JP2001178128A - スイッチング電源回路 - Google Patents

スイッチング電源回路

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JP2001178128A
JP2001178128A JP35333399A JP35333399A JP2001178128A JP 2001178128 A JP2001178128 A JP 2001178128A JP 35333399 A JP35333399 A JP 35333399A JP 35333399 A JP35333399 A JP 35333399A JP 2001178128 A JP2001178128 A JP 2001178128A
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voltage
winding
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transformer
high voltage
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Masayuki Yasumura
昌之 安村
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安定した直流高電圧を出力することができる
スイッチング電源回路を提供する。 【解決手段】 複合共振形としてのスイッチング電源回
路を構成している絶縁コンバータトランスPITの二次
側から得られる共振電圧V2を、昇圧トランスHVTの
一次側に対して直接入力するようにしている。そして、
昇圧トランスHVTにおいて共振電圧V2を昇圧した
後、高圧発生回路4にて所定の高圧レベルとされる直流
高電圧EHVを得るようにしている。これにより、例えば
テレビジョン受像機の水平偏向を行うのに必要とされる
直流高電圧を得るのに、水平偏向回路系は介在しないで
済むため、入力電圧から直流高電圧を得る際の電力変換
効率の向上が図られることになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種電子機器に電
源として備えられるスイッチング電源回路に関わり、特
に安定した高電圧を出力するためのスイッチング電源回
路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から例えばテレビジョン受像機やプ
ロジェクタ装置等の電子機器においては、画像表示を行
うために陰極線管(CRT:Cathode-ray Tube)を備え
たものがある。陰極線管(以下、「CRT」という)を
備えたテレビジョン受像機では、良く知られているよう
に、CRTの内部に設けられている電子銃から出力され
る電子ビームを左右方向(水平方向)に偏向するための
水平偏向回路系ブロックと、上下方向(垂直方向)に偏
向するための垂直偏向系ブロックが設けられている。ま
た、水平偏向回路系ブロックには、CRTのアノード電
極に対して例えば20kV〜35kV程度の高圧を供給
する高圧発生回路が設けられている。
【0003】図11は、テレビジョン受像機に備えられ
ている水平偏向回路系ブロックと、その周辺回路の構成
を示した図である。この図に示すスイッチング電源回路
10は、入力された直流電圧にスイッチングを行い、最
終的には所定の電圧レベルの直流電圧に変換して出力す
るDC−DCコンバータとされる。このスイッチング電
源回路10の前段には、全波整流方式のブリッジ整流回
路Di及び平滑コンデンサCiから成る整流平滑回路が
設けられ、この整流平滑回路により商用交流電源(交流
入力電圧VAC)を整流平滑して直流電圧Eiを得る。そ
して、この直流電圧Eiをスイッチング電源回路10に
対して入力するようにしている。そしてこの場合には、
スイッチング電源回路10からは、所定の電圧レベルに
変換された直流出力電圧EO(EO1,EO2,EO3)が出
力されるようになっている。上記各直流出力電圧EO1,
EO2,EO3の実際の電圧レベルとしては、例えば直流出
力電圧EO1=135V、直流出力電圧EO2=15V、直
流出力電圧EO3=7Vとされる。
【0004】水平発振回路20には、映像信号等に含ま
れている水平同期信号fHが入力される。そして、この
水平同期信号fHに対応した発振周波数(15.75k
Hz)により発振を行い、水平同期信号fHに同期した
パルス電圧を出力する。
【0005】一点鎖線で囲って示した水平ドライブ回路
30は、水平発振回路20からのパルス電圧を増幅し、
後述する水平出力回路40に対して十分大きいドライブ
電流(駆動電流)を供給する。この場合、水平ドライブ
回路30の構成としては、負荷となる水平出力回路40
により水平発振回路20から供給されるパルス電圧の周
期が変動しないように、通常はエミッタ接地のトランス
結合増幅回路によって構成されている。
【0006】水平ドライブ回路30においては、図示す
るように、例えばトランジスタQ11のベースがコンデン
サC11を介して水平発振回路20に対して接続され、水
平発振回路20からのパルス電圧がトランジスタQ11の
ベースに入力されている。また、そのベース−エミッタ
間には、バイアス抵抗R11が挿入され、ベースに対して
所定のバイアス電圧が印加されている。スイッチング素
子Q11のコレクタは、水平ドライブトランスHDTの一
次巻線N11及びコレクタ抵抗R13を介して上記スイッチ
ング電源回路10の二次側出力端子(直流出力電圧EO
1)に接続され、そのエミッタが接地されている。ま
た、そのコレクタ−エミッタ間には、コンデンサC12と
抵抗R12との直列接続回路からなるダンピング回路が設
けられている。なお、上記コンデンサC12と抵抗R12と
の直列接続回路からなるダンピング回路は、水平ドライ
ブトランスHDTの一次巻線N11を流れる電流に対し
て、サージ電流や振動電流(リンギング電流)が重畳さ
れるのを防止している。また、水平ドライブトランスH
DTの一次巻線N11の巻始め端部と二次側アースとの間
に設けられているコンデンサC13はノイズ除去用のコン
デンサとされる。
【0007】水平ドライブトランスHDTは、一次巻線
N11の出力を二次巻線N21に伝送する絶縁トランスとさ
れる。この場合、水平ドライブトランスHDTの一次巻
線N11と二次巻線N21の極性(巻方向)は逆極性となる
ように巻装される。そして、一次巻線N11の巻始め端部
は、コレクタ抵抗R13を介して上記スイッチング電源回
路10の直流出力端子(直流出力電圧EO1)に接続さ
れ、その巻終わり端部がトランジスタQ11のコレクタに
接続されている。また、その二次巻線N21の巻終わり端
部は、後述する水平出力回路40の出力トランジスタQ
12のベースに接続され、その巻始め端部がアースに対し
て接地されている。
【0008】一点鎖線で囲って示した水平出力回路40
は、上記水平ドライブトランスHDTの二次側から得ら
れる出力を増幅することで、CRTの電子銃から出力さ
れる電子ビームを水平方向に走査する水平偏向電流IDY
を発生させる。また同時に、後述する高圧発生回路50
において高電圧を発生させるためのフライバックパルス
を生成するように構成される。
【0009】水平出力回路40においては、出力トラン
ジスタQ12のベースが上記水平ドライブトランスHDT
の二次巻線N21の巻終わり端部に接続され、そのコレク
タが後述するフライバックトランスFBTの一次側低圧
巻線NLVを介してスイッチング電源回路10の二次側出
力端子(二次側出力電圧EO1)に接続されている。な
お、そのエミッタは接地されている。また、出力トラン
ジスタQ12のコレクタ−エミッタ間には、ダンパダイオ
ードD11、水平帰線コンデンサCr1が並列に接続され
ている。さらに、そのコレクタ−エミッタ間には、[水
平偏向ヨークHDY、水平直線補正コイルHLC、S字補正
コンデンサCS1]から成る直列接続回路が接続されてい
るものとされる。
【0010】このような構成とされる水平出力回路40
では、水平帰線コンデンサCr1のキャパシタンスと、
フライバックトランスFBTの一次側低圧巻線NLVのリ
ーケージインダクタンス成分LLVとにより、電圧共振形
コンバータを形成している。そして、水平ドライブトラ
ンスHDTの二次側出力によって出力トランジスタQ12
がオン/オフ動作されることで、水平偏向ヨークHDYに
は鋸歯状波形とされる水平偏向電流IDYが流れる。ま
た、出力トランジスタQ12がオフとなる期間では、水平
偏向ヨークHDYのインダクタンスLDYと水平帰線コンデ
ンサCr1のキャパシタンスとの共振動作、及びダンパ
ダイオードD11の作用によって、水平帰線コンデンサC
r1の両端には、比較的高電圧とされるパルス電圧(フ
ライバックパルス電圧)V1が発生する。なお、水平直
線補正コイルHLC、及びS字補正コンデンサCS1の動作
については省略するが、例えば水平偏向電流IDYを補正
してCRTの管面に表示される画像の歪みを補正するよ
うに動作している。
【0011】一点鎖線で囲って示した高圧発生回路50
は、例えばフライバックトランスFBT(Fly Back Tra
nsformer)と高圧整流回路によって構成されており、上
記水平出力回路40にて生成されるフライバックパルス
電圧V1を昇圧して、例えばCRTのアノード電圧レベ
ルに対応した高電圧を生成する。
【0012】ここで、図15に上記フライバックトラン
スFBTの断面図を示し、この図15を用いて、フライ
バックトランスFBTの構造を説明しておく。この図に
示すフライバックトランスFBTでは、2つのコの字形
コアCR10,CR20の各磁脚を対向するように組み
合わせることで角形コアCR30が形成される。そし
て、コの字形コアCR10の端部と、コの字形コアCR
20の端部との対向する部分にはギャップGを設けるよ
うにされる。そして、図示するように、角形コアCR3
0の一方の磁脚に対して、低圧巻線ボビンLBと高圧巻
線ボビンHBとを取付けることで、これら低圧巻線ボビ
ンLB及び高圧巻線ボビンHBに対して、それぞれ一次
側低圧巻線NLV及び二次側高圧巻線NHVを分割して巻装
するようにしている。この場合、低圧巻線ボビンLBに
は単線を用いて一次側低圧巻線NLVが巻装され、高圧巻
線ボビンHBには同じく単線を用いて二次側高圧巻線N
HVが巻装される。この時、高圧巻線ボビンHBには、例
えば複数の二次側高圧巻線NHVを絶縁した状態で巻装す
る必要があるため、二次側高圧巻線NHVの巻き方は、各
二次側高圧巻線NHVの間に層間フィルムFを挿入して巻
き上げる、いわゆる層間巻きとされている。
【0013】上記図15に示した構造のフライバックト
ランスFBTの実際としては、例えば二次側高圧巻線N
HVとして5組の二次側高圧巻線NHV1,NHV2,NHV3,
NHV4,NHV5が分割されて各々独立した状態で巻装され
ている。なお、一次側低圧巻線NLVとしては1つの巻線
だけが巻装されている。ここで、一次側低圧巻線NLVに
対する各二次側高圧巻線NHV1〜NHV5の極性(巻方向)
は逆極性となるように巻装されている。一次側低圧巻線
NLVの巻始め端部は、スイッチング電源回路10の二次
側出力端子(直流出力電圧EO1)に接続され、巻終わり
端部は出力トランジスタQ12のコレクタに対して接続さ
れている。また、二次側高圧巻線NHV1〜NHV5の各々に
対しては、その巻き終わり端部に対して、高圧整流ダイ
オードDHV1,DHV2,DHV3,DHV4,DHV5のアノード
側が接続されている。そして、高圧整流ダイオードDHV
1のカソードは抵抗RHVを介して平滑コンデンサCHVO1
の正極端子と接続され、また、高圧整流ダイオードDHV
1,DHV2,DHV3,DHV4,DHV5の各カソードは、それ
ぞれ、二次側高圧巻線NHV1,NHV2,NHV3,NHV4の巻
き始め端部に対して接続される。
【0014】このような接続形態では、[二次側高圧巻
線NHV1、高圧整流ダイオードDHV1]、[二次側高圧巻
線NHV2、高圧整流ダイオードDHV2]、[二次側高圧巻
線NHV3、高圧整流ダイオードDHV3]、[二次側高圧巻
線NHV4、高圧整流ダイオードDHV4]、[二次側高圧巻
線NHV5、高圧整流ダイオードDHV5]という5組の半波
整流回路が形成され、そして、これら5組の半波整流回
路が直列に接続されていることになる。
【0015】従って、フライバックトランスFBTの二
次側においては、5組の半波整流回路が二次側高圧巻線
NHV1〜NHV5に誘起された電圧を整流して平滑コンデン
サCHVO1に対して充電するという動作を行うことで、平
滑コンデンサCHVO1の両端には、各二次側高圧巻線NHV
1〜NHV5に誘起される電圧の5倍に対応するレベルの直
流電圧が得られることになる。つまり、5倍電圧半波整
流回路が形成されていることになる。この平滑コンデン
サCHVO1の両端に得られた直流電圧は直流高電圧EHVと
されて、例えばCRTのアノード電圧として利用され
る。
【0016】なお、高圧整流ダイオードDHV3のカソー
ドと二次側アースとの間に挿入されている[抵抗R1、
可変抵抗R2、抵抗R3]からなる直列接続回路は、上記
直流高電圧EHVより低い電圧レベルを得るために設けら
れ、例えばCRTのフォーカス電圧等として利用される
直流出力電圧EFVを出力する。
【0017】上記図11に示した回路の各部の動作波形
は図12に示される。図11に示す回路では、出力トラ
ンジスタQ12のベースには、水平ドライブ回路30にて
増幅された水平発振回路20からパルス電圧が入力され
ることから、出力トランジスタQ12のスイッチング周波
数は、水平同期信号fHの同期周波数(15.75kH
z)に対応したものとなる。例えば、図示するように出
力トランジスタQ12のオン期間(水平走査期間)TONが
52.7μs、オフ期間(水平帰線期間)TOFFが1
0.8μsになっており、この期間TONと期間TOFFを
合わせた1周期の期間(63.5μS)が水平同期信号
fHの周期に対応している。
【0018】この場合、出力トランジスタQ12のコレク
タには、スイッチング素子Q12のオン/オフ動作によ
り、図12(d)に示すような波形のコレクタ電流IC
が流れる。これによりフライバックトランスFBTの一
次側低圧巻線NLVには、図12(c)に示すような波形
の一次側電流I1が流れ、水平偏向ヨークHDYには図1
2(b)に示すような波形の水平偏向電流IDYが流れる
ことになる。
【0019】この時、出力トランジスタQ12のコレクタ
−エミッタ間に対して並列に接続されている水平帰線コ
ンデンサCr1の両端電圧V1は、図12(a)に示すよ
うに、出力トランジスタQ12がオンとなる期間TONでは
0レベルになる。また、出力トランジスタQ12がオフと
なる期間TOFFでは、水平偏向ヨークHDYのインダクタ
ンス成分LDYと水平帰線コンデンサCr1のキャパシタ
ンスとの共振動作によって、例えば1000Vp〜12
00Vp程度のフライバックパルス電圧V1が発生す
る。
【0020】そして、図11に示した高圧発生回路50
では、上記のようなフライバックパルス電圧V1によ
り、フライバックトランスFBTの一次側に印加される
正のパルス電圧を昇圧して、二次側から所定の直流高電
圧EHVを得るようにしている。例えば水平帰線コンデン
サCr1の両端に1000Vp〜1200Vpのフライ
バックパルス電圧V1が発生した場合は、図13に示す
ように、フライバックトランスFBTの一次側低圧巻線
NLVには約900Vp程度の正のパルス電圧が印加され
る。これにより、各二次側高圧巻線NHV1〜NHV5には、
上記正のパルス電圧を約6.5kV程度にまで昇圧され
た誘起電圧が発生する。高圧発生回路50には5組の二
次側高圧巻線NHV1〜NHV5が巻装され、5倍電圧半波整
流回路が設けられていることから、高圧発生回路50か
らは約32kVの直流高電圧EHVが出力されることにな
る。
【0021】なお、このようなフライバックトランスF
BTの一次側低圧巻線NLV及び二次側高圧巻線NHV1〜
NHV5の巻線数は、例えば各二次側高圧巻線NHV1〜NHV
5として、高圧巻線ボビンHBに500T(ターン)程
度の巻線を巻装した後、所定の直流高電圧EHVが得られ
るように低圧巻線ボビンLBに一次側低圧巻線NLVを所
定のターン巻装することで構成されるものである。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】ところで、図11に示
した回路は、水平出力回路40にて得られるフライバッ
クパルス電圧V1を利用して高圧発生回路50から直流
高電圧EHVを得るようにしている。このため、入力電力
を高圧負荷電力に変換する際の電力変換効率は約70%
程度となり、高圧負荷電力を得る際の無効電力は比較的
大きいものとされる。
【0023】また、高圧発生回路50では、フライバッ
クトランスFBTの一次側低圧巻線NLVに入力される正
のパルス電圧(フライバックパルス電圧)により、各二
次側高圧巻線NHVに誘起される誘起電圧を得、この誘起
電圧のピーク値を、各高圧整流ダイオードDHVによって
半波整流することで、直流高電圧EHVを得るようにして
いる。しかしながら、この場合は高圧整流ダイオードD
HVの導通角が狭く、等価的には電源インピーダンスが高
くなるため、直流高電圧EHVの電圧レベルは、高圧負荷
の変動の影響を受けやすくなるという欠点がある。
【0024】例えば図11に示した回路をCRTの画面
サイズが29インチ以上とされるテレビジョン受像機に
適用した場合、高圧発生回路50からは、CRTの画面
輝度を確保するために、アノード電極に対して2mA以
上のビーム電流IHVを供給する必要がある。つまり、C
RTのアノード電極に対して供給される直流高電圧EHV
の電圧レベルを例えば32kVとすると、高圧発生回路
50からの高圧負荷電力としては64W(32kV×2
mA)必要になる。このため、高圧発生回路50から
は、高圧負荷電力として、少なくとも0W(IHV=0m
A)〜64W(IHV=2mA)までは変動することが考
えられる。
【0025】一例として高圧負荷電力を0W(IHV=0
mA)〜64W(IHV=2mA)まで変化させた時に、
高圧発生回路50から出力される直流高電圧EHVの変化
の様子を図14に示す。この場合、高圧負荷電力が0W
(IHV=0mA)の時は、直流高電圧EHVの電圧レベル
が32kVになっている。これに対して、高圧負荷電力
が64W(IHV=2mA)まで増加すると、高圧整流ダ
イオードDHV、及び突入電流制限抵抗RHV等による電圧
降下によって直流高電圧は約30.5kVまで低下して
いる。つまり、図11に示した回路を実際のテレビジョ
ン受像機等に適用した場合は、高圧負荷電力の実使用範
囲内(0W〜64W)における直流高電圧EHVの電圧レ
ベル幅ΔEHVは約1.5kVになる。
【0026】このように直流高電圧EHVの電圧レベルが
変動すると、例えば水平偏向電流IDYの電流値が一定の
もとでは、CRTから出力される電子ビームの水平方向
の振幅が変化する。このため、実際のテレビジョン受像
機においては、直流高電圧EHVの変動によって電子ビー
ムの水平方向の振幅が変化しないように、水平偏向電流
IDYの電流値を補正するズーミング補正回路等を水平出
力回路40に対して設ける必要があった。
【0027】また、フライバックトランスFBTは、上
述したように、一方の磁脚に対してのみ巻線が施されて
いることから、巻線が施されていない他方の磁脚のギャ
ップGからの漏洩磁束や、二次側高圧巻線NHVの漏洩イ
ンダクタンスの分布容量によって、リンギング(振動)
が発生することがある。例えば二次側高圧巻線NHVの漏
洩インダクタンスによって、図13に示すように、二次
側高圧巻線NHVに誘起される誘起電圧が負レベルとなる
タイミングでリンギング(振動)が発生すると、図12
(c)に示したフライバックトランスFBTの一次側を
流れる一次側電流I1にリンギング成分が重畳される。
これにより、図12(b)に示した水平偏向電流IDYに
もリンギング電流成分が重畳されるため、例えばCRT
の画面左端にラスターリンギングが生じる。このため、
実際のテレビジョン受像機では、ラスターリンギングを
防止するために何らかの対策が必要になる。
【0028】また、フライバックトランスFBTにおい
ては、一次側低圧巻線NLVを流れる一次側電流(フライ
バック電流)I1に直流成分が重畳されるため、フライ
バックトランスFBTが飽和しないようにコアの形状を
太くしたり、一次側電流I1が流れる一次側低圧巻線NL
Vの巻線径を太くする必要がある。この結果、フライバ
ックトランスFBTの形状が大型化するという欠点もあ
った。
【0029】また、フライバックトランスFBTの一次
側を流れる一次側電流I1に直流電流成分が重畳される
と、これに伴って出力トランジスタQ12を流れるコレク
タ電流ICのピークレベルが増加する。このため、出力
トランジスタQ12を大電力に耐えられる高耐圧トランジ
スタによって構成したり、出力トランジスタQ12の発熱
を抑えるための放熱板等を取り付ける等の対策が必要に
なる。
【0030】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明のスイッ
チング電源回路は、上記した課題を考慮して以下のよう
に構成する。つまり、スイッチング素子を備え、入力さ
れた直流入力電圧を断続して出力するスイッチング手段
と、スイッチング手段の出力を二次側に伝送する絶縁コ
ンバータトランスと、スイッチング手段の動作を電圧共
振形とするようにして挿入される一次側電圧共振回路
と、絶縁コンバータトランスの二次巻線に対して二次側
並列共振コンデンサを並列に接続することで形成される
二次側並列共振回路と、絶縁コンバータトランスの二次
巻線に得られる交番電圧を入力して整流動作を行うこと
で、二次側直流出力電圧を得るように構成された直流出
力電圧生成手段と、二次側直流出力電圧のレベルに応じ
て、スイッチング素子のスイッチング周波数を可変する
ことで定電圧制御を行うようにされる定電圧制御手段
と、一次側に入力される交番電圧を二次側に伝送するこ
とで、二次側において交番電圧を昇圧した昇圧電圧を得
るようにされる昇圧トランスと、昇圧トランスの二次側
に得られる昇圧電圧を入力して整流動作を行うことで、
所定の高圧レベルとされる直流高電圧を得るように構成
された直流高電圧生成手段とを備えるようにした。
【0031】即ち、本発明によれば、複合共振形として
のスイッチング電源回路を構成している絶縁コンバータ
トランスの二次側から得られる共振電圧を、昇圧トラン
スの一次側に対して直接入力するようにしている。そし
て、昇圧トランスにおいて共振電圧を昇圧した後、直流
高電圧生成手段にて所定の高圧レベルとされる直流高電
圧を得るようにしている。つまり、本発明にあっては、
例えばテレビジョン受像機の水平偏向を行うのに必要と
される直流高電圧を得るのに、水平偏向回路系は介在し
ないようにされる。
【0032】
【発明の実施の形態】図1の回路図は、本発明の実施の
形態としてのスイッチング電源回路の構成を示した図で
ある。この図に示す電源回路は、1石のスイッチング素
子Q1を備えて、いわゆるシングルエンド方式で自励式
によりスイッチング動作を行う電圧共振形コンバータを
備えて構成される。この場合、スイッチング素子Q1に
は、高耐圧のバイポーラトランジスタ(BJT;接合型
トランジスタ)が採用されている。そして、商用交流電
源(交流入力電圧VAC)がブリッジ整流回路Di及び平
滑コンデンサCiによって、交流入力電圧VACの1倍の
レベルに対応する整流平滑電圧Eiを生成する。
【0033】スイッチング素子Q1のベースは、起動抵
抗RSを介して平滑コンデンサCi(整流平滑電圧E
i)の正極側に接続されて、起動時のベース電流を整流
平滑ラインから得るようにしている。また、スイッチン
グ素子Q1のベースと一次側アース間には、駆動巻線N
B、共振コンデンサCB、ベース電流制限抵抗RBの直列
接続回路よりなる自励発振駆動用の直列共振回路が接続
される。また、スイッチング素子Q1のベースと平滑コ
ンデンサCiの負極(1次側アース)間に挿入されるク
ランプダイオードDDにより、スイッチング素子Q1のオ
フ時に流れるクランプ電流の経路を形成するようにされ
ており、また、スイッチング素子Q1のコレクタは、絶
縁コンバータトランスPITの一次巻線N1の一端と接
続され、エミッタは接地される。
【0034】また、上記スイッチング素子Q1のコレク
タ−エミッタ間に対しては、並列共振コンデンサCrが
並列に接続されている。この並列共振コンデンサCr
は、自身のキャパシタンスと、後述する絶縁コンバータ
トランスPITの一次巻線N1側のリーケージインダク
タンスL1とにより電圧共振形コンバータの一次側並列
共振回路を形成する。そして、ここでは詳しい説明を省
略するが、スイッチング素子Q1のオフ時には、この並
列共振回路の作用によって共振コンデンサCrの両端電
圧Vcpは、実際には正弦波状のパルス波形となって電
圧共振形の動作が得られるようになっている。
【0035】直交形制御トランスPRTは、共振電流検
出巻線ND、駆動巻線NB、及び制御巻線NCが巻装され
た可飽和リアクトルである。この直交形制御トランスP
RTは、スイッチング素子Q1を駆動すると共に、定電
圧制御のために設けられる。この直交形制御トランスP
RTの構造としては、図示は省略するが、4本の磁脚を
有する2つのダブルコの字形コアの互いの磁脚の端部を
接合するようにして立体型コアを形成する。そして、こ
の立体型コアの所定の2本の磁脚に対して、同じ巻回方
向に共振電流検出巻線ND、駆動巻線NBを巻装し、更に
制御巻線NCを、上記共振電流検出巻線ND及び駆動巻線
NBに対して直交する方向に巻装して構成される。
【0036】この場合、直交形制御トランスPRTの共
振電流検出巻線NDは、平滑コンデンサCiの正極と絶
縁コンバータトランスPITの一次巻線N1との間に直
列に挿入されることで、スイッチング素子Q1のスイッ
チング出力は、一次巻線N1を介して共振電流検出巻線
NDに伝達される。直交形制御トランスPRTにおいて
は、共振電流検出巻線NDに得られたスイッチング出力
がトランス結合を介して駆動巻線NBに誘起されること
で、駆動巻線NBにはドライブ電圧としての交番電圧が
発生する。このドライブ電圧は、自励発振駆動回路を形
成する直列共振回路(NB,CB)からベース電流制限抵
抗RBを介して、ドライブ電流としてスイッチング素子
Q1のベースに出力される。これにより、スイッチング
素子Q1は、直列共振回路の共振周波数により決定され
るスイッチング周波数でスイッチング動作を行うことに
なる。
【0037】絶縁コンバータトランスPITは、スイッ
チング素子Q1のスイッチング出力を二次側に伝送す
る。絶縁コンバータトランスPITは、図7に示すよう
に、例えばフェライト材によるE型コアCR1、CR2
を互いの磁脚が対向するように組み合わせたEE型コア
が備えられ、このEE型コアの中央磁脚に対して、分割
ボビンBを利用して一次巻線N1と、二次巻線N2をそれ
ぞれ分割した状態で巻装している。そして、中央磁脚に
対しては図のようにギャップGを形成するようにしてい
る。これによって、所要の結合係数による疎結合が得ら
れるようにしている。ギャップGは、E型コアCR1,
CR2の中央磁脚を、2本の外磁脚よりも短くすること
で形成することが出来る。また、結合係数kとしては、
例えばk≒0.85という疎結合の状態を得るようにし
ており、その分、飽和状態が得られにくいようにしてい
る。
【0038】上記絶縁コンバータトランスPITの一次
巻線N1の一端は、図1に示すようにスイッチング素子
Q1のコレクタと接続され、他端側は共振電流検出巻線
NDの直列接続を介して平滑コンデンサCiの正極(整
流平滑電圧Ei)と接続されている。
【0039】絶縁コンバータトランスPITの二次側で
は、一次巻線N1により誘起された交番電圧が二次巻線
N2に発生する。この場合、二次巻線N2に対しては、二
次側並列共振コンデンサC2が並列に接続されること
で、二次巻線N2のリーケージインダクタンスL2と二次
側並列共振コンデンサC2のキャパシタンスとによって
並列共振回路が形成される。この並列共振回路により、
二次巻線N2に誘起される交番電圧は共振電圧となる。
つまり絶縁コンバータトランスPITの二次側において
電圧共振動作が得られる。
【0040】即ち、この電源回路では、一次側にはスイ
ッチング動作を電圧共振形とするための並列共振回路が
備えられ、二次側には電圧共振動作を得るための並列共
振回路が備えられる。なお、本明細書では、このように
一次側及び二次側に対して共振回路が備えられて動作す
る構成のスイッチングコンバータについては、「複合共
振形スイッチングコンバータ」ともいうことにする。
【0041】上記ようにして形成される電源回路の二次
側に対しては、ブリッジ整流回路DBR及び平滑コンデン
サCO1から成る整流平滑回路を備えることで直流出力電
圧EO1を得るようにしている。つまり、この構成では二
次側においてブリッジ整流回路DBRによって全波整流動
作を得ている。この場合、ブリッジ整流回路DBRは二次
側並列共振回路から供給される共振電圧を入力すること
で、所定の電圧レベル(例えば135V)とされる直流
出力電圧EO1を生成する。なお、この直流出力電圧EO1
は制御回路1に対しても分岐して入力される。制御回路
1においては、直流出力電圧EO1を検出電圧として利用
する。
【0042】ところで、絶縁コンバータトランスPIT
においては、一次巻線N1、二次巻線N2の極性(巻方
向)と整流ダイオードDO(DO1,DO2)の接続との関
係によって、一次巻線N1のインダクタンスL1と二次巻
線N2のインダクタンスL2との相互インダクタンスMに
ついて、+Mとなる場合と−Mとなる場合とがある。例
えば、図8(a)に示す接続形態を採る場合に相互イン
ダクタンスは+Mとなり、図8(b)に示す接続形態を
採る場合に相互インダクタンスは−Mとなる。これを、
図1に示す本実施の形態の電源回路二次側の動作に対応
させてみると、例えば二次巻線N2に得られる交番電圧
が正極性のときにブリッジ整流回路DBRに整流電流が流
れる動作は+Mの動作モード(フォワード方式)と見る
ことができ、また逆に二次巻線N2に得られる交番電圧
が負極性のときにブリッジ整流ダイオードDBRに整流電
流が流れる動作は−Mの動作モード(フライバック方
式)であると見ることができる。即ち、この図1に示す
電源回路では、二次巻線N2に得られる交番電圧が正/
負となるごとに、相互インダクタンスが+M/−Mのモ
ードで動作することになる。
【0043】このような構成では、一次側並列共振回路
と二次側並列共振回路の作用によって増加された電力が
負荷側に供給され、それだけ負荷側に供給される電力も
増加して、最大負荷電力の増加率も向上する。これは、
先に図7にて説明したように、絶縁コンバータトランス
PITに対してギャップGを形成して所要の結合係数に
よる疎結合としたことによって、更に飽和状態となりに
くい状態を得たことで実現されるものである。例えば、
絶縁コンバータトランスPITに対してギャップGが設
けられない場合には、フライバック動作時において絶縁
コンバータトランスPITが飽和状態となって動作が異
常となる可能性が高く、上述した全波整流動作が適正に
行われるのを望むのは難しい。
【0044】制御回路1では、二次側の直流出力電圧レ
ベルEO1の変化に応じて、制御巻線NCに流す制御電流
(直流電流)レベルを可変することで、直交形制御トラ
ンスPRTに巻装された駆動巻線NBのインダクタンス
LBを可変制御する。これにより、駆動巻線NBのインダ
クタンスLBを含んで形成されるスイッチング素子Q1の
ための自励発振駆動回路内の直列共振回路の共振条件が
変化する。これは、スイッチング素子Q1のスイッチン
グ周波数を可変する動作となり、この動作によって二次
側の直流出力電圧EO1を安定化する。
【0045】図1に示した本実施の形態の電源回路にお
いては、駆動巻線NBのインダクタンスLBを可変制御す
る直交形制御トランスPRTが設けられる場合、スイッ
チング周波数を可変するのにあたり、スイッチング素子
Q1がオフとなる期間TOFFは一定とされたうえで、オン
となる期間TONを可変制御するようにされる。つまり、
この電源回路では、定電圧制御動作として、スイッチン
グ周波数を可変制御するように動作することで、スイッ
チング出力に対する共振インピーダンス制御を行い、こ
れと同時に、スイッチング周期におけるスイッチング素
子Q1の導通角制御(PWM制御)も行っているものと
見ることが出来る。そして、この複合的な制御動作を1
組の制御回路系によって実現している。なお、本明細書
では、このような複合的な制御を「複合制御方式」とも
いう。
【0046】さらに、図1に示した本実施の形態の電源
回路には、昇圧トランスHVTと高圧整流回路を備えた
高圧発生回路4が設けられている。そして、この高圧発
生回路4において、絶縁コンバータトランスPITの二
次側に得られる共振電圧V2から、所定の高電圧レベル
とされる直流高電圧EHVを得るようにしている。このた
め、絶縁コンバータトランスPITの二次巻線N2に
は、高圧発生回路4の昇圧トランスHVTの一次巻線N
4が並列に接続されている。そして、この昇圧トランス
HVTの一次巻線N4に入力される共振電圧V2を昇圧し
て二次側に伝送するようしている。また、その一次側巻
線N4と二次側高圧巻線NHVの極性(巻方向)は同一と
なるように巻装されている。
【0047】ここで、図6に昇圧トランスHVTの断面
図を示し、この図6を用いて昇圧トランスHVTの構造
を説明しておく。この図に示す昇圧トランスHVTは、
上記図11に示したフライバックトランスFBTと同様
に、2つのコの字形コアCR10,CR20の各磁脚を
対向するように組み合わせることで角形コアCR30が
形成されている。そして、これら2つのコの字形コアC
R10の端部と、コの字形コアCR20の端部とが対向
する部分にはギャップGが設けられている。そして、図
示するように、角形コアCR30の一方の磁脚に対し
て、低圧巻線ボビンLBと高圧巻線ボビンHBを取り付
けることで、これら低圧巻線ボビンLB及び高圧巻線ボ
ビンHBに対して、それぞれ一次巻線N4及び二次側高
圧巻線NHVを分割して巻装するようにしている。そし
て、低圧巻線ボビンLBには一次巻線N4が巻装され、
高圧巻線ボビンHBには複数の二次側高圧巻線NHVが層
間フィルムFを挿入して巻き上げる層間巻きによって巻
装されることになる。
【0048】但し、この場合は、一次巻線N4にリッツ
線が用いられている点が、図11に示したフライバック
トランスFBTとは異なっている。昇圧トランスHVT
の一次巻線N4に発生する交番電圧は、絶縁コンバータ
トランスPITの二次側出力であり、即ち、その周波数
はスイッチング素子Q1のスイッチング周波数に対応し
たものとなる。このスイッチング周波数は、例えば数十
kHz〜200kHz程度の範囲内において、所定の周
波数範囲を使用するものとされていることから、図11
に示したフライバックトランスFBTの一次側電流の周
波数(水平同期周波数fH)よりも高い周波数となる。
この場合に、本実施の形態のように、一次巻線N4にリ
ッツ線を使用すると、一次巻線N4にうず電流が発生す
るのを防止することができる。
【0049】なお、本実施の形態においては、昇圧トラ
ンスHVTの二次側高圧巻線NHVを層間巻きによって巻
装した場合が示されているが、二次側高圧巻線NHVの巻
き方としては層間巻きに限定されるものでなく、本発明
の昇圧トランスHVTとしては、例えば高圧ボビンHB
を複数の領域に分割して、各分割領域に対して二次側高
圧巻線NHVを巻装する、いわゆる分割巻きによって巻装
することも可能である。つまり、高圧ボビンHBに巻装
される複数の二次側高圧巻線NHVが、それぞれ絶縁され
た状態で巻装されれば良い。
【0050】図1に示す昇圧トランスHVTの二次側に
は、例えば5組の二次側高圧巻線NHV1,NHV2,NHV
3,NHV4,NHV5が分割された状態で巻装されている。
そして、例えば二次側高圧巻線NHV1の巻始め端部が高
圧コンデンサCHV1の一端に接続され、その巻終わり端
部が高圧整流ダイオードDHV1のアノードに接続されて
いる。そして、高圧整流ダイオードDHV1のカソードが
高圧コンデンサCHV1の他端に接続されている。
【0051】このような接続形態では、結果的には[二
次側高圧巻線NHV1、高圧整流ダイオードDHV1、高圧コ
ンデンサCHV1]からなる倍電圧半波整流回路が形成さ
れていることになる。そして、このような倍電圧半波整
流回路の倍電圧整流動作としては次のようになる。先
ず、高圧整流ダイオードDHV1がオフとなる期間におい
ては、高圧整流ダイオードDHV1により整流した整流電
流を高圧コンデンサCHV1に対して充電する動作が得ら
れる。そして、高圧整流ダイオードDHV1がオンとなる
期間においては、二次側高圧巻線NHV1に誘起された誘
起電圧に高圧コンデンサCHV1の両端電圧が加わるとい
う動作が得られる。これにより、[二次側高圧巻線NHV
1、高圧整流ダイオードDHV1、高圧コンデンサCHV1]
からなる倍電圧整流回路では、二次側高圧巻線NHV1に
誘起される誘起電圧のほぼ2倍に対応する電圧が得られ
ることになる。
【0052】そして、本実施の形態の電源回路では、昇
圧トランスHVTの二次側に巻装されている二次側高圧
巻線NHV2,NHV3,NHV4,NHV5に対して、上記した倍
電圧半波整流回路と同様な倍電圧半波整流回路がそれぞ
れ形成されている。即ち、昇圧トランスHVTの二次側
には、[二次側高圧巻線NHV1、高圧整流ダイオードDH
V1、高圧コンデンサCHV1]、[二次側高圧巻線NHV2、
高圧整流ダイオードDHV2、高圧コンデンサCHV2]、
[二次側高圧巻線NHV3、高圧整流ダイオードDHV3、高
圧コンデンサCHV3]、[二次側高圧巻線NHV4、高圧整
流ダイオードDHV4、高圧コンデンサCHV4]、[二次側
高圧巻線NHV5、高圧整流ダイオードDHV5、高圧コンデ
ンサCHV5]からなる倍電圧半波整流回路が形成されて
いることになる。
【0053】そして、図1に示した回路では、これら5
組の倍電圧半波整流回路が直列に接続された多倍圧整流
回路が形成されることになる。これら5組の倍電圧整流
回路からなる多倍圧整流回路が整流動作を行うと、平滑
コンデンサCHVO1には、高圧整流ダイオードDO1を介し
て、二次側高圧巻線NHVに誘起される誘起電圧のほぼ1
0倍に対応する電圧により充電動作が行われることにな
る。これにより、平滑コンデンサCHVO1の両端には、二
次側高圧巻線NHV1〜NHV5の各々に得られる電圧レベル
の10倍に対応する高レベルの直流電圧が得られる。つ
まり、この場合の多倍圧整流回路としては10倍電圧半
波整流回路が形成されていることになる。そして、この
平滑コンデンサCHVO1の両端に得られる直流高電圧が、
CRTのアノード電圧として利用される直流高電圧EHV
として利用されるものである。
【0054】なお、図1に示した回路では、昇圧トラン
スHVTの二次側に設けられている各二次側高圧巻線N
HV1〜NHV5と各高圧コンデンサCHV1〜CHV5とによる電
流共振動作は生じないものとされる。これは、絶縁コン
バータトランスPITの二次巻線N2の漏洩インダクタ
ンス成分と二次側並列共振コンデンサC2のキャパシタ
ンス成分とによる並列共振周波数が、昇圧トランスHV
Tの二次側高圧巻線NHV1〜NHV5の漏洩インダクタンス
成分と高圧コンデンサCHV1〜CHV5のキャパシタンス成
分とによる直列共振周波数より、十分低い周波数となる
ように選定されていることによるものである。
【0055】また、昇圧トランスHVTの二次側には、
例えばCRTのフォーカス電圧EFVを得るために、5組
の倍電圧半波整流回路からなる直列回路に対して並列に
[抵抗R1、可変抵抗R2、抵抗R3]の直列接続回路が
接続されている。
【0056】ここで、例えば絶縁コンバータトランスP
ITの二次側から出力される二次側直流出力電圧EO1の
電圧レベルとして135V、昇圧トランスHVTの二次
側から出力される直流高電圧EHVの電圧レベルとして3
2kVが得られるように、図1に示した回路を実際に構
成する場合は、二次側並列共振コンデンサC2=0.0
15μF、昇圧トランスHVTの一次巻線N4=20
T、二次側高圧巻線NHV1〜NHV5=500T、高圧コン
デンサCHV1〜CHV5=100PF/5kV、平滑コンデ
ンサCHVO1=1000PF/40kVが選定される。な
お、この時に昇圧トランスHVTの各二次側高圧巻線N
HV1〜NHV5に誘起される誘起電圧の電圧レベルは5kV
以下にすることが望ましい。
【0057】上記図1に示した本実施の形態の電源回路
の動作波形を図2及び図3に示す。図2は例えば交流入
力電圧VACが100V、昇圧トランスHVTの二次側を
流れる負荷電流IHVが2mAの時の動作波形を示し、図
3は交流入力電圧VACが100V、昇圧トランスHVT
の二次側を流れる負荷電流IHVが0mAの時の動作波形
を示した図である。
【0058】昇圧トランスHVTの二次側を流れる負荷
電流IHVが2mAとなる場合は、自励発振駆動回路とし
ての直列共振回路(NB,CB)によりスイッチング素子
Q1がスイッチング動作を行うことで、スイッチング素
子Q1//並列共振コンデンサCrの並列接続回路の両
端には、並列共振回路の作用によって、図2(a)に示
すような一次側の並列共振電圧Vcrが得られる。この
一次側並列共振電圧Vcrは、図示するようにスイッチ
ング素子Q1がオンとなる期間TONは0レベルで、オフ
となる期間TOFFにおいて正弦波状のパルスとなる波形
が得られ、電圧共振形としての動作に対応している。ま
た、スイッチング素子Q1のコレクタには、図2(c)
に示すような波形のコレクタ電流ICが流れ、これに伴
って絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1には
図2(b)に示すような波形の共振電流I1が流れるこ
とになる。
【0059】そして、スイッチング素子Q1のオン/オ
フ動作により、絶縁コンバータトランスPITの二次側
にスイッチング出力が伝達される。これにより、絶縁コ
ンバータトランスPITの二次側には、図2(d),図
2(e)に示すような波形の電流I2,I3が流れ、昇圧
トランスHVTの一次巻線N4には、図2(f)に示す
ような共振電圧V2が印加されることになる。
【0060】また、昇圧トランスHVTの二次側を流れ
る負荷電流IHVが0mAの時は、スイッチング素子Q1
//並列共振コンデンサCrの並列接続回路の両端に
は、図3(a)に示すような一次側の並列共振電圧Vc
rが得られ、スイッチング素子Q1のコレクタには、図
3(c)に示すような波形のコレクタ電流ICが流れ
る。これに伴って、絶縁コンバータトランスPITの一
次巻線N1には図3(b)に示すような波形の共振電流
I1が流れる。
【0061】そして、スイッチング素子Q1のオン/オ
フ動作により、絶縁コンバータトランスPITの二次側
には、図3(d),図3(e)に示すような波形の電流
I2,I3が流れる。これにより、昇圧トランスHVTの
一次巻線N4には、図3(f)に示すような共振電圧V2
が印加されることになる。
【0062】これら図2及び図3に示した動作波形を比
較すると、昇圧トランスHVTの二次側に接続される高
圧負荷が64W(IHV=2mA)の時は、スイッチング
素子Q1のスイッチング周波数が100kHzとされ、
図2に示すようにスイッチング素子Q1がオンとなる期
間TONは6.5μs、オフとなる期間TOFFが3.5μ
sに制御されている。これに対して、昇圧トランスHV
Tの二次側に接続される高圧負荷が0W(IHV=0m
A)になると、スイッチング素子Q1のスイッチング周
波数が125kHzとなり、図3に示すようにスイッチ
ング素子Q1がオフとなる期間TOFFは3.5μsのまま
変化していないが、オンとなる期間TONが4.5μsに
制御されている。このことから、昇圧トランスHVT
は、複合制御方式によって制御されているスイッチング
素子Q1の動作に基づいて絶縁コンバータトランスPI
Tの二次側から得られる共振電圧V2によって、その動
作が制御されているといえる。
【0063】このような構成とされる図1に示した本実
施の形態の回路と、図11に示した従来の回路とを比較
すると、図11に示した回路では、スイッチング電源回
路10の二次側直流電圧EO1により、水平出力回路40
にて得られるフライバックパルス電圧V1を昇圧して高
圧発生回路50から直流高電圧EHVを得るようにしてい
た。これに対して、図1に示した本実施の形態の電源回
路では、絶縁コンバータトランスPITの二次側から出
力される共振電圧V2を高圧発生回路4に入力し、この
共振電圧V2を昇圧することで直流高電圧EHVを得るよ
うにしている。つまり、図1に示した本実施の形態の回
路では、スイッチング電源回路として機能している絶縁
コンバータトランスPITの二次側出力を高圧発生回路
4に直接入力していることから、図11に示した回路の
ようにスイッチング電源回路10の直流出力電圧EO1を
フライバックパルス電圧に変換するための水平出力回路
40を介在させることなく、高圧発生回路4において直
流高電圧EHVを得るようにしている。
【0064】これにより、図11に示した従来の回路で
は、入力電圧から直流高電圧EHVを得る際の電力変換効
率が約70%程度であったのに対して、図1に示した本
実施の形態の電源回路では、その電力変換効率を87.
5%まで向上させることが可能になり、約17.5%の
電力変換効率の改善が図られるものである。実際には、
例えば図11に示した回路と、図1に示した本実施の形
態の回路から64Wの高圧負荷電力を出力した場合は、
図11に示した回路では91.4Wの入力電力が必要と
されたのに対して、図1に示した本実施の形態の回路で
は73.1Wの入力電力で済み、約18.3Wの入力電
力の低減が図られた。
【0065】また、図1に示した本実施の形態の回路で
は、絶縁コンバータトランスPITの二次側から出力さ
れる共振電圧V2を昇圧トランスHVTの一次巻線N4に
入力していることから、昇圧トランスHVTの一次側に
入力される共振電圧波形は、図4に示すように正負のレ
ベルがほぼ対称とされる矩形状となる。これにより、昇
圧トランスHVTの二次側から出力される誘起電圧も矩
形状の波形となる。このような誘起電圧を高圧整流ダイ
オードDHV1〜DHV5にて整流した場合は、高圧整流ダイ
オードDHVの導通角が、図11に示した場合よりも広く
なるため、等価的には電源インピーダンスが低くなる。
【0066】従って、本実施の形態の回路をテレビジョ
ン受像機等に適用した場合、図5に示すように、高圧負
荷電力が0W(IHV=0mA)の時に直流高電圧EHVの
電圧レベルが32kVになっている。これに対して、高
圧負荷電力が64W(IHV=2mA)まで増加しても、
その直流高電圧EHVの電圧レベルは約31.1kVにな
る。つまり、本実施の形態の回路では、テレビジョン受
像機等において実際に使用される高圧負荷電力の範囲内
(0W〜64W)における直流高電圧EHVの電圧レベル
幅ΔEHVは約0.9kVになる。
【0067】即ち、図11に示した回路においては、高
圧負荷電力が無負荷(IHV=0mA)〜64W(IHV=
2mA)まで変動した時の直流高電圧EHVの電圧レベル
幅ΔEHVは1.5kVとされていたが、図1に示した本
実施の形態の回路においては、その電圧レベル幅ΔEHV
を0.9kVまで抑制することができる。よって、本実
施の形態の回路を、例えばテレビジョン受像機等に適用
して、CRTのアノード電極に対して直流高電圧EHVを
供給すれば、直流高電圧EHVによってCRTから出力さ
れる電子ビームの水平方向の振幅変動を抑制することが
できるのでテレビジョン受像機の水平出力回路に対して
ズーミング補正回路等を設ける必要が無い。
【0068】また、昇圧トランスHVTのスイッチング
周波数は、スイッチング素子Q1のスイッチング周波数
に対応したものであり、例えば映像信号の水平同期信号
fHの周期とは同期するものではない。これにより、昇
圧トランスHVTからの漏洩磁束や漏洩インダクタンス
によって、昇圧トランスHVTの二次側高圧巻線NHV1
〜NHV5の誘起電圧にリンギングが発生することもな
い。従って、本実施の形態の回路をテレビジョン受像機
に適用した場合でも、例えばCRTの画面上にラスター
リンギングが生じることがなく、また仮にリンギングが
発生したとしても、本実施の形態の回路では、高圧発生
回路4の水平偏向回路とは独立に形成されていることか
ら水平偏向電流IDYにリンギング電流成分が重畳されな
いので、CRTの画面上にラスターリンギングが生じる
ことはない。
【0069】また、昇圧トランスHVTの一次巻線N4
を流れる共振電流には、直流成分が重畳されないので、
昇圧トランスHVTのコアの形状を小型化することがで
き、また一次巻線N4の巻線径を太くする必要もないの
で、その形状を小型化することが可能になる。また、ス
イッチング素子Q1を流れる電流のピーク電流値も減少
するので、スイッチング素子Q1の発熱が抑制され、ス
イッチング素子Q1に放熱板等を取り付ける等の対策も
必要なくなる。
【0070】また、本発明の電源回路の回路構成として
は、図1に示した回路構成に限定されるものでない。図
9は本発明の第2の実施の形態としての電源回路の構成
を示した回路図である。なお、この図において、図1と
同一部分には、同一番号を付して説明を省略する。この
図において、一次側に備えられる電圧共振形コンバータ
は他励式の構成を採っており、例えば1石のMOS−F
ETによるスイッチング素子Q21が備えられる。スイッ
チング素子Q21のドレインは、一次巻線N1を介して平
滑コンデンサCiの正極と接続され、ソースは一次側ア
ースに接続される。また、ここでは、並列共振コンデン
サCrはドレイン−ソース間に対して並列に接続され
る。更に、ドレイン−ソース間に対しては、クランプダ
イオードDDが並列に接続されている。
【0071】上記スイッチング素子Q21は、発振・ドラ
イブ回路2によって、先に図1にて説明したスイッチン
グ動作が得られるようにスイッチング駆動される。つま
り、制御回路1では直流出力電圧EO1の変動に応じて変
動したレベルの電流又は電圧を発振・ドライブ回路2に
対して供給する。発振・ドライブ回路2では、直流出力
電圧EO1の安定化が図られるように、制御回路1からの
出力レベルに応じて、その周期が可変されたスイッチン
グ駆動信号(電圧)をスイッチング素子Q21のゲートに
対して出力する。これによってスイッチング素子Q21の
スイッチング周波数が可変されるのであるが、この際に
おいては、図1においても述べたように、スイッチング
素子Q21がオフとなる期間は一定として、オンとなる期
間が可変されるべくして生成したスイッチング駆動信号
を出力するようにされる。
【0072】この場合、起動回路3に対しては、平滑コ
ンデンサCiに得られる整流平滑電圧Eiが動作電源と
して供給されており、また、絶縁コンバータトランスP
ITに追加的に巻装された巻線N5に得られた起動時の
電圧によって、起動回路3は、発振・ドライブ回路2を
起動させるための動作を実行するようにされている。
【0073】上記ようにして形成される絶縁コンバータ
トランスPITの二次側では、二次巻線N2に対して二
次側アースに接地されるセンタータップを設けたうえ
で、さらにその両側にそれぞれタップを設けるようにし
ている。即ち、二次巻線N2は、その中央が二次側アー
スに接地された第1の二次巻線N2Aと、この第1の二次
巻線N2Aの両端に対してそれぞれ第2の二次巻線N3A,
N3Bを巻き上げたような構成とされている。
【0074】そして、この第1の二次巻線N2Aに対して
並列に二次側並列共振コンデンサC2を接続すると共
に、第1の二次巻線N2Aの端部に対して、それぞれ整流
ダイオードDO1,DO2のアノードを接続する。そして、
各整流ダイオードDO1,DO2のカソードを平滑コンデン
サCO1を正極に接続することで、[整流ダイオードDO
1,DO2、平滑コンデンサCO1]による全波整流回路を
形成する。さらに第1の二次巻線N2Aの両端に巻き上げ
られている第2の二次巻線N3A,N3Bの端部、即ち、二
次巻線N2の両端が高圧発生回路5の昇圧トランスHV
Tの一次巻線N4に接続される。
【0075】この図に示す高圧発生回路5の昇圧トラン
スHVTの二次側には、例えば3組の二次側高圧巻線N
HV1〜NHV3が分割されて独立した状態で巻装されてい
る。なお、二次側高圧巻線NHV1〜NHV3の巻方向は、図
1に示した回路と同様に、一次巻線N4と同一の極性
(巻方向)となっている。
【0076】そして、昇圧トランスHVTの二次側に巻
装されている3組の二次側高圧巻線NHV1〜NHV3に対し
て、先において説明したような倍電圧半波整流回路がそ
れぞれ形成されている。即ち、昇圧トランスHVTの二
次側には、[二次側高圧巻線NHV1、高圧整流ダイオー
ドDHV1、高圧コンデンサCHV1]、[二次側高圧巻線N
HV2、高圧整流ダイオードDHV2、高圧コンデンサCHV
2]、[二次側高圧巻線NHV3、高圧整流ダイオードDHV
3、高圧コンデンサCHV3]からなる3組の倍電圧半波整
流回路が形成され、これら3組の倍電圧整流回路が直列
に接続された多倍圧整流回路が形成されている。従っ
て、この場合の多倍圧整流回路としては、各二次側高圧
巻線NHV1〜NHV3に誘起される誘起電圧のほぼ6倍のレ
ベルに対応した直流電圧EHVを得る6倍電圧半波整流回
路が形成されていることになる。
【0077】このような構成とされる回路では、絶縁コ
ンバータトランスPITの二次巻線N2として、二次側
直流出力電圧EO1を得るための第1の二次巻線N2Aの両
端に、第2の二次巻線N3A,N3Bを巻き上げて構成する
ようにしている。従って、昇圧トランスHVTの一次巻
線N4に入力される電圧レベルは、例えば図1に示した
回路よりも第1の二次巻線N2Aに対して第2の二次巻線
N3A,N3Bを巻き上げた分だけ大きくなる。このため、
図9に示す回路では、例えば図1に示した多倍電圧整流
回路である10倍電圧整流回路よりも少ない電圧倍数で
ある、6倍電圧整流回路を昇圧トランスHVTの二次側
に設けたとしても、図1に示した回路から出力される直
流高電圧EHVとほぼ同一の電圧レベルの直流高電圧EHV
を得ることが可能とされる。そして、このような構成と
した場合は、図1に示した本実施の形態の回路と同様の
効果を得ることができると共に、図1に示した回路よ
り、昇圧トランスHVTの二次側に独立巻装される二次
側高圧巻線NHVの数を減らすことができるので、より昇
圧トランスHVTの小型化を図ることが可能になる。
【0078】また、図10は本発明の第3の実施の形態
とされる電源回路の回路構成を示した図である。なお、
この図10において、一次側の構成は図1の構成と同様
とされるため、同一部分には同一符号を付して説明を省
略する。
【0079】この図に示す絶縁コンバータトランスPI
Tの二次側では、二次巻線N2に対してセンタータップ
が設けられている。そして、ここでは、二次巻線N2の
巻き終わり端部とセンタータップとの間に在るとされる
巻線部分を第1の二次巻線N2Aとして、二次巻線N2の
巻き始め端部とセンタータップとの間に在るとされる巻
線部分を第2の二次巻線N3としている。ここで、第1
の二次巻線N2Aに対しては、二次側並列共振コンデンサ
C2を並列に接続したうえで、ブリッジ整流回路DBR及
び平滑コンデンサCO1からなる全波整流回路を接続する
ことで直流出力電圧EO1を得るようにしている。そし
て、上記第1の二次巻線N2Aと第2の二次巻線N3から
なる二次巻線N2に対して昇圧トランスHVTの一次巻
線N4を並列に接続するようにしている。この場合、直
流出力電圧EO1を得るのに利用される第1の二次巻線N
2Aを本来の二次巻線であると見なした場合、第2の二次
巻線N3は、第1の二次巻線N2Aを巻き上げることによ
って追加的に設けられた巻線と見ることができる。
【0080】昇圧トランスHVTの二次側には、例えば
2組の二次側高圧巻線NHV1,NHV2が分割された状態で
巻装されている。なお、この場合も二次側高圧巻線NHV
1〜NHV2の巻線方向は、上記一次巻線N4と同一の極性
(巻方向)となっている。この場合、昇圧トランスHV
Tの二次側高圧巻線NHV1の巻始め端部は、高圧コンデ
ンサCHV1の直列接続を介して、高圧整流ダイオードDH
V1のアノードと高圧整流ダイオードDHV2のカソードの
接続点に対して接続されると共に、高圧コンデンサCHV
2の直列接続を介して高圧整流ダイオードDHV3のアノー
ドと高圧整流ダイオードDHV4のカソードの接続点に対
して接続される。一方、二次側高圧巻線NHV1の巻終わ
り端部は、平滑コンデンサCHVO1の負極と平滑コンデン
サCHVO2の正極の接続点に対して接続される。また、こ
の平滑コンデンサCHVO1の負極と平滑コンデンサCHVO2
の正極の接続点に対しては、高圧整流ダイオードDHV2
のアノードと高圧整流ダイオードDHV3のカソードが接
続される。平滑コンデンサCHVO1と平滑コンデンサCHV
O2は、平滑コンデンサCHVO1の負極と平滑コンデンサC
HVO2の正極と接続して直列接続したうえで、平滑コンデ
ンサCHVO1の正極を高圧整流ダイオードDHV1のカソー
ドに接続し、平滑コンデンサとCO2の負極を二次側アー
スに対して接続するように設けられる。
【0081】このような接続形態では、二次側高圧巻線
NHV1に対して[高圧コンデンサCHV1、高圧整流ダイオ
ードDHV1,DHV2、平滑コンデンサCHVO1]の組からな
る倍電圧整流回路と、[高圧コンデンサCHV2、高圧整
流ダイオードDHV3,DHV4、平滑コンデンサCHVO2]の
組から成る倍電圧整流回路とが形成され、これらの倍電
圧整流回路の出力(平滑コンデンサCHVO1,CHVO2)が
直列に接続されていることになる。よって、これら倍電
圧整流回路を組み合わせた整流回路全体としては、直列
接続された平滑コンデンサCHVO1−平滑コンデンサCHV
O2の両端には、二次側高圧巻線NHV1に得られた交番電
圧の4倍に対応する出力電圧が得られる。つまり、1つ
の二次側高圧巻線NHV1には誘起電圧のほぼ4倍の電圧
レベルに対応した出力を得ることができる4倍電圧全波
整流回路が形成されている。
【0082】上記したような4倍電圧全波整流回路の動
作は次のようになる。4倍電圧全波整流回路は、二次側
高圧巻線NHV1に得られた交番電圧を入力して整流動作
を行うが、このときの[高圧コンデンサCHV1、高圧整
流ダイオードDHV1,DHV2、平滑コンデンサCHVO1]か
ら成る倍電圧整流回路の動作を以下に記す。先ず、高圧
整流ダイオードDHV1がオフとなり、高圧整流ダイオー
ドDHV2がオンとなる期間においては、二次側高圧巻線
NHV1の漏洩インダクタンスと高圧コンデンサCHV1によ
って、高圧整流ダイオードDHV2により整流した整流電
流を高圧コンデンサCHV1に対して充電する動作が得ら
れる。そして、高圧整流ダイオードDHV2がオフとな
り、高圧整流ダイオードDHV1がオンとなって整流動作
を行う期間においては、二次側高圧巻線NHV1に誘起さ
れた電圧に高圧コンデンサCHV1の電位が加わった状態
で、平滑コンデンサCHVO1に対して充電が行われる動作
となる。
【0083】上記のようにして整流動作が行われること
で、平滑コンデンサCHVO1においては、二次側高圧巻線
NHV1の誘起電圧のほぼ2倍に対応する直流電圧(整流
平滑電圧)が得られる。また、[高圧コンデンサCHV
2、高圧整流ダイオードDHV3,DHV4、平滑コンデンサ
CHVO2]の組とから成る倍電圧整流回路においても同様
の動作によって、平滑コンデンサCHVO2の両端には、二
次側高圧巻線NHV1の誘起電圧のほぼ2倍に対応する直
流電圧が得られることになる。これにより、4倍電圧全
波整流回路では、直列に接続された平滑コンデンサCHV
O1−CHVO2の両端には、二次側高圧巻線NHV1に誘起さ
れる誘起電圧の4倍に対応する直流電圧が得られること
になる。
【0084】そして、この図10に示す回路では、昇圧
トランスHVTの二次側に巻装されている二次側高圧巻
線NHV2に対しても上記した4倍電圧全波整流回路が形
成されており、これら2組の4倍電圧整流回路を直列に
接続した多倍圧整流回路が形成されている。即ち、この
場合は多倍圧整流回路として、二次側高圧巻線NHV1,
NHV2に誘起される誘起電圧のほぼ8倍のレベルに対応
した直流高電圧EHV(整流平滑電圧)を得るための8倍
電圧整流回路が形成されているものである。
【0085】このような構成とされる回路した場合も、
絶縁コンバータトランスPITの二次巻線N2として、
二次側直流出力電圧EO1を得るための第1の二次巻線N
2Aの一端に第2の二次巻線N3を巻き上げて構成するよ
うにしている。従って、昇圧トランスHVTの一次巻線
N4に入力される電圧レベルは、例えば図1に示した回
路よりも二次巻線N2Aに対して二次巻線N3を巻き上げ
た分だけ大きくなる。このため、図10に示す回路で
は、例えば図1に示した多倍電圧整流回路である10倍
電圧整流回路よりも少ない電圧倍数である、8倍電圧整
流回路を昇圧トランスHVTの二次側に設けたとして
も、図1に示した回路から出力される直流高電圧EHVと
ほぼ同一の電圧レベルの直流高電圧EHVを得ることが可
能になる。そして、このような構成とした場合は、図1
に示した本実施の形態の回路と同様の効果を得ることが
できると共に、図1に示した本実施の形態の回路より、
昇圧トランスHVTの小型化を図ることが可能になる。
【0086】なお、本実施の形態においては、昇圧トラ
ンスHVTの二次側に対して、10倍電圧整流回路、6
倍電圧整流回路、及び8倍電圧整流回路を設けた場合を
例に挙げているが、このような構成の整流回路に限定さ
れるものでなく、本発明としては、昇圧トランスの二次
側高圧巻線NHVに誘起される誘起電圧レベルが所定の電
圧レベルに対応する直流高電圧EHVを得るように構成し
た各種整流回路を適用することが可能である。
【0087】また、本実施の形態においては、絶縁コン
バータトランスPITの二次側において二次側出力電圧
EO1を得るための整流回路として全波整流方式の整流回
路を設けた場合を例に挙げているが、このような構成の
整流回路に限定されるものでなく、本発明としての絶縁
コンバータトランスPITの二次側整流回路の構成とし
ては各種考えられるものである。
【0088】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のスイッチ
ング電源回路は、複合共振形としてのスイッチング電源
回路を構成している絶縁コンバータトランスの二次側か
ら得られる共振電圧を、昇圧トランスの一次側に対して
直接入力するようにしている。そして、昇圧トランスに
おいて共振電圧を昇圧した後、直流高電圧生成手段にて
所定の高圧レベルとされる直流高電圧を得るようにして
いる。従って、本発明のスイッチング電源回路をテレビ
ジョン受像機に適用すれば、例えば陰極線管のアノード
に対して供給する直流高電圧を得る際には、水平偏向回
路において二次側直流出力電圧をフライバックパルス電
圧に変換する必要が無く、水平偏向回路を省いた構成と
することができる。これにより、入力電圧から直流高電
圧を得る際の電力変換効率の向上が図られることにな
る。
【0089】また、本発明によれば、直流高電圧生成手
段により出力される直流高電圧は、高圧負荷が変動した
場合でも、その電圧変動幅は従来に比べて小さくするこ
とができる。従って、本発明を例えばテレビジョン受像
機の高電圧供給手段に適用すれば、例えば陰極線管から
出力される電子ビームの水平方向の振幅変動を抑制する
ことが可能になる。
【0090】また、昇圧トランスの一次側には、絶縁コ
ンバータトランスの交番電圧が入力されていることか
ら、昇圧トランスの一次側を流れる一次側電流には直流
成分が重畳されないので、昇圧トランスのコアの小型
化、及び一次巻線の巻線径の細線化を図ることが可能に
なる。これにより、昇圧トランスの小型、軽量化を図る
ことも可能になる。またこの場合は、スイッチング素子
に対して流れる電流のピーク値も小さくなり、スイッチ
ング素子の発熱量も減少するので、スイッチング素子に
対して放熱板を取り付ける等の対策を行う必要もない。
【0091】また、絶縁コンバータトランスの二次巻線
を、直流出力電圧生成手段に対して入力される交番電圧
を得るための第1の二次巻線に対して第2の二次巻線を
巻き上げるように構成して、この第2の二次巻線から昇
圧トランスの一次巻線に対して交番電圧を入力するよう
にしている。この場合は、昇圧トランスの一次巻線に入
力される電圧の電圧レベルを大きくでき、昇圧トランス
の二次側高圧巻線の数を減らすことが可能になるので、
昇圧トランスの小型化を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態としての電源回路の構成例
を示す回路図である。
【図2】本実施の形態の電源回路の要部の動作を示す波
形図である。
【図3】本実施の形態の電源回路の要部の動作を示す波
形図である。
【図4】本実施の形態の昇圧トランスの動作波形を示し
た図である。
【図5】本実施の形態の高圧発生回路から出力される直
流高電圧と高圧負荷電流との関係を示した図である。
【図6】本実施の形態の昇圧トランスの構成を示す断面
図である。
【図7】絶縁コンバータトランスの構成を示す断面図で
ある。
【図8】相互インダクタンスが+M/−Mの場合の各動
作を示す説明図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態としての電源回路の
構成例を示す回路図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態としての電源回路
の構成例を示す回路図である。
【図11】従来の高圧発生回路とその周辺回路の構成を
示した回路図である。
【図12】図11に示した回路の要部の動作を示した波
形図である。
【図13】フライバックトランスの動作波形を示した図
である。
【図14】図11に示した回路から出力される直流高電
圧と高圧負荷電流との関係を示した図である。
【図15】図11に示した回路に備えられているフライ
バックトランスの構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 制御回路、2 発振・ドライブ回路、3 起動回
路、4 5 6 高圧発生回路、Ci 平滑コンデン
サ、Q1 スイッチング素子、PIT 絶縁コンバータ
トランス、PRT 直交形制御(ドライブ)トランス、
HVT 昇圧トランス、Cr 一次側並列共振コンデン
サ、C2 二次側並列共振コンデンサ、N1N4 一次巻
線、N2 二次巻線、NHV 二次側高圧巻線、NC 制御
巻線、NB駆動巻線、ND 共振電流検出巻線、CB 共
振コンデンサ、DBR ブリッジ整流回路、DO1 DO2
整流ダイオード、DHV1〜DHV4 高圧整流ダイオード、
CHV1〜CHV5 高圧コンデンサ、CO1 CHVO1 CHVO2
平滑コンデンサ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スイッチング素子を備え、入力された直
    流入力電圧を断続して出力するスイッチング手段と、 上記スイッチング手段の出力を二次側に伝送する絶縁コ
    ンバータトランスと、 上記スイッチング手段の動作を電圧共振形とするように
    して挿入される一次側電圧共振回路と、 上記絶縁コンバータトランスの二次巻線に対して二次側
    並列共振コンデンサを並列に接続することで形成される
    二次側並列共振回路と、 上記絶縁コンバータトランスの二次巻線に得られる交番
    電圧を入力して整流動作を行うことで、二次側直流出力
    電圧を得るように構成された直流出力電圧生成手段と、 上記二次側直流出力電圧のレベルに応じて、上記スイッ
    チング素子のスイッチング周波数を可変することで定電
    圧制御を行うようにされる定電圧制御手段と、 一次側に入力される上記交番電圧を二次側に伝送するこ
    とで、二次側において上記交番電圧を昇圧した昇圧電圧
    を得るようにされる昇圧トランスと、 上記昇圧トランスの二次側に得られる昇圧電圧を入力し
    て整流動作を行うことで、所定の高圧レベルとされる直
    流高電圧を得るように構成された直流高電圧生成手段
    と、 を備えることを特徴とするスイッチング電源回路。
  2. 【請求項2】 上記絶縁コンバータトランスの二次巻線
    は、 上記直流出力電圧生成手段に対して入力される交番電圧
    を得るために巻装された第1の二次巻線と、 上記昇圧トランスの一次巻線に対して入力される交番電
    圧を得るために、上記第1の二次巻線に対して巻き上げ
    て巻装された第2の二次巻線と、 から成ることを特徴とする請求項1に記載のスイッチン
    グ電源回路。
  3. 【請求項3】 上記直流高電圧生成手段は、 上記昇圧トランスの二次側において、各々独立に巻装さ
    れる複数の二次側高圧巻線と、 上記二次側高圧巻線の各々に得られるとされる上記昇圧
    電圧を入力し、この入力された上記昇圧電圧のほぼ2倍
    に対応するレベルの出力電圧が得られるように設けられ
    る複数の倍電圧整流回路を、直列に接続して形成される
    多倍圧整流回路と、 を備えていることを特徴とする請求項1に記載のスイッ
    チング電源回路。
  4. 【請求項4】 上記直流高電圧生成手段は、 上記昇圧トランスの二次側において、各々独立に巻装さ
    れる複数の二次側高圧巻線と、 上記二次側高圧巻線の各々に得られるとされる上記昇圧
    電圧を入力し、この入力された上記昇圧電圧のほぼ4倍
    に対応するレベルの出力電圧が得られるように設けられ
    る複数の4倍電圧整流回路を、直列に接続して形成され
    る多倍圧整流回路と、 を備えていることを特徴とする請求項1に記載のスイッ
    チング電源回路。
  5. 【請求項5】 上記昇圧トランスは、 上記二次側高圧巻線が層間巻きによって巻装されること
    を特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
  6. 【請求項6】 上記昇圧トランスは、 上記二次側高圧巻線が分割巻きによって巻装されること
    を特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103615968B (zh) * 2013-12-02 2017-01-18 北京金自天正智能控制股份有限公司 一种提高冷轧电感式对中检测器稳定度的方法

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