JP2002265393A - ベンゼン誘導体の製造方法 - Google Patents

ベンゼン誘導体の製造方法

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JP2002265393A
JP2002265393A JP2001071475A JP2001071475A JP2002265393A JP 2002265393 A JP2002265393 A JP 2002265393A JP 2001071475 A JP2001071475 A JP 2001071475A JP 2001071475 A JP2001071475 A JP 2001071475A JP 2002265393 A JP2002265393 A JP 2002265393A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多置換ベンゼンを高収率で選択的、かつ、簡
便な反応で得ること。 【解決手段】 リチウム金属存在下、下記式(II)で示さ
れるチタナシクロペンタジエンと、下記式(III)で示さ
れるアルキンとを反応させ、下記式(I)で示されるベン
ゼン誘導体を製造する。 【化1】 (式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6は、水素原子;
炭化水素基等、L1及びL2は、シクロペンタジエニル基
等を示す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ベンゼン誘導体の
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
ベンゼンに置換基を導入する際には、置換基による配向
性の相違を利用して、目標化合物ごとに最適な合成スキ
ームを検討することが求められていた。たとえば、オル
ト、パラ配向性、又は、メタ配向性という置換基に依存
する配向性の相違を考慮し、二置換ベンゼン、三置換ベ
ンゼン等を合成していた。また、従来、コバルト、ニッ
ケル、パラジウム等の遷移金属を触媒として用いてベン
ゼン誘導体を合成する方法は数多く知られている。
【0003】しかし、このような伝統的な有機合成の手
法では、ベンゼンに導入する置換基が多くなればなるほ
ど、合成経路が長くなり、収率が低下した。
【0004】従って、例えば、四置換ベンゼンのような
多置換ベンゼンを高収率で選択的、かつ、簡便な反応で
得ることが所望された。
【0005】そこで、本発明は、チタノセンを用いた新
規な反応により、ベンゼン誘導体の製造方法を提供する
ことを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の第1態様では、
下記式(I)で示されるベンゼン誘導体の製造方法であ
って
【化11】 (式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、それぞ
れ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置
換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基;置換基
を有していてもよいC1〜C20アルコキシ基;置換基を
有していてもよいC6〜C20アリールオキシ基;置換基
を有していてもよいアミノ基;置換基を有していてもよ
いシリル基、又は水酸基であり、ただし、R2及びR
3は、互いに架橋してC4〜C20飽和環又は不飽和環を形
成してもよく、前記環は、酸素原子、硫黄原子、珪素原
子、スズ原子、ゲルマニウム原子又は式−N(R7)−
で示される基(式中、R7は水素原子又はC1〜C20炭化
水素基である。)で中断されていてもよく、かつ、置換
基を有していてもよい。)、リチウム金属存在下、下記
式(II)で示されるチタナシクロペンタジエンと
【化12】 (式中、R1、R2、R3及びR4は、上記の意味を有す
る。L1及びL2は、互いに独立し、同一又は異なって、
非局在化環状η5−配位系配位子を示し、ただし、L1
びL2は、架橋されていてもよい。)、下記式(II
I)で示されるアルキンと
【化13】 (式中、R5及びR6は、上記意味を有する。)を反応さ
せることを特徴とするベンゼン誘導体の製造方法が提供
される。
【0007】また、本発明の第2態様では、下記式
(I)で示されるベンゼン誘導体の製造方法であって
【化14】 (式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、それぞ
れ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置
換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基;置換基
を有していてもよいC1〜C20アルコキシ基;置換基を
有していてもよいC6〜C20アリールオキシ基;置換基
を有していてもよいアミノ基;置換基を有していてもよ
いシリル基、又は水酸基である。)、リチウム金属、及
び下記式(V)で示されるチタン化合物存在下
【化15】 (式中、L1及びL2は、互いに独立し、同一又は異なっ
て、非局在化環状η5−配位系配位子を示し、ただし、
1及びL2は、架橋されていてもよい。X1及びX2は、
互いに独立し、同一又は異なって、ハロゲン原子を示
す。)、下記式(IVa)、(IVb)及び(IVc)
で示されるアルキンを
【化16】 (式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、上記の意
味を有する。)反応させることを特徴とするベンゼン誘
導体の製造方法が提供される。
【0008】また、本発明の第3態様では、下記式
(I’)で示されるベンゼン誘導体の製造方法であって
【化17】 (式中、R1、R4、R5及びR6は、それぞれ、互いに独
立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有して
いてもよいC1〜C20炭化水素基;置換基を有していて
もよいC1〜C20アルコキシ基;置換基を有していても
よいC6〜C20アリールオキシ基;置換基を有していて
もよいアミノ基;置換基を有していてもよいシリル基、
又は水酸基であり、Aは、置換基を有してもよい2価の
4〜C10炭化水素基であり、酸素原子、硫黄原子、又
は式−N(R7)−で示される基(式中、R7は水素原子
又はC1〜C40炭化水素基である。)で中断されていて
もよく、かつ、置換基を有していてもよい。)、リチウ
ム金属、及び下記式(V)で示されるチタン化合物存在
【化18】 (式中、L1及びL2は、互いに独立し、同一又は異なっ
て、非局在化環状η5−配位系配位子を示し、ただし、
1及びL2は、架橋されていてもよい。X1及びX2は、
互いに独立し、同一又は異なって、ハロゲン原子を示
す。)、下記式(III)で示されるアルキンと
【化19】 (式中、R5及びR6は、上記の意味を有する。)、下記
式(VI)で示されるアルキンと
【化20】 (式中、A、R1及びR4は、上記の意味を有する。)を
反応させることを特徴とするベンゼン誘導体の製造方法
が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の第1態様では、下記式
(I)で示されるベンゼン誘導体の製造方法であって、
リチウム金属存在下、下記式(II)で示されるチタナ
シクロペンタジエンと、下記式(III)で示されるア
ルキンとを反応させることを特徴とするベンゼン誘導体
の製造方法が提供される。
【0010】
【化21】 (式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、L1及びL
2は、上記の意味を有する。) R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、それぞれ、互いに
独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有し
ていてもよいC1〜C20炭化水素基;置換基を有してい
てもよいC1〜C20アルコキシ基;置換基を有していて
もよいC6〜C20アリールオキシ基;置換基を有してい
てもよいアミノ基;置換基を有していてもよいシリル
基、又は水酸基である。
【0011】本明細書では、C1〜C20炭化水素基は、
飽和若しくは不飽和の非環式であってもよいし、飽和若
しくは不飽和の環式であってもよい。C1〜C20炭化水
素基が非環式の場合には、線状でもよいし、枝分かれで
もよい。C1〜C20炭化水素基には、C1〜C20アルキル
基、C2〜C20アルケニル基、C2〜C20アルキニル基、
3〜C20アリル基、C4〜C20アルキルジエニル基、C
4〜C20ポリエニル基、C6〜C18アリール基、C6〜C
20アルキルアリール基、C6〜C20アリールアルキル
基、C4〜C20シクロアルキル基、C4〜C20シクロアル
ケニル基、(C 3〜C10シクロアルキル)C1〜C10アル
キル基などが含まれる。
【0012】C1〜C20アルキル基、C2〜C20アルケニ
ル基、C2〜C20アルキニル基、C3〜C20アリル基、C
4〜C20アルキルジエニル基、及び、C4〜C20ポリエニ
ル基は、それぞれ、C1〜C10アルキル基、C2〜C10
ルケニル基、C2〜C10アルキニル基、C3〜C10アリル
基、C4〜C10アルキルジエニル基、及び、C4〜C1 0
リエニル基であることが好ましい。
【0013】C6〜C18アリール基、C6〜C20アルキル
アリール基、C6〜C20アリールアルキル基、C4〜C20
シクロアルキル基、及び、C4〜C20シクロアルケニル
基は、それぞれ、C6〜C10アリール基、C6〜C12アル
キルアリール基、C6〜C12アリールアルキル基、C4
10シクロアルキル基、及び、C4〜C10シクロアルケ
ニル基であってもよい。
【0014】本発明の実施において有用な、置換基を有
していてもよいアルキル基の例としては、制限するわけ
ではないが、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、
t−ブチル、ドデカニル、トリフルオロメチル、ペルフ
ルオロ−n−ブチル、2,2,2−トリフルオロエチ
ル、ベンジル、2−フェノキシエチル等がある。
【0015】本発明の実施において有用な、置換基を有
していてもよいアリール基の例としては、制限するわけ
ではないが、フェニル、2−トリル、3−トリル、4−
トリル、ナフチル、ビフェニル、4−フェノキシフェニ
ル、4−フルオロフェニル、3−カルボメトキシフェニ
ル、4−カルボメトキシフェニル等がある。
【0016】本発明の実施において有用な、置換基を有
していてもよいアルコキシ基の例としては、制限するわ
けではないが、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエト
キシ、t−ブトキシ等がある。
【0017】本発明の実施において有用な、置換基を有
していてもよいアリールオキシ基の例としては、制限す
るわけではないが、フェノキシ、ナフトキシ、フェニル
フェノキシ、4−メチルフェノキシ、2−トリルオキ
シ、3−トリルオキシ、4−トリルオキシ、ナフチルオ
キシ、ビフェニルオキシ、4−フェノキシフェニルオキ
シ、4−フルオロフェニルオキシ、3−カルボメトキシ
フェニルオキシ、4−カルボメトキシフェニルオキシ等
がある。
【0018】C1〜C20炭化水素基、C1〜C20アルコキ
シ基、C6〜C20アリールオキシ基、アミノ基、シリル
基には、置換基が導入されていてもよく、この置換基と
しては、例えば、C1〜C10炭化水素基、C1〜C10アル
コキシ基、C6〜C10アリールオキシ基、アミノ基、水
酸基又はシリル基などが挙げられる。
【0019】本発明の実施において有用な、置換基を有
していてもよいアミノ基の例としては、制限するわけで
はないが、アミノ、ジメチルアミノ、メチルアミノ、メ
チルフェニルアミノ、フェニルアミノ等がある。
【0020】本発明の実施において有用な、置換基を有
していてもよいシリル基としては、制限するわけではな
いが、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリメト
キシシリル、トリエトキシシリル、ジフェニルメチルシ
リル、トリフェニルシリル、トリフェノキシシリル、ジ
メチルメトキシシリル、ジメチルフェノキシシリル、メ
チルメトキシフェニル等がある。
【0021】ただし、R2及びR3は、互いに架橋してC
4〜C20飽和環又は不飽和環を形成してもよい。これら
の置換基が形成する環は、4員環〜16員環であること
が好ましく、4員環〜12員環であることが更に好まし
い。この環は、ベンゼン環等の芳香族環あってもよい
し、脂肪族環であってもよい。また、これらの置換基が
形成する環に、更に単数又は複数の環が形成されていて
もよい。
【0022】前記飽和環または不飽和環は、酸素原子、
硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子また
は式―N(R7)―で示される基(式中、R7は水素原子
またはC1〜C20炭化水素基である。)で中断されてい
てもよい。即ち、前記飽和環または不飽和環はヘテロ環
であってもよい。かつ、置換基を有していてもよい。不
飽和環は、ベンゼン環等の芳香族環であってもよい。
【0023】R7は水素原子またはC1〜C10炭化水素基
であることが好ましく、水素原子またはC1〜C7炭化水
素基であることが更に好ましく、R6は水素原子、C1
3アルキル基、フェニル基またはベンジル基であるこ
とが更になお好ましい。
【0024】この飽和環又は不飽和環は、置換基を有し
ていてもよく、たとえば、C1〜C2 0炭化水素基、C1
20アルコキシ基、C6〜C20アリールオキシ基、アミ
ノ基、水酸基又はシリル基などの置換基が導入されてい
てもよい。
【0025】R1及びR2、R3及びR4、並びに、R5
びR6のいずれかの組合せが同一の置換基であることが
好ましい。
【0026】本発明の第1態様におけるベンゼン誘導体
の製造方法では、下記式(II)で示されるチタナシク
ロペンタジエンが用いられる。
【0027】
【化22】 (式中、R1、R2、R3及びR4は、上記の意味を有す
る。) L1及びL2は、互いに独立し、同一又は異なって、非局
在化環状η5−配位系配位子を示す。非局在化環状η5
配位系配位子の例は、無置換のシクロペンタジエニル
基、及び置換シクロペンタジエニル基である。
【0028】この置換シクロペンタジエニル基は、例え
ば、メチルシクロペンタジエニル、エチルシクロペンタ
ジエニル、イソプロピルシクロペンタジエニル、n−ブ
チルシクロペンタジエニル、t−ブチルシクロペンタジ
エニル、ジメチルシクロペンタジエニル、ジエチルシク
ロペンタジエニル、ジイソプロピルシクロペンタジエニ
ル、ジ−t−ブチルシクロペンタジエニル、テトラメチ
ルシクロペンタジエニル、インデニル基、2−メチルイ
ンデニル基、2−メチル−4−フェニルインデニル基、
テトラヒドロインデニル基、ベンゾインデニル基、フル
オレニル基、ベンゾフルオレニル基、テトラヒドロフル
オレニル基、オクタヒドロフルオレニル基及びアズレニ
ル基である。非局在化環状η5−配位系配位子は、非局
在化環状π系の1個以上の原子がヘテロ原子に置換され
ていてもよい。水素の他に、周期表第14族の元素及び
/又は周期表第15、16及び17族の元素のような1
個以上のヘテロ原子を含むことができる。
【0029】非局在化環状η5−配位系配位子、例え
ば、シクロペンタジエニル基は、中心金属と、環状であ
ってもよい、一つの又は複数の架橋配位子により架橋さ
れていてもよい。架橋配位子としては、例えば、C
2、CH2CH2、CH(CH3)CH2、CH(C
49)C(CH32、C(CH32、(CH32Si、
(CH3 2Ge、(CH32Sn、(C652Si、
(C65)(CH3)Si、(C6 52Ge、(C
652Sn、(CH24Si、CH2Si(CH32
o−C64又は2、2'−(C642が挙げられる。
【0030】上記式(II)で示されるチタナシクロペ
ンタジエンは、二つ以上のメタロセン部分 (moiety)を
有する化合物も含む。このような化合物は多核メタロセ
ンとして知られている。前記多核メタロセンは、いかな
る置換様式及びいかなる架橋形態を有していてもよい。
前記多核メタロセンの独立したメタロセン部分は、各々
が同一種でも、異種でもよい。前記多核メタロセンの例
は、例えばEP−A−632063、特開平4−802
14号、特開平4−85310、EP−A−65447
6に記載されている。
【0031】本発明の第1態様におけるベンゼン誘導体
の製造方法では、下記式(III)で示されるアルキン
が用いられる。
【0032】
【化23】 (式中、R5及びR6は、上記意味を有する。) 上記式(III)で示されるアルキンの量は、チタナシ
クロペンタジエン(II)1モルに対し、0.1モル〜
100モルであり、好ましくは0.5モル〜5モルであ
り、更に好ましくは0.9モル〜2モルであり、特に好
ましくは約1モルである。
【0033】本発明の第1態様におけるベンゼン誘導体
の製造方法は、リチウム金属の存在下で行われる。
【0034】リチウム金属の量は、チタナシクロペンタ
ジエン(II)1モルに対し、0.1モル〜10モルで
あり、好ましくは0.5モル〜5モルであり、更に好ま
しくは0.9モル〜5モルであり、特に好ましくは約1
モル〜約3モルである。
【0035】本発明の第1態様におけるベンゼン誘導体
の製造方法としては、典型的には、上記式(II)で示
されるチタナシクロペンタジエンの溶液に、リチウム金
属、上記式(III)で示されるアルキンを添加し、攪
拌する。もっとも、リチウム金属と上記式(III)で
示されるアルキンを添加する順序には制限がない。リチ
ウム金属及びアルキン(III)を同時に添加してもよ
いし、アルキン(III)を添加した後に、リチウム金
属を添加してもよいし、リチウム金属を添加した後に、
アルキン(III)を添加してもよい。
【0036】反応は、好ましくは−100℃〜300℃
の温度範囲で行われ、特に好ましくは−80℃〜200
℃の温度範囲、更に好ましくは−50℃〜100℃の温
度範囲で行われる。圧力は、例えば、0.1バール〜2
500バールの範囲内で、好ましくは0.5バール〜1
0バールの範囲内である。
【0037】溶媒としては、上記式(II)で示される
チタナシクロペンタジエンを溶解することができる溶媒
が好ましい。溶媒は、脂肪族又は芳香族の有機溶媒が用
いられる。エーテル系溶媒、例えばテトラヒドロフラン
又はジエチルエーテル;塩化メチレンのようなハロゲン
化炭化水素;o−ジクロロベンゼンのようなハロゲン化
芳香族炭化水素;N,N−ジメチルホルムアミド等のア
ミド、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド;ベンゼ
ン、トルエン等の芳香族炭化水素が用いられる。
【0038】上記式(II)で示されるチタナシクロペ
ンタジエンは、ビスシクロペンタジエニルチタンジアル
キルのようなメタロセン1モルに、2モルのアルキン又
は1モルのジインを作用させることにより得ることがで
きる。チタナシクロペンタジエンの生成については、例
えば、T. Takahashi et al. J. Org. Chem. 1995, 60,
4444 に記載されており、これと同一又は近似した条件
で反応が進行する。上記式(II)で示されるチタナシ
クロペンタジエンは、単離される必要はなく、in situ
で更に金属化合物、アルキン(III)と反応させても
よい。
【0039】チタナシクロペンタジエンの合成反応にお
ける溶媒は、脂肪族又は芳香族の溶媒が用いられ、好ま
しくは、極性溶媒が用いられる。エーテル系溶媒、例え
ばテトラヒドロフラン又はジエチルエーテル;塩化メチ
レンのようなハロゲン化炭化水素;o−ジクロロベンゼ
ンのようなハロゲン化芳香族炭化水素;N,N−ジメチ
ルホルムアミド等のアミド、ジメチルスルホキシド等の
スルホキシドが用いられる。あるいは、芳香族の溶媒と
して、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水
素を用いてもよい。
【0040】上記合成反応は好ましくは−80℃〜30
0℃の温度範囲で行われ、特に好ましくは−80℃〜5
0℃の温度範囲で行われる。圧力は0.1バール〜25
00バールの範囲内で、好ましくは0.5バール〜10
バールの範囲内である。反応は継続的に又はバッチ式
で、一段階又はそれより多段階で、溶液中、懸濁液中、
気相中又は超臨界媒体中で行える。
【0041】本発明の一側面で用いるメタラシクロペン
タジエンは、例えば、下記のメタロセンを用いて合成す
ることができる。
【0042】なお、ビス(シクロペンタジエニル)ジク
ロロチタンなどのジクロロ体については、ナトリウム等
のアルカリ金属、マグネシウム等のアルカリ土類金属の
ような強塩基で還元するか、又は、ジアルキル体に変換
してから、チタナシクロペンタジエンを生成させる。
【0043】ビス(シクロペンタジエニル)ジブチルチ
タン;(2−メチル−7−ナフチルインデニル)(2,
6−ジ−tert−ブチルフルオレニル)ジブチルチタ
ン;(インデニル)(2−ブテン−4−イルシクロペン
タジエニル)ジブチルチタン;ジメチルシランジイルビ
ス(インデニル)ジブチルチタン;ビス(シクロペンタ
ジエニル)エチルブチルチタン;(2−メチル−7−ナ
フチルインデニル)(2,6−ジ−tert−ブチルフ
ルオレニル)エチルブチルチタン;(インデニル)(2
−ブテン−4−イルシクロペンタジエニル)エチルブチ
ルチタン;ジメチルシランジイルビス(インデニル)エ
チルブチルチタン。
【0044】次に、本発明の第2態様について説明す
る。本発明の第2態様では、下記式(I)で示されるベ
ンゼン誘導体の製造方法であって、リチウム金属、及び
下記式(V)で示されるチタン化合物存在下、下記式
(IVa)、(IVb)及び(IVc)で示されるアル
キンを反応させることを特徴とするベンゼン誘導体の製
造方法が提供される。
【0045】
【化24】 (式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、X1、X2、L
1及びL2は、上記の意味を有する。) R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、それぞれ、互いに
独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有し
ていてもよいC1〜C20炭化水素基;置換基を有してい
てもよいC1〜C20アルコキシ基;置換基を有していて
もよいC6〜C20アリールオキシ基;置換基を有してい
てもよいアミノ基;置換基を有していてもよいシリル
基、又は水酸基である。
【0046】R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、それ
ぞれ、C1〜C10アルキル基、C2〜C10アルケニル基、
2〜C10アルキニル基、C3〜C10アリル基、C4〜C
10アルキルジエニル基、及び、C4〜C10ポリエニル基
であることが好ましい。
【0047】C1〜C20炭化水素基、C1〜C20アルコキ
シ基、C6〜C20アリールオキシ基、アミノ基、シリル
基には、置換基が導入されていてもよく、この置換基と
しては、例えば、C1〜C10炭化水素基、C1〜C10アル
コキシ基、C6〜C10アリールオキシ基、アミノ基、水
酸基又はシリル基などが挙げられる。
【0048】本発明の第2態様におけるベンゼン誘導体
の製造方法では、下記式(IVa)、(IVb)及び
(IVc)で示されるアルキンが用いられる。
【0049】
【化25】 (式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、上記の意
味を有する。) 上記式(IVa)、(IVb)及び(IVc)で示され
るアルキンは、同一のアルキンであることが好ましい。
また、R1、R2、R3、R4、R5及びR6がいずれも同一
の置換基であることが好ましい。
【0050】また、本発明の第2態様におけるベンゼン
誘導体の製造方法は、下記式(V)で示されるチタン化
合物の存在下で行われる。
【0051】
【化26】 1及びL2は、互いに独立し、同一又は異なって、非局
在化環状η5−配位系配位子を示し、ただし、L1及びL
2は、架橋されていてもよい。なお、L1及びL2につい
ては、第1態様で説明した通りである。
【0052】X1及びX2は、互いに独立し、同一又は異
なって、ハロゲン原子を示す。ハロゲン原子としては、
Cl、Br、F、Iを挙げることができ、特にClを好
ましく挙げることができる。
【0053】上記式(IVa)、(IVb)、(IV
c)で示されるアルキンの量は、それぞれ、チタン化合
物(V)1モルに対し、0.1モル〜100モルであ
り、好ましくは0.5モル〜50モルであり、更に好ま
しくは1モル〜10モルであり、特に好ましくは約1モ
ル〜約3モルである。
【0054】本発明の第2態様におけるベンゼン誘導体
の製造方法は、リチウム金属の存在下で行われる。
【0055】リチウム金属の量は、チタン化合物(V)
1モルに対し、0.1モル〜10モルであり、好ましく
は0.5モル〜8モルであり、更に好ましくは0.9モ
ル〜5モルであり、特に好ましくは約1モル〜約3モル
である。
【0056】本発明の第2態様におけるベンゼン誘導体
の製造方法としては、典型的には、上記式(V)で示さ
れるチタン化合物の溶液に、リチウム金属、上記式(I
Va)、(IVb)、(IVc)で示されるアルキンを
添加し、攪拌する。もっとも、リチウム金属と上記各ア
ルキンを添加する順序には制限がない。リチウム金属及
び各アルキンを同時に添加してもよいし、各アルキンを
添加した後に、リチウム金属を添加してもよいし、リチ
ウム金属を添加した後に、各アルキンを添加してもよ
い。
【0057】反応は、好ましくは−100℃〜300℃
の温度範囲で行われ、特に好ましくは−80℃〜200
℃の温度範囲、更に好ましくは−80℃〜100℃の温
度範囲で行われる。圧力は、例えば、0.1バール〜2
500バールの範囲内で、好ましくは0.5バール〜1
0バールの範囲内である。
【0058】溶媒としては、上記式(V)で示されるチ
タン化合物を溶解することができる溶媒が好ましい。溶
媒は、脂肪族又は芳香族の有機溶媒が用いられる。エー
テル系溶媒、例えばテトラヒドロフラン又はジエチルエ
ーテル;塩化メチレンのようなハロゲン化炭化水素;o
−ジクロロベンゼンのようなハロゲン化芳香族炭化水
素;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド、ジメチ
ルスルホキシド等のスルホキシド;ベンゼン、トルエン
等の芳香族炭化水素が用いられる。
【0059】次に、本発明の第3態様について説明す
る。本発明の第3態様では、下記式(I’)で示される
ベンゼン誘導体の製造方法であって、リチウム金属、及
び下記式(V)で示されるチタン化合物存在下、下記式
(III)で示されるアルキンと、下記式(VI)で示
されるアルキンとを反応させることを特徴とするベンゼ
ン誘導体の製造方法が提供される。
【0060】
【化27】 (式中、R1、R4、R5、R6、X1、X2、A、L1及び
2は、上記の意味を有する。) R1、R4、R5及びR6は、それぞれ、互いに独立し、同
一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよ
いC1〜C20炭化水素基;置換基を有していてもよいC1
〜C20アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6
20アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミ
ノ基;置換基を有していてもよいシリル基、又は水酸基
である。
【0061】R1、R4、R5及びR6は、それぞれ、C1
〜C10アルキル基、C2〜C10アルケニル基、C2〜C10
アルキニル基、C3〜C10アリル基、C4〜C10アルキル
ジエニル基、及び、C4〜C10ポリエニル基であること
が好ましい。
【0062】C1〜C20炭化水素基、C1〜C20アルコキ
シ基、C6〜C20アリールオキシ基、アミノ基、シリル
基には、置換基が導入されていてもよく、この置換基と
しては、例えば、C1〜C10炭化水素基、C1〜C10アル
コキシ基、C6〜C10アリールオキシ基、アミノ基、水
酸基又はシリル基などが挙げられる。
【0063】R1及びR4、並びに、R5及びR6のいずれ
かの組合せが同一の置換基であることが好ましい。
【0064】Aは、置換基を有してもよい2価のC4
10炭化水素基である。2価のC4〜C10炭化水素基と
しては、ヘキサメチレン基のようなC4〜C10アルキレ
ン基、ブテニレン基のようなC4〜C10アルケニレン
基、ブチニレン基のようなC4〜C 10アルキニレン基、
フェニレン基のようなC6〜C10アリーレン基等が挙げ
られる。これらは分枝を有していても良い。
【0065】また、酸素原子、硫黄原子、又は式−N
(R7)−で示される基(式中、R7は水素原子又はC1
〜C40炭化水素基である。)で中断されていてもよく、
かつ、置換基を有していてもよい。
【0066】本発明の第3態様におけるベンゼン誘導体
の製造方法では、下記式(III)で示されるアルキン
が用いられる。
【化28】 (式中、R5及びR6は、上記の意味を有する。) また、本発明の第3態様におけるベンゼン誘導体の製造
方法では、下記式(VI)で示されるアルキンが用いら
れる。
【0067】
【化29】 (式中、A、R1及びR4は、上記の意味を有する。) また、本発明の第3態様におけるベンゼン誘導体の製造
方法は、下記式(V)で示されるチタン化合物の存在下
で行われる。
【0068】
【化30】 1及びL2は、互いに独立し、同一又は異なって、非局
在化環状η5−配位系配位子を示し、ただし、L1及びL
2は、架橋されていてもよい。なお、L1及びL2につい
ては、第1態様で説明した通りである。
【0069】X1及びX2は、互いに独立し、同一又は異
なって、ハロゲン原子を示す。ハロゲン原子としては、
Cl、Br、F、Iを挙げることができ、特にClを好
ましく挙げることができる。
【0070】上記式(III)で示されるアルキンの量
は、それぞれ、チタン化合物(V)1モルに対し、0.
1モル〜100モルであり、好ましくは0.5モル〜5
0モルであり、更に好ましくは0.9モル〜10モルで
あり、特に好ましくは約1モル〜約3モルである。
【0071】上記式(VI)で示されるアルキンの量
は、それぞれ、チタン化合物(V)1モルに対し、0.
1モル〜100モルであり、好ましくは0.5モル〜5
0モルであり、更に好ましくは0.9モル〜10モルで
あり、特に好ましくは約1モル〜約3モルである。
【0072】リチウム金属の量は、チタン化合物(V)
1モルに対し、0.1モル〜10モルであり、好ましく
は0.5モル〜8モルであり、更に好ましくは0.9モ
ル〜3モルであり、特に好ましくは約2モル〜約3モル
である。
【0073】本発明の第3態様におけるベンゼン誘導体
の製造方法としては、典型的には、上記式(V)で示さ
れるチタン化合物の溶液に、リチウム金属、上記式(I
II)で示されるアルキン、上記式(VI)で示される
アルキンを添加し、攪拌する。もっとも、リチウム金属
と上記各アルキンを添加する順序には制限がない。リチ
ウム金属及び各アルキンを同時に添加してもよいし、各
アルキンを添加した後に、リチウム金属を添加してもよ
いし、リチウム金属を添加した後に、各アルキンを添加
してもよい。
【0074】反応は、好ましくは−100℃〜300℃
の温度範囲で行われ、特に好ましくは−80℃〜200
℃の温度範囲、更に好ましくは−80℃〜100℃の温
度範囲で行われる。圧力は、例えば、0.1バール〜2
500バールの範囲内で、好ましくは0.5バール〜1
0バールの範囲内である。
【0075】溶媒としては、上記式(V)で示されるチ
タン化合物を溶解することができる溶媒が好ましい。溶
媒は、脂肪族又は芳香族の有機溶媒が用いられる。エー
テル系溶媒、例えばテトラヒドロフラン又はジエチルエ
ーテル;塩化メチレンのようなハロゲン化炭化水素;o
−ジクロロベンゼンのようなハロゲン化芳香族炭化水
素;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド、ジメチ
ルスルホキシド等のスルホキシド;ベンゼン、トルエン
等の芳香族炭化水素が用いられる。
【0076】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
ただし、本発明は、下記の実施例に制限されるものでは
ない。
【0077】すべての反応は、窒素雰囲気下のもとで行
われた。溶媒として用いたテトラヒドロフラン(THF)は
窒素気流下、無水とした。チタノセンジクロライド、2-
ブチン及び5-デシンは東京化成工業から購入したものを
用いた。3-ヘキシン及び4-オクチンは、アルドリッチ
(Aldrich Chemical Company, Inc)から購入したもの
を用いた。リチウム及びn-ブチルリチウム(1.6 M solut
ion in hexane)は、関東化学から購入したものを用い
た。
【0078】1H-NMRおよび13C-NMRスペクトルは、25
℃の溶液(TMS1%含有)を用いて、JEOLスペクトロ
メター上で測定した。ガスクロマトグラフ分析は、シリ
カガラスキャピラリカラムSHIMADZU CBP1-M25-O25 及び
SHIMADZU C-R6A-Chromatopac integrator を備えたSHI
MADZU GC-14A ガスクロマトグラフで測定した。内部標
準としてドデカン及びメシチレンを用いた。
【0079】実施例1 ヘキサエチルベンゼン ビス(η5−シクロペンタジエニル)ジクロロチタン(0.
4mmol, 100mg)及びリチウム(1.6mmol, 11.2mg)のTHF 20
mL溶液に、-78℃にて、3-ヘキシン (6.0mmol,0.68mL)を
加えた。反応混合物を50℃まで直ちに昇温し、この温度
で1時間攪拌した。3N HClを添加して加水分解を行い、
通常の処理をした。減圧下で赤色油を蒸発させた後、シ
リカゲルを充填剤として、カラムクロマトグラフィーを
行い、白色固体の標題化合物(384mg)を得た。GC収率99
%、単離収率78%。
【0080】1H NMR (CDCl3, Me4Si):δ1.19 (t, J = 1
0.9Hz, 18H), 2.64 (q, J = 11.4Hz, 12H). 13C NMR
(CDCl3, Me4Si):δ15.71 (6C), 22.16. (6C), 137.82
(6C)。
【0081】実施例2 ヘキサメチルベンゼン 実施例1と同様の手順で行った。但し、3-ヘキシンの代
わりに2-ブチンを用いた。白色固体の表題化合物が246m
g得られた。GC収率99%、単離収率76%。
【0082】1H NMR (CDCl3, Me4Si):δ2.23 (s, 18H).
13C NMR (CDCl3, Me4Si):δ16.76(6C), 132.00 (6
C)。
【0083】実施例3 ヘキサプロピルベンゼン 実施例1と同様の手順で行った。但し、3-ヘキシンの代
わりに4-オクチンを用いた。白色固体の表題化合物が52
1mg得られた。GC収率97%、単離収率79%。
【0084】1H NMR (CDCl3, Me4Si):δ1.04 (t, J =
7.2Hz, 18H), 1.49-1.57 (m, 12H),2.47 (t, J = 8.5H
z, 12H). 13C NMR (CDCl3, Me4Si):δ15.30 (6C), 24.
80 (6C), 32.23 (6C), 136.75 (6C)。
【0085】実施例4 ヘキサブチルベンゼン 実施例1と同様の手順で行った。但し、3-ヘキシンの代
わりに、5-デシンを用いた。白色固体の表題化合物が58
0mg得られた。GC収率97%、単離収率 70%。
【0086】1H NMR (CDCl3, Me4Si):δ0.98 (t, J =
6.5Hz, 18H) , 1.36-1.55 (m, 24H),2.45-2.55 (m, 12
H). 13C NMR (CDCl3, Me4Si):δ13.88 (6C), 23.68 (6
C), 29.36 (6C), 33.69 (6C), 136.63 (6C)。
【0087】実施例5 1,4-ジフェニル-2,3-ジプロピル-5,6,7,8-テトラヒドロ
ナフタレン ビス(η5−シクロペンタジエニル)ジクロロチタン(2.
4mmol, 600mg)及びn-ブチルリチウム (1.6 M n-ヘキサ
ン溶液3.0ml, 4.8 mmol) のTHF 20mL溶液に、-78℃に
て、1,8-ジフェニルオクタ-1,7-ジイン(2.0mmol, 516m
g)を1時間かけて加え、温度を3時間かけて-10℃まで上
げた。続いて、4-オクチン (2.0mmol, 0.296mL) 及びリ
チウム (4.0mmol, 28mg)を加えた。反応混合物の温度を
0℃まで上げ、この温度で6時間攪拌した。3N HClで加水
分解した後、通常の処理をした。減圧下で赤色油を蒸発
させた後、シリカゲルを充填剤として、カラムクロマト
グラフィーを行い、白色固体の標題化合物(647mg)を得
た。GC収率98%、単離収率88%。
【0088】1H NMR (CDCl3, Me4Si):δ0.68 (t, J =
7.6Hz, 6H), 0.80-0.89 (m, 4H), 1.04-1.16 (m, 4H),
1.26-1.38 (m, 4H), 1.50-1.58 (m, 4H), 2.25-2.35
(m, 4H), 7.21-7.43 (m, 10H). 13C NMR (CDCl3, Me4S
i):δ13.48 (2C), 23.15 (2C),23.17 (2C), 29.31 (2
C), 29.97 (2C), 33.50 (2C), 126.29 (2C), 128.07 (4
C), 129.59 (4C), 132.57 (2C), 136.26 (2C), 141.70
(2C)。
【0089】実施例6 1,4-ジフェニル-2,3-ジエチル-5,6,7,8-テトラヒドロナ
フタレン 実施例5と同じ手順で行った。但し、4-オクチンの代わ
りに3-ヘキシンを用いた。白色固体の表題化合物が330m
g得られた。GC収率58%、単離収率49%。NMRデータは実施
例5と同じであった。
【0090】実施例7 1,4-ジフェニル-2,3-ジブチル-5,6,7,8-テトラヒドロナ
フタレン 実施例5と同じ手順で行った。但し、4-オクチンの代わ
りに5-デシンを用いた。白色固体の表題化合物が433mg
得られた。GC収率64%、単離収率55%。NMRデータは実施
例5と同じであった。
【0091】実施例8 1,4-ジプロピル-2,3-ジエチル-5,6,7,8-テトラヒドロナ
フタレン 実施例5と同じ手順で行った。但し、1,8-ジフェニルオ
クタ-1,7-ジインの代わりに、1,8-ジプロピルオクタ-1,
7-ジインを用いた。また、4-オクチンの代わりに3-ヘキ
シンを用いた。白色固体の表題化合物が284mg得られ
た。GC収率68%、単離収率52%。
【0092】1H NMR (CDCl3, Me4Si):δ1.04 (t, J =
7.2Hz, 6H), 1.17 (t, J = 7.4Hz, 6H), 1.44-1.54 (m,
4H), 1.74-1.78 (m, 4H), 2.49-2.55 (m, 4H), 2.64
(q, J= 7.4Hz, 4H), 2.70-2.74 (m, 4H). 13C NMR (CD
Cl3, Me4Si):δ15.06 (2C), 15.88 (2C), 22.13 (2C),
23.24 (2C), 23.60 (2C), 27.18 (2C), 31.41 (2C), 13
3.15 (2C), 136.84 (2C), 137.32 (2C)。
【0093】実施例9 1,4-ジプロピル-2,3-ジプロピル-5,6,7,8-テトラヒドロ
ナフタレン 実施例5と同じ手順で行った。但し、1,8-ジフェニルオ
クタ-1,7-ジインの代わりに、1,8-ジプロピルオクタ-1,
7-ジインを用いた。白色固体の表題化合物が240mg得ら
れた。GC収率50%、単離収率40%。
【0094】1H NMR (CDCl3, Me4Si):δ1.04 (t, J =
7.2Hz, 6H), 1.05 (t, J = 7.2Hz, 6H), 1.45-1.56 (m,
8H), 1.74-1.77 (m, 4H), 2.47-2.53 (m, 8H), 2.69-
2.71 (m, 4H). 13C NMR (CDCl3, Me4Si):δ15.14 (2
C), 15.25 (2C), 23.21 (2C), 23.53 (2C), 24.95 (2
C), 27.17 (2C), 31.55 (2C), 32.02 (2C), 133.05 (2
C), 136.28 (2C), 136.90 (2C)。
【0095】実施例10 1,4-ジプロピル-2,3-ジブチル-5,6,7,8-テトラヒドロナ
フタレン 実施例5と同じ手順で行った。但し、1,8-ジフェニルオ
クタ-1,7-ジインの代わりに、1,8-ジプロピルオクタ-1,
7-ジインを用いた。4-オクチンの代わりに5-デシンを用
いた。白色固体の表題化合物が360mg得られた。GC収率7
0%、単離収率55%。
【0096】1H NMR (CDCl3, Me4Si):δ0.99 (t, J =
7.4Hz, 6H), 1.03 (t, J = 7.4Hz, 6H), 1.43-1.53 (m,
12H), 1.74-1.78 (m, 4H), 2.47-2.57 (m, 8H), 2.69-
2.74(m, 4H). 13C NMR (CDCl3, Me4Si):δ13.84 (2C),
15.08 (2C), 23.23 (2C), 23.57 (2C), 23.64 (2C), 2
7.20 (2C), 29.20 (2C), 31.51 (2C), 33.79 (2C), 13
3.00 (2C), 136.29 (2C), 136.88 (2C)。
【0097】実施例11 1,4-ジエチル-2,3-ジエチル-5,6,7,8-テトラヒドロナフ
タレン 実施例5と同じ手順で行った。但し、1,8-ジフェニルオ
クタ-1,7-ジインの代わりに、1,8-ジエチルオクタ-1,7-
ジインを用いた。4-オクチンの代わりに3-ヘキシンを用
いた。白色固体の表題化合物が240mg得られた。GC収率5
4%、単離収率49%。
【0098】1H NMR (CDCl3, Me4Si):δ1.14 (t, J =
7.5Hz, 6H), 1.18 (t, J = 7.5Hz, 6H), 1.76-1.78 (m,
4H), 2.59-2.68 (m, 8H), 2.73-2.75 (m, 4H). 13C N
MR (CDCl3, Me4Si):δ14.48 (2C), 15.88 (2C), 21.71
(2C), 21.96 (2C), 23.20 (2C), 27.05 (2C), 133.06
(2C), 137.24 (2C), 138.04 (2C)。
【0099】実施例12 1,4-ジエチル-2,3-ジプロピル-5,6,7,8-テトラヒドロナ
フタレン 実施例5と同じ手順で行った。但し、1,8-ジフェニルオ
クタ-1,7-ジインの代わりに、1,8-ジエチルオクタ-1,7-
ジインを用いた。白色固体の表題化合物が276mg得られ
た。GC収率60%、単離収率51%。
【0100】1H NMR (CDCl3, Me4Si): δ1.06 (t, J =
7.3Hz, 6H), 1.14 (t, J = 7.5Hz,6H), 1.53-1.55 (m,
4H), 1.76-1.78 (m, 4H), 2.51-2.63 (m, 8H), 2.72-2.
73(m, 4H). 13C NMR (CDCl3, Me4Si): δ14.48 (2C),
15.20 (2C), 21.85 (2C),23.20 (2C), 24.99 (2C), 27.
06 (2C), 31.85(2C), 132.95 (2C), 136.17 (2C),138.0
7 (2C)。
【0101】実施例13 1,4-ジエチル-2,3-ジブチル-5,6,7,8-テトラヒドロナフ
タレン 実施例5と同じ手順で行った。但し、1,8-ジフェニルオ
クタ-1,7-ジインの代わりに、1,8-ジエチルオクタ-1,7-
ジインを用いた。4-オクチンの代わりに5-デシンを用い
た。白色固体の表題化合物が256mg得られた。GC収率52
%、単離収率43%。
【0102】1H NMR (CDCl3, Me4Si): δ0.98 (t, J =
7.0Hz, 6H), 1.14 (t, J = 7.5Hz,6H), 1.46-1.53 (m,
8H), 1.76-1.78 (m, 4H), 2.54-2.63 (m, 8H), 2.70-2.
75(m, 4H). 13C NMR (CDCl3, Me4Si): δ13.88 (2C),
14.78 (2C), 21.82 (2C),23.22 (2C), 23.65 (2C), 27.
08 (2C), 29.07 (2C), 33.86 (2C), 132.90 (2C),136.1
5 (2C), 138.05 (2C)。
【0103】実施例14 1,2-ジプロピル-3,4,5,6-テトラエチルベンゼン ビス(η5−シクロペンタジエニル)ジクロロチタン(1.
25mmol, 312mg)及びn-ブチルリチウム(1.6 M n-ヘキサ
ン溶液2.4ml, 1.5 mmol)のTHF 6mL溶液に、-78℃にて、
1時間かけて、3-ヘキシン (2.0mmol, 0.228ml)を加え、
3時間かけて温度を-10℃まで上げた。続いて、4-オクチ
ン(1.0mmol, 0.147mL) 及びリチウム (2.0mmol, 14mg)
を-78℃にて加えた。反応混合物の温度を室温まで上
げ、この温度で反応混合物を3時間攪拌した。3N HClで
加水分解した後、通常の処理をした。減圧下で赤色油を
蒸発させた後、シリカゲルを充填剤として、カラムクロ
マトグラフィーを行い、白色固体の標題化合物(140mg)
を得た。GC収率66%、単離収率51%。
【0104】1H NMR (CDCl3, Me4Si): δ1.05 (t, J =
7.3Hz, 6H), 1.18 (t, J = 7.5Hz,12H), 1.51-1.59 (m,
4H), 2.45-2.53 (m, 4H), 2.58-2.67 (m, 8H). 13C N
MR(CDCl3, Me4Si): δ15.23 (2C), 15.70 (2C), 22.15
(2C), 22.30 (2C), 24.81(2C), 32.06 (2C), 136.77 (2
C), 137.71 (2C), 137.85 (2C)。
【0105】実施例15 1,2-ジブチル-3,4,5,6-テトラエチルベンゼン 実施例14と同じ手順で行った。但し、4-オクチンの代
わりに5-デシンを用いた。白色固体の表題化合物が140m
gで得られた。GC収率63%、単離収率46%。
【0106】1H NMR (CDCl3, Me4Si): δ1.21 (t, J =
7.1Hz, 6H), 1.42 (t, J = 7.5Hz,12H), 1.67-1.78 (m,
8H), 2.76-2.80 (m, 4H), 2.82-2.88 (m, 8H). 13C N
MR(CDCl3, Me4Si): δ13.87 (2C), 15.70 (4C), 22.17
(2C), 22.27 (2C), 23.71(2C), 29.28 (2C), 33.71 (2
C), 136.74 (2C), 137.64 (2C), 137.82 (2C)。
【0107】
【発明の効果】本発明の方法により、多置換ベンゼン誘
導体を簡便に、かつ選択的に得ることができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式(I)で示されるベンゼン誘導体の
    製造方法であって、 【化1】 (式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、それぞ
    れ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置
    換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基;置換基
    を有していてもよいC1〜C20アルコキシ基;置換基を
    有していてもよいC6〜C20アリールオキシ基;置換基
    を有していてもよいアミノ基;置換基を有していてもよ
    いシリル基、又は水酸基であり、 ただし、R2及びR3は、互いに架橋してC4〜C20飽和
    環又は不飽和環を形成してもよく、前記環は、酸素原
    子、硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子
    又は式−N(R7)−で示される基(式中、R7は水素原
    子又はC1〜C20炭化水素基である。)で中断されてい
    てもよく、かつ、置換基を有していてもよい。) リチウム金属存在下、下記式(II)で示されるチタナ
    シクロペンタジエンと、 【化2】 (式中、R1、R2、R3及びR4は、上記の意味を有す
    る。L1及びL2は、互いに独立し、同一又は異なって、
    非局在化環状η5−配位系配位子を示し、ただし、L1
    びL2は、架橋されていてもよい。) 下記式(III)で示されるアルキンと 【化3】 (式中、R5及びR6は、上記意味を有する。)を反応さ
    せることを特徴とするベンゼン誘導体の製造方法。
  2. 【請求項2】下記式(I)で示されるベンゼン誘導体の
    製造方法であって、 【化4】 (式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、それぞ
    れ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置
    換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基;置換基
    を有していてもよいC1〜C20アルコキシ基;置換基を
    有していてもよいC6〜C20アリールオキシ基;置換基
    を有していてもよいアミノ基;置換基を有していてもよ
    いシリル基、又は水酸基である。) リチウム金属、及び下記式(V)で示されるチタン化合
    物存在下、 【化5】 (式中、L1及びL2は、互いに独立し、同一又は異なっ
    て、非局在化環状η5−配位系配位子を示し、ただし、
    1及びL2は、架橋されていてもよい。X1及びX2は、
    互いに独立し、同一又は異なって、ハロゲン原子を示
    す。) 下記式(IVa)、(IVb)及び(IVc)で示され
    るアルキンを 【化6】 (式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、上記の意
    味を有する。)反応させることを特徴とするベンゼン誘
    導体の製造方法。
  3. 【請求項3】下記式(I’)で示されるベンゼン誘導体
    の製造方法であって、 【化7】 (式中、R1、R4、R5及びR6は、それぞれ、互いに独
    立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有して
    いてもよいC1〜C20炭化水素基;置換基を有していて
    もよいC1〜C20アルコキシ基;置換基を有していても
    よいC6〜C20アリールオキシ基;置換基を有していて
    もよいアミノ基;置換基を有していてもよいシリル基、
    又は水酸基であり、 Aは、置換基を有してもよい2価のC4〜C10炭化水素
    基であり、酸素原子、硫黄原子、又は式−N(R7)−
    で示される基(式中、R7は水素原子又はC1〜C40炭化
    水素基である。)で中断されていてもよく、かつ、置換
    基を有していてもよい。) リチウム金属、及び下記式(V)で示されるチタン化合
    物存在下、 【化8】 (式中、L1及びL2は、互いに独立し、同一又は異なっ
    て、非局在化環状η5−配位系配位子を示し、ただし、
    1及びL2は、架橋されていてもよい。X1及びX2は、
    互いに独立し、同一又は異なって、ハロゲン原子を示
    す。) 下記式(III)で示されるアルキンと、 【化9】 (式中、R5及びR6は、上記の意味を有する。)、下記
    式(VI)で示されるアルキンと 【化10】 (式中、A、R1及びR4は、上記の意味を有する。)を
    反応させることを特徴とするベンゼン誘導体の製造方
    法。
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