JP4263186B2 - 路面標示用水性塗料定着剤、路面標示形成方法および塗装装置 - Google Patents

路面標示用水性塗料定着剤、路面標示形成方法および塗装装置 Download PDF

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Description

本発明は、路面標示用水性塗料定着および路面標示の形成方法に関し、特に、路面に塗布された路面標示用水性塗料の乾燥時間を短縮し、その塗料の定着を促進する路面標示用水性塗料定着剤、路面標示用水性塗料組成物および該定着剤を用いて、耐水性、乾燥性に優れる路面標示を形成できる方法、装置に関する。
舗装道路の路面には、道路交通に関する規制、警戒、案内、指示等の情報を車両の運転者および歩行者に適切に与えるために、各種の区画線または道路標示(以下、「路面標示」という)が塗料を用いて施されている。
供用道路に於ける路面標示工は、道路交通を規制して行われるが、路面標示用塗料は、道路交通を規制してから通行を可能とするまでの時間(交通規制時間)を短縮するために、塗料塗布後の乾燥時間が可能な限り早いことが要求されると共に、交通解放直後の走行車両のタイヤによる塗膜の耐汚れ性に優れることが求められる。そのような塗料として、従前、蒸発速度の速いケトン系、エステル系、芳香族系、脂肪族系の有機溶剤を用いた塗料が使用されてきた。
しかしながら、蒸発性有機溶剤は、塗布後迅速に大気中に揮散することから、環境汚染のひとつとなっており、近年では、より環境汚染の少ない路面標示用水性塗料が使用されている。従前の有機溶剤系を使用した路面標示用塗料の場合、塗布後通常約10分程度で交通解放が可能である一方、路面標示用水性塗料の乾燥時間は、塗布後の雰囲気温度、湿度に大きく依存するため、特に低温時、多湿時には、数時間を要し交通解放が長くなること、また乾燥時間が長いことから、降雨に遭遇して塗膜が溶出、剥離することがある。更に、乾燥に至っても塗膜に粘着が残りタイヤによる汚れが発生するなどの不具合から、実際の使用を大きく制限している。
上記の水性塗料を路面標示に用いる場合の問題を解決するためにいくつかの試みがなされている。例えば、特許文献1の技術は、水性塗料の塗布前、塗布中、塗布後に酸あるいは塩水溶液、または酸あるいは塩固形粒子の状態で塗料と接触させ乾燥を促進する方法を開示している。
また、特許文献2には、酸との接触によって凝集する水希釈可能な分散塗料を路面に標示する方法と装置を開示している。水分散型塗料を路面に塗布する際に、その塗料上に、または塗料中に反射粒子粉を散布した後に、酸水溶液をスプレー散布する方法、または塗料の上または塗料中に酸で処理した粒子粉を散布、更に水溶液の形で酸をスプレー散布することによって、数分で乾燥させる方法および装置を開示している。
また、特許文献3の技術は、水を吸収できる固形ポリマー粒子または無機化合物であって水を配位結合により吸収できるものを、水性塗料とともにまたは塗布された塗料の上にスプレーし、水性道路マーキング塗料の乾燥を促進する方法を開示している。そして、固形ポリマーまたは無機化合物の粒子として、イオン交換樹脂ビーズ、超吸水性ゲル、中空球状粒子およびタルクを挙げている。
更に、特許文献4には、水と反応することで発熱可能な非水溶性の無機化合物粒子を水性塗料とともに路面に塗布または路面に塗布された水性塗料の塗膜上に散布し乾燥を促進する、路面標示形成方法を開示してある。
一般に、従来の路面標示塗布装置は、図3に示したように、塗布進行方向に対して、水性塗料24を吐出する塗料吐出ノズルを具備した塗料散布機(塗料スプレーガン)23と、その後方に、夜間視認性等を目的として車両のヘッドライト光を再帰反射させるためのガラスビーズ26を吐出するビーズ吐出ノズルを具備したガラスビーズ散布機(散布ガン)25からなる。
また、従来の定着剤散布装置(エアー式スプレーガン)27は、図4に示したように、エアー調整弁28を備え、液状または粉体状に限らず粒子状の定着剤29の路面標示用水性塗料24への一般的な適用方法は、水性塗料24をスプレー後、ガラスビーズ26をスプレーしてから、最後に粒子状の定着剤29を散布するものである。
特許文献1と特許文献2の発明の技術は、水分散型塗料と水溶性塩との接触によって瞬時に凝集を起こさせ乾燥を促進する方法である。塗料をスプレーした後または、塗料と同時に粒子を適用すると、塗料に対するガラスビーズの固着性が悪くなり夜間視認性に問題を来すことになる。また、瞬時に凝集を起こさせるため、塗布した塗料表面のみが固化し塗料内部に塗料中の水を含蓄することになる。そのため形成した塗膜は中膿の状態となって、塗膜のずり応力に問題を生じる。また、車両通過によって塗膜が汚染されやすいという問題、更に瞬時に塗料に凝集を起こさせるため粒子を塗料散布前に散布した場合、路面への塗料の付着・凝集力が劣るという課題もある。
特許文献3の技術は、水を吸収できる固形ポリマー、超吸水性ゲルは、塗膜の乾燥促進には有効であるが、乾燥塗膜が降雨等に水を再吸収して塗膜強度に問題を生ずる。イオン交換樹脂は、乾燥を促進する効果があるが、その効果は水溶性塩で処理した場合より少なく、イオン交換樹脂は高価であり、コスト上、実用性に乏しい。
特許文献4の技術は、水と反応することで発熱可能な非水溶性の無機化合物粒子を散布するもので塗膜表面および内部まで乾燥を促進できるが、粉末粒子を塗布面に均一に規定量を散布固着させるには大量の散布が必要で、周囲への粒子の飛散が生ずるという課題がある。
何れの特許文献とも乾燥を促進するための処理剤粒子または処理剤水溶液を散布する方法に関する技術が記載されている。しかし、提案されている技術は、速乾性の路面標示を形成できるものの、上述したような各々課題点があり、特に、微粉末を適用する速乾化の標示工に関しては効果的な散布装置がないため、いずれも商業的に殆ど行われていないのが現状である。
特公平6−76684号公報 国際公開第94/29391号パンフレット 特開平9−235489号公報 特開2004−244467号公報
そこで、本発明の目的は、水性塗料を用いて路面標示を形成する際にその水性塗料からなる塗膜の乾燥を促進させて強固に定着させることのできる水性塗料定着剤ならびにその定着剤を用いて、耐水性に優れた塗膜を形成することができる方法と定着剤の塗布装置を提供することにある。
本発明者らは、難水溶性の無機化合物の粒子を水性塗料とともに使用すると、塗布された塗膜の乾燥と耐水性を促進することを見いだした。特に、上記粒子を本発明の塗布装置で塗布した場合、粒子が散布塗料粒子と均一に混合されその効果が著しいことを見いだした。このことは、後記の実施例において、塗布された塗料塗膜の乾燥性と耐水浸漬試験によって実証されている。
すなわち、本発明者らは、下記の構成によって、本発明の本目的を達成されることを見いだし、本発明に至った。
(1)溶解度が15g以下/水100gで、水に難溶性の無機化合物粒子を含む水性塗料定着剤。
(2)前記無機化合物粒子が、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムの内、少なくとも1種を含む(1)に記載の水性塗料定着剤。
(3)前記無機化合物粒子の水溶液が電離してイオン化する化合物である(1)に記載の水性塗料定着剤。
(4)水性塗料と溶解度が15g以下/水100gで、水に難溶性の無機化合物粒子を含む水性塗料定着剤を同時に路面に塗布する第1工程と、塗料および塗膜表面にガラスビーズを適用する第2工程と、を含む路面標示形成方法。
(5)水に難溶性で水溶液が電離してイオン化する無機化合物を含む水性塗料定着剤と水性塗料を同時に路面に塗布し、ガラスビーズを散布する(4)に記載の路面標示形成方法。
(6)水に難溶性で水溶液が電離してイオン化する無機化合物を含む水性塗料定着剤を定量供給し、水性塗料塗布スプレー部まで移送する機能を具備し、該水性塗料定着剤と水性塗料を同時に路面に塗布し、ガラスビーズを散布する塗装装置。
(7)水性塗料スプレーが通過する容器内に、移送された水性塗料定着剤を拡散させ、水性塗料に水性塗料定着剤を混合させ、容器外に飛散抑制する機能を具備した(6)に記載した塗装装置。
本発明において、「路面」とは、車両通行のための道路舗装面、飛行機の滑走路面、工場内の通行路、自転車道、歩道等の舗装路面、また屋内外の駐車場等の舗装面をも含む。また「舗装」とは、アスファルト舗装、コンクリート舗装、敷石舗装等をいう。
また、本発明において、「路面標示」とは、路面に各種の表示を目的として塗装により形成されるマークで、特に限定されない。例えば、区画線、横断歩道、はみ出し禁止等を線、文字、記号、模様等によって交通標示することができる。
本発明の水性塗料定着剤、路面標示形成方法および塗装装置を使用することによって乾
燥時間、耐水浸漬性を著しく向上することができる。これにより、これまで不可能であっ
た低温、多湿条件下での塗装が可能となる。
また、定着剤の塗装装置周辺への飛散抑制され、通常同様の塗装工事が実施可能となる。
更に、乾燥時間の短縮により、工事規制時間の短縮が可能となり、交通渋滞を大幅に低減できる。
本発明は、路面に塗布した路面標示用水性塗料を乾燥させ、塗膜の定着を促進するために、本発明の水性塗料定着剤を路面標示用水性塗料とともに路面に塗布する工程を含む路面標示形成方法と塗装装置に関する。
以下、本発明の水性塗料定着剤、路面への水性塗料の形成方法および塗装装置について詳細に説明する。
本発明の定着剤は、水性塗料の乾燥および定着を促進する成分として水に難溶性で、水溶液中では電離してイオン化する無機化合物粒子(以下、無機粒子と呼ぶ)を含むものである。ここで、本発明において、「水に難溶性」とは、水と混合した場合に、20℃において溶解度が15g/水100g以下のものをいう。水への溶解度は、好ましくは20℃で5g/水100g以下のものがよく、これ以上の溶解度を示すものは、溶解、電離が速くなり、水性塗料に対して瞬時に凝集を来す傾向を示す。
この無機粒子の具体例として水酸化カルシウム(消石灰)、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム、ミョウバン等が挙げられ、これらは、単独あるいは2種以上を組み合わせて、本発明の定着剤に主要成分として含有される。特に、水への溶解度が20℃で5g/水100g以下の商業的に利用可能な無機粒子として、消石灰、セメントが挙げられる。
また、無機粒子は、定着後の塗料との反応性および塗膜の仕上がり性を考慮すると平均粒径が0.1μm〜600μmであること、特に5μm〜150μmが好ましい。無機粒子の形状は特に限定されない。
更に、本発明の定着剤は、前記無機粒子以外に、本発明の目的を阻害しない範囲で、必要に応じて他の成分を含有してもよい。例えば、酸化カルシウム、硫酸カルシウム、ゼオライト等を含んでいてもよい。
本発明の定着剤は、前記無機粒子をそのまま適用することが可能であるが、特に定着剤の散布量の調整と均一散布する方法として、必要に応じて定着性を持たない成分を塗膜の性能を損なわない範囲で適宜配合して混合使用するのが有効である。
本発明の定着剤において、適宜配合される成分としては、一般に塗料の着色顔料として使用される二酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、マグネタイト、クロム酸鉛、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、縮合多環顔料等、弁柄、黄色酸化鉄、チタンイエロー、群青、紺青、コバルトブルー等、および体質顔料として用いられる非水溶性の炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、珪石粉等が挙げられる。その粒径は、5μm〜600μmの範囲のものが用いられるが、好ましくは、用いられる無機粒子よりも大きな粒径のものがよい。また、適宜配合される成分は、単独または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の定着剤を適用して、その乾燥・定着を促進できる水性塗料は、特に限定されず、従来の路面標示用に用いられているいずれの水性塗料にも適用することができる。
特に、本発明の定着剤は、JIS K5665路面標示用塗料の品質を満足させるための組成等の観点から、60〜85質量%の総固形分を有し、乾燥膜厚0.1〜0.5mmで塗布する路面標示用水性塗料の乾燥・定着に有用であるが、特に総固形分、膜厚に限定されるものではない。
路面標示用水性塗料の具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸ブチル、スチレン等のエチレン性不飽和基を有する化合物を重合または共重合してなる樹脂成分、例えば、アクリル酸エステル樹脂成分を、ビヒクル成分とするものが挙げられる。
更に、樹脂は、カルボキシル基、エポキシド基、カルボニル基、アミノ基、炭素−炭素二重結合等の反応性官能基または結合を分子内に導入した重合体であってもよい。水性のビヒクルは、分散ポリマーであってもよいし、水溶性ポリマーとの混合物であってもよい。
また、路面標示用水性塗料は、塗布作業性、着色や塗料物性、塗膜物性を改善するために、添加される各種の添加剤または顔料を、適宜、必要に応じて、種類、含有量等を所望の特性に応じて適宜選択し、それぞれ単独、あるいは2種以上を組み合わせて配合することができる。
例えば、添加剤としては、塗料に一般的に使用されている分散剤、湿潤剤、沈降防止剤、消泡剤、増粘剤、造膜助剤等である。また、顔料としては、各種着色顔料および増量剤としての各種体質顔料が挙げられる。
また、路面標示用水性塗料は、溶媒または分散媒として主として水を使用するが、必要に応じて単独または2種類以上の有機溶剤を含んでいてもよい。特に、水溶性の有機溶剤が好ましいが、水性塗料の安定性を阻害するものでなければ限定するものではない。
路面標示用水性塗料への本発明の定着剤の適用は、水性塗料と水性塗料定着剤を同時に塗布する第1工程、塗料および塗膜表面にガラスビーズを適用する第2工程を含む路面標示形成方法および塗装装置によってなされる。
定着剤を散布する装置は、例えば、通常のエアースプレー、圧送スプレー、自然落下散布等の方法に従って行うことができるが、粒子粉末を均一混合散布することが望まれる。
本発明の装置は、従前できなかった粒子粉末を均一混合散布するために考案され、塗料を塗布するための散布ノズルからの吐出塗料流に直接定着剤を供給し、定着剤を均一混合・同伴散布するものである。
以下に、路面標示用水性塗料の塗装車に架装した本発明の塗装装置について説明する。
図1に示す塗装装置は、主に定着剤供給装置と、定着剤と水性塗料を混ぜる混合装置とから成る。各装置の詳細を説明する。
(定着剤供給装置)
図1に示す定着剤供給装置は、定着剤貯蔵タンク1からスクリュウ状の回転羽根を有する定量供給部4、定着剤をエア搬送するための混合部5、タンク内の定着剤を定量供給部に安定供給する機能を有する撹拌棒3、定着剤を搬送、拡散させるためのエア調整機器6〜11、撹拌棒と定量供給部を駆動するモータ2,13、機器を制御する制御器12、定着剤を搬送する定着剤搬送用ホース14からなる。
スクリュウ状の回転羽根は、制御器の設定によって任意の回転数に駆動することができ、貯蔵タンクから任意に定量供給を可能とする。また、羽根の回転開始と塗料・定着剤混合器19まで搬送する搬送エアノズル6からのエア吐出開始は、ガラスビーズ吐出開始時と同期とする機能を制御器に有する。
(塗料・定着剤混合器)
図1及び図2に示す塗料・定着剤混合器19は、塗料スプレーガン23下部の塗料吐出部20に設置される。塗料・定着剤混合器後部上面には、定着剤供給装置と接続した定着剤を搬送する定着剤搬送用ホース14の接続口を有する。また、塗料・定着剤混合器最後部にエア供給管15を介してエア接続口があり、接続口から供給されるエアは、塗料・定着剤混合器19内部にエアを扇状に広げ吐出する拡散エアノズル16から送られる。このノズルは定着剤供給装置に接続した定着剤搬送ホース14接続口の直下に位置している。定着剤はこのノズルから吐出されるエアにより方向を変え、拡散される。
塗料吐出部20のスプレーノズルから高速で吐出した水性塗料21は、扇状に広がりながら塗料・定着剤混合器19内に充満した定着剤中を流れ、定着剤を均一に同伴し路面22に塗布される。
また、図2に示すガラスビーズ散布器18は、ガラスビーズ散布ガン25からガラスビーズ26を適正な散布位置に案内する散布経路17を形成するための補器である。このガラスビーズ散布器18は、塗料・定着剤混合器19下部に固定されている。
本発明の定着剤の塗膜への散布量は、水性塗料の乾燥速度に影響を与える。
上記図4に示した塗料塗膜の上に定着剤を散布する従来の定着剤散布装置の場合は、定着剤有効成分で1g〜70g/mで、好ましくは10〜20g/mの塗布量であるが、本発明のように塗料とともに定着剤を適用する場合は、特に1000μm迄の高膜厚塗布にも適用が可能で、定着剤有効成分で0.04〜2g/水性塗料100g程度が好ましい。特に好ましくは、定着剤有効成分で0.2〜0.75g/水性塗料100gである。
以下、本発明の実施例および比較例に基づいて、本発明を具体的に説明する。
尚、実施例および比較例で使用した路面標示用水性塗料と、定着剤は下記の配合処方で調整した。
路面標示用水性塗料の配合処方
成分 使用量(kg) 作用 入手先
Primal E-2706 32.0 速硬化性エマルジョン ローム アンド ハース(株)
オロタン901 0.7 顔料分散剤 ローム アンド ハース(株)
SNデフォマー 154 0.9 非シリコン系消泡剤 (株)サンノプコ
ソフトン1500 44.0 増量剤 備北粉化工業(株)
タイピュアーR-902 11.1 二酸化チタン デュポン(株)
Primal E-2706 7.7 速硬化性エマルジョン ローム アンド ハース(株)
水道水 0.1
メタノール 1.5 凍結安定化剤
ベンジルアルコール 0.9 造膜助剤
RM−12 0.1 造粘剤 ローム アンド ハース(株)
水道水 1.0 粘度調整剤
合計 100.0
塗料粘度 81KU〜83KU 塗料固型分76%
定着剤の配合
水酸化カルシウム(消石灰):消石灰1号、粒径5μm〜150μm
炭酸カルシウム :粒径149μm〜590μm
混合配合比
水酸化カルシウム(消石灰)/炭酸カルシウム=4/6(質量比)
5℃×85%RHの条件下で、15cm×20cmのアスファルトフェルト紙上に、上記定着剤を0.007kg/m、および上記配合の塗料0.64kg/mを同時に吐出させ塗料・定着剤混合器を通じて混合均一塗布し、塗膜の乾燥性と耐水浸漬性試験用の供試体を作製した。
塗布後の乾燥性試験は、JIS K5665のタイヤ付着性によって評価した。
耐水浸漬性試験は、5分、10分、15分、20分、30分、40分、50分、60分および90分間の養生した供試体を水に1時間浸漬してから引き上げ、引き上げ直後の塗膜の溶出、剥離を観察すると同時に人差し指で塗膜を軽く擦り塗料が付着するかどうかを調べ評価した。また、比較例として、上記塗布量で塗料・定着剤混合器を使用しないで定着剤を後散布した塗膜(図4でガラスビーズ散布無し)と定着剤を散布しない塗膜についても同様の試験を行った。
乾燥性の試験結果を表−1に、耐水浸漬性を表−2に示す。
Figure 0004263186
Figure 0004263186
表−1、表−2から定着剤無散布、通常の散布方法に比較して、本発明の方法と装置を用いた場合は、大幅な乾燥性、耐水性の改善が得られた。したがって、塗装現場では、塗布後の交通渋滞の緩和と突然の降雨等の懸念もなく標示工ができる。
5℃×85%RHの条件下で、30cm×30cm×5cmの密粒アルファルトブロック上に、実施例1に示した量で、定着剤と塗料を、塗料・定着剤混合器を通して塗布と同時にガラスビーズを0.42kg/m散布して、ガラスビーズの塗膜への固着性の経時変化を反射輝度値で評価した。また、比較例として、塗料のみを塗布後にガラスビーズを散布した塗膜についても同様の試験を行った。
尚、ガラスビーズの固着性は供試体作製後24時間養生を行い、促進耐久性試験機を用いて試験した。促進耐久性試験機の仕様と試験条件は、下記に示し、試験結果を表−3に示す。
試験方法
試験機 :回転摩耗促進装置・据え切り試験器(ニッケン(株)製)
荷 重:100kg/輪
回転半径:6cm
回転速度:30rpm
トラバース速度:10cm/min
接地面積:10.87cm
平均接地圧:0.9N/mm
タイヤの材質:硬質ウレタンゴム
評価:
トラバース回数16回について、経時で塗膜の反射輝度値(mcd/1x・m)を測
定しガラスビーズの塗膜への固着性を評価した。
反射輝度値測定機器:簡易反射輝度計ミロラックス7(ポッターズ・バロティーニ(株)製)
Figure 0004263186
表−3から、塗料と定着剤を同時混合することによって、定着剤を使用しない場合のガラスビーズ固着性を阻害することがなかった。
5℃×85%RHの条件下で、15cm×20cmのアスファルトフェルト紙上に、上記定着剤を0.007kg/m 、および上記配合の塗料0.64kg/m を同時に吐出させ塗料・定着剤混合機を通して混合均一塗布し、塗膜の乾燥性と耐水浸漬性試験用の供試体を作製した。塗布後の乾燥性試験は、JIS K5665のタイヤ付着性によって評価した。
耐水浸漬性試験は、5分、10分、15分、20分、30分、40分、50分、60分および90分間の養生した供試体を水に1時間浸漬してから引き上げ、引き上げ直後の塗膜の溶出、剥離を観察すると同時に人差し指で塗膜を軽く擦り塗料が付着するかどうかを調べ評価した。また、比較例として、上記塗布量で塗料・定着剤混合器を使用して、炭酸カルシウム粉、タルク粉を散布したもの及び無散布品の塗膜についても同様の試験を行った。
乾燥性の試験結果を表−4に、耐水浸漬性を表−5に示す。
Figure 0004263186
Figure 0004263186
表−4、表−5から定着剤無散布、炭酸カルシウム粉、タルク粉の散布と比較して、本発明の方法を用いた場合は、大幅な乾燥性、耐水性の改善が得られた。
本発明に係る塗装装置の要部を示す概略説明図である。 図1におけるガラスビーズ拡散散布機を装備した定着剤混合装置を示す概略説明図である。 従来の路面標示装置を示す概略説明図である。 従来の定着剤散布例を示す概略説明図である。
符号の説明
14 定着剤搬送用ホース
15 拡散エア供給ホース
16 拡散エアノズル
17 ガラスビーズ通過経路
18 ガラスビーズ散布器
19 塗料・定着剤混合器
20 塗料吐出部
21 塗料スプレー通過経路
22 路面
23 塗料スプレーガン
24 水性塗料
25 ガラスビーズ散布ガン
26 ガラスビーズ

Claims (4)

  1. 定着剤有効成分で0.04〜2g/路面標示用水性塗料100gとなるように、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムの内、少なくとも1種の粒子を主要成分として含む路面標示用水性塗料定着剤。
  2. 請求項1の路面標示用水性塗料と請求項1の路面標示用水性塗料定着剤を同時に路面に塗布する第1工程と、塗料および塗膜表面にガラスビーズを適用する第2工程と、を含む路面標示形成方法。
  3. 請求項1の路面標示用水性塗料定着剤を定量供給し、水性塗料塗布スプレー部まで移送する機能を具備し、該路面標示用水性塗料定着剤と請求項1の路面標示用水性塗料を同時に路面に塗布し、ガラスビーズを散布する塗装装置。
  4. 前記路面標示用水性塗料スプレーが通過する容器内に、移送された該路面標示用水性塗料定着剤を拡散させ、該路面標示用水性塗料に該路面標示用水性塗料定着剤を混合させ、容器外に飛散抑制する機能を具備した請求項3に記載した塗装装置。
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