JP2012229302A - 路面標示用水性塗料固着促進剤、路面標示形成方法、塗料キット及び塗装装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】酢酸カルシウムの粒子、又は、酢酸マグネシウムの粒子を含む、路面標示用水性塗料固化促進剤。酢酸カルシウムの粒子、又は、酢酸マグネシウムの粒子の含有率が、10質量%以上である、前記の路面標示用水性塗料固化促進剤。路面標示用水性塗料と前記の路面標示用水性塗料固化促進剤を同時に路面に塗布する工程を含む路面標示形成方法。
【選択図】なし
Description
路面標示工事は、道路交通を規制して行われるが、路面標示用塗料は、道路交通を規制してから通行を可能にするまでの時間(交通規制時間)を短縮するために、塗料塗布後の乾燥時間が可能な限り早いことが要求されると共に、交通開放直後の走行車両のタイヤによる塗膜の耐汚れ性に優れることが求められる。そのような塗料として、従前、蒸発速度の速いケトン系、エステル系、芳香族系、脂肪族系の有機溶剤を用いた塗料が使用されてきた。
しかし、この公報に記載の技術において、水を吸収できる固形ポリマー、超吸収ゲルは、塗膜の乾燥の促進には有効であるが、乾燥塗膜が降雨時等に水を再吸収して塗膜強度に問題を生じる。また、イオン交換樹脂は、乾燥を促進する効果があるが、その効果は水溶性塩で処理した場合より少なく、また、イオン交換樹脂は高価であるため、コスト上、問題がある。
(1) 酢酸カルシウムの粒子、又は、酢酸マグネシウムの粒子を含む、路面標示用水性塗料固化促進剤。
(2) 酢酸カルシウムの粒子、又は、酢酸マグネシウムの粒子の含有率が、10質量%以上である、(1)記載の路面標示用水性塗料固化促進剤。
(3) 路面標示用水性塗料と(1)又は(2)に記載の路面標示用水性塗料固化促進剤を同時に路面に塗布する工程を含む路面標示形成方法。
(4) 路面標示用水性塗料と請求項1又は2に記載の路面標示用水性塗料固化促進剤を同時に路面に塗布する第1工程と、前記水性塗料の塗膜表面にガラスビーズを散布する第2工程とを含む路面標示形成方法。
(5) 路面標示用水性塗料固化促進剤中の、酢酸カルシウムの粒子、又は、酢酸マグネシウムの粒子の含有量が、路面標示用水性塗料100gに対して、0.05〜10gである、(3)又は(4)に記載の路面標示形成方法。
(6) (1)又は(2)に記載の路面標示用水性塗料固化促進剤と、路面標示用水性塗料を含む塗料キット。
(7) (1)又は(2)に記載の路面標示用水性塗料固化促進剤を定量供給し、水性塗料塗布スプレー部まで移送する機能を具備し、前記路面標示用水性塗料固化促進剤と路面標示用水性塗料を同時に路面に塗布する塗装装置。
(8) (1)又は(2)に記載の路面標示用水性水性塗料固化促進剤を定量供給し、水性塗料塗布スプレー部まで移送する機能を具備し、前記路面標示用水性塗料固化促進剤と路面標示用水性塗料を同時に路面に塗布し、ガラスビーズを散布する塗装装置。
(9) 路面標示用水性塗料のスプレーが通過する容器内に、移送された該路面標示用水性塗料固化促進剤を拡散させ、該路面標示用水性塗料に該路面標示用水性塗料固化促進剤を混合させ、容器外に飛散抑制する機能を具備した(7)又は(8)に記載の塗装装置。
また、固化促進剤の塗装装置周辺への飛散が抑制され、通常同様の塗装工事が実施可能となる。更に、乾燥時間の短縮により、工事規制時間の短縮が可能となり、交通渋滞を大幅に低減できる。
なお、本発明において、「路面」とは、車両通行のための道路舗装面、飛行機の滑走路面、工場内の通行路、自転車道、歩道等の舗装路面、また屋内外の駐車場等の舗装面をも含む。また、「舗装」とは、アスファルト舗装、コンクリート舗装、敷石舗装等をいう。また、「路面舗装」とは、路面に各種の表示を目的として塗装により形成されるマークであり、例えば、区画線、横断歩道、はみ出し禁止等を線、文字、記号、模様等によって交通標示することができる。
本発明の固化促進剤は、水性塗料の固化および固着を促進する成分として酢酸カルシウムの粒子、又は、酢酸マグネシウムの粒子を含むものである。また、これらの粒子は、固着後の塗料との反応性および塗膜の仕上がり性を考慮すると平均粒径が1〜300μmであることが好ましく、30〜150μmがより好ましく、60〜100μmが特に好ましい。これらの粒子の形状は特に限定されない。なお、粒子の平均粒径は、例えば、コールターカウンター法、レーザー回折散乱法等で測定可能である。
よって、本発明の固化促進剤中の、酢酸カルシウムの粒子、又は、酢酸マグネシウムの粒子の含有率は、10質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが特に好ましい。含有率が、10質量%未満の場合、乾燥性や耐水浸漬性が劣るおそれがある。なお、酢酸カルシウムの粒子、酢酸マグネシウムの粒子は、いずれか一方のみでもよく、また、例えば、酢酸カルシウムの粒子100質量%でもよい。
更に、樹脂成分は、カルボキシル基、エポキシド基、アミノ基、炭素―炭素二重結合等の反応性官能基または結合を分子内に導入した重合体であってもよい。また、水性塗料のビヒクル(塗料の液相の構成成分の総称)は、分散ポリマーであってもよし、水溶性ポリマーとの混合物であってもよい。
例えば、添加剤としては、塗料に一般的に使用されている分散剤、湿潤剤、沈降防止剤、消泡剤、増粘剤、造膜助剤等がある。また、顔料としては、各種着色顔料および増量剤としての各種体質顔料が挙げられる。
路面標示用水性塗料への本発明の固化促進剤の適用は、水性塗料と水性塗料固化促進剤を同時に塗布する第1工程、前記水性塗料の塗膜表面にガラスビーズを散布する第2工程を含む路面標示形成方法および塗装装置によってなされる。
また、本発明の塗料キットは、前記路面標示用水性塗料固化促進剤と、前記路面標示用水性塗料を含むものである。塗料キットにおいて、固化促進剤と水性塗料の配合割合は、特に限定しないが、質量比で、水性塗料100gに対し、0.05〜10gであることが好ましい。なお、前記配合比の場合、固化促進剤中の酢酸カルシウムの粒子、又は、酢酸マグネシウムの粒子の含有率は、100質量%であることが好ましい。
また、ガラスビーズは、固化促進剤や水性塗料と同時に路面に塗布(散布)するか、あるいは、水性塗料の塗膜表面が乾燥する前に散布することが好ましい。よって、水性塗料等の塗布後、散布と同時あるいは10秒以内にガラスビーズを散布することが好ましい。
本発明の塗装装置は、従前できなかった粒子粉末を均一混合散布するために考案され、水性塗料を塗布するための散布ノズルからの吐出塗料流に、直接固化促進剤を供給し、固化促進剤を均一混合・同伴散布するものである。
(固化促進剤供給装置)
固化促進剤供給装置は、例えば、固化促進剤貯蔵タンクからスクリュー状の回転羽根を有する定量供給部、固化促進剤をエア搬送するための混合部、タンク内の固化促進剤を定量供給部に安定供給する機能を有する攪拌棒、固化促進剤を搬送、拡散させるためのエア調整機器、攪拌棒と定量供給部を駆動するモータ、機器を制御する制御器、固化促進剤を搬送する固化促進剤搬送用ホースからなる。スクリュー状の回転羽根は、制御器の設定によって任意の回転数に駆動することができ、貯蔵タンクから任意に定量供給を可能とする。また、羽根の回転開始と塗料・固化促進剤混合器まで搬送する搬送エアノズルからのエア吐出開始は、ガラスビーズ吐出開始時と同期とする機能を制御器に有する。
塗料・固化促進剤混合器は、塗料スプレーガン下部の塗料吐出部に設置される。塗料・固化促進剤混合器後部上面には、固化促進剤供給装置と接続した固化促進剤を搬送する固化促進剤搬送用ホースの接続口を有する。また、塗料・固化促進剤混合器最後部にエア供給管を介してエア接続口があり、接続口から供給されるエアは、塗料・固化促進剤混合器内部にエアを扇状に広げ吐出する拡散エアノズルから送られる。このノズルは固化促進剤供給装置に接続した固化促進剤搬送ホース接続口の直下に位置している。固化促進剤はこのノズルから吐出されるエアにより方向を変え、拡散される。塗料吐出部のスプレーノズルから高速で吐出した水性塗料は、扇状に広がりながら塗料・固化促進剤混合器内に充満した固化促進剤中を流れ、固化促進剤を均一に同伴し路面に塗布される。
尚、実施例および比較例で使用した路面標示用水性塗料と、固化促進剤は下記の配合処方で調整した。表1に、使用した、路面標示用水性塗料の配合処方を示した。
(1)使用材料
・酢酸カルシウム メーカー名: 米山化学工業株式会社 商品名:酢酸カルシウム(工業用) 平均粒径:60〜100μm
・炭酸カルシウム メーカー名: 常陸砕石株式会社商品名: 粒状寒水石 平均粒径:75〜355μm
(2)配合混合比;酢酸カルシウム/炭酸カルシウム=5/5(質量比)
5℃、65%RHの条件下で、アスファルトフェルト紙上に、上記の路面標示用水性塗料0.64kg/m2および上記固化促進剤0.019kg/m2を同時に吐出させ塗料・固化促進剤混合器を通じて混合均一塗布し、塗膜の乾燥性と耐水浸漬試験用供試体を作製した。
塗布後の乾燥性試験は、JIS K5665のタイヤ付着性によって評価した。なお表1中の時間は、塗膜の乾燥時間(養生時間)である。
耐水浸漬性試験は、5分、10分、15分、20分、30分、40分、50分、60分、90分間の養生を行った供試体を、水に1時間浸漬してから引き上げ、引き上げ直後の塗膜の溶出、剥離を観察すると同時に人差し指で塗膜を軽く擦り塗料が付着するかどうかを調べ評価した。
また、実施例2として、上記塗布量で塗料・固化促進剤混合器を使用しないで固化促進剤を10秒後散布した塗膜(ガラスビーズ散布無し)についても同様の試験を行った。
また、比較例1として、固化促進剤を散布しない塗膜についても同様の試験を行った。
乾燥性の試験結果を表2に、耐水浸漬性を表3に示す。
5℃、65%RHの条件下で、アスファルトフェルト紙上に、上記の路面標示用水性塗料0.64kg/m2および上記固化促進剤0.019kg/m2を同時に吐出させ塗料・固化促進剤混合器を通じて混合均一塗布すると同時にガラスビーズ(ポッターズ・バロティーニ株式会社製商品名:SGB153T(JIS R3301 1号 品))を0.42kg/m2散布して、ガラスビーズの塗膜への付着性を評価した。
ガラスビーズの付着性は、JIS K5665のガラスビーズ固着率によって評価した。
また、比較例2として、水性塗料のみ(固化促進剤なし)を塗布し、その30秒後にガラスビーズを散布した塗膜についても同様の試験を行った。
尚、ガラスビーズの付着性は、供試体作製後24時間養生した後行った。
ガラスビーズの付着性の試験結果(5℃、65%RHでの養生後のガラスビーズ固着率)を、表4に示す。
5℃65%RHの条件下で、アスファルトフェルト紙上に、上記の路面標示用水性塗料0.64kg/m2および上記の炭酸カルシウム粉0.019kg/m2を同時に吐出させ、塗料・固化促進剤混合器を通じて混合均一塗布し、塗膜の乾燥性と耐水浸漬試験用供試体を作製した。
塗布後の乾燥性試験は、JIS K5665のタイヤ付着性によって評価した。
耐浸漬性試験は、5分、10分、15分、20分、30分、40分、50分、60分、90分間の養生を行った供試体を水に1時間浸漬してから引き上げ、引き上げ直後の塗膜の溶出、剥離を観察すると同時に人差し指で塗膜を軽く擦り塗料が付着するかどうかを調べ評価した。
乾燥性の試験結果を表5に、耐水浸漬性を表6に示す。
炭酸カルシウム粉を、タルク粉(セイコー産業株式会社製商品名:タルク CTA−1 (白色品))に変更した以外は、比較例3と同様にした。
乾燥性の試験結果を表5に、耐水浸漬性を表6に示す。
Claims (9)
- 酢酸カルシウムの粒子、又は、酢酸マグネシウムの粒子を含む、路面標示用水性塗料固化促進剤。
- 酢酸カルシウムの粒子、又は、酢酸マグネシウムの粒子の含有率が、10質量%以上である、請求項1記載の路面標示用水性塗料固化促進剤。
- 路面標示用水性塗料と請求項1又は2に記載の路面標示用水性塗料固化促進剤を同時に路面に塗布する工程を含む路面標示形成方法。
- 路面標示用水性塗料と請求項1又は2に記載の路面標示用水性塗料固化促進剤を同時に路面に塗布する第1工程と、前記水性塗料の塗膜表面にガラスビーズを散布する第2工程とを含む路面標示形成方法。
- 路面標示用水性塗料固化促進剤中の、酢酸カルシウムの粒子、又は、酢酸マグネシウムの粒子の含有量が、路面標示用水性塗料100gに対して、0.05〜10gである、請求項3又は4に記載の路面標示形成方法。
- 請求項1又は2に記載の路面標示用水性塗料固化促進剤と、路面標示用水性塗料を含む塗料キット。
- 請求項1又は2に記載の路面標示用水性塗料固化促進剤を定量供給し、水性塗料塗布スプレー部まで移送する機能を具備し、前記路面標示用水性塗料固化促進剤と路面標示用水性塗料を同時に路面に塗布する塗装装置。
- 請求項1又は2に記載の路面標示用水性塗料固化促進剤を定量供給し、水性塗料塗布スプレー部まで移送する機能を具備し、前記路面標示用水性塗料固化促進剤と路面標示用水性塗料を同時に路面に塗布し、ガラスビーズを散布する塗装装置。
- 路面標示用水性塗料のスプレーが通過する容器内に、移送された該路面標示用水性塗料固化促進剤を拡散させ、該路面標示用水性塗料に該路面標示用水性塗料固化促進剤を混合させ、容器外に飛散抑制する機能を具備した請求項7又は8に記載の塗装装置。
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