JP2002293101A - 車両用ホイール - Google Patents

車両用ホイール

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スポーク部の僅かな構造の改変および配置の
みによって、ホイールの「面倒れモード」による車内振
動および騒音の発生を防止できる最軽量の車両用ホイー
ルを提供することを目的とする。 【解決手段】 ホイールセンタ部4とリム部2とが複数
の放射状スポーク部3によって接続された車両用ホイー
ル1において、前記ホイールセンタ部4に穿設された各
ハブボルト孔5の両側に一対のスポーク部3A、3Bを
配設するとともに、これらのスポーク部3A、3Bをホ
イールセンタ部4側程太く構成したことを特徴とするも
ので、路面に接するタイヤに隣接して加振部となるリム
部2側より支持基部となるホイールセンタ部4程高い剛
性を保持させて面倒れを効果的に防止するとともに、一
対のスポーク部3A、3Bが互いに補強し合って支持基
部となるハブボルトに歪みエネルギーを効率よく伝達し
て各スポーク部3の面倒れを防止できるので、最軽量の
ホイールのままで、低コストにて車内振動および騒音の
発生を防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ホイールセンタ部
とリム部とが複数の放射状スポーク部によって接続され
た車両用ホイールに係り、低騒音、最軽量を実現した車
両用ホイールに関する。
【0002】
【従来の技術】自動車等車両の走行中に発生する車内騒
音はロードノイズと呼ばれ、タイヤにて拾った路面から
の振動がホイールを介して車軸、サスペンション等を経
て車体に伝達されて発生する。一般に、ロードノイズの
低減のために車体に対して種々の対策が採られている。
例えばフロアパネルへの制振メルシートの施工、吸音・
遮音マットの付設等の、発生した振動、騒音に対して対
処療法的な対策が採用されている。しかしながら、これ
らの対策は発生した振動、騒音に対するものであるた
め、所定の周波数領域では振動、騒音が低減しない場合
があった。通常、図7のホイールの共振周波数特性
(例)に示すように、周波数が200〜300Hzの帯
域では応答加速度すなわちホイール自身の固有振動数と
の共振によって発生する振動伝達が大きく、車内騒音が
悪化することが分かっている。
【0003】周波数が200〜300Hzの帯域で発生
するホイールの前記共振モードでは、図8に示すよう
に、ホイール21におけるホイールセンタ部24とリム
部22とを接続する複数の放射状スポーク部23にねじ
れや褶曲による面倒れ現象が生じ、該「面倒れモード」
によって車内騒音の悪化が引き起こされることが解析さ
れている。特に、「面倒れモード」が300Hz以下で
生じると、タイヤの空洞共鳴(16インチタイヤな場
合、約250Hzで発生)による伝達が大きくなって、
車内騒音が倍加される虞れがあった。一方、「面倒れモ
ード」を400Hz以上の高い周波数に設定することに
よって、共振の発生を防いでタイヤからの振動伝達を低
減することはできるものの、ホイールの高い剛性確保の
ために質量も増加し、重量増加の割には振動、騒音低減
の効果は少ないものであった。
【0004】そのようなことから、図9の特開2000
−158902号公報に開示されたような、ホイールの
表面に曲率付与部150、152、154、156を形
成することにより、ホイールの剛性を増大させ、それに
よりホイールの1次固有振動数を、そのホイールに振動
を伝達するタイヤ等の1次固有振動数より増加させるこ
とによって、ホイールの振動を抑制して路面凹凸に起因
した車内騒音を低減させるように構成したタイヤ用ホイ
ールが提案された。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この従
来のタイヤ用ホイールでは、タイヤが装着された状態で
タイヤと共同してホイールの振動特性が改善されること
となったものの、ホイールのリム部やディスク部の表面
に曲率付与部150、152、154、156を形成せ
ねばならず、設計形状が複雑でコスト高を招いた。しか
も、装着されたタイヤの固有振動数とホイールの固有振
動数をずらせることを主眼点としていることもあって、
装着されるタイヤとの相性によっては依然としてホイー
ルの「面倒れモード」が発生する虞れがあった。
【0006】そこで本発明は、このような従来の車両用
ホイールにおける課題を解決して、スポーク部の僅かな
構造の改変および配置のみによって、ホイールの「面倒
れモード」による車内振動および騒音の発生を防止でき
る最軽量の車両用ホイールを提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】このため本発明は、ホイ
ールセンタ部とリム部とが複数の放射状スポーク部によ
って接続された車両用ホイールにおいて、前記ホイール
センタ部に穿設された各ハブボルト孔の両側に一対のス
ポーク部を配設するとともに、これらのスポーク部をホ
イールセンタ部側程太く構成したことを特徴とする。ま
た本発明は、前記スポーク部を略方形断面に形成したこ
とを特徴とする。また本発明は、前記スポーク部を略台
形断面に形成して鋳造の抜け勾配が構成されたことを特
徴とする。また本発明は、前記スポーク部におけるホイ
ールセンタ部側の断面二次モーメント I=bh3 /1
2(b:スポーク幅、h:スポーク厚み)が最大となる
ように構成されたことを特徴とする。また本発明は、前
記ハブ部とリム部とが複数の放射状スポーク部によって
接続された車両用ホイールにおけるスポーク部の面倒れ
振動が400HZ以上の剛性を有するように構成したこ
とを特徴とするもので、スポーク部の僅かな構造の改変
および配置のみの特定により、路面に接するタイヤに隣
接して加振部となるリム部側より支持基部となるホイー
ルセンタ部程高い剛性を保持させて面倒れを効果的に防
止するとともに、一対のスポーク部が互いに補強し合っ
て支持基部となるハブボルトに歪みエネルギーを効率よ
く伝達して各スポーク部の面倒れを防止できるので、最
軽量のホイールのままで、低コストにて車内振動および
騒音の発生を防止できる。
【0008】
【実施の形態】以下、本発明の車両用ホイールの実施の
形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1および図
2は本発明の車両用ホイールの第1実施の形態を示し、
図1(A)はホイールの全体斜視図、図1(B)はその
A−A断面斜視図、図1(C)はA−A断面図である。
本発明の車両用ホイールは、図1に示すように、ホイー
ルセンタ部4とリム部2とが複数の放射状スポーク部3
によって接続された車両用ホイール1において、前記ホ
イールセンタ部4に穿設された各ハブボルト孔5の両側
に一対のスポーク部3A、3Bを配設するとともに、こ
れらのスポーク部3A、3Bをホイールセンタ部4側程
太く構成したことを特徴とする。
【0009】詳述すると、本実施の形態のものは、図1
(A)に示されるように、ハブボルト孔が5個設けられ
た比較的高出力用の車両に使用されるホイールである。
ホイールセンタ部4に穿設された5つのハブボルト孔5
のそれぞれに対して、それら各ハブボルト孔5の両側か
ら放射状に径方向外側のリム部2に向けて一対のスポー
ク部3A、3Bが延設される。そして、これらの各スポ
ーク部3A、3Bは、図1(A)のA−A断面斜視図で
ある図1(B)、およびA−A断面図である図1(C)
の実線で示す通常のホイールのスポーク部輪郭に対し
て、点線輪郭のように補強部6を肉付けして構成したも
のである。
【0010】図10はホイールの振動モードを図式化し
たもので、ホイールセンタ部4側を基部として支持され
るスポーク部3に相当する片持ち梁Cの自由端に、リム
およびタイヤに相当する質量mが振動負荷として与えら
れる。前記片持ち梁Cはスポーク部の強度確保に最低必
要なベースBとホイールセンタ部4側の基部に行く程剛
性を高くして、前記ベースBに共振周波数を上げるため
の補強Rが付加されている。質量mを効果的に使用して
剛性を向上させ、固有値を上げるためには片持ち梁Cの
基部すなわちホイールセンタ部4側を強くするのが効果
的であり、特に面倒れを防止する観点からは、幅よりも
厚みを増大させた方が効果的であるが、実用上は、スポ
ーク部の意匠面およびブレーキ部品との干渉による制約
を受けることから無制限に厚みを増大させることはでき
ない。
【0011】前記図10のホイールの振動モードをモデ
ル化したものは、ホイールの強度に必要なベース部Bと
面倒れモードを400Hz以上にするための補強Rとか
ら成り立っているが、このモデル化された梁Cを、適用
すべきホイールの規格に適応させて分割したものが理想
的な実際のスポーク部となる。つまり、5つのハブボル
ト孔5を有するタイプのホイールの場合、好適には、1
つのハブボルト孔5に対して一対のスポーク部3A、3
Bを組み合わせることから、5×2=10の10本スポ
ーク部が形成される。したがって、通常の車両のハブボ
ルト孔は4〜6個であることや、剛性、強度、製造方法
等の条件から、スポーク部の本数も8〜12本が採用さ
れる。また、スポーク部の幅については、鋳造等の制約
を受け、通常は最低7mm程度が必要とされる。
【0012】図2は本実施の形態のもののスポーク部3
の模式図であり、略方形断面に形成されたものである。
図面右側のホイールセンタ部側程太く構成され、略正方
形断面から図面左側のリム側に至って縦長の小さな長方
形断面に構成されている。このような断面形状を有する
スポーク部の採用によって構成されたホイールを玉石路
面にて実車走行試験を行った。図5は前席車内音の比較
であり、200〜300Hzでは、本発明の剛性改良の
軽量ホイール(太線)が通常の軽量ホイール(細線)に
比較して1〜2dBほど小さく、標準ホイール(点線、
ホイール1個当り1Kg程重い)に比較しても遜色がな
いことが分かる。図6は後席車内音の比較で、200〜
300Hzでは、本発明の剛性改良の軽量ホイール(太
線)が通常の軽量ホイール(細線)に比較して3〜4d
Bほど小さく、標準ホイール(点線)に比較しても遜色
がないか低騒音にあることが分かる。
【0013】図3は本発明の車両用ホイールの第2実施
の形態を示すスポーク部3の模式図である。本実施の形
態では、スポーク部3を略台形断面に形成して鋳造の抜
け勾配が構成されたことを特徴とする。図3にても理解
されるように、鋳造の抜け勾配が構成されるようにスポ
ーク部3の断面を基本的に台形に形成するに際し、スポ
ーク部3の厚みを殆ど増大させることなくリム部側より
ホイールセンタ部側の剛性を高めるため(すなわち太く
構成するため)に、リム部側が痩せて急峻な台形である
のに対して、ホイールセンタ部側が幅方向に大きく緩や
かな台形に形成されたものである。これら台形の斜辺の
傾斜角度を適宜選定すれば、リム部側とホイールセンタ
部側の剛性比率を適正に設計することができる。
【0014】図4は本発明の車両用ホイールの第3実施
の形態を示すスポーク部3の模式図である。本実施の形
態では、スポーク部におけるホイールセンタ部側の断面
二次モーメント I=bh3 /12(b:スポーク幅、
h:スポーク厚み)が最大となるように構成されたこと
を特徴とする。つまり、前記図2の第1実施の形態のも
のにおけるホイールセンタ部側の方形形状として、限ら
れた条件(意匠面およびブレーキ部品との干渉による制
約)下でその断面二次モーメント I=bh3/12を
最大値となるように、幅bと厚み(高さ)hを選定する
ものである。これによって、ホイールセンタ部側のスポ
ーク部が限られた寸法の範囲内で厚み方向に最も高い剛
性を発揮して面倒れが有効に防止される。
【0015】以上、本発明の実施の形態について説明し
てきたが、本発明の趣旨の範囲内で、ホイールの形状、
形式(チューブレスはもとよりチューブ装着型や中実タ
イヤ装着型ホイールにも適用可能)および材質、ホイー
ルセンタ部の形状、ハブボルト孔の数、スポーク部の本
数およびその断面形状、剛性向上のための補強部の補強
形態(ホイールセンタ部側への幅の漸増や厚みの漸増の
他、補強部材の添設、リム部側への厚みや幅が漸減する
ような溝や欠除部を形成してもよい)等については適宜
選定できる。
【0016】
【発明の効果】以上詳細に述べてきたように、本発明に
よれば、ホイールセンタ部とリム部とが複数の放射状ス
ポーク部によって接続された車両用ホイールにおいて、
前記ホイールセンタ部に穿設された各ハブボルト孔の両
側に一対のスポーク部を配設するとともに、これらのス
ポーク部をホイールセンタ部側程太く構成したことによ
り、路面に接するタイヤに隣接して加振部となるリム部
側より支持基部となるホイールセンタ部程高い剛性を保
持させて面倒れを効果的に防止するとともに、一対のス
ポーク部が互いに補強し合って支持基部となるハブボル
トに歪みエネルギーを効率よく伝達して各スポーク部の
面倒れを防止できるので、最軽量のホイールのままで、
低コストにて車内振動および騒音の発生を防止できる。
【0017】また、前記スポーク部を略方形断面に形成
した場合は、意匠面およびブレーキ部品との干渉による
制約に対応させてスポーク部の面倒れを有効に防止する
ことが可能となる。さらに、前記スポーク部を略台形断
面に形成して鋳造の抜け勾配が構成された場合は、鋳造
後の型抜きが容易となる上、スポーク部の厚みを殆ど増
大させることなくリム部側よりホイールセンタ部側の剛
性を高めることが可能となる他、台形の斜辺の傾斜角度
を適宜選定すれば、リム部側とホイールセンタ部側の剛
性比率を適正に設計することができる。さらにまた、前
記スポーク部におけるホイールセンタ部側の断面二次モ
ーメント I=bh3 /12(b:スポーク幅、h:ス
ポーク厚み)が最大となるように構成された場合は、ホ
イールセンタ部側のスポーク部が限られた寸法の範囲内
で厚み方向に最も高い剛性を発揮させて面倒れを有効に
防止できる。
【0018】また、前記ハブ部とリム部とが複数の放射
状スポーク部によって接続された車両用ホイールにおけ
るスポーク部の面倒れ振動が400HZ以上の剛性を有
するように構成した場合は、車内騒音の主因である「面
倒れモード」やタイヤの空洞共鳴が生じる300Hz近
傍での共振の発生が防止されて、ホイールからの車体へ
の振動伝達を低減することができる。このように、本発
明によれば、スポーク部の僅かな構造の改変および配置
のみによって、ホイールの「面倒れモード」による車内
振動および騒音の発生を防止できる最軽量の車両用ホイ
ールが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両用ホイールの第1実施の形態を示
し、図1(A)はホイールの全体斜視図、図1(B)は
そのA−A断面斜視図、図1(C)はA−A断面図であ
る。
【図2】同、スポーク部3の模式図である。
【図3】本発明の車両用ホイールの第2実施の形態を示
すスポーク部の模式図である。
【図4】本発明の車両用ホイールの第3実施の形態を示
すスポーク部の模式図である。
【図5】ホイールの路上試験の前席車内音の比較図であ
る。
【図6】同、後席車内音の比較図である。
【図7】ホイールの共振周波数特性(例)図である。
【図8】従来のホイールの面倒れ現象を示す図である。
【図9】従来のホイールの断面図である。
【図10】ホイールの振動モードを図式化した図であ
る。
【符号の説明】
1 ホイール 2 リム部 3 スポーク部 4 ホイールセンタ部 5 ハブボルト孔 6 補強部 B ベース C 梁 m 質量 R 補強
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 克宜 東京都新宿区西新宿一丁目7番2号 富士 重工業株式会社内 (72)発明者 佐藤 直人 東京都新宿区西新宿一丁目7番2号 富士 重工業株式会社内 (72)発明者 金井 良一 東京都新宿区西新宿一丁目7番2号 富士 重工業株式会社内 (72)発明者 堀越 旭 東京都新宿区西新宿一丁目7番2号 富士 重工業株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ホイールセンタ部とリム部とが複数の放
    射状スポーク部によって接続された車両用ホイールにお
    いて、前記ホイールセンタ部に穿設された各ハブボルト
    孔の両側に一対のスポーク部を配設するとともに、これ
    らのスポーク部をホイールセンタ部側程太く構成したこ
    とを特徴とする車両用ホイール。
  2. 【請求項2】 前記スポーク部を略方形断面に形成した
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両用ホイール。
  3. 【請求項3】 前記スポーク部を略台形断面に形成して
    鋳造の抜け勾配が構成されたことを特徴とする請求項1
    に記載の車両用ホイール。
  4. 【請求項4】 前記スポーク部におけるホイールセンタ
    部側の断面二次モーメント I=bh3 /12(b:ス
    ポーク幅、h:スポーク厚み)が最大となるように構成
    されたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに
    記載の車両用ホイール。
  5. 【請求項5】 前記ハブ部とリム部とが複数の放射状ス
    ポーク部によって接続された車両用ホイールにおけるス
    ポーク部の面倒れ振動が400HZ以上の剛性を有する
    ように構成したことを特徴とする請求項1ないし4のい
    ずれかに記載の車両用ホイール。
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