JP2002272106A - スイッチング電源回路 - Google Patents

スイッチング電源回路

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JP2002272106A
JP2002272106A JP2001070513A JP2001070513A JP2002272106A JP 2002272106 A JP2002272106 A JP 2002272106A JP 2001070513 A JP2001070513 A JP 2001070513A JP 2001070513 A JP2001070513 A JP 2001070513A JP 2002272106 A JP2002272106 A JP 2002272106A
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Japan
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voltage
winding
circuit
primary
switching element
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JP2001070513A
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English (en)
Inventor
Masayuki Yasumura
昌之 安村
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電源回路の小型軽量化 【解決手段】 一次側電圧共振形コンバータのスイッチ
ング出力が伝送されるフライバックトランスにおいて、
昇圧巻線は一次巻線と密結合の状態となるように巻装
し、低圧二次巻線は一次巻線と疎結合の状態となるよう
にして巻装する。そしてフライバックトランスの二次側
においては、昇圧巻線に得られる交番電圧を利用して直
流高電圧を生成し、低圧二次巻線に得られる交番電圧を
利用して直流低電圧を生成するように構成する。これに
よって直流高電圧と直流低電圧という2種類の二次側直
流出力電圧を得るのにあたり、高圧発生トランスだけを
設ければよく、絶縁コンバータトランスについては削除
が可能になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば高解像度と
される大型のカラーテレビジョン受像機や、プロジェク
タ装置等として陰極線管を備える陰極線管表示装置に適
用して好適なスイッチング電源回路に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】陰極線管(以下CRT(Cathode-Ray Tu
be)ともいう)を備える陰極線管表示装置として、例え
ばHDTV(High Definition Television)といわれる
高品位のテレビジョン放送や、デジタルテレビジョン放
送に対応した、高解像度、高画質のものが普及してきて
いる。これらの機器のうち、HDTVに対応するもの
は、高解像度を実現するために、水平同期信号周波数が
通常のテレビジョン受像機の2倍の周波数とされ、例え
ばNTSC方式であれば、31.5KHzとなる。ま
た、デジタルテレビジョン放送に対応するものは、NT
SC方式のもとでは33.75KHzの水平同期信号周
波数であると規定されている。また、このような映像機
器におけるCRTのアノード電極に供給する高圧のアノ
ード電圧は、30KV以上とされる。
【0003】このようにして、陰極線管表示装置として
は、高解像度化が進められ、また、画面について大型化
を図ったものが普及してきている状況にある。このた
め、例えばテレビジョン受像機としては、NTSC方式
であれば水平同期信号周波数を31.5KHz(=1
5.75KHz×2)の倍速モードに変換し、更にはH
DTVも受信可能なように設計されているものが少なか
らず普及している。このため、上記したようなテレビジ
ョン受像機において、CRTのアノード電極に高圧直流
出力電圧を印加する場合には、例えば水平同期信号周波
数31.5KHzと33.75KHzとで、上記高圧直
流出力電圧が変動することとなって、CRTに表示され
る画面の輝度やラスターサイズが変化してしまうことに
なる。このため、上記したアノード電圧を生成する電源
回路としては、その安定化が不可欠となる。
【0004】本出願人は、このようなことを背景とし
て、各種陰極線管表示装置に適用して好適とされるスイ
ッチング回路を各種提案している。そこで先に本出願人
により出願されたスイッチング電源回路に基づいて構成
される映像機器用のスイッチング電源回路を、図7の回
路図に示す。
【0005】この図に示す電源回路においては、先ず、
商用交流電源(交流入力電圧VAC)を入力して直流入力
電圧を得るための整流平滑回路として、ブリッジ整流回
路Di及び平滑コンデンサCiから成る整流回路が備え
られ、交流入力電圧VACの等倍のレベルに対応する整流
平滑電圧(直流入力電圧)Eiを生成するようにされ
る。
【0006】上記直流入力電圧を入力して断続するスイ
ッチングコンバータは、一石のメインスイッチング素子
Q1を備えて、いわゆるシングルエンド方式で自励式に
よりスイッチング動作を行う電圧共振形コンバータを備
えて構成される。この場合、メインスイッチング素子Q
1には、高耐圧のバイポーラトランジスタ(BJT;接
合型トランジスタ)が用いられている。
【0007】また、メインスイッチング素子Q1のベー
スに対しては、駆動巻線NB−共振コンデンサCB−ベー
ス電流制限抵抗RBの直列接続回路よりなる自励発振駆
動用の直列共振回路が接続される。また、メインスイッ
チング素子Q1のベースと平滑コンデンサCiの負極
(1次側アース)間に挿入されるクランプダイオードD
Dにより、ターンオンの開始期間においてメインスイッ
チング素子Q1のベース−コレクタを介して流れるクラ
ンプ電流の経路を形成するようにされる。メインスイッ
チング素子Q1のコレクタは、絶縁コンバータトランス
PITの一次側に形成されている一次巻線N1の一端と
接続され、そのエミッタは接地される。
【0008】上記メインスイッチング素子Q1のコレク
タ−エミッタ間に対しては、一次側並列共振コンデンサ
Crが並列に接続されている。この一次側並列共振コン
デンサCrは、自身のキャパシタンスと、一次巻線N1
側のリーケージインダクタンスL1とにより電圧共振形
コンバータの一次側並列共振回路を形成する。そして、
ここでは詳しい説明を省略するが、メインスイッチング
素子Q1のオフ時には、この一次側並列共振回路の作用
によって一次側並列共振コンデンサCrの両端に発生す
る両端電圧V1は、実際には正弦波状のパルス波形とな
って電圧共振形の動作が得られるようになっている。
【0009】直交形制御トランスPRTは、共振電流検
出巻線ND、駆動巻線NB、及び制御巻線NCが巻装され
た可飽和リアクトルである。この直交形制御トランスP
RTは、メインスイッチング素子Q1を駆動すると共
に、絶縁コンバータトランスPITの二次側に得られる
低圧の直流出力電圧を安定化するために設けられる。こ
の直交形制御トランスPRTの構造としては、図示は省
略するが、4本の磁脚を有する2つのダブルコの字形コ
アの互いの磁脚の端部を接合するようにして立体型コア
を形成する。そして、この立体型コアの所定の2本の磁
脚に対して、同じ巻回方向に共振電流検出巻線ND、駆
動巻線NBを巻装し、更に制御巻線NCを、上記共振電流
検出巻線ND及び駆動巻線NBに対して直交する方向に巻
装するようにして構成される。
【0010】この場合、直交形制御トランスPRTの共
振電流検出巻線NDは、平滑コンデンサCiの正極と一
次巻線N1との間に直列に挿入されることで、メインス
イッチング素子Q1のスイッチング出力は、一次巻線N1
を介して共振電流検出巻線NDに伝達される。直交形制
御トランスPRTにおいては、共振電流検出巻線NDに
得られたスイッチング出力がトランス結合を介して駆動
巻線NBに誘起されることで、駆動巻線NBにはドライブ
電圧としての交番電圧が発生する。このドライブ電圧
は、自励発振駆動回路を形成する直列共振回路(NB−
CB)からベース電流制限抵抗RBを介して、ドライブ電
流としてメインスイッチング素子Q1のベースに出力さ
れる。これにより、メインスイッチング素子Q1は、直
列共振回路(NB−CB)の共振周波数により決定される
スイッチング周波数でスイッチング動作を行うことにな
る。なお、起動時においては、メインスイッチング素子
Q1は、起動抵抗Rsを介して整流平滑電圧Eiからベ
ースに流れる起動電流によってスイッチング動作を開始
する。
【0011】絶縁コンバータトランスPITは、メイン
スイッチング素子Q1のスイッチング出力を二次側に伝
送する。絶縁コンバータトランスPITの構造として
は、図11に示すように、例えばフェライト材によるE
型コアCR11、CR12を互いの磁脚が対向するよう
に組み合わせたEE型コアが備えられ、このEE型コア
の中央磁脚に対して、分割ボビンBを利用して一次巻線
N1と二次側巻線N2がそれぞれ分割された状態で巻装さ
れる。そして、中央磁脚に対しては図のようにギャップ
Gを形成するようにしている。これによって、所要の結
合係数による疎結合が得られる。ギャップGは、E型コ
アCR11,CR12の中央磁脚を、2本の外磁脚より
も短くすることで形成することが出来る。また、結合係
数kとしては、例えばk≒0.8という疎結合の状態を
得るようにしており、その分、飽和状態が得られにくい
ようにしている。
【0012】絶縁コンバータトランスPITの一次巻線
N1の巻始め端部は、図7に示すようにメインスイッチ
ング素子Q1のコレクタに接続され、巻終わり端部は共
振電流検出巻線NDの直列接続を介して平滑コンデンサ
Ciの正極に接続される。また、絶縁コンバータトラン
スPITの二次側には、二次側巻線として、二次巻線N
2が巻装されている。
【0013】この場合、二次巻線N2の巻始め端部は二
次側アースに接続され、その巻終わり端部は整流ダイオ
ードDO1のアノードに接続される。そして、この整流ダ
イオードDO1と平滑コンデンサCO1から成る半波整流平
滑回路によって、その電圧レベルが110V〜140V
(例えば135V)とされる水平偏向回路用の直流出力
電圧EO1を得るようにしている。
【0014】また、この場合には、二次巻線N2に対し
て図示するようにしてタップを設け、このタップ出力に
対して図示するようにして整流ダイオードDO2及び平滑
コンデンサCO2から成る半波整流回路を接続すること
で、上記二次側直流出力電圧EO1よりも低圧とされる所
要のレベルの二次側直流出力電圧EO2を得るようにもさ
れている。
【0015】二次巻線N2に対しては、二次側並列共振
コンデンサC2が並列に接続されている。この場合、二
次側巻線N2のリーケージインダクタンスL2と、二次側
並列共振コンデンサC2のキャパシタンスとによって二
次側並列共振回路が形成される。これによって、絶縁コ
ンバータトランスPITの二次側に誘起される交番電圧
は共振電圧となり、絶縁コンバータトランスPITの二
次側において電圧共振動作が得られる。
【0016】即ち、図7に示す電源回路では、絶縁コン
バータトランスPITの一次側にはスイッチング動作を
電圧共振形とするための並列共振回路が備えられ、二次
側にも電圧共振動作を得るための並列共振回路が備えら
れる。なお、本明細書では、このように一次側及び二次
側に対して共振回路が備えられて動作する構成のスイッ
チングコンバータについては、「複合共振形スイッチン
グコンバータ」ともいうことにする。
【0017】上記した直流出力電圧EO1は第1制御回路
1Aに対しても分岐して入力される。第1制御回路1A
は、例えば誤差増幅器等によって構成されており、絶縁
コンバータトランスPITの二次側から出力される直流
出力電圧レベルEO1の変化に応じて、直交型制御トラン
スPRTの制御巻線NCに流す制御電流(直流電流)レ
ベルを可変することで、直交形制御トランスPRTに巻
装された駆動巻線NBのインダクタンスLBを可変制御す
る。これにより、駆動巻線NBのインダクタンスLBを含
んで形成されるメインスイッチング素子Q1のための自
励発振駆動回路内の直列共振回路の共振条件が変化し、
メインスイッチング素子Q1のスイッチング周波数を可
変する動作となる。この動作によって絶縁コンバータト
ランスPITの二次側から出力される直流出力電圧の安
定化が図られる。
【0018】ところで、この図7に示す電源回路のよう
に、駆動巻線NBのインダクタンスLBを可変制御する直
交形制御トランスPRTが設けられる場合、スイッチン
グ周波数を可変するのにあたっては、メインスイッチン
グ素子Q1がオフとなる期間を一定としたうえで、オン
となる期間を可変制御するようにされる。つまり、図7
に示す電源回路では、定電圧制御動作として、スイッチ
ング周波数を可変制御することで、スイッチング出力に
対する共振インピーダンス制御を行い、これと同時に、
スイッチング周期におけるメインスイッチング素子Q1
の導通角制御(PWM制御)も行っているものと見るこ
とが出来る。そして、この複合的な制御動作を1組の制
御回路系によって実現している。なお、本明細書では、
このような複合的な制御を「複合制御方式」ともいう。
【0019】また、図7に示した電源回路においては、
絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1に対し
て、アクティブクランプ回路20が並列に設けられてい
ると共に、直列共振コンデンサC3と後述する高圧発生
回路40に備えられているフライバックトランスFBT
の一次巻線Noとからなる直列共振回路が並列に接続さ
れている。
【0020】上記のようにしてフライバックトランスF
BTの一次側に直列共振回路(No−C3)を設けること
で、一次側並列共振コンデンサCrの両端に発生する一
次側並列共振電圧V1は、直列共振回路(No−C3)を
介して入力されることになる。そして、この直列共振回
路(No−C3)の直列共振動作により、直列共振コンデ
ンサC3の両端には正弦波状の交番電圧が発生すること
になるが、これにより、一次巻線Noに得られ巻線電圧
V3に対しては、上記直列共振コンデンサC3の両端電圧
が重畳され、そのレベルが引き上げられることになる。
このために、図7に示す回路においては、一次巻線No
のターン数をより少ないものとすることが可能となって
いる。
【0021】また、アクティブクランプ回路20は、補
助スイッチング素子Q2、クランプコンデンサCCL、ク
ランプダイオードDD2を備えて形成される。なお、クラ
ンプダイオードDD2としては、MOS−FETであるス
イッチング素子Q2に部品として内蔵されている、いわ
ゆるボディダイオードが使用される。また、補助スイッ
チング素子Q2を駆動するための駆動回路系としては、
駆動巻線Ng,コンデンサCg,抵抗Rgを備えて成
る。
【0022】この場合、補助スイッチング素子Q2のド
レイン−ソース間に対しては、クランプダイオードDD2
が並列に接続される。また、補助スイッチング素子Q2
のドレインはクランプコンデンサCCLを介して一次巻線
N1の巻終わり端部に対して接続される。また、補助ス
イッチング素子Q2のソースは一次巻線N1の巻始め端部
に対して接続される。つまり、アクティブクランプ回路
20としては、上記補助スイッチング素子Q2//クラ
ンプダイオードDD2を並列接続したスイッチング回路に
対して、クランプコンデンサCCLを直列に接続して成る
ものとされる。そして、このようにして形成される回路
を絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1に対し
て並列に接続して構成されるものである。
【0023】また、補助スイッチング素子Q2の駆動回
路系としては、図示するように、補助スイッチング素子
Q2のゲートに対して、抵抗Rg−コンデンサCg−駆
動巻線Ngの直列接続回路が接続される。この直列接続
回路は補助スイッチング素子Q2のための自励発振駆動
回路を形成する。ここで駆動巻線Ngは、絶縁コンバー
タトランスPITにおいて、一次巻線N1の巻終わり端
部側を巻き上げるようにして形成されている。さらに補
助スイッチング素子Q2のゲートは、フォトカプラPC
を介して後述する第2制御回路1Bとも接続されてい
る。この第2制御回路1Bから直流高電圧EHVのレベル
変化に対応した制御電圧が入力される。なお、フォトカ
プラPCは、一次側と二次側とについて直流的に絶縁し
た状態で定電圧化のためのフィードバック回路を形成す
るために設けられるものである。
【0024】一点鎖線で囲って示した高圧発生回路40
は、フライバックトランスFBTと高圧整流回路によっ
て構成されており、フライバックトランスFBTの一次
巻線NOに得られる巻線電圧V3を利用して、例えばCR
Tのアノード電圧レベルに対応した直流高電圧を生成す
る。このため、フライバックトランスFBTの二次側に
は、4組〜5組の昇圧巻線NHVが、後述するようにして
いわゆるスリット捲き、或いは層間捲きによって分割さ
れて巻装されている。この場合、一次巻線NOと昇圧巻
線NHVとは密結合となるように巻装されている。なお、
この場合の一次巻線NOと昇圧巻線NHVの結合係数kと
しては、k≧0.95とされている。フライバックトラ
ンスFBTの二次側には、一次巻線NOに発生する巻線
電圧V3が、昇圧巻線NHVと一次巻線NOとの巻線比(N
HV/NO)に応じて昇圧された昇圧電圧が得られること
になる。
【0025】この図7に示す電源回路の場合、フライバ
ックトランスFBTの二次側には、5組の昇圧巻線NHV
1,NHV2,NHV3,NHV4,NHV5がそれぞれ独立した状
態で巻装されており、各々の昇圧巻線NHV1〜NHV5の巻
終わり端部に対しては、高圧整流ダイオードDHV1,DH
V2,DHV3,DHV4,DHV5のアノード側が接続されてい
る。そして、高圧整流ダイオードDHV1のカソードが平
滑コンデンサCOHVの正極端子に接続され、残る高圧整
流ダイオードDHV2〜DHV5の各カソードが、それぞれ昇
圧巻線NHV1〜NHV4の巻始め端部に対して接続される。
【0026】即ち、フライバックトランスFBTの二次
側には、[昇圧巻線NHV1、高圧整流ダイオードDHV
1]、[昇圧巻線NHV2、高圧整流ダイオードDHV2]、
[昇圧巻線NHV3、高圧整流ダイオードDHV3]、[昇圧
巻線NHV4、高圧整流ダイオードDHV4]、[昇圧巻線N
HV5、高圧整流ダイオードDHV5]という5組の半波整流
回路が直列に接続された、いわゆるマルチシングラー方
式の半波整流回路が形成されていることになる。
【0027】従って、フライバックトランスFBTの二
次側においては、5組の半波整流回路が昇圧巻線NHV1
〜NHV5に誘起された電流を整流して平滑コンデンサCO
HVに対して充電するという動作が行われ、平滑コンデン
サCOHVの両端には、各昇圧巻線NHV1〜NHV5に誘起さ
れる誘起電圧の約5倍に対応するレベルの直流高電圧
(アノード電圧)EHVが得られることになる。
【0028】また、平滑コンデンサCOHVの両端に対し
ては、抵抗R1−抵抗R2からなる直列回路が並列に接続
されており、これら抵抗R1,R2により分圧した電圧が
第2制御回路1Bに入力される。第2制御回路1Bは、
フォトカプラPCを介して一次側と二次側を直流的に絶
縁した状態で、アクティブクランプ回路20の補助スイ
ッチング素子Q2のゲートに対して、直流高電圧EHVの
レベルに応じて可変される制御電圧を印加する。これに
より、補助スイッチング素子Q2は、ゲート閾値電圧
(バイアス)が可変されることになって、1スイッチン
グ周期内におけるオン期間(導通角)が可変制御され
る、つまり、PWM制御が行われるようにしてスイッチ
ング動作が行われるものとされる。
【0029】上記のようにして補助スイッチング素子Q
2がスイッチング動作を行うことで、メインスイッチン
グ素子Q1のオフ時に一次側並列共振コンデンサCrに
発生する共振電圧V1がクランプされ、その電圧レベル
は直流高電圧レベルの変動に応じて可変制御されること
になる。これに伴い、一次側並列共振コンデンサCrの
端部と接続される一次側直列共振回路(C3−NO)を介
して、フライバックトランスFBTの一次巻線NOに入
力される電流I3の電流レベルも変化することから、一
次巻線NOの両端に発生する巻線電圧V3の電圧レベルが
可変制御される。これにより、フライバックトランスF
BTの二次側に誘起される誘起電圧レベルが可変され、
高圧発生回路40から出力される直流高電圧EHVの安定
化が図られることになる。
【0030】このように、図7に示す電源回路では、直
流出力電圧EO1の電圧レベルに応じて、メインスイッチ
ング素子Q1のスイッチング周波数と、その導通角を同
時に制御する複合制御方式によって、絶縁コンバータト
ランスPITの二次側にある直流出力電圧EO1の定電圧
化を図るようされている。また、直流高電圧EHVの電圧
レベルに応じて、アクティブクランプ回路20の補助ス
イッチング素子Q2の導通角制御を行うことで直流高電
圧EHVの定電圧化を図るようにしている。
【0031】そして図7に示すスイッチング電源回路で
は、商用交流電源を入力して動作する一次側電圧共振形
コンバータに対して、絶縁コンバータトランスPIT
と、高圧発生回路40内のフライバックトランスFBT
を接続し、低圧の二次側直流出力電圧EO1,EO2、及び
直流高電圧EHVを得るようにされている。このため、例
えば以前より知られていた多段型の高圧発生回路と比較
して、電力変換効率や回路規模の小型化等の点で優れて
いる。
【0032】ここで、図12及び図13の断面図によ
り、フライバックトランスFBTの構造例を示してお
く。先ず、図12に示すフライバックトランスFBTで
は、例えばフェライト材による2つのU字型コアCR
1,CR2の各磁脚を対向するように組み合わせること
でU−U字型コアCRが形成される。そして、U字型コ
アCR1の磁脚端部と、U字型コアCR2の磁脚端部と
の対向する部分にはギャップG1,G2をそれぞれ設け
るようにされる。そして、図示するように、一次巻線N
oを巻装した低圧巻線ボビンLBをU−U字型コアCR
の一方の磁脚に対して貫通させるように取り付ける。そ
して、この低圧巻線ボビンLBのさらに外側に対して、
昇圧巻線NHV(1〜5)を巻装した高圧巻線ボビンHBを
貫通させるようにして取り付ける。これによって、一次
巻線Noと昇圧巻線NHV(1〜5)とについて分割して巻装
する構造が得られる。
【0033】ここで、高圧巻線ボビンHBに巻装する昇
圧巻線NHVとしては、例えば複数の昇圧巻線NHV(1〜
5)の各々を絶縁した状態で巻装する必要がある。この
ため、昇圧巻線NHVの巻き方は、各昇圧巻線NHV(1〜
5)を所定回数巻装して得られる巻線層ごとに層間フィ
ルムFを介在させた、いわゆる層間巻きとされている。
そして、上記のようにして昇圧巻線NHV(1〜5)を巻装
したうえで、回路的には図7に示した態様が得られるよ
うに、各昇圧巻線NHV(1〜5)に対して高圧整流ダイオ
ードDHV(1〜5)を接続して取り付ける。そして実際に
は、この図12に示される構造をケース内に収納した上
で例えば高分子のエポキシ樹脂等の充填剤により充填し
てモールドすることで、これらの絶縁を確保するように
している。
【0034】また、昇圧巻線NHV(1〜5)の各々につい
て絶縁した状態が得られるようにするためには、上記図
12に示す構造のほか、図13に示すようにして、いわ
ゆる分割巻き(スリット巻き)による構造を採ることも
できる。なお、図13において図12と同一部分には同
一符号を付して説明を省略する。昇圧巻線NHVを分割巻
きによって巻装する場合は、図示するように、高圧巻線
ボビンHB1の内側に対して一体的に仕切板DVを形成
する。これにより、隣り合う仕切板DVの間には、巻線
領域であるスリットSが複数形成されることになる。そ
して、この各スリットS内に対して昇圧巻線NHVを巻装
することで昇圧巻線NHV間の絶縁を得るようにしている
ものである。そして、上記図12又は図13に示すフラ
イバックトランスFBTの構造によっては、一次巻線N
oと二次側の昇圧巻線NHV(1〜5)とについては、同一の
磁脚に対して、いわゆる「同軸巻き」によって巻装され
ていることで、互いの結合状態として密結合の状態が得
られるようにされている。例えば実際としては、結合係
数k=0.98程度の密結合が得られているものであ
る。
【0035】また、上記構成による図7に示した電源回
路における要部の動作を示す波形図を、図8に示す。こ
こで、一次側並列共振コンデンサCrの両端に得られる
並列共振電圧V1は、図8(a)に示すようにして、一
次側電圧共振形コンバータのメインスイッチング素子Q
1のスイッチングタイミングに対応した波形となる。即
ち、メインスイッチング素子Q1がオフとなる期間TOFF
1において電圧共振パルスが得られ、オンとなる期間TO
N1においては0レベルとなる波形が得られる。また、こ
のときにスイッチング素子Q1に流れるコレクタ電流IQ
1は、図8(b)に示すようにして、先ず、期間TON開
始時においてクランプダイオードDDに負極性のクラン
プ電流が流れ、この後、正レベルに反転してドレイン−
ソースに流れる波形が得られる。また、このような一次
側のスイッチング動作によって一次巻線N1に得られる
巻線電流I1としては図8(d)に示すようにして1ス
イッチング周期ごとに対応して正/負に反転する略正弦
波状の波形が得られる。
【0036】そして、アクティブクランプ回路20のス
イッチング回路(Q2//DD2)のスイッチングタイミン
グとしては、図8(c)のクランプ電流IQ2として示さ
れることになる。つまり、スイッチング回路(Q2//DD
2)が導通してオンとなる期間TON2の前半期間において
は、クランプダイオードDD2→クランプコンデンサCCL
→一次巻線N1の経路で電流が流れることで、クランプ
電流IQ2としては負極性による鋸歯状波が得られ、後半
期間においては、その電流の流れが反転して正極性とな
って、一次巻線N1→Q2ドレイン→Q2ソースの経路で
流れるようにされる。そして、スイッチング回路(Q2/
/DD2)がオフとなる期間TOFF2においては、0レベル
が維持される波形となるものである。この図8(c)に
示す波形と、図8(a)に示す波形から分かるように、
メインスイッチング素子Q1とアクティブクランプ回路
20のスイッチング回路(Q2//DD2)とは、ほぼ交互
となるタイミングでオン/オフ動作を行うようにされて
いる。このようなタイミングで、アクティブクランプ回
路20がオン/オフ動作を行うことで、期間TON2にお
いては、本来、一次側並列共振コンデンサCrに流れる
べき電流のほとんどがスイッチング回路(Q2//DD2)
に流れるようにされる。これにより、一次側並列共振コ
ンデンサCrに流入して充電される電流量が減少される
ことによって、図8(a)に示す並列共振電圧V1とし
ては、期間TOFF1におけるピークレベルが抑制されるこ
とになる。
【0037】また、フライバックトランスFBTの一次
巻線Noに対しては、図8(e)に示されるようにして
正弦波状の巻線電流I3が流れる。この巻線電流I3は、
図8(d)に示す巻線電流I1にほぼ対応した波形とな
っている。そして、フライバックトランスFBTの一次
巻線NOの両端に得られる巻線電圧V3は、図8(f)に
示されているように、期間TOFF1において正極性にピー
クレベルを有し、期間TON1においては負極性による緩
やかな正弦波状による波形となるものである。これに応
じて、フライバックトランスFBTの二次側の整流回路
に流れる整流電流Ioは、図8(i)に示す波形により
流れる。つまり、巻線電圧V3(図8(f))の正極性
のピークに対応するタイミングで、正極性の方向におい
て正弦波状に流れる波形が得られるものである。
【0038】また、絶縁コンバータトランスPITの二
次側に設けられる二次側並列共振コンデンサC2の両端
に得られる二次側並列共振電圧V2としては、図8
(g)に示されるようにして、整流ダイオードDO1がオ
ンとなる期間DONにおいては、二次側直流出力電圧EO1
のレベルによりクランプされ、オフとなる期間DOFFに
おいては負極正の方向に正弦波状にピークを有する波形
となる。そして、二次巻線N2に流れる巻線電流I2は、
図8(h)に示すようにして、期間DONにおいては正極
性の方向にほぼ所定の一定レベルが維持され、期間DOF
Fにおいては正極性から負極性に反転するようにして、
負極正の方向によりピークを有する波形となる。
【0039】また、先に本出願人により出願されたスイ
ッチング電源回路に基づいて構成される映像機器用のス
イッチング電源回路についての、他の構成例を図9に示
す。なお、この図において図7と同一部分については同
一符号を付して説明を省略する。また、この図9に示す
回路に備えられる絶縁コンバータトランスPITとして
は、先の図7の電源回路の場合と同様に、例えば図11
により説明したのと同様の構造を有しているものとさ
れ、従って、この図7に示す回路としても、絶縁コンバ
ータトランスPITの二次側並列共振回路と、一次側の
電圧共振回路とによって複合共振形スイッチングコンバ
ータが形成されるものである。また、フライバックトラ
ンスFBTとしても、先に図12又は図13に示した構
造のものが採用されればよいものである。
【0040】この図に示す電源回路においては、先ず、
商用交流電源ACに対して、[整流ダイオードDi1,
Di2,平滑コンデンサCi1,Ci2]を図示する接続
形態によって接続することで、倍電圧整流回路を形成し
ている。この倍電圧整流回路は、直列接続された平滑コ
ンデンサCi1−Ci2の交流入力電圧VACの2倍に対応
する整流平滑電圧Eiを生成して一次側電圧共振形コン
バータに対して供給する。このようにして倍電圧整流回
路を形成することで、交流入力電圧AC100V系の場
合に対応して十分なレベルの整流平滑電圧Eiを得るこ
とが可能になる。
【0041】また、この図9に示す電源回路において直
流高電圧EHVの安定化は、図7に示した電源回路と同様
であり、第2制御回路1Bが動作することで、一次側の
メインスイッチング素子Q1のスイッチング周波数を複
合制御方式によって制御することにより行われる。
【0042】また、この図9に示す電源回路において
は、図7の電源回路において備えられていた一次側のア
クティブクランプ回路は省略され、これに代わるように
して、絶縁コンバータトランスPITの二次側に対して
アクティブクランプ回路20が備えられることとなる。
この絶縁コンバータトランスPITの二次側に備えられ
るアクティブクランプ回路20も、補助スイッチング素
子Q2,クランプコンデンサCCL,クランプダイオード
DD2を備えている。また、補助スイッチング素子Q2を
駆動するための駆動回路系は、絶縁コンバータトランス
PITの二次側に巻装される駆動巻線Ngに対して、コ
ンデンサCg−抵抗Rgを接続したLCR直列共振回路
を接続することで形成される。また、この場合にも、バ
イアス抵抗R11が補助スイッチング素子Q2のゲートと
二次側アース間に挿入される。
【0043】このアクティブクランプ回路20として
は、補助スイッチング素子Q2及びクランプダイオード
DD2から成るスイッチング回路に対して、クランプコン
デンサCCLを直列に接続して成るものとされる。そし
て、このようにして形成される回路を二次巻線N2//二
次側並列共振コンデンサC2からなる二次側並列共振回
路に対して、さらに並列に接続して構成されることにな
る。
【0044】そして、この場合の第1制御回路1Aに対
しては検出電圧として二次側直流出力電圧EO1が入力さ
れる。この第1制御回路1Aは、入力された二次側直流
出力電圧EO1のレベル変化に応じて可変のバイアス電圧
を、補助スイッチング素子Q2のゲートに対して印加す
る。これによっては、スイッチング動作(オン/オフ動
作)を行う補助スイッチング素子Q2の導通角(オン期
間)を制御する動作が得られる。クランプコンデンサC
CLには、二次側並列共振回路を形成する二次側並列共振
コンデンサC2に充電されるべき電流が分流して流れる
ようにされるが、補助スイッチング素子Q2の導通角が
可変制御されれば、クランプコンデンサCCL2に流れる
電流量が変化するので、これに伴って二次側並列共振コ
ンデンサC2への充電電流量が変化する。このようにし
て二次側並列共振コンデンサC2への充電電流量が変化
することで、二次側並列共振回路に得られる交番電圧
(並列共振電圧)のレベルも変化する。そして、並列共
振電圧が変化することで、二次側直流出力電圧EO1のレ
ベルも可変制御されることになる。このようにして、絶
縁コンバータトランスPITの二次側に得られる直流出
力電圧の安定化が図られる。
【0045】図10の波形図は、上記図9に示した構成
による電源回路における要部の動作を示している。一次
側並列共振コンデンサCrの両端に得られる並列共振電
圧V1は、図10(a)に示すようにして、メインスイ
ッチング素子Q1がオフとなる期間TOFF1において電圧
共振パルスが得られ、オンとなる期間TON1においては
0レベルとなる波形が得られており、一次側電圧共振形
コンバータのメインスイッチング素子Q1のスイッチン
グタイミングに対応した波形となっている。
【0046】また、このときにスイッチング素子Q1に
流れるコレクタ電流IQ1は、図10(d)に示すように
して、先ず、期間TON開始時においてクランプダイオー
ドDDに負極性のクランプ電流が流れ、この後、正レベ
ルに反転してドレイン−ソースに流れる波形が得られ
る。また、このような一次側のスイッチング動作によっ
て一次巻線N1に得られる巻線電流I1としては図10
(b)に示すようにして1スイッチング周期ごとに対応
して正/負に反転する略正弦波状の波形が得られる。
【0047】また、フライバックトランスFBTの一次
巻線Noに対しては、図10(c)に示されるようにし
て正弦波状の巻線電流I3が流れる。この巻線電流I3
は、図10(d)に示す巻線電流I1にほぼ対応した波
形が得られる。これに応じて、フライバックトランスF
BTの二次側の整流回路に流れる整流電流Ioは、図1
0(i)に示す波形により流れる。つまり、期間TOFF1
内において正極性の方向により正弦波状に流れる波形が
得られるものである。
【0048】また、絶縁コンバータトランスPITの二
次側に設けられる二次側並列共振コンデンサC2の両端
に得られる二次側並列共振電圧V2としては、図10
(e)に示されるようにして、整流ダイオードDO1がオ
ンとなる期間DONにおいては、二次側直流出力電圧EO1
のレベルによりクランプされ、オフとなる期間DOFFに
おいては負極正の方向に正弦波状にピークを有する波形
となる。そして、二次巻線N2から整流ダイオードDO1
に流入する巻線電流I2は、図10(f)に示すように
して、期間DONにおいては正極性の方向にほぼ所定の一
定レベルが維持され、期間DOFFにおいては正極性から
負極性に反転するようにして、負極正の方向によりピー
クを有する波形となる。
【0049】また、絶縁コンバータトランスPITの二
次側に備えられるアクティブクランプ回路20の動作
は、図10(g)のクランプ電流IQ2として示される。
つまり、スイッチング回路(Q2//DD2)が導通してオ
ンとなる期間TON2の前半期間においては、クランプダ
イオードDD2→クランプコンデンサCCL→二次巻線N2
の経路で電流が流れることで、クランプ電流IQ2として
は負極性による鋸歯状波が得られ、後半期間において
は、その電流の流れが反転して正極性となって、二次巻
線N2→Q2ドレイン→Q2ソースの経路で流れるように
される。そして、スイッチング回路(Q2//DD2)がオ
フとなる期間TOFF2においては、0レベルが維持される
波形となるものである。なお、第2制御回路1Bによる
制御によっては、補助スイッチング素子Q2の導通角制
御を行うことによって、この期間TON2が可変されるこ
とになる。
【0050】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記図7及
び図9に示した構成による電源回路は、陰極線管表示装
置用としては、以前から知られている構成のようにスイ
ッチングコンバータを複数段組み合わせる必要はないこ
とから、それだけ小型化には有利であるといえる。そし
て、さらなる小型化が図られれば、近年における電子機
器の小型化の要求に対して充分に応えることができるこ
とになり、より有用な電源回路を提供することが可能に
なる。
【0051】しかし、図7及び図9に示した電源回路の
構成としては、これ以上の小型化を有効に図ることは難
しい。そして、小型化を阻害する要因における最も問題
となる点としては次のようなことが挙げられる。図7及
び図9に示す電源回路においては、トランスとして、絶
縁コンバータトランスPIT、直交型制御トランスPR
T、及びフライバックトランスFBTが設けられている
が、これらのなかでは特に絶縁コンバータトランスPI
T及びフライバックトランスFBTが比較的大型のサイ
ズとなっている。つまり、図7及び図9に示す回路で
は、大型のトランスが2組備えられていることから、相
当の基板における実装面積を要してしまうことになる。
【0052】具体的には、絶縁コンバータトランスPI
Tのコア断面積は1.23平方センチメートル、フライ
バックトランスFBTのコア断面積は2.01平方セン
チメートルであるのに対して、絶縁コンバータトランス
PIT側である二次側直流出力電圧EO1の負荷電力は1
50W程度であり、フライバックトランスFBTの二次
側である直流高電圧EHVの負荷電力は70W程度であ
る。つまり、直流高電圧EHVの負荷電力は二次側直流出
力電圧EO1の1/2程度であるのに、コア断面積を比較
すると、フライバックトランスFBTが絶縁コンバータ
トランスPITに対して63%拡大したものとなってい
る。これは、フライバックトランスFBTのコアの利用
率という点からすれば、絶縁コンバータトランスPIT
の利用率に対して大幅に劣っており、それだけサイズ的
な効率がよくないことを示している。従って、図7又は
図9に示す構成を基本とした電源回路の小型化を促進し
ようとすれば、このトランスの問題をクリアすることが
必要になってくるわけである。
【0053】
【課題を解決するための手段】そこで本発明は上記した
課題を考慮してスイッチング電源回路として次のように
構成する。つまり、入力された直流入力電圧を断続して
出力するためのメインスイッチング素子を備えて形成さ
れるスイッチング手段と、スイッチング手段の動作を電
圧共振形とする一次側並列共振回路が形成されるように
して備えられる一次側並列共振コンデンサとを備える。
また、高圧発生トランスとして、二組のU字形磁心がギ
ャップを介して接合されるU−U字形磁心と、このU−
U字形磁心の一方の磁脚に巻装される一次巻線と、この
一次巻線と同軸上に巻装されて、一次巻線と密結合とさ
れる所要の結合度が得られるようにされた二次側昇圧巻
線と、上記U−U字形磁心の他方の磁脚に巻装され、一
次巻線とは疎結合とされる所要の結合度が得られるよう
にされた二次側低圧巻線とを有するように構成する。ま
た、二次側低圧巻線に対して二次側並列共振コンデンサ
を並列に接続するようにして形成される二次側並列共振
回路と、この二次側並列共振回路を含んで形成され、上
記二次側低圧巻線から得られる交番電圧の正期間の電圧
について半波整流動作を行うことで、直流低電圧を得る
ように構成された直流低電圧生成手段とを備える。ま
た、二次側昇圧巻線に得られる高圧電圧について整流動
作を行うことで、直流高電圧を得るようにされる直流高
電圧生成手段を備える。そして、少なくとも二次側クラ
ンプコンデンサと二次側補助スイッチング素子との直列
接続回路からなり、この直列接続回路が二次側並列共振
回路に対して並列に接続される二次側アクティブクラン
プ手段と、直流低電圧生成手段により生成される電圧レ
ベルに応じて上記二次側補助スイッチング素子の導通角
制御を行うことで、定電圧制御を行うようにされる第一
の定電圧制御手段を備える。また、少なくとも一次側ク
ランプコンデンサと一次側補助スイッチング素子との直
列接続回路からなり、この直列接続回路が一次巻線に対
して並列に接続される一次側アクティブクランプ手段
と、直流高電圧生成手段により生成される電圧レベルに
応じて上記一次側補助スイッチング素子の導通角制御を
行うことで、定電圧制御を行うようにされる第二の定電
圧制御手段とを備える。
【0054】また、入力された直流入力電圧を断続して
出力するためのメインスイッチング素子を備えて形成さ
れるスイッチング手段と、このスイッチング手段の動作
を電圧共振形とする一次側並列共振回路が形成されるよ
うにして備えられる一次側並列共振コンデンサとを備え
る。また、高圧発生トランスとしては、、二組のU字形
磁心がギャップを介して接合されるU−U字形磁心と、
このU−U字形磁心の一方の磁脚に巻装される高圧用一
次巻線と、この高圧用一次巻線と同軸上に巻装されて、
高圧用一次巻線と密結合とされる所要の結合度が得られ
るようにされた二次側昇圧巻線と、高圧用一次巻線と並
列に接続されると共に、U−U字形磁心の他方の磁脚に
巻装される低圧用一次巻線と、この低圧用一次巻線とは
疎結合とされる所要の結合度が得られるように、低圧用
一次巻線と同じ磁脚に対して巻装される二次側低圧巻線
とを有するようにして構成する。また、二次側低圧巻線
に対して二次側並列共振コンデンサを並列に接続するよ
うにして形成される二次側並列共振回路と、この二次側
並列共振回路を含んで形成され、上記二次側低圧巻線か
ら得られる交番電圧の正期間の電圧について半波整流動
作を行うことで、直流低電圧を得るように構成された直
流低電圧生成手段とを備え、また、二次側昇圧巻線に得
られる高圧電圧について整流動作を行うことで、直流高
電圧を得るようにされる直流高電圧生成手段を備える。
そして、少なくとも二次側クランプコンデンサと二次側
補助スイッチング素子との直列接続回路からなり、この
直列接続回路が二次側並列共振回路に対して並列に接続
される二次側アクティブクランプ手段と、直流低電圧生
成手段により生成される電圧レベルに応じて二次側補助
スイッチング素子の導通角制御を行うことで、定電圧制
御を行うようにされる第一の定電圧制御手段とを備え
る。また、少なくとも一次側クランプコンデンサと一次
側補助スイッチング素子との直列接続回路からなり、こ
の直列接続回路が低圧用一次巻線に対して並列に接続さ
れる一次側アクティブクランプ手段と、直流高電圧生成
手段により生成される電圧レベルに応じて一次側補助ス
イッチング素子の導通角制御を行うことで、定電圧制御
を行うようにされる第二の定電圧制御手段とを備える。
【0055】上記構成によれば、高圧発生トランスに対
して一次巻線と昇圧巻線が密結合の状態となるように巻
装されると共に、一次巻線と低圧二次巻線が疎結合の状
態となるようにして巻装される。若しくは、高圧用一次
巻線と昇圧巻線が密結合の状態となるように巻装される
と共に、低圧一次巻線と低圧二次巻線が疎結合の状態と
なるようにして巻装される。従って、スイッチング電源
回路の全体構成としては、一次側電圧共振形スイッチン
グコンバータと、このスイッチング出力を二次側に伝送
する高圧発生トランスと、この高圧発生トランスの二次
側に形成される直流高電圧生成手段としての整流回路系
と、直流定電圧生成手段としての整流回路系が備えられ
ることになる。ここで、直流定電圧生成手段の整流回路
系においては、二次側並列共振回路が形成されること
で、電源回路全体としては、複合共振形スイッチングコ
ンバータが形成される。そして、このような回路構成で
あれば、直流高電圧と直流定電圧とを1組のスイッチン
グ電源回路で得るのにあたっては、1組の高圧発生トラ
ンスにより一次側から二次側への電力伝送を行うように
されることになる。つまり、換言すれば、高圧発生トラ
ンス及び絶縁コンバータトランスという2組の大型トラ
ンスを設ける必要はなく、絶縁コンバータトランスにつ
いては省略されることになる。
【0056】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態のスイ
ッチング電源回路について説明を行っていくこととす
る。以降説明する本実施の形態としてのスイッチング電
源回路は、一次側に電圧共振形コンバータを備えると共
に、二次側には並列共振回路を備えた複合共振形スイッ
チングコンバータとしての基本構成を採る。また、この
図に示される電源回路は、ディスプレイデバイスとして
CRT(陰極線管)を備えるテレビジョン受像機、モニ
タディスプレイ装置、プロジェクタ装置などに搭載され
るものである。
【0057】図1は、本発明の第1の実施の形態として
のスイッチング電源回路の構成例を示している。この図
1に示す電源回路においては、商用交流電源(交流入力
電圧VAC)を入力して直流入力電圧を得るための整流平
滑回路として、ブリッジ整流回路Di及び平滑コンデン
サCiから成る全波整流平滑回路が備えられる。この全
波整流平滑回路は、平滑コンデンサCiの両端電圧とし
て、交流入力電圧VACの1倍のレベルに対応する整流平
滑電圧(直流入力電圧)Eiを生成する。
【0058】上記直流入力電圧Eiを入力して断続する
スイッチングコンバータは、一石のメインスイッチング
素子Q1を備えて、いわゆるシングルエンド方式で自励
式によりスイッチング動作を行う電圧共振形コンバータ
を備えて構成される。この場合、メインスイッチング素
子Q1には、高耐圧のバイポーラトランジスタ(BJ
T;接合型トランジスタ)が用いられている。
【0059】この図1に示す電源回路においては、例え
ば先行技術として示した図7の回路と比較した場合に、
直流入力電圧に対するメインスイッチング素子Q1と一
次側巻線との接続関係が逆となっている。つまり、本実
施の形態では、メインスイッチング素子Q1のコレクタ
が平滑コンデンサCiの正極端子に接続され、エミッタ
がフライバックトランスFBTの一次巻線Noの巻終わ
り端部に対して接続されているものである。また、これ
に伴って、一次側に設けられる一次側アクティブクラン
プ回路10の接続態様も後述するようにして、図7に示
されていたアクティブクランプ回路20とは異なったも
のとなる。
【0060】メインスイッチング素子Q1のベースに対
しては、駆動巻線NB、インダクタLB、共振コンデンサ
CB、ベース電流制限抵抗RBの直列接続回路よりなる自
励発振駆動用の直列共振回路が接続される。また、この
場合には、メインスイッチング素子Q1のベースに対し
て、絶縁コンデンサCtを介して、水平同期信号周波数
fHとしての外部トリガパルスが入力されるようになっ
ている。この外部トリガパルスは、後述する直流高電圧
EHVの負荷である、水平偏向回路系から取り出される。
【0061】また、メインスイッチング素子Q1のベー
ス−エミッタ間には、クランプダイオードDDが並列に
接続され、メインスイッチング素子Q1のオフ時に流れ
るクランプ電流の経路を形成するようにされる。
【0062】ここで、メインスイッチング素子Q1の自
励発振駆動回路を形成する駆動巻線NBは、フライバッ
クトランスFBTの一次巻線Noの巻終わり端部側を巻
き上げるようにして形成されている。これによって、駆
動巻線NBには一次巻線Noから伝達されるドライブ電圧
としての交番電圧が発生する。このドライブ電圧は、自
励発振駆動回路を形成する直列共振回路(NB,CB)か
らベース電流制限抵抗RBを介して、ドライブ電流とし
てメインスイッチング素子Q1のベースに出力される。
つまり、メインスイッチング素子Q1に対しては、直列
共振回路の共振周波数を有する駆動信号が供給されるこ
とになる。
【0063】そのうえで、本実施の形態においては、上
述もしたように、メインスイッチング素子Q1のベース
に対しては水平同期信号周波数fHを有する外部トリガ
パルスが入力されるようになっている。上記直列共振回
路(NB,CB)としては、水平同期信号周波数fHより
も僅かに低いとされる所定の共振周波数が設定されてお
り、メインスイッチング素子Q1としてはこの共振周波
数による駆動信号によりスイッチング駆動することにな
るのであるが、ここで、同時に外部トリガパルスが入力
されることによって、メインスイッチング素子Q1は、
この外部トリガパルスのタイミングに同期するようにし
てスイッチング動作を行うようにされる。つまり、CR
Tを表示駆動しているビーム電流の水平偏向周波数に同
期したスイッチング動作を行うようにされる。具体的に
は、例えばNTSC方式のHDTVに対応する場合に
は、水平同期信号周波数fH=31.5KHzに同期し
たスイッチングタイミングとなり、デジタルテレビジョ
ン放送に対応する場合には水平同期信号周波数fH=3
3.75KHz又はfH=45KHzに同期したスイッ
チングタイミングとなる。なお、起動時においては、メ
インスイッチング素子Q1は、起動抵抗Rsを介して整
流平滑電圧Eiからベースに流れる起動電流によってス
イッチング動作を開始する。
【0064】また、メインスイッチング素子Q1のエミ
ッタと一次側アース間に対しては、一次側並列共振コン
デンサCrが接続される。この一次側並列共振コンデン
サCrは、自身のキャパシタンスと、一次巻線N1側の
リーケージインダクタンスL1とにより電圧共振形コン
バータの一次側並列共振回路を形成する。そして、ここ
では詳しい説明を省略するが、メインスイッチング素子
Q1のオフ時には、この一次側並列共振回路の作用によ
って一次側並列共振コンデンサCrの両端に発生する両
端電圧は、実際には正弦波状のパルス波形となって電圧
共振形の動作が得られるようにされる。
【0065】また、この図に示す電源回路の一次側には
一次側アクティブクランプ回路10が備えられる。一次
側アクティブクランプ回路10は、補助スイッチング素
子Q2,クランプコンデンサCCL2,クランプダイオード
DD2を備えている。この場合、補助スイッチング素子Q
2についてはMOS−FETが選定される。また、クラ
ンプダイオードDD2には、MOS−FETである補助ス
イッチング素子Q2に内蔵されるボディダイオードを用
いることができる。
【0066】補助スイッチング素子Q2のドレインはク
ランプコンデンサCCL2を介してメインスイッチング素
子Q1のエミッタと一次巻線Noの巻終わり端部との接続
点に対して接続される。また、補助スイッチング素子Q
2のソースは一次側アース(一次巻線Noの巻始め端部
側)に対して接続される。また、クランプダイオードD
D2は、そのアノードが補助スイッチング素子Q2のソー
スに接続され、カソードが補助スイッチング素子Q2の
ドレインに接続される。このように、本実施の形態の一
次側アクティブクランプ回路10としては、上記補助ス
イッチング素子Q2及びクランプダイオードDD2から成
るスイッチング回路に対して、クランプコンデンサCCL
2を直列に接続して成るものとされる。そして、このよ
うにして形成される回路をフライバックトランスFBT
の一次巻線Noに対して並列に接続して構成されるもの
である。
【0067】また、補助スイッチング素子Q2の駆動回
路系としては、補助スイッチング素子Q2のゲートに対
して、コンデンサCg−抵抗Rg−駆動巻線Ngの直列
接続回路により形成されるLCR直列共振回路が接続さ
れる。上記LCR直列共振回路(Cg−Rg−Ng)の
共振周波数としては、メインスイッチング素子Q1の自
励発振駆動回路を形成する直列共振回路(RB−CB−N
B)と同等であるようにして設定される。つまり、メイ
ンスイッチング素子Q1のスイッチング周波数とほぼ同
等となるようにして設定される。なお、この場合には、
バイアス抵抗R11を補助スイッチング素子Q3のゲート
−ソース間に並列に接続している。
【0068】ここで駆動巻線Ngは、フライバックトラ
ンスFBTにおいて一次巻線Noの巻始め端部側を巻き
上げるようにして形成されている。これによって、駆動
巻線Ngには、一次巻線Noに得られるメインスイッチ
ング素子Q1のスイッチング出力である交番電圧によっ
て励起された交番電圧が発生することになる。また、こ
の場合には、その巻方向の関係から、一次巻線Noと駆
動巻線Ngとでは、逆極性の交番電圧が得られる。そし
て、このようにして得られる交番電圧によってLCR直
列共振回路が共振動作を行ってその出力を補助スイッチ
ング素子Q2のゲートに印加する。このようにして駆動
される補助スイッチング素子Q2としては、メインスイ
ッチング素子Q1と同様のスイッチング周期で、かつ、
ほぼ交互となるオン/オフタイミングによってスイッチ
ング動作を行うようにされる。
【0069】また、一次巻線Noに対してはタップ出力
が設けられ、このタップ出力に対して図示するようにし
て、ダイオードD1とコンデンサC1から成る半波整流回
路が接続される。そして、このコンデンサC1に得られ
る直流電圧が、フォトカプラPCのフォトトランジスタ
を介して、補助スイッチング素子Q2のゲートに対して
印加されるようになっている。
【0070】一次側アクティブクランプ回路10は、そ
のスイッチング回路(Q2//DD2)がスイッチング動作
を行うことで、後述するようにして、メインスイッチン
グ素子Q1//並列共振コンデンサCrの並列回路の両端
に発生する並列共振電圧V1のピークレベルを抑制する
ように動作する。また、このフォトカプラPCのフォト
トランジスタを介してゲートに印加される制御電圧のレ
ベルに応じては、補助スイッチング素子Q2のオン期間
についてのPWM制御(導通角制御)が行われる。これ
により、結果的には、後述する直流高電圧EHVについて
の安定化を図るようにされる。
【0071】フライバックトランスFBTは、メインス
イッチング素子Q1のスイッチング出力を一次側から二
次側に伝達し、二次側においてアノード電圧用の高圧直
流電圧を得るための高圧交番電圧を生成するために備え
られるのであるが、本実施の形態においては、このフラ
イバックトランスFBTの二次側において、例えば各種
回路用の低圧二次側直流出力電圧を得るための低圧交番
電圧を生成するようにも構成される。このために、本実
施の形態のフライバックトランスFBTは、図示するよ
うにして、二次側巻線として昇圧巻線NHV(1〜5)が巻
装されるのに加え、低圧用二次巻線N2が巻装される。
【0072】そして、フライバックトランスFBTの二
次側の回路構成として、昇圧巻線NHV(1〜5)を備えて
成る高圧発生回路40側の構成は次のようになってい
る。図において一点鎖線で囲って示す高圧発生回路40
は、フライバックトランスFBTと高圧整流回路によっ
て構成されており、フライバックトランスFBTの一次
巻線NOに入力される巻線電圧V4を利用して、例えばC
RTのアノード電圧レベルに対応した直流高電圧を生成
する。このため、フライバックトランスFBTの二次側
には、4組〜5組の昇圧巻線NHVが、後述するようにし
ていわゆるスリット捲き、或いは層間捲きによって分割
されて巻装されている。この場合、一次巻線NOと昇圧
巻線NHVとは密結合となるように巻装されている。な
お、この場合の一次巻線NOと昇圧巻線NHVの結合係数
kとしては、k≧0.95とされている。フライバック
トランスFBTの二次側には、一次巻線NOに発生する
巻線電圧V3が、昇圧巻線NHVと一次巻線NOとの巻線比
(NHV/NO)に応じて昇圧された昇圧電圧が得られる
ことになる。
【0073】この図に示す電源回路の場合には、フライ
バックトランスFBTの二次側には、5組の昇圧巻線N
HV1,NHV2,NHV3,NHV4,NHV5がそれぞれ独立した
状態で巻装されており、各々の昇圧巻線NHV1〜NHV5の
巻終わり端部に対しては、高圧整流ダイオードDHV1,
DHV2,DHV3,DHV4,DHV5のアノード側が接続されて
いる。そして、高圧整流ダイオードDHV1のカソードが
平滑コンデンサCOHVの正極端子に接続され、残る高圧
整流ダイオードDHV2〜DHV5の各カソードが、それぞれ
昇圧巻線NHV1〜NHV4の巻始め端部に対して接続され
る。
【0074】即ち、フライバックトランスFBTの二次
側には、[昇圧巻線NHV1、高圧整流ダイオードDHV
1]、[昇圧巻線NHV2、高圧整流ダイオードDHV2]、
[昇圧巻線NHV3、高圧整流ダイオードDHV3]、[昇圧
巻線NHV4、高圧整流ダイオードDHV4]、[昇圧巻線N
HV5、高圧整流ダイオードDHV5]という5組の半波整流
回路が直列に接続された、いわゆるマルチシングラー方
式の半波整流回路が形成されていることになる。
【0075】従って、フライバックトランスFBTの二
次側においては、5組の半波整流回路が昇圧巻線NHV1
〜NHV5に誘起された電流を整流して平滑コンデンサCO
HVに対して充電するという動作が行われ、平滑コンデン
サCOHVの両端には、各昇圧巻線NHV1〜NHV5に誘起さ
れる誘起電圧の約5倍に対応するレベルの直流高電圧E
HVが得られることになる。この直流高電圧EHVはCRT
のアノード電圧として利用される。また、低電圧制御の
ために第2制御回路1Bに対しても分岐して入力され
る。なお、直流高電圧EHVの安定化動作については後述
する。
【0076】また、フライバックトランスFBTの低圧
二次巻線N2側の構成は次のようになっている。この場
合、二次巻線N2の巻終わり端部は整流ダイオードDO1
のアノードに接続され、その巻始め端部側は二次側アー
スに接続される。そして、この整流ダイオードDO1と平
滑コンデンサCO1から成る半波整流平滑回路によって二
次側直流出力電圧EO1を得るようにしている。なお、二
次側直流出力電圧EO1は、例えば135Vとされて水平
偏向回路系として用いられる。また、第1制御回路1A
に対して検出電圧として分岐して供給される。
【0077】また、この場合には、二次巻線N2に対し
て図示するようにしてタップを設け、このタップ出力に
対して図示するようにして整流ダイオードDO2及び平滑
コンデンサCO2から成る半波整流回路を接続すること
で、上記二次側直流出力電圧EO1よりも低圧とされる、
例えば15Vの二次側直流出力電圧EO2を生成するよう
にしている。この二次側直流出力電圧EO2は、例えば垂
直偏向回路系に用いられる。また、この場合には第1制
御回路1A及び第2制御回路1Bに対して動作電源とし
ても供給される。
【0078】なお、実際としては、他の各種回路系に供
給するための所要のレベルの低圧二次側直流出力電圧が
生成されるようにしても構わないものであり、例えばビ
デオ出力回路系(200V)、CRTヒーター回路系
(7.5V)、音声出力回路系(24V)などのための
二次側直流出力電圧を得るようにしても構わないもので
ある。
【0079】そして、この低圧二次巻線N2に対して
は、二次側並列共振コンデンサC2が並列に接続されて
いる。この場合、低圧二次巻線N2のリーケージインダ
クタンスL2と、二次側並列共振コンデンサC2のキャパ
シタンスとによって二次側並列共振回路が形成される。
これによって、二次側に誘起される交番電圧は共振電圧
となり、二次側において電圧共振動作が得られる。
【0080】即ち、本実施の形態の電源回路としても、
フライバックトランスFBTの一次側にはスイッチング
動作を電圧共振形とするための並列共振回路が備えら
れ、二次側には電圧共振動作を得るための並列共振回路
が備えられた、複合共振形スイッチングコンバータを形
成しているものである。
【0081】ここで、本実施の形態のフライバックトラ
ンスFBTとしては、直流高電圧を得るためのフライバ
ック動作を得るためには一次側と二次側とが密結合であ
ることが必要とされ、一方、上記した複合共振形スイッ
チングコンバータとしての動作を得るためには一次側と
二次側とが疎結合であることが必要となる。従って、本
実施の形態のフライバックトランスFBTとしては、一
次巻線NOと昇圧巻線NHV(1〜5)とについては密結合
で、一次巻線NOと二次巻線N2とは疎結合となる状態が
得られるような構造を有しているものとされる。なお、
フライバックトランスFBTの構造については後述す
る。
【0082】また、上記二次側並列共振回路に対しては
二次側アクティブクランプ回路11が設けられる。二次
側アクティブクランプ回路11は、補助スイッチング素
子Q3,クランプコンデンサCCL3,クランプダイオード
DD3を備えている。この場合にも、補助スイッチング素
子Q2についてはMOS−FETが選定され、クランプ
ダイオードDD3にはボディダイオードが用いられる。ま
た、補助スイッチング素子Q3を駆動するための駆動回
路系は、低圧二次巻線N2を巻き上げるようにして二次
側に巻装される駆動巻線Ng3に対して、コンデンサC
g3−抵抗Rg3を接続したLCR直列共振回路を接続す
ることで形成される。また、この場合にも、バイアス抵
抗R13が補助スイッチング素子Q3のゲートと二次側ア
ース間に挿入される。また、この場合にも、巻方向の関
係から低圧二次巻線N2と駆動巻線Ng3とでは、逆極性
の交番電圧が得られることから、補助スイッチング素子
Q3と二次側整流ダイオードは、ほぼ交互となるオン/
オフタイミングによってスイッチング動作を行うように
される。なお、二次側の補助スイッチング素子Q3と二
次側整流ダイオードについてのスイッチング周波数とし
ては、一次側電圧共振形コンバータのスイッチング出力
がフライバックトランスFBTを介して二次側に伝送さ
れてくる関係上、メインスイッチング素子Q1のスイッ
チング周波数に対応したものとなる。
【0083】補助スイッチング素子Q3のドレインはク
ランプコンデンサCCL3を介して、二次巻線N2の巻終わ
り端部に接続される。補助スイッチング素子Q3のドレ
インは二次側アースに対して接地される。また、クラン
プダイオードDD3は、そのアノードが補助スイッチング
素子Q3のドレインに接続され、カソードが補助スイッ
チング素子Q3のソースに接続されることで、補助スイ
ッチング素子Q3がオフとなる期間に流れるクランプ電
流の経路を形成するようにしている。このように、本実
施の形態の二次側アクティブクランプ回路11として
は、上記補助スイッチング素子Q3及びクランプダイオ
ードDD3から成るスイッチング回路に対して、クランプ
コンデンサCCLを直列に接続して成るものとされる。そ
して、このようにして形成される回路を二次巻線N2//
二次側並列共振コンデンサC2からなる二次側並列共振
回路に対して、さらに並列に接続して構成されるもので
ある。
【0084】また、本実施の形態の電源回路における安
定化動作については、次のようになる。第1制御回路1
Aでは、二次側の直流出力電圧レベルEO1の変化に応じ
て可変されたレベルの直流の制御電圧を印加するように
される。この制御電圧によっては、補助スイッチング素
子Q3のゲート閾値電圧(バイアス)が可変されること
になるのであるが、これによっては、補助スイッチング
素子Q3についてのオン期間が可変されることになる。
つまり導通角についてのPWM制御が行われるものであ
る。図1に示す回路構成の場合、オン期間においてスイ
ッチング回路(Q3//DD3)が導通してクランプコンデ
ンサCCL3に電流が流れることによっては、二次側並列
共振コンデンサC2に流入して充電されるべき電流がク
ランプコンデンサCCL3に流れることになるもので、こ
の動作によって、二次側並列共振コンデンサC2の両端
に得られる二次側並列共振電圧V2のピークレベルを抑
制してクランプするようにされる。従って、補助スイッ
チング素子Q3の導通角が可変制御されてクランプコン
デンサCCL3に流れる電流量が可変されれば、二次側並
列共振コンデンサC2における充電電流量が可変される
ことになって二次側並列共振電圧V2のクランプレベル
も変化する。このようにして二次側並列共振電圧V2の
レベルが変化することで、平滑コンデンサCO1に流入す
る整流電流レベルが変化することとなって、結果的に
は、二次側直流出力電圧EO1のレベルを可変制御する動
作が得られる。そして、このような動作によって、定圧
二次側直流出力電圧の安定化が図られるものである。
【0085】また、直流高電圧EHVが得られる平滑コン
デンサCOHVに対しては、分圧抵抗R1−R2の直列接続
回路が並列に設けられる。そして、この分圧抵抗R1−
R2の分圧点は、第2制御回路1Bに対して接続され
る。つまり本実施の形態においては、第2制御回路1B
に対しては、検出電圧として、直流高電圧EHVを分圧抵
抗R1−R2により分圧して得られる電圧レベルが入力さ
れることになる。第2制御回路1Bは、直流高電圧EHV
のレベル変化に応じてフォトカプラPCの導通制御を行
う。
【0086】上記のようにして、第2制御回路1Bによ
ってフォトカプラPCの導通制御が行われることで、一
次側にあるコンデンサC1からは、フォトカプラPCの
フォトトランジスタを介して、直流高電圧EHVのレベル
に応じて可変される電流が流れることになる。これによ
って、一次側アクティブクランプ回路10内の補助スイ
ッチング素子Q2のゲートに対して与えられるべきバイ
アス(ゲート閾値電圧)が変化することになる。このよ
うにして補助スイッチング素子Q2のバイアスが可変さ
れることで、補助スイッチング素子Q2は、その1スイ
ッチング周期内におけるオン期間が可変される。つま
り、導通角についてのPWM制御が行われる。前述もし
たように、補助スイッチング素子Q2のスイッチング動
作によっては、一次側並列共振コンデンサCrの両端に
発生する共振電圧V1をクランプして抑制する動作が得
られるのであるが、上記のようにして補助スイッチング
素子Q2についてPWM制御が行われることで、共振電
圧V1の電圧レベルは直流高電圧レベルの変動に応じて
可変制御されることになる。ここで、一次巻線NOに対
しては、共振電圧V1のレベル変化に対応してそのレベ
ルが可変された、メインスイッチング素子Q1のスイッ
チング出力が供給される。このため、フライバックトラ
ンスFBTの一次巻線NOに流れる巻線電流の電流レベ
ルも変化し、これに伴って、一次巻線Noの両端に発生
する巻線電圧のレベルも可変されることになる。これに
より、昇圧トランスHVTの二次側に誘起される誘起電
圧レベルが可変され、高圧発生回路40から出力される
直流高電圧EHVの安定化が図られることになる。
【0087】図3の断面図は、上記図1に示す電源回路
に備えられるフライバックトランスFBTの構造例を示
している。この図に示すフライバックトランスFBTで
は、例えばフェライト材による2つのU字型コアCR
1,CR2の各磁脚を対向するように組み合わせること
でU−U字型コアCRが形成される。そして、U字型コ
アCR1の磁脚端部と、U字型コアCR2の磁脚端部と
の対向する部分にはギャップG1,G2をそれぞれ設け
るようにされる。そして、図示するように、一次巻線N
oを巻装した低圧巻線ボビンLBをU−U字型コアCR
の一方の磁脚に対して貫通させるように取り付ける。そ
して、この低圧巻線ボビンLBのさらに外側に対して、
昇圧巻線NHV(1〜5)を巻装した高圧巻線ボビンHBを
貫通させるようにして取り付ける。これによって、一次
巻線Noと昇圧巻線NHV(1〜5)とについて分割して巻装
する構造が得られる。そしてこの構造によっては、一次
巻線Noと二次側の昇圧巻線NHV(1〜5)とについては、
同一の磁脚に対して、いわゆる「同軸巻き」によって巻
装していることになるため、互いの結合状態としては密
結合の状態が得られることになる。例えば実際として
は、結合係数k=0.98程度の密結合の状態を得るこ
とができる。
【0088】ここで、高圧巻線ボビンHBに巻装する昇
圧巻線NHVとしては、例えば複数の昇圧巻線NHV(1〜
5)の各々を絶縁した状態で巻装する必要がある。この
ため、昇圧巻線NHVの巻き方は、各昇圧巻線NHV(1〜
5)を所定回数巻装して得られる巻線層ごとに層間フィ
ルムFを介在させた、いわゆる層間巻きとされている。
そして、上記のようにして昇圧巻線NHV(1〜5)を巻装
したうえで、回路的には図1に示した態様が得られるよ
うに、各昇圧巻線NHV(1〜5)に対して高圧整流ダイオ
ードDHV(1〜5)を接続して取り付ける。
【0089】そして、一次巻線Noと昇圧巻線NHV(1
〜5)が巻装されていない他方の磁脚に対しては、もう
1つの低圧巻線ボビンLB−1を、その磁脚に貫通させ
るようにして取り付けており、この低圧巻線ボビンLB
−1に対して低圧二次巻線N2を巻装している。このよ
うにして低圧二次巻線N2が巻装されることで、一次巻
線Noと低圧二次巻線N2は互いに異なる磁脚に対して巻
装されることとなるために、その結合状態としては疎結
合とすることができる。そして、実際の結合係数kとし
てはk=0.55程度による疎結合の状態を得ることが
できた。
【0090】図2は、上記図1に示した構成による電源
回路における要部の動作波形を示している。先ず、一次
側の動作としては、前述もしたように、メインスイッチ
ング素子Q1のスイッチングタイミングとしては、期間
TON1+期間TOFF1による1スイッチング周期が、水平
同期信号周波数fHに同期したものとなっている。そし
て、一次側並列共振コンデンサCrの両端に得られる一
次側並列共振電圧V1は、メインスイッチング素子Q1の
スイッチング周期のタイミングに対応した波形となる。
つまり、図2(a)に示すようにして、メインスイッチ
ング素子Q1がオフとなる期間TOFF1においては、負極
性にて所定のピークレベルでクランプされた波形が得ら
れ、また、メインスイッチング素子Q1がオンとなる期
間TON1においては、整流平滑電圧Eiのレベルでクラ
ンプされるレベルの波形となる。
【0091】そして、メインスイッチング素子Q1のコ
レクタに流れるコレクタ電流IQ1は、図2(b)に示す
ようにして、期間TON1においては、ターンオン時にク
ランプダイオードDD1→Q1ベース→Q1コレクタを介し
て平滑コンデンサにCiに流れることで負極性の波形と
なってZVS動作し、その後に正極性に反転してQ1コ
レクタ−Q1エミッタに流れるようにされる。そして、
期間TOFF1においては0レベルを維持する。
【0092】また、一次側アクティブクランプ回路10
の動作としては、図2(c)(d)に示される。つま
り、クランプコンデンサCCL1を介して補助スイッチン
グ素子Q2に流れるクランプ電流IQ2は、期間TON2にお
いて図2(d)に示すようにして負極性から正極性に反
転する鋸歯状波により流れ、期間TOFF2において0レベ
ルとなる。ここで、期間TON2は、補助スイッチング素
子Q2及びクランプダイオードDD2からなるスイッチン
グ回路が導通する期間であり、その前半期間においては
クランプダイオードDD2→クランプコンデンサCCL2を
介して一次巻線Noに流れ、後半期間においては一次巻
線NoからクランプコンデンサCCL2→Q2ドレイン→Q2
ソースの経路で流れる。そして、この場合の期間TON2
は、期間TOFF1内にあるようにされている。これに対し
て期間TOFF2は、上記スイッチング回路が非導通となる
期間である。ここで、メインスイッチング素子Q1のオ
ン/オフタイミングである[期間TON1,TOFF1]と、
補助スイッチング素子Q2のオン/オフタイミングであ
る[期間TON2,TOFF2]とを比較して分かるように、
メインスイッチング素子Q1と補助スイッチング素子Q2
とでは、ほぼ交互となるタイミングによってオン/オフ
動作を行うようにされている。そして、上記のようにし
て一次側アクティブクランプ回路10におけるスイッチ
ング回路(Q2//DD2)がオン/オフ動作を行うこと
で、このスイッチング回路(Q2//DD2)の両端電圧VQ
2は、図2(c)に示すようにして、期間TON2において
は0レベルで、期間TOFF2においては正極性の一定レベ
ルで維持される波形が得られる。
【0093】ところで、期間TOFF1は、本来であれば一
次側にて得られるスイッチング出力電流が一次側並列共
振コンデンサCrに流入する期間なのであるが、本実施
の形態では、図2(d)のクランプ電流IQ2として示す
ようにして、期間TON2において、スイッチング出力電
流が一次側アクティブクランプ回路10側に流れるよう
にされる。従って、一次側並列共振コンデンサCrに対
してスイッチング出力電流が流れるのは、期間TOFF1に
おける期間TON2以外の期間のみとなり、それだけ充電
電流量が低減されることになる。これによって、一次側
並列共振電圧V1は、図2(a)に示されるようにして
期間TOFF1においてそのピークレベルがクランプされて
抑制された波形となるものである。
【0094】また、フライバックトランスFBTの二次
側の動作として、高圧発生回路40側においてはフライ
バック動作による整流動作が行われている。従って、図
2(h)の整流電流Ioとして示されるように、高圧発
生回路40内のマルチシングラー方式による整流回路に
おいては、期間TOFF1内のタイミングで、各高圧整流ダ
イオードDHV(1〜5)及び追加高圧整流ダイオードDHV6
が導通して、半波整流動作を行う。つまり、フライバッ
クトランスFBTにおいては、メインスイッチング素子
Q1がオフとなる期間TOFF1において電力伝送が行われ
る。
【0095】また、フライバックトランスFBTの二次
側に設けられる二次側並列共振コンデンサC2の両端に
得られる交番電圧V2は、図2(e)に示されるように
して、二次側アクティブクランプ回路11のスイッチン
グ回路(Q3//DD3)が導通してオンとなる期間TON3に
おいては負極性により所定レベルでクランプされた波形
が得られ、また、上記スイッチング回路が非導通となっ
てオフとなる期間TOFF3においては、正極性の方向によ
り二次側直流出力電圧EO1のレベルでクランプされる波
形が得られる。
【0096】また、図2(f)には、二次側アクティブ
クランプ回路10の動作として、クランプコンデンサC
CL3からスイッチング回路(Q3,DD3)に対して流れる
クランプ電流IQ3が示される。この図2(f)に示す波
形から分かるように、スイッチング回路(Q3,DD3)
は期間TON3にて導通(オン)し、期間TOFF3において
非導通(オフ)となる。そして、このスイッチングタイ
ミングとしては、フライバックトランスFBTの低圧二
次巻線N2側の整流ダイオードDO1がオン/オフする期
間である[期間DON/期間DOFF]と、[期間TON3/期
間TOFF3]との関係からも分かるように、整流ダイオー
ドDO1とはほぼ交互となるタイミングでオン/オフ動作
を行う。ここで、期間TON3内の動作として、その前半
期間においては、クランプダイオードDD3→クランプコ
ンデンサCCL2→二次巻線N2の経路によりクランプ電流
IQ3が流れ、その波形としては図示するようにして、負
極性の鋸歯状波となる。そして後半期間に至ると、負極
性から正極性に反転して、クランプ電流IQ3は、クラン
プコンデンサCCL2→Q3ドレイン→Q3ソースを介して
流れるようにされる。例えばこのようにして、期間TON
3においてクランプ電流IQ3が流れるようにされること
で、この場合にも二次側並列共振コンデンサC2に充電
されるべき電流が、クランプコンデンサCCL3に対して
充放電されるようにして流れることになるため、図2
(e)に示される二次側並列共振コンデンサC2の両端
の交番電圧V2としては、負極性のピークレベルがクラ
ンプされる。
【0097】そして、前述もしたように、交流入力電圧
VAC又は二次側直流出力電圧EO1の負荷の変動により、
二次側直流出力電圧EO1のレベルが変動したときには、
制御回路1Aによって、補助スイッチング素子Q3につ
いての導通角制御が行われ、期間TON3が可変されるこ
とになる。これに伴い、前述したようにして、整流ダイ
オードDO1の導通角も制御されることとなるために、結
果的に二次側直流出力電圧EO1のレベルが安定化される
ようにコントロールされることになる。
【0098】また、同様にして、交流入力電圧VAC又は
直流高電圧EHVの負荷の変動により直流高電圧EHVのレ
ベルが変動したときには、第2制御回路1Bによって、
一次側アクティブクランプ回路10内の補助スイッチン
グ素子Q2の導通期間TON2が可変制御されるようにして
導通角制御が行われる。これによっては、前述した作用
によって直流高電圧EHVのレベルが安定化されるように
して可変制御されることになるものである。
【0099】ここで、第1の実施の形態としての図1に
示した回路における要部のスペックを、先行技術として
図7に示した電源回路との比較により示しておく。な
お、下記のスペックは、低圧二次側直流出力電圧EO1の
負荷電力Po=150W〜100W、直流高電圧EHVの
負荷電力PHV=68W(31.5kV×2.15mA)
の条件に対応した構成の場合におけるものとされる。図
7に示した回路に採用されていた絶縁コンバータトラン
スPITは、EE−40型といわれるEE型コアを用
い、ギャップ長G=1mm、一次巻線N1=130T、
二次巻線N2=100Tとされていた。また、図7に示
した回路におけるフライバックトランスFBTは、ギャ
ップ長=0.4mm×2、一次巻線No=70T、昇圧
巻線NHV(1〜5)=530Tとされていた。また、図7
に示した回路における主要部品の定数としては、Cr=
2200pF、クランプコンデンサCCL=0.15μ
F、二次側並列共振コンデンサC2=0.01μF、一
次側直列共振コンデンサC3=0.018μFが選定さ
れていた。そして、スイッチング周波数の制御範囲とし
ては、80KHz〜120KHzとされている。
【0100】これに対して、図1に示した本実施の形態
の電源回路では、次のようにして異なる構成が与えられ
る。先ずは、絶縁コンバータトランスPITが削除され
て、大型トランスとしては、フライバックトランスFB
Tのみとされたことになる。また、絶縁コンバータトラ
ンスPITの削除に伴って一次側直列共振コンデンサC
3も省略されることとなる。そして、本実施の形態とし
ては、スイッチング周波数fsは固定で水平同期信号周
波数fHに同期したものとされ、例えばスイッチング周
波数fs=45KHzとすれば、本実施の形態のフライ
バックトランスFBTとしては、一次巻線No=90
T、低圧二次巻線N2=90Tが巻装される。また、図
7に示す回路では、一次巻線Noについて、0.12m
φ/12束のリッツ線を用いていたのであるが、本実施
の形態としては、一次巻線No及び低圧二次巻線N2につ
いて60μmφ/130束のリッツ線を巻装して巻線の
断面積を増加し、リッツ線の渦電流損失を低減すれば、
例えば図4に示す電源回路と同等のAC/DC電力変換効率
を得ることができる。
【0101】また、本実施の形態のメインスイッチング
素子Q1及び補助スイッチング素子Q2については、AC
100V系では800V耐圧品を選定し、AC200V
系では、1500Vの耐圧品を選定するようにされる。
また、低圧二次直流出力電圧の負荷電力が例えば150
W以上の条件となる場合には、商用交流電源ACに対し
て倍電圧整流回路を設けることで、直流入力電圧(E
i)として交流入力電圧VACの2倍に対応するレベルま
でに上昇させれば、効率の向上が図られることになる。
【0102】これまでの説明から分かるように、本実施
の形態の電源回路では、フライバックトランスFBTに
対して昇圧巻線NHVだけではなく低圧二次巻線N2も巻
装することで、1組のフライバックトランスFBTの二
次側にて直流高電圧EHV及び二次側直流出力電圧EO1を
得るようにされている。つまり、本実施の形態において
は、構成部品として、絶縁コンバータトランスPITと
してのコアと、一次巻線N1としての巻線が省略される
こととなる。これにより、本実施の形態においては、そ
れだけプリント基板の実装面積が縮小されることになっ
て、さらなる小型軽量化を図ることが可能となる。しか
も、本実施の形態としては、大型部品であるところの絶
縁コンバータトランスPITとしてのコアが不要となる
ことから、大幅に小型軽量化が促進されることになる。
また、一次巻線N1としての巻線も省略されることで電
源回路を製造するにあたっての巻線工程時間がそれだけ
短縮されることにもなるので、製造効率も向上される。
更には、図7に示す回路において一次巻線Noと接続さ
れていた一次側直列共振コンデンサC3が削除されるこ
とによっても、回路の小型軽量化が促進される。
【0103】また、低圧二次巻線N2については、フラ
イバックトランスFBTに巻装されることで、絶縁コン
バータトランスPITに巻装する場合よりもコア断面積
が増加することとなるので、低圧二次巻線N2の巻き数
が低減されることになり、これによっても巻線工程時間
の短縮が図られる。
【0104】また、図3に示したフライバックトランス
FBTの構造によれば、一次巻線Noと低圧二次巻線N2
との結合度としては、結合係数k≒0.55という充分
な疎結合の状態を得ることが可能とされている。このた
め、低圧二次巻線N2のリーケージインダクタンスは増
加することになるため、低圧二次巻線N2と共に二次側
並列回路を形成する二次側並列共振コンデンサC2のキ
ャパシタンスは小さくて済むこととなる。キャパシタン
スが小さければ、選定されるコンデンサの部品としては
小型なものとすることができ、この点でも回路の小型軽
量化が図られることになる。また、図3に示した構造に
依れば、2つのギャップG1,G2は共に巻線が施され
ることになるので、ギャップからの漏洩磁束がこれらの
巻線部によってシールドされることになる。つまり、シ
ールド板等を設けることなく、漏洩磁束の問題を解消す
ることができているものである。
【0105】さらに、本実施の形態の電源回路では、メ
インスイッチング素子Q1の接続態様として、図1にて
説明したように、直流入力電圧(Ei)−メインスイッ
チング素子Q1−一次巻線Noの順により接続した構成
を採っている。このため、例えば図7に示した一次側の
接続態様と比較すれば、一次側アクティブクランプ回路
内の補助スイッチング素子Q2のソース電極の電位がよ
り安定することから、異常発振動作が生じないようにさ
れ、これにより、特に直流高電圧の負荷変動に対する制
御範囲は拡大されることとなる。
【0106】また、本実施の形態においては、スイッチ
ング周波数fsとして、例えば水平同期信号周波数fH
に同期したものとなることから、フライバックトランス
FBTから輻射される漏洩磁束による水平偏向回路部品
への干渉が発生することが無くなる。従って、絶縁コン
バータトランスPIT及びフライバックトランスFBT
に対して磁気シールドを設ける必要は無くなるものであ
る。
【0107】また、スイッチング周波数が固定されたう
えでの安定化が図られることで、直流高電圧EHVに重畳
される高周波のリップルも抑制されることになるため、
このリップル抑制のためのフィルタ回路等を設ける必要
もなくなるものである。そして、本実施の形態の形態と
しては、もちろんのこと、上記のようにして磁気シール
ドやフィルタ回路を省略しても、漏洩磁束やリップルに
起因するビートの問題は解消されるものである。
【0108】図4は、第2の実施の形態としてのスイッ
チング電源回路の構成例を示している。なお、この図に
おいて図1と同一部分には同一符号を付して説明を省略
する。この図に示す電源回路においては、商用交流電源
(交流入力電圧VAC)を入力して直流入力電圧(整流平
滑電圧Ei)を得るための整流平滑回路として、[整流
ダイオードDi1,Di2,平滑コンデンサCi1,Ci
2]を図示する接続形態によって接続することで倍電圧
整流回路が形成されている。この倍電圧整流回路では、
直列接続された平滑コンデンサCi1−Ci2の両端に、
交流入力電圧VACの2倍に対応する整流平滑電圧Eiを
生成して一次側電圧共振形コンバータに対して供給す
る。本実施の形態において、このようにして交流入力電
圧VACの2倍に対応する整流平滑電圧Eiを得るように
しているのは、後述するようにして、高圧発生回路40
によって、所要レベルの直流高電圧EHVを得る必要上、
効率を向上させるには、一次側並列共振電圧V1のピー
クレベルとして1000V程度が必要であるため、電圧
共振形コンバータへの入力電圧レベルとしても相応の高
レベルが必要とされることに依る。
【0109】この図に示す電源回路においては、フライ
バックトランスFBTに対して巻装される一次側巻線と
して、高圧用としての一次巻線Noに加えて、低圧一次
巻線N1が設けられている。そして、この場合には、低
圧一次巻線N1の両端部をそれぞれ巻き上げるようにし
て駆動巻線NB,Ngが巻装される回路形態となってい
る。そして、高圧用の一次巻線Noは、図示するように
して、その一端が低圧一次巻線N1の端部とメインスイ
ッチング素子Q1のエミッタとの接続点に対して接続さ
れ、その他端が一次側直列共振コンデンサC5を介して
一次側アースに接地されるようになっている。この場合
には、一次巻線NoのリーケージインダクタンスLoと一
次側直列共振コンデンサC5のキャパシタンスにより、
一次側直列共振回路が形成されることになる。
【0110】また、この場合のフライバックトランスF
BTにおける巻線間の結合度であるが、一次巻線Noと
昇圧巻線NHVについては、図1の場合と同様に結合係数
k=0.95以上の密結合とされている。一方、低圧一
次巻線N1と低圧二次巻線N2とについては、この場合に
は結合係数k=0.71程度の疎結合の状態を得るよう
にしており、これによって、複合共振形スイッチングコ
ンバータとしての動作が得られるようにしている。ちな
みに、高圧用の一次巻線Noに対する、低圧一次巻線N1
又は低圧二次巻線N2の結合度としては、結合係数k=
0.55程度とされており、これによっては、一次巻線
Noの巻き数を増加させることができる。
【0111】このような構成では、フライバックトラン
スFBTにおける電力伝送の対応関係として、一次巻線
Noと昇圧巻線NHVとが対応し、低圧一次巻線N1と低圧
二次巻線N2が対応することになる。つまり、一次巻線
Noに得られる一次側のスイッチング出力によって、二
次側において昇圧巻線NHVに交番電圧が励起される。ま
た、一次巻線N1に得られるスイッチング出力によって
は、低圧二次巻線N2に交番電圧が励起されるものであ
る。なお、フライバックトランスFBTにおいて直流高
電圧EHV及び低圧二次側直流出力電圧E0を得るための
二次側の整流動作、及び安定化動作については、図1に
示した電源回路と同様となることから、ここでの説明は
省略する。
【0112】図6の断面図は、上記図4に示した電源回
路に備えられるフライバックトランスFBTの構造例を
示している。なお、この図に示すフライバックトランス
FBTは、先に図3に示したものと基本的な構造は同様
とされており、低圧用一次巻線N1が巻装される点が、
図3に示した構造となっているものとされる。そこで、
図6の説明にあたっては、図3と同一部分には同一符号
を付して説明を省略することとし、低圧用一次巻線N1
が巻装される部位についてのみ説明を行うこととする。
【0113】この場合にも、一次巻線Noと昇圧巻線N
HV(1〜5)が巻装されていない他方の磁脚に対しては、
もう1つの低圧巻線ボビンLB−1が、その磁脚に貫通
されるようにして取り付けてられている。この場合、低
圧巻線ボビンLB−1としては、図示するようにして1
枚の仕切が設けられていることで、2つの巻線分の巻回
部が分割されたいわゆる分割ボビンとなっている。そし
て、この低圧巻線ボビンLB−1に対して、低圧一次巻
線N1と低圧二次巻線N2とをそれぞれ異なる巻回部に対
して分割して巻装して互いの絶縁を確保するようにして
いる。図6に示されるようにして各巻線が巻装されるこ
とで、各巻線間において前述したような結合度を得るこ
とができることになる。なお、この場合にも、低圧二次
巻線N2側に形成される駆動巻線Ngの図示はここでは
便宜上省略している。また、本実施の形態においても、
先の実施の形態の場合と同様に、図13に示した分割巻
き(スリット巻き)による構造のフライバックトランス
FBTを基本として、この図6に示すようにして低圧一
次巻線N1及び低圧二次巻線N2を巻装した構成としても
よいものである。
【0114】図5の波形図は、図4の電源回路における
要部の動作を示している。この場合にも、一次側並列共
振コンデンサCrの両端に得られる並列共振電圧V1
は、図5(a)に示すようにして、一次側電圧共振形コ
ンバータのメインスイッチング素子Q1のスイッチング
タイミングに対応した波形となっており、メインスイッ
チング素子Q1がオフとなる期間TOFF1において電圧共
振パルスが得られる。但し、この場合の並列共振電圧V
1については、低圧一次巻線N1が接続されている関係
上、そのレベルについてオフセットが与えられており、
メインスイッチング素子Q1がオンとなる期間TON1にお
いては0レベルではなく、負極性による一定レベルが維
持される。
【0115】また、スイッチング素子Q1に流れるコレ
クタ電流IQ1は、図5(b)に示すようにして、先ず、
期間TON1においては、その開始時においてクランプダ
イオードDD→Q1ベース→Q1コレクタを介して負極性
の方向にクランプ電流が流れ、この後、正レベルに反転
してドレイン−ソースに流れる波形が得られる。また、
期間TOFF1においては0レベルである。また、このよう
な一次側のスイッチング動作によって一次巻線Noに流
れる巻線電流I3としては図5(e)に示すようにし
て、1スイッチング周期ごとに対応して正負に反転する
た略鋸歯状の交番波形が得られる。そして、上記一次巻
線Noと並列に接続されている一次巻線N1に流れる巻
線電流I1は、図5(d)に示されており、期間TOFF1
において正極性から負極性に反転し、期間TON1におい
て正極性による所定レベルが維持される滑らかな波形が
得られる。
【0116】また、一次側アクティブクランプ回路10
の動作としては、図5(c)のクランプ電流IQ2として
示されているが、このスイッチングタイミングとして
は、先の図1に示した実施の形態の電源回路における場
合と同様となる。つまり、図2(d)により説明したク
ランプ電流IQ2と同様のタイミング及び波形となってい
るものである。
【0117】また、フライバックトランスFBTの二次
側の動作は、図5(g)〜(j)により示されている。
低圧二次巻線N2と二次側並列共振回路を形成する二次
側並列共振コンデンサC2の両端電圧である二次側並列
共振電圧V2は、図5(g)に示されるようにして、二
次側整流ダイオードDO1が導通して整流電流が流れる期
間DONにおいては二次側直流出力電圧EO1のレベルでク
ランプされ、非導通となる期間DOFFにおいては負極性
の方向にピークレベルを有する波形となる。また、二次
巻線N2に流れる巻線電流I2は、図5(h)に示すよう
にして、期間DOFFでは正極性から負極性に反転し、期
間DONでは正極性となる滑らかな波形が得られる。
【0118】また、上記二次側並列共振回路に対して並
列に接続される二次側アクティブクランプ回路11のス
イッチング回路(Q3//DD3)の動作は、図5(i)の
クランプ電流IQ3として示される。この場合にも、スイ
ッチング回路(Q3//DD3)は、期間DOFF内における期
間TON2において導通してオンとなり、これ以外の期間
TOFF2において非導通となってオフとなるようにされ
る。また、期間TOFF2は、期間DONを含んだ期間となっ
ている。従って、この回路においても、二次側アクティ
ブクランプ回路11のスイッチング回路(Q3//DD3)
と整流ダイオードDO1とは、ほぼ交互となるタイミング
でオン/オフを行うようになっている。期間TON2の前
半期間においては、クランプダイオードDD3→クランプ
コンデンサCCL3→低圧二次巻線N2の経路で電流が流れ
ることで、クランプ電流IQ3としては負極性による鋸歯
状波が得られ、後半期間においては、その電流の流れが
反転して正極性となって、低圧二次巻線N2→Q3ドレイ
ン→Q3ソースの経路で流れるようにされる。そして、
スイッチング回路(Q3//DD3)がオフとなる期間TOFF
2においては、0レベルが維持される波形となるもので
ある。
【0119】このようなタイミングで二次側アクティブ
クランプ回路11がオン/オフ動作を行うことで、図4
に示す回路においても、二次側並列共振電圧V2のピー
クレベルを抑制してクランプする動作が得られる。ま
た、低圧の二次側直流出力電圧EO1のレベルに応じて補
助スイッチング素子Q2の導通角制御が行われること
で、前述したようにして、低圧二次側直流出力電圧の安
定化が図られることになる。
【0120】また、フライバックトランスFBTの二次
側の高圧発生回路40において流れる整流電流Ioは、
図5(j)に示す波形により流れる。つまり、期間TOF
F1内において、正極性の方向において正弦波状に流れる
波形が得られるものである。
【0121】ここで、図4に示した第2の実施の形態と
しての電源回路において選定された主要部品のスペック
について、先行技術として図9に示した電源回路との比
較により示す。図9に示す回路においては、絶縁コンバ
ータトランスPITについては、EE−40型といわれ
るEE型コアを用い、ギャップ長G=1mm、一次巻線
N1=130T、二次巻線N2=100Tとされていた。
また、フライバックトランスFBTは、ギャップ長=
0.4mm×2、一次巻線No=70T、昇圧巻線NHV
(1〜5)=530Tとされていた。また、一次側並列共
振コンデンサCr=2200pF、クランプコンデンサ
CCL=0.22μF、二次側並列共振コンデンサC2=
3300pFが選定されていた。そして、スイッチング
周波数の制御範囲としては、70KHz〜80KHzと
されている。
【0122】これに対して、図4に示した第2の実施の
形態としての電源回路では、絶縁コンバータトランスP
ITとしてのコアは省略されることになる。そして、フ
ライバックトランスFBTに関しては、高圧用の一次巻
線No=80T、低圧一次巻線N1=100T、低圧二次
巻線N2=70T、昇圧巻線NHV=530Tとなる。ま
た、各部品素子については、一次側並列共振コンデンサ
Cr=2200pF、二次側並列共振コンデンサC2=
3300pF、一次側クランプコンデンサCCL=0.1
μF、二次側クランプコンデンサCCL3=0.22μ
F、一次側直列共振コンデンサC5=0.033μFを
選定している。
【0123】そして、係る構成による第2の実施の形態
である図4の電源回路においても、構成部品として、絶
縁コンバータトランスPITとしてのコアが省略される
ことになる。従って、この場合にも、それだけプリント
基板の実装面積が縮小されることになって、さらなる小
型軽量化を図ることが可能となる。また、本実施の形態
のフライバックトランスFBTの構造とされることで、
上記した実際のスペックとしても現れているように、低
圧一次巻線N1と低圧二次巻線N2とについては、図11
に示した絶縁コンバータトランスPITに巻装される一
次巻線N1及び二次巻線N2と比較して、そのターン数が
削減されている。これによって、巻線工程時間の短縮が
図られる。
【0124】さらに、本実施の形態のフライバックトラ
ンスFBTの構造によっては低圧一次巻線N1と低圧二
次巻線N2との巻き面積が拡大するために、例えば図7
に示す回路の場合には、これらの巻線について60μm
φ/80束のリッツ線を用いていたのが、本実施の形態
の場合には、例えば60μmφ/130束のリッツ線の
ように、より束数の多いリッツ線を用いることができる
ため、銅損による電力損失が低減されて電力変換効率が
向上する。具体的には、図9に示した回路のAC/DC電力
変換効率が90.1%であったのに対して、図4に示し
た本実施の形態の回路では、90.6%にまで向上され
た。また、交流入力電力は1.3W低減された。
【0125】また、先の実施の形態と同様に、スイッチ
ングコンバータのオン/オフ動作を水平同期信号周波数
fHに同期させていることで、フライバックトランスF
BTから輻射される漏洩磁束による水平偏向回路部品へ
の干渉、及びビートノイズの問題が解消されるものであ
る。
【0126】なお、例えば、上記実施の形態では、メイ
ンとなるスイッチング素子と補助スイッチング素子とに
ついては、バイポーラトランジスタを採用するものとし
ているが、MOS−FET、IGBT等の他の素子を採
用することも考えられるものである。ここで、MOS−
FET、IGBTを採用する場合には、例えば汎用IC
を用いた発振駆動回路を用いることで他励式によってス
イッチング駆動するように構成すればよい。また、二次
側共振回路を含んで形成される二次側の整流回路として
も、実施の形態としての各図に示した構成に限定される
ものではなく、他の回路構成が採用されて構わないもの
である。
【0127】
【発明の効果】請求項1に記載の発明による電源回路で
は、一次側電圧共振形コンバータのスイッチング出力が
伝送されるフライバックトランスにおいて、昇圧巻線は
一次巻線と密結合の状態となるように巻装され、一方、
低圧二次巻線は一次巻線と疎結合の状態となるようにし
て巻装される。また、請求項2に記載の発明による電源
回路では、フライバックトランスにおいて高圧用一次巻
線と昇圧巻線とが密結合となるようにして巻装され、ま
た、低圧一次巻線と低圧二次巻線N2とが疎結合となる
ようにして巻装される。また、これらの各構成において
は、低圧二次巻線側にて二次側並列共振回路が形成され
るようにすることで、複合共振形スイッチングコンバー
タとしての動作が得られるようになっている。そして、
フライバックトランスの二次側においては、昇圧巻線に
励起された交番電圧を利用して直流高電圧を生成し、ま
た、低圧二次巻線に励起された交番電圧を利用して直流
低電圧を生成するようにされる。このような構成が採ら
れる結果、本発明の電源回路としては、直流高電圧と直
流低電圧という2種類の二次側直流出力電圧を得るのに
あたり、高圧発生トランスだけを設ければよく、絶縁コ
ンバータトランスについては削除されることになる。
【0128】絶縁コンバータトランスが削除されること
で、構成部品としては、少なくとも、そのトランスのた
めのコアがが削除されることになるのであるが、絶縁コ
ンバータトランスは比較的大型なトランスであるから、
そのコアが削除されることで、基板サイズは大幅に縮小
することが可能になり、結果として小型軽量化を有効に
促進することが可能になるものである。これに加えて、
請求項1に記載される発明による電源回路では、1組分
の巻線が省略されることで、それだけ巻線工程も少なく
なってその時間が短縮されるので、例えばスイッチング
電源回路あたりの製造効率も向上されることになる。さ
らに、請求項2による発明に基づく電源回路について
は、低圧一次巻線と低圧二次巻線の巻き数が削減される
ことから、これによる巻線工程時間の短縮が図られる。
また、これらの巻線の巻き面積も拡大してより束数の多
いリッツ線を巻線として選定できるので、銅損による電
力損失は低減されて電力変換効率が向上されることにな
る。このようにして、本発明によっては、スイッチング
電源回路の大幅な小型軽量化の促進が図られるものであ
り、これに伴って、製造効率の向上やコストの削減、さ
らには電力変換効率の向上も図られるという効果を有し
ている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態としてのスイッチン
グ電源回路の構成例を示す回路図である。
【図2】図1に示す電源回路における要部の動作を示す
波形図である。
【図3】図1に示す電源回路に備えられるフライバック
トランスの構造例を示す断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態としてのスイッチン
グ電源回路の構成例を示す回路図である。
【図5】図4に示す電源回路における要部の動作を示す
波形図である。
【図6】図4に示す電源回路に備えられるフライバック
トランスの構造例を示す断面図である。
【図7】先行技術としてのスイッチング電源回路の構成
を示す回路図である。
【図8】図7に示す電源回路における要部の動作を示す
波形図である。
【図9】先行技術としてのスイッチング電源回路の他の
構成を示す回路図である。
【図10】図9に示す電源回路における要部の動作を示
す波形図である。
【図11】絶縁コンバータトランスの構造例を示す断面
図である。
【図12】従来のフライバックトランスの構造例とし
て、昇圧巻線が層間巻きされる場合を示す断面図であ
る。
【図13】従来のフライバックトランスの構造例とし
て、昇圧巻線が分割巻きされる場合を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1A 第1制御回路、1B 第2制御回路、10,11
アクティブクランプ回路、FBT フライバックトラ
ンス、40 高圧発生回路、Q1 メインスイッチング
素子、Cr 一次側並列共振コンデンサ、C2 二次側
並列共振コンデンサ、Q2 補助スイッチング素子、D
D,DD2 クランプダイオード、CCL クランプコンデ
ンサ、NO 一次巻線、N1 低圧一次巻線、N2 低圧
二次巻線、NHV1〜NHV5 昇圧巻線、DHV1〜DHV5 高
圧整流ダイオード、COHV 平滑コンデンサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5H006 BB04 CA01 CA02 CA07 CA12 CA13 CB03 CB04 CC08 DA04 DB01 DC05 5H730 AA02 AA14 AA16 AS01 AS04 AS15 BB43 BB52 BB76 BB77 CC01 DD02 DD04 DD41 EE02 EE06 EE07 EE19 EE59 EE72 FD01 FD21 FG07 ZZ16

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力された直流入力電圧を断続して出力
    するためのメインスイッチング素子を備えて形成される
    スイッチング手段と、 上記スイッチング手段の動作を電圧共振形とする一次側
    並列共振回路が形成されるようにして備えられる一次側
    並列共振コンデンサと、 二組のU字形磁心がギャップを介して接合されるU−U
    字形磁心と、このU−U字形磁心の一方の磁脚に巻装さ
    れる一次巻線と、この一次巻線と同軸上に巻装されて、
    上記一次巻線と密結合とされる所要の結合度が得られる
    ようにされた二次側昇圧巻線と、上記U−U字形磁心の
    他方の磁脚に巻装され、上記一次巻線とは疎結合とされ
    る所要の結合度が得られるようにされた二次側低圧巻線
    と、を有する高圧発生トランスと、 上記二次側低圧巻線に対して二次側並列共振コンデンサ
    を並列に接続するようにして形成される二次側並列共振
    回路と、 上記二次側並列共振回路を含んで形成され、上記二次側
    低圧巻線から得られる交番電圧の正期間の電圧について
    半波整流動作を行うことで、直流低電圧を得るように構
    成された直流低電圧生成手段と、 上記二次側昇圧巻線に得られる高圧電圧について整流動
    作を行うことで、直流高電圧を得るようにされる直流高
    電圧生成手段と、 少なくとも二次側クランプコンデンサと二次側補助スイ
    ッチング素子との直列接続回路からなり、この直列接続
    回路が上記二次側並列共振回路に対して並列に接続され
    る二次側アクティブクランプ手段と、 上記直流低電圧生成手段により生成される電圧レベルに
    応じて上記二次側補助スイッチング素子の導通角制御を
    行うことで、定電圧制御を行うようにされる第一の定電
    圧制御手段と、 少なくとも一次側クランプコンデンサと一次側補助スイ
    ッチング素子との直列接続回路からなり、この直列接続
    回路が上記一次巻線に対して並列に接続される一次側ア
    クティブクランプ手段と、 上記直流高電圧生成手段により生成される電圧レベルに
    応じて上記一次側補助スイッチング素子の導通角制御を
    行うことで、定電圧制御を行うようにされる第二の定電
    圧制御手段と、 を備えていることを特徴とするスイッチング電源回路。
  2. 【請求項2】 入力された直流入力電圧を断続して出力
    するためのメインスイッチング素子を備えて形成される
    スイッチング手段と、 上記スイッチング手段の動作を電圧共振形とする一次側
    並列共振回路が形成されるようにして備えられる一次側
    並列共振コンデンサと、 二組のU字形磁心がギャップを介して接合されるU−U
    字形磁心と、このU−U字形磁心の一方の磁脚に巻装さ
    れる高圧用一次巻線と、この高圧用一次巻線と同軸上に
    巻装されて、上記高圧用一次巻線と密結合とされる所要
    の結合度が得られるようにされた二次側昇圧巻線と、上
    記高圧用一次巻線と並列に接続されると共に、上記U−
    U字形磁心の他方の磁脚に巻装される低圧用一次巻線
    と、この低圧用一次巻線とは疎結合とされる所要の結合
    度が得られるように、低圧用一次巻線と同じ磁脚に対し
    て巻装される二次側低圧巻線と、を有する高圧発生トラ
    ンスと、 上記二次側低圧巻線に対して二次側並列共振コンデンサ
    を並列に接続するようにして形成される二次側並列共振
    回路と、 上記二次側並列共振回路を含んで形成され、上記二次側
    低圧巻線から得られる交番電圧の正期間の電圧について
    半波整流動作を行うことで、直流低電圧を得るように構
    成された直流低電圧生成手段と、 上記二次側昇圧巻線に得られる高圧電圧について整流動
    作を行うことで、直流高電圧を得るようにされる直流高
    電圧生成手段と、 少なくとも二次側クランプコンデンサと二次側補助スイ
    ッチング素子との直列接続回路からなり、この直列接続
    回路が上記二次側並列共振回路に対して並列に接続され
    る二次側アクティブクランプ手段と、 上記直流低電圧生成手段により生成される電圧レベルに
    応じて上記二次側補助スイッチング素子の導通角制御を
    行うことで、定電圧制御を行うようにされる第一の定電
    圧制御手段と、 少なくとも一次側クランプコンデンサと一次側補助スイ
    ッチング素子との直列接続回路からなり、この直列接続
    回路が上記低圧用一次巻線に対して並列に接続される一
    次側アクティブクランプ手段と、 上記直流高電圧生成手段により生成される電圧レベルに
    応じて上記一次側補助スイッチング素子の導通角制御を
    行うことで、定電圧制御を行うようにされる第二の定電
    圧制御手段と、 を備えていることを特徴とするスイッチング電源回路。
  3. 【請求項3】 陰極線管表示装置で用いる水平同期信号
    に同期した信号に基づいて、上記メインスイッチング素
    子について、水平同期信号周波数に同期したスイッチン
    グ動作を実行させる同期手段を備えることを特徴とする
    請求項1又は請求項2に記載のスイッチング電源回路。
  4. 【請求項4】 上記直流入力電圧ラインと上記高圧発生
    トランスの一次巻線端部との間に対して上記メインスイ
    ッチング素子が直列に挿入されていることを特徴とする
    請求項1又は請求項2に記載のスイッチング電源回路。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2008037221A1 (fr) * 2006-09-30 2008-04-03 Dongping Yang Alimentation et son transformateur
WO2019189018A1 (ja) * 2018-03-28 2019-10-03 パナソニックIpマネジメント株式会社 Llc共振コンバーター

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