JP2002293692A - 単結晶サファイア基板およびその熱処理方法 - Google Patents
単結晶サファイア基板およびその熱処理方法Info
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Abstract
も表面粗さは平坦化されているものの、凹凸分布に規則
性が見られないため、エピタキシャル・膜を成長させる
のに適していない。 【解決手段】単結晶サファイアのC面からA面方向に角
度θで傾斜させた面を主面とする単結晶サファイア基板
において、下記式の加熱温度T(℃)及び加熱時間t
(h)で熱処理することにより、単結晶サファイア基板
の主面にサファイアの酸素原子1層とそれに続くアルミ
ニウム原子1層の高さで、滑らかで直線的なリッジ1を
有する単位ステップ2を規則的に形成する。 T(℃)=500θ2−970θ+1100±100 t(h)=7θ2−11θ+6±1
Description
体や、SOS(Silicon on Sapphire)デバイス等の成膜に適
した単位ステップを表面に持つ単結晶サファイア基板お
よびその製造方法に関する。
結晶面を表面に露出させた後、機械研磨及び、化学研磨
によって鏡面状態に研磨され、この上に発光デバイス等
に使用される各種化合物半導体素子が成膜される。その
基板として用いられる単結晶サファイア基板は、その上
に成膜させるためにも表面状態が不均一であってはなら
ないが、化学研磨を行っただけでは単結晶サファイア基
板上はnm単位で表面状態に凹凸がみられ、成膜に適さな
いことが明らかになった。
技術として、単結晶サファイア基板の主面を所定の面方
位から若干ずらせ(オフアングル)た後熱処理を行い、
主面に微小なステップを形成させることにより素子の寿
命、出力を向上させることが提案されている。このと
き、ステップは規則正しく形成されていることが望まし
い(例えば、特開平11−74562号、特開2000−159600号
各公報参照)。
る単結晶サファイア基板の作製は様々な方法で行われて
きた(例えば、特開平9−129651号、特開平8−83802号
各公報参照)が、そのステップの高さが高すぎるものあ
るいは不揃いなものしか得られなかったため、エピタキ
シャル膜を成長させたとき表面の起伏のない高性能なデ
バイスを作製させることが困難であるという問題があっ
た。
テップのテラスのみを含む単結晶サファイア基板を得る
ことを目的とする。
ア基板は、サファイアの酸素原子1層とそれに続くアル
ミニウム原子1層の高さを有する単位ステップを主面に
規則的に形成したことを特徴とする。
ら、A面あるいはM面方向に角度θで傾斜させた面を主面
とする単結晶サファイア基板において、特定の数式によ
り上記角度θから求めた加熱温度T(℃)及び加熱時間t
(h)で熱処理することを特徴とする。
って説明する。
ァイア基板の主面の表面状態を示すようにステップ2と
テラス3およびその境界のリッジ1が規則正しく形成され
ている。詳細を後述するように適度な熱処理を行うこと
により、本発明の単結晶サファイア基板は以下のような
特徴を有している。
ップ2の高さhがサファイアの酸素原子1層とそれに続く
アルミニウム原子1層の原子層からなる単位ステップの
みで形成され、そのときの高さhは約2Åとなってい
る。また、テラス5の幅wが一定の長さで形成され、この
wの大きさは単結晶サファイア基板の主面のC面からの傾
斜角度に依存する。さらにリッジ1が滑らかで直線的に
形成され、かつテラス3が平坦に形成されている。
主面にステップ2が規則正しく形成されていることが望
ましい。そして本発明のサファイア基板ではステップ2
の高さhが酸素原子1層とアルミニウム原子1層の単位
ステップのみで形成されることから高さhが均一とな
り、またリッジ1が直線的に形成されていることから、
その主面上にエピタキシャル膜を成長させたとき表面の
起伏のない高性能なデバイスを作製させることが可能に
なる。
とアルミニウム原子1層の単位ステップからなること
は、AFM(原子間力顕微鏡)観察して高さを測定すること
により確認できる。
の表面粗さ(Ra)は0.07nm以下に制御することができる。
これは、単結晶サファイア表面上に最適な熱処理を施す
ことにより規則的に単位ステップが形成され、基板表面
が原子レベルで平坦になったためであると思われる。な
お、表面粗さ(Ra)は、AFM測定により確認できる。
ア基板を得るためには、以下に示す条件で熱処理を施せ
ばよい。図2(a)に示すように単結晶サファイアのC面基
板をA面方向に角度θで傾斜させた面を主面とする基板
1(以下C→A面OFF基板)の場合、上記のような単一ス
テップのみから形成される単結晶サファイア基板を作製
するためには、角度θから以下の式(1)(2)により求めた
熱処理温度T(℃)と熱処理時間(t)で熱処理すればよい。
面方向に角度θで傾斜させた面を主面とする基板2(以
下C→M面OFF基板)の場合、上記のような単一ステップ
のみから作製される単結晶基板を作製するためには、角
度θから以下の式(3)(4)により求めた熱処理温度T
(℃)、熱処理時間t(h)で熱処理すればよい。
熱処理時間tが、傾斜方向の角度θに依存し、その関数
で表されることを見いだしたものである。そして熱処理
温度Tあるいは、熱処理時間tが不十分な時は単位ステッ
プが形成されず、逆に熱処理温度Tが高すぎたり、熱処
理時間tが長すぎると表面の原子のマイグレーション(移
動)が不規則になり、単結晶サファイア基板表面に単位
ステップ以外の層が混在してしまうバンチングを起こ
す。
とすることが好ましい。これは角度θが0.7°を越える
と、熱処理条件に関わらず、単結晶サファイア基板表面
上に単位ステップがうまく形成されず、一方角度θが0.
05°未満の時は、傾斜角度が小さすぎてステップとテラ
スとリッジが明確に形成できなくなるためである。
バイス等に使用される各種化合物半導体素子の成膜に好
適に使用できる。
にして作製した。
サファイアのC面を、A面方向に角度θが0.05°となるよ
うに傾斜させた単結晶サファイア基板(C→A面0.05°OFF
サファイア基板)を作製した。
3のようにステップは表れなかった。これに対し上述し
た式(1)(2)の範囲中の条件である850℃で3時間熱処
理を施した後の表面をAFM(電子間力顕微鏡)観察したと
ころ、図4のようにテラス幅150nmの滑らかで直線的なリ
ッジを持つステップが形成されていることがわかった。
また、ステップの高さをAFMのZ軸方向の高さ測定によっ
て得た結果を図5に示すとおり、各テラスのステップ高
さは単位ステップ高さに相当する約2Åであり、単位ス
テップのみが表面に均一に形成されていることが確認さ
れた。
05°OFFサファイア基板を式(1)の範囲よりも低い温度
である700°で3時間熱処理を施して、基板表面をAFM観
察したところ図6のように表面にリッジは存在しなかっ
た。また、図7にAFMのz軸方向の高さ測定によって得た
結果を示すとおり、単結晶サファイア基板表面に単位ス
テップを形成する部分も見られたが、ステップが全く形
成されていない部分も多いことが分かる。
5°OFFサファイア基板を式(1)の範囲よりも高い温度で
ある1000℃で3時間熱処理した基板表面をAFM観察した
ところ、図8のように表面がバンチングを起こし、単位
ステップ高さの整数倍の高さのステップが基板表面に形
成された。
板は次の3種類の状態になっていることが明らかになっ
た。 1)熱処理が不完全で図7のように単位ステップがまば
らに見られる状態 2)適度な熱処理で図5のように全て単位ステップが形
成されている状態 3)過度な熱処理で図8のようにバンチングを起こし単
位ステップ高さの整数倍の高さのステップが形成されて
いる状態 [実施例2]表1に示すように角度θの異なるC→A面OF
F基板に対し、異なる温度で3時間熱処理を行ったとき
の単結晶サファイア基板表面状態を観察した。結果を表
1および図9に示す。図9の2つの曲線より下方が熱処理
不十分状態で、上記実施例1に記載の状態1)に相当す
る。2つの曲線に囲まれた部分が最適熱処理温度で、上
記実施例1に記載の状態2)に相当する。2つの曲線よ
り上方は熱処理が過度で、上記実施例1に記載の状態
3)に相当する。また、傾斜角度θが0.7°より大きいと
熱処理条件に関わらず、単結晶サファイア基板表面は無
秩序な状態になり、単位ステップが形成されにくかっ
た。
に応じて変化することが分かり、両者の関係は実験的に
式(1)で表される。また、図中の点線は上述した式(1)
の中心値である T(℃)=500θ2−970θ+1100を示してお
り、式(1)はこの中心値に対して±100℃の範囲を規定
しているため、この式(1)を満たす温度で熱処理すれ
ば、単位ステップのみで形成される単結晶サファイア基
板を作製することができる。
なるC→A面OFF基板に対し、1000℃で異なる時間熱処理
を行ったときの単結晶サファイア基板表面状態を観察し
た。結果を表1および図10に示す。図10の2つの曲線よ
り下方が熱処理不十分状態で、上記実施例1に記載の状
態1)に相当する。2つの曲線に囲まれた部分が最適熱
処理温度で、上記実施例1に記載の状態2)に相当す
る。2つの曲線より上方は熱処理が過度で、上記実施例
1に記載の状態3)に相当する。また、傾斜角度θが0.7
°より大きいと熱処理条件に関わらず、単結晶サファイ
ア基板表面は無秩序な状態になり、単位ステップが形成
されにくかった。
に応じて変化することが分かり、両者の関係は実験的に
式(2)で表される。また、図中の点線は上述した式(2)
の中心値である t(h)=7θ2−11θ+6を示しており、式
(2)はこの中心値に対して±1hの範囲を規定しているた
め、この式(2)を満たす時間で熱処理すれば、単位ステ
ップのみで形成される単結晶サファイア基板を作製する
ことができる。
定温度、特定時間熱処理を行った。表3は熱処理時間を
3時間に固定させて異なる温度で熱処理を行ったときの
単結晶サファイア基板表面状態を示し、図11に各OFF基
板に対応する、単位ステップのみを持つ単結晶サファイ
ア基板形成のための最適熱処理温度を示す。一方表4は
熱処理温度を1000℃に固定して、異なる時間熱処理を行
ったときの単結晶サファイア基板表面状態を示し、図12
に各OFF基板に対応する、単位ステップのみを持つ単結
晶サファイア基板形成のための最適熱処理温度を示す。
不十分状態で、上記実施例1に記載の状態1)に相当す
る。2つの曲線に囲まれた部分が最適熱処理温度で、上
記実施例1に記載の状態2)に相当する。2つの曲線よ
り上方は熱処理が過度で、上記実施例1に記載の状態
3)に相当する。また、傾斜角度θが0.7°より大きいと
熱処理条件に関わらず、単結晶サファイア基板表面は無
秩序な状態になり、単位ステップが形成されにくかっ
た。
処理時間は、角度θに応じて変化することが分かり、両
者の関係は実験的に式(3)、(4)で表される。また、図
中の点線は上述した式(3)及び(4)の中心値である T
(℃)=500θ2−840θ+1150及びt(h)=9θ2−13θ+7を示し
ており、式(3)、(4)はこの中心値に対して±100℃あ
るいは±1hの範囲を規定しているため、この式(3)ある
いは(4)を満たす時間で熱処理すれば、単位ステップの
みで形成される単結晶サファイア基板を作製することが
できる。
施した単結晶サファイアC→A面基板表面の表面粗さ(Ra)
の結果及び、各基板表面状態における平均のRa値を示
す。図中、白抜きで示した点が本発明実施例であり、単
位ステップが形成される熱処理条件で熱処理を施した本
発明の単結晶サファイア基板のRa値は全て0.07nm以下で
あることが分かる。すなわち、式(1)(2)(3)(4)の条
件下で熱処理を施すことにより表面が原子レベルで平坦
な単結晶サファイア基板を作製することができ、逆に熱
処理が不充分あるいは熱処理が過度な場合は、安定して
Ra値を0.07nm以下に制御できないことがわかる。
ファイア基板の主面にサファイアの酸素原子1層とそれ
に続くアルミニウム原子1層の高さを有する単位ステッ
プを規則的に形成させたことによって、サファイア上に
エピタキシャル膜を成長させると表面の起伏のない高性
能なデバイスを作製することができる。また、上記のよ
うな特徴を持った単結晶サファイア基板はOFF角度θの
関数で表される最適条件で熱処理を施すことにより容易
に製造することができる。
サファイア基板の表面状態を示す図である。
明するための図である。
画像の模式図である。
サファイア基板の表面のAFM画像の模式図である。
ファイアの表面状態を示すグラフである。
イアのAFM画像の模式図である。
イアの表面状態を示すグラフである。
の表面状態を示すグラフである。
を得るための最適熱処理温度を示すグラフである。
板を得るための最適熱処理時間を示すグラフである。
板を得るための最適熱処理温度を示すグラフである。
板を得るための最適熱処理時間を示すグラフである。
イア基板主面の表面粗さ(Ra)を示すグラフである。
グラフである。
Claims (6)
- 【請求項1】単結晶サファイアの主面に、サファイアの
酸素原子1層とそれに続くアルミニウム原子1層の高さ
を有する単位ステップを規則的に形成したことを特徴と
する単結晶サファイア基板。 - 【請求項2】上記主面が、単結晶サファイアのC面からA
面又はM面方向に傾斜させた面であることを特徴とする
請求項1記載の単結晶サファイア基板。 - 【請求項3】上記主面の表面粗さ(Ra)が0.07nm以下であ
ることを特徴とする請求項1記載の単結晶サファイア基
板。 - 【請求項4】単結晶サファイアのC面からA面方向に角度
θで傾斜させた面を主面とする単結晶サファイア基板に
おいて、下記式の加熱温度T(℃)及び加熱時間t(h)
で熱処理することを特徴とする単結晶サファイア基板の
熱処理方法。 T(℃)=500θ2−970θ+1100±100 t(h)=7θ2−11θ+6±1 - 【請求項5】単結晶サファイアのC面から、M面方向に角
度θで傾斜させた面を主面とする単結晶サファイア基板
において、下記式の加熱温度T(℃)及び加熱時間t
(h)で熱処理することを特徴とする単結晶サファイア
基板の熱処理方法。 T(℃)=500θ2−840θ+1150±100 t(h)=9θ2−13θ+7±1 - 【請求項6】上記角度θの範囲が0.05°≦θ≦0.7°で
あることを特徴とする請求項4又は5に記載の単結晶サ
ファイア基板の熱処理方法。
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