JP3782050B2 - 吸水性複合体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙おむつ、生理用ナプキン等の製造に有用な吸水性複合体の製造方法に関する。本製造方法によれば、繊維質基材のしなやかさを保持しつつ、高い吸水速度及び高い吸水量を有する吸水性複合体を製造できる。
【0002】
【従来の技術】
従来、紙おむつ、生理用ナプキン等に用いられる吸水性複合体は、一般に紙、パルプ、不織布等の繊維質基材上に、架橋したポリアクリル酸等の吸水性樹脂粉末を均一に分散させ、固着させて製造されている。しかし、この製造方法による場合は、繊維質基材に吸水性樹脂粉末を確実に固着し難い。また粉末を取扱う点で操作が煩雑である。
【0003】
上記問題を解決するため、アクリル酸及びアクリル酸塩からなる単量体混合物水溶液を繊維質基材に散布した後、これに電離放射線や微粒子イオン化放射線等を照射することにより前記散布した単量体混合物を重合させて吸水性樹脂を繊維質基材に固着させる方法が知られている。
【0004】
特許文献1には、アクリル酸塩系の単量体と水溶性ラジカル重合開始剤との混合液を調製し、この混合液をウェブ、織布、不織布等の繊維質基材に噴霧した後、ラジカル重合開始剤を用いる熱重合法により、前記噴霧した単量体を重合させる吸水性複合体の製造方法が記載されている。また、特許文献2には、同様な吸水性複合体に関して、繊維質基材として空隙率が50〜99.5%であること、基材に担持された吸水性樹脂粒子の1次粒子径が50〜1000μmであり、また基材1m2当りの吸水性樹脂担持量が10〜500gであることが好ましいと記載されている。
【0005】
上記特許文献1および特許文献2に記載の発明によれば、基材を構成する繊維上で単量体水溶液が重合するために得られる吸水性樹脂粒子は繊維と一体となっており、粉末の吸水性樹脂を繊維質基材に適用する際に生じる問題点の多くは解決された。
【0006】
しかしながら、前記各公報に記載された発明では、基材1m2当りの吸水性樹脂担持量を増加させても、得られる吸水性材料の吸水量がそれに比例して増加しないという問題があった。すなわち、吸水性樹脂担持量が100g/m2以上では担持量をさらに増加させても、その増加に見合う吸水量の増加は得られなかった。さらに、担持量が多量な場合には、未反応単量体が残存し易いという問題も発生した。
【0007】
また、特許文献3には、基材を構成する繊維上に担持された単量体水溶液をUV照射により重合させるという手段により、同様な吸水性複合材を製造する方法が開示されている。同公報記載の発明においては、未反応単量体が残らないように、UV重合により単量体の大半を重合させた後に、電子線を照射し、さらにその後にUVを照射することにより重合転換率を高めることが好ましいとされている。要するに、UV重合法を採用する場合にも未反応単量体を残さないで吸水性複合材を製造するためには、複雑な製造工程を採用せざるを得ないのが現状であった。
【0008】
【特許文献1】
特公平7−74277号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開平9−67403号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】
特開平1−292103号公報(第1〜3頁)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明においては、多量の吸水性樹脂を担持しており、吸水量および吸水速度に優れ、かつ未反応単量体を僅かにしか含まない吸水性複合体を工業的な規模で製造する方法の提供を課題とした。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、加熱により起毛させた繊維質基材を用い、かつ単量体の水溶液を霧状にして塗布した後、単量体水溶液の微細粒子を重合させるという手段の採用により、生成する吸水性樹脂を繊維質基材の繊維を中心軸とする独立分離した略球状の微細粒子として数珠状に担持させることができ、このようにして製造した吸水性複合体は、吸水性樹脂の担持量と比例して吸水量が増加することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、加熱により起毛させた繊維質基材上に、アクリル酸および/またはその塩を主成分とする単量体水溶液を霧状にして塗布し、前記単量体水溶液を微細粒子状で担持させた繊維質基材を得た後、該繊維質基材上の単量体を重合させることにより、吸水性樹脂を形成させることを特徴とする吸水性複合体の製造方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明における繊維質基材としては、加熱による起毛が容易に行える点で不織布が好ましい。不織布は、一般的にはベース繊維をバインダー繊維で熱融着させることにより製造されるが、本発明においては、ベース繊維として繊度(繊維の太さ)2.0〜20dtexで繊維長32〜128mmの繊維が使用された不織布を用いることがより好ましい。ベース繊維の繊度が2.0dtex未満であると得られる不織布の通気性が不足し易く、一方20dtexを越えると吸水性樹脂の付着量を多くすることが難しい。ベース繊維の繊維長が32mm未満であると加熱による起毛処理を行っても繊維の起毛が不足し、吸水性樹脂の担持量が過少となり易く、一方128mmを越えると不織布製造の際に行われるカーデイング処理が難しくなる。
【0013】
不織布の目付けとしては10〜100g/m2が適当であり、不織布の嵩高性は、不織布1g当りの容積すなわち比容積で0.1×102〜2.0×102ml/gが好ましい。なお、本発明において不織布は、狭義の不織布すなわちバインダーでベース繊維が固着された繊維ウェブの他に、カーデイングまたはエアレイングしたウェブおよび繊維のゆるいパッドを総称する。
【0014】
ベース繊維の素材としては、単量体水溶液を霧状にして基材表面に塗布する際に微細粒子状で繊維に付着する点で非親水性樹脂が好ましく、具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニルおよびポリ塩化ビニリデン等が挙げられる。また、レーヨン、木綿、再生セルロース繊維等の親水性繊維を少量成分として用いた不織布も好ましく使用できる。
【0015】
かかる非親水性樹脂からなる繊維をベース繊維として用いた不織布は、単量体水溶液、即ち重合後には吸水性樹脂を微細粒子状で繊維に固着できる点では好ましいが、繊維質基材そのものにある程度の親水性がないと、これを使用して得られる吸水性複合体を紙おむつや生理用品等に使用する際に、液洩れ等が発生し易い。そのため、本発明においては、親水化処理を施した不織布、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフェノールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキル脂肪酸エステルまたはポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマー等のノニオン性界面活性剤、高級脂肪酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルコハク酸塩またはアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤をコーティングした不織布等が好ましい。
【0016】
具体的な親水化処理方法としては、ベース繊維を紡糸する際に樹脂に上記界面活性剤すなわち親水化剤を混合しておき、それを紡糸してもよいし、また溶媒等に溶解した親水化剤を紡糸後の繊維に散布してもよい。
【0017】
本発明においては、上記繊維質基材を加熱により起毛させて使用する。加熱温度は繊維質基材のベースの軟化点付近が好ましく、実用的には70〜150℃から選択される。加熱時間は、加熱温度によっても異なるが、通常数〜180秒間が適当である。さらに好ましい加熱条件は、80〜110℃で20〜60秒の加熱である。加熱手段は限定されず、繊維質基材を加熱炉内を所定時間かけて通過させてもよいし、熱風を繊維質基材に当てるか、または赤外線ランプ等によって加熱してもよい。
【0018】
上記の方法等による加熱により、繊維質基材を構成する繊維の一部が基材面と垂直の方向に配向する結果、繊維質基材はそれに使用されているベース繊維の繊維長によっても異なるが、通常その体積が起毛処理前の1.3〜3.0倍程度に膨らむ。ベース繊維の繊維長および加熱条件を適宜選択することにより、加熱による起毛処理で、繊維質基材の体積を起毛処理前の1.5〜2.5倍に膨らませることが好ましい。
【0019】
なお、不織布または繊維ウェブ等の起毛処理手段としては、加熱以外にも、例えば針山の付いたロールを用いる方法等が知られているが、加熱以外の機械的な起毛処理では、後記する単量体水溶液を繊維上に微細粒子として多量に付着させることができなく、得られる吸水性複合体の吸水量および吸水速度が劣る。
【0020】
本発明においては、上記加熱処理によって起毛処理を施された繊維質基材(通常はシート状である)にアクリル酸および/またはその塩(以下アクリル酸系単量体と総称する)を主成分とする単量体の水溶液を霧状にして塗布する。好ましい単量体は、アクリル酸のうちの20〜90モル%がアルカリ金属塩またはアンモニウム塩に変換されているアクリル酸とアクリル酸塩の混合物である。アクリル酸系単量体以外の単量体も併用することができ、具体例としては、メタクリル酸またはその塩、(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよび2―アクリルアミド―2−メチルプロパンスルホン酸またはその塩等が挙げられる。かかる単量体の好ましい使用量は、アクリル酸系単量体との合計量を基準にして20モル%以下である。
【0021】
単量体水溶液における単量体の好ましい濃度は、20〜80質量%である。単量体濃度が高ければ、繊維質基材上に吸水性樹脂を多量に担持させ易く、また単量体を重合させた後に乾燥するが、その際の熱エネルギーが削減できる。従って、できる限り高濃度の単量体水溶液を使用することが好ましく、通常は、単量体の飽和溶解度付近の濃度が選択される。
【0022】
上記単量体水溶液には、単量体以外に、架橋剤および光重合開始剤等を添加することが好ましい。
【0023】
架橋剤としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、N,N'−メチレンビスアクリルアミド、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートおよびトリアリルホスフェート等が例示できる。
【0024】
架橋剤の添加割合は、単量体合計質量に対して100〜1000ppmが好ましく、300〜750ppmが特に好ましい。
【0025】
単量体の重合は、一般的なラジカル重合法によって行うことができ、その際の重合開始方法としては、熱によりラジカルを発生する化合物を重合開始剤として用いる熱重合法、または紫外線、電子線等の活性エネルギー線の照射により重合開始させる方法等が採用できる。好ましくは、熱重合法または光重合開始剤の存在下に紫外線照射する方法(以下、UV照射重合法という)であり、特に好ましくはUV照射重合法である。
【0026】
熱重合開始剤としては、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、t−ブチルハイドロパーオキサイド及びクメンハイドロパーオキサイド等の水溶性ラジカル重合開始剤が挙げられる。これらの化合物は、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、L−アスコルビン酸またはアミン等の還元性化合物と併用して、レドックス系重合開始剤として使用しても良い。
【0027】
前記単量体をUV照射重合法で重合させる場合に使用する光重合開始剤としては、特に制限が無く、紫外線によりラジカルを発生させることのできる光重合開始剤であれば何れのものでも使用でき、公知の光重合開始剤を適宜目的に応じて選択して使用できる。具体的には、2,2’−アゾビス(2−アミノジプロパン)塩等のアゾ化合物、1−ベンゾイル−1−ヒドロキシシクロヘキサン及びベンゾフェノン等のケトン、ベンゾイン及びそのアルキルエーテル、ベンジルケタール類、並びにアントラキノン誘導体等を例示できる。
【0028】
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン等のベンゾイル系、2,2’−アゾビス{2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン}等のアゾ系のものが好ましい。
【0029】
光重合開始剤の添加量は、単量体に対して100〜2000ppmが好ましい。光重合開始剤の濃度が100ppm未満の場合は、充分に重合が起らず、また2000ppmを超える場合は得られる重合体の重合度が低下する。
【0030】
上記光重合開始剤に加えて、熱分解型ラジカル重合開始剤を併用することが好ましい。この開始剤を併用することにより、UV重合と並行的に熱重合も起り、その結果重合転換率が上がり未反応単量体の残存量を低減できる。熱分解型ラジカル重合開始剤の添加量は、単量体に対して100〜5000ppmが好ましく、特に500〜2000ppmが好ましい。
【0031】
重合は温度50〜80℃で行うことが好ましく、従って熱分解型ラジカル重合開始剤としては、水中にて80℃以下で分解してラジカルを発生する化合物が好ましく、具体的には過硫酸アンモニウムや過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩が挙げられる。
【0032】
単量体水溶液には、更に添加剤として、連鎖移動剤や界面活性剤等を必要により添加しても良い。
【0033】
上記単量体水溶液は、前記のとおり霧状にして起毛された繊維質基材上に塗布(散布)される。単量体水溶液を霧状にする方法としては、公知の微粒化技術を利用できる。例えば、滴化法、スプレーノズルを用いた液滴化法、回転盤型アトマイザーを用いた液滴化法、超音波法等が挙げられる。
【0034】
液滴の平均径は、50〜500μmが好ましい。平均径が50μmに満たない場合は、繊維質基材に吹付けた液滴が繊維質基材に付着することなく裏側まで突抜けやすくなるため、繊維質基材へ付着し難くなる場合がある。液滴の平均径が500μmを超える場合は、液滴の付着が不均一となり、その結果重合して得られる吸水性複合体の吸水量および吸水速度は不十分となる場合がある。50〜500μmの大きさの単量体水溶液は重合、乾燥工程を経ることにより、概略30〜300μmの吸水性樹脂粒子となって、繊維質基材に担持されることになる。
【0035】
単量体水溶液の好ましい塗布量は、その重合によって得られる100g/m2以上となる量であり、さらに好ましくは200g/m2以上である。繊維質基材に担持される吸水性樹脂の量が100g/m2に達していないと、得られる吸水性複合材の吸水量および吸水速度が不足し易い。単量体水溶液の塗布は複数回に分けて行ってもよい。すなわち、最初にスプレー等で単量体水溶液を塗布し、次いで3〜20秒間ほど紫外線を照射した繊維質基材上に、再び単量体水溶液を塗布し、紫外線を照射するという操作を繰り返し行ってもよい。
【0036】
上述のようにして単量体水溶液が塗工された繊維質基材に紫外線(UV)を照射するか、または該基材を所望の温度に加熱して、アクリル酸系単量体を架橋剤の存在下に重合させる。
【0037】
重合に際しては、単量体を取り囲む雰囲気を窒素ガス等の不活性ガスで置換し、酸素を極力排除することが好ましい。
【0038】
紫外線ランプとしては、高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等の250〜450nmの波長を照射可能なもので、30〜240W/cmのランプ入力の水銀ランプが好ましい。紫外線照射量は100〜10000mj/cm2、より好ましくは2000〜6000mj/cm2である。必要な線量に応じて水銀ランプを多数並べて使用することができる。
【0039】
上記のUV重合により単量体の大半(約90%以上)が5〜60秒程度で重合を完結する。この際、重合温度は基材に塗布された単量体水溶液の微粒子の温度として80〜90℃程度と推測される。このようにして、水分を15〜30質量%程度および未反応単量体を0.1〜10質量%含む含水重合体粒子が得られる。
【0040】
以下、さらに適当な時間加熱を継続し、未反応単量体を低減させるとともに上記含水重合体粒子を乾燥させることにより、目的とする吸水性複合体(シート)が得られる。得られた吸水性複合体は、吸水性能(液拡散性、液逆戻り防止性等)をより一層向上させる点で、熱ロールまたはエンボスロール等により熱プレスすることが好ましい。
【0041】
含水重合体粒子を得た直後に、その表面層の架橋度をさらに上げるために、カルボキシル基と反応性のエポキシ基等を複数個有する架橋剤(以下表面処理剤という)の水溶液を上記含水重合体粒子に散布することが望ましい。
【0042】
表面処理剤としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリオール、エチレンジアミン等のポリアミンを例示できる。表面処理剤の添加量は、吸水性樹脂粒子に対して100〜1000ppmが好ましい。
【0043】
以下、図1を使用して、本発明の吸水性複合体の製造方法を取り入れた、吸水性複合シートの連続的な製造工程の一例について説明する。
【0044】
図1中2は、巻回された不織布からなる繊維質基材ロールである。
このロール2に巻回された繊維質基材は液透過性、ガス透過性にすぐれたものが好ましい。
【0045】
前記ロール2から繰出された繊維質基材4は、次いで起毛処理部6に送られ、ここで加熱されて、起毛処理が施される。起毛処理のための処理条件は既に詳述した。起毛処理の条件を調節することにより、繊維質基材は嵩高性が増し、繊維質基材の1g当りの容積(比容積)は起毛処理前の繊維質基材の1.3倍以上、好ましくは1.5〜3倍とすることができる。
【0046】
上記加熱処理によって連続的に起毛処理を施された繊維質基材4には、次いでスプレーノズル7により架橋剤、重合開始剤等が含まれた単量体水溶液が塗布される。繊維質基材4は巻き取ることなく、起毛処理後連続して単量体水溶液の塗工処理をすることが好ましい。起毛した繊維質基材を巻き取ってしまうと、繊維質基材に荷重が掛かり起毛の効果が損われる場合がある。
【0047】
なお、図1中、8は単量体及び架橋剤等の水溶液を収納する単量体水溶液槽、10は重合開始剤等の添加剤水溶液を収納する添加剤槽である。これらの各槽中の架橋剤および単量体の水溶液と、重合開始剤等の添加剤の水溶液とは混合され、前記スプレーノズル7に供給される。
【0048】
本例に於いては、重合開始剤として光重合開始剤に加えて、熱分解型ラジカル重合開始剤を併用している。
【0049】
上述のようにして単量体水溶液が塗工された繊維質基材4は、次いで複数の紫外線ランプ12を上部に備えた第1重合処理部100に送られ、ここで上方から紫外線を照射されることにより繊維質基材4に塗工された単量体が重合せしめられる。第1重合処理部100内は窒素ガス等の不活性ガス雰囲気に保たれ、酸素は極力排除される。紫外線ランプ12としては、水銀ランプや、メタルハライドランプが好ましい。紫外線照射量は100〜10000mj/cm2、より好ましくは4500〜6000mj/cm2である。
【0050】
その後、第1重合処理部100を通過した繊維質基材4に、再度スプレーノズル14を用いて前記と同様の単量体水溶液が塗工される。これにより、繊維質基材4に十分な量の単量体が担持される。
【0051】
次に、再度単量体水溶液が塗工された繊維質基材4は第2重合処理部110に送られる。第2重合処理部110は、第1重合処理部100と同様に内部が不活性雰囲気に保持されていると共に、上部には複数の紫外線ランプ16が備えられており、この紫外線ランプの照射する紫外線により前記再度塗工した単量体が重合させられる。
【0052】
第2重合処理部110の後段には、表面処理剤槽18内に貯留した表面処理剤を噴霧する表面処理剤塗工用スプレーノズル20が配備されている。この塗工用スプレーノズル20により、前記第2重合処理部110を通過した繊維質基材4に表面処理剤が塗工される。
【0053】
前記表面処理剤塗工用スプレーノズル20の後段には、第3重合処理部120が設けられている。この第3重合処理部120は、前記第2重合処理部110と同様に不活性ガス雰囲気に保たれており、その上部には複数の紫外線ランプ22が取付けられている。
【0054】
表面処理剤を塗工された繊維質基材4は、この第3重合処理部120を通過する際に、紫外線を照射され、光ラジカル重合が行われると共に、光ラジカル重合の進行に伴い発生する重合熱による温度上昇により、熱重合開始剤が作用して熱重合が開始され、これにより残存単量体は殆ど消滅する。更に、表面処理剤により、吸水性樹脂粒子の表面近傍の架橋密度が高められる。
【0055】
前記第3重合処理部120の下方には、保温部130が構成されており、前記吸水性樹脂粒子を付着した繊維質基材4がここを通過することにより吸水性樹脂粒子が乾燥され、これにより本発明の吸水性複合体24が得られる。
【0056】
保温部130内の温度は70〜120℃が好ましい。
【0057】
上記のようにして製造された本発明の吸水性複合体24は、次いで熱圧縮ロール26により熱圧縮される。
【0058】
吸水性複合体に熱圧縮を施す方法としては、従来公知の各種方法が採用できるが、図1に示すように、加熱手段を備えた互いに対向する1対のロール26間に、吸水性複合体を通過させて連続的に熱圧縮処理を施す方法が好ましい。
【0059】
上記熱圧縮処理後、吸水性複合体は巻取られ、これにより製品吸水性複合体ロール28が得られる。
【0060】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
【0061】
【実施例】
実施例1
アクリル酸ナトリウム70mol%、アクリル酸30mol%からなる単量体水溶液(単量体合計含有量42質量%)に、架橋剤としてテトラエチレングリコールジアクリレート(東亞合成株式会社製 アロニックスM−240)0.05質量%(単量体質量基準)を添加し、この単量体水溶液を20℃に冷却した。次いで、この単量体水溶液に窒素ガスを吹込み、溶存酸素濃度を1ppm以下に低減させた。
【0062】
この単量体水溶液に、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニル−ケトン0.02質量%(単量体質量基準)、熱重合開始剤として過硫酸ナトリウム0.15質量%(単量体質量基準)を添加した。
【0063】
一方、PE/PPからなるエアスルー不織布1(嵩密度 50cm3/g、目付 40g/m2)を110℃で、3分間オーブン中で加熱処理して、不織布2(嵩密度 100cm3/g)を得た。
【0064】
不織布2に前記調製した単量体水溶液をスプレーノズルを用いて238g/m2となるように塗工した。この単量体水溶液をスプレーした不織布2に、窒素雰囲気下で高圧水銀ランプを用いて紫外線を照射した。紫外線光量は2500mj/cm2であった。
【0065】
得られた吸水性複合体は柔軟性があり、吸水性樹脂粒子が100g/m2付着していた。この吸水性複合体を0.9質量%の生理食塩水に5分間浸漬したところ、吸水して5.0kg/m2になった。
【0066】
比較例1
不織布2を不織布1に変更した以外は実施例1と同様に操作して吸水性複合体を得た。得られた吸水性複合体はやや剛性があり、吸水性樹脂粒子が100g/m2付着していた。この吸水性複合体を検討例1と同様に0.9質量%の生理食塩水に5分間浸漬したところ、吸水して2.5kg/m2となった。
【0067】
図2(A)に実施例1で得られた吸水性複合体の電子顕微鏡写真を示す。繊維に細かな粒子状の吸水性樹脂が、いわゆる数珠つなぎになって付着しており、各粒子は相互に独立して存在していることが分る。
【0068】
図2(B)は、比較例1で得られた吸水性複合体の電子顕微鏡写真を示す。この場合、吸水性樹脂の形状は独立した球状ではなく、複数の粒子が互いに融合して大きな連続した板状の粒子となっていることが認められる。
【0069】
【発明の効果】
本発明の吸水性複合体の製造方法においては、繊維質基材を予め加熱による起毛処理しているので、基材の繊維に吸水性樹脂粒子を確実に互いに独立していわゆる数珠繋ぎの状態で付着できる。このようにして製造した吸水性複合体は、その内部に吸着性樹脂粒子が互いに独立して均一に分散されているので、吸水速度が高く、吸水量が大きく、且つ柔軟性が高い。このため本発明方法により製造する吸水性複合体は、例えば紙おむつ等の衛生材料に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の吸水性複合体の連続的製造方法に用いる製造装置の一例を示す構成図である。
【図2】(A)は検討例1で製造した吸水性複合体を示す図面代用電子顕微鏡写真、(B)は比較検討例1で製造した吸水性複合体を示す図面代用電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
2 繊維質基材ロール
4 繊維質基材
6 起毛処理部
7、14 スプレーノズル
8 単量体水溶液槽
10 添加剤槽
12、16、22 紫外線ランプ
18 表面処理剤槽
20 表面処理剤塗工用スプレーノズル
24 吸水性複合体
26 熱圧縮ロール
28 製品吸水性複合体ロール
100 第1重合処理部
110 第2重合処理部
120 第3重合処理部
130 保温部

Claims (5)

  1. 加熱により起毛させた繊維質基材上に、アクリル酸および/またはその塩を主成分とする単量体水溶液を霧状にして塗布し、前記単量体水溶液を微細粒子状で担持させた繊維質基材を得た後、該繊維質基材上の単量体を重合させることにより、吸水性樹脂を形成させることを特徴とする吸水性複合体の製造方法。
  2. 加熱により、繊維質基材の比容積をそれ以前の繊維質基材の1.3倍以上に高めるよう起毛させる請求項1に記載の吸水性複合体の製造方法。
  3. 繊維質基材を70〜150℃に加熱して起毛させる請求項1又は2に記載の吸水性複合体の製造方法。
  4. 繊維質基材に担持される吸水性樹脂の量が100g/m2以上である請求項1乃至3の何れかに記載の吸水性複合体の製造方法。
  5. 繊維質基材に担持される単量体水溶液の粒子径が50〜500μmである請求項1乃至4の何れかに記載の吸水性複合体の製造方法。
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