JP2018071333A - 住宅の屋根裏換気を行わず、屋根裏断熱を強化。加えて、屋上の積雷も含めて一体的断熱層として、屋根部分の断熱を高めるとともに、屋根裏から屋上に通した塩ビパイプなどにより湿気および暑気を排出する建築工法 - Google Patents

住宅の屋根裏換気を行わず、屋根裏断熱を強化。加えて、屋上の積雷も含めて一体的断熱層として、屋根部分の断熱を高めるとともに、屋根裏から屋上に通した塩ビパイプなどにより湿気および暑気を排出する建築工法 Download PDF

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Abstract

【課題】北国の冬には必ず降る雪、屋上の積雪を断熱層として利用する発明である。そのために、住宅の屋根部の造り、断熱方法、および結露対策に関するものである。天然の雪を断熱に利用することにより、住宅の暖房費を低減し、二酸化炭素の排出を少なくする技術を提供する。【解決手段】従来の住宅は、屋根裏換気をしているので、屋上の積雪13は断熱に利用できなかった。また天井裏を換気のための寒気が流れているので、断熱効果が小さかった。住宅の屋根裏換気を行なわず、屋根裏を密閉して断熱を施し、屋上の積雪13と一体型の断熱層とする。結露防止のためには、屋根裏から屋上に抜けるパイプ14で、湿度の多く含まれた空気を、排出するものである。このパイプ14は夏季も有効に作用する。【選択図】図2

Description

住宅の屋根部断熱にかかわる建築工法
従来は、屋上の積雪を断熱に取り入れることは考えていなかった。屋根部に取り入れた対策は、図1のとおり、住宅の屋根裏結露による躯体などの腐敗を防止する為、屋根1、壁2.及び天井15に囲まれた天井裏に、換気口11を設けて外気12を屋根裏に取り入れ、風下側の換気口から排出することにより、屋根裏換気を行っていた。
「屋根裏換気」即ち冷たい外気12を屋根裏に導入することにより、屋根裏と外気の温度を、より近似的にすることで屋根裏結露を防止することとしている。天井裏断熱材グラスウール10の上は、外気と同様な場所として対処してきたのである。積雪13の利用については、何も考えていなかった。
屋根裏換気は、断熱効果を著しく劣化させ、居住空間の室温低下を招いているという現実があるにもかかわらず、屋根裏換気を行わなければ結露が発生するという、技術的問題が周知徹底されていたため、屋根裏を密閉することができなかった。
また夏季も、屋根裏換気を行っているが、換気口として破風板などから外気を取り入れているため、空気の流れは下から上へ、又は、水平方向の移動なので、暑気は屋根の上部に溜まっており下向きには排出することができなかった。これにより居住空間の室温上昇をもたらし、生活環境の悪化を招いていた。
従来技術の建築工法では、屋根裏の結露を防止する為に、図3のとおり屋根裏換気12を行っている。天井の上の断熱材グラスウール10の上面に接して寒気(冬季)が流通している。このため断熱材からどんどん熱が奪われることとなり、断熱の効果が小さかった。
屋根材に使われている、野地板6やその上に貼ってあるスタイロホーム5、防湿幕並びに屋根トタンなどは、一定の断熱効果があるにもかかわらず、断熱層としては利用できなかった。
本発明は、屋根裏換気を行わず、冬季には天井13から屋根トタン3まで、加えて屋根上の積雪13も断熱層として使用することで、断熱性を高めて暖房の効率を高めるとともに、湿気を屋根上のパイプ14から排出するように加工して、結露を防止するものである。また夏季は屋根の最上部に溜まる暑気を、自然に排出して居住空間の環境を整えるものである。
この発明は、私が39年前に住宅(以後「実験住宅」と言う)を建築したときに発案したものであるが、既に当時から図1に示すように、屋根裏換気12の理論は画然としており、屋根裏密閉を行うのは大変勇気のいることであつた。この時私が立てた論理は、熱は上へ上へと移動して行き、やがて屋根から放出されるのであるから、屋根部の断熱は最も厳重にしなければならない、というものであった。屋根の断熱をおろそかにして、窓や壁の断熱を高めても、断熱効果はそれに比例しては上がらないものである。
底に穴の開いたバケツを修理するのに、バケツの側面を強化するようなもので、バケツの側面をどれだけ補強しても、底からの水漏れを防止しない限り、バケは使い物にならない。それと同じように、上部に上がって天井裏から逃げる熱を抑制しない限り、家の断熱効果は断熱材量に比例して高くならないと考えたのである。
壁内部の熱の伝導は、物体の中でも熱は上昇するので、熱は真横ではなく斜め上に向かって放散していく、そのため壁の断熱効果は比較的大きいが、天井の場合は、熱が真上即ち断熱材に対しほぼ直角に上がるので、壁と同じ断熱材を使用しても、断熱効果が少ないのである。
それで、屋根裏換気工法を止めて、図2のように、屋根の裏側に断熱材、グラスウール10及びスタイロホーム5を貼りつけ、屋根裏を密閉して空気の流れが起きないような実験住宅を建てた(図2)。屋根裏の壁にも断熱を施した。
結構暖かい家でしたが、一般に、家それぞれの断熱効果は、他の家と比較が難しいので、良い効果が出ていると思って住んでいた。
実験住宅として屋根を密閉したので、結露による被害が出ないか年3回くらいは、屋根に上がって点検して居た。築後5年か6年のころ屋根の上を歩いていると、一部で「ふわりとする感触」を発見した。これは野地板6に使っているコンパネの糊が結露によって剥がれたと判断した。「屋根裏密閉の理論は破れたり」か、と思ったが、こうなることも予測して居たので、考えていた対策を行った。
実験住宅は、真ん中に樋のついた無落雪屋根、即ちM型屋根なので、両端の屋根の高い所に穴をあけて、径75ミリの塩ビパイプ14を差し込んだ。そのパイプの屋根裏上部に当たるところに、径3ミリの穴を300個(図4−19)くらい開けて、屋根上部に溜まった暖かく湿度の高い空気を、少しずつ抜くことにした。設置してからパイプの出口に手をあてると、暖かい空気が出ていた。においを嗅ぐと、ほのかに人間生活の匂いがした。このような状態で30数年が過ぎ去った。屋根は柔らかい所が少し増えたようではあるが、トタンの塗装をして十分な手入れを行っていたので、屋根としての機能を完全に果たしていた。
屋根の上の柔らかいところが増えてきたこともあり、5年程前から「そろそろ何とかしよう」、と言う気持ちになり、複数の屋根業者に頼んで屋根の状態を診断してもらった。判定結果は「これは危険だ、いつ落ちるかわからない」、「トタンは下から錆びてくるから表面が整っていても、下からパカッと落ちる可能性がある」とのことだった。それで心配しながら住んでいたが、昨年(2014年)10月24日の強風でパラペット部分の上部が吹き飛ばされてしまい、屋根吹き替えの止むなきにいたった。
工務店の勧めがあり、一般に造られている屋根裏換気仕様で改築することとなった。
工事は2016年3月19日から始めた。この頃当地の気温は、朝はマイナス2〜5度、日中は4〜5度のころだった。屋根裏結露で屋根は腐っているかどうかを確かめる絶好の機会であった。胸をわくわくさせて工事の解体を見ていた。工事業者は意識的かどうか解らないが、屋根の一番ぶよぶよした部分から解体が始った。まずトタンの一部を剥がし裏返しにすると、釣り子の所に錆があっただけで、その他は新品の時の色がまだ残っていた(写真1)。更に剥がした結果は写真2のとおりで、木材が腐ったのは垂木の端が僅かだけで、垂木にはまだ木の色があった。コンパネについても糊が剥がれたものが4割程度あったが、コンパネを構成するベニヤ自体は腐っていない。屋根の半分以上は、コンパネがしっかりした状態だった。断熱材もしっかり付いており、悪くなったのはコンパネの糊だけだった。コンパネの糊が剥げたのは、湿度抜きのパイプを入れる以前の結露であったと思われる。もし野地板6を単板で張っていたら、何の問題もなかったものと思われる。
これらのことから、39年間にわたって行った、屋根裏密閉の実験は「完全に成功」であったことが解った。
屋根裏結露は、生活の湿度がどのようにして屋根裏に至るのかが問題であるが、それが判然としていないので、実験住宅では、室内の壁などは湿度が浸透しないように工夫した(図5)。室内の壁は、柱の室内側に20ミリのスタイロホーム5を張り、その上に12ミリの石膏ボード25を張った。内装は、総ビニールクロス26張りにとし、壁と天井の突き当りは、隙間ができないように、ダイワを付けない仕様にした。電気のスイッチや差込口も、できるだけ少なくするように設計し、また、室内換気については、実験住宅のほぼ中央に屋根からの排水ダクトを通し、このダクトを利用して、1階3室、2階2室の自然換気を行うようにした。換気扇は、台所と風呂(トイレと同室)の2個所だけである、これらは壁内に湿気が入らないように配慮したものだが、残念ながらこれらの施工がどれほどの効果を上げたのかを測定することはできない。
今後、屋根裏密閉の家を作ろうとするならば、室内からの湿度の動きも留意する必要がある。
工事は順調に進み屋根材を剥がして、その下にあったグラスウール200(図2−10)ミリとスタイロホーム20ミリ(図2−10)を天井の上に置いて屋根は無くなった。まもなく居間が寒くなった。天井の上に断熱材があっても屋根が無いということは、部屋が温まりにくいものだということを実体験した。屋根の無い日が2晩あったが、その寒さは、オンドルの炉を真冬以上の勢いで燃やしたが、居間は一向に温度が上らなかった。
工事は進み、屋根の大工工事は終了し、あとはトタンを葺くのと、グラスウール(300mm)の吹き込みを残すのみとなった。
その夜は、断熱材吹き込みが行われていない状態だったため、部屋の温度は昨日と変わらず非常に寒く、一向に温まる気配はなかった。家の中にいても、肌の回りを秋風が通り過ぎていく感じで、温まる感じが無い。
実験住宅はオンドル暖房を採用しており、地下室にオンドルの炉を設置してあるので、地下室はいつも暖かいのであるが、炉のある地下室までもが異常に冷えていたのには驚いた。
もしかして、オンドルの壁が内部で崩れ落ちてしまって、直接熱気が煙突に抜けたのだろうかと、一瞬青ざめた感覚になったが、考えた結果、これは現在屋根を「屋根裏換気仕様」で作ってあるので、寒気が屋根裏に流れ込んできて、断熱効果が下がり寒いものと判断した。
翌日、早速工務店に連絡して、設計変更を依頼し屋根裏換気口を完全に覆う工事を完了したところ、従前の実験住宅より少し寒い感じではあったものの、ほぼ従前の暖かさに戻った。
この体験により屋根裏換気を行うと非常に寒いということを、実体験を通して確認したのであるが、この時は2階部分のみならず、1階や階下まで寒くなったので、その点は大いに驚いた。その状態を何日もつづけたら、更に寒くなったと思う。
2日後に、屋根裏グラスウール300ミリを吹き込む最終工事の完了後、ほどなくして室温が上がり始め、大変暖かくなった。これは、実験住宅の断熱材が不足していたことを、物語るものだった。
屋根裏を密閉して30数年間実験して問題がなかつたことと、屋根裏換気を行うと暖房は利きが悪くなり、大変寒いものであることが解った。
屋根裏換気を行うか否かによって暖房効果がどのように変化するのかという、実験データには接したことがない。今回偶然に得られたのであるが、屋根裏換気を行うか否かで、暖房効果が著しく変わるという、貴重な実験結果を得た。
屋根裏換気したときは寒く、屋根裏密閉して断熱材を入れた状態では暖かくなる。屋上の積雪も断熱層として利用すれば更に暖かくなる。
このことが、屋上積雪を活用するための、屋根部分改造の全容となっており、とりもなおさず、本発明の柱になっているのである。
従来の屋根裏換気は、空気に含まれている熱まで排出している。これは結露防止の対策以上に、必要限度を超えて暖房エネルギーを排出しており、膨大な損失をしているのである。
住宅がどれくらい暖かいかを数値的に表示するのは難しい。暖かくなると熱源を小さくするし、外気の状態も異なるため、同じ状態で他の家と比較するのは困難だ。この度の温度測定は短期間でもあり、融雪期と言う季節の変り目でもあったので、測定結果は参考程度ではあるが、屋根の断熱状態に対比した測定値は、表1のとおりである。
表2の各室温度は、就寝時と起床時の温度差を示しており、一日の最高最低温度を表示したものではない。日中、陽光が室内に差し込んだときは、30度くらいになっている。
就寝時から翌朝までの時間帯は、人は寝ているので生活温度の変化もなく、また陽光の影響もなく、外気も一定に低下していく状況は、毎日あまり変わらないので、住宅の性能測定に適しており、この時間帯に部屋の温度が何度低下したかということは、断熱効果を知る上での大きな目安となる。
実験住宅の、従前の居間の温度は、就寝時から朝までに、4〜5度程度下がったものが、今回の断熱材を加えた後は1〜2度しか低下しなくなった(表2.参照)。屋根裏換気をしていた2日間は、居間の室温だけをみると、7〜8度も低下している。何日間もそのような状態で経過したら、温度はさらに下がったものと思う。なお、実験住宅には、窓の内側に本州方面の雨戸のような断熱戸(スタイロホーム20ミリを内部に入れた戸)を装備している。陽光が入らなくなると閉めて室内の温度低下を防いでいる。また窓は全窓ペアガラスに中窓をとりつけており、居間と小上がりは真空ガラスの3層窓(スペーシャ21)をとりつけている。
実験住宅で、北側の一番寒い場所である玄関に続くホールについて注記する。このホールは、玄関とはガラス戸で仕切ってあるが、階段部含めて6畳吹き抜けになっており、2階はホールとプレイルーム合わせて12畳が1階ホールと続いた状態になっている。その玄関ホールの一番下が寒くてどうにもならなかった。原因は解らなくて玄関の断熱が悪いとばかり思っていたが、今回の工事で屋根部の断熱を補強したところ、このホールが暖かくなった。要するに2階天井からの放熱が少ないので、順次下部も温まった結果、ホールの最下部まで温まったというわけである。このように天井の断熱の良し悪しは、単に2階の部屋の温度を変えるだけでなく、ストレートに家中の温度を変えてしまうのである。
本発明は、屋根裏を密閉して寒気を屋根裏に入れないようにし、屋根裏をしっかり断熱(図3)して、屋根裏の温度を上げ断熱効果をより高くするものである。このように断熱材を入れると、屋根裏の温度が高くなり、室内からの放熱が著しく小さくなる。そのため暖房効果が良くなり、しいては燃料消費量が少なくて済むようになる。そのことは、とりもなおさず二酸化炭素の低減につながるのである。
従来の屋根裏換気仕様の断熱層(図I)と、本発明の断熱層(図3)を比較すると、その差、即ち厚み・断熱材の密度の違いは、一目瞭然と判断できるものである。この発明は断熱層の厚さだけでなく、更に断熱材の入れ方も綿密になっており、断熱効果は非常に高くなっている。断熱材の入れ方は特に決まりはなくて、要するに断熱を高めるように造作すれば良いのである。
このような造りとすると、屋上の積雪は屋根と連結して断熱層を形成するようになる。一般に雪は寒く冷たいものと思われているが、雪が30cmも積もると、その下は凍結しない。
私は19歳まで父が農業をしていた北海道十勝の厳寒地で暮らしていた。その地域は普通の年は、大地は50センチほど深く凍土となるのである。しかし秋口の土が深く凍らないうちに大雪が降って、そのまま根雪になった年は、年明け後に雪を掘ると、土は凍っていなかった。この体験から雪がある程度積もると、その下の土は凍結しないと解った。
このことから屋根の上の積雪が50センチにもなると、雪の下面の温度は零度程度になるということが解る。冬の大地の温度でも、凍らないのであるから、まして住宅の屋根はそれ以上の熱を溜めていると推定されるから、屋根積雪の最下部は零度以下にはならないと判断される。このことは、屋根裏の温度もそれ以上に下がらないから、結露も少なくなる。
実験住宅が所在する北海道石狩市は、厳冬期はマイナス15度程度の低温になる。それに石狩湾から吹いてくる北西風は強く、10m/秒を超えることはしばしばある。したがって外気の体感温度は−25度以下になる。
もし、屋上に雪がなければ、屋根のトタンは−25度の低温にさらされることになる、よって断熱材は、生活温度の25度付近から外気温−25度程度までの50度幅をカバーしなければならないのである。
ところが屋上に雪があれば、屋根面は零度付近であるから、断熱層は25度幅程度をカバーすれば良いのである。このように断熱材が50度幅をカバーするのか、あるいは25度幅をカバーするのかが、決定的な違いとなるのである。北国の住宅は、屋根に積雪があるかないか、即ち、雪を落とす屋根か、雪を上に載せる屋根かという、屋根の形状で、断熱性が著しく異なることが解る。
それゆえ、本発明の断熱層は、冬季の積雪があるときは、人の生活室温の23度くらいから、零度程度までをカバーすればよいのである。
このことは、北海道の厳寒地でも、雪の保温を利用すれば、関東地域程度の屋根断熱と同等に考えることができるということである。
従来工法の断熱層は、グラスウールの吹き込み300ミリ(図I−10)程度で、40度とか50度範囲をカバーするのに対し、本発明では、膨大な断熱材で23度程程をカバーすればよいのである。従来の工法と比べると、カバーする温度、断熱材の量においても、雲泥の差がある。加えるに、従来の工法はグラスウールの上が寒気層であるから、熱はグラスウールの中で上昇気流となって、速やかに排出されていた。本発明では、熱はなるべく移動させずに、断熱材とか屋根裏に長くとどまるようにして、暖房温度を長時間使用するように考案したものである。本発明に従った工法で断熱を施こすならば、屋上に雪がなくても、従来の工法とは比較にならない屋根部の断熱が可能となる。
屋根裏結露の防止は、屋根裏から屋根の上に抜けるパイプ(図3−14)などを取り付け、このパイプ(図4)から徐々に湿度の高い空気を排出することにより行う。パイプから排出する空気量は、屋根の形状および面積により、適宜調整(図4の21)が必要である。
多く出し過ぎると、暖房効果は小さくなるが、屋根裏換気のように寒気が入り込む開口部が無いので、従来の住宅のように寒くはならない。また、排出する空気の量が少な過ぎると結露を引き起こす原因となる。パイプの排気の量は、その住宅の所在する地域の風土、その住宅の居住部に施されている湿気対策、また、居住する人数や生活態様などを勘案して、調整する必要がある。また、排気量の調整はパイプの先のキャップにつけた穴(図4の21)により調整できる。調整機構は、多少複雑になるものの、自動手動を問わず、シャッター・バルブなどあらゆる開閉装置を使用が可能である。
パイプの設置方法は、屋根の最上部に設置して垂直に伸ばすほか、屋根の上ですぐに曲げて屋根からはみ出させて、雪庇のできないほうに排出することもできるし、屋根の中央付近まで持って行って上方に排出することもできる。
屋根裏の温度が高く湿度を多く含んだ空気を排出するのであるから、暖かい空気を滞留させる所として、屋根には2寸程度の勾配をつけたほうが良い。屋根の勾配は屋根上に、積雪をもたらすためにも都合がよい。
この工法を確実なものとするためには、今後多くの建築家の経験などを積み上げる必要があるものと考える。
湿気排出パイプ(図3−14)内外部に、冬季間は結露を生ずる可能性があるので、結露が溶けてパイプの下部に溜まるように、パイプ下端にキャップ(図4の17)を取り付け、また屋根裏パイプ外側結露があった場合に備えて、水滴を溜めるようにパイプの底部に容器状の水ためを置くと良い。溜まった水は自然蒸発する。
結露防止のためには、電気で作動する除湿器を使用して、屋根裏の空気を循環させて除湿しても良い。この方法は結露防止には効果が高い。電力を必要とし、設備の点検もしっかりやる必要がある。
屋根裏密閉工法にすることにより、天井材から屋根のトタンまでが一体となった断熱層としての効用を果たし、しかも、屋根の上に積雪のある場合は、雪も断熱材として活用するものである(図3の13)。よって本発明の断熱層は(図3−16)重厚となり大きな断熱効果を発揮する。
この発明では屋根裏の空気をなるべく動かさないようにして、対流による熱損失を減少させ、熱を断熱材や屋根裏空気に溜めておき、出来るだけ長時間にわたって熱を活用することとしたものである。
屋根裏結露については、私の40年(正確には38.5年)に亘る実験の結果、塩ビ等のパイプで湿気を抜けば、完全に防止できることが証明された。
図3の構造に造ると。屋根部の断熱が強化されて、1階の熱が2階に上り、しかも天井からの放熱が極めて少ないので、実験住宅では2階室温は20度以上となって、2階はほとんど暖房の必要が無くなった。(それぞれの家の設計によって異なる、実験住宅では、2階の床に断熱材はいれてない)
これまでM型屋根を主体に説明してきたが、これは切妻とか寄せ棟形状等の屋根であっても、応用することが可能である。
盛夏においては、熱気が屋根の一番高い所にとどまるので、これを排出すれば、幾分は家の中の熱気は少なくなる。また夕方になって外気温が下がると、屋根裏の温度も下がるので、それに応じて部屋も凌ぎやすくなる。
屋根の高い所に熱気を溜めると熱気排出の効果も良く、また、パイプを使用するとパイプのドラフト効果もあり、更に効率よく熱を排出できるものである。
この屋根裏熱気の排出を従来の建築工法では、屋根裏換気で行っており、通気の開口部は屋根裏に設けているが、大多数の家は、下部にあるものが多いので、熱気は下方には放散されにくく、熱気排出には無理があった。
1 屋根部の断熱が増すことにより、暖房効率が著しく増す。
2 燃料の消費量が少なくなる(2〜3割以上は低減すると判断する)。
3 屋根上の積雪を、天然の断熱材として活用できる。
4 二酸化炭素の排出が少なくなる。
5 屋根裏からパイプにより湿度を抜くので、屋根裏結露はしない。
6 家中が非常に暖かくなる。1階で暖房すると、2階部はほとんど暖房が不要。
7 暖房を消しても、暖かい暖房効果がしばらく継続する。
8 施工は簡単で、大工なら誰でも作れる。
9 効果に比べて、経費は非常に少ない
10 既存の住宅を、屋根裏密閉型に改築も簡単にできる。
11 寒地だけでなく、どの地域でも応用が可能である。
12 夏季は屋根裏熱気を排出するので、クーラーが効いて涼しく生活できる。
13 トタン屋根に当たる雨の音が非常に小さくなる。
14 外部からの防音効果が大きくなる。飛行機の音などの低減。
15 屋根裏に蜂など虫や小鳥が入りこまない。
従来からの屋根裏換気を行った住宅の断熱カット図。 私が39年にわたりテストした実験住宅の断熱のカット図 発明にかかる住宅の断熱カット図、屋根裏換気を行わず、屋根の断熱を強化するとともに、根太を使用して積雪の重量に耐えるようにする。 湿度・温度の高い空気を排出するパイプ。 実験住宅の壁構成のカット図。
本発明を図3により説明する。屋根1、壁2及び天井3に囲まれた天井裏に、従来の工法による換気口を設けないで、なるべく密閉される造とする。
壁は柱間にグラスウール100ミリを入れて、その室内側に厚さ50ミリ以上のグラスウールを張る。屋根部は、母屋の下からスタイロホーム30ミリを張る、母屋の上に根太を打ち付け。 この母屋及び根太の間にグラスウール200ミリをいれて、その上に野地板を張る。野地板は合板系のものは避けて、単板を使用する。この上にスタイロホーム20〜30ミリを敷き詰めて、防水シートをかけて、トタン屋根を葺く。工事ではスタイロホームを隙間のないように施工する必要がある。
天井の上は、グラスウールをブローイング工法で、天井裏にいっぱいになるほどに入れる。 この場合屋根の高い部分は、湿気のある空気溜まりとして空間があるようにするとよい。
また、屋根裏の断熱には、天井裏の壁部及び屋根裏に天井裏側から、ウレタンフォームなどを50〜100ミリ程度吹き付け加工するとより完全に作ることができる。
従来の屋根には、垂木を使用しているが、本発明では屋根の上に一定の積雪を予想しているので、屋根の強度を増すために、垂木に変えて根太材を使用するのが望ましい。
屋根裏結露を防止するために、屋根の高い部分に穴を開けて、75ミリ程度の塩ビパイプ図4を差し込んで、天井裏の温度が高く湿度を多く含んだ空気を必要量排出する。
一般住宅の屋根部の断熱工法として、どこでも利用することができる。
1屋根 2壁 3トタン板 4防水シート 5スタイロホーム
6コンパネ 7単板(野地板) 8垂木 9根太 10グラスウール
11換気口 12換気 13積雪 14換気筒 15天井 16断熱層
17キャップ 18防虫網 19排気吸入穴 20チーズ
21排気出口 22塗装 23発泡コンクリート板
24柱(100×100ミリ) 25石膏ボード 26内装(ビニールクロス)
27排気筒本体

Claims (3)

  1. 屋上の積雪を、住宅の屋根部と一体化して断熱に利用する建築工法
  2. 請求項1のために、屋根裏を密閉して断熱を施し、天井から屋根材までを一体的断熱層とする建築工法
  3. 請求項2により密閉した屋根裏の湿気及び熱気(夏季)放出のため、屋根裏上部からパイプ等で排気し、湿度・温度を調整して、冬季は屋根裏結露を防止し、夏季は室内の暑気こもりを少なくする建築工法
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