JP2002294558A - イオン交換性繊維シート及びその製造方法 - Google Patents

イオン交換性繊維シート及びその製造方法

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JP2002294558A
JP2002294558A JP2001099987A JP2001099987A JP2002294558A JP 2002294558 A JP2002294558 A JP 2002294558A JP 2001099987 A JP2001099987 A JP 2001099987A JP 2001099987 A JP2001099987 A JP 2001099987A JP 2002294558 A JP2002294558 A JP 2002294558A
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康博 伊藤
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政尚 田中
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洋昭 山崎
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 イオン交換容量の高いイオン交換性繊維シー
ト及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸誘
導体、不飽和カルボン酸無水物の中から選ばれる一種類
以上とエチレンとからなり、その酸成分比が5mass
%以上であるエチレンコポリマーが少なくとも繊維表面
の一部を占めるエチレン系繊維に、イオン交換基を有す
るモノマー、イオン交換基を有するモノマーに由来する
オリゴマー、イオン交換基を有するモノマーに由来する
ポリマーの中から選ばれる少なくとも1つがグラフト重
合したイオン交換性繊維を含んでいるイオン交換性繊維
シート。及びその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はイオン交換性繊維シ
ート及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】イオン交換能を有する繊維シートは、従
来から気体や液体の濾過材として使用されている。その
製造方法として、ポリオレフィン系繊維からなる不織布
等の繊維シートに、イオン交換基を有する重合性モノマ
ーをグラフト重合する方法などがあった。例えば、イオ
ン交換基を有する重合性モノマーを含む溶液を不織布に
付与した後に、紫外線や放射線などを同時照射すること
により、前記重合性モノマーを不織布にグラフト重合
し、イオン交換性不織布を得る方法等があった。
【0003】しかしながら、このような方法によると、
紫外線や放射線などを同時照射してグラフト重合する際
に、ホモポリマーなどの反応副生成物を生成しやすいた
め、グラフト重合効率が悪い上に、イオン交換容量の高
いイオン交換性不織布を得ることが困難であった。ま
た、未反応モノマーの残留及び反応副生成物の生成はイ
オン交換性不織布の洗浄工程を煩雑にし、一方でこれら
の洗浄物(未反応モノマーの残留及び反応副生成物な
ど)を廃棄することにより、環境に悪影響を与えやすか
った。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術の
前記の欠点を解消し、イオン交換容量の高いイオン交換
性繊維シートを提供すること、及び反応副生成物を生成
しにくいグラフト重合方法によるイオン交換性繊維シー
トの製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のイオン交換性繊
維シートは、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸誘導
体、不飽和カルボン酸無水物の中から選ばれる一種類以
上とエチレンとからなり、その酸成分比が5mass%
以上であるエチレンコポリマーが少なくとも繊維表面の
一部を占めるエチレン系繊維に、イオン交換基を有する
モノマー、イオン交換基を有するモノマーに由来するオ
リゴマー、イオン交換基を有するモノマーに由来するポ
リマーの中から選ばれる少なくとも1つがグラフト重合
したイオン交換性繊維を含んでいる。このような特定の
エチレンコポリマーに、イオン交換基を有するモノマ
ー、イオン交換基を有するモノマーに由来するオリゴマ
ー、イオン交換基を有するモノマーに由来するポリマー
が効率良くグラフト重合しているため、イオン交換容量
が高いことを見い出した。また、エチレンコポリマーを
構成する酸成分によってもイオン交換容量が高くなるこ
とも見い出した。
【0006】本発明のイオン交換性繊維シートの製造方
法は、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸誘導体、不
飽和カルボン酸無水物の中から選ばれる一種類以上とエ
チレンとからなり、その酸成分比が5mass%以上で
あるエチレンコポリマーが少なくとも繊維表面の一部を
占めるエチレン系繊維を含む繊維シートに、イオン交換
基を有するモノマー、イオン交換基を有するモノマーに
由来するオリゴマー、イオン交換基を有するモノマーに
由来するポリマーの中から選ばれる少なくとも1つを含
むグラフト重合溶液を付与した後、この繊維シートに対
して、エネルギーを付与することにより、イオン交換基
を有するモノマー、イオン交換基を有するモノマーに由
来するオリゴマー、イオン交換基を有するモノマーに由
来するポリマーの中から選ばれる少なくとも1つを、エ
チレン系繊維にグラフト重合する方法である。このよう
な特定のエチレンコポリマーはグラフト重合溶液と馴染
みやすいため、反応副生成物の生成を抑制して効率良く
グラフト重合できることを見い出した。このように反応
副生成物の生成を抑制してグラフト重合できる結果とし
て、イオン交換容量の高いイオン交換性繊維シートを効
率的に製造でき、イオン交換性繊維シートの洗浄工程を
簡素化でき、しかも洗浄物の量を減らすことができるた
め、環境へ与える影響を最小限に抑えることができる。
更に、特定のエチレンコポリマーはグラフト重合溶液と
馴染みやすいため、温和な条件下においてグラフト重合
を実施することができる。そのため、イオン交換性繊維
シートを損傷することもない。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明におけるイオン交換性繊維
シートは、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸誘導
体、不飽和カルボン酸無水物の中から選ばれる一種類以
上とエチレンとからなり、その酸成分比が5mass%
以上であるエチレンコポリマーが少なくとも繊維表面の
一部を占めるエチレン系繊維に、イオン交換基を有する
モノマー、イオン交換基を有するモノマーに由来するオ
リゴマー、イオン交換基を有するモノマーに由来するポ
リマーの中から選ばれる少なくとも1つがグラフト重合
したイオン交換性繊維を含んでいる。
【0008】このエチレンコポリマーを構成する共重合
成分としては、例えば、アクリル酸やメタクリル酸など
の不飽和カルボン酸であることができる。また、別の共
重合成分として、例えば、不飽和カルボン酸エステル、
又は不飽和カルボン酸の塩などの不飽和カルボン酸誘導
体を用いることができる。前者の不飽和カルボン酸エス
テルとしては、例えば、不飽和カルボン酸メチル、不飽
和カルボン酸エチル、不飽和カルボン酸ブチル、又は不
飽和カルボン酸2−エチルヘキシルを用いることができ
る。また、後者の不飽和カルボン酸の塩としては、例え
ば、カリウム塩、ナトリウム塩、又はリチウム塩などの
アルカリ金属塩を用いることができる。更に、別の共重
合成分として、例えば、無水マレイン酸や無水イタコン
酸などの不飽和カルボン酸無水物を用いることができ
る。
【0009】これらエチレンコポリマーの中でも、アク
リル酸−エチレンコポリマー又はメタクリル酸−エチレ
ンコポリマーであると、これらエチレンコポリマーを構
成する共重合成分を後処理(例えば、加水分解や酸洗
浄)することなく、不飽和カルボン酸のカルボキシル基
がそのままイオン交換に関与することができるため好適
である。
【0010】本発明のイオン交換性繊維を構成するエチ
レンコポリマーは、前述のような共重合成分を少なくと
も1種類以上とエチレンとからなるが、エチレンと前述
のような共重合成分とが交互に入ったもの(すなわち、
交互共重合体)であることもできるし、ランダムに入っ
たもの(すなわち、ランダム共重合体)であることもで
きるし、ブロックに入ったもの(すなわち、ブロック共
重合体)であることもできるし、或いはそれらの混合物
であることもできる。
【0011】このエチレンコポリマー中における共重合
成分比(酸成分比)は5mass%以上であるため、イ
オン交換基を有するモノマー等が効率良くグラフト重合
していることができるため、イオン交換容量の高いイオ
ン交換性繊維シートであることができる。なお、共重合
成分比(酸成分比)の上限は特に限定するものではない
が、20mass%以下であるのが好ましい。共重合成
分比が20mass%を越えると、融点が低下して、耐
熱性を必要とする用途に使用することができなくなる場
合があったり、エチレン系繊維や繊維シートを製造する
際に、繊維同士が膠着したり、生産設備へ接着しやすい
などの不都合が生じる場合があるためである。より好ま
しい共重合成分比(酸成分比)は8〜15mass%で
ある。
【0012】本発明のイオン交換性繊維はこのようなエ
チレンコポリマーが少なくとも繊維表面の一部を占める
エチレン系繊維に、イオン交換基を有するモノマー、イ
オン交換基を有するモノマーに由来するオリゴマー、イ
オン交換基を有するモノマーに由来するポリマーの中か
ら選ばれる少なくとも1つがグラフト重合したものであ
る。
【0013】このエチレン系繊維におけるエチレンコポ
リマーは、イオン交換に関与できるように、またイオン
交換性繊維を製造するうえで反応副生成物が発生しにく
いように、繊維表面の一部を占めていれば良く、その比
率は特に限定するものではないが、前記効果に優れるよ
うに、繊維表面の20%以上を占めているのが好まし
く、50%以上を占めているのがより好ましく、80%
以上を占めているのが更に好ましく、100%を占めて
いるのが最も好ましい。
【0014】このエチレン系繊維は前述のようなエチレ
ンコポリマーのみから構成されていても良いが、エチレ
ンコポリマー以外に、これよりも融点の高いポリマーを
含んでいると、エチレンコポリマーを融着させたとして
も、繊維形状を維持し、強度のあるイオン交換性繊維シ
ートであることができる。このようなエチレン系繊維と
しては、その横断面形状が、例えば、多重バイメタル
型、海島型、芯鞘型、偏芯型、サイドバイサイド型、な
どが挙げられ、これらの中でも、エチレンコポリマーが
表面に多く露出している、海島型、芯鞘型或いは偏芯型
であるのが好ましい。なお、この融点の高いポリマーと
しては、例えば、ポリエチレン(例えば、高密度ポリエ
チレン、低密度ポリエチレンなど)、ポリプロピレン、
ポリメチルペンテン、ポリエステル、ポリアミドなどを
挙げることができる。
【0015】本発明における融点とは、示差走査熱量計
を用い、昇温温度10℃/分で、室温から昇温して得ら
れる融解吸熱曲線の極大値を与える温度をいう。なお、
極大値が2つ以上ある場合には、最も高温の極大値を融
点とする。
【0016】このようなエチレン系繊維の繊度は特に限
定されるものではないが、0.1〜50dtex(デシ
テックス)であるのが好ましい。
【0017】なお、エチレン系繊維中(例えば、エチレ
ンコポリマー、エチレンコポリマーよりも融点の高いポ
リマーなど)に、例えば、吸湿剤、艶消し剤、顔料、難
燃剤、安定剤、帯電防止剤、着色剤、染色剤、導電剤、
親水化剤、脱臭剤、抗菌剤などの機能性物質が添加され
ており、各種機能が付加されていても良い。
【0018】本発明のイオン交換性繊維は上述のような
エチレン系繊維に、イオン交換基を有するモノマー、イ
オン交換基を有するモノマーに由来するオリゴマー、イ
オン交換基を有するモノマーに由来するポリマーの中か
ら選ばれる少なくとも1つがグラフト重合しているた
め、イオン交換容量が高いものである。
【0019】本発明のイオン交換基を有するモノマーは
特に限定されるものではないが、グラフト重合しやすい
ように、ビニル基を有するのが好ましい。例えば、ビニ
ルスルホン酸、スチレンスルホン酸、イソプレンスルホ
ン酸などのスルホン基を有するビニルモノマー、アクリ
ル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコ
ン酸などのカルボキシル基を有するビニルモノマー、ビ
ニルフェノール、p−アリルフェノール、p−(1−プ
ロペニル)フェノールなどのフェノール性水酸基を有す
るビニルモノマー、ビニルアミン、ビニルアルキルアミ
ン、アリルアミン、ビニルアニリンなどのアミノ基を有
するビニルモノマー、ビニルベンジルトリメチルアンモ
ニウムなどの4級アンモニウム基を有するビニルモノマ
ー、或いはビニルリン酸、ビニルピリジン、ビニルピロ
リドン、ビニルカルバゾール、ビニルイミダゾールなど
を好適に使用できる。
【0020】また、イオン交換基を有するモノマーに由
来するオリゴマー又はイオン交換基を有するモノマーに
由来するポリマーは、例えば、前述のようなイオン交換
基を有するモノマーに由来するものであることができ
る。
【0021】このようなイオン交換基を有するモノマ
ー、イオン交換基を有するモノマーに由来するオリゴマ
ー、或いはイオン交換基を有するモノマーに由来するポ
リマーは単独で、又は混在してグラフト重合しているこ
とができる。
【0022】本発明のイオン交換性繊維シートは前述の
ようなイオン交換性繊維を含むものであるため、イオン
交換容量の高いものである。前述のようなイオン交換性
繊維を含む比率は特に限定されるものではないが、繊維
シートのイオン交換容量を高めるために、50mass
%以上含んでいるのがより好ましく、80mass%以
上含んでいるのが更に好ましく、100mass%含ん
でいるのが最も好ましい。
【0023】本発明のイオン交換性繊維シートは前述の
ようなイオン交換性繊維を含んでいることができるが、
このイオン交換性繊維以外の繊維として、例えば捲縮を
有する繊維などを含むことができる。捲縮を有する繊維
としては、例えば、機械的な処理により繊維に捲縮を与
えたものや、熱収縮率の異なる2種類以上の樹脂成分か
らなる複合繊維(例えば、偏芯型やサイドバイサイド
型)を熱処理することにより繊維に捲縮を与えたもの等
が挙げられる。このような捲縮を有する繊維を含んでい
ることにより、イオン交換性繊維シートを嵩高にするこ
とができ、通気抵抗や通水抵抗の上昇を抑制することが
可能である。なお、イオン交換性繊維自体が捲縮を有し
ていると、嵩高でかつイオン交換容量の高い繊維シート
であることができる。
【0024】また、繊維以外の構造体、例えば、前述と
同様のエチレンコポリマーに前述と同様のイオン交換基
を有するモノマー、イオン交換基を有するモノマーに由
来するオリゴマー、或いはイオン交換基を有するモノマ
ーに由来するポリマーがグラフト重合した粒体や、イオ
ン交換性樹脂粒体などの機能性粒体などを含むことがで
きる。このような構造体を含んでいることにより、イオ
ン交換性能を向上させることができる。
【0025】これらエチレン系繊維以外の繊維及び構造
体の構成比は特に限定されるものではないが、イオン交
換性繊維シートの強度や形態を損なうことがないよう
に、50mass%以下であることが好ましく、20m
ass%以下であることがより好ましい。
【0026】なお、イオン交換性繊維シートの態様は特
に限定するものではないが、例えば、織物、編物、不織
布、或いはこれらの複合体であることができる。これら
の中でも繊維表面積が広い不織布であるのが好ましい。
【0027】また、本発明のイオン交換性繊維シートは
イオン交換性能に優れているように、イオン交換容量が
2meq/g以上であるのが好ましく、2.5meq/
g以上であるのがより好ましく、3meq/g以上であ
るのが更に好ましい。
【0028】本発明における「イオン交換容量」は、次
のような中和滴定法により算出した値をいう。 (A)試験片の調製 0.1〜0.2gの試験片をイオン交換性繊維シートか
ら採取し、試験片の質量〔W;単位=g〕を測定する
(0.001gまでの精度で測定)。 (B)試験片の再生処理 純水で充分に湿らせた試験片を、1N塩酸水溶液ととも
にフタ付きプラスチック容器の中に入れて密閉し、60
℃の恒温槽中に1時間浸漬して再生を行う。その後、再
生した試験片を純水でPHが7となるまで十分に洗浄す
る。 (C)イオン交換処理 フタ付きプラスチック容器に、前記の再生処理を実施し
た試験片を入れ、0.1N水酸化カリウム標準液10m
lを正確にピペットで量りとり、純水を加えて全容を1
00mlとする。ブランクとして、前記試験片に用いた
のとは別のフタ付きプラスチック容器に、0.1N水酸
化カリウム標準液10mlを正確にピペットで量りと
り、純水を加えて全容を100mlとする。なお、ブラ
ンク数は2とした。前記全てのフタ付きプラスチック容
器を、60℃の恒温槽の中で2時間静置し、イオン交換
処理を行う。 (D)中和滴定 試験片を含むフタ付きプラスチック容器を常温まで冷却
した後に、滴定指示薬フェノールフタレン液を数滴加え
て、0.1N塩酸標準液をビュレットから滴下し、中和
滴定を行う。〔試験片の塩酸滴定量:b(ml)、2つ
のブランクの塩酸滴定量の平均値:c(ml)〕。 (E)イオン交換容量の決定 イオン交換容量(X:単位=meq/g)は、以下の計
算式から算出する。 〔X(meq/g)〕={(c−b)×0.1}/W
【0029】本発明のイオン交換性繊維シートは、例え
ば、(1)前述のようなエチレン系繊維を使用して常法
により繊維シートを形成した後、イオン交換基を有する
モノマー等をグラフト重合することによってイオン交換
性繊維シートを製造することができるし、(2)前述の
ようなエチレン系繊維にイオン交換基を有するモノマー
等をグラフト重合してイオン交換性繊維を形成した後
に、このイオン交換性繊維を使用して常法により繊維シ
ートを形成してイオン交換性繊維シートを製造すること
もできる。これらの中でも、前者の方法によれば、イオ
ン交換性繊維を損傷することなく、効率的に製造でき
る。
【0030】そのため、以下、前者の方法により、好適
であるイオン交換性不織布を製造する方法について説明
するが、後者の方法であってもグラフト重合する対象が
エチレン系繊維であること、及びイオン交換性繊維を使
用して不織布を製造すること以外は全く同様である。ま
た、繊維シートが不織布以外である場合は、常法により
繊維シートを製造すれば良い。
【0031】まず、前述のようなエチレン系繊維を含む
繊維ウエブを形成する。この形成方法としては、例え
ば、カード法、エアレイ法などの乾式法、湿式法などが
ある。また、スパンボンド法、メルトブロー法などによ
り繊維ウエブを直接形成することもできる。なお、エチ
レン系繊維の含有量は特に限定されるものではないが、
イオン交換容量、イオン交換効率、グラフト重合反応
性、場合により融着性に優れるように、繊維ウエブ中、
50mass%以上含んでいるのが好ましく、80ma
ss%以上含んでいるのが更に好ましく、100mas
s%含んでいるのが最も好ましい。
【0032】この繊維ウエブは1種類である必要はな
く、例えば、乾式法により形成した繊維ウエブと湿式法
により形成した繊維ウエブとを積層するなど、2種類以
上の繊維ウエブを積層することができる。
【0033】続いて、前記繊維ウエブを結合して不織布
を形成する。この結合方法としては、例えば、水流など
の流体やニードルにより絡合する方法、接着剤により接
着する方法、繊維の融着性を利用して融着する方法、或
いはこれらを併用する方法がある。これらの中でも、繊
維の融着性を利用して融着すると、強度があり、かつ形
態安定性のよい繊維シートを形成することができるため
好適である。
【0034】この繊維の融着性を利用する場合、加熱も
しくは加熱と加圧を組み合わせることにより実施するの
が好ましい。加熱と加圧とを同時に実施する場合の加熱
温度は、融着成分の軟化温度から融点までの範囲内の温
度であることが好ましく、加熱若しくは加熱後に加圧を
行なう場合の加熱温度は、融着成分の軟化温度から融点
よりも20℃以上高い温度までの範囲内の温度で実施す
ることが好ましい。なお、加圧時の圧力はいずれの場合
も線圧力2〜20N/cm程度で実施することが好まし
い。また、本発明で使用するエチレン系繊維を構成する
エチレンコポリマーは融点が低く、自己接着性に優れる
ため、融着成分として好適である。
【0035】本発明における「軟化温度」は、示差走査
熱量計を用い、昇温温度10℃/分で、室温から昇温し
て得られる融解吸熱曲線の開始点を与える温度をいう。
【0036】次いで、このような不織布に、前述のよう
なイオン交換基を有するモノマー、イオン交換基を有す
るモノマーに由来するオリゴマー、イオン交換基を有す
るモノマーに由来するポリマーの中から選ばれる少なく
とも1つを含むグラフト重合溶液を付与した後、この不
織布に対して、エネルギーを付与することにより、イオ
ン交換基を有するモノマー、イオン交換基を有するモノ
マーに由来するオリゴマー、イオン交換基を有するモノ
マーに由来するポリマーの中から選ばれる少なくとも1
つを、エチレン系繊維にグラフト重合してイオン交換性
繊維を形成すると同時に、イオン交換性不織布を製造す
ることができる。本発明の製造方法によれば、エチレン
系繊維を含んでおり、このエチレン系繊維はグラフト重
合溶液の保持性に優れているため、反応副生成物を発生
することなく、効率よく、しかも温和な条件下でグラフ
ト重合を実施することができる。
【0037】このグラフト重合溶液に含有されているイ
オン交換基を有するモノマー、イオン交換基を有するモ
ノマーに由来するオリゴマー、イオン交換基を有するモ
ノマーに由来するポリマーの濃度は、特に限定されるも
のではないが、10〜50mass%であることが好ま
しく、15〜45mass%であることがより好まし
く、20〜40mass%であることが更に好ましい。
イオン交換基を有するモノマー、イオン交換基を有する
モノマーに由来するオリゴマー、イオン交換基を有する
モノマーに由来するポリマーの濃度が10mass%未
満であると、イオン交換容量の高いイオン交換性不織布
を製造することが困難になる傾向があり、イオン交換基
を有するモノマー、イオン交換基を有するモノマーに由
来するオリゴマー、イオン交換基を有するモノマーに由
来するポリマーの濃度が50mass%を超えると、反
応副生成物が発生しやすくなる傾向があるため、効率良
くグラフト重合することが困難になったり、洗浄工程が
煩雑になる場合がある。
【0038】このグラフト重合溶液はイオン交換基を有
するモノマー、イオン交換基を有するモノマーに由来す
るオリゴマー、イオン交換基を有するモノマーに由来す
るポリマー以外に、界面活性剤を含んでいることができ
る。界面活性剤を含んでいることによって、グラフト重
合溶液と不織布との馴染みを更に良くし、均一なグラフ
ト重合反応を行うことができる。
【0039】この界面活性剤としては、例えば、ノニオ
ン系界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキル
エーテル又はポリオキシエチレンアルキルフェノールエ
ーテル、高級アルコール、又はアルキルエトキシレー
ト)、又はアニオン系界面活性剤(例えば、高級脂肪酸
のアルカリ金属塩、アルキルスルホン酸塩、又はスルホ
コハク酸エステル塩)を挙げることができる。
【0040】このように界面活性剤を混合する場合、界
面活性剤の濃度は0.01〜3mass%であるのが好
ましく、より好ましくは0.02〜3mass%であ
り、更に好ましくは0.05〜1mass%である。界
面活性剤の濃度が0.01%未満であると、均一なグラ
フト重合反応を行うことができなくなる傾向があり、ま
た、界面活性剤の濃度が3mass%を超えると、粘着
性が生じやすく、製造上、不都合が生じることがある。
【0041】また、グラフト重合溶液には、更に連鎖移
動剤を含有させることができる。このような連鎖移動剤
を含有していると、グラフト鎖を短くすることができる
と考えられるため、反応副生成物が生成したとしても洗
浄除去性に優れているため、製造上好ましい。
【0042】この連鎖移動剤としては、例えば、低級ア
ルコ−ル(例えば、イソプロピルアルコール)、多官能
アルコール類(例えば、ポリエチレングリコール)、又
はジカルボン酸類(例えば、マレイン酸)を使用するこ
とができる。
【0043】この連鎖移動剤の濃度はこれに限定される
ものではないが、3〜50mass%であることが好ま
しく、5〜30mass%であることがより好ましく、
5〜25mass%であることが更に好ましい。連鎖移
動剤濃度が3mass%未満であると、粘着性が生じや
すいため、製造上不都合が生じることがあり、連鎖移動
剤の濃度が50mass%を超えるとグラフト重合が進
行しにくく、イオン交換容量が低下する傾向がある。
【0044】本発明の製造方法において用いるグラフト
重合溶液には、更に反応開始剤を含んでいることができ
る。この反応開始剤としては、例えば、ベンゾフェノ
ン、過酸化物、又はアゾ化合物を使用することができ
る。
【0045】本発明の製造方法において用いるグラフト
重合溶液に含有することのできる反応開始剤(特にはベ
ンゾフェノン)の濃度は、これに限定されるものではな
いが、0.05〜2mass%であることが好ましく、
0.08〜1.5mass%であることがより好まし
く、0.1〜1mass%であることが更に好ましい。
反応開始剤濃度が0.05mass%未満であると、グ
ラフト重合が充分に進行しにくく、イオン交換容量が低
下する傾向があり、反応開始剤濃度が2mass%を超
えても、必ずしも効率よくグラフト重合が進行するとは
限らないためである。
【0046】本発明の製造方法において用いるグラフト
重合溶液の溶媒(分散媒)としては、特に限定されるも
のではないが、例えば、水、アルコール、又はアセトン
を用いることができる。
【0047】前述のような不織布に対して、上述のよう
なグラフト重合溶液を付着させるが、その方法として
は、例えば、(1)グラフト重合溶液を不織布に対して
塗布又は散布する方法、(2)グラフト重合溶液中に不
織布を浸漬する方法、などを挙げることができる。
【0048】なお、不織布に余分なグラフト重合溶液が
含まれていると、重力によってグラフト重合溶液が偏在
し、結果として偏在した状態でグラフト重合することに
なるため、余分なグラフト重合溶液を除去するのが好ま
しい。すなわち、グラフト重合溶液の量が不織布の面密
度の0.5〜2.5倍量となるように、例えば、一対の
ロール間を通したり、平板プレスにより、余剰のグラフ
ト重合溶液を除去するのが好ましい。
【0049】また、グラフト重合溶液を不織布に付着さ
せる前に、グラフト重合溶液と不織布との馴染みを更に
良くするために、例えば、紫外線照射、コロナ放電、或
いはプラズマ放電などにより不織布の表面処理を実施し
ても良い。
【0050】次いで、グラフト重合溶液が付着した不織
布に対して、エネルギーを付与することにより、イオン
交換基を有するモノマー、イオン交換基を有するモノマ
ーに由来するオリゴマー、イオン交換基を有するモノマ
ーに由来するポリマーの中から選ばれる少なくとも1つ
を、エチレン系繊維にグラフト重合して、本発明のイオ
ン交換性不織布を得ることができる。
【0051】本発明におけるエネルギー付与処理は、イ
オン交換基を有するモノマー等がグラフト重合するエネ
ルギーを付与する限り特に限定されるものではなく、例
えば、紫外線照射、遠赤外線照射、放射線照射、或いは
熱重合などを挙げることができる。これらの方法の中で
も、繊維表面のみでグラフト重合させることができ、し
かも反応開始剤のラジカル発生時間が短く、短時間でグ
ラフト重合可能である点で、紫外線照射が好ましい。
【0052】このエネルギー付与処理は、不織布に付着
したグラフト重合溶液からのイオン交換基を有するモノ
マー等や溶媒(分散媒)の蒸散を抑制し、グラフト重合溶
液の偏在や濃度の変化を低減し、安定したグラフト重合
を実施できるように、グラフト重合溶液が付着した不織
布の上面及び下面の全領域を非通気性フィルムで覆った
状態で実施するのが好ましい。この非通気性フィルム
は、気体(例えば、酸素やグラフト重合溶液の蒸気な
ど)を通さないフィルムである限り特に限定されるもの
ではないが、エネルギーとして光を照射する場合には、
グラフト反応の進行を妨げないように、反応開始剤の吸
収波長における光透過度が高い(例えば、80%以上)
非通気性フィルムを使用するのが好ましい。例えば、3
65nm中心の紫外線を照射する場合には、ポリオレフ
ィン系フィルム(例えば、ポリエチレンフィルム又はポ
リプロピレンフィルム)を用いることが好ましい。
【0053】このようにグラフト重合を実施した不織布
は、例えば、水、温水、湯、又はアルコールなどによっ
て充分に洗浄することが好ましい。グラフト重合を実施
した不織布は多少の未反応物(例えば、イオン交換基を
有するモノマー、イオン交換基を有するモノマーに由来
するオリゴマー、イオン交換基を有するモノマーに由来
するポリマーなど)や反応副生成物(例えば、ホモポリ
マー)を含んでいる場合があるためである。
【0054】このようにして製造したイオン交換性不織
布に対して、更に親水化処理(例えば、放電処理)を実
施することもできる。更に親水化することにより、水な
どの液体濾過をする際に、液体とのなじみを良くするこ
とができる。
【0055】以下に本発明の実施例を記載するが、本発
明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0056】
【実施例】(実施例1)常法の複合紡糸装置により温度
260℃で紡糸し、3倍延伸して、メタクリル酸−エチ
レンコポリマー(酸成分比:15mass%、融点:9
1℃)からなる鞘成分と、ポリプロピレン(融点:16
0℃)からなる芯成分とからなる、芯鞘型エチレン系繊
維(繊度:2.4dtex、繊維長:10mm、芯鞘比
=1:1、鞘成分が100%繊維表面を占める)を製造
した。
【0057】次いで、この芯鞘型エチレン系繊維100
%からなるスラリーから、常法の湿式抄造法により繊維
ウエブを形成した。
【0058】次いで、この繊維ウエブを温度100℃に
設定されたドライヤー(無圧下)により加熱した後、線
圧力10N/cmのカレンダーにより押圧して、芯鞘型
エチレン系繊維の鞘成分を融着させて融着不織布を製造
した。
【0059】他方、次の配合成分(1)〜(6)からな
るグラフト重合溶液を調製した。 (1)アクリル酸モノマー 30mass% (2)ベンゾフェノン 0.1mass% (3)硫酸鉄 0.4mass% (4)ノニオン系界面活性剤 1.0mass% (5)ポリエチレングリコール(重合度:400) 10mass% (6)水 58.5mass%
【0060】次いで、前記融着不織布に前記グラフト重
合溶液を含浸した後(融着不織布の面密度の1.6倍量
のグラフト重合溶液を含有)、2枚の非通気性ポリプロ
ピレンフィルムでサンドイッチ状に覆い、融着不織布の
両側に1個ずつ配置したメタルハライド水銀灯から18
0mW/cm2の照度で、365nm中心の紫外線を空
気中で20秒間照射して、グラフト重合を実施した。
【0061】次いで、グラフト重合した融着不織布を充
分に水洗いし、乾燥した後、本発明のイオン交換性不織
布(面密度=63.5g/m2、100%イオン交換性
繊維からなる)を製造した。
【0062】(実施例2)次のような配合成分(1)〜
(6)からなるグラフト重合溶液を使用したこと以外は
実施例1と全く同様にして、本発明のイオン交換性繊維
シート(面密度=74.1g/m2、100%イオン交
換性繊維からなる)を製造した。 (1)アクリル酸モノマー 40mass% (2)ベンゾフェノン 0.5mass% (3)硫酸鉄 0.4mass% (4)ノニオン系界面活性剤 1.0mass% (5)ポリエチレングリコール(重合度:400) 10mass% (6)水 48.1mass%
【0063】(実施例3)常法の複合紡糸装置により温
度260℃で紡糸し、3倍延伸して、メタクリル酸−エ
チレンコポリマー(酸含有量:5%、融点:102℃)
からなる鞘成分と、ポリプロピレン(融点:160℃)
からなる芯成分とからなる、芯鞘型エチレン系繊維(繊
度:2.4dtex、繊維長:10mm、芯鞘比=1:
1)を製造した。
【0064】次いで、この芯鞘型エチレン系繊維100
%からなるスラリーから、常法の湿式抄造法により繊維
ウエブを形成した。
【0065】次いで、この繊維ウエブを温度110℃に
設定されたドライヤー(無圧下)により熱処理した後、
線圧力10N/cmのカレンダーにより押圧して、芯鞘
型エチレン系繊維の鞘成分を融着させて融着不織布を製
造した。
【0066】次いで、この融着不織布を実施例2と全く
同様にグラフト重合し、水洗して、本発明のイオン交換
性繊維シート(面密度=69.4g/m2、100%イ
オン交換性繊維からなる)を製造した。
【0067】(比較例1)常法の複合紡糸装置により温
度260℃で紡糸し、3倍延伸して、高密度ポリエチレ
ン(融点:135℃)からなる鞘成分と、ポリプロピレ
ン(融点:160℃)からなる芯成分とからなる、芯鞘
型エチレン系繊維(繊度2.4dtex、繊維長10m
m、芯鞘比=1:1、鞘成分が100%繊維表面を占め
る)を製造した。
【0068】次いで、この芯鞘型エチレン系繊維100
%からなるスラリーから、常法の湿式抄造法により繊維
ウエブを形成した。
【0069】次いで、この繊維ウエブを温度135℃に
設定されたドライヤー(無圧下)により加熱した後、線
圧力10N/cmのカレンダーにより押圧して、芯鞘型
エチレン系繊維の鞘成分を融着させて融着不織布を製造
した。
【0070】次いで、実施例1と全く同様にグラフト重
合し、水洗して、比較用イオン交換性繊維シート(面密
度=55.6g/m2)を製造した。
【0071】(比較例2)グラフト重合処理における紫
外線照射時間を60秒間としたこと以外は、比較例1と
全く同様にして、比較用イオン交換性繊維シート(面密
度=58.9g/m2)を製造した。
【0072】(比較例3)前記比較例1と同様にして、
融着不織布を製造した。
【0073】次いで、前記融着不織布を用いたこと以外
は、実施例2と全く同様にして、比較用イオン交換性繊
維シート(面密度=57.7g/m2)を製造した。
【0074】(比較例4)常法の複合紡糸装置により温
度260℃で紡糸し、3倍延伸して、メタクリル酸−エ
チレンコポリマー(酸含有量:2%、融点:105℃)
からなる鞘成分と、ポリプロピレン(融点:160℃)
からなる芯成分とからなる、芯鞘型エチレン系繊維(繊
度:2.4dtex、繊維長:10mm、芯鞘比=1:
1)を製造した。
【0075】次いで、この芯鞘型エチレン系繊維100
%からなるスラリーから、常法の湿式抄造法により繊維
ウエブを形成した。
【0076】次いで、この繊維ウエブを温度115℃に
設定されたドライヤー(無圧下)により熱処理した後、
線圧力10N/cmのカレンダーにより押圧して、芯鞘
型エチレン系繊維の鞘成分を融着させて融着不織布を製
造した。
【0077】次いで、この融着不織布を実施例2と全く
同様にグラフト重合し、水洗して、本発明のイオン交換
性繊維シート(面密度=60.6g/m2)を製造し
た。
【0078】前記実施例1〜3で製造した本発明のイオ
ン交換性繊維シート、および前記比較例1〜4で製造し
た比較用イオン交換性繊維シートについて、(1)グラ
フト率、(2)イオン交換容量、及び(3)ポリマー転
化率を、以下の方法により求めた。また、グラフト重合
した融着不織布の洗浄性から(4)反応副生成物の生成
について比較を行った。これらの結果は表1に示す通り
であった。
【0079】(1)グラフト率 次の式によりグラフト率を算出した。 グラフト率(%)=A/B×100 A:グラフト重合処理により導入されたポリマーの質量 B:グラフト重合処理を実施する前の繊維全体(=融着
不織布)の乾燥質量
【0080】(2)イオン交換容量 前述の方法により、イオン交換容量を測定した。
【0081】(3)ポリマー転化率 次の式によりポリマー転化率を算出した。 ポリマー転化率(%)=A/(B×C)×100 A:グラフト重合処理により導入されたポリマーの質量 B:不織布に含浸付与したグラフト重合溶液の質量 C:グラフト重合溶液おけるアクリル酸モノマーの配合
【0082】(4)グラフトした融着不織布の洗浄性 グラフト重合した融着不織布の洗浄時における、反応副
生成物の除去および洗浄性について、次の基準により評
価した。 ○:反応副生成物の生成量が少なく、洗浄が容易である △:反応副生成物の生成量が多く、洗浄が困難である
【0083】
【表1】
【0084】この表1から明らかなように、本発明のイ
オン交換性繊維シートはイオン交換容量が2meq/g
を超えるイオン交換能の高いものであった。また、本発
明の製造方法によれば、反応副生成物の発生量が少な
く、効率良くグラフト重合できることがわかった。
【0085】
【発明の効果】本発明のイオン交換性繊維シートはイオ
ン交換容量の高いものである。
【0086】本発明のイオン交換性繊維シートの製造方
法は、反応副生成物の生成を抑制して効率良くグラフト
重合できる。このように反応副生成物の生成を抑制して
グラフト重合できるため、イオン交換容量の高いイオン
交換性繊維シートを製造でき、イオン交換性繊維シート
の洗浄工程を簡素化でき、しかも環境へ与える影響を最
小限に抑えることができる。更には、温和な条件下にお
いてグラフト重合を実施することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08F 255/02 C08F 255/02 C08J 5/20 CES C08J 5/20 CES 101 101 D04H 1/42 D04H 1/42 K 1/54 1/54 C // C08L 23:04 C08L 23:04 D06M 101:20 D06M 101:20 (72)発明者 田中 政尚 茨城県猿島郡総和町大字北利根7番地 日 本バイリーン株式会社内 (72)発明者 山崎 洋昭 茨城県猿島郡総和町大字北利根7番地 日 本バイリーン株式会社内 Fターム(参考) 4F071 AA15X AA20 AA32 AA32X AA36 AA77 AH02 FA01 FA05 FA06 FA09 FA10 FB01 FB02 FC06 FC11 FC13 FD01 FD02 FD03 FD04 4J011 CA03 CA08 CC02 CC07 4J026 AA12 AA13 AA38 AC04 BA02 BA06 BA25 BA34 BA39 BA40 BA41 BB03 DB07 DB24 DB36 GA01 GA06 4L033 AA05 AB01 AB07 AC15 CA12 CA13 CA18 4L047 AA14 AA18 AA27 BA07 BA09 BB02 BB09 CB10 CC12 DA00 EA10

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸誘
    導体、不飽和カルボン酸無水物の中から選ばれる一種類
    以上とエチレンとからなり、その酸成分比が5mass
    %以上であるエチレンコポリマーが少なくとも繊維表面
    の一部を占めるエチレン系繊維に、イオン交換基を有す
    るモノマー、イオン交換基を有するモノマーに由来する
    オリゴマー、イオン交換基を有するモノマーに由来する
    ポリマーの中から選ばれる少なくとも1つがグラフト重
    合したイオン交換性繊維を含んでいることを特徴とする
    イオン交換性繊維シート。
  2. 【請求項2】 エチレンコポリマーが、アクリル酸−エ
    チレンコポリマー又はメタクリル酸−エチレンコポリマ
    ーであることを特徴とする、請求項1に記載のイオン交
    換性繊維シート。
  3. 【請求項3】 イオン交換容量が2meq/g以上であ
    ることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のイ
    オン交換性繊維シート。
  4. 【請求項4】 不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸誘
    導体、不飽和カルボン酸無水物の中から選ばれる一種類
    以上とエチレンとからなり、その酸成分比が5mass
    %以上であるエチレンコポリマーが少なくとも繊維表面
    の一部を占めるエチレン系繊維を含む繊維シートに、イ
    オン交換基を有するモノマー、イオン交換基を有するモ
    ノマーに由来するオリゴマー、イオン交換基を有するモ
    ノマーに由来するポリマーの中から選ばれる少なくとも
    1つを含むグラフト重合溶液を付与した後、この繊維シ
    ートに対して、エネルギーを付与することにより、イオ
    ン交換基を有するモノマー、イオン交換基を有するモノ
    マーに由来するオリゴマー、イオン交換基を有するモノ
    マーに由来するポリマーの中から選ばれる少なくとも1
    つを、エチレン系繊維にグラフト重合することを特徴と
    する、イオン交換性繊維シートの製造方法。
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