JP2018071333A - 住宅の屋根裏換気を行わず、屋根裏断熱を強化。加えて、屋上の積雷も含めて一体的断熱層として、屋根部分の断熱を高めるとともに、屋根裏から屋上に通した塩ビパイプなどにより湿気および暑気を排出する建築工法 - Google Patents
住宅の屋根裏換気を行わず、屋根裏断熱を強化。加えて、屋上の積雷も含めて一体的断熱層として、屋根部分の断熱を高めるとともに、屋根裏から屋上に通した塩ビパイプなどにより湿気および暑気を排出する建築工法 Download PDFInfo
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「屋根裏換気」即ち冷たい外気12を屋根裏に導入することにより、屋根裏と外気の温度を、より近似的にすることで屋根裏結露を防止することとしている。天井裏断熱材グラスウール10の上は、外気と同様な場所として対処してきたのである。積雪13の利用については、何も考えていなかった。
屋根裏換気は、断熱効果を著しく劣化させ、居住空間の室温低下を招いているという現実があるにもかかわらず、屋根裏換気を行わなければ結露が発生するという、技術的問題が周知徹底されていたため、屋根裏を密閉することができなかった。
また夏季も、屋根裏換気を行っているが、換気口として破風板などから外気を取り入れているため、空気の流れは下から上へ、又は、水平方向の移動なので、暑気は屋根の上部に溜まっており下向きには排出することができなかった。これにより居住空間の室温上昇をもたらし、生活環境の悪化を招いていた。
屋根材に使われている、野地板6やその上に貼ってあるスタイロホーム5、防湿幕並びに屋根トタンなどは、一定の断熱効果があるにもかかわらず、断熱層としては利用できなかった。
底に穴の開いたバケツを修理するのに、バケツの側面を強化するようなもので、バケツの側面をどれだけ補強しても、底からの水漏れを防止しない限り、バケは使い物にならない。それと同じように、上部に上がって天井裏から逃げる熱を抑制しない限り、家の断熱効果は断熱材量に比例して高くならないと考えたのである。
それで、屋根裏換気工法を止めて、図2のように、屋根の裏側に断熱材、グラスウール10及びスタイロホーム5を貼りつけ、屋根裏を密閉して空気の流れが起きないような実験住宅を建てた(図2)。屋根裏の壁にも断熱を施した。
結構暖かい家でしたが、一般に、家それぞれの断熱効果は、他の家と比較が難しいので、良い効果が出ていると思って住んでいた。
実験住宅は、真ん中に樋のついた無落雪屋根、即ちM型屋根なので、両端の屋根の高い所に穴をあけて、径75ミリの塩ビパイプ14を差し込んだ。そのパイプの屋根裏上部に当たるところに、径3ミリの穴を300個(図4−19)くらい開けて、屋根上部に溜まった暖かく湿度の高い空気を、少しずつ抜くことにした。設置してからパイプの出口に手をあてると、暖かい空気が出ていた。においを嗅ぐと、ほのかに人間生活の匂いがした。このような状態で30数年が過ぎ去った。屋根は柔らかい所が少し増えたようではあるが、トタンの塗装をして十分な手入れを行っていたので、屋根としての機能を完全に果たしていた。
工務店の勧めがあり、一般に造られている屋根裏換気仕様で改築することとなった。
これらのことから、39年間にわたって行った、屋根裏密閉の実験は「完全に成功」であったことが解った。
今後、屋根裏密閉の家を作ろうとするならば、室内からの湿度の動きも留意する必要がある。
その夜は、断熱材吹き込みが行われていない状態だったため、部屋の温度は昨日と変わらず非常に寒く、一向に温まる気配はなかった。家の中にいても、肌の回りを秋風が通り過ぎていく感じで、温まる感じが無い。
実験住宅はオンドル暖房を採用しており、地下室にオンドルの炉を設置してあるので、地下室はいつも暖かいのであるが、炉のある地下室までもが異常に冷えていたのには驚いた。
もしかして、オンドルの壁が内部で崩れ落ちてしまって、直接熱気が煙突に抜けたのだろうかと、一瞬青ざめた感覚になったが、考えた結果、これは現在屋根を「屋根裏換気仕様」で作ってあるので、寒気が屋根裏に流れ込んできて、断熱効果が下がり寒いものと判断した。
この体験により屋根裏換気を行うと非常に寒いということを、実体験を通して確認したのであるが、この時は2階部分のみならず、1階や階下まで寒くなったので、その点は大いに驚いた。その状態を何日もつづけたら、更に寒くなったと思う。
屋根裏を密閉して30数年間実験して問題がなかつたことと、屋根裏換気を行うと暖房は利きが悪くなり、大変寒いものであることが解った。
屋根裏換気を行うか否かによって暖房効果がどのように変化するのかという、実験データには接したことがない。今回偶然に得られたのであるが、屋根裏換気を行うか否かで、暖房効果が著しく変わるという、貴重な実験結果を得た。
屋根裏換気したときは寒く、屋根裏密閉して断熱材を入れた状態では暖かくなる。屋上の積雪も断熱層として利用すれば更に暖かくなる。
このことが、屋上積雪を活用するための、屋根部分改造の全容となっており、とりもなおさず、本発明の柱になっているのである。
従来の屋根裏換気は、空気に含まれている熱まで排出している。これは結露防止の対策以上に、必要限度を超えて暖房エネルギーを排出しており、膨大な損失をしているのである。
表2の各室温度は、就寝時と起床時の温度差を示しており、一日の最高最低温度を表示したものではない。日中、陽光が室内に差し込んだときは、30度くらいになっている。
就寝時から翌朝までの時間帯は、人は寝ているので生活温度の変化もなく、また陽光の影響もなく、外気も一定に低下していく状況は、毎日あまり変わらないので、住宅の性能測定に適しており、この時間帯に部屋の温度が何度低下したかということは、断熱効果を知る上での大きな目安となる。
従来の屋根裏換気仕様の断熱層(図I)と、本発明の断熱層(図3)を比較すると、その差、即ち厚み・断熱材の密度の違いは、一目瞭然と判断できるものである。この発明は断熱層の厚さだけでなく、更に断熱材の入れ方も綿密になっており、断熱効果は非常に高くなっている。断熱材の入れ方は特に決まりはなくて、要するに断熱を高めるように造作すれば良いのである。
私は19歳まで父が農業をしていた北海道十勝の厳寒地で暮らしていた。その地域は普通の年は、大地は50センチほど深く凍土となるのである。しかし秋口の土が深く凍らないうちに大雪が降って、そのまま根雪になった年は、年明け後に雪を掘ると、土は凍っていなかった。この体験から雪がある程度積もると、その下の土は凍結しないと解った。
このことから屋根の上の積雪が50センチにもなると、雪の下面の温度は零度程度になるということが解る。冬の大地の温度でも、凍らないのであるから、まして住宅の屋根はそれ以上の熱を溜めていると推定されるから、屋根積雪の最下部は零度以下にはならないと判断される。このことは、屋根裏の温度もそれ以上に下がらないから、結露も少なくなる。
もし、屋上に雪がなければ、屋根のトタンは−25度の低温にさらされることになる、よって断熱材は、生活温度の25度付近から外気温−25度程度までの50度幅をカバーしなければならないのである。
ところが屋上に雪があれば、屋根面は零度付近であるから、断熱層は25度幅程度をカバーすれば良いのである。このように断熱材が50度幅をカバーするのか、あるいは25度幅をカバーするのかが、決定的な違いとなるのである。北国の住宅は、屋根に積雪があるかないか、即ち、雪を落とす屋根か、雪を上に載せる屋根かという、屋根の形状で、断熱性が著しく異なることが解る。
このことは、北海道の厳寒地でも、雪の保温を利用すれば、関東地域程度の屋根断熱と同等に考えることができるということである。
従来工法の断熱層は、グラスウールの吹き込み300ミリ(図I−10)程度で、40度とか50度範囲をカバーするのに対し、本発明では、膨大な断熱材で23度程程をカバーすればよいのである。従来の工法と比べると、カバーする温度、断熱材の量においても、雲泥の差がある。加えるに、従来の工法はグラスウールの上が寒気層であるから、熱はグラスウールの中で上昇気流となって、速やかに排出されていた。本発明では、熱はなるべく移動させずに、断熱材とか屋根裏に長くとどまるようにして、暖房温度を長時間使用するように考案したものである。本発明に従った工法で断熱を施こすならば、屋上に雪がなくても、従来の工法とは比較にならない屋根部の断熱が可能となる。
多く出し過ぎると、暖房効果は小さくなるが、屋根裏換気のように寒気が入り込む開口部が無いので、従来の住宅のように寒くはならない。また、排出する空気の量が少な過ぎると結露を引き起こす原因となる。パイプの排気の量は、その住宅の所在する地域の風土、その住宅の居住部に施されている湿気対策、また、居住する人数や生活態様などを勘案して、調整する必要がある。また、排気量の調整はパイプの先のキャップにつけた穴(図4の21)により調整できる。調整機構は、多少複雑になるものの、自動手動を問わず、シャッター・バルブなどあらゆる開閉装置を使用が可能である。
屋根裏の温度が高く湿度を多く含んだ空気を排出するのであるから、暖かい空気を滞留させる所として、屋根には2寸程度の勾配をつけたほうが良い。屋根の勾配は屋根上に、積雪をもたらすためにも都合がよい。
この工法を確実なものとするためには、今後多くの建築家の経験などを積み上げる必要があるものと考える。
結露防止のためには、電気で作動する除湿器を使用して、屋根裏の空気を循環させて除湿しても良い。この方法は結露防止には効果が高い。電力を必要とし、設備の点検もしっかりやる必要がある。
この発明では屋根裏の空気をなるべく動かさないようにして、対流による熱損失を減少させ、熱を断熱材や屋根裏空気に溜めておき、出来るだけ長時間にわたって熱を活用することとしたものである。
図3の構造に造ると。屋根部の断熱が強化されて、1階の熱が2階に上り、しかも天井からの放熱が極めて少ないので、実験住宅では2階室温は20度以上となって、2階はほとんど暖房の必要が無くなった。(それぞれの家の設計によって異なる、実験住宅では、2階の床に断熱材はいれてない)
これまでM型屋根を主体に説明してきたが、これは切妻とか寄せ棟形状等の屋根であっても、応用することが可能である。
盛夏においては、熱気が屋根の一番高い所にとどまるので、これを排出すれば、幾分は家の中の熱気は少なくなる。また夕方になって外気温が下がると、屋根裏の温度も下がるので、それに応じて部屋も凌ぎやすくなる。
屋根の高い所に熱気を溜めると熱気排出の効果も良く、また、パイプを使用するとパイプのドラフト効果もあり、更に効率よく熱を排出できるものである。
この屋根裏熱気の排出を従来の建築工法では、屋根裏換気で行っており、通気の開口部は屋根裏に設けているが、大多数の家は、下部にあるものが多いので、熱気は下方には放散されにくく、熱気排出には無理があった。
2 燃料の消費量が少なくなる(2〜3割以上は低減すると判断する)。
3 屋根上の積雪を、天然の断熱材として活用できる。
4 二酸化炭素の排出が少なくなる。
5 屋根裏からパイプにより湿度を抜くので、屋根裏結露はしない。
6 家中が非常に暖かくなる。1階で暖房すると、2階部はほとんど暖房が不要。
7 暖房を消しても、暖かい暖房効果がしばらく継続する。
8 施工は簡単で、大工なら誰でも作れる。
9 効果に比べて、経費は非常に少ない
10 既存の住宅を、屋根裏密閉型に改築も簡単にできる。
11 寒地だけでなく、どの地域でも応用が可能である。
12 夏季は屋根裏熱気を排出するので、クーラーが効いて涼しく生活できる。
13 トタン屋根に当たる雨の音が非常に小さくなる。
14 外部からの防音効果が大きくなる。飛行機の音などの低減。
15 屋根裏に蜂など虫や小鳥が入りこまない。
壁は柱間にグラスウール100ミリを入れて、その室内側に厚さ50ミリ以上のグラスウールを張る。屋根部は、母屋の下からスタイロホーム30ミリを張る、母屋の上に根太を打ち付け。 この母屋及び根太の間にグラスウール200ミリをいれて、その上に野地板を張る。野地板は合板系のものは避けて、単板を使用する。この上にスタイロホーム20〜30ミリを敷き詰めて、防水シートをかけて、トタン屋根を葺く。工事ではスタイロホームを隙間のないように施工する必要がある。
天井の上は、グラスウールをブローイング工法で、天井裏にいっぱいになるほどに入れる。 この場合屋根の高い部分は、湿気のある空気溜まりとして空間があるようにするとよい。
また、屋根裏の断熱には、天井裏の壁部及び屋根裏に天井裏側から、ウレタンフォームなどを50〜100ミリ程度吹き付け加工するとより完全に作ることができる。
従来の屋根には、垂木を使用しているが、本発明では屋根の上に一定の積雪を予想しているので、屋根の強度を増すために、垂木に変えて根太材を使用するのが望ましい。
6コンパネ 7単板(野地板) 8垂木 9根太 10グラスウール
11換気口 12換気 13積雪 14換気筒 15天井 16断熱層
17キャップ 18防虫網 19排気吸入穴 20チーズ
21排気出口 22塗装 23発泡コンクリート板
24柱(100×100ミリ) 25石膏ボード 26内装(ビニールクロス)
27排気筒本体
Claims (3)
- 屋上の積雪を、住宅の屋根部と一体化して断熱に利用する建築工法
- 請求項1のために、屋根裏を密閉して断熱を施し、天井から屋根材までを一体的断熱層とする建築工法
- 請求項2により密閉した屋根裏の湿気及び熱気(夏季)放出のため、屋根裏上部からパイプ等で排気し、湿度・温度を調整して、冬季は屋根裏結露を防止し、夏季は室内の暑気こもりを少なくする建築工法
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