JP2010098993A - 製パン用油脂組成物 - Google Patents

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【課題】 パン焼成後に生じる縮みや表面のしわ、凹みを防止し、外観を良好に保つことができる製パン用油脂組成物を提供する。
【解決手段】 アルギン酸プロピレングリコールエステル粉末0.1〜20質量部およびグルコースオキシダーゼ粉末0.01〜1質量部を、SFCが15℃で10以上、20℃で5以上である食用油脂100質量部中に分散した製パン用油脂組成物。前記製パン用油脂組成物を小麦粉100質量部に対して0.1〜30質量部使用して焼成したパン類。
【選択図】 図1

Description

本発明は、パン焼成後に生じる縮みや表面のしわ、凹みを防止し、外観を良好に保つことができる製パン用油脂組成物に関する。
パン生地の調整時には、ショートニング、マーガリン等の油脂組成物が練り込まれ、パンの風味、食感を豊かなものとしている。一般に製パン用油脂組成物に使用される食用油脂は、牛脂、豚脂、魚油、パーム油、菜種油、大豆油等の天然の動植物油脂、及びこれらの硬化油、極度硬化油、乳脂等である。
パンは老化し易く焼成後経時的に硬化すること、さらにソフトな食感のパンが好まれることから、ソフトなパンを焼成する様々な方法が提案されている。
パンをソフトにする方法として、モノグリセライドを主体とした乳化剤を使用する方法、パン生地の醗酵時間を増長させる方法、パン生地に対する添加水量を増加する方法等が知られている。
最近では、ソフトな食感を持続するために、パン品質改良剤としてアルギン酸プロピレングリコールエステル、グルコースオキシダーゼ、カタラーゼ、及びL−アスコルビン酸類を使用し、生地に直接に添加するパン類の製造法(特許文献1)が提案されている。
アルギン酸プロピレングリコールエステルを使用するとパン類の全体的な構造を強くし、物性を維持することができることが知られている。例えば、アルギン酸プロピレングリコールエステルを蔗糖脂肪酸エステル、アスコルビン酸とともに使用するとパン類の歯ごたえを良くできることが知られている(特許文献2)。またアルギン酸プロピレングリコールエステルと食物繊維とを使用することによりパン類に適度な弾力性を付与してつぶれにくくできることが知られている(特許文献3)。
一方で、パンをソフトにすると、クラムの軟化に従い保存時にパン表面にしわが発生しやすく見た目(外観)が悪くなり、また、パンの容積が減少すると問題があった。
上記のアルギン酸プロピレングリコールエステルの使用では、パン表面におけるしわの発生などを十分に解決することはできていなかった。
また、これらの問題を解決するために植物ステロール類と卵黄リポ蛋白との複合体を配合する方法(特許文献4)が提案されているが、風味に影響を与え、しわ防止効果も不十分であった。
さらに、ソフトなパンに相性の良い口溶けのよいクリームなどのフィリングを包餡やサンドした場合、フィリングからの水分移行によってパンがふやけ、パン表面にしわが発生しやすくなるという問題があった。
特開2003−102367号公報 特開昭55−118335号公報 特開2000−333590号公報 特開2007−244252号公報
このように、パンのソフトさに悪影響を与えず、パン焼成後に生じる縮みや表面のしわ、凹みを効果的に防止し、外観を良好に保つことができる製パン用油脂組成物の開発が望まれていた。
本発明は、アルギン酸プロピレングリコールエステルを使用して、パン焼成後の外観を良好に保つことについて検討した。
すなわち、本発明は、アルギン酸プロピレングリコールエステルを特定の物性の油脂に分散し、これにグルコースオキシダーゼを加えた製パン用油脂組成物が、パンのソフトさに悪影響を与えず、パン焼成後に生じる縮みや表面のしわ、凹みを効果的に防止し、外観を良好に保つことができることを見出して本発明を完成したものである。
本発明は、以下の発明である。
(1)アルギン酸プロピレングリコールエステル粉末0.1〜20質量部およびグルコースオキシダーゼ粉末0.01〜2質量部を、SFCが15℃で10以上、20℃で5以上である食用油脂100質量部に分散した製パン用油脂組成物。
(2)前記(1)の製パン用油脂組成物を小麦粉100質量部に対して0.1〜30質量部使用して焼成したパン類。
本発明によると、焼成後の縮みや表面のしわ、凹みを防止することができる製パン用油脂組成物を提供できる。また、水分の多いフィリングを包餡やサンドしたパンにおいてもフィリングからの水分移行を抑えることができ、パンのふやけを抑え、外観の良好なパンを提供できる。
本発明は、アルギン酸プロピレングリコールエステル粉末およびグルコースオキシダーゼ粉末をSFCが15℃で10以上、20℃で5以上である食用油脂に分散した製パン用油脂組成物である。
本発明において、上記の油脂組成物をパン生地に練り込むことで、アルギン酸プロピレングリコールエステルの吸水作用により焼成後のパンクラムからクラストへの水分移行を抑制し、また、グルコースオキシダーゼの作用により製パンのグルテン骨格を強化できる。その結果、焼成後のパンの縮みや表面のしわ、凹みを防止することができる。
この効果は、本発明において特定の物性の油脂組成物にアルギン酸プロピレングリコールエステル粉末およびグルコースオキシダーゼ粉末を分散することにより達成される。特定の可塑性の油脂組成物を使用することにより、油脂組成物中のアルギン酸プロピレングリコールエステル粉末およびグルコースオキシダーゼ粉末をパン生地に均一に分散できるとともに、油脂で覆われたアルギン酸プロピレングリコールエステルが生地のミキシング中に徐々に生地中の水分を吸水することで、グルテンの生成を阻害することなくパンを焼成することができることになる。一般的なアルギン酸プロピレングリコールエステル粉末の使用方法であるアルギン酸プロピレングリコールエステル粉末を油脂(ショートニング)とは別にそのまま生地に添加した場合、急速にアルギン酸プロピレングリコールエステルが生地中の水分を吸水し、グルテン形成を阻害するため、本発明の効果である焼成後の縮みや表面のしわ、凹みを防止する効果は得られなくなる。
本発明の製パン用油脂組成物に使用するアルギン酸プロピレングリコールエステルは、アルギン酸を構成するカルボキシル基の少なくとも一部がプロピレングリコールエステルに変換されている構造を有する化合物の中から選択できる。アルギン酸プロピレングリコールエステルの分子量や構造、エステル化度は特に制限されない。また、アルギン酸プロピレングリコールエステルを構成するβ−D−マンヌロン酸とα−L−グルロン酸の割合や配列順序は特に制限されない。したがって、β−D−マンヌロン酸のみからなるブロック、α―L―グルロン酸のみからなるブロック、両者が混合しているブロックのすべてを有するアルギン酸エステルを使用してもよいし、そのいずれか1種または2種からなるアルギン酸プロピレングリコールエステルを使用してもかまわない。
本発明で使用するアルギン酸プロピレングリコールエステルは天然物に由来するものであってもよいし、合成したものであってもよい。天然物から取得する場合は、海藻類などからアルギン酸を取得したうえでプロピレングリコールエステル化するのが好ましい。具体的には、高分子のアルギン酸が豊富に含まれている褐藻類等を例えば希硫酸で洗浄し、炭酸ナトリウム溶液で抽出してから硫酸で沈殿させて高分子のアルギン酸を取得し、これを常法にしたがってプロピレングリコールエステル化することによってアルギン酸プロピレングリコールエステルを取得することができる。あるいは、褐藻類等を例えば希硫酸または希塩酸などの希鉱酸で洗浄し、炭酸ナトリウム溶液などのアルカリ溶液で抽出してから塩化カルシウム等のカルシウム塩で沈殿させてアルギン酸カルシウムを取得した後、硫酸または塩酸等の鉱酸で脱カルシウムして高分子のアルギン酸を取得し、得られたアルギン酸を常法にしたがってプロピレングリコールエステル化することによってアルギン酸プロピレングリコールエステルを取得することができる。低分子のアルギン酸プロピレングリコールエステルを取得しようとする場合は、高分子のアルギン酸を低分子化した後にプロピレングリコールエステル化してもよいし、高分子のアルギン酸をプロピレングリコールエステル化した後に低分子化してもよい。低分子化する方法としては、例えば、高分子のアルギン酸に酵素を作用させる方法、次亜塩素酸ナトリウムや過酸化水素などを反応させる方法、熱分解する方法、加圧分解する方法などを採用することができる。
本発明の製パン用油脂組成物は、1種類のアルギン酸プロピレングリコールエステルを含有するものであっても、複数種のアルギン酸プロピレングリコールエステルを含有するものであってもよい。また、官能基や架橋構造を有していてもよい。
本発明の製パン用油脂組成物に分散するアルギン酸プロピレングリコールエステル粉末の粒子径は平均粒子径で1μm〜1mmのものが好ましい。製パン時に均一にパン生地に分散しやすくなる。
本発明に使用できるアルギン酸プロピレングリコールエステル粉末としては、例えば、昆布由来のアルギン酸プロピレングリコールエステルが市販されており容易に入手できる。
本発明の製パン用油脂組成物において、アルギン酸プロピレングリコールエステルの含有量は使用されるパンの種類、製法、配合、小麦粉の種類により異なるが、通常油脂組成物100質量部に対し、0.1〜20質量部であり、1〜5質量部が好ましい。0.1質量部未満であると焼成後のパンクラムからクラストへの水分移行が十分に抑制されず、パンの縮みや表面のしわ、凹みの防止効果が得られず、20質量部を超えるとアルギン酸エステルによりパン生地の弾力性が強まり作業性が低下し、また得られるパン製品の食感が悪化し易い。
(グルコースオキシダーゼ)
本発明において、アルギン酸プロピレングリコールエステルのみを含有する製パン用油脂組成物を使用しても、パンの縮みや表面のしわ、凹みの防止効果が十分には得られない。本発明はさらにグルコースオキシダーゼ粉末を本発明の製パン用組成物に含ませることにより、パンの縮みや表面のしわ、凹みを防止する。
この理由として、グルコースオキシダーゼの使用により製パンの表面のグルテン骨格が強化されたことが考えられる。なお、グルテン骨格を強化のためには、グルコースオキシダーゼの他、臭素酸カリウム、カタラーゼ、L−アスコルビン酸などの使用が知られているが、本発明においてはグルコースオキシダーゼの使用が特異的に効果を生じた。
本発明では、グルコースオキシダーゼ単体又は賦形剤で希釈したグルコースオキシダーゼ粉末を使用しても構わない。
本発明の製パン用油脂組成物に分散するグルコースオキシダーゼ粉末の粒子径は平均粒子径で1μm〜1mmのものが好ましい。製パン時均一にパン生地に分散しやすくなる。
本発明の製パン用油脂組成物に使用するグルコースオキシダーゼ粉末は、市販のいずれのグルコースオキシダーゼ製剤も使用が可能であり、例えばダニスコジャパン(株)製、商品名「グリンドアミルS700」、新日本化学工業(株)製、商品名「スミチームGOP」ノボザイムジャパン(株)製、商品名「グルザイムBG」、天野エンザイム(株)製、商品名「ハイデラーゼ15」、ナガセ生化学工業(株)製、商品名「グルコースオキシダーゼAN1」等が挙げられる。これらのグルコースオキシダーゼは、1種単独でもしくは2種以上配合して使用してもよい。
(油脂組成物)
本発明の製パン用油脂組成物に使用する油脂組成物は、SFCが15℃で10以上、20℃で5以上である食用油脂組成物である。
このような食用油脂組成物を使用すると、製パン用油脂組成物においてアルギン酸プロピレングリコールエステル粉末やグルコースオキシダーゼ粉末を均一に分散でき長期間安定に保存できる。また、パン生地中にアルギン酸プロピレングリコールエステル粉末やグルコースオキシダーゼ粉末を均一に分散させることができるとともに、油脂によりアルギン酸プロピレングリコールエステルを被覆できるので、パン生地においてアルギン酸プロピレングリコールエステルによる吸水を抑制できグルテンを充分に生成できる。
SFCが15℃で10未満、20℃で5未満の食用油脂組成物、例えば液状油である菜種油を100質量部使用すると、パンの縮みや表面のしわ、凹みの防止効果が十分には得られなくなる。
本発明の油脂組成物中の水の含水量は0.1質量%以下とする必要がある。含水量が多いと油脂組成物の保存期間中にグルコースオキシダーゼの活性が失われるおそれがある。
本発明の製パン用油脂組成物において、グルコースオキシダーゼ粉末の含有量は使用するグルコースオキシダーゼの活性値および使用されるパンの種類、製法、配合、小麦粉の種類により異なるが、通常油脂組成物100質量部に対し、0.01〜2質量部であり、0.5〜1質量部が好ましい。0.01質量部未満であるとパンの縮みや表面のしわ、凹みの防止に十分な効果が得られず、2質量部を超えるとグルコースオキシダーゼの作用によりパン生地の弾力性が高まり伸展性が低下することで作業性が低下し、また生地を引き締める作用効果が強すぎてパンの内相の荒れて得られるパン製品の食感が悪くなるおそれがある。
また、酵素活性を基準とすると、通常油脂組成物100Kgに対し、0.01〜10000単位であることが好ましく、特に好ましくは1〜500単位である。0.01単位未満であると本発明の効果を得るには十分ではなく、10000単位より多いとパン生地の弾力性が高まり伸展性が低下することで作業性が低下し、また生地を引き締める作用効果が強すぎてパンの内相の荒れて得られるパン製品の食感が悪くなるおそれがある。
なお、本発明でいうグルコースオキシダーゼの活性単位とは、1分間に1μmolのグルコースを酸化触媒する酵素活性を1単位として、例えば、次に示す測定方法に基づき活性を決定することができる。
<活性測定方法>
・試料:0.01M酢酸Buffer(pH5.1)でグルコースオキシダーゼ濃度が0.005〜0.03U/mlとなるように希釈する。
・試薬A(MBTH−DEA):EDTA・2Na100mg、MBTH17mg、DEA0.4mlを0.1M酢酸で溶解し1Lとする。
・試薬B(POD溶液):0.1M酢酸Na溶液で、Peroxidaseを8プルプロガリン単位/mLに希釈する。
・基質溶液:0.1M酢酸で、15%グルコース溶液とする。
・反応停止液:0.5N−HCl
(手順)
・ブランク:試薬A2.0mLを滴下する。→試薬B0.5mLを滴下する。→37℃で5分間加温する。→基質溶液0.5mLを滴下する。→37℃で15分間反応させる。→反応停止液1.0mLを滴下し反応を停止させる。→試料0.3mLを滴下する。→吸光度測定(波長590nm)
・試料:試薬A2.0mLを滴下する。→試薬B0.5mLを滴下する。→試料0.3mLを滴下する。→37℃で5分間加温する。→基質溶液0.5mLを滴下する。→37℃で15分間反応させる。→反応停止液1.0mLを滴下し反応を停止させる。→吸光度測定(波長590nm)
(計算式)
U/mL=△ED(ODtest−ODblank)×4.3(mL)/(29.05×15(分)×0.3(mL))×N
U/mL=U/mL×l/C
29.05:Indamine dyeの590nmにおけるミリモル分子吸光係数
C:溶解時の酵素濃度
N:試料の希釈倍率
本発明の製パン用油脂組成物は例えば以下のように製造することができる。
食用油脂を80℃以上に加熱し完全に溶解する。その後、70℃以下に降温した食用油脂にアルギン酸プロピレングリコールエステル粉末、グルコースオキシダーゼ粉末、その他原料を投入し15分間、撹拌する。ショートニング製造機を使用して、窒素を充填しながら食用油脂を急冷して錬り、本発明の製パン用油脂組成物を製造することができる。
本発明の製パン用油脂組成物は、アルギン酸プロピレングリコールエステル粉末およびグルコースオキシダーゼ粉末を含有するものであれば、その他の成分の種類や含有量は特に制限されるものではない。例えば、乳化剤、保存料、pH調整剤、色素、香料、その他の多糖類、酵素等を適宜使用してもよい。
本発明の製パン用油脂組成物を使用して製造するパン類としては、食パン、特殊パン、調理パン、菓子パンなどが挙げられる。具体的には、食パンとしては白パン、黒パン、フランスパン、バラエティーブレッド、ロール(テーブルロール、バンズ、バターロールなど)が挙げられる。特殊パンとしてはマフィンなど、調理パンとしてはホットドック、ハンバーガーなど、菓子パンとしてはジャムパン、あんパン、クリームパンなどが挙げられる。
本発明の製パン用油脂組成物は、吸水量の多い配合のパン;ソフト化効果の得られるモノグリセリドなどの乳化剤、α―アミラーゼなどの酵素を配合したパン;低温で焼成した白焼きパンなどの特にソフトなパン類において、焼成後の縮みや表面のしわ、凹みの防止に適している。
本発明において、ベーカリー製品調整時に添加する本発明の油脂組成物の量は、ベーカリー製品に使用する小麦粉100重量部に対して、1〜35重量部、好ましくは5〜15重量部である。油脂組成物の添加量が1重量部未満であると、本発明の効果が得られず、35重量部を越えると、得られたベーカリー製品の食感が低下するおそれがある。
本発明におけるベーカリー製品の原料としては、主原料としての小麦粉の他に、イースト、イーストフード、乳化剤、油脂類(ショートニング、ラード、マーガリン、バター、液状油等)、水、加工澱粉、乳製品、食塩、糖類、グルタミン酸ソーダ類や核酸類などの調味料、保存料、ビタミン、カルシウム等の強化剤、蛋白質、アミノ酸、化学膨張剤、フレーバー等が挙げられる。更に、レーズン等の乾燥果実、小麦ふすま、全粒粉等を使用できる。
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
実施例1
表1の配合組成で以下の方法により製パン用油脂組成物を製造した。パーム硬化油(42℃)5kg(5質量部)、パーム油30kg(30質量部)、菜種硬化油(融点36℃)35kg(35質量部)、および菜種油30kg(30質量部)を配合し、70℃まで加熱溶解し油相部を製造した。ついで、アルギン酸エステル粉末(商品名 昆布酸、株式会社キミカ製)を2kg(2質量部)、グルコースオキシダーゼ粉末(商品名 グリンドアミルS700、ダニスコジャパン製、500g(0.5質量部、活性350単位)を油相部に徐々に添加撹拌して製パン用油脂組成物を試作した。
実施例2〜6及び、比較例1〜9
表1及び表2に示した配合で、実施例1に準じた方法により製パン用油脂組成物を試作した。
<パンの製造方法>
強力粉700g、イースト30g、イーストフード1g、上白糖30g、水400gをミキサーボウルに投入し、低速2分、中速2分混捏し、捏ね上げ温度25.5℃の中種を28℃で2時間醗酵させた。醗酵させた中種をミキサーボウルに投入し、さらに、強力粉300g、上白糖150g、全卵60g、脱脂粉乳20g、食塩17g、水200gを投入し、低速2分、中速4分混捏し、ここで、製パン用練り込み油脂として、実施例及び比較例において得られた油脂組成物を70g投入し、さらに低速2分、中速4分混捏し、捏ね上げ温度28℃の生地を得た。フロアタイムを30分取った後、80gに分割し、次いでベンチタイムを25分とった後、モルダーに生地を通し、コッペ型に成型した。さらに、38℃、相対湿度85%のホイロに70分入れて最終醗酵を行なった。最終醗酵後、上火、下火200℃のオーブンに入れて、8分焼成し、コッペパンを得た。このパンを30分間室温で放冷した後、袋に入れ、20℃で保管した。なお、比較例8、9については、中種調整時に強力粉、イースト、イーストフード、上白糖、水とともにアルギン酸プロピレングリコールエステル2g、グルコースオキシダーゼ0.5g及びL−アスコルビン酸0.05gを添加し上記方法に準じて中種を作製した。また、その後の工程(本捏)にて用いる油脂としては汎用のショートニングを70g使用し、上記方法に準じてコッペパンを得た。
ここで、SFCは、以下の方法(基準油脂分析試験法 2.2.9 固体脂含量(NMR法))で測定したものである。その概要を以下に説明する。
SFC測定時のサンプル調整法は、試料を70℃の恒温槽で加熱し、均一に試験管に入れ、ゴム栓をする。試験管に詰めた試料および対照試料(オリーブ油)を、60℃に30分間テンパリング後、それぞれの試料のNMRシグナルを測定する。これらの試料を、0℃で30分間保持し、さらに25℃で30分間保持する。再び0℃に移しで30間テンパリングを行った後、10℃又は25℃の測定温度で30分間テンパリングし、それぞれの試料のNMRシグナルを測定する。
<評価方法>
焼成したコッペパンの縮みをしわの評価方法として測定した。
<評価式>
焼成後3日目の体積/焼成後1日目の体積×100
なお、体積は菜種置換法にて測定した。
上記評価式にて得られた値が96以上であれば良好、96未満94以上であればやや不良、94未満であれば不良とすることとした。
<硬さ測定>
東電社製のレオメータを使用して硬さの測定を行った。焼成後1日目のコッペパンを3cm幅に輪切りにし、上面からプランジャーで1mm/秒で1.5cm圧縮した際の最大応力を測定し、硬さの指標とした。
次に焼成後3日目のコッペパンの表面のしわについて表3にコメントを示した。
なお、実施例2及び比較例4において焼成後3日目のコッペパンの表面の状態を図1及び2に写真で示す。
表1〜3、及び写真の結果より、本発明の製パン用油脂組成物を使用して焼成したパンは、パン焼成後に生じる縮みや表面のしわ、凹みを効果的に防止し、外観を良好に保つことができることが分かる。
一方、この効果は、アルギン酸プロピレングリコールエステル粉末、グルコースオキシダーゼ粉末をそれぞれ単独で分散した油脂組成物を使用しても得られない効果である(比較例1、2)。また、分散に使用する油脂のSFCが本発明に特定される範囲外である場合(比較例6)、油脂に分散しないで粉末を直接に添加した場合(比較例8、9)では、本発明の効果は得られない。そして、本発明の効果は、アルギン酸プロピレングリコールエステル粉末にグルコースオキシダーゼ粉末を組み合わせることにより生じることが分かる。
次に、製パン時に乳化剤や酵素の使用しよりソフトにしたパンや包餡したパンにおいて、焼成後に生じる縮みや表面のしわ、凹みを防止する要望は高い。そこで、実施例1で製造した油脂組成物を使用して、ソフトなコッペパンおよびフィリングを包餡したパンを焼成し、しわの評価を行なった。
実施例7、8
強力粉700g、イースト30g、イーストフード1g、上白糖30g、乳化剤(商品名:エマルジーMMスーパーV、理研ビタミン社製)3g、水400gをミキサーボウルに投入し、低速2分、中速2分混捏し、捏ね上げ温度25.5℃の中種を28℃で2時間醗酵させた。醗酵させた中種をミキサーボウルに投入し、さらに強力粉200g、薄力粉100g、上白糖200g、全卵60g、脱脂粉乳30g、食塩10g、水120g、α−アミラーゼ(商品名:ビオザイムA、天野エンザイム)0.03gを投入し、低速2分、中速4分混捏し、ここで、製パン用練り込み油脂として、実施例1において製造した油脂組成物を100g投入し、さらに低速2分、中速4分混捏し、捏ね上げ温度28℃の生地を得た。フロアタイムを40分取った後、80gおよび60gに分割し、次いでベンチタイムを20分とった後、80gの生地はモルダーに通し、コッペ成型を行なった(実施例7)。また60gの生地はカスタードクリーム(商品名:ベルベットカスタード、日油株式会社製)を35g包餡し、クリームパンの成型を行なった(実施例8)。いずれの成型も38℃、相対湿度85%のホイロに70分入れて最終醗酵を行なった。最終醗酵後、上火、下火200℃のオーブンに入れて、8分焼成し、コッペパンおよびクリームパンを得た。さらに、このパンを30分間室温で放冷した後、袋に入れ、20℃で3日間保管した。
しわ、硬さの評価結果を表4に示す。
表4の結果から、本発明の製パン用油脂組成物を使用して製パンすると、縮みや表面のしわ、凹みが生じやすいソフトにしたパンや、フィリングを包餡することでパンクラムに水分移行しやすいパンにおいても、ソフトさに影響することなく外観を良好に保つことができることが分かる。
本発明の実施形態(実施例1)における焼成後3日目のコッペパンの表面の状態。 比較例4における焼成後3日目のコッペパンの表面の状態。

Claims (2)

  1. アルギン酸プロピレングリコールエステル粉末0.1〜20質量部およびグルコースオキシダーゼ粉末0.01〜1質量部を、SFCが15℃で10以上、20℃で5以上である食用油脂100質量部中に分散した製パン用油脂組成物。
  2. 請求項1記載の製パン用油脂組成物を小麦粉100質量部に対して0.1〜30質量部使用して焼成したパン類。
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