JPH0830082B2 - 熱可塑性樹脂の製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂の製造方法

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JPH0830082B2
JPH0830082B2 JP17246887A JP17246887A JPH0830082B2 JP H0830082 B2 JPH0830082 B2 JP H0830082B2 JP 17246887 A JP17246887 A JP 17246887A JP 17246887 A JP17246887 A JP 17246887A JP H0830082 B2 JPH0830082 B2 JP H0830082B2
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正経 近藤
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Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は特定の単量体を特定の方法で乳化重合し、か
つ特定の方法で重合体を回収することからなる粉末性状
が良好で、生産性の優れた耐熱性重合体の製造方法に関
するものである。
〈従来の技術〉 ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等のスチレン系樹脂
あるいはメタクリル酸メチル系樹脂は優れた成形加工性
および外観を有しており、車輌部品、電気部品、事務機
器部品等として広く使用されている。しかしながら、こ
れらの樹脂は耐熱性に劣るという欠点があり、近年その
耐熱性を改良する目的で、耐熱性付与成分としてマレイ
ミド系単量体、メタクリル酸、α−メチルスチレン等を
導入した樹脂の開発が行なわれてきた。また、これらの
樹脂の製造法の一つとして乳化重合法が広く採用されて
いる。この場合、重合体ラテックスから重合体を回収す
る方法として一般に凝固剤の存在下にラテックスを凝固
処理する方法が採用されている。
ここで、特に上記のような耐熱性樹脂を乳化重合法で
製造する場合、その重合体の回収工程において次のよう
な問題がある。
1)重合体のガラス転移温度が高いため、ラテックス凝
固剤の存在下、低温で処理した場合には凝固粒子の融着
が起らず、微粉末の重合体が生成する。この結果、次の
重合体の分離工程において過装置の目詰りが起り易い
こと、また分離されたウェットケーキは含水率が高く、
乾燥効率が悪いこと、回収された粉体は嵩密度が小さく
取扱いが困難なこと等、生産性および作業性が悪い。
2)これに対して、粉末性状の良好な重合体を回収する
には、重合体のガラス転移温度に対応した高温下および
高圧下での処理が必要であるが、そのためには処理設備
にもそれ相当の配慮が必要である。
上記のような問題点を改善する方法として、例えば特
開昭56−135502および特開昭56−141303には、先ず硬質
ラテックスに凝固剤を添加したのちゴム質重合体ラテッ
クスおよび/またはグラフト重合体ラテックスを添加
し、硬質ラテックスの凝集体上にゴム質重合体ラテック
スおよび/またはグラフト重合体ラテックスを凝集させ
る方法が提案されている。また、特開昭54−122389に
は、α−メチルスチレンと他のビニル単量体との共重合
体ラテックスと、軟化点の低いアクリロニトリルおよび
/またはメタクリル酸メチルを必須成分とする共重合体
ラテックスを混合して凝固させる方法が開示されてい
る。
〈発明が解決しようとしている問題点〉 しかしながら、上述のように重合体ラテックスの凝固
処理において、軟化点の高い硬質重合体ラテックスと軟
化点の低い軟質重合体ラテックスを共存させると、回収
重合体の粉末性状を改良するのにある程度の効果は認め
られるが、よりいっそう粉末性状を改良するには軟質重
合体ラテックスの添加量を多くする必要がある。そのた
め、耐熱性の高い樹脂が得がたいという問題点がある。
特に、重合体ラテックスから連続的に重合体を回収する
場合、上述の方法ではより低温度での処理によって粉末
性状の良好な重合体を回収することは困難である。
〈問題点を解決するための手段〉 本発明者らは上述の問題点を解決し、粉末性状の良好
な耐熱性樹脂を製造すべく鋭意検討した結果、特定の製
造方法を見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、ゴム質重合体の存在下または非
存在下、マレイミド系単量体、不飽和カルボン酸系単量
体、不飽和カルボン酸エステル系単量体、芳香族ビニル
系単量体および不飽和ニトリル系単量体の中から選ばれ
た単量体、ならびに必要に応じ、これらの単量体と共重
合可能な単量体を乳化重合体によって重合し、かつ重合
体を回収する方法において、単量体の重合および重合体
の回収工程が次の工程からなることを特徴とする粉末性
状が良好で、生産性の優れた熱可塑性樹脂の製造方法を
提供するものである。
(i)重合工程の前段の過程において、ガラス転位温度
の高い重合体を生成する単量体を1種または2種以上重
合する工程。
(ii)重合工程の後段の過程において、前段で生成され
た重合体よりもガラス転位温度の低い重合体を生成する
単量体を1種または2種以上重合する工程。
(iii)得られた重合体ラテックスを凝固剤の存在下
に、重合後段で生成される重合体のガラス転位温度より
も25℃低い温度(ガラス転位温度−25℃)以上で連続的
に凝固処理し、重合体を回収する工程。
本発明の方法によれば、耐熱性の高い重合体を含有す
るラテックスから重合体を回収する場合、従来法と比較
して低温で処理でき、しかも微粉末が少なく、適度な粒
子径を有する粉末性状の良好な重合体が容易に回収でき
る。
以下に、本発明の方法を詳細に説明する。
重合における構成成分 乳化重合はゴム質重合体の存在下または非存在下に前
記の単量体を重合することによって行なわれる。
ゴム質重合体としては、ポリブタジエン、スチレン−
ブタジエンランダムまたはブロック共重合体、水素化ス
チレン−ブタジエンランダムまたはブロック共重合体、
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ネオプレンゴ
ム、クロロプレンゴム、イソブチレンゴム、天然ゴム、
エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−非
共役ジエンゴム、塩素化ポリエチレン、塩素化エチレン
−プロピレン−共役ジエンゴム、アクリルゴム、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル
酸メチル、エチル、プロピル、ブチル、グリシジルまた
はジメチルアミノエチルなどの(メタ)アクリル酸エス
テル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−メタクリル酸グ
リシジル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル−メタ
クリル酸グリシジル共重合体などが挙げられる。これら
は架橋物、未架橋物、グラフト化物のいずれも使用で
き、または2種以上の混合物も使用することができる。
なお、これらのゴム質重合体は乳化重合法によって製
造したもの、あるいはゴム質重合体を溶剤に溶かした溶
液を乳化剤の存在下、水媒体中で乳化させたのち、溶剤
を除去あるいは除去しないものが用いられる。
マレイミド系単量体としては、マレイミド、N−メチ
ルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−イソプロピ
ルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−ヘキシルマ
レイミド、N−オクチルマレイミド、N−ラウリルマレ
イミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−グリシジ
ルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−2,3また
は4−メチルフェニルマレイミド、N−2,3または4−
エチルフェニルマレイミド、N−2,3または4−ブチル
フェニルマレイミド、N−2,6−ジメチルフェニルマレ
イミド、N−2,3または4−クロロフェニルマレイミ
ド、N−2,3または4−ブロモフェニルマレイミド、N
−2,5−ジクロロフェニルマレイミド、N−3,4−ジクロ
ロフェニルマレイミド、N−2,5−ジブロモフェニルマ
レイミド、N−3,4−ジブロモフェニルマレイミド、N
−2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、N−2,4,6−
トリブロモフェニルマレイミド、N−2,3または4−ヒ
ドロキシフェニルマレイミド、N−2,3または4−メト
キシフェニルマレイミド、N−2,3または4−カルボキ
シフェニルマレイミド、N−4−ニトロフェニルマレイ
ミド、N−4−ジフェニルマレイミド、N−1−ナフチ
ルフェニルマレイミド、N−4−シアノフェニルマレイ
ミド、N−4−フェノキシフェニルマレイミド、N−4
−ベンジルフェニルマレイミド、N−2−メチル−5ク
ロロフェニルマレイミド、N−2−メトキシ−5−クロ
ロフェニルマレイミドなどが例示される。これらは1種
または2種以上用いることができる。特にN−アリール
置換マレイミドが好ましく使用される。
不飽和カルボン酸系単量体およびそのエステル系単量
体としては、(メタ)アクリル酸およびそのメチル、エ
チル、プロピル、ブチル、ラウリル、シクロヘキシル、
2−ヒドロキシエチル、ボルニル、グリシジルおよびジ
メチルアミノエチルなどの(メタ)アクリル酸エステル
系単量体、ならびに無水マレイン酸、無水イタコン酸、
無水シトラコン酸、無水ハイミック酸およびそれらのモ
ノおよびジアルキルエステルなどが挙げられる。これら
は1種または2種以上用いることができる。これらのう
ち、通常はメタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタク
リル酸ボルニル、無水マレイン酸などが好ましい。
芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチ
ルスチレン、α−クロロスチレン、P−t−ブチルスチ
レン、P−メチルスチレン、O−クロロスチレン、P−
クロロスチレン、2,5−ジクロロスチレン、3,4−ジクロ
ロスチレン、P−ブロモスチレン、O−ブロモスチレ
ン、2,5−ジブロモスチレン、3,4−ジブロモスチレン、
2−イソプロペニルナフタレンなどが挙げられ、1種ま
たは2種以上用いることができる。これらのうち、通常
はスチレンまたはα−メチルスチレンが好ましい。
不飽和ニトリル系単量体としては、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル、マレオニトリル、フマロニト
リルなどが挙げられ、1種または2種以上用いることが
できる。これらのうち、通常はアクリロニトリルが好ま
しい。
さらに上記の単量体と共重合可能な単量体としては、
エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1,4−
メチルペンテン−1、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ブ
タジエン、アルリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビ
ニル、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルカル
バゾール、ビニルエーテル、ビニルケトン、クマロン、
インデン、アセナフチレンなどが例示される。
本発明の重合において用いられる単量体は上述の通り
であるが、これらのうち生成重合体のガラス転位温度が
高い重合体を得るには、通常はマレイミド系単量体を1
成分とし、これと他の共重合性単量体を組合わせて用い
ることが好ましい。この場合、生成共重合体中のマレイ
ミド系単量体の含有量が1〜90重量%、特に3〜70重量
%となるように共重合することが好ましい。
ここで、生成重合体のガラス転位温度が高い重合体お
よび低い重合体のガラス転位温度は、それぞれ130℃以
上および130℃未満であることが好ましい。特に、ガラ
ス転位温度が低い重合体のガラス転位温度は30〜125℃
が好ましい。さらに、該生成重合体のガラス転位温度が
130℃以上となる1種または2種以上の単量体/生成重
合体のガラス転位温度が130℃未満となる1種または2
種以上の単量体の重合における添加比率は20〜97重量%
/80〜3重量%であることが望ましい。
なお、本発明におけるガラス転位温度は、重合に供さ
れた単量体からなる重合体のガラス転位温度であり、ゴ
ム質重合体の存在下に重合された場合は、非存在下に重
合して得られた重合体のガラス転位温度を意味する。
さらに、ゴネ質重合体を用いる場合においては、前段
重合および後段重合のいずれの工程にも添加し得るが、
好ましくは、前段重合工程時添加し、後段重合工程では
単量体のみが添加、重合されることが好ましい。
乳化重合 本発明の乳化重合は乳化剤の存在下に行われる。重合
における単量体/水の重量比には特に制限はないが1/0.
8〜2の範囲であることが好ましい。また、重合におけ
る温度および時間にも特に制限はないが、それぞれ50〜
150℃および2〜20時間であることが好ましい。
なお、重合に際し重合開始剤、連鎖移動剤、pH調整剤
(緩衝溶液)、界面張力調整剤、金属キレート化剤等を
用いることができる。
本発明の乳化重合では、先ず前段の過程で生成重合体
のガラス転位温度が高くなる単量体の1種または2種以
上を重合させ、後段の過程で生成重合体のガラス転位温
度が低くなる単量体の1種または2種以上を重合させる
ことが必要である。この具体的な方法として、先ず生成
重合体のガラス転位温度が高くなる単量体を重合させた
のち、生成重合体のガラス転位温度が低くなる単量体を
重合させる方法;生成重合体のガラス転位温度が段階的
または連続的に高い方から低い方へと移行するように単
量体の種類とその組合せ比率を変えて重合させる方法が
ある。本法を採用すれば、シード重合によりガラス転位
温度の高い重合体がラテックス粒子のコア層を形成し、
ガラス転位温度の低い重合体がシェル層を形成するため
にラテックスを凝固剤の存在下に処理する際に、比較的
低温でも凝固性が改良され、粉末性状の良好な重合体が
回収できると考えられる。
乳化重合に際して用いられる乳化剤としては、例えば
炭素数10〜20の高級アルコール硫酸エステル、高級アル
キルエーテル硫酸エステル、アルキルフェニルエーテル
硫酸エステル、硫酸化脂肪酸エステル、硫酸化脂肪酸、
硫酸化オレフィンなどのアルカリ金属塩およびアンモニ
ウム塩等の硫酸エステル塩類;アルキルベンゼンスルホ
ン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルジフェ
ニルエーテルジスルホン酸、α−オレフィンスルホン
酸、スルホコハク酸ジエステルなどのアルカリ金属塩か
らなるスルホン酸塩類;炭素数10〜20の高級脂肪酸のア
ルカリ金属塩;アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸の
アルカリ金属塩;炭素数10〜20のアルケニルコハク酸の
アルカリ金属塩;高級アルコールリン酸モノエステルジ
アルカリ金属塩、高級アルコールリン酸ジエステルナト
リウム塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加物の
リン酸エステル塩等のリン酸エステル塩;高級アルキル
アミン塩および第4級アンモニウム塩型カチオン界面活
性剤;アミノ酸型およびベタイン型両性界面活性剤;ポ
リエチレングリコール型および多価アルコール型非イオ
ン性界面活性剤など各種のものが挙げられる。これらは
1種または2種以上用いることができる。なお、乳化剤
の添加量は通常、単量体100重量部あたり0.4〜3重量部
の範囲が好ましい。
重合開始剤としては、一般に過硫酸カリウム、過硫酸
アンモニウム、過酸化水素などの無機系およびt−ブチ
ルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサ
イド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイ
ド、P−メンタンタンハイドロパーオキサイド、2,5−
ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、
1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイ
ド、2−(カーバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,
2′−アゾビス(N,N′−ジメチレンイソブチルアミジ
ン)ジハイドロクロライド、2,2′−アゾビス(2−ア
ミジノプロパン)ジハイドロクロライド、2,2′−アゾ
ビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチ
ル)−2−ヒドロキシエチル〕プロピオンアミド}、2,
2′−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエ
チル)プロピオンアミド〕、2,2′−アゾビス(イソブ
チルアミド)ジハイドレートなどの有機系の水溶性ラジ
カル発生剤の1種または2種以上が用いられる。このほ
か、必要に応じ油溶性のラジカル発生剤と組合わせて用
いることも、また放射線を用いることもできる。さら
に、無機および有機系の還元剤の存在下にレドックス系
の重合を行なうこともできる。
連鎖移動剤としては、例えばハロゲン化アルキル、ア
ルキルサルファイド、アルキルジサルファイド、ターピ
ノレン、チオグリコール酸エステル、ジチオグリコール
酸エステル、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグ
リコレート)、α−メチルスチレンダイマー、1,4,5,8
−テトラヒドロナフタレン、t−ドデシルメルカプタ
ン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプ
タンなどのアルキルメルカプタンなどの1種または2種
以上が用いられる。
重合体の回収 前記の乳化重合によって得られた重合体ラテックスか
ら重合体を回収するに際して、ラテックスの固形分濃度
には特に制限はないが、5〜40重量%に調整することが
望ましい。この濃度が5重量%未満では生産性が悪く、
一方40重量%を超えると粗大粒子の生成や凝固装置内へ
の凝固物の付着が多くなる傾向がある。
重合体ラテックスの凝固剤としては、一般に2価およ
び/または3価の水溶性金属塩が用いられる。これらの
金属塩として、例えばマグネシウム、カルシウム、亜
鉛、アルミニウムの硫酸塩、塩酸塩などが挙げられ、1
種または2種以上用いることができる。これらの金属塩
の添加量は重合体ラテックスに含まれる乳化剤の量にも
よるが、通常は重合体ラテックスの固形分100重量部あ
たり1〜10重量部の範囲が適当である。なお、これらの
金属塩凝固剤は一般には水溶液として添加される。さら
に、重合で用いた乳化剤の種類によっては凝固剤として
無機および有機の各種の酸を用いることもできる。
重合体ラテックスは上記の水溶性金属塩凝固剤の存在
下、該重合体ラテックス中のガラス転移温度が最も低い
重合体のガラス転移温度(Tg)より25℃低い温度(Tg−
25)以上で、一般に平均滞留時間0.1〜100分間で連続的
に処理される。
なお、本発明においては、予め重合体ラテックスと水
溶性金属塩凝固剤を該重合体のガラス転移温度が低い重
合体のガラス転移温度より25℃低い温度よりさらに低い
温度(<Tg−25)で凝固させた後、ガラス転移温度より
25℃低い温度以上(≧Tg−25)で、処理する方法も含ま
れる。
これらの処理条件(濃度、温度、時間)によって微粒
子が少なく、適度な粒子径を有する重合体を回収するこ
とができる。
処理温度が該重合体のガラス転位温度が低い重合体の
ガラス転位温度(Tg)より25℃低い温度よりさらに低い
温度(<Tg−25)では微細な凝固粒子の生成量が増加す
るため不適である。一方、処理温度が重合体のガラス転
位温度(Tg)よりもあまりにも高過ぎると粗大粒子の生
成や処理装置内への重合体の付着が多くなり好ましくな
い。
特に好ましい処理温度は該重合体のガラス転位温度が
低い重合体のガラス転位温度より20℃低い温度からガラ
ス転位温度より30℃高い温度の範囲(“Tg−20"〜“Tg
+30")である。
また、平均滞留時間は重合体ラテックスの処理温度に
もよるが、0.1分間未満ではラテックスの凝固粒子が小
さく、一方100分間以上処理してもそれ以上の効果はな
く、また生産性が低下する。平均滞留時間の特に好まし
い範囲は0.2〜60分間である。なお、重合体ラテックス
を凝固処理するに際して、水に難溶性の無機系または水
溶性の高分子系懸濁安定剤の存在下に処理すると、処理
装置の内壁等への凝固物の付着を抑えるのに効果があ
る。また、処理液あるいは分離排水が発泡する場合はシ
リコーン系やポリアルキレングリコール系の消泡剤を添
加すると効果がある。さらに、他の重合体ラテックスと
混合して凝固処理することもできる。
重合体ラテックスの凝固処理設備としては、例えば1
槽または2槽以上の攪拌槽あるいは管式装置等が用いら
れる。重合体ラテックスおよび凝固剤はこれらの処理装
置に連続的に供給される。処理液の加熱は処理装置内に
スチームを直接吹込む方法やジャケット加熱方法によっ
て行なわれる。なお、処理中に重合体に残留する未反応
単量体を留出除去することもできる。
なお、重合体ラテックスを処理するに際して、本発明
に規定される温度領域内においてできるだけ低温で粉末
性状の良好なものを回収したい場合には、重合体ラテッ
クスを製造する工程において残留モノマーが約7%程度
以下残留する段階で重合停止剤を添加して重合を終える
か、あるいは重合体ラテックスに対し、水には不溶であ
るが重合体と親和性のある溶剤(トルエン、キシレン、
エチルベンゼンなど)を添加し、重合体の軟化温度を下
げて処理する方法がある。この場合、残留モノマーや溶
剤は重合体を凝固処理後にスチームストリッピングで除
去するか、その後の加工工程において、例えば脱揮装置
の付いた押出機等で除去することができる。
また、処理時の圧力には何ら制限はない。
重合体ラテックスを凝固処理することによって得られ
たスラリーはベルトフィルターあるいは遠心脱水機によ
って脱水し、洗浄することができる。なお、回収された
重合体中に含まれる凝固剤の量は5,000ppm以下、特に3,
000ppm以下となるように十分に水洗除去することが品質
上好ましい。脱水されたウエットケーキはロータリード
ライヤー、フラッシュドライヤー、流動乾燥機等によっ
て乾燥し、粉体として回収することができる。また、脱
水造粒用押出機にて、ペレットとして回収することもで
きる。
なお、回収された重合体に対し、必要に応じて酸化防
止剤、熱安定剤、光安定剤、滑剤、可塑剤、帯電防止
剤、無機および有機系着色剤、難燃剤、表面光沢改良
剤、艶消し剤、無機および有機系充填剤などの各種添加
剤を添加することができる。これらの添加剤はその種類
によってラテックスの製造工程および重合体の回収工程
あるいはその後の加工工程において添加することができ
る。さらに、各種高分子を配合することもできる。
以下に本発明を実施例でもって説明するが、本発明は
これによって限定されるものではない。
なお、実施例で示した部数および%はすべて重量に基
づくものである。
実施例1 攪拌機および板バッフルを備えた反応器に純水70部、
過硫酸カリウム0.1部およびラウリル硫酸ナトリウム0.2
部を仕込み、反応器内を窒素ガスで置換したのち、攪拌
下に65℃に昇温した。この反応器にN−フェニルマレイ
ミド40部、スチレン42部およびアクリロニトリル18部か
らなる単量体溶液(t−ドデシルメルカプタン0.2部含
有)のうち3部を添加し、30分かけて75℃に昇温した。
ついで残部の単量体溶液(97部)ならびに純水50部、過
硫酸カリウム0.1部およびラウリル硫酸ナトリウム0.8部
からなる水溶液を4時間かけて連続添加した。その後75
℃で1時間保持した。(これをラテックス(A)とす
る)このときの重合率は98.7%であった。また,生成重
合体のガラス転位温度は169℃であった。
次にスチレン13部およびアクリロニトリル7部からな
る単量体溶液(t−ドデシルメルカプタン0.06部含有)
ならびに純水20部および過硫酸カリウム0.5部からなる
水溶液を1時間かけて連続添加したのち、75℃で2時間
保持し、重合率98.9%のラテックスを得た。
得られた重合体ラテックスに純水を加え、固形分濃度
を20%に調整した。これをタービン型攪拌翼を備えたSU
S316製の攪拌槽に連続的に仕込みながら槽内にスチーム
を吹込んで97℃に加熱した。これに20%の塩化カルシウ
ム水溶液を重合体ラテックスの固形分100部あたり25部
を連続的に添加しながら温度97℃、平均滞留時間20分で
連続的に凝固処理した。得られた凝固スラリーを脱水、
水洗、乾燥して重合体を回収した。
なお、重合の後段過程での生成重合体のガラス転位温
度を確認するため、上記の重合法に準拠し、スチレン13
部およびアクリロニトリル7部からなる混合溶液を別途
乳化重合した。(これをラテックス(B)とする)得ら
れた重合体のガラス転位温度は108℃であった。
なお、ガラス転位温度は示差走査熱量計にて測定し
た。
実施例2 実施例1で用いた反応器に純水80部、過硫酸カリウム
0.1部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部お
よびアルケニルコハク酸カリウム(アルキル基の炭素数
16〜18)0.2部を仕込み、反応器内を窒素ガスで置換し
たのち、攪拌下に60℃に昇温した。この反応器にN−フ
ェニルマレイミド10部、α−メチルスチレン68部および
アクリロニトリル22部からなる溶液(t−ドデシルメル
カプタン0.4部含有)のうち10部を仕込み、30分かけて7
0℃に昇温した。ついで、残部の単量体溶液ならびに純
水50部、過硫酸カリウム0.1部、ドデシルベンゼンスル
ホン酸ナトリウム0.5部およびアルケニルコハク酸カリ
ウム0.5部からなる水溶液を6時間かけて連続添加した
のち70℃で2時間保持した。(これをラテックス(A)
とする)このときの重合率は98.1%であった。また、生
成重合体のガラス転位温度は152℃であった。
次にα−メチルスチレン7部およびアクリロニトリル
3部からなる溶液(t−ドデシルメルカプタン0.04部含
有)ならびに純水10部および過硫酸カリウム0.05部から
なる水溶液を1時間かけて連続添加したのち、70℃で3
時間保持し、重合率98.8%のラテックスを得た。なお、
重合中、水相のpHをリン酸二水素カリウム−リン酸水素
二ナトリウム水溶液にて6〜7に調節した。
得られた重合体ラテックスに純水を加え、固形分濃度
を25%に調整した。これを実施例1で用いた攪拌槽に連
続的に仕込みながら槽内にスチームを吹込んで110℃に
加熱した。これに15%の硫酸マグネシウム水溶液を重合
体ラテックスの固形分100部あたり30部を連続的に添加
しながら温度115℃、平均滞留時間30分で連続的に凝固
処理した。得られた凝固スラリーを脱水、水洗、乾燥し
て重合体を回収した。
なお、重合の後段過程での生成重合体のガラス転移温
度を確認するため上記の乳化重合法に準拠し、α−メチ
ルスチレン7部およびアクリロニトリル3部からなる混
合溶液を別途乳化重合した。(これをラテックス(B)
とする)得られた重合体のガラス転位温度は125℃であ
った。
実施例3 実施例1で用いた反応器に純水70部、ドデシルベンゼ
ンスルホン酸ナトリウム0.1部および過硫酸カリウム0.0
5部を仕込み、反応器内を窒素ガスで置換したのち、攪
拌下に75℃に昇温した。これに、N−フェニルマレイミ
ド30部、スチレン55部およびアクリロニトリル15部から
なる溶液ならびに純水50部、過硫酸カリウム0.1部およ
びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.9部からな
る水溶液を4時間かけて連続添加した。その後、75℃で
1時間保持した。(これをラテックス(A)とする。)
このときの重合率は98.6%であった。また、生成重合体
のガラス転位温度は151℃であった。
次にスチレン16部およびアクリロニトリル4部を用
い、添加開始時および添加終了時のアクリロニトリル/
スチレンの添加比率がそれぞれ40%/60%および0%/10
0%となるように比率を変えながら1時間かけて添加し
た。また、これと同時に純水20部、過硫酸カリウム0.05
部およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1部
からなる水溶液を1時間かけて添加した。ついで、スチ
レン20部ならびに純水10部おらび過硫酸カリウム0.1部
からなる水溶液を2時間かけて添加したのち、75℃で3
時間保持し、重合率98.7%のラテックスを得た。なお、
連鎖移動剤としてt−ドデシルメルカプタンを用いた。
得られた重合体ラテックスに純水を加え、固形分濃度
を25%に調整した。これを実施例1で用いた攪拌槽に連
続的に仕込みながら槽内にスチームを吹込んで95℃に加
熱した。これを20%の塩化カルシウム水溶液を重合体ラ
テックスの固形分100部あたり20部を連続的に添加しな
がら温度92℃、平均滞留時間15分で連続的に凝固処理し
た。得られた凝固スラリーを脱水、水洗、乾燥して重合
体を回収した。
なお、重合の後段過程での生成重合体のガラス転位温
度を確認するため、上記の乳化重合法に準拠して、スチ
レン16部およびアクリロニトリル4部を用いて添加比率
を変えながら添加した後、ついでスチレン20部を添加し
乳化重合した。(これをラテックス(B)とする)得ら
れた重合体のガラス転位温度は100℃であった。
実施例4 実施例1で用いた反応器に純水70部、過硫酸カリウム
0.1部およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5
部を仕込み、反応器内を窒素ガスで置換したのち、攪拌
下に70℃に昇温した。この反応器にN−フェニルマレイ
ミド30部、スチレン5部、α−メチルスチレン46部、メ
タクリル酸5部およびアクリロニトリル14部からなる溶
液ならびに純水50部、過硫酸カリウム0.1部およびドデ
シルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.5部からなる水溶
液を5時間かけて連続添加した。その後、70℃で2時間
保持した。(これをラテックス(A)とする)このとき
の重合率は97.9%であった。また、生成重合体のガラス
転位温度は177℃であった。
次に、スチレン4部、アクリロニトリル4部およびメ
タクリル酸メチル12部からなる溶液ならびに純水20部、
過硫酸カリウム0.05部およびドデシルベンゼンスルホン
酸ナトリウム0.05部からなる水溶液を1時間かけて連続
添加したのち70℃で2時間保持し、重合率98.9%のラテ
ックスを得た。なお、連鎖移動剤としてt−ドデシルメ
ルカプタンを用いた。
得られた重合体ラテックスに純水を加えて固形分濃度
を15%に調整した。これを実施例1で用いた反応器に連
続的に仕込みながら槽内にスチームを吹込んで95℃に加
熱した。これに15%の硫酸マグネシウム水溶液を重合体
ラテックスの固形分100部あたり30部を連続的に添加し
ながら温度95℃、平均滞留時間15分で連続的に凝固処理
した。得られた凝固スラリーを脱水、水洗、乾燥して重
合体を回収した。
なお、重合の後段過程での生成重合体のガラス転位温
度を確認するため、上記の重合法に準拠し、スチレン4
部、アクリロニトリル4部およびメタクリル酸メチル12
部からなる溶液を乳化重合した。(これをラテックス
(B)とする)得られた重合体のガラス転移温度は95℃
であった。
実施例5 実施例1で用いた反応器に純水60部、過硫酸カリウム
0.1部およびラウリル硫酸ナトリウム0.1部を仕込み、反
応器内を窒素ガスで置換したのち、攪拌下に75℃に昇温
した。これに、N−フェニルマレイミド30部およびメタ
クリル酸メチル60部およびアクリロニトリル10部の混合
溶液ならびに純水50部、過硫酸カリウム0.1部およびラ
ウリル硫酸ナトリウム1.2部からなる水溶液を4時間か
けて連続添加したのち75℃で2時間保持した。(これを
ラテックス(A)とする)このときの重合率は98.7%で
あった。また、生成重合体のガラス転位温度は149℃で
あった。
次にメタクリル酸メチル12部およびスチレン8部の混
合溶液ならびに純水20部および過硫酸カリウム0.02部か
らなる水溶液を1時間かけて連続添加した。その後、75
℃で2時間保持し、重合率98.9%のラテックスを得た。
なお、連鎖移動剤としてt−ドデシルメルカプタンを用
いた。
得られた重合体ラテックスに、純水を加えて固形分濃
度を25%に調整した。これを実施例1で用いた攪拌槽に
連続的に仕込みながら槽内にスチームを吹込んで95℃に
加熱した。これに20%の塩化カルシウム水溶液を重合体
ラテックスの固形分100部あたり25部を連続的に添加し
ながら温度105℃、平均滞留時間20分で連続的に凝固処
理した。得られた凝固スラリーを脱水、水洗、乾燥して
重合体を回収した。
なお、重合の後段過程での生成重合体のガラス転位温
度を確認するため、上記の重合法に準拠してメタクリル
酸メチル12部およびスチレン8部からなる混合溶液を別
途乳化重合した。(これをラテックス(B)とする)得
られた重合体のガラス転位温度は95℃であった。
実施例6 実施例1で用いた反応器に純水50部、硫酸第1鉄7水
塩0.003部、ピロリン酸ナトリウム0.1部およびラクトー
ス0.3部を添加し、ついでポリブタジエンラテックス
(ゴムの重量平均粒径0.43μm、ゲル分78%、固形分40
%、乳化剤ラウリル硫酸ナトリウム、pH5.7)15部(固
形分換算)およびポリアクリル酸ブチルラテックス(ゴ
ムの重量平均粒子径0.21μm、ゲル分95%、固形分40
%、乳化剤ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、pH
6.2)15部(固形分換算)を仕込み、反応器内に窒素ガ
スで置換したのち、攪拌下に70℃に昇温した。これに、
N−フェニルマレイミド7部、α−メチルスチレン48部
およびアクリロニトリル15部からなる溶液ならびに純水
20部、ラウリル硫酸ナトリウム1部、アルキルナフタレ
ンスルホン酸ナトリウム0.5部およびキュメンハイドロ
パーオキサイド0.3部からなる水溶液を5時間かけて連
続添加したのち、70℃で2時間保持した。(これをラテ
ックス(A)とする)このときの重合率は97.9%であっ
た。
次に、スチレン7部およびアクリロニトリル3部から
なる溶液ならびに純水10部、過硫酸カリウム0.02部およ
びラウリル硫酸ナトリウム0.05部からなる水溶液を1時
間かけて連続添加したのち70℃で2時間保持し、重合率
98.8%のラテックスを得た。なお、連鎖移動剤としてt
−ドデシルメルカプタンを用いた。
得られたラテックスに純水を加えて固形分濃度を25%
に調整した。これを実施例1で用いた攪拌槽に連続的に
仕込みながら槽内にスチームを吹込んで97℃に加熱し
た。これに20%の塩化カルシウム水溶液を重合体ラテッ
クスの固形分100部あたり20部を連続的に添加しながら
温度97℃、平均滞留時間20分で連続的に凝固処理した。
得られた凝固スラリーを脱水、水洗、乾燥して重合体を
回収した。
なお、前段ならびに後段過程での生成重合体のガラス
転位温度を確認するため上記の重合法に準拠して、N−
フェニルマレイミド7部、α−メチルスチレン48部およ
びアクリロニトリル15部からなる溶液を乳化重合した。
得られた重合体のガラス転移温度は152℃であった。ま
た、スチレン7部およびアクリロニトリル3部からなる
溶液を乳化重合(これをラテックス(B)とする)する
ことによって得られた重合体のガラス転位温度は106℃
であった。
実施例7 実施例1で用いた反応器に純水70部、過硫酸カリウム
0.1部、アルケニル(炭素数16〜18)コハク酸カリウム
0.5部およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5
部を仕込み、反応器内を窒素ガスで置換したのち攪拌下
に65℃に昇温した。これに、α−メチルスチレン15部お
よびアクリロニトリル5部からなる溶液を仕込んだ。つ
いで、N−フェニルマレイミド20部、α−メチルスチレ
ン46部およびアクリロニトリル14部からなる単量体溶液
ならびに純水50部、2,2′−アゾビス〔2−メチル−N
−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド〕0.2
部、アルケニルコハク酸カリウム0.5部およびドデシル
ベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部からなる水溶液を
6時間かけて連続添加したのち、75℃で2時間保持し
た。(これをラテックス(A)とする)このときの重合
率は97.8%であった。また、生成重合体のガラス転位温
度は165℃であった。
次に、α−メチルスチレン20部およびアクリロニトリ
ル10部からなる溶液ならびに純水30部、過硫酸カリウム
0.07部およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.
1部からなる水溶液を3時間かけて連続添加した。その
後、75℃で2時間保持し、重合率98.7%のラテックスを
得た。なお、連鎖移動剤としてt−ドデシルメルカプタ
ンを用いた。また、重合中、水相のpHが6〜7となるよ
うにリン酸二水素カリウム−リン酸水素二ナトリウム水
溶液で調整した。
得られたラテックスに純水を加えて固形分濃度を20%
に調整した。これを実施例1で用いた攪拌槽に連続的に
仕込みながら槽内にスチームを吹込んで110℃に加熱し
た。これに15%の硫酸マグネシウム水溶液を重合体ラテ
ックスの固形分100部あたり30部を連続的に添加しなが
ら温度110℃、平均滞留時間30分で連続的に凝固処理し
た。得られた凝固スラリーを脱水、水洗、乾燥して重合
体を回収した。
なお、重合の後段過程での生成重合体のガラス転位温
度確認のため、上記の重合法に準拠してα−メチルスチ
レン20部およびアクリロニトリル10部からなる溶液を乳
化重合した。(これをラテックス(B)とする)得られ
た重合体のガラス転位温度は123℃であった。
実施例8 実施例1で用いた反応器に純水60部およびドデシルベ
ンゼンスルホン酸ナトリウム1部を仕込み、反応器内を
窒素ガスで置換したのち、α−メチルスチレン25部およ
びアアクリロニトリル5部からなる溶液を仕込み75℃に
昇温した。これに過硫酸カリウム0.1部および純水5部
からなる水溶液を加えた。ついでα−メチルスチレン40
部およびアクリロニトリル10部からなる溶液を6時間か
けて連続添加したのち、α−メチルスチレン12部および
アクリロニトリル8部からなる溶液を3時間かけて連続
添加した。また、これらの単量体溶液の連続添加開始と
同時に過硫酸カリウム0.1部、ドデシルベンゼンスルホ
ン酸ナトリウム1部および純水80部からなる水溶液を9
時間かけて連続添加した。その後75℃で2時間保持し
た。(これをラテックス(A)とする)このときの重合
率は97.2%であった。また、生成重合体のガラス転位温
度は140℃であった。
次に、過硫酸カリウム0.05部を添加したのち、スチレ
ン10部およびアクリロニトリル5部からなる溶液を1時
間かけて連続添加した。その後、75℃で2時間保持し、
重合率98.7%の重合体ラテックスを得た。なと、連鎖移
動剤としてt−ドデシルメルカプタンを用いた。
得られた重合体ラテックスに純水を加え、固形分濃度
を25%に調整した。これを実施例1で用いた攪拌槽に連
続的に仕込みながら槽内にスチームを吹込み、105℃に
加熱した。これに15%の硫酸マグネシウム水溶液を重合
体ラテックスの固形分100部あたり30部を連続的に添加
しながら温度105℃、平均滞留時間20分で連続的に凝固
処理した。得られた凝固スラリーを脱水、水洗、乾燥し
て重合体を回収した。
なお、重合の後段過程で生成した重合体のガラス転位
温度確認のため、上記の重合法に準拠してスチレン10部
およびアクリロニトリル5部を乳化重合した。(これを
ラテックス(B)とする)得られた重合体のガラス転位
温度は109℃であった。
比較例1〜8 それぞれ実施例1〜8と同一処方条件下に重合して得
られた重合体ラテックス(A)および(B)を、それぞ
れ第1表に示した割合(固形分換算)で配合し、それぞ
れ実施例1〜8と同一の凝固処方および凝固条件にて凝
固処理し、重合体を回収した。
比較例9 実施例1で用いた反応器に純水200部、ラウリル硫酸
ナトリウム3.0部、アスコルビン酸0.4部、硫酸第一鉄0.
005部、エチレンジアミン4部、酢酸ナトリウム0.01部
を反応容器に仕込み、窒素置換攪拌下に60℃に加熱し
た。その後、α−メチルスチレン75部、アクリロニトリ
ル25部とクメンヒドロパーオキサイド0.3部の混合物を
8時間かけて連続添加した。その後70℃に昇温し、2時
間保持してラテックスを得た。得られた重合体のガラス
転位温度は137℃であった。
得られた重合体ラテックスに純水を加え、固形分濃度
を15%に調整した。これを実施例1で用いた攪拌槽に連
続的に仕込みながら槽内にスチームを吹込んで95℃に加
熱した。
これに15%の硫酸マグネシウム水溶液を重合体ラテッ
クスの固形分100部あたり30部を連続的に仕込みながら
温度95℃で凝固処理した。引続いて、このラテックスの
凝固処理物を別の攪拌槽にて温度130℃、平均滞留時間2
0分で連続的に熱処理した。得られたスラリーを脱水、
水洗、乾燥して重合体を回収した。
比較例10 実施例1で得られた重合体ラテックスの凝固処理温度
を70℃とした以外は、実施例1と同一の処方条件にて重
合体ラテックスを凝固処理した。
比較例11 実施例2で得られた重合体ラテックスの凝固処理温度
を95℃とした以外は、実施例2と同一の処方条件にて重
合体ラテックスを凝固処理した。
比較例12 実施例7で得られた重合体ラテックスの凝固処理温度
を95℃とした以外は、実施例7と同一の処方条件にて重
合体ラテックスを凝固処理した。
以上、実施例1〜8および比較例1〜12で回収した重合
体粉末の粒径分布を測定した。得られた結果を第2表に
示す。
〈発明の効果〉 本発明の方法によって得られた熱可塑性樹脂は、従来
法による樹脂に比べ微粉末が非常に少なく、適度な粒子
径を有し、粉末性状が良好である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08F 222/40 MNE 291/02 MRB

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ゴム質重合体の存在下または非存在下、マ
    レイミド系単量体、不飽和カルボン酸系単量体、不飽和
    カルボン酸エステル系単量体、芳香族ビニル系単量体お
    よび不飽和ニトリル系単量体の中から選ばれた単量体、
    ならびに必要に応じ、これらの単量体と共重合可能な単
    量体を乳化重合法によって重合し、かつ重合体を回収す
    る方法において、単量体の重合および重合体の回収工程
    が次の工程からなることを特徴とする熱可塑性樹脂の製
    造方法。 (i)重合工程の前段の過程において、ガラス転位温度
    の高い重合体を生成する単量体を1種または2種以上重
    合する工程。 (ii)重合工程の後段の過程において、前段で生成され
    た重合体よりもガラス転位温度の低い重合体を生成する
    単量体を1種または2種以上重合する工程。 (iii)得られた重合体ラテックスを凝固剤の存在下
    に、重合後段で生成される重合体のガラス転位温度より
    も25℃低い温度(ガラス転位温度−25℃)以上で連続的
    に凝固処理し、重合体を回収する工程。
  2. 【請求項2】重合工程の前段の過程におけるガラス転位
    温度の高い重合体を生成する単量体の少なくとも1種が
    マレイミド系単量体である特許請求の範囲第1項記載の
    熱可塑性樹脂の製造方法。
  3. 【請求項3】重合工程の後段の過程におけるガラス転位
    温度の低い重合体を生成する単量体の少なくとも1種が
    不飽和カルボン酸エステル系単量体または芳香族ビニル
    系単量体である特許請求の範囲第1項記載の熱可塑性樹
    脂の製造方法。
  4. 【請求項4】ガラス転移温度の高い重合体および低い重
    合体のガラス転移温度がそれぞれ130℃以上および130℃
    未満である特許請求の範囲第1項記載の熱可塑性樹脂の
    製造方法。
  5. 【請求項5】ガラス転移温度が130℃以上の重合体を生
    成する単量体/ガラス転移温度が130℃未満の重合体を
    生成する単量体の重合における添加比率が20〜97重量%
    /80〜3重量%である特許請求の範囲第4項記載の熱可
    塑性樹脂の製造方法。
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