JP2004143267A - 樹脂粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、懸濁重合液中に分散した樹脂粒子を短時間で効率良く凝集させることができる樹脂粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の樹脂粒子の製造方法は、樹脂粒子が分散してなる懸濁重合液にノニオン系界面活性剤を上記懸濁重合液の温度が上記ノニオン系界面活性剤の曇点未満の温度で添加した後、上記懸濁重合液に曇点降下剤を添加してノニオン系界面活性剤の曇点を上記懸濁重合液の温度よりも5℃以上下げることによって上記樹脂粒子同士を凝集させるので、懸濁重合液中に分散した樹脂粒子同士を確実に凝集させ、適度な粒径を有する凝集状態の樹脂粒子をエネルギーコストを減少させつつ短時間のうちに得ることができる。
【選択図】  なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、懸濁重合液中に分散した樹脂粒子を効率良く凝集させることができる樹脂粒子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂粒子を工業的に製造する方法として、従来から懸濁重合が広く用いられている。この懸濁重合は、単量体を水中に小滴状に懸濁させて重合開始剤の存在下に重合させるものであるが、得られる樹脂粒子の粒径が小さくなると回収が困難となる。
【0003】
そこで、単量体の懸濁重合後に樹脂粒子を凝集させる方法として、特許文献1には、エチレン性不飽和ニトリル単量体と共役ジエン単量体とを水系懸濁重合法によって重合し、得られた重合体懸濁重合液にノニオン系界面活性剤を添加し、その曇点以上の温度に加熱することにより重合体ゴムを凝固するエチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン系共重合ゴムの製造方法が提案されている。
【0004】
しかしながら、上記製造方法では、重合体懸濁重合液をノニオン系界面活性剤の曇点以上に加熱することによって重合体ゴムを凝固させるものであるから、その後の冷却工程に余分な時間を要すると共に、エネルギー消費量も多いといった問題点があった。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−86104号(特許請求の範囲)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、懸濁重合液中に分散した樹脂粒子を短時間で効率良く凝集させることができる樹脂粒子の製造方法を提供する。
【0007】
【課題を解決する手段】
本発明は、樹脂粒子が分散してなる懸濁重合液にノニオン系界面活性剤を上記懸濁重合液の温度が上記ノニオン系界面活性剤の曇点未満の温度で添加した後、上記懸濁重合液に曇点降下剤を添加してノニオン系界面活性剤の曇点を上記懸濁重合液の温度よりも5℃以上下げることによって上記樹脂粒子同士を凝集させることを特徴とする。
【0008】
先ず、樹脂粒子が分散してなる懸濁重合液は、単量体を従来から行われている要領で懸濁重合により重合させて得ることができる。具体的には、単量体と重合開始剤とを含む水溶液中に、必要に応じて、界面活性剤及び分散剤を添加した上で上記水溶液を攪拌して上記単量体を重合させることによって、樹脂粒子が分散してなる懸濁重合液を得ることができる。
【0009】
上記単量体としては、特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体、アクリロニトリル、酢酸ビニル等が挙げられ、これらは単独で用いられても併用されてもよい。
【0010】
又、樹脂粒子に架橋構造を付与したい場合には、重合性二重結合を分子中に複数個有する架橋性単量体が添加されるが、このような架橋性単量体としては、特に限定されず、例えば、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸ジエチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸デカエチレングリコール、ジメタクリル酸ペンタデカエチレングリコール、ジメタクリル酸ペンタコンタヘクタエチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレン、メタクリル酸アリル、テトラメタクリル酸ペンタエリスリトール、ジメタクリル酸フタル酸ジエチレングリコール等のメタクリル酸系単量体;ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン及びこれらの誘導体等の芳香族ジビニル系単量体等が挙げられ、これらは単独で用いられても併用されてもよい。
【0011】
上記重合開始剤としては、従来から懸濁重合に用いられていたものであれば、特に限定されず、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化オクタノイル、オルトクロロ過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ系重合開始剤等が挙げられる。
【0012】
そして、上記重合開始剤は、単量体100重量部に対して0.01〜5重量部添加されるのが好ましく、又、懸濁重合温度は、重合開始剤の種類によっても異なるが、50〜130℃で行われるのが好ましい。
【0013】
又、上記界面活性剤としては、従来から懸濁重合に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤、ラウリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のノニオン系界面活性剤(A)等が挙げられる。
【0014】
そして、上記界面活性剤の添加量は、界面活性剤がミセルを生成しない濃度、即ち、臨界ミセル濃度未満の濃度となるように調整され、具体的には、水100重量部に対して0.001〜0.1重量部が好ましい。
【0015】
更に、上記分散剤としては、従来から懸濁重合に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の水溶性セルロースエーテル;ポリビニルピロリドン、部分ケン化ポリビニルアルコール、アクリル酸重合体、ゼラチン等の水溶性ポリマー;デンプン;トラカントゴム;アラビアゴム等があり、これらは単独で用いられても併用されてもよい。
【0016】
上記分散剤の添加量は、その種類によって異なるが、少ないと、添加した効果を発現しないことがあり、又、多いと、懸濁重合液の粘度が高くなって除熱が困難となったり固液分離が困難になることがあるので、単量体100重量部に対して0.01〜8重量部が好ましく、0.05〜5重量部がより好ましい。
【0017】
次に、上記樹脂粒子が分散してなる懸濁重合液中にノニオン系界面活性剤(B)を添加する。この樹脂粒子が分散した懸濁重合液中に添加されるノニオン系界面活性剤(B)としては、特に限定されず、例えば、フェノール又はアルキルフェノールのポリオキシアルキレン付加物、フェノール又はアルキルフェノールホルマリン縮合物のポリオキシアルキレン付加物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、アルキルスルフィニルアルコール、脂肪酸モノグリセリド等が挙げられ、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーが好ましい。なお、上記ノニオン系界面活性剤(B)は、単独で用いられても二種が併用されてもよい。
【0018】
そして、上記樹脂粒子が分散した懸濁重合液中へのノニオン系界面活性剤(B)の添加量は、少ないと、樹脂粒子を凝集させることができず、又、多くても、ノニオン系界面活性剤を添加した効果に差はないので、樹脂粒子100重量部に対して0.01〜5重量部が好ましい。
【0019】
又、上記樹脂粒子が分散した懸濁重合液中へノニオン系界面活性剤(B)を添加する際の懸濁重合液の温度は、ノニオン系界面活性剤(B)の曇点未満の温度となるように調整しておく必要がある。
【0020】
これは、懸濁重合液の温度がノニオン系界面活性剤(B)の曇点以上の温度であると、懸濁重合液中に添加したノニオン系界面活性剤(B)が懸濁重合液中に均一に溶解することなく直ちに析出してしまって、懸濁重合液中に分散した樹脂粒子を確実に凝集させることができないからである。
【0021】
更に、懸濁重合液の温度調整の点や、懸濁重合液の温度が低すぎると後述する曇点降下剤の添加量が多くなって、後に施される樹脂粒子の洗浄工程に時間を要することがあるので、上記樹脂粒子が分散した懸濁重合液中へのノニオン系界面活性剤(B)を添加する際の懸濁重合液の温度は、ノニオン系界面活性剤(B)の曇点よりも5〜10℃低くなるように調整しておくことが好ましい。
【0022】
なお、水溶液中に溶解したノニオン系界面活性剤は、水溶液の温度を上げていくとある温度で析出し始め、このノニオン系界面活性剤が析出し始める温度をノニオン系界面活性剤の曇点といい、具体的には、ノニオン系界面活性剤(B)の曇点とは、JIS K3211に準拠して測定されたものをいう。
【0023】
続いて、ノニオン系界面活性剤(B)が添加された懸濁重合液中に曇点降下剤を添加して、ノニオン系界面活性剤(B)の曇点を懸濁重合液の温度よりも5℃以上低い温度まで下げて、ノニオン系界面活性剤(B)を懸濁重合液中に析出させ、この析出したノニオン系界面活性剤(B)によって樹脂粒子を凝集させる。
【0024】
上記曇点降下剤としては、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム等の電解質塩が好ましく、硫酸カリウム、硫酸ナトリウムがより好ましく、硫酸カリウムが特に好ましい。
【0025】
ここで、上記曇点降下剤は、ノニオン系界面活性剤(B)の曇点が懸濁重合液の温度よりも5℃以上低くなるまで添加される。これは、曇点降下剤によって降下されたノニオン系界面活性剤の曇点と、懸濁重合液の温度との差が5℃未満であると、ノニオン系系界面活性剤が懸濁重合液中に十分に析出せず、樹脂粒子の凝集が不十分となるからである。
【0026】
そして、上記曇点降下剤の懸濁重合液中への添加量は、下記式(1)で示されるイオン強度を目安にして調整され、曇点降下剤が添加された懸濁重合液のイオン強度は、小さいと、ノニオン系界面活性剤の曇点の降下が不十分となって樹脂粒子の凝集が不十分となることがあり、又、大きいと、凝集させた樹脂粒子の洗浄に余分な時間を要することがあるので、0.2〜0.5が好ましい。
【0027】
【化1】
Figure 2004143267
【0028】
しかる後、懸濁重合液中に凝集した樹脂粒子を公知の要領で分離洗浄、乾燥した後、凝集した樹脂粒子を解砕することによって樹脂粒子を得ることができる。なお、上記凝集した樹脂粒子の分離洗浄、乾燥方法としては、公知の吸引濾過方法や遠心脱水方法等が挙げられる。
【0029】
【作用】
本発明の樹脂粒子の製造方法は、樹脂粒子が分散してなる懸濁重合液中に添加、溶解させたノニオン系界面活性剤の曇点を曇点降下剤の添加によって低下させ、析出したノニオン系界面活性剤によって樹脂粒子を凝集させていることから、懸濁重合液の加熱は必要とせず、よって、懸濁重合液の冷却のために余分な時間及びエネルギーを必要とせず、懸濁重合液中から樹脂粒子を短時間のうちに効率良く適度な粒径に凝集させることができる。
【0030】
【実施例】
(実施例1)
水2400重量部にジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(アニオン系界面活性剤)0.72重量部を溶解させ、この水溶液に、メタクリル酸メチル560重量部及びトリメタクリル酸トリメチロールプロパン240重量部からなる単量体に2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(重合開始剤)4.8重量部を溶解させた混合液を添加した後、液滴径が1μm程度となるように水溶液を攪拌した。
【0031】
この分散液に、水800重量部にポリビニルピロリドン(分散剤)24重量部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(アニオン系界面活性剤)0.52重量部及び亜硝酸ナトリウム(重合禁止剤)1.28重量部を溶解させてなる水溶液を添加した後、上記分散液を50℃に保持しつつ攪拌させてメタクリル酸メチル及びトリメタクリル酸トリメチロールプロパンを重合させ、樹脂粒子が分散してなる懸濁重合液を得た。
【0032】
次に、50℃に保持した懸濁重合液に、ノニオン系界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル(第一工業製薬社製 商品名「ノイゲンET−135」、曇点:56℃)32重量部を添加、溶解させた後、上記懸濁重合液に曇点降下剤として硫酸カリウム46.5重量部を添加して、ポリオキシエチレンラウリルエーテルの曇点を43℃まで降下させた。なお、硫酸カリウムを添加した懸濁重合液のイオン強度は、0.25であった。続いて、懸濁重合液を攪拌して、懸濁重合液中に析出したポリオキシエチレンラウリルエーテルによって樹脂粒子を凝集させた後、懸濁重合液を室温まで冷却した。この懸濁重合液を顕微鏡で観察したところ、樹脂粒子は凝集していた。
【0033】
(実施例2)
水2400重量部にジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(アニオン系界面活性剤)2.16重量部を溶解させ、この水溶液に、スチレン504重量部及びジビニルベンゼン296重量部からなる単量体に過酸化ラウロイル(重合開始剤)8.0重量部を溶解させた混合液を添加した後、液滴径が1μm程度となるように水溶液を攪拌した。
【0034】
この分散液に、水800重量部にポリビニルピロリドン(分散剤)36重量部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(アニオン系界面活性剤)0.52重量部及び亜硝酸ナトリウム(重合禁止剤)0.64重量部を溶解させてなる水溶液を添加した後、上記分散液を70℃に保持しつつ攪拌させてスチレン及びジビニルベンゼンを重合させ、樹脂粒子が分散してなる懸濁重合液を得た。
【0035】
次に、70℃に保持した懸濁重合液に、ノニオン系界面活性剤としてポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(第一工業製薬社製 商品名「エバン450、曇点:73℃)32重量部を添加、溶解させた後、上記懸濁重合液に曇点降下剤として硫酸ナトリウム45.5重量部を添加して、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーの曇点を65℃まで降下させた。なお、硫酸ナトリウムを添加した懸濁重合液のイオン強度は、0.3であった。続いて、懸濁重合液を攪拌して、懸濁重合液中に析出したポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーによって樹脂粒子を凝集させた後、懸濁重合液を室温まで冷却した。この懸濁重合液を顕微鏡で観察したところ、樹脂粒子は凝集していた。
【0036】
(比較例1)
ポリオキシエチレンラウリルエーテル及び硫酸カリウムを添加しなかったこと以外は実施例1と同様にした。この懸濁重合液を顕微鏡で観察したところ、樹脂粒子は凝集していなかった。
【0037】
(比較例2)
水2400重量部にジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(アニオン系界面活性剤)0.72重量部を溶解させ、この水溶液に、メタクリル酸メチル560重量部及びトリメタクリル酸トリメチロールプロパン240重量部からなる単量体に2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(重合開始剤)4.8重量部を溶解させた混合液を添加した後、液滴径が1μm程度となるように水溶液を攪拌した。
【0038】
この分散液に、水800重量部にポリビニルピロリドン(分散剤)24重量部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(アニオン系界面活性剤)0.52重量部及び亜硝酸ナトリウム(重合禁止剤)1.28重量部を溶解させてなる水溶液を添加した後、上記分散液を50℃に保持しつつ攪拌させてメタクリル酸メチル及びトリメタクリル酸トリメチロールプロパンを重合させ、樹脂粒子が分散してなる懸濁重合液を得た。
【0039】
次に、50℃に保持した懸濁重合液に、ノニオン系界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル(第一工業製薬社製 商品名「ノイゲンET−135」、曇点:56℃)32重量部を添加、溶解させた後、上記懸濁重合液を80℃に加熱、攪拌して、懸濁重合液中に析出したポリオキシエチレンラウリルエーテルによって樹脂粒子を凝集させた後、懸濁重合液を室温まで冷却した。この懸濁重合液を顕微鏡で観察したところ、樹脂粒子は凝集していた。
【0040】
得られた懸濁重合液中における凝集状態の樹脂粒子の平均粒子径、懸濁重合液の濾過性、樹脂粒子の収率、樹脂粒子の平均粒子径及び凝集処理時間を下記に示した要領で測定し、その結果を表1に示した。
【0041】
(懸濁重合液中における凝集状態の樹脂粒子の平均粒子径)
凝集状態の樹脂粒子(凝集樹脂粒子)を含む懸濁重合液をイオン交換水にて希釈し、レーザー回析・散乱式粒度分布測定装置(コールター社製 商品名「LS230」)によって、凝集樹脂粒子の重量平均粒子径を測定した。
【0042】
(懸濁重合液の濾過性)
懸濁重合液をポリエステルフィルタークロス(敷島カンバス社製 商品名「T84」、通気度:90cm3 /cm2 /min)を用いて吸引濾過し、濾過液を目視観察し、下記基準により判断した。
○・・・濾過液中に樹脂粒子が存在しなかった。
×・・・濾過液中に樹脂粒子が存在した。
【0043】
(樹脂粒子の収率)
上記懸濁重合液の濾過性の測定で得られたポリエステルフィルタークロス上の凝集状態の樹脂粒子をオーブンにて乾燥させた後、この乾燥樹脂粒子の重量を測定した。そして、下記式により樹脂粒子の収率を算出した。
樹脂粒子の収率(%)=100×乾燥樹脂粒子の重量/単量体の総重量
【0044】
(樹脂粒子の平均粒子径)
上記樹脂粒子の収率の測定で得られた乾燥樹脂粒子をジェットミル(日清エンジニアリング社製)にて処理圧力3.92×105 Paで解砕し、凝集状態の樹脂粒子同士を互いに分離させた後、イオン交換水に分散させた上でレーザー回析式・散乱式粒度分布測定装置(コールター社製 商品名「LS230」)を用いて重量平均粒子径を測定し、この粒子径を樹脂粒子の平均粒子径とした。
【0045】
(凝集処理時間)
懸濁重合液にノニオン系界面活性剤を添加してから、凝集した樹脂粒子を含む懸濁重合液を室温まで冷却するのに要した時間を測定した。
【0046】
【表1】
Figure 2004143267
【0047】
【発明の効果】
本発明の樹脂粒子の製造方法は、樹脂粒子が分散してなる懸濁重合液にノニオン系界面活性剤を上記懸濁重合液の温度が上記ノニオン系界面活性剤の曇点未満の温度で添加した後、上記懸濁重合液に曇点降下剤を添加してノニオン系界面活性剤の曇点を上記懸濁重合液の温度よりも5℃以上下げることによって上記樹脂粒子同士を凝集させることを特徴とするので、懸濁重合液中に分散した樹脂粒子同士を確実に凝集させ、適度な粒径を有する凝集状態の樹脂粒子をエネルギーコストを減少させつつ短時間のうちに得ることができる。
【0048】
そして、本発明の樹脂粒子の製造方法によって製造された凝集状態の樹脂粒子は、適度な粒径を有していることから、懸濁重合液からの樹脂粒子の濾過分離、洗浄も短時間のうちに行なうことができると共に、凝集状態の樹脂粒子同士の分離も円滑に且つ確実に行なうことができ、よって、所望径を有する樹脂粒子を短時間のうちに確実に得ることができる。
【0049】
更に、曇点降下剤が添加された懸濁重合液のイオン強度が0.2〜0.5である場合には、懸濁重合液中に分散した樹脂粒子同士をより確実に凝集させることができ、所望径を有する樹脂粒子を短時間のうちに確実に得ることができる。

Claims (2)

  1. 樹脂粒子が分散してなる懸濁重合液にノニオン系界面活性剤を上記懸濁重合液の温度が上記ノニオン系界面活性剤の曇点未満の温度で添加した後、上記懸濁重合液に曇点降下剤を添加してノニオン系界面活性剤の曇点を上記懸濁重合液の温度よりも5℃以上下げることによって上記樹脂粒子同士を凝集させることを特徴とする樹脂粒子の製造方法。
  2. 曇点降下剤が添加された懸濁重合液のイオン強度が0.2〜0.5であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂粒子の製造方法。
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