JP2023072164A - 水性路面標示塗料の塗布方法及び水性塗料用硬化促進剤 - Google Patents

水性路面標示塗料の塗布方法及び水性塗料用硬化促進剤 Download PDF

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Abstract

【課題】水性路面標示塗料の塗布後の硬化を促進させ、マーキング工事における交通遮断や規制などの時間を短縮するとともに、水性路面標示塗料の塗膜の硬化に必要最小限の使用量で、飛散が少ない硬化促進剤による水性路面標示塗料の塗布方法を提供する。【解決手段】合成樹脂エマルションを主成分とする水性路面標示塗料を路面上に塗布し、その塗布した水性路面標示塗料に硬化促進剤を接触させる塗布方法において、前記硬化促進剤が水溶性金属塩と粘性調整剤により粘度を調整した水溶液で、その粘度が水性路面標示塗料より低く、10mPa・s以上の範囲であることにより、路面標示塗料の塗布後の硬化を促進させ、マーキングのための工事における交通遮断や規制などの時間を短縮するとともに、水性路面標示塗料の塗膜の硬化に必要最小限の使用量で、飛散が少ない硬化促進剤となる。【選択図】図1

Description

本開示は、路面上に標示するためなどの水性路面標示塗料の塗布に際して、硬化促進剤を用いる塗布方法であり、更に水性塗料用硬化促進剤に関するものである。
道路などには、車線区画線,停止線等の交通標識,横断歩道標識などの標示がマーキングされ、そのマーキングにより車両の運転者や歩行者などに適切な情報が標示されている。
これらのマーキングは、路面標示塗料を用い、道路などに塗布し、塗膜を形成されることにより標示される。
この路面標示塗料は、環境に配慮した水性路面標示塗料が使用されることが多くなってきている。この水性路面標示塗料は、従来から使われている有機溶剤系の路面標示塗料と異なり、分散媒である水が蒸発することで、塗膜を形成するものである。
しかしながら、この水性路面標示塗料は、分散媒である水が、有機溶剤のように迅速に蒸発せず、塗膜が形成されるまでの硬化時間が長くなる傾向があり、そのマーキングのための施工に時間が掛かる場合が多い。
この施工が行われると、水性路面標示塗料を塗布し、硬化させるまでの長時間の交通遮断や規制などを行なう必要がある。
そこで、特許文献1にあるような水性塗料の塗布方法が提案されている。
この水性塗料の塗布方法は、乳化重合体を塗膜形成要素とする水性エマルション塗料を路面に塗布するに際して、水性塗料に硬化促進剤を接触させる塗布方法において、前記硬化促進剤を、水溶性酸および水溶性金属塩の別々としたもの又は混合したものとすることを特徴とするものである。
これにより、水性塗料を塗布した後の塗膜の硬化時間を大幅に短縮でき、マーキングのための工事における交通遮断や規制などの時間を短縮することができた。
特開2013-240783号公報
しかしながら、この硬化促進剤は、水性塗料と接触させる時に、硬化促進剤を噴霧し、水性塗料と接触させることが多く、その際に硬化促進剤が飛散することが多く、そのため水性塗料の硬化に必要な量以上に硬化促進剤を消費することになる。
また、飛散した硬化促進剤が工事に必要な器具や近隣の鉄部材などを錆びさせることを促進する場合がある。
本開示は、水性路面標示塗料の塗布後の硬化を促進させ、マーキング工事における交通遮断や規制などの時間を短縮するとともに、水性路面標示塗料の塗膜の硬化に必要最小限の使用量で、飛散が少ない硬化促進剤による水性路面標示塗料の塗布方法を提供することにある。
合成樹脂エマルションを主成分とする水性路面標示塗料を路面上に塗布し、その塗布した水性路面標示塗料に硬化促進剤を接触させる塗布方法において、前記硬化促進剤が水溶性金属塩と粘性調整剤により粘度を調整した水溶液で、その粘度が水性路面標示塗料より低く、10mPa・s以上の範囲であることである。
これにより路面標示塗料の塗布後の硬化を促進させ、マーキングのための工事における交通遮断や規制などの時間を短縮するとともに、水性路面標示塗料の塗膜の硬化に必要最小限の使用量で、飛散が少ない硬化促進剤となる。
前記水性路面標示塗料がカルボキシル基を含むアニオン性合成樹脂エマルションと、アミン官能基含有ポリマーと、揮発性塩基と、を含むものであり、前記硬化促進剤に水溶性酸を含むことである。
これにより水性路面標示塗料の塗膜の硬化に必要最小限の使用量で、飛散が少ない硬化促進剤により、路面標示塗料の塗布後の硬化をより促進させ、マーキング工事における交通遮断や規制などの時間をより短縮することが可能なものとなる。
前記硬化促進剤に含まれる水溶性金属塩が二価金属塩であり、水溶性酸がカルボン酸であり、その水溶性金属塩と水溶性酸とを合わせた濃度が10.0~45.0重量%の範囲であることにより、水性路面標示塗料の塗膜の硬化に必要最小限の使用量で、飛散が少なく、路面標示塗料の塗布後の硬化をさらに促進させることが可能なものとなる。
水溶性金属塩と粘性調整剤により調整した粘度が10~50mPa・sの範囲であることにより、水性塗料の塗膜の硬化に必要最小限の使用量で、飛散が少ない硬化促進剤で、水性塗料の塗布後の硬化を促進させるものである。
本発明に係る塗布方法の一実施例における概略図であり、水性路面標示塗料の塗布位置でビーズ散布を行い、その直後の塗料塗膜の上面に硬化促進剤を吹付けて水性路面標示塗料と界面接触させる方法である。 同じく他の実施例における概略図であり、水性路面標示塗料の吹付け位置で、ビーズ散布を同時的に行ないながら、硬化促進剤を吹付けて水性路面標示塗料と混合接触させる方法である。
本開示の実施形態を説明する。
本開示は、合成樹脂エマルションを主成分とする水性路面標示塗料を路面上に塗布し、その塗布された水性路面標示塗料に硬化促進剤を接触させる塗布方法において、前記硬化促進剤が水溶性金属塩と粘性調整剤により粘度を調整した水溶液で、その粘度が水性路面標示塗料より低く、10mPa・s以上の範囲であることである。
まず、この水性路面標示塗料は、JIS K 5665にあるもので、水性型のものであり、この水性路面標示塗料は、その取扱いなどが容易であることから用いられることが多い。
この水性路面標示用塗料は、そのバインダーとして、乳化重合のような常用の重合技術で製造される合成樹脂エマルションを使用したもので良い。また、合成樹脂エマルションのポリマーの構造が複雑な形態、例えば芯-殻粒子であっても実施することができる。
この水性路面標示塗料は、合成樹脂エマルションの他に、酸化チタン,カオリン,タルクやクレーなどの白色顔料や酸化鉄などの無機系の顔料や有機系顔料などの着色顔料のような着色成分を含ませ着色されたものである。
また、炭酸カルシウム,珪藻土,水酸化アルミニウム,ベントナイト,ホワイトカーボン,沈降性バリウムや珪砂などの体質顔料や繊維などを含むことが多い。
また、必要に応じ分散剤や湿潤剤,消泡剤として用いられる界面活性剤や増粘剤,レベリング剤,タレ止め剤などの粘性調整剤、低沸点アルコール,造膜助剤,防凍剤として用いられる有機溶剤などのような一般に塗料製造に配合されている成分も使用することができる。
また、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、ワックスなどの添加剤も必要に応じ加えることもある。
硬化促進剤は、水溶性金属塩と粘性調整剤とにより粘度を調整した水溶液で、その粘度が水性路面標示塗料より低く、10mPa・s以上の範囲である。この粘度は、23℃でのB型粘度計60回転における粘度のことである。
この水溶性金属塩は、20℃の水100gに対して、10g以上溶解する金属塩のことを言い、特に限定されるものではない。
この水溶性金属塩は、水性路面標示塗料の合成樹脂エマルションと接触することで、合成樹脂エマルションを凝集させることができ、塗布された水性路面標示塗料を不安定なものとし、速やかにゲル化し、流動性のある路面標示塗料を固定化し、硬化を促すものである。
この水溶性金属塩は、水への溶解度が10g/100g(20℃)以上であれば良く、より多く溶解するものが好ましく、硬化促進剤の調製が容易となる。
この水溶性金属塩については、後述するが、これらの多くは、鉄の錆を促進させるものが多く、そのため硬化促進剤は、周辺への飛散が少なくなるように調整する必要がある。
粘性調整剤は、水性路面標示塗料に用いられるものと同様なもので良く、水溶性金属塩の種類や硬化促進剤の濃度、設定粘度により、使用する粘性調整剤の種類や添加量を設定し、所望の粘度,粘性を得るもので、硬化促進剤に多少の粘度のあるとろみを付けるものである。
この粘性調整剤は、分子が長いことと、水に溶かしたときに水中で膨潤した形で存在することで、硬化促進剤の粘度を上昇させ、粘性を付与することができるものであり、その形態には、粉末状のものや液状のものがある。
この硬化促進剤は、上記記載の粘性調整剤により粘性を持たせ、とろみのある状態で、硬化促進剤を水性路面標示塗料と接触させる場合で、特にスプレーにより塗布し、接触させる場合に、その飛散が少なく、そのため塗膜の硬化に必要最小限の使用量で済むことになる。
この硬化促進剤の粘度は、10mPa・s以上であれば良く、これより低い場合では、硬化促進剤の飛散量が多くなり、飛散した硬化促進剤が工事に必要な器具や近隣の鉄部材などに付着し、錆びさせることがある。
また、硬化促進剤の対象となる水性路面標示塗料の粘度より低いものであることが必要で、これ以上である場合では、水性路面標示塗料のスプレー幅より狭くなり、塗装面全体を十分に硬化促進させることができない。
この硬化促進剤の粘度の上限値は、7000mPa・s以下であれば良く、この粘度以下であれば、水性塗料の塗布面に均一に塗布することができ、塗装面全体を十分に硬化促進させることが可能である。
このように硬化促進剤に粘度を付け、多少の粘度のある状態のとろみを持った状態であることで、水性路面標示塗料の塗膜の硬化に必要最小限の使用量で、飛散が少ないものとなる。特に硬化促進剤がスプレー塗装による場合には、その特徴が十分に発揮することになる。
水性路面標示塗料の塗布量は、路面状態や塗料の種類、施工仕様などの条件にもよるが、100~3000g/m2の範囲から適宜選定することが多い。
硬化促進剤の塗布量は、水性路面標示塗料の種類により異なるが、塗料100gに対して、硬化促進剤が1.0~30.0gの範囲から適宜設定することが多い。
この範囲より少ない場合では、塗膜の硬化促進の十分な効果を得ることが難しいことがある。多い場合では、多く塗布した分の効果を得ることができないことがある。この範囲内であれば、十分な硬化促進の効果を得ることができる。
次に、上記記載の水性路面標示塗料と硬化促進剤とを接触させる塗布方法について、具体的に説明する。
水性路面標示塗料と硬化促進剤とを接触させる塗布方法には、図1,2に示すような接触させる塗布方法がある。
この塗布方法には、エアースプレーやエアレススプレーなどのスプレーガンを自動車や手押し車に積載したマーカー車を用いることが多い。このマーカー車に水性路面標示塗料用スプレーガン11と硬化促進剤用スプレーガン15の2種類のスプレーガンを積載して行うことになる。
水性路面標示塗料の塗布については、刷毛や塗装用ローラーによる塗布でも可能であり、水性路面標示塗料を塗布後に、スプレーガンにより硬化促進剤を塗布することになる。
これは、硬化促進剤を刷毛や塗装用ローラーに含ませて、水性路面標示塗料と接触させると、刷毛,塗装用ローラーに水性路面標示塗料が付着し、マーキングできないことがある。
この塗布に際して、マーキングの夜間視認性を向上させるために、塗料表面や塗料中にガラスビーズを塗装と同時に散布することがあり、好ましく行われるものである。このガラスビーズの散布を含め説明する。
このガラスビーズは、粒径500~1700μm程度の球状の大粒径のものと粒径106~850μm程度の小粒径のものがあり、その屈折率は、1.5~2.5程度で、光が当たったときに再帰反射を引き起こし、マーキングの夜間視認性などを向上させるためのものである。
水性路面標示塗料用スプレーガン11,硬化促進剤用スプレーガン15は、エアレススプレー方式やエアースプレー方式でも良い。ガラスビーズ散布機14は、自然落下方式のもので行った。
図1では、路面Rに対して、水性路面標示塗料用スプレーガン11を用いて塗布して塗料層12を形成すると同時に、その塗料層12の上にガラスビーズ13をビーズ散布器機14で散布し、硬化促進剤を硬化促進剤用スプレーガン15で、塗料層12上に吹付けにより散布して、硬化促進剤を水性路面標示塗料に界面接触させるものである。
硬化促進剤に粘度を付け、とろみがあるものを使うことで、水性路面標示塗料を塗布し、その後に硬化促進剤を塗布する際、未硬化の塗料層12を粘性のある硬化促進剤がコーティングすることになり、塗料層12を保護することができる。
このことにより、多少の雨など外的要因から塗料層12を保護することができる。
図2では、図1の方法において、水性路面標示塗料の塗布時と同一位置に向けて、硬化促進剤用スプレーガン15で硬化促進剤を吹付け、水性路面標示塗料に硬化促進剤を混合接触させながら塗料層12を形成するものである。
図1,図2のように水性路面標示塗料と硬化促進剤を接触させる。この硬化促進剤が接触した水性路面標示塗料は、合成樹脂エマルションの凝集が始まり、安定的に固定化した流動性のない状態の塗膜を形成する。この塗膜である塗料層12は、水分が蒸発し、塗料成分が濃縮し凝集される。
そして、塗料成分中の合成樹脂エマルションの粒子が他の粒子と融着し、硬化塗膜を形成する。
これにより水性路面標示塗料の塗布後の硬化を促進させ、マーキング工事における交通遮断や規制などの時間を短縮するとともに、水性路面標示塗料の塗膜の硬化に必要最小限の使用量で、飛散が少ない硬化促進剤によることである。
また、この未硬化な塗膜は、塗装直後の降雨、低温時又は低温時での降雨などがあった場合でも流れてしまうことがないものであり、その後、徐々に硬化塗膜を形成するものである。
この水性路面標示塗料は、一般的に5℃以下での施工は、行われないものである。その理由としては、水性路面標示塗料を塗布した後に硬化塗膜が得られなく、降雨等により未硬化な塗膜が流れてしまうからである。
しかし、本開示の塗布方法によれば、5℃以下などの低温状態で硬化塗膜を得なくても、水性路面標示塗料の施工を行うことができるものである。
さらに、本開示の構成要件である水性路面標示塗料と硬化促進剤について、より詳細に説明する。
上記記載の合成樹脂エマルションは、アクリル樹脂,ウレタン樹脂,塩化ビニル樹脂,シリコーン樹脂,酢酸ビニル樹脂,ポリエステル樹脂,スチレン樹脂,フッ素樹脂などの樹脂を単独又は共重合した一般的なものが使われる。
これらの中でも塗料適性、塗膜の物性、入手の容易性などの点から、アクリル樹脂、スチレン樹脂より製造されたアクリル系合成樹脂エマルション及びアクリルスチレン系合成樹脂エマルションが用いられることが多い。
この合成樹脂エマルションに使われる樹脂のガラス転移温度は、好ましくは-50~70℃の範囲であり、必要に応じ適したガラス転移温度の合成樹脂を選択することができる。
上記合成樹脂エマルションは、カルボキシル基を含むアニオン性合成樹脂エマルションで、これと同時に水性路面標示塗料中にアミン官能基含有ポリマーと揮発性塩基と含むことが好ましい。
このような構成による合成樹脂エマルションを使うことにより、水性路面標示塗料の硬化が速くなり、硬化促進剤を用いることでより硬化を促進することができる。
このカルボキシル基を含むアニオン性合成樹脂エマルションで、アミン官能基含有ポリマーと揮発性塩基とを含む水性路面標示塗料は、アルカリ性の状態で塗料的に安定した状態のものである。
しかし、揮発性塩基が揮発し、塗料が中性になる状態では、合成樹脂エマルションが不安定となり、凝集を始め、塗料の流動性がなくなるゲル化した状態になる。
つまり、このような水性路面標示塗料は、塗料を塗布した後に、揮発性塩基が蒸発し、塗料が酸性へ変化することでゲル化した流動性のない未硬化な塗膜を形成し、合成樹脂エマルションのカルボキシル基とアミン官能基含有ポリマーのアミン官能基とが架橋反応する。
そして、塗膜の水分が蒸発し、水性塗料成分が濃縮、凝集し、合成樹脂エマルションの粒子が他の粒子を巻込みながら融着し、硬化した塗膜を形成するものである。
このカルボキシル基は、アミン官能基含有ポリマーのアミン官能基と架橋反応し、水性路面標示塗料をゲル化させ、塗膜を形成するものである。これにより形成され、硬化した塗膜の強度及び耐候性を向上させることができる。
アミン官能基含有ポリマーとは、アミン官能基含有ポリマーに含有されるアミン官能基を構成要素に持つことで、合成樹脂エマルションに含有されるカルボキシル基とが架橋反応し、塗膜を形成するものである。
このアミン官能基含有ポリマーは、第1アミン、第2アミン、第3アミンのうちいずれか1種以上のアミン官能基含有モノマーを含むモノマー混合物から形成されたポリマーであり、ポリマーに依存して中性、アルカリ性、又は酸性の水性媒体中での溶液重合により得ることができる。
このアミン官能基含有ポリマーは、合成樹脂エマルションとの混和性から、水溶性又は水分散性のポリマーが好ましく用いられる。
揮発性塩基は、水性路面標示塗料をpH7.0~pH10.0の範囲に安定させるもので、これにより水性路面標示塗料に含有されているアミン官能基含有ポリマーのアミン官能基がノニオン又はアニオン状態にし、安定的に貯蔵することができるものである。
この揮発性塩基は、水性路面標示塗料の塗布後に、その揮発性塩基の揮発分が蒸発し始め、塗料のpHを下げ、ノニオン又はアニオン状態であるアミン官能基のカチオン状態への転化が起こり始める点までpHが下がる。
その状態でアミン官能基がカチオン性となり、水性路面標示塗料のゲル化を始める。このゲル化は、アミン官能基がカチオン性に転化することによって開始されるものである。
この揮発性塩基として好適なものは、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミンなどが挙げられ、沸点が-33.4℃と低く、蒸発が速いアンモニア又はアンモニアを主成分とするものが好ましく用いられる。
その他に、常温で液体又は固体のアルカリ付与剤を添加することもある。このアルカリ付与剤は、塗料配合で一般的に用いられるpH調整剤を用い、揮発性塩基と共に水性路面標示塗料をノニオン又はアニオン状態に安定化することもある。
常温で液体又は固体のアルカリ付与剤には、アミン類,アルカリ金属塩類が挙げられる。アミン類ではモルホリン、2-ジメチルアミノエタノール、N-メチルモルホリン、エチレンジアミン及び2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等が挙げられ、アルカリ金属塩類の水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
上記記載の水溶性金属塩には、塩化カルシウム,塩化マグネシウム,二塩化鉄,塩化亜鉛,塩化ナトリウム,塩化バリウム,塩化ニッケル,硝酸マグネシウム,硫酸マグネシウム,二塩化マンガンなどがあり好適に使用できる。
これらの水溶性金属塩は、1又は2種以上使用することができ、必要に応じ選択し使用されるものである。
これらの中でも、二価金属塩が好ましく用いられ、特に塩化カルシウム,塩化マグネシウムが安定性に優れ、安価に入手できてより好ましく用いられる。
また、硬化促進剤を調整する場合に発熱するものと吸熱するものを併用することが望ましい。
例えば、水に塩化カルシウムを混和した場合には、発熱を伴い、その調合時に急激な温度上昇がある場合がある。この調合時に、吸熱を伴う塩化マグネシウムを加えることで、発熱吸熱のバランスを取ることができ、これらの調合が容易なものとなる。
この二価金属塩は、比較的少量で合成樹脂エマルションを凝集させることができ、水性路面標示塗料を安定的に固定化した流動性のない状態の未硬化の塗膜を形成し、硬化をより促進することができる。
この水性金属塩の濃度は、冬期や寒冷地などでマーキング工事を行うことがあるため、氷点下でも沈澱物が析出しない濃度程度であることが好ましく、その種類により異なるが、通常、常温(20~25℃)飽和濃度の90重量%以下程度とすることがより好ましい。
また、その濃度は、10重量%以上が好ましく、これより低い場合では、硬化促進剤の効果の1つである水性路面標示塗料の硬化を促進することができないことがある。また、20重量%以上がより好ましく、この濃度であれば、5℃などの低温下での硬化促進を期待することができる。
上記記載の粘性調整剤は、塗料配合で一般的に用いられるものと同様なものが使用可能であるが、水溶性金属塩の種類や後述される水溶性酸の種類により、粘度が上がり難いものがあるため、事前の確認が必要な場合もある。
また、硬化促進剤の所望の粘度を得るための粘性調整剤の添加量も事前の確認が必要である。
この粘性調整剤には、メチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,カルボキシメチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロースなどの繊維素誘導体系化合物、水溶性ケイ酸アルカリ,モンモリロナイト,コロイド状アルミナ等の無機系化合物、ポリエーテルジアルキルエステル,ポリエーテルジアルキルエーテル,ポリエーテルウレタン変性物,ポリエーテルエポキシ変性物等のポリエーテル系化合物、ポリアクリル酸ソーダ,ポリアクリル酸(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のポリアクリル酸系化合物、ポリビニルアルコール,ポリビニルピロリドン,ポリビニルベンジルアルコール共重合物等のポリビニル系化合物、カゼイン酸ソーダ,カゼイン酸アンモニウム等のタンパク質誘導体、ビニルメチルエーテル-無水マレイン酸共重合物の部分エステル、乾性油脂肪酸アリルアルコールエステル-無水マレイン酸共重合体、アルカリ膨潤型粘性調整剤、ウレタン会合型粘性調整剤などがあり、単独で用いてもよく、2種類以上を併用しても良い。
また、合成樹脂エマルションがカルボキシル基を含むアニオン性合成樹脂エマルションで、水性路面標示塗料中にアミン官能基含有ポリマーと揮発性塩基とを含むものである場合に、硬化促進剤に水溶性酸を含ませることで、一層水性路面標示塗料の硬化が速くなるものである。
カルボキシル基を含むアニオン性合成樹脂エマルションで、アミン官能基含有ポリマーと揮発性塩基とを含む水性路面標示塗料に、水溶性酸を加え、酸性にした硬化促進剤を接触させることで、素早く水性路面標示塗料が酸性になり、ゲル化を促進させることになる。
この水溶性酸には、有機酸,無機酸があり、有機酸としては、クエン酸,シュウ酸,マロン酸,コハク酸,グルタル酸,酢酸などのカルボン酸がある。無機酸としては、塩酸,硫酸,リン酸などが例示できる。
この中でも取り扱いの容易性より有機酸のものが好ましく、特に多価カルボン酸であるクエン酸がより好ましい。多価カルボン酸は、その酸解離定数pKaが小さいものが多く、少量で酸性が強くなり、より速い硬化促進が期待できる。
前記水性路面標示塗料がカルボキシル基を含むアニオン性合成樹脂エマルションとアミン官能基含有ポリマーと揮発性塩基を含むものであり、前記硬化促進剤に水溶性酸を含むものを用いた場合では、水性路面標示塗料と硬化促進剤が接触し、塗料中の揮発性塩基が蒸発することと硬化促進剤の水溶性酸によって、塗料のpHが急速に下がる。
水性路面標示塗料中のノニオン又はアニオン状態に安定したアミン官能基は、アミン官能基がカチオン状態への転化が起こり始めるpHまで下がると、アミン官能基がカチオン性となる。このカチオン性になったアミン官能基は、アニオン性の合成樹脂と電気的に引き合い、ゲル化する。
これと同時に硬化促進剤の水溶性金属塩により合成樹脂エマルションの凝集が始まり、ゲル化し、安定的に固定化した流動性のない状態の未硬化の塗膜を形成する。
さらに、この未硬化の塗膜は、アミン官能基含有ポリマーとアニオン性の合成樹脂エマルションのポリマーとのポリマー間の距離がより近くなる。
アニオン性の合成樹脂のポリマーのカルボキシル基とカチオン性になったアミン官能基を含有するアミン官能基含有ポリマーのアミン官能基がイオン的に結合し架橋反応を開始する。
そして、この未硬化の塗膜は、水分が蒸発し、塗料成分が濃縮し凝集され、塗料成分中の合成樹脂エマルションの粒子が他の粒子と融着し、硬化塗膜を形成する。
これにより水性路面標示塗料の塗膜の硬化に必要最小限の使用量で、飛散が少ない硬化促進剤により、水性路面標示塗料の塗布後の硬化をより促進させ、マーキング工事における交通遮断や規制などの時間をより短縮することができる。
この水溶性酸は、より多く溶解するものが好ましい。その濃度は、冬期や寒冷地などでマーキング工事を行うことがあるため、氷点下でも沈澱物が析出しない濃度程度までにすることが好ましい。
その水溶性酸の種類により異なるが、通常、常温(20~25℃)飽和濃度の90重量%以下程度とすることがより好ましい。
また、その濃度は、5重量%以上が好ましく、これより低い場合では、硬化促進剤の効果の1つである水性路面標示塗料の硬化の促進が少ない場合がある。硬化促進剤の水量が過剰となると、水性路面標示塗料のゲル化を阻害する場合もある。
また、水溶性金属塩と水溶性酸とを合わせた濃度が15重量%以上であることが好ましく、この濃度であれば、5℃などの低温下での硬化促進を期待することができる。
この水溶性金属塩と水溶性酸との比率は、その重量で3:1~1:1の範囲であることが好ましい。この範囲内であればバランスの取れた硬化促進を得ることができる。
このように構成された水性路面標示塗料の塗布方法について、具体的な例により、詳細に説明する。
まず、水性路面標示塗料の塗布を行う路面のアスファルトの石や埃,ごみなどを極力除去し、マーキングとなる部分に印を付けた。
今回の作業は、アスファルト舗装された駐車場で行われた。この水性路面標示塗料を塗布する路面には、このような駐車場の他に、アスファルト舗装やコンクリート舗装をされた道路,通路などがあり、倉庫や駐車場など屋内にある床面などを含むものがある。
ここでは、2種類の水性路面標示塗料を用い、その比較を行った。1種類目の水性路面標示塗料(1)は、JIS K 5665にあるアクリル樹脂系合成樹脂エマルションを使用し、白色顔料としての酸化チタン,体質顔料としての炭酸カルシウム,分散剤や湿潤剤や消泡剤としての界面活性剤や粘性調整剤などを加えたものであった。その粘度は、5000mPa・sであった。
2種類目の水性路面標示塗料(2)は、菊水化学工業社製キーズライナーを用いた。このキーズライナーは、合成樹脂エマルションに、カルボキシル基を含むアニオン性アクリル樹脂系合成樹脂エマルションが使われ、塗料中にアミン官能基含有ポリマーと、揮発性塩基とを含むものである。これの粘度も5000mPa・sであった。
硬化促進剤も2種類用い、その比較を行った。1種類目の硬化促進剤(ア)は、水に塩化カルシウムと塩化マグネシウムを1:1で混ぜ、その合わせた水溶性金属塩の濃度を30.0%とした水溶液で、粘性調整剤によりその粘度を35mPa・sとしたものであった。
2種類目の硬化促進剤(イ)は、硬化促進剤(ア)にクエン酸を混ぜたもので、水溶性金属塩(塩化カルシウムと塩化マグネシウム)と水溶性酸(クエン酸)との比率を3:1とし、その濃度を30.0%になるように水量により調整し、その粘度を35mPa・sであった。
これらの塗布は、図1に示した構成の塗布装置を手押し車に積載したハンドマーカー車により塗布を行った。
硬化促進剤(ア)(イ)と水性路面標示塗料(1)(2)の接触させる比率は、事前に確認し適切な硬化時間になるように検証を行い、水性路面標示塗料100gに対して、7gになるように設定を行った。
また、硬化促進剤のスプレー塗布時の飛散の状態を硬化促進剤(ア)の粘性調整剤を加える前の状態と加えた後の状態(硬化促進剤(ア))との比較を行った。
その塗布の状況では、粘性調整剤を加えた硬化促進剤(ア)の方が、飛散が大幅に減っていて、スプレーでの塗布幅の調整が容易にコントロールすることができた。
また、硬化促進剤の塗布量が20gの場合の硬化促進剤の使用量が硬化促進剤(ア)では、21gだったが、粘性調整剤を加えないものでは、25gであった。
この結果より、粘性調整剤を加えることで、その硬化促進剤の飛散量が大幅に減少していることが確認できた。
路面に塗布する前に、それぞれの塗布量の設定を行った。水性路面標示塗料(1)(2)の塗布量は、平均で200g/m2になる量に設定し、塗布幅を150mmとした。
硬化促進剤(ア)(イ)の塗布量は、平均で17g/m2になる量に設定し、塗布幅を150mmより広めの160mmとした。
これらの水性路面標示塗料(1)(2)と硬化促進剤(ア),(イ)とを組合わせて、それぞれの硬化速度を検証した。この組合せとして、下記に示す。
A.水性路面標示塗料(1)のみ
B.水性路面標示塗料(2)のみ
C.水性路面標示塗料(1)と硬化促進剤(ア)
D.水性路面標示塗料(2)と硬化促進剤(ア)
E.水性路面標示塗料(2)と硬化促進剤(イ)
この塗布は、それぞれの組合せで、5m行い、その硬化速度を時間により測定した。その塗布時の気温は、7℃であった。
この硬化は、塗布された水性路面標示塗料が、流動性がなくなる状態で、それら塗料が凝集硬化して造膜される状態のことである。その判定としては、JIS K 5600-1-1にある指触乾燥とした。
これら水性路面標示塗料と硬化促進剤の温度は、気温と同じ7℃であった。2種の硬化促進剤は、どちらも析出物のない、常温で保管していたものと同様なとろみがある状態であった。
これらを図1に示した構成の塗布装置を積載したハンドマーカー車により塗布作業を行った。
この硬化時間は、Aが20分,Bが15分,Cが13分,Dが13分,Eが11分であった。この結果より、硬化促進剤の効果を確認することができた。
11 塗料スプレーガン
12 塗料層(流動性塗膜)
13 ガラスビーズ
14 ビーズ散布器機
15 促進剤スプレーガン
R 路面

Claims (4)

  1. 合成樹脂エマルションを主成分とする水性路面標示塗料を路面上に塗布し、その塗布した水性路面標示塗料に硬化促進剤を接触させる塗布方法において、
    前記硬化促進剤が水溶性金属塩と粘性調整剤により粘度を調整した水溶液で、その粘度が水性路面標示塗料より低く、10mPa・s以上の範囲である水性路面標示塗料の塗布方法。
  2. 前記水性路面標示塗料がカルボキシル基を含むアニオン性合成樹脂エマルションと、アミン官能基含有ポリマーと、揮発性塩基と、を含むものであり、
    前記硬化促進剤に水溶性酸を含む請求項1に記載した水性路面標示塗料の塗布方法。
  3. 前記硬化促進剤に含まれる水溶性金属塩が二価金属塩であり、
    水溶性酸がカルボン酸であり、
    その水溶性金属塩と水溶性酸とを合わせた濃度が10.0~45.0重量%の範囲である請求項1又は請求項2に記載した水性路面標示塗料の塗布方法。
  4. 水溶性金属塩と粘性調整剤により調整した粘度が10~7000mPa・sの範囲である水性塗料用硬化促進剤。

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