JP2002275221A - グラフト共重合体粉末の製造方法 - Google Patents

グラフト共重合体粉末の製造方法

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JP2002275221A
JP2002275221A JP2001079579A JP2001079579A JP2002275221A JP 2002275221 A JP2002275221 A JP 2002275221A JP 2001079579 A JP2001079579 A JP 2001079579A JP 2001079579 A JP2001079579 A JP 2001079579A JP 2002275221 A JP2002275221 A JP 2002275221A
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graft copolymer
latex
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powder
polymer
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JP2001079579A
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English (en)
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Masateru Nakayama
将輝 中山
Akihiro Toritani
明宏 鳥谷
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粒度分布がシャープで、かつ嵩密度が高いア
クリル系のグラフト共重合体粉末を、生産性良く製造す
る方法を提供する。 【解決手段】 グラフト共重合体を含むグラフト共重合
体ラテックスに凝集剤を接触させ、該グラフト共重合体
ラテックス中のグラフト共重合体の50〜95質量%を
凝集させる第1凝集工程と、さらに凝集剤を添加して前
記グラフト共重合体の凝集を完結させ、グラフト共重合
体スラリーを製造する第2凝集工程と、該グラフト共重
合体スラリーを熱処理する熱処理工程と、該グラフト共
重合体スラリーから水分を除去する水分除去工程とを有
し、特に前記グラフト共重合体ラテックスとして、グラ
フト共重合体の平均粒子径D[μm]と硬質重合体(グ
ラフト層)の含有量x[質量%]が特定の関係、すなわ
ち −150D+27<x<−80D+29であるもの
を使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アクリル系グラフ
ト共重合体粉末の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、塩化ビニル樹脂、スチレン樹
脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、メチルメタクリ
レート樹脂、ポリカーボネート樹脂等の成形加工性や衝
撃強度を改善する改質剤としてアクリル系グラフト共重
合体粉末が使用されている。アクリル系の弾性幹重合体
を含むグラフト共重合体ラテックスからグラフト共重合
体を粉末として回収するには、酸または塩からなる凝集
剤を使用してグラフト共重合体を凝集させた後、脱水、
乾燥する方法があるが、特に、得られる粉末の嵩密度、
粒度分布、滑り性等の粉体特性を改良する方法について
種々検討されている。例えば、特公平3−51728
号、特開平10−17626号公報等には、グラフト共
重合体ラテックスを、凝集剤である酸または塩を用い
て、特定のpH範囲や凝集剤濃度で凝集させた後、再度
酸または塩を添加して凝集を完結させ、得られたグラフ
ト共重合体スラリーに、熱処理を施し、さらに脱水、乾
燥させてグラフト共重合体粉末を得る方法が開示されて
いる。このような方法によれば、粒度分布がシャープ
で、かつ嵩密度が高いものが得られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな方法においてグラフト共重合体スラリーを脱水処理
して得られる湿粉は含水率が高いため、これを乾燥させ
て粉末とするためには長時間の処理を要し、作業効率に
劣り、生産性が低かった。
【0004】本発明は、前記事項に鑑みてなされたもの
であり、粒度分布がシャープで、かつ嵩密度が高いグラ
フト共重合体粉末を、生産性良く製造する方法を提供す
ることを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題点を解決することを目的として鋭意検討した結果、グ
ラフト共重合体ラテックス中に含まれるグラフト共重合
体粒子の平均粒子径とグラフト共重合体中における硬質
重合体含有量とが特定の関係にあるグラフト共重合体ラ
テックスを用い、これに凝集剤を接触させ、該グラフト
共重合体ラテックス中に含まれるグラフト共重合体の一
部を凝集させ、さらに、凝集剤を添加して凝集を完結さ
せることにより、粒度分布がシャープで、かつ嵩密度が
高いグラフト共重合体粉末を生産性良く製造することが
できることを見出し、本発明に至った。本発明のグラフ
ト共重合体粉末の製造方法は、アクリル系の弾性幹重合
体に硬質重合体形成性単量体が乳化グラフト重合したグ
ラフト共重合体粉末の製造方法であって、前記グラフト
共重合体を含むグラフト共重合体ラテックスに凝集剤を
接触させ、該グラフト共重合体の50〜95質量%を凝
集させる第1凝集工程と、さらに凝集剤を添加して前記
グラフト共重合体の凝集を完結させ、グラフト共重合体
スラリーを製造する第2凝集工程と、該グラフト共重合
体スラリーを熱処理する熱処理工程と、該グラフト共重
合体スラリーから水分を除去する水分除去工程とを有
し、前記グラフト共重合体ラテックス中のグラフト共重
合体は、下記式(I)を満足することを特徴とする。 −150D+27<x<−80D+29・・・(I) (式(I)中、Dはグラフト共重合体ラテックス中にお
けるグラフト共重合体粒子の平均粒子径[μm]、xは
グラフト共重合体中の硬質重合体の含有量[質量%]を
表し、0.1<Dかつ1≦xである。) この製造方法は、前記グラフト共重合体100質量部に
対して、硬質非弾性重合体を0.01〜10質量部添加
する硬質非弾性重合体添加工程を、第2凝集工程と水分
除去工程との間にさらに有することが好ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の製造方法で得られるグラフト共重合体粉末は、
アクリル系の弾性幹重合体に硬質重合体形成性単量体が
乳化グラフト重合したグラフト共重合体の粉末である。
ここでアクリル系の弾性幹重合体としては、エチルアク
リレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルア
クリレート等のアクリルエステル系単量体の単独重合体
もしくは共重合体、またはアクリルエステル系単量体と
共重合可能な他の単量体との共重合体等が挙げられる。
アクリルエステル系単量体と共重合可能な他の単量体と
しては、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニ
ル化合物;メチルメタクリレート、エチルメタクリレー
ト等のメタクリル酸アルキルエステル;メチルアクリレ
ート、エチルアクリレート等のアルキル基の炭素数が1
〜8のアクリル酸アルキルエステル;アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル等のビニルシアン化合物や、ア
リルアクリレート、アリルメタクリレート、1,3−ブ
チレンジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジア
クリレート、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
【0007】アクリル系の弾性幹重合体は、アクリルエ
ステル系単量体と必要に応じて共重合可能な他の単量体
と使用し、これを乳化重合法などで重合することによっ
て製造できる。重合方法は1段でも2段以上でもよい。
また、アクリル系の弾性幹重合体は、2相以上からなる
ものでもよく、例えば、2−エチルヘキシルアクリレー
トを主成分とするアクリルゴム成分に、n−ブチルアク
リレートを主成分とするアクリルゴム成分を複合化した
ような複合ゴムでもよい。
【0008】アクリル系の弾性幹重合体に乳化グラフト
重合する硬質重合体形成性単量体としては、スチレン、
α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;メチルメ
タクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリ
レート等のメタクリル酸アルキルエステル;アクリロニ
トリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン化合物等
が挙げられる。これらの単量体は、単独あるいは2種以
上で用いられる。
【0009】本発明で用いられるグラフト共重合体ラテ
ックスは、乳化剤や開始剤を使用して、アクリル系の弾
性幹重合体に硬質重合体形成単量体を乳化重合法でグラ
フト重合することで製造できる。乳化剤としては、例え
ば、半硬化牛脂脂肪酸カリウムなどの弱酸や、半硬化牛
脂脂肪酸カリウムなどの弱酸の塩などの乳化剤が好適に
用いられ、開始剤としては、例えば、パラメンタンハイ
ドロパーオキサイドやt−ブチルハイドロパーオキサイ
ド等が用いられる。乳化剤は、アクリル系の弾性幹重合
体100質量部に対して0.01〜10質量部、好まし
くは0.5〜5質量部の範囲で使用され、開始剤は好ま
しくは0.1〜10質量部の範囲で使用される。なお、
得られたグラフト共重合体ラテックスには、これをより
安定化するために乳化剤を追加添加してもよい。
【0010】本発明の製造方法では、このようにして得
られたグラフト共重合体ラテックスに凝集剤を接触さ
せ、このグラフト共重合体ラテックス中のグラフト共重
合体の50〜95質量%を凝集させる第1凝集工程を行
い、さらに凝集剤を添加して前記グラフト共重合体の凝
集を完結させ、グラフト共重合体スラリーを製造する第
2凝集工程を行う。その後、得られたグラフト共重合体
スラリーを熱処理する熱処理工程を行った後、グラフト
共重合体スラリーを脱水、乾燥して水分除去する水分除
去工程を行う。そして、グラフト共重合体ラテックスと
して、グラフト共重合体ラテックス中におけるグラフト
共重合体粒子の平均粒子径D[μm]と、グラフト共重
合体中における硬質重合体の含有量x[質量%]とが、
下記式(I)を満足するものを使用する。ただし、0.
1<D、1≦xである。 −150D+27<x<−80D+29・・・(I)
【0011】硬質重合体の含有量xが、x≦−150D
+27であると、第1凝集工程や第2凝集工程において
グラフト共重合体粒子同士の融着が過度に進み、系全体
がブロック化してグラフト共重合体粉末が得られなくな
る。一方、x≧−80D+29であると、第1凝集工程
や第2凝集工程で粒子同士の融着がほとんど起こらず、
得られるグラフト共重合体粉末は嵩密度の低いものとな
る。また、水分除去工程にも長時間を要する。使用する
グラフト共重合体ラテックスが上記(I)式を満足する
と、第1凝集工程や第2凝集工程時における粒子同士の
融着を適度に制御でき、その結果、水分除去工程を効率
的に行うことができるとともに、得られるグラフト共重
合体粉末は粒度分布がシャープで、かつ、嵩密度が高い
ものとなる。また、グラフト共重合体ラテックスとして
は、これに含まれるグラフト共重合体粒子の平均粒子径
Dが0.1μmを超えるものを使用する。グラフト共重
合体粒子の平均粒子径Dが0.1μm以下では、第1凝
集工程や第2凝集工程においてグラフト共重合体粒子同
士の融着が過度に進み、系全体がブロック化してグラフ
ト共重合体粉末が得られなくなる。また、グラフト共重
合体中における硬質重合体の含有量(硬質重合体形成単
量体からなるグラフト層の含有量)は1質量%以上であ
る必要がある。硬質重合体の含有量が1質量%未満で
は、グラフト共重合体粒子の平均粒子径Dによらず、第
1凝集工程や第2凝集工程においてグラフト共重合体粒
子同士の融着が過度に進み、系全体がブロック化してグ
ラフト共重合体粉末が得られなくなる。
【0012】ここで本発明の製造方法を図1を示して説
明する。図1は本発明のグラフト共重合体粉末の製造方
法に好適に使用される装置構成の一例であり、第一槽
5、第二槽6、第三槽7、第四槽8が連続した連続攪拌
槽である。これら各槽において、後述するように第1凝
集工程、第2凝集工程、硬質非弾性重合体添加工程、熱
処理工程をそれぞれ行う。第一槽5には、第1の定量ポ
ンプ1と第2の定量ポンプ2が備えられていて、第1の
定量ポンプ1から上述したグラフト共重合体ラテックス
を供給し、第2の定量ポンプ2から凝集剤を供給する。
そして第一槽5内において、グラフト共重合体ラテック
スと凝集剤とを攪拌して接触させ、グラフト共重合体ラ
テックス中のグラフト共重合体の50〜95質量%を凝
集させる第1凝集工程を行う。なお、第1凝集工程にお
いて第一槽5の温度は5〜60℃程度、滞留時間は1〜
30min程度である。
【0013】ここで使用される凝集剤としては、アクリ
ル系の弾性幹重合体を製造する際や、アクリル系の弾性
幹重合体に硬質重合体形成単量体を乳化グラフト重合す
る際に使用された乳化剤の種類や量によって適宜選択さ
れる。例えば、弱酸の塩を主体とする乳化剤が使用され
た場合は、凝集剤として有機酸または無機酸が好適に用
いられ、それ以外の乳化剤が使用された場合には、有機
塩または無機塩が好適に用いられる。また、凝集剤はこ
れら酸または塩の水溶液として用いられることが好まし
い。有機酸としては、酢酸、ギ酸、アクリル酸等が挙げ
られ、無機酸としては、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸等が
挙げられる。また、有機塩としては、酢酸ナトリウム、
酢酸カルシウム、ギ酸カリウム、ギ酸カルシウム等が挙
げられ、無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウ
ム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウ
ム等が挙げられる。また、第1凝集工程で第一槽5に添
加するこれら凝集剤の量は、第1凝集工程において、グ
ラフト共重合体の50〜95質量%を凝集させるような
量を使用する。
【0014】第1凝集工程で凝集するグラフト共重合体
量、すなわち、凝集グラフト共重合体量が50質量%未
満では、後述する第2凝集工程において凝集するグラフ
ト共重合体量が多くなり、第2凝集工程が強い乳化状態
破壊作用のもので進行することになる。一方、凝集グラ
フト共重合体量が95質量%を超えると、第1凝集工程
において凝集するグラフト共重合体量が多くなり、第1
凝集工程が強い乳化状態破壊作用のもとで進行すること
になる。乳化状態破壊作用が強過ぎると、比較的粒子径
の大きな凝集粒子が増加し、その結果、最終的に得られ
るグラフト共重合体粉末の粒度分布がブロードになって
しまう。第1凝集工程でグラフト共重合体の50〜95
質量%を凝集させ、残りを第2凝集工程で凝集させるこ
とによって、第1工程および第2工程がともに適度な乳
化状態破壊作用のもとで進行し、最終的に得られるグラ
フト共重合体粉末の粒度分布がシャープになる。より好
ましくは、第1凝集工程における凝集グラフト共重合体
量は70〜90質量%である。
【0015】なお、本発明において、凝集グラフト共重
合体量はつぎのようにして求められる。第1凝集工程後
のスラリーを東洋濾紙「No.131」(JIS P3
801の第3種)で濾過する。得られた濾液中には、凝
集していない未凝集グラフト共重合体が含まれ、この量
から濾液の未凝集グラフト共重合体濃度を求める。そし
て、この濃度から未凝集グラフト共重合体量を算出し、
これを、第1の定量ポンプ1から第一槽5に供給した全
グラフト共重合体ラテックス中に含まれるグラフト共重
合体量から減じる。このようにして得られた値が凝集グ
ラフト共重合体量である。
【0016】第1凝集工程の後、第二槽6において第2
凝集工程を行う。第二槽6には第3の定量ポンプ3が備
えられていて、このポンプ3より、第1凝集工程で凝集
しなかったグラフト共重合体を完全に凝集させるために
必要な量の凝集剤を追加投入する。このようにして第2
凝集工程において凝集を完結させ、グラフト共重合体ス
ラリーを製造する。ここで追加する凝集剤としては、第
1凝集工程で使用したものを使用できる。なお、第2凝
集工程において第二槽6の温度は5〜60℃程度、滞留
時間は1〜30min程度とする。このようにして、グ
ラフト共重合体の凝集を第1凝集工程および第2凝集工
程とで行うことによって、粒度分布がシャープで、かつ
嵩密度が高いグラフト共重合体粉末が得られる。
【0017】また、第2凝集工程の後には、第三槽7に
おいてグラフト共重合体スラリー中に含まれるグラフト
共重合体100質量部に対して、硬質非弾性重合体を
0.01〜10質量部添加する硬質非弾性重合体添加工
程を行うことが好ましい。硬質非弾性重合体を添加する
ことによって、凝集粒子の表面を改質でき、後の水分除
去工程におけるブロック化を抑制できる。硬質非弾性重
合体は第三槽7に備えられた第4の定量ポンプ4から添
加する。このように添加される粉体改質用の硬質非弾性
重合体が0.01質量部未満であると、凝集粒子表面の
滑り性を高めるなどの粉体改質の効果が得られない傾向
にあり、また10質量部を超えると、最終的に得られる
グラフト共重合体粉末の衝撃強度や透明性等の物性が低
下する傾向にある。なお、硬質非弾性重合体添加工程
は、第2凝集工程後と水分除去工程との間に行えばよ
く、第2凝集工程後や、熱処理工程後などに行える。し
かしながら、第2凝集工程と熱処理工程の間に行うほう
が、凝集粒子表面の滑り性を高めるなどの粉体改質の効
果がより顕著に得られるため好ましい。
【0018】硬質非弾性重合体添加工程で用いられる粉
体改質用の硬質非弾性重合体は、乳化重合法により調製
されたものであることが好ましく、メチルメタクリレー
ト、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、
ブチルメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン
からなる群から選ばれる1種類以上の単量体を少なくと
も80質量%含有し、そのガラス転移温度Tgが50℃
以上であることが好ましい。硬質非弾性重合体に用いら
れるこれら単量体以外の単量体としては、いかなる他の
共重合性エチレン性不飽和単量体であってもよく、例え
ば、アルキル基の炭素数が1〜4であるアクリレートの
ような軟質重合体を形成する単量体等も使用できる。
【0019】硬質非弾性重合体添加工程の後には、第四
槽8において、グラフト共重合体スラリーを80℃以
上、好ましくは90℃以上に加熱して処理する熱処理工
程を行い、その後、熱処理されたグラフト共重合体スラ
リーを脱水および乾燥して水分を除去する水分除去工程
を行う。熱処理工程を行うことによって、第1凝集工程
および第2凝集工程で得られた凝集粒子がさらに強く凝
集し、後の水分除去工程における水分除去が容易である
とともに、嵩密度の高いグラフト共重合体粉末が得られ
る。熱処理工程における熱処理時間(第四槽8における
滞留時間)は10分以上であることが好ましく、さらに
好ましくは20〜30分程度である。熱処理温度が80
℃未満であるか、熱処理時間が10分未満であると、脱
水後の湿粉の含水率が高くなり、その後の乾燥に長時間
を要する。その結果、製造コストが高くなり、生産性の
低下を招くことがある。また、水分除去工程において脱
水は遠心脱水機などで行う。乾燥は気流乾燥機、流動乾
燥機、熱風乾燥機、もしくはこれらを組み合わせて使用
できるが、好ましくは流動乾燥機を使用して、乾燥ガス
温度が50〜150℃で行う。
【0020】このような製造方法で得られたグラフト共
重合体粉末は、粒度分布がシャープで、かつ嵩密度が高
い。また、湿粉、すなわち水分除去工程における脱水後
の粉の含水率が低いため、その後の乾燥に要する時間を
短縮でき、生産効率に優れ、低い製造コストで製造でき
る。また、グラフト共重合体100質量部に対して、硬
質非弾性重合体を0.01〜10質量部添加する硬質非
弾性重合体添加工程を、第2凝集工程と水分除去工程と
の間に行うと、得られるグラフト共重合体粉末の衝撃強
度や透明性等の物性を損なうことなく、滑り性を向上さ
せることができ、後の工程や保管時などのブロック化を
抑制できる。このようにして得られたグラフト共重合体
粉末は、塩化ビニル樹脂、スチレン樹脂、アクリロニト
リル−スチレン樹脂、メチルメタクリレート樹脂、ポリ
カーボネート樹脂等の成形加工性を改善する加工助剤や
衝撃強度を改善する衝撃強度改質剤などに用いることが
できる。
【0021】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明をさ
らに詳しく説明するが、本発明はその要旨を超えない限
り、以下の例に制限されるものではない。なお、以下の
例中で、「部」とあるのは「質量部」を示す。また、凝
集剤水溶液の濃度は、第2凝集工程終了後の第二槽6に
おけるグラフト共重合体の固形分濃度が10質量%とな
るように、適宜調整した。また、全ての試薬は、特に断
りがない限り、市販の良好品を使用した。各例中におい
て、得られた湿粉の含水率、グラフト共重合体粉末の嵩
密度および粒度分布について、下記の方法で評価した。 (1)嵩密度 JIS K−6721に従って測定した。 (2)湿粉含水率 熱処理工程後のグラフト共重合体スラリーを遠心脱水機
(田辺上部排出型「0−20型」)にかけ、1800r
pmで3分間遠心脱水した。得られた湿粉のうち2gを
サンプリングし、熱風乾燥機を使用して、180℃で3
0分間乾燥して質量を測定し、下記式より湿粉の含水率
を算出した。 湿粉含水率[dry%]=[{(湿粉の質量)−(乾燥
粉の質量)}/(乾燥粉の質量)]×100 (3)粒度分布 得られたグラフト共重合体粉末を、種々のメッシュサイ
ズの篩いを用い、一定の外部振動を30分間加えて篩い
分けし、その質量分布を測定した。
【0022】[実施例1]2−エチルヘキシルアクリレ
ート99.5部、アリルメタクリレート0.5部を混合
し、(メタ)アクリレート単量体混合物100部を得
た。アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸ナトリ
ウムとして、花王株式会社から市販されている登録商標
ペレックスSS−Hを固形分として1部溶解した蒸留水
195部に、上記(メタ)アクリレート単量体混合物1
00部を加え、ホモミキサーにて10,000rpmで
予備撹拌した後、ホモジナイザーにより300kg/c
2 の圧力で乳化、分散させ、(メタ)アクリレートエ
マルジョンを得た。この混合液をコンデンサーおよび撹
拌翼を備えたセパラブルフラスコに移し、窒素置換およ
び混合撹拌しながら加熱し、50℃になった時にter
t−ブチルヒドロペルオキシド0.5部を添加した後5
0℃に昇温し、硫酸第1鉄0.002部、エチレンジア
ミン四酢酸二ナトリウム塩0.006部、ロンガリット
0.26部および蒸留水5部の混合液を投入した。その
後5時間放置し、重合を完結しアクリルゴム(A1)成
分ラテックスを得た。さらに得られたラテックスにペレ
ックスSS−Hを固形分として7.0部追加した。上記
アクリルゴム(A1)成分ラテックスを、アリルメタク
リレートを含むポリ2−エチルヘキシルアクリレートの
固形分量として10部となるように採取し、撹拌機を備
えたセパラブルフラスコにいれ、系内の蒸留水量が19
5部となるように追加した。この時、ペレックスSS−
Hはこのラテックス中に固形分として0.8部存在する
ことになる。次いで、アクリルゴム(A2)成分を構成
するアリルメタクリレート2.0%を含むn−ブチルア
クリレート78部、およびtert−ブチルヒドロペル
オキシド0.32部の混合液を仕込み、10分間撹拌
し、この混合液をアクリルゴム(A1)成分粒子に浸透
させた。さらに10分間攪拌した後、窒素置換を行い、
系内を50℃に昇温し、硫酸第1鉄0.002部、エチ
レンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.006部、ロン
ガリット0.26部および蒸留水5部の混合液を仕込み
ラジカル重合を開始させ、その後内温70℃で2時間保
持し、重合を完了してアクリルゴム(A1)成分および
アクリルゴム(A2)成分からなるポリアルキル(メ
タ)アクリレート系複合ゴムラテックス(A)を得た。
このポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴムラテ
ックス(A)92部に、tert−ブチルヒドロペルオ
キシド0.06部とメチルメタクリレート8部との混合
液を70℃にて15分間にわたり滴下し、その後70℃
で4時間保持し、ポリアルキル(メタ)アクリレート系
複合ゴムへのグラフト重合を完了した。製造した上記グ
ラフト共重合体ラテックス中におけるグラフト共重合体
の平均粒子径は、0.25μm、pHは8であり、上記
グラフト共重合体ラテックス中に存在する乳化剤の種類
および量は、表1に示したとおりであった。
【0023】上記グラフト共重合体ラテックスを、蒸留
水を用いて2.2倍に希釈した。次いで、図1の第一槽
5において、該グラフト共重合体ラテックスと表2に記
載の凝集剤である硫酸アルミニウム水溶液1.3部(硫
酸アルミニウムとして)とを攪拌混合した(第1凝集工
程)。さらに、第二槽6において、凝集剤である硫酸ア
ルミニウム水溶液4.0部(硫酸アルミニウムとして)
を追加投入して凝集を完結させ、グラフト共重合体スラ
リーを製造した(第2凝集工程)。次に、第三槽7にお
いて、MMA85部とBA15部とを乳化重合させて得
られた硬質非弾性重合体ラテックス(乳化剤:アルケニ
ルコハク酸ジカリウム、固形分:25%、平均粒径:
0.1μm、ガラス転移温度96℃)2.0部(固形分
換算)を、上記グラフト共重合体スラリーに添加し(硬
質非弾性重合体添加工程)、これを、第四槽8におい
て、熱処理した後(熱処理工程)、排出されたグラフト
共重合体スラリーを、水洗、脱水して湿粉を得て、さら
にこれを乾燥する水分除去工程を行ってグラフト共重合
体粉末を製造した。上記第一槽5で凝集した凝集グラフ
ト共重合体量、各槽における温度、滞留時間などについ
ては、表2に示したとおりである。このようにして製造
した湿粉の含水率、グラフト共重合体粉末の嵩密度、粒
度分布について、上記方法に従って測定、評価した結果
を表3に記載した。
【0024】[実施例2]アリルメタクリレートを1%含
むn−ブチルアクリレートを1.275部、およびte
rt−ブチルヒドロペルオキシド0.051部を混合
し、予め窒素置換したものを、コンデンサーおよび撹拌
翼を備えたセパラブルフラスコ中で混合撹拌しながら、
窒素置換をしたアルケニル琥珀酸ジカリウムを0.1部
溶解した蒸留水128部に仕込んだ。その後60℃に昇
温し、硫酸第1鉄0.002部、エチレンジアミン四酢
酸二ナトリウム塩0.006部、ロンガリット0.26
部および蒸留水10部の混合液を仕込み、1時間放置
し、乳化重合を完了し、ポリ(メタ)アクリレートのラ
テックスのシード粒子を得た。次いで上記ポリ(メタ)
アクリレートのラテックスのシード粒子に、別々に用意
したアルケニル琥珀酸ジカリウムを1.0部と蒸留水1
6部との混合液、およびアリルメタクリレートを1%含
むn−ブチルアクリレートを83.725部およびte
rt−ブチルヒドロペルオキシド0.33部の(メタ)
アクリレート混合液を同時に3時間にわたり滴下後、1
時間保持し、滴下重合を完了して、ゴム成分(B)のラ
テックスを得た。このゴム成分(B)のラテックス85
部に、tert−ブチルヒドロペルオキシド0.075
部とメチルメタクリレート15部との混合液を60℃に
て15分間にわたり滴下し、その後70℃で2時間保持
し、ゴム成分へのグラフト重合を完了した。その後、追
加乳化剤として、ポリオキシエチレンノニルフェニルエ
ーテル硫酸ナトリウム(花王株式会社製:登録商標エマ
ールNC−35)を固形分換算で0.1部投入した。製
造した上記グラフト共重合体ラテックス中におけるグラ
フト共重合体の平均粒子径は、0.12μm、pHは8
であり、グラフト共重合体ラテックス中に存在する乳化
剤の種類および量は、表1に示したとおりであった。
【0025】上記グラフト共重合体ラテックスを、蒸留
水を用いて2倍希釈した。次いで、第一槽5において、
該グラフト共重合体ラテックスと凝集剤である表2に記
載の硫酸水溶液0.6部(硫酸として)とを攪拌混合し
(第1凝集工程)、さらに、第二槽6において、硫酸水
溶液1.3部(硫酸として)を投入して凝集を完結させ
て(第2凝集工程)、グラフト共重合体スラリーを製造
した。次に、第三槽7において、MMA85部とBA1
5部とを乳化重合させて得られた硬質非弾性重合体ラテ
ックス(乳化剤:アルケニルコハク酸ジカリウム、固形
分:25%、平均粒径:0.1μm、ガラス転移温度9
6℃)2.0部(固形分換算)を上記グラフト共重合体
スラリーに添加し(硬質非弾性重合体添加工程)、これ
を、第四槽8において、熱処理した後(熱処理工程)、
排出されたグラフト共重合体スラリーを、水洗、脱水し
て、湿粉を得て、さらにこれを乾燥する水分除去工程を
行って、グラフト共重合体粉末を製造した。上記第一槽
5において凝集した重合体量、各槽における滞留時間、
温度については、表2に示したとおりである。また、各
種評価結果を表3に示す。
【0026】[実施例3]実施例2で得られたゴム成分
(B)のラテックス89部に、tert−ブチルヒドロ
ペルオキシド0.075部とメチルメタクリレート11
部との混合液を60℃にて15分間にわたり滴下し、そ
の後70℃で2時間保持し、ゴム成分へのグラフト重合
を完了した。その後、追加乳化剤として、ポリオキシエ
チレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム(花王株
式会社製:登録商標エマールNC−35)を固形分換算
で0.1部投入した。製造した上記グラフト共重合体ラ
テックス中におけるグラフト共重合体の平均粒子径は、
0.12μm、pHは8であり、グラフト共重合体ラテ
ックス中に存在する乳化剤の種類および量は、表1に示
したとおりであった。表2に示した条件とした以外は実
施例2と同様にして、第1凝集工程〜水分除去工程を行
い、各種評価を行った。結果を表3に示した。
【0027】[実施例4]実施例2において、シード粒子
調製時のアルケニル琥珀酸ジカリウムの量を0.04部
とした以外は同様にして、ゴム成分(C)のラテックス
を得た。このゴム成分(C)のラテックス94部に、t
ert−ブチルヒドロペルオキシド0.075部とメチ
ルメタクリレート6部との混合液を60℃にて15分間
にわたり滴下し、その後70℃で2時間保持し、ゴム成
分へのグラフト重合を完了した。その後、追加乳化剤と
して、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸
ナトリウム(花王株式会社製:登録商標エマールNC−
35)を固形分換算で0.5部投入した。製造した上記
グラフト共重合体ラテックス中におけるグラフト共重合
体の平均粒子径は、0.25μm、pHは8であり、グ
ラフト共重合体ラテックス中に存在する乳化剤の種類お
よび量は、表1に示したとおりであった。上記グラフト
共重合体ラテックスを、蒸留水を用いて2倍に希釈し
た。次いで、第一槽5において、該グラフト共重合体ラ
テックスと凝集剤である表2に記載の酢酸カルシウム水
溶液4.3部とを攪拌混合し(第1凝集工程)、さら
に、第二槽6において、酢酸カルシウム水溶液5.6部
を投入して凝集を完結させて(第2凝集工程)、グラフ
ト共重合体スラリーを製造した。次に、第三槽7におい
て、MMA85部とBA15部とを乳化重合させて得ら
れた硬質非弾性重合体ラテックス(乳化剤:アルケニル
コハク酸ジカリウム、固形分:25%、平均粒径:0.
1μm、ガラス転移温度96℃)2.0部(固形分換
算)を上記グラフト共重合体スラリーに添加し(硬質非
弾性重合体添加工程)、これを、第四槽8において、熱
処理した後(熱処理工程)、排出されたグラフト共重合
体スラリーを、水洗、脱水して、湿粉を得て、さらにこ
れを乾燥して水分除去工程を行ってグラフト共重合体粉
末を製造した。上記第一槽5において、凝集した重合体
量、および、各槽における滞留時間、温度については、
表2に示したとおりである。また、各種評価結果を表3
に示す。
【0028】[実施例5]実施例4で得られたゴム成分
(C)のラテックス95部に、tert−ブチルヒドロ
ペルオキシド0.075部とメチルメタクリレート5部
との混合液を60℃にて15分間にわたり滴下し、その
後70℃で2時間保持し、ゴム成分へのグラフト重合を
完了した。その後、追加乳化剤として、ポリオキシエチ
レンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム(花王株式
会社製:登録商標エマールNC−35)を固形分換算で
0.5部投入した。製造した上記グラフト共重合体ラテ
ックス中におけるグラフト共重合体の平均粒子径は、
0.24μm、pHは8であり、グラフト共重合体ラテ
ックス中に存在する乳化剤の種類および量は、表1に示
したとおりであった。表2に示した条件とした以外は実
施例4と同様にして、第1凝集工程〜水分除去工程を行
い、各種評価を行った。結果を表3に示した。
【0029】[比較例1]実施例1で得られたポリアルキ
ル(メタ)アクリレート系複合ゴムラテックス(A)8
0部に、メチルメタクリレート20部を重合させて、グ
ラフト共重合体ラテックスを製造した。製造した上記グ
ラフト共重合体ラテックス中におけるグラフト共重合体
の平均粒子径は、0.24μm、pHは8であり、グラ
フト共重合体ラテックス中に存在する乳化剤の種類およ
び量は、表4に示したとおりであった。なお、本例は、
x≧−80D+29に該当する。(x:グラフト共重合
体中における硬質重合体含有量[質量%]、D:グラフト
共重合体ラテックス中におけるグラフト共重合体の平均
粒子径[μm]) 表5に示した条件とした以外は実施例1と同様にして、
第1凝集工程〜水分除去工程を行い、各種評価を行っ
た。結果を表6に示す。
【0030】[比較例2]表5に示した条件とした以外は
比較例1と同様にして、各種評価を行った。結果を表6
に示す。なお、本例は、x≧−80D+29に該当す
る。
【0031】[比較例3]実施例2で得られたゴム成分
(B)のラテックス60部に、メチルメタクリレート4
0部を重合し、グラフト共重合体ラテックスを製造し
た。その後、追加乳化剤として、ポリオキシエチレンノ
ニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム(花王株式会社
製:登録商標エマールNC−35)を固形分換算で0.
1部投入した。製造した上記グラフト共重合体ラテック
ス中におけるグラフト共重合体の平均粒子径は0.13
μm、pHは8であり、グラフト共重合体ラテックス中
に存在する乳化剤の種類および量は、表4に示したとお
りであった。表5に示した条件とした以外は実施例3と
同様にして、第1凝集工程を行ったが、凝集体ほとんど
が粒子径10μm以下の超微粉となった。なお、本例
は、x≧−80D+29に該当する。
【0032】[比較例4]実施例2で得られたゴム成分
(B)のラテックス93部に、メチルメタクリレート7
部を重合し、グラフト共重合体ラテックスを製造した。
その後、追加乳化剤として、ポリオキシエチレンノニル
フェニルエーテル硫酸ナトリウム(花王株式会社製:登
録商標エマールNC−35)を固形分換算で0.1部投
入した。製造した上記グラフト共重合体ラテックス中に
おけるグラフト共重合体の平均粒子径は0.12μm、
pHは8であり、グラフト共重合体ラテックス中に存在
する乳化剤の種類および量は、表4に示したとおりであ
った。表5に示した条件とした以外は実施例3と同様に
して、第1凝集工程を行ったが、系全体がブロック化し
たため、グラフト共重合体粉末は得られなかった。な
お、本例は、−150D+27≧xに該当する。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】
【表5】
【0038】
【表6】
【0039】このように、グラフト共重合体ラテックス
中のグラフト共重合体が上記式(I)を満足する実施例
1〜5では、粒度分布がシャープなうえ、嵩密度の高い
グラフト共重合体粉末が得られた。また、湿粉含水率が
低く、後の乾燥が効率的に行えた。一方、上記式(I)
を満たさない比較例1〜2で得られたグラフト共重合体
粉末は嵩密度が非常に小さかった。また、湿粉含水率も
高く、後の乾燥に長時間を要した。さらに上記式(I)
を満たさない比較例3〜4では、第1凝集工程以降の工
程が満足に行えなかった。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のグラフト
共重合体粉末の製造方法にあっては、グラフト共重合体
を含むグラフト共重合体ラテックスに凝集剤を接触さ
せ、該グラフト共重合体ラテックス中のグラフト共重合
体の50〜95質量%を凝集させる第1凝集工程と、さ
らに凝集剤を添加して前記グラフト共重合体の凝集を完
結させ、グラフト共重合体スラリーを製造する第2凝集
工程と、該グラフト共重合体スラリーを熱処理する熱処
理工程と、該グラフト共重合体スラリーから水分を除去
する水分除去工程とを有し、特に前記グラフト共重合体
ラテックスとして、グラフト共重合体の平均粒子径と硬
質重合体(グラフト層)の含有量が特定の関係にあるも
のを使用しているので、粒度分布がシャープで、かつ嵩
密度が高いグラフト共重合体粉末を、生産性良く製造で
きる。本発明の製造方法で得られたグラフト共重合体粉
末は、塩化ビニル樹脂、スチレン樹脂、アクリロニトリ
ル−スチレン樹脂、メチルメタクリレート樹脂、ポリカ
ーボネート樹脂等の加工成形性や耐衝撃性を改良するた
めの改質剤として広く使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のグラフト共重合体粉末の製造方法に
使用される装置の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1…第1の定量ポンプ、2…第2の定量ポンプ、3…第
3の定量ポンプ、4…第4の定量ポンプ、5…第一槽、
6…第二槽、7…第三槽、8…第四槽

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリル系の弾性幹重合体に硬質重合体
    形成性単量体が乳化グラフト重合したグラフト共重合体
    粉末の製造方法であって、 前記グラフト共重合体を含むグラフト共重合体ラテック
    スに凝集剤を接触させ、該グラフト共重合体の50〜9
    5質量%を凝集させる第1凝集工程と、さらに凝集剤を
    添加して前記グラフト共重合体の凝集を完結させ、グラ
    フト共重合体スラリーを製造する第2凝集工程と、該グ
    ラフト共重合体スラリーを熱処理する熱処理工程と、該
    グラフト共重合体スラリーから水分を除去する水分除去
    工程とを有し、 前記グラフト共重合体ラテックス中のグラフト共重合体
    は、下記式(I)を満足することを特徴とするグラフト
    共重合体粉末の製造方法。 −150D+27<x<−80D+29・・・(I) (式(I)中、Dはグラフト共重合体ラテックス中にお
    けるグラフト共重合体粒子の平均粒子径[μm]、xは
    グラフト共重合体中の硬質重合体の含有量[質量%]を
    表し、0.1<Dかつ1≦xである。)
  2. 【請求項2】 前記グラフト共重合体100質量部に対
    して、硬質非弾性重合体を0.01〜10質量部添加す
    る硬質非弾性重合体添加工程を、第2凝集工程と水分除
    去工程との間に有することを特徴とする請求項1に記載
    のグラフト共重合体粉末の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012229302A (ja) * 2011-04-25 2012-11-22 Sekisui Jushi Co Ltd 路面標示用水性塗料固着促進剤、路面標示形成方法、塗料キット及び塗装装置

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