱材3a、3
bを有してなるものである。また、互いに対向する側面
(図1中、左側と右側)に設置される2つの外壁構造体
10a、10bは、外壁構造体10a、10bを構成す
るそれぞれの通気層2a、2bが互いに連結管6で連接
され、且つ、外壁板1a、1bの表面の上下端部方向に
は大気と通気層2a、2bが流通する開口11a、11
bがそれぞれ形成されてなるものである。
が一定ではなく、また、建物の形状も一定ではない。従
って、本発明において、互いに対向する側面とは、風上
に対して、風下の関係にあるものを言い、例えば、建物
の形状面からは平面視四角形状の建物の場合、互いに平
行で対向する側面であり(図3(A)、三角形状の建物
の場合、一方の側面に対して隣接する他の側面を言う
(図3(B)。また、建物の方角面からは、北側面と南
側面、東側面と西側面の関係を言い、更に、北側面と南
西側面、北側面と南東側面、南西側面と南東側面などの
関係を言う。
井内に敷設され、具体的には、図3(A)に示すよう
に、平面視で矩形状の建物の場合、北側(図中、上側)
に付設された外断熱外壁構造体10aの通気層2aと南
側に付設された外断熱外壁構造体10bの通気層2bを
連接する連結管6aであり、東側に付設された外断熱外
壁構造体10cの通気層2cと西側に付設された外断熱
外壁構造体10dの通気層2dを連接する連結管6bで
ある。また、図3(B)に示すように、平面視で三角形
状の建物の場合、北側に付設された外断熱外壁構造体1
0eの通気層2eと南西側に付設された外断熱外壁構造
体10fの通気層2fを連接する連結管6cであり、北
側に付設された外断熱外壁構造体10eの通気層2eと
南東側に付設された外断熱外壁構造体10gの通気層2
gを連接する連結管6dであり、南西側に付設された外
断熱外壁構造体10fの通気層2fと南東側に付設され
た外断熱外壁構造体10gの通気層2gを連接する連結
管6eである。
がよく、また、雨水の浸入を防ぐものであれば、設置位
置、形状及びその数量等は特に制限されず、例えば、幅
数mmの細長いスリットを多数形成したものなどが挙げら
れる。開口の上に庇を設ければ、雨水の浸入をより防止
でき、また、開口にメッシュ状の金網を設置すれば、異
物などの混入を防止することができる。
ンクリートを打ち込むことで形成された外断熱外壁構造
体、あるいは予め工場で製造された外断熱プレキャスト
コンクリート外壁構造体を挙げることができる。外壁板
には、更に外側にタイル等の外壁仕上げ材が付設されて
いてもよい。
と断熱材3間に形成される通気層2の形状や寸法は、特
に制限されず、使用条件などから適宜決定される。ま
た、通気層2は、通気層2内において、外壁板1と断熱
材3の一部が当接するもの、あるいは図では省略する接
合筋が断熱材3及び通気層2を貫通して外壁板1と内壁
板4を接合する形態のものも含まれる。すなわち、通気
層2内の通気部分の一部を遮断している形態のものも含
まれる。しかしながら、本発明において、通気層2は風
圧差による通気流を有効に利用するため、通気層2内上
下方向において、断熱材3や接合筋などの障害物が多く
存在せず、通気部分が多く存在するものが好ましい。ま
た、外壁板1と断熱材3は完全に離間しているものが好
適である。
ば、断熱PCコンクリート板が使用できる。断熱PCコ
ンクリート板は建物の外板となるプレキャストコンクリ
ート板、通気層、断熱材及び建物側に位置する内板とな
るプレキャストコンクリート板をこの順序で積層してな
り、外板となるプレキャストコンクリート板と内板とな
るプレキャストコンクリート板が、結合筋で連結されて
なるものである。
例えば、断熱PC板の縦方向、且つ斜めに複数配置され
る波形状のラチス筋が使用できる。波形状のラチス筋
は、別名イナズマ筋とも言われ、線材を屈曲させて山部
と谷部を交互に形成したものである。結合筋としては、
この他、山形筋、トラス筋などが使用できる。結合筋の
種類、配筋形態及び配置数等は、使用条件等により適宜
決定される。また、上記接合筋には補強筋などを配筋し
てもよい。断熱材3は公知のものが使用できる。
板中には、メッシュ状の壁筋を埋設することが、強度を
高め、且つ結合筋の固定という点からも好ましい。メッ
シュ状の壁筋はPCコンクリート板の厚みが大きけれ
ば、2枚埋設してもよい。本例の断熱PCコンクリート
板は、例えば、上方が開放された箱状の型枠の底部の所
定の位置に、メッシュ状の壁筋及び結合筋を配筋し、そ
の後、コンクリートの打設を行い外板を形成する第1工
程、第1工程で形成された外板上に、下方には通気層を
形成しつつ、上方には内板のアンカーとなる結合筋の山
部を残して断熱材を敷きつめる第2工程、断熱材の上方
の所定の位置にメッシュ状の内板壁筋を配置し、結合筋
を結束した後、コンクリートの打設を行い、内板を形成
する第3工程を順次行うことで製造される。この製造過
程において、外板PC板の表面部分の所定の位置に予め
風が流通する開口を設けておいてもよい。当該外断熱外
壁構造体は、PC工場あるいは現場サイトで作製され、
外断熱を考慮した共同住宅、病院等の建築物の壁、柱、
梁などの外周に取り付けられる。この時、互いに対向す
る側面に設置される2つの外壁構造体は、該外壁構造体
のそれぞれの通気層が互いに連結管で連接されるように
施工される。
0の外壁内の湿気を除去するには、例えば、風上側の外
壁板1aの表面に形成された開口11aから進入した風
を、風上側の通気層2aに流通させ、次いで連結管6を
通って風下側の通気層2bに流通させ、更に、風下側の
外壁板1bに形成された開口11bから排出し、該風上
及び風下の両方の通気層2a、2bに風圧差による通気
流を形成させる(図1)。この方法は、外断熱外壁構造
体10が付設された建物の風上と風下間に風圧差が生じ
れば、自然に達成できる。この方法によれば、図2に示
すように、戸外の風速が2m/秒の時、風圧差は1.8kg
/m2 で、通気層内の通気速度は0.63m/秒となり、室
内からコンクリート及び断熱材に透湿した湿気を、通気
層に誘引して確実に戸外に排出することができる。
方法によれば、日射の無い曇天や雨天時であっても、風
上と風下間の風圧差により通気層内において積極的に気
流を発生させ、外壁内の湿気などの水分を効果的に除去
することができる。また、本発明の外断熱外壁構造体を
使用すれば、外断熱外壁内の湿気を有効に除去すること
ができる。
は風圧差(kg/m2) との関係を示す図である。
流れを説明する図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 建築物の壁などの外周に外断熱として配
置され、少なくとも外壁板、通気層及び断熱材を有して
なる外壁構造体において、風上側の外壁板に形成された
開口から進入した風を、風上側の通気層に流通させ、次
いで連結管を通って風下側の通気層に流通させ、更に、
風下側の外壁板に形成された開口から排出し、該風上及
び風下の両方の通気層に風による通気流を形成させるこ
とを特徴とする外断熱外壁内の湿気を除去する方法。 - 【請求項2】 建築物の壁などの外周に外断熱として配
置され、少なくとも外壁板、通気層及び断熱材を有して
なる外壁構造体において、互いに対向する側面に設置さ
れる2つの外壁構造体のそれぞれの通気層が互いに連結
管で連接され、且つ、外壁板には大気と前記通気層が流
通する開口がそれぞれ形成されていることを特徴とする
外断熱外壁構造体。 - 【請求項3】 前記外壁構造体が、建物の外板となるプ
レキャストコンクリート板、通気層、断熱材及び建物側
に位置する内板となるプレキャストコンクリート板をこ
の順序で積層してなり、前記外板となるプレキャストコ
ンクリート板と前記内板となるプレキャストコンクリー
ト板が、結合筋で連結されてなる断熱PCコンクリート
板であることを特徴とする請求項2記載の外断熱外壁構
造体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001092758A JP2002294887A (ja) | 2001-03-28 | 2001-03-28 | 外断熱外壁内の湿気を除去する方法及び外断熱外壁構造体 |
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- 2001-03-28 JP JP2001092758A patent/JP2002294887A/ja active Pending
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