JP2002281897A - トランスグルタミナーゼ含有油脂組成物並びにその製造法及び用途 - Google Patents

トランスグルタミナーゼ含有油脂組成物並びにその製造法及び用途

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JP2002281897A
JP2002281897A JP2001093233A JP2001093233A JP2002281897A JP 2002281897 A JP2002281897 A JP 2002281897A JP 2001093233 A JP2001093233 A JP 2001093233A JP 2001093233 A JP2001093233 A JP 2001093233A JP 2002281897 A JP2002281897 A JP 2002281897A
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fat
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Kenjiro Hashimoto
健次郎 橋本
Shingo Yoshida
慎吾 吉田
Ikuichi Tajima
郁一 田島
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Ajinomoto Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】トランスグルタミナーゼ(TGase)の保存
安定性、更には分散性にも優れた油脂組成物及びその製
造法を確立し、冷凍生地のみでなく、食品、特にベーカ
リー製品等小麦粉焼成品全般への汎用性の高い利用法を
提供する。 【解決手段】油脂に、当該油脂100g当たり1000
Uを超える量のトランスグルタミナーゼを配合すること
により、TGaseの保存安定性、更には分散性にも優
れた油脂組成物を提供する。本発明の油脂組成物を利用
することにより、ベーカリー製品等の各種食品の品質を
向上することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規油脂組成物、詳
しくは油脂と、当該油脂100g当たり1000Uを超
える量のトランスグルタミナーゼを含有した油脂組成
物、その製造法及びその用途(食品への利用等)に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、パン、ケーキ、パイ等は、小麦粉
を原料とした生地を焼成した小麦粉焼成品である。これ
らの小麦粉焼成品は、製品のボリュームアップ等の性状
や、特徴的な食感を持たせるために、従来から、原料小
麦粉の選定、ミキシング方法、副原料の種類や配合量、
焼成温度・時間等が工夫されていた。しかし、焼成直後
に好ましい性状や食感が得られたとしても、時間経過と
共に、その性状、食感が変化してしまうという問題があ
った。
【0003】また、副原料の中で、油脂は、殆どの小麦
粉焼成品に使用されており、性状、食感に対する影響は
大きいため、油脂中に乳化剤、酵素等を添加して、時間
経過による変化を改善することが行われている。
【0004】酵素を油脂中に添加する例としては、糖分
解酵素を使用する方法(特開平9−233933号公報
及び特開2000−83573号公報参照。)や、プロ
テアーゼ(タンパク質分解酵素)及びグルコースオキシ
ダーゼ(酸化還元酵素)を使用する方法(特開平11−
332452号公報参照。)が提案されている。しか
し、このような従来の方法では、何れもある程度の効果
は見られるが、もう一つ不十分であり、特に食感面で特
徴的なものが得られていない。
【0005】一方、トランスグルタミナーゼ(以下、
「TGase」と省略。)は、タンパク質を結合させる
酵素であり、上述の糖分解酵素、タンパク質分解酵素、
酸化還元酵素とは異なり、パン生地の性状、食感を大幅
に改良することができる。TGaseを油脂中に添加し
た例としては、パンへの使用があり(特開平11−27
6056号公報参照。)、パンの冷凍生地での効果が得
られているに過ぎない。しかもこの場合、酵素濃度が薄
いために、保存安定性に乏しく、更に油脂の添加量に性
状、食感が左右され易く、汎用性があるとは到底言い難
かった。
【0006】このような情況下に、TGaseについて
小麦粉焼成品全般への汎用性の高い利用法が期待されて
いる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、TGase
の保存安定性、更には分散性にも優れた油脂組成物及び
その製造法を確立し、冷凍生地のみでなく、小麦粉焼成
品全般への汎用性の高い利用法を提供することを目的と
する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、食用油脂100g
中に1000Uを超えてTGaseの添加することで、
TGaseの保存安定性及び分散性に優れた油脂組成物
が得られることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0009】即ち、本発明は、以下の各発明を包含す
る。
【0010】本発明は油脂と、当該油脂100g当たり
1000Uを超える量のトランスグルタミナーゼを含有
することに特徴を有する油脂組成物に存する。
【0011】トランスグルタミナーゼは、簡便にはトラ
ンスグルタミナーゼ含有製剤の形態で使用することもで
きる。
【0012】トランスグルタミナーゼ又はトランスグル
タミナーゼを含有する製剤の油脂中での平均粒径(メジ
アン径)が1〜150μmで、その含有率(対油脂組成
物)が1〜35重量%であるのが、保存安定性の点で、
更には分散性の点でも好ましい。上記の数値範囲への算
定については、含有するトランスグルタミナーゼを基礎
にするが、トランスグルタミナーゼ含有製剤の形態で使
用する場合には製剤全体として上記数値範囲に含まれる
よう算定することができる。
【0013】本発明は、別の形態として、油脂を加熱溶
解し、この中に油脂100g当たり1000Uを超える
量のトランスグルタミナーゼを均一に分散させる工程
と、該均一分散液を冷却し混和する工程を含むことに特
徴を有する油脂組成物の製造法に存する。
【0014】同様に、トランスグルタミナーゼは、簡便
にはトランスグルタミナーゼ含有製剤の形態で使用する
こともでき、前記トランスグルタミナーゼを均一に分散
させる工程で、前記の如くトランスグルタミナーゼ又は
トランスグルタミナーゼを含有する製剤の油脂中での平
均粒径(メジアン径)が1〜150μmで、その含有率
(油脂組成物に対し)が1〜35重量%であることが、
保存安定性の点で、更には分散性の点でも好ましい。
【0015】本発明は、更に別の形態として、前記油脂
組成物を含有、又は使用して得られる食品、即ち上記油
脂組成物を配合又は使用したことに特徴を有する食品に
も存する。
【0016】特に、その原料として小麦粉を配合する製
品、特にパン(ベーカリー)製品に好適である。パン製
品には、パン生地(冷凍生地にも使用できる。)、この
パン生地を焼成して得られるパン類も本発明の食品に含
まれる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0018】本発明に使用する油脂には特に制限が無
い。例えば、動物或いは植物由来の食用油脂に含まれる
ものであれば何れも使用可能である。例えば、ナタネ
油、大豆油、コーン油、綿実油、サフラワー油、ヒマワ
リ油、パーム油、パーム核油、オリーブ油、ヤシ油、魚
油、牛脂、ラード等、またこれらを原料として分別、水
添等を行った油脂、或いは、これらのブレンド油を使用
することができるが、練り込み用という用途に関して
は、上昇融点が15〜45℃となるような油脂の組み合
わせが好ましい。
【0019】また、本発明においては、油脂に乳化剤を
併用することも可能であり、具体的には、レシチン、モ
ノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エ
ステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エス
テル、有機酸モノグリセリド(例えば、ジアセチル酒石
酸モノグリセリド)等を単独又は混合して使用してもよ
い。これらの添加剤の添加量については、特に限定され
るものではないが、本発明の油脂組成物中、例えば、
0.01〜10重量%程度含有しておればよい。
【0020】油脂100g中にトランスグルタミナーゼ
(TGase)が1000Uを超えて含まれていると、
従来技術のように、TGase1000U以下しか含ん
でいないときより、油脂中でのTGaseの活性が維持
され易くなり、油脂組成物の保存安定性が著しく向上す
る。更に、TGase及びTGaseを含む製剤の油脂
中での平均粒径(メジアン径)が1〜150μmで、か
つその含有率(油脂組成物に対し)が1〜35重量%で
あれば、より好ましい。この場合、前述の如くTGas
eを製剤の形態で使用する場合には、この製剤の形態で
前記平均粒径や含有率の数値範囲を満たすようにする。
【0021】TGaseの含有量については食用油脂1
00gに対して、1000Uを超えて〜50000U以
下であり、好ましくは、2000〜10000U程度使
用することができる。更に好ましくは、2000〜50
00U程度使用することができる。また、原料粉末タン
パク質1g当り0.1〜500U程度、好ましくは0.
1〜50U程度使用することができるが、その使用量は
原料粉末の種類や最終製品での種類等に依存する。
【0022】TGaseとは、ペプチド中のグルタミン
残基のγ−カルボキシアミド基と各種1級アミンとの間
のアシル転移反応及びグルタミン残基のγ−カルボキシ
アミド基とリジン残基のε−アミノ基をアシル受容体と
するタンパク質分子間及び分子内のε−(γ−Glu)
−Lys架橋の形成を触媒する酵素である。
【0023】本発明で使用するTGaseは、TGas
e活性を有する限り、その起源を特に問わず、例えばス
トレプトベルチシリウム属(Streptoverti
cillium属)等に属する微生物由来のもの(BT
aseと省略。特開昭64−27471号公報参
照。)、モルモット等の哺乳動物に由来するもの(MT
aseと省略。特公平1−50382号公報参照。)、
タラ等魚類由来のもの(関信夫ら、「日本水産学会
誌」、56巻1号125頁、1990年参照)、バイオ
テクノロジーを利用して遺伝子組換法によって得られる
もの(特開平1−300889号公報参照。)等を用い
ることができる。この内、カルシウムが無くても作用す
ること及び大量に入手できること等の理由からBTas
eを用いるのが望ましい。
【0024】尚、本発明で使用するTGaseの活性単
位は、次のように測定され、かつ定義される。即ち、温
度37℃、pH6.0のトリス緩衝液中、ベンジルオキシ
カルボニル−L−グルタミルグリシン及びヒドロキシル
アミンを基質とする反応系でTGaseを作用せしめ、
生成したヒドロキシサム酸をトリクロロ酢酸存在下で鉄
錯体を形成させた後、525nmにおける吸光度を測定
し、ヒドロキサム酸量を検量線により求め、1分間に1
μmolのヒドロキサム酸を生成せしめた酵素をTGas
eの活性単位、1ユニット(1U)とする(特開昭64
−27471号公報参照。この記載内容は本明細書の一
部として本件明細書に組み込まれる。)。
【0025】尚、TGaseは単独又はそれを含有する
混合物の形態、特に粉体の形態で使用することができる
が、特に目的とする酵素活性を有効に利用するためにT
Gase含有製剤の形態で使用するのが簡便である。そ
の場合、デキストリン等を賦形剤として使用し、製剤と
して使用することができる。
【0026】本発明の油脂組成物を製造するには特に困
難は無い。例えば、以下の方法で製造することができ
る。先ず、油脂を50℃以上に加温して完全に溶解して
油相を形成し、これに粉体(TGase、TGase製
剤)を添加する。混合、分散の方法は、特に限定される
ものではなく、油相に直接、添加してもよいし、或い
は、先ず少量の油脂に粉体を分散し、濃厚溶液を調製
し、この溶液を残余の油脂に添加してもよい。
【0027】次いで、冷却を行うが、攪拌を伴っておれ
ばその方法は問わない。更に、ボテータ−、パーフェク
ター、コンビネーター等、通常の油脂組成物を製造する
装置も全て使用することができる。
【0028】尚、紛体の分散状態の安定性の面から、得
られる油脂組成物の粘度については、好ましくは少なく
とも0.5Pa・S以上、より好ましくは2.0Pa・
S以上、更に好ましくは4.0Pa・S以上の粘度の組
成物を使用することができる。
【0029】分散性の評価に関しては、その測定を、例
えば濁度法により行い評価を容易に行うことができる。
例えば、濁度計(HACH社製)を用いて測定を行い、
濁度用セルに試料を採取し、50℃の恒温槽にて5分間
靜置後に濁度を測定する、具体的には、下記式で示すΔ
濁度のばらつきによて、分散性の評価を行うことができ
る。
【0030】Δ濁度=試料の濁度(測定値)−コントロ
ール(油脂のみ)。
【0031】本発明の食品について詳述する。本発明の
食品は、上述した本発明の油脂組成物を配合(含有)又
は使用しているものであり、従って本発明の油脂組成物
をもって、例えば、従来の油脂の代替、或いは、従来の
油脂と併用して製造され得る食品である。例えば、製
菓、製パン製品の他、流動状或いは固体状の油脂を含む
あらゆる食品が、本発明の食品として挙げられる。特
に、原料として小麦粉を配合又は使用した食品に好適で
ある。
【0032】次に、小麦粉を配合する食品について詳述
する。小麦粉を配合する食品としては、ベーカリー製品
が挙げられる。ベーカリー製品は、従来からの、又は今
後開発されるベーカリー製造の段階で油脂又は油脂組成
物として、上述した本発明の油脂組成物を配合(含有)
又は使用しているものであればよい。本発明の油脂組成
物をもって、例えば従来から使用される油脂の代替、或
いは例えば従来から使用される油脂と併用したもので、
生地を調製して、該生地を同様に焼成すればよい。例え
ば、パン、パイ、デニッシュ、スポンジケーキ、バター
ケーキ、発酵菓子、シュー菓子、カステラ等が挙げられ
る。このように、本発明の油脂組成物を含む材料から、
焼成されて得られた各種パン類も本発明の食品に含まれ
る。
【0033】上記の生地の調製方法は、特に限定され
ず、一般的な方法で用いられている油脂の全て、或いは
一部を本発明の油脂組成物で代替して、行うことができ
る。例えば、本発明の食品、特にベーカリー製品(パ
ン)である場合、パン生地の調製においては、小麦粉、
水、イースト、砂糖、食塩等の一般的製パン原料と、本
発明の油脂組成物とを公知の操作と同一の方法で混捏す
ることで、パン生地を得ることができる。更に、一般的
な方法に従って、発酵、分割、成型、ホイロ等を行い、
焼成することができる。また、パンが、冷凍する工程を
含む場合にも本発明の油脂組成物は使用することができ
る。
【0034】以上、油脂の組成として本発明の油脂組成
物を使用する以外では、従来からの、又は今後開発され
るパンの製造技術を全て利用することができる。
【0035】更に、従来のTGaseを油脂中に添加し
た例(特開平11−276056号公報参照。)では、
冷凍パン生地のみでの効果であり、酵素濃度が薄かった
ために、保存安定性が乏しく、油脂の添加量に性状、食
感が左右され易く、汎用性があるとは言い難かった。し
かし、本発明の油脂組成物を使用することで、酵素濃度
が濃くなったため、保存安定性が増し、油脂の添加量に
性状、食感が左右され難くくなり、従来の油脂の代替だ
けではなく、従来の油脂と併用した使用法もできるた
め、冷凍生地以外の各種のベーカリー製品でも性状、食
感に効果が見られ、汎用性が大きく増した。
【0036】
【実施例】以下に、本発明の実施例に基づいて本発明を
具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に何等
限定されるものではない。
【0037】(油脂組成物及びその製造法の例) (実施例1)上昇融点38℃の大豆硬化油700kg、
上昇融点41℃のパーム硬化油100kg、大豆白絞油
200kgを60℃にて溶解し、混合して油相を調製し
た。次いで、該油相に、プロペラ撹拌機により回転数5
0rpmで撹拌しながら、メジアン径70μmのトラン
スグルタミナーゼ製剤(味の素製、商品名「アクティバ
TG」)25kg(油脂組成物中に2.44%)を添加
して、油相100g中にTGase活性が2500Uと
なるように調製した。添加終了後、プロペラ撹拌機によ
り回転数50rpmで10分間撹拌し、分散液を得た。
得られた分散液を急冷捏和装置にて、冷媒温度2℃で急
冷捏和し、目的の油脂組成物を製造した。
【0038】(実施例2)上昇融点42℃のパーム油4
00kg、上昇融点38℃の大豆硬化油360kg、菜
種白絞油200kg及び菜種極度硬化油20kgを60
℃にて混合し、更に乳化剤として、モノグリセリン脂肪
酸エステル10kg(花王社製、商品名「エキセル」VS
-95使用。)及びレシチン10kg(味の素社製「レシ
チン」使用。)を添加し、油相を調製した。次いで、該
油相に、実施例1と同じ方法で、メジアン径70μmの
トランスグルタミナーゼ製剤(味の素製、商品名「アク
ティバTG」)25kg(油脂組成物中に2.44%)
を添加して、油相100g中にTGase活性が250
0Uとなるように調製した。これを使用して、実施例1
と同様の方法で、目的の油脂組成物を製造した。
【0039】(比較例1)実施例1と同じ配合の油相を
調製し、該油相に、実施例1と同じ方法で、メジアン径
70μmのトランスグルタミナーゼ製剤(味の素製、商
品名「アクティバTG」)1.0kgを添加して、油相
100g中にTGase活性が100Uとなるように、
油脂組成物を製造した。
【0040】(油脂組成物の分散性評価)実施例1及び
2で得られた油脂組成物、並びに比較例1で得られた油
脂組成物について分散性の評価を前記の如く濁度法(濁
度計:HACH社製使用。)により行った。結果は次の
通りである。
【0041】分散性評価 ○:良好;△:やや良好;×:不良。
【0042】上記の結果から、比較例品に比べて、本発
明品(実施例1及び2で得られた油脂組成物)は、分散
性に優れていることが分かる。
【0043】(油脂組成物の保存安定性の試験) (実施例3)実施例1で得られた油脂組成物を脱酸素剤
無しに5℃で保存し、1.5ヶ月及び3ヶ月保存のサン
プルを得た。
【0044】(実施例4)実施例2で得られた油脂組成
物を脱酸素剤なしに5℃で保存し、1.5ヶ月及び3ヶ
月保存のサンプルを得た。
【0045】(比較例2)比較例1で得られた油脂組成
物を脱酸素剤無しに5℃で保存し1.5ヶ月及び3ヶ月
保存のサンプルを得た。
【0046】
【表1】
【0047】表1に油脂組成物(試料)を5℃で保存し
たときのTGaseの残存活性(%)を示す。残存活性
は、以下の式に従って求めた。
【0048】残存活性(%)=100−(製造直後の活
性−保存後の活性)/製造直後の活性*100。
【0049】表1から明らかなように、実施例3及び4
で得られた保存サンプルの場合にはTGaseの活性低
下は、保存 1.5ヶ月では全く無く、保存3ヶ月では
10%以下であったのに対して、比較例2で得られた保
存サンプルの場合には、TGaseの活性低下は、保存
1.5ヶ月では15%以上、保存3ヶ月では30%以上
であり、保存性が著しく劣った。
【0050】(食品への利用例) (パンの製造) (実施例5)実施例1で得られた油脂組成物を表2の配
合の通りに添加し、表3の工程でプルマン型食パンを焼
成し、サンプルを得た。
【0051】(実施例6)実施例2で得られた油脂組成
物を表2の配合の通りに添加し、表3の工程でプルマン
型食パンを焼成し、サンプルを得た。
【0052】(比較例3)比較例1で得られた油脂組成
物を表2の配合の通りに添加し、表3の工程でプルマン
型食パンを焼成し、サンプルを得た。
【0053】(比較例4)油脂組成物の代わりに通常の
製パン用ショートニングを表2の配合の通りに添加し、
表3の工程でプルマン型食パンを焼成し、サンプルを得
た。
【0054】
【表2】(1)中種配合 実施例、比較例とも共通 強力小麦粉 70部 生イースト 2.5部 イーストフード 0.1部 水 39部
【0055】 (2)本捏配合 実施例5 実施例6 比較例3 比較例4 強力小麦粉 30部 30部 30部 30部 砂糖 3部 3部 3部 3部 食塩 1.5部 1.5部 1.5部 1.5部 水 22部 22部 22部 22部 油脂組成物 3部 3部 6部 ― ショートニング 3部 3部 ― 6部
【0056】
【表3】工程(70%中種法) 中種調製 表2(1)の中種配合材料をボールに入れ、低速3分、 高速2分でミキシング(捏ね上げ温度24℃) 中種発酵 温度28℃、湿度80%で2時間で発酵 ミキシング 中種発酵生地に、表2(2)にある油脂組成物以外の 本捏配合材料を添加し、低速3分、中速4分でミキ シングした後に、油脂組成物を添加し、更に低速3 分、中速4分、高速2.5分でミキシング(捏ね上 げ生地温度27℃) フロアタイム 温度28℃、湿度80%で20分 分割 240g ベンチタイム 室温で15分 成型 ドック状に成型し、3斤用食パンの型に生地を4本 入れる ホイロ 温度38℃、湿度80%で70分 焼成 上200℃、下240℃で40分
【0057】得られた食パンの評価結果を表4に示す。
表4における「内相」とは、パンを切断した時の断面の
観察で、膜が厚い=×〜膜が薄い=◎まで4段階で評価
した結果を示している。また、「食感(歯切れ)」、
「食感(口溶け)」は、悪い=×、やや良い=△、良い
=○の3段階で評価した結果を示している。
【0058】
【表4】
【0059】表4の結果から明らかなように、本発明の
油脂組成物を使用した食パン(実施例5、実施例6)
は、内相も良好で、独特の食感を有していた。これは、
比較例2の油脂組成物を使用した食パン(比較例3)で
は、発現しない内相、食感であり、更に通常のショート
ニングを使用した食パン(比較例4)との差は明らかで
ある。
【0060】(冷凍パン生地) (実施例7)実施例1で得られた油脂組成物を表5の配
合の通りに添加し、表6の工程で冷凍パン生地を製造
し、冷凍1週間後に焼成し、サンプルを得た。
【0061】(実施例8)実施例2で得られた油脂組成
物を表5の配合の通りに添加し、表6の工程で冷凍パン
生地を製造し、冷凍1週間後に焼成し、サンプルを得
た。
【0062】(比較例5)比較例1で得られた油脂組成
物を表5の配合の通りに添加し、表6の工程で冷凍生地
を焼成し、焼成サンプルを得た。
【0063】(比較例6)油脂組成物の代わりに通常の
製パン用ショートニングを表5の配合の通りに添加し、
表6の工程で冷凍生地を焼成し、焼成サンプルを得た。
【0064】
【表5】配合(ハンバーガーバンズ) 実施例7 実施例8 比較例5 比較例6 強力小麦粉 100部 100部 100部 100部 砂糖 7部 7部 7部 7部 食塩 1.5部 1.5部 1.5部 1.5部 水 62部 62部 62部 62部 油脂組成物 3部 3部 3部 ― ショートニング 7部 7部 7部 10部
【0065】
【表6】工程 ミキシング 表5にある油脂組成物以外の配合材料を添加し、低 速3分、中速4分、高速1分でミキシングした後に、 油脂組成物を添加し、更に低速3分、中速4分、高 速2.5分でミキシング(捏ね上げ生地温度22℃) フロアタイム 温度28℃、湿度80%で10分 分割 100g ベンチタイム 室温で15分 成型 円盤状(直径100mm)に成型 冷凍 −40℃で30分 解凍 トレーに生地を入れて 温度20℃、湿度80%で100分 ホイロ 温度38℃、湿度80%で60分 焼成 上190℃、下210℃で14分
【0066】得られたハンバーガーバンズの評価結果を
表7に示す。表7における高さは、ノギスで測定した各
サンプル10個の平均値を示す。また、表7における
「内相」、「食感(歯切れ)」、「食感(口溶け)」の
評価基準は、上述の食パンの例と同様である。
【0067】
【表7】
【0068】表7の結果から明らかなように、本発明の
油脂組成物を使用したハンバーガーバンズ(実施例7及
び8)の場合には、冷凍耐性があり、ボリューム(高
さ)、内相共に良好で、独特の食感を有していた。しか
し、比較例2の油脂組成物を利用した場合には、実施例
7や8と同量添加した例(比較例5)では、冷凍耐性が
無く、比較例6のように使用するショートニングの全量
を置き換えた場合では、冷凍耐性を有していたが、ボリ
ューム、内相、食感では、実施例7や8の方が優れてい
た。
【0069】(発酵菓子) (実施例9)実施例1で得られた油脂組成物を表8の配
合の通りに添加し、表9の工程でスイートロールを焼成
し、サンプルを得た。
【0070】(比較例7)比較例1で得られた油脂組成
物を表8の配合の通りに添加し、表9の工程でスイート
ロールを焼成し、サンプルを得た。
【0071】(比較例8)油脂組成物の代わりに通常の
製菓用マーガリンを表8の配合の通りに添加し表9の工
程でスイートロールを焼成し、サンプルを得た。
【0072】
【表8】配合 実施例9 比較例7 比較例8 強力粉 100部 100部 100部 イースト 5部 5部 5部 グラニュー糖 14部 14部 14部 食塩 1部 1部 1部 脱脂粉乳 3部 3部 3部 液卵 20部 20部 20部 クリーム 15部 15部 15部 マーガリン 18部 ― 20部 油脂組成物 2部 20部 ― 水 20部 20部 20部
【0073】
【表9】工程 ミキシング 表8の配合にある材料を低速3分、高速15分でミ キシング(捏ね上げ生地温度20℃) フロアタイム 温度28℃、湿度80%で15分 シーティング 空折り 0×4 (生地厚 5.0mm) 分割 カットサイズ 長さ400mm×幅40mm 成型 渦巻きにして 長さ65×幅50×高さ30mmに カットトレーに入れる ホイロ 温度35℃、湿度80%で100分 焼成 上180℃、下230℃で40分
【0074】得られたスイートロール(発酵菓子)につ
いての評価結果を表10に示す。
【0075】表10におけるボリューム(体積)の測定
については、3次元イメージ測定器SELNAC-VM150((株)
アステック製、レーザー光を使用。)にて行い、各サン
プル10個の平均値を示す。
【0076】表10における「内相」とは、パンを切断
した時の断面の観察で、目が粗い=×〜目が細かい=◎
まで4段階で評価した結果を示している。また、「食
感」は、ぼそつく=×〜しっとりする=◎の4段階で評
価した結果を示しており、「風味」は、非常に悪い=×
×〜極めて良好=◎の5段階で評価した結果を示してい
る。
【0077】
【表10】
【0078】表10の結果から明らかなように、本発明
の油脂組成物の場合には、少量の添加で、ボリューム、
内相、食感に効果があり、マーガリンと併用できるた
め、風味良好なサンプル(実施例9)が得られる。しか
し、比較例7では、油脂全量を置き換えても、ボリュー
ム、内相、食感は、やや劣り、更にマーガリンを使用で
きないので、風味の差は明らかである。更に、通常のマ
ーガリンを使用した食パン(比較例8)とのボリュー
ム、内相、食感ともに差は明らかである。
【0079】(パイ) (実施例10)実施例1で得られた油脂組成物を表11
の配合の通りに添加し、表12の工程でパイを焼成し、
サンプルを得た。
【0080】(比較例9)比較例1で得られた油脂組成
物を表11の配合の通りに添加し、表12の工程でパイ
を焼成し、サンプルを得た。
【0081】(比較例10)油脂組成物の代わりに通常
の製パン用ショートニングを表11の配合の通りに添加
し、表12の工程でパイを焼成し、サンプルを得た。
【0082】
【表11】配合 実施例10 比較例9 比較例10 強力小麦粉 50部 50部 50部 薄力小麦粉 50部 50部 50部 食塩 1.5部 1.5部 1.5部 水 50部 50部 50部 油脂組成物 2部 5部 ― ショートニング 3部 ― 5部 ロールインマーガリン 対生地40部 (実施例、比較例とも同じ)
【0083】
【表12】工程 ミキシング 表11の配合にある材料を低速5分、高速5分でミ キシング(捏ね上げ生地温度20℃以下) ロールイン 3つ折り2回;4つ折り2回 成型 厚さ4.5mmに圧延後、80mm×80mmにカ ット 焼成 200℃で15分
【0084】得られたパイの評価結果を表13に示す。
表13における「浮き」は、大変悪い=××〜大変良い
=◎の5段階で評価した結果を示している。また、「食
感(サク感)」は、喫食時の最初の食べ口のことで、な
し=×、ややあり=△、あり=○の3段階で評価結果を
示しており、「食感(しっとり感)」は、喫食中の口の
中での状態のことで、乾いている=××〜しっとりして
いる=◎の5段階で評価した結果を示している。
【0085】
【表13】
【0086】表13の結果から明らかなように、本発明
の油脂組成物を使用したパイ(実施例10)の場合に
は、サク感としっとり感を併せ持つ今までのパイに無い
独特の食感を有していた。
【0087】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明においては油
脂100g中に1000Uを超える量のTGaseを含
有又は配合することで、TGaseの保存安定性、更に
は分散性にも優れた油脂組成物を提供し、その結果本発
明の油脂組成物を利用したベーカリー製品等の各種食品
の品質向上に寄与するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田島 郁一 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社食品研究所内 Fターム(参考) 4B026 DL09 4B032 DB01 DB13 DB36 DK18 DK51

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】油脂と、当該油脂100g当たり1000
    Uを超える量のトランスグルタミナーゼを含有すること
    を特徴とする油脂組成物。
  2. 【請求項2】トランスグルタミナーゼがトランスグルタ
    ミナーゼ含有製剤の形態で使用される請求項1記載の油
    脂組成物。
  3. 【請求項3】トランスグルタミナーゼ又はトランスグル
    タミナーゼ含有製剤の油脂中での平均粒径(メジアン
    径)が1〜150μmで、その含有率が1〜35重量%
    である請求項1記載の油脂組成物。
  4. 【請求項4】油脂を加熱溶解し、この中に油脂100g
    当たり1000Uを超える量のトランスグルタミナーゼ
    を均一に分散させる工程と、該均一分散液を冷却し混和
    する工程を含むことを特徴とする油脂組成物の製造法。
    トランスグルタミナーゼはトランスグルタミナーゼ含有
    製剤の形態で使用されてもよい。
  5. 【請求項5】トランスグルタミナーゼを均一に分散させ
    る工程で、トランスグルタミナーゼ又はトランスグルタ
    ミナーゼ含有製剤の油脂中での平均粒径(メジアン径)
    が1〜150μmで、その含有率が1〜35重量%であ
    る請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】請求項1又は2記載の油脂組成物を配合又
    は使用したことを特徴とする食品。
  7. 【請求項7】原料として小麦粉を配合する請求項6記載
    の食品。
  8. 【請求項8】パン生地である請求項6又は7記載の食
    品。
  9. 【請求項9】焼成されたパンの形態にある請求項8記載
    の食品。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017085996A (ja) * 2015-11-11 2017-05-25 株式会社カネカ 最終発酵後に冷凍されるパン生地用練り込み油脂組成物
JP2020036567A (ja) * 2018-09-05 2020-03-12 味の素株式会社 バッター組成物

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017085996A (ja) * 2015-11-11 2017-05-25 株式会社カネカ 最終発酵後に冷凍されるパン生地用練り込み油脂組成物
JP2020036567A (ja) * 2018-09-05 2020-03-12 味の素株式会社 バッター組成物
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