JP4540217B2 - ピラン誘導体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ピラン誘導体及びその製造方法に関し、より詳しくは、2H−ピラン誘導体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
ピラン誘導体は、香料や医薬品の中間体として使用することができ、その価値は高い。そして、これらの用途では、ピラン環に様々な置換基を導入することが求められている。
【0003】
従来、ジインとアルデヒドからニッケル存在下でピラン誘導体を製造する方法は知られていた。また、アセチレンとアルデヒドからニッケル存在下でピラン誘導体を製造する方法が知られていた。しかしながら、2種類の異なるアセチレンから、位置選択的な構造を有するピラン誘導体を合成するという手法、及び多置換ピラン誘導体自体は知られていない。
【0004】
本発明は、多置換ピラン誘導体を選択的、かつ、高収率で提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明では、下記式(Ia)又は(Ib)で示されるピラン誘導体を製造する方法であって、
【0006】
【化5】
(式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基;置換基を有していてもよいシリル基又は水酸基であり、ただし、R2及びR3は、互いに架橋してC4〜C20飽和環又は不飽和環を形成してもよく、前記環は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子又は式−N(R5)−で示される基(式中、R5は水素原子又はC1〜C20炭化水素基である。)で中断されていてもよく、かつ、置換基を有していてもよく、A1及びA2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;ハロゲン原子;置換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C20アルキルアリールオキシ基;置換基を有していてもよいC2〜C20アルキルオキシカルボニル基;置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシカルボニル基;シアノ基(−CN);ニトロ基(−NO2);イソシアノ基(−NC);カルバモイル基(−C(=O)NH2);ハロホルミル基(−C(=O)−B、式中、Bはハロゲン原子を示す。);ホルミル基(−C(=O)−H);イソシアナト基(−NCO)、チオシアナト基(−SCN)又はイソチオシアナト基(−NCS)である。)典型金属を含む金属化合物の存在下、下記式(II)で示されるメタラシクロペンタジエンと、
【0007】
【化6】
(式中、R1、R2、R3及びR4は、上記の意味を有する。Mは、周期表の第3族〜第5族またはランタニド系列の金属を示し;L1及びL2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、アニオン性配位子を示し、ただし、L1及びL2は、架橋されていてもよい。)下記式(III)で示されるケトンとを、
【0008】
【化7】
(A1及びA2は、上記の意味を有する。)反応させることを特徴とするピラン誘導体の製造方法が提供される。
【0009】
本発明にかかるピラン誘導体の製造方法において、前記金属化合物が、金属ハロゲン化物であることが好ましい。また、Mが、周期表第4族もしくは第5族またはランタニド系列の金属であり、前記アニオン性配位子が、非局在化環状η5−配位系配位子であることが好ましく、前記非局在化環状η5−配位系配位子が、置換されていてもよいシクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基又はアズレニル基であることが更に好ましい。
【0010】
また、前記メタラシクロペンタジエンと、前記ケトンとを、20℃以下で反応させることが好ましい。
【0011】
本発明では、下記式(Ia)又は(Ib)で示されるピラン誘導体が提供される。
【0012】
【化8】
(式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、置換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基;置換基を有していてもよいシリル基又は水酸基であり、ただし、R2及びR3は、互いに架橋してC4〜C20飽和環又は不飽和環を形成してもよく、前記環は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子又は式−N(R5)−で示される基(式中、R5は水素原子又はC1〜C20炭化水素基である。)で中断されていてもよく、かつ、置換基を有していてもよく、ただし、R1、R2、R3及びR4がすべて水素原子である場合を除き、A1及びA2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、シアノ基(−CN);ニトロ基(−NO2);置換基を有していてもよいC2〜C20アルキルオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシカルボニル基、又は、式−CO−NR78で示される基(式中、R7及びR8は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子又はC1〜C20炭化水素基である。)から選ばれる電子吸引基である。)
【0013】
前記R1と前記R2とは同一の基であり、前記R3と前記R4とは同一の基であり、かつ、前記R1及び前記R3とは異なる基であってもよい。
また、前記R1と前記R2とは異なる基であり、かつ、前記R1と前記R4とは異なる基であってもよい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施態様を更に詳しく説明する。
【0015】
本発明において、下記式(Ia)又は(Ib)で示されるピラン誘導体が提供される。
【0016】
【化9】
(式中、R1、R2、R3、R4、A1及びA2は、上記の意味を有する。)
【0017】
1、R2、R3及びR4は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基;置換基を有していてもよいシリル基又は水酸基である。
【0018】
本明細書では、C1〜C20炭化水素基は、飽和若しくは不飽和の非環式であってもよいし、飽和若しくは不飽和の環式であってもよい。C1〜C20炭化水素基が非環式の場合には、線状でもよいし、枝分かれでもよい。C1〜C20炭化水素基には、C1〜C20アルキル基、C2〜C20アルケニル基、C2〜C20アルキニル基、C3〜C20アリル基、C4〜C20アルキルジエニル基、C4〜C20ポリエニル基、C6〜C18アリール基、C6〜C20アルキルアリール基、C6〜C20アリールアルキル基、C4〜C20シクロアルキル基、C4〜C20シクロアルケニル基、(C3〜C10シクロアルキル)C1〜C10アルキル基などが含まれる。
【0019】
1〜C20アルキル基、C2〜C20アルケニル基、C2〜C20アルキニル基、C3〜C20アリル基、C4〜C20アルキルジエニル基、及び、C4〜C20ポリエニル基は、それぞれ、C1〜C10アルキル基、C2〜C10アルケニル基、C2〜C10アルキニル基、C3〜C10アリル基、C4〜C10アルキルジエニル基、及び、C4〜C10ポリエニル基であることが好ましい。
【0020】
6〜C18アリール基、C6〜C20アルキルアリール基、C6〜C20アリールアルキル基、C4〜C20シクロアルキル基、及び、C4〜C20シクロアルケニル基は、それぞれ、C6〜C10アリール基、C6〜C12アルキルアリール基、C6〜C12アリールアルキル基、C4〜C10シクロアルキル基、及び、C4〜C10シクロアルケニル基が好ましい。
【0021】
本発明の実施において有用なアルキル基の例としては、制限するわけではないが、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、t−ブチル、ドデカニル、トリフルオロメチル、ペルフルオロ−n−ブチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ベンジル、2−フェノキシエチル等がある。
【0022】
本発明の実施において有用なアリール基の例としては、制限するわけではないが、フェニル、2−トリル、3−トリル、4−トリル、ナフチル、ビフェニル、4−フェノキシフェニル、4−フルオロフェニル、3−カルボメトキシフェニル、4−カルボメトキシフェニル等がある。
【0023】
本発明の実施において有用なアルコキシ基の例としては、制限するわけではないが、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、t−ブトキシ等がある。
【0024】
本発明の実施において有用なアリールオキシ基の例としては、制限するわけではないが、フェノキシ、ナフトキシ、フェニルフェノキシ、4−メチルフェノキシ、2−トリルオキシ、3−トリルオキシ、4−トリルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ、4−フェノキシフェニルオキシ、4−フルオロフェニルオキシ、3−カルボメトキシフェニルオキシ、4−カルボメトキシフェニルオキシ等がある。
【0025】
1〜C20炭化水素基、C1〜C20アルコキシ基、C6〜C20アリールオキシ基、アミノ基、シリル基には、置換基が導入されていてもよく、この置換基としては、例えば、C1〜C10炭化水素基、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基などが挙げられる。
【0026】
本発明の実施において有用なアミノ基の例としては、制限するわけではないが、アミノ、ジメチルアミノ、メチルアミノ、メチルフェニルアミノ、フェニルアミノ等がある。
【0027】
本発明の実施において有用なシリル基としては、制限するわけではないが、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリメトキシシリル、トリエトキシシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、トリフェノキシシリル、ジメチルメトキシシリル、ジメチルフェノキシシリル、メチルメトキシフェニル等がある。
【0028】
ただし、R2及びR3は、互いに、架橋してC4〜C20飽和環又は不飽和環を形成してもよい。これらの置換基が形成する環は、4員環〜16員環であることが好ましく、4員環〜12員環であることが更に好ましい。この環は、ベンゼン環等の芳香族環あってもよいし、脂肪族環であってもよい。また、これらの置換基が形成する環に、更に単数又は複数の環が形成されていてもよい。
【0029】
前記飽和環または不飽和環は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子または式―N(R5)―で示される基(式中、R5は水素原子またはC1〜C20炭化水素基である。)で中断されていてもよい。即ち、前記飽和環または不飽和環はヘテロ環であってもよい。かつ、置換基を有していてもよい。不飽和環は、ベンゼン環等の芳香族環であってもよい。
【0030】
5は水素原子またはC1〜C10炭化水素基であることが好ましく、水素原子またはC1〜C7炭化水素基であることが更に好ましく、R5は水素原子、C1〜C3アルキル基、フェニル基またはベンジル基であることが更になお好ましい。
【0031】
この飽和環又は不飽和環は、置換基を有していてもよく、たとえば、C1〜C20炭化水素基、C1〜C20アルコキシ基、C6〜C20アリールオキシ基、アミノ基、水酸基又は式シリル基などの置換基が導入されていてもよい。
【0032】
1とR2とは同一の基であり、かつ、R3とR4とが同一の基であり、かつ、R1及びR3とが異なる基であってもよい。また、R1とR2とが異なる基であり、かつ、R1とR4とが異なる基であってもよい。
【0033】
1及びA2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;ハロゲン原子;置換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基;置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C20アルキルアリールオキシ基;置換基を有していてもよいC2〜C20アルキルオキシカルボニル基;置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシカルボニル基;シアノ基(−CN);ニトロ基(−NO2);イソシアノ基(−NC);カルバモイル基(−C(=O)NH2);ハロホルミル基(−C(=O)−B、式中、Bはハロゲン原子を示す。);ホルミル基(−C(=O)−H);イソシアナト基(−NCO)、チオシアナト基(−SCN)又はイソチオシアナト基(−NCS)である。
【0034】
1及びA2は、シアノ基(−CN);ニトロ基(−NO2);置換基を有していてもよいC2〜C20アルキルオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシカルボニル基、又は、式−CO−NR78で示される基(式中、R7及びR8は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子又はC1〜C20炭化水素基である。)から選ばれる電子吸引基であることが好ましい。
【0035】
本発明の実施において有用なアルキルオキシカルボニル基の例としては、制限するわけではないが、メチルオキシカルボニル、エチルオキシカルボニル、プロピルオキシカルボニル、n−ブチルオキシカルボニル、t−ブチルオキシカルボニル、ドデカニルオキシカルボニル、トリフルオロメチルオキシカルボニル、ペルフルオロ−n−ブチルオキシカルボニル、2,2,2−トリフルオロエチルオキシカルボニル等がある。
【0036】
本発明の実施において有用なアリールオキシカルボニル基の例としては、制限するわけではないが、フェニルオキシカルボニル、2−トリルオキシカルボニル、3−トリルオキシカルボニル、4−トリルオキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル、ビフェニルオキシカルボニル、4−フェノキシフェニルオキシカルボニル、4−フルオロフェニルオキシカルボニル、3−カルボメトキシフェニルオキシカルボニル等がある。
【0037】
本発明では、また、下記式(Ia)又は(Ib)で示されるピラン誘導体を製造する方法であって、典型金属を含む金属化合物の存在下、下記式(II)で示されるメタラシクロペンタジエンと、下記式(III)で示されるケトンとを、反応させることを特徴とするピラン誘導体の製造方法が提供される。
【0038】
【化10】
(式中、R1、R2、R3、R4、A1、A2、M、L1及びL2は、上記の意味を有する。)
【0039】
本発明にかかるピラン誘導体の製造方法において、下記式(II)で示されるメタラシクロペンタジエンが用いられる。
【0040】
【化11】
(式中、R1、R2、R3及びR4は、上記の意味を有する。)
【0041】
Mは、周期表の第3族〜第5族又はランタニド系列の金属を示す。Mとしては、周期表第4族又はランタニド系列の金属が好ましく、周期表第4族の金属、即ち、チタン、ジルコニウム及びハフニウムが更に好ましい。
【0042】
1及びL2は、互いに独立し、同一又は異なって、アニオン性配位子を示す。ただし、L1及びL2は、架橋されていてもよい。前記アニオン性配位子は、非局在化環状η5−配位系配位子、C1〜C20アルコキシ基、C6〜C20アリールオキシ基又はジアルキルアミド基であることが好ましい。
【0043】
1及びL2は、非局在化環状η5−配位系配位子であることが好ましい。非局在化環状η5−配位系配位子の例は、無置換のシクロペンタジエニル基、及び置換シクロペンタジエニル基である。この置換シクロペンタジエニル基は例えば、メチルシクロペンタジエニル、エチルシクロペンタジエニル、イソプロピルシクロペンタジエニル、n−ブチルシクロペンタジエニル、t−ブチルシクロペンタジエニル、ジメチルシクロペンタジエニル、ジエチルシクロペンタジエニル、ジイソプロピルシクロペンタジエニル、ジ−t−ブチルシクロペンタジエニル、テトラメチルシクロペンタジエニル、インデニル基、2−メチルインデニル基、2−メチル−4−フェニルインデニル基、テトラヒドロインデニル基、ベンゾインデニル基、フルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、テトラヒドロフルオレニル基、オクタヒドロフルオレニル基及びアズレニル基である。
【0044】
非局在化環状η5−配位系配位子は、非局在化環状π系の1個以上の原子がヘテロ原子に置換されていてもよい。水素の他に、周期表第14族の元素及び/又は周期表第15、16及び17族の元素のような1個以上のヘテロ原子を含むことができる。
【0045】
非局在化環状η5−配位系配位子、例えば、シクロペンタジエニル基は、中心金属と、環状であってもよい、一つの又は複数の架橋配位子により架橋されていてもよい。架橋配位子としては、例えば、CH2、CH2CH2、CH(CH3)CH2、CH(C49)C(CH32、C(CH32、(CH32Si、(CH32Ge、(CH32Sn、(C652Si、(C65)(CH3)Si、(C652Ge、(C652Sn、(CH24Si、CH2Si(CH32、o−C64又は2、2'−(C642が挙げられる。
【0046】
上記式(II)で示されるメタラシクロペンタジエンは、二つ以上のメタロセン部分 (moiety)を有する化合物も含む。このような化合物は多核メタロセンとして知られている。前記多核メタロセンは、いかなる置換様式及びいかなる架橋形態を有していてもよい。前記多核メタロセンの独立したメタロセン部分は、各々が同一種でも、異種でもよい。前記多核メタロセンの例は、例えばEP−A−632063、特開平4−80214号、特開平4−85310、EP−A−654476に記載されている。
【0047】
本発明にかかるピラン誘導体の製造方法において、下記式(III)で示されるケトンが用いられる。
【0048】
【化12】
(A1及びA2は、上記の意味を有する。)
【0049】
上記式(III)で示されるケトンの量は、メタラシクロペンタジエン(II)1モルに対し、0.01モル〜20モルであり、生成物である上記式(I)のピラン誘導体の収率を上げる観点からは、好ましくは0.1モル〜8モルであり、更に好ましくは、0.9モル〜2モルである。
【0050】
本発明にかかるピラン誘導体の製造方法は、典型金属を含む金属化合物存在下で行われる。典型金属としては、特に制限はないが、Bi、Al、Sn、Ge、Mg、Ca、Cd等を挙げることができ、Bi、Sn、Geを好ましく挙げることができる。
【0051】
金属化合物は、典型金属のハロゲン化物であることが好ましく、ハロゲン原子としては、Cl、Br、F、Iを挙げることができ、Cl、Brを好ましく挙げることができる。
【0052】
典型的には、上記式(II)で示されるメタラシクロペンタジエンの溶液に、金属化合物を添加し、攪拌した後に、上記式(III)で示されるケトンを添加する。もっとも、金属化合物と上記式(III)で示されるケトンを添加する順序には制限がない。金属化合物及びケトン(III)を同時に添加してもよいし、ケトン(III)を添加した後に、金属化合物を添加してもよい。
【0053】
金属化合物は、触媒として反応に関わるのではなく、化学量論的に反応に関わり、上記式(II)で示されるメタラシクロペンタジエンと反応して中間体を生成していると思われる。
【0054】
たとえば、反応機構としては、下記のスキームが提案される。
【化13】
(式中、R1、R2、R3、R4、A1、A2、M、L1及びL2は、上記の意味を有する。M1は典型金属であり、Xはハロゲン原子である。)
【0055】
メタラシクロペンタジエン(II)は、金属化合物M1Xと反応し、中間体(II’)を生成する。この中間体(II’)にケトン(III)を添加し、(IVa)又は(IVb)で示される中間体に変換し、更に、ピラン誘導体(Ia)又は(Ib)が生成する。なお、この反応機構は仮説に過ぎず、本発明はこの反応機構に限定されるものではない。
【0056】
金属化合物の量は、メタラシクロペンタジエン(II)1モルに対し、0.01モル〜20モルであり、生成物である上記式(I)のピラン誘導体の収率を上げる観点からは、好ましくは0.1モル〜8モルであり、更に好ましくは、0.9モル〜2モルである。
【0057】
反応は、好ましくは−100℃〜300℃の温度範囲で行われ、特に好ましくは−80℃〜100℃の温度範囲、更に好ましくは−50℃〜50℃、最も好ましくは、20℃以下の温度範囲で行われる。圧力は、例えば、0.1バール〜2500バールの範囲内で、好ましくは0.5バール〜10バールの範囲内である。
【0058】
溶媒としては、上記式(II)で示されるメタラシクロペンタジエンを溶解することができる溶媒が好ましい。溶媒は、脂肪族又は芳香族の有機溶媒が用いられる。エーテル系溶媒、例えばテトラヒドロフラン又はジエチルエーテル;塩化メチレンのようなハロゲン化炭化水素;o−ジクロロベンゼンのようなハロゲン化芳香族炭化水素;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素が用いられる。
【0059】
上記式(II)で示されるメタラシクロペンタジエンは、ビスシクロペンタジエニルジルコニウムジアルキルのようなメタロセンに2当量のアルキン又は1当量のジインを作用させることにより得ることができる。メタラシクロペンタジエンの生成については、例えば、T. Takahashi et al. J. Org. Chem. 1995, 60, 4444 に記載されており、これと同一又は近似した条件で反応が進行する。上記式(II)で示されるメタラシクロペンタジエンは、単離される必要はなく、in situで更に金属化合物、ケトン(III)と反応させてもよい。
【0060】
溶媒は、脂肪族又は芳香族の溶媒が用いられ、好ましくは、極性溶媒が用いられる。エーテル系溶媒、例えばテトラヒドロフラン又はジエチルエーテル;塩化メチレンのようなハロゲン化炭化水素;o−ジクロロベンゼンのようなハロゲン化芳香族炭化水素;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド、ジメチルスルホキシド等のスルホキシドが用いられる。あるいは、芳香族の溶媒として、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素を用いてもよい。
【0061】
反応は好ましくは−80℃〜300℃の温度範囲で行われ、特に好ましくは−80℃〜50℃の温度範囲で行われる。圧力は0.1バール〜2500バールの範囲内で、好ましくは0.5バール〜10バールの範囲内である。反応は継続的に又はバッチ式で、一段階又はそれより多段階で、溶液中、懸濁液中、気相中又は超臨界媒体中で行える。
【0062】
本発明の一側面で用いるメタラシクロペンタジエンは、例えば、下記のメタロセンを用いて合成することができる。
【0063】
なお、ビス(インデニル)ジクロロジルコニウム;ビス(フルオレニル)ジクロロジルコニウム;(インデニル)(フルオレニル)ジクロロジルコニウム;ビス(シクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム;ビス(シクロペンタジエニル)ジクロロチタン;(ジメチルシランジイル)ビス(インデニル)ジクロロジルコニウム;(ジメチルシランジイル)ビス(テトラヒドロインデニル)ジクロロジルコニウム;(ジメチルシランジイル)(インデニル)ジクロロジルコニウム;(ジメチルシランジイル)ビス(2−メチルインデニル)ジクロロジルコニウム;(ジメチルシランジイル)ビス(2−エチルインデニル)ジクロロジルコニウム;(ジメチルシランジイル)ビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジクロロジルコニウム;(ジメチルシランジイル)ビス(2−エチル−4,5−ベンゾインデニル)ジクロロジルコニウム;(ジメチルシランジイル)ビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジクロロジルコニウム;(ジメチルシランジイル)ビス(2−エチル−4−フェニルインデニル)ジクロロジルコニウム;(ジメチルシランジイル)ビス(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)ジクロロジルコニウムなどのジクロロ体については、ナトリウム等のアルカリ金属、マグネシウム等のアルカリ土類金属のような強塩基で還元するか、又は、ジアルキル体に変換してから、メタラシクロペンタジエンを生成させる。
【0064】
ビス(シクロペンタジエニル)ジブチルジルコニウム;
ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジブチルジルコニウム;
ビス(ブチルシクロペンタジエニル)ジブチルジルコニウム;
ビス(インデニル)ジブチルジルコニウム;
ビス(フルオレニル)ジブチルジルコニウム;
(インデニル)(フルオレニル)ジブチルジルコニウム;
(3−メチル−5−ナフチルインデニル)(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレニル)ジブチルジルコニウム;
(3−メチル−5−ナフチルインデニル)(3,4,7−トリメトキシフルオレニル)ジブチルジルコニウム;
(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(テトラヒドロインデニル)ジブチルジルコニウム;
(シクロペンタジエニル)(1−オクテン−8−イルシクロペンタジエニル)ジブチルジルコニウム;
(インデニル)(1−ブテン−4−イルシクロペンタジエニル)ジブチルジルコニウム;
[1,3−ビス(トリメチルシリル)シクロペンタジエニル](3,4−ベンゾフルオレニル)ジブチルジルコニウム;。
【0065】
ビス(シクロペンタジエニル)ジブチルチタン;
ジメチルシランジイルビス(インデニル)ジブチルジルコニウム;
ジメチルシランジイルビス(テトラヒドロインデニル)ジブチルジルコニウム;
ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジブチルジルコニウム;
ジメチルシランジイルビス(2−メチルインデニル)ジブチルジルコニウム;
ジメチルシランジイルビス(2−エチルインデニル)ジブチルジルコニウム;
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジブチルジルコニウム;
ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4,5−ベンゾインデニル)ジブチルジルコニウム;
ジメチルシランジイルビス(4,5−ジヒドロ−8−メチル−7H−シクロペント〔e〕アセナフチレン−7−イリデン)ジブチルジルコニウム;
ジメチルシランジイル(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジブチルジルコニウム;
ジメチルシランジイル(2−エチル−4,5−ベンゾインデニル)(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジブチルジルコニウム;
ジメチルシランジイル(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)(2−エチル−4−フェニルインデニル)ジブチルジルコニウム;
ジメチルシランジイル(2−エチルインデニル)(2−エチル−4−フェニルナフチル)ジブチルジルコニウム;
ジメチルシランジイル(2−メチルインデニル)(4−フェニルインデニル)ジブチルジルコニウム;
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジブチルジルコニウム;
ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4−フェニルインデニル)ジブチルジルコニウム;
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)ジブチルジルコニウム;
ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)ジブチルジルコニウム;
ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−ナフチルインデニル)ジブチルジルコニウム;
ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4−ナフチルインデニル)ジブチルジルコニウム;。
【0066】
メチルフェニルシランジイルビス(インデニル)ジブチルジルコニウム;
メチルフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジブチルジルコニウム;
メチルフェニルシランジイルビス(テトラヒドロインデニル)ジブチルジルコニウム;
メチルフェニルシランジイルビス(2−メチルインデニル)ジブチルジルコニウム;
メチルフェニルシランジイルビス(2−エチルインデニル)ジブチルジルコニウム;
メチルフェニルシランジイルビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジブチルジルコニウム;
メチルフェニルシランジイルビス(2−エチル−4,5−ベンゾインデニル)ジブチルジルコニウム;
メチルフェニルシランジイルビス(4,5−ジヒドロ−8−メチル−7H−シクロペント〔e〕アセナフチレン−7−イリデン)ジブチルジルコニウム;
メチルフェニルシランジイル(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジブチルジルコニウム;
メチルフェニルシランジイル(2−エチルインデニル)(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジブチルジルコニウム;
メチルフェニルシランジイル(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)(2−エチル−4−フェニルインデニル)ジブチルジルコニウム;
メチルフェニルシランジイル(2−エチル−4,5−ベンゾインデニル)(2−エチル−インデニル)ジブチルジルコニウム;
メチルフェニルシランジイル(2−メチルインデニル)(4フェニルインデニル)ジブチルジルコニウム;。
【0067】
メチルフェニルシランジイルビス(2−メチル−4フェニルインデニル)ジブチルジルコニウム;
メチルフェニルシランジイルビスジブチルジルコニウム;
メチルフェニルシランジイルビス(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)ジブチルジルコニウム;
メチルフェニルシランジイルビス(2−エチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)ジブチルジルコニウム;
メチルフェニルシランジイルビス(4−ナフチルインデニル)ジブチルジルコニウム;
メチルフェニルシランジイルビス(2−エチル−4−ナフチルインデニル)ジブチルジルコニウム;
ジフェニルシランジイルビス(インデニル)ジブチルジルコニウム;
ジフェニルシランジイルビス(2−メチルインデニル)ジブチルジルコニウム;
ジフェニルシランジイルビス(2−エチルインデニル)ジブチルジルコニウム;
ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジブチルジルコニウム;
ジフェニルシランジイルビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジブチルジルコニウム;
ジフェニルシランジイルビス(2−エチル−4,5−ベンゾインデニル)ジブチルジルコニウム;
ジフェニルシランジイル(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)(2−メチル−4フェニルインデニル)ジブチルジルコニウム;
ジフェニルシランジイル(2−エチル−4,5−ベンゾインデニル)(2−メチル−4フェニルインデニル)ジブチルジルコニウム;
ジフェニルシランジイル(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)(2−エチル−4フェニルインデニル)ジブチルジルコニウム;
ジフェニルシランジイル(2−エチル−4,5−ベンゾインデニル)(2−エチル−4ナフチルインデニル)ジブチルジルコニウム;
ジフェニルシランジイル(2−メチルインデニル)(4フェニルインデニル)ジブチルジルコニウム;
ジフェニルシランジイルビス(2−メチル−4フェニルインデニル)ジブチルジルコニウム;
ジフェニルシランジイルビス(2−エチル−4フェニルインデニル)ジブチルジルコニウム;
ジフェニルシランジイルビス(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)ジブチルジルコニウム;。
【0068】
ジフェニルシランジイルビ;ス(2−エチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)ジブチルジルコニウム
ジフェニルシランジイルビス(2−メチル−4−ナフチルインデニル)ジブチルジルコニウム;
ジフェニルシランジイルビス(2−エチル−4−ナフチルインデニル)ジブチルジルコニウム;
1−シラシクロペンタン−1、1−ビス(インデニル)ジブチルジルコニウム;
1−シラシクロペンタン−1、1−ビス(2−メチルインデニル)ジブチルジルコニウム;
1−シラシクロペンタン−1、1−ビス(2−エチルインデニル)ジブチルジルコニウム;
1−シラシクロペンタン−1、1−ビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジブチルジルコニウム;
1−シラシクロペンタン−1、1−ビス(2−エチル−4,5−ベンゾインデニル)ジブチルジルコニウム;
1−シラシクロペンタン−1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)−1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジブチルジルコニウム;
1−シラシクロペンタン−1−(2−エチル−4,5−ベンゾインデニル)−1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジブチルジルコニウム;
1−シラシクロペンタン−1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)−1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)ジブチルジルコニウム;
1−シラシクロペンタン−1−(2−エチル−4,5−ベンゾインデニル)−1−(2−エチル−4−ナフチルインデニル)ジブチルジルコニウム;
1−シラシクロペンタン−1−(2−メチルインデニル)−1−(4−フェニルインデニル)ジブチルジルコニウム;
1−シラシクロペンタン−1,1−ビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジブチルジルコニウム;
1−シラシクロペンタン−1,1−ビス(2−エチル−4−フェニルインデニル)ジブチルジルコニウム;
1−シラシクロペンタン−1,1−ビス(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)ジブチルジルコニウム;
1−シラシクロペンタン−1,1−ビス(2−エチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)ジブチルジルコニウム;
1−シラシクロペンタン−1,1−ビス(2−メチル−4−ナフチルインデニル)ジブチルジルコニウム;
1−シラシクロペンタン−1,1−ビス(2−エチル−4−ナフチルインデニル)ジブチルジルコニウム;
ビス(シクロペンタジエニル)ジブチルチタン;
エチレン−1,2−ビス(インデニル)ジブチルジルコニウム;
エチレン−1,2−ビス(テトラヒドロインデニル)ジブチルジルコニウム;
エチレン−1−(シクロペンタジエニル)−2−(1−インデニル)ジブチルジルコニウム;
エチレン−1−(シクロペンタジエニル)−2−(2−インデニル)ジブチルジルコニウム;
エチレン−1−(シクロペンタジエニル)−2−(2−メチル−1−インデニル)ジブチルジルコニウム;
エチレン−1,2−ビス(2−メチルインデニル)ジブチルジルコニウム;
エチレン−1,2−ビス(2−エチルインデニル)ジブチルジルコニウム;
エチレン−1,2−ビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジブチルジルコニウム;
エチレン−1,2−ビス(2−エチル−4,5−ベンゾインデニル)ジブチルジルコニウム;。
【0069】
エチレン−1,2−ビス(4,5−ジヒドロ−8−メチル−7H−シクロペント〔e〕アセナフチレン−7−イリデン)ジブチルジルコニウム;
エチレン−1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)−2−(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジブチルジルコニウム;
エチレン−1−(2−エチル−4,5−ベンゾインデニル)−2−(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジブチルジルコニウム;
エチレン−1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)−2−(2−エチル−4−フェニルインデニル)ジブチルジルコニウム;
エチレン−1−(2−エチル−4,5−ベンゾインデニル)−2−(2−エチル−4−ナフチルインデニル)ジブチルジルコニウム;
エチレン−1−(2−メチルインデニル)−2−(4−フェニルインデニル)ジブチルジルコニウム;
エチレン−1,2−ビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジブチルジルコニウム;
エチレン−1,2−ビス(2−エチル−4−フェニルインデニル)ジブチルジルコニウム;
エチレン−1,2−ビス(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)ジブチルジルコニウム;
エチレン−1,2−ビス(2−エチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)ジブチルジルコニウム;
エチレン−1,2−ビス(2−メチル−4−ナフチルインデニル)ジブチルジルコニウム;
エチレン−1,2−ビス(2−エチル−4−ナフチルインデニル)ジブチルジルコニウム;
プロピレン−2,2−ビス(インデニル)ジブチルジルコニウム;
プロピレン−2−シクロペンタジエニル−2−(1−インデニル)ジブチルジルコニウム;
プロピレン−2−シクロペンタジエニル−2−(4−フェニル−1−インデニル)ジブチルジルコニウム;
プロピレン−2−シクロペンタジエニル−2−(9−フルオレニル)ジブチルジルコニウム;
プロピレン−2−シクロペンタジエニル−2−(2,7−ジメトキシ−9−フルオレニル)ジブチルジルコニウム;
プロピレン−2−シクロペンタジエニル−2−(2,7−ジ−tert−ブチル−9−フルオレニル)ジブチルジルコニウム;
プロピレン−2−シクロペンタジエニル−2−(2,7−ジブロモ−9−フルオレニル)ジブチルジルコニウム;
プロピレン−2−シクロペンタジエニル−2−(2,7−ジフェニル−9−フルオレニル)ジブチルジルコニウム;
プロピレン−2−シクロペンタジエニル−2−(2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ジブチルジルコニウム;
プロピレン−2−(3−メチルシクロペンタジエニル)−2−(2,7−ジブチル−9−フルオレニル)ジブチルジルコニウム;
プロピレン−2−(3−tert−ブチルシクロペンタジエニル)−2−(2,7−ジブチル−9−フルオレニル)ジブチルジルコニウム;
プロピレン−2−(3−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)−2−(3,6−ジ−tert−ブチル−9−フルオレニル)ジブチルジルコニウム;
プロピレン−2−シクロペンタジエニル−2−[2,7−ビス(3−ブテン−1−イル)−9−フルオレニル]ジブチルジルコニウム;
プロピレン−2−シクロペンタジエニル−2−(3−tert−ブチル−9−フルオレニル)ジブチルジルコニウム;
プロピレン−2,2−ビス(テトラヒドロインデニル)ジブチルジルコニウム;
プロピレン−2,2−ビス(2−メチルインデニル)ジブチルジルコニウム;
プロピレン−2,2−ビス(2−エチルインデニル)ジブチルジルコニウム;
プロピレン−2,2−ビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジブチルジルコニウム;
プロピレン−2,2−ビス(2−エチル−4,5−ベンゾインデニル)ジブチルジルコニウム;
プロピレン−2,2−ビス(4,5−ジヒドロ−8−メチル−7H−シクロペント〔e〕アセナフチレン−7−イリデン)ジブチルジルコニウム;
プロピレン−2−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)−2−(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジブチルジルコニウム;
プロピレン−2−(2−エチル−4,5−ベンゾインデニル)−2−(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジブチルジルコニウム;
プロピレン−2−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)−2−(2−エチル−4−フェニルインデニル)ジブチルジルコニウム;
プロピレン−2−(2−エチル−4,5−ベンゾインデニル)−2−(2−エチル−4−ナフチルインデニル)ジブチルジルコニウム;
プロピレン−2−(2−メチルインデニル)−2−(4−フェニルインデニル)ジブチルジルコニウム;
プロピレン−2,2−ビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジブチルジルコニウム;
プロピレン−2,2−ビス(2−エチル−4−フェニルインデニル)ジブチルジルコニウム;
プロピレン−2,2−ビス(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)ジブチルジルコニウム;
プロピレン−2,2−ビス(2−エチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)ジブチルジルコニウム;
プロピレン−2,2−ビス(2−メチル−4−ナフチルインデニル)ジブチルジルコニウム;
プロピレン−2,2−ビス(2−エチル−4−ナフチルインデニル)ジブチルジルコニウム;。
【0070】
1,6−ビス[メチルシリルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジブチルジルコニウム]ヘキサン;
1,6−ビス[メチルシリルビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジブチルジルコニウム]ヘキサン;
1,6−ビス[メチルシリルビス(2−エチル−4−フェニルインデニル)ジブチルジルコニウム]ヘキサン;
1,6−ビス[メチルシリルビス(2−メチル−4−ナフチルインデニル)ジブチルジルコニウム]ヘキサン;
1,6−ビス[メチルシリルビス(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)ジブチルジルコニウム]ヘキサン;
1,6−ビス[メチルシリル(2−メチル−4フェニルインデニル)(4,5−ベンゾインデニル)ジブチルジルコニウム]ヘキサン;
1−[メチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ジブチルジルコニウム]−6−[エチルスタニル(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジブチルジルコニウム]ヘキサン;
1,6−ジシラ−1,1,6,6−テトラメチル−1,6−ビス[メチルシリルビス(2−メチル−4フェニルインデニル)ジブチルジルコニウム]ヘキサン;
1,4−ジシラ1,4−ビス[メチルシリルビス(2−メチル−4フェニルインデニル)ジブチルジルコニウム]シクロヘキサン;
[1,4−ビス(1−インデニル)−1,1,4,4−テトラメチル−1,4−ジシラブタン]ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニルジブチルジルコニウム);
[1,4−ビス(9−フルオレニル)−1,1,4,4−テトラメチル−1,4−ジシラブタン]ビス(シクロペンタジエニルジブチルジルコニウム);
[1,4−ビス(1−インデニル)−1,1,4,4−テトラメチル−1,4−ジシラブタン]ビス(シクロペンタジエニルジブチルジルコニウム);
[1−(1−インデニル)−6−(2−フェニル−1−インデニル)−1,1,6,6−テトラエチル−1,6−ジシラ−4−オキサヘキサン]ビス(tert−ブチルシクロペンタジエニルジブチルジルコニウム);
[1,10−ビス(2,3−ジメチル−1−インデニル)−1,1,10,10−テトラメチル−1,10−ジゲルマデカン]ビス(2−メチル−4−フェニルインデニルジブチルジルコニウム);
(1−メチル−3−tert−ブチルシクロペンタジエニル)(1−フェニル−4−メトキシ−7−クロロフルオレニル)ジブチルジルコニウム;
(4,7−ジクロロインデニル)(3,6−ジメシチルフルオレニル)ジブチルジルコニウム;
ビス(2,7−ジ−tert−ブチル−9−シクロへキシルフルオレニル)ジブチルジルコニウム;
(2,7−ジメシチルフルオレニル)[2,7−ビス(1−ナフチル)フルオレニル]ジブチルジルコニウム;
ジメチルシリルビス(フルオレニル)ジブチルジルコニウム;
ジブチルスタニルビス(2−メチルフルオレニル)ジブチルジルコニウム;
1,1,2,2−テトラエチルジシランジイル(2−メチルインデニル)(4−フェニルフルオレニル)ジブチルジルコニウム;
プロピレン−1−(2−インデニル)−2−(9−フルオレニル)ジブチルジルコニウム;
1,1−ジメチル−1−シラエチレンビス(フルオレニル)ジブチルジルコニウム;
[4−(シクロペンタジエニル)4,7,7−トリメチル(テトラヒドロインデニル)ジブチルジルコニウム;
[4−(シクロペンタジエニル)4,7−ジメチル−7−フェニル(5,6−ジメチルテトラヒドロインデニル)ジブチルジルコニウム;
[4−(シクロペンタジエニル)−4,7−ジメチル−7−(1−ナフチル)(7−フェニルテトラヒドロインデニル)]ジブチルジルコニウム;
[4−(シクロペンタジエニル)−4,7−ジメチル−7−ブチル(6,6−ジエチルテトラヒドロインデニル)]ジブチルジルコニウム;
[4−(3−tert−ブチルシクロペンタジエニル)−4,7,7−トリメチル(テトラヒドロインデニル)]ジブチルジルコニウム;
[4−(1−インデニル)−4,7,7−トリメチル(テトラヒドロインデニル)]ジブチルジルコニウム;
ビス(シクロペンタジエニル)ジブチルハフニウム;
ビス(インデニル)ジブチルバナジウム;
ビス(フルオレニル)ジブチルスカンジウム;
(インデニル)(フルオレニル)ジブチルニオブ;
(2−メチル−7−ナフチルインデニル)(2,6−ジ−tert−ブチルフルオレニル)ジブチルチタン;
臭化(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(テトラヒドロインデニル)ブチルハフニウム;
(シクロペンタジエニル)(1−オクテン−8−イルシクロペンタジエニル)ジブチルハフニウム;。
【0071】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。ただし、本発明は、下記の実施例に制限されるものではない。
【0072】
すべての反応は、窒素雰囲気下で標準的なシュレンク技術を用いて行われた。溶媒として用いたTHF(テトラヒドロフラン)は、ナトリウム金属、ベンゾフェノンで蒸留して無水とした。ジルコノセンジクロライドは、アルドリッチ(Aldrich Chemical Company, Inc)から、n―ブチルリチウム (1.6M ヘキサン溶液) は、関東化学から購入したものを用い、3―ヘキシン又はジフェニルアセチレンのようなアルキンは、東京化成(TCI Co. Ltd)から、購入した。ジルコナシクロペンタジエン誘導体は、既知の方法により調製した。ケトマロン酸ジエチルは、東京化成から購入した。
【0073】
1H-NMRおよび13C-NMRスペクトルは、25℃にて重水素化クロロホルム溶液(TMS1%含有)を内部標準として、Bruker ARX-400を用いて測定した。ガスクロマトグラフ分析は、シリカガラスキャピラリカラムSHIMADZU CBP1-M25-O25 及び SHIMADZU C-R6A-Chromatopac integrator を備えたSHIMADZU GC-14A ガスクロマトグラフで測定した。単結晶X線回折は、モリブデン又は銅の電極を持つEnraf-Nonius CAD4 回折装置を用いて測定した。
【0074】
実施例1
ジエチル3,4,5,6-テトラエチル -2H-ピラン -2,2-ジカルボキシレート
【0075】
ジルコナシクロペンタジエンのTHF溶液である、ビス(η5−シクロペンタジエニル)2,3,4,5−テトラエチル−1−ジルコナ−2,4−シクロペンタジエンのTHF溶液に、真空下で100℃で2時間乾燥させたBiCl3 (2.0 mmol)を加え、室温にて1時間攪拌した。反応混合物は、0℃まで冷却し、ケトマロン酸ジエチル(2.0 mmol) を滴下して加え、1時間攪拌した。続いて、反応混合物に3N塩酸を添加し、反応を終了させ、エーテルで抽出した (3x30 ml)。抽出物は水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。減圧下で濃縮した後、残渣について、シリカゲルを充填剤として、カラムクロマトグラフィーを行い、精製した。NMR 収率 98%。シリカゲルを充填剤としたカラムクロマトグラフィー(EA/ヘキサン 1/9)を行い、無色液体の表題化合物を269 mg (単離収率80%) にて得た。
【0076】
1H NMR (CDCl3, Me4Si)δ0.89(t, J=7.5Hz, 3H), 1.00(t, J=7.5Hz, 3H), 1.05(t, J=7.5Hz, 3H), 1.14(t, J=7.2Hz, 3H), 1.30(t, J=7.2Hz, 6H), 2.12(q, J = 7.5Hz, 2H), 2.20(q, J =7.2Hz, 2H), 2.23(q, J = 6.6Hz, 2H), 2.29(q, J= 7.5Hz, 2H), 4.26(q, J= 6.9Hz, 4H); 13C NMR (CDCl3, Me4Si) δ12.07, 14.06(2C), 14.41, 14.61, 16.07, 19.46, 20.46, 22.13, 23.48, 61.91(2C), 85.23, 115.28, 121.51, 134.62, 150.85, 169.41(2C); 高分解能質量分析計 計算値C19H30O5 338.2093, 実測値338.2093。
【0077】
実施例2
ジエチル3,4,5,6-テトラプロピル -2H-ピラン -2,2-ジカルボキシレート
【0078】
実施例1と同様の手順を行った。ただし、ジルコナシクロペンタジエンとして、ビス(η5−シクロペンタジエニル)2,3,4,5−テトラプロピル−1−ジルコナ−2,4−シクロペンタジエンを用いた。NMR 収率80%。シリカゲルを充填剤としたカラムクロマトグラフィー(EA/ヘキサン 1/12)を行い、無色液体の表題化合物を256 mg (単離収率65%) にて得た。
【0079】
1H NMR (CDCl3, Me4Si) δ0.83(t, J =7.2Hz, 3H), 0.90(t, J =7.5Hz, 3H), 0.92(t, J =7.2Hz, 3H), 0.94(t, J = 6.9Hz, 3H), 1.1-1.4(m, 4H), 1.29(t, J = 6.9Hz, 6H), 1.4-1.7(m, 4H), 2.0-2.2(m, 6H), 2.23(t, J =7.8Hz, 2H), 4.23(q, J =7.2Hz, 4H); 13C NMR (CDCl3, Me4Si) δ13.77, 14.02(2C), 14.21, 14.46, 14.59, 20.51, 23.03, 23.40, 24.31, 28.63, 30.02, 31.69, 32.38, 61.90(2C), 85.32, 114.61, 120.60, 133.77, 149.97, 169.46(2C). 元素分析計算値C23H38O5: C, 70.02; H, 9.71. 実測値: C, 69.09; H, 9.63。
【0080】
実施例3
ジエチル3,4,5,6-テトラメチル -2H-ピラン -2,2-ジカルボキシレート
【0081】
実施例1と同様の手順を行った。ただし、ジルコナシクロペンタジエンとして、ビス(η5−シクロペンタジエニル)2,3,4,5−テトラメチル−1−ジルコナ−2,4−シクロペンタジエンを用いた。NMR 収率76%。シリカゲルを充填剤としたカラムクロマトグラフィー(EA/ヘキサン 1/5)を行い、無色液体の表題化合物を140 mg (単離収率58%) にて得た。
【0082】
1H NMR (CDCl3, Me4Si) δ1.30(t, J = 7.2Hz, 6H), 1.67(s, 3H), 1.77(s, 3H), 1.83(3H), 1.93(s, 3H), 4.1-4.4(m, 4H); 13C NMR (CDCl3, Me4Si) δ12.92, 14.02, 14.05(2C), 14.98, 16.17, 62.03(2C), 85.27, 108.89, 115.52, 128.53, 144.92, 169.11(2C); 高分解能質量分析計計算値 C15H22O5 282.1467, 実測値 282.1459。
【0083】
実施例4
ジエチル3,4-ジエチル -5,6-ジフェニル-2H-ピラン-2,2-ジカルボキシレート
【0084】
実施例1と同様の手順を行った。ただし、ジルコナシクロペンタジエンとして、ビス(η5−シクロペンタジエニル)2,3―ジエチル−4,5−ジフェニル−1−ジルコナ−2,4−シクロペンタジエンを用いた。NMR 収率93%。シリカゲルを充填剤としたカラムクロマトグラフィー(EA/ヘキサン 1/15)を行い、白色液体の表題化合物を308 mg (単離収率72%) にて得た。図1に表題化合物の単結晶X線構造解析の図を示す。
【0085】
1H NMR (CDCl3, Me4Si) δ0.77(t, J = 7.5Hz, 3H), 1.14(t, J= 7.5Hz, 3H), 1.30(t, J = 7.2Hz, 6H), 2.19(q, J = 7.5Hz, 2H), 2.34(q, J = 7.5Hz, 2H), 4.33(dq, J = 7.2Hz, 0.2Hz, 4H); 13C NMR (CDCl3, Me4Si) δ13.90, 14.07(2C), 14.19, 20.98, 22.26, 62.21(2C), 85.65, 119.56, 123.11, 126.97, 127.32(2C), 127.93, 128.13(2C), 129.33(2C), 131.31(2C), 133.98, 135.42, 136.75, 147.61, 168.95(2C). 元素分析計算値 C27H30O5: C, 74.63; H, 6.96. 実測値: C, 74.39; H, 7.07。
【0086】
実施例5
ジエチル3,4-ジエチル -5-ヘキシル-6-t-ブチル-2H-ピラン-2,2-ジカルボキシレート
【0087】
実施例1と同様の手順を行った。ただし、ジルコナシクロペンタジエンとして、ビス(η5−シクロペンタジエニル)2,3−ジエチル−4−ヘキシル−5―t―ブチル−1−ジルコナ−2,4−シクロペンタジエンを用いた。シリカゲルを充填剤としたカラムクロマトグラフィー(EA/ヘキサン 1/50)を行い、無色液体の表題化合物を100 mg (単離収率36%) にて得た。
【0088】
1H NMR (CDCl3, Me4Si) δ0.88(t, J = 7.0Hz, 3H), 0.96(t, J = 7.5Hz, 3H), 1.05(t, J = 7.6Hz, 3H), 1.06-1.20(m.4H), 1.2-1.4(m, 8H), 1.26(s, 9H), 1.29(t, J = 7.2Hz, 6H), 2.1-2.3(m, 6H), 4.1-4.2(m, 4H); 13C NMR (CDCl3, Me4Si) δ13.96(3C), 14.03, 14.45, 14.70, 20.35, 21.94, 22.67, 26.71, 29.52, 29.57(4C), 31.48, 31.67, 25.96, 61.68(2C), 85.46, 114.98, 121.93, 136.08, 155.46, 169.53(2C); 高分解能質量分析計計算値 C27H46NO 450.3345,実測値 450.3348。
【0089】
実施例6
ジエチル5,6,7,8-テトラヒドロ-1,4-ジエチル-3H-2-ベンゾピラン-3,3-ジカルボキシレート
【0090】
実施例1と同様の手順を行った。ただし、ジルコナシクロペンタジエンとして、ビス(η5−シクロペンタジエニル)2,5−ジエチル−3,4―テトラメチレン―1−ジルコナ−2,4−シクロペンタジエンを用いた。NMR 収率72%。シリカゲルを充填剤としたカラムクロマトグラフィー(EA/ヘキサン 1/5)を行い、無色液体の表題化合物を178 mg (単離収率53%) にて得た。
【0091】
1H NMR (CDCl3, Me4Si) δ1.0(dt, J =7.5Hz, 1.8Hz, 3H), 1.10(dt, J =7.8Hz, 1.8Hz, 3H), 1.29(t, J =7.2Hz, 3H), 1.30(t, J =6.9Hz, 3H), 1.5-1.7(m, 4H), 2.19(t, J=7.5Hz, 2H), 2.22-2.30(m, 4H), 2.36(t, J =6.0Hz, 2H), 4.0-4.4(m, 4H); 13C NMR (CDCl3, Me4Si) δ11.37, 12.99, 14.05(2C), 21.89, 22.99, 23.37, 23.81, 24.25, 25.62, 61.94(2C), 85.07, 109.40, 119.66, 129.81, 148.98, 169.42(2C); 高分解能質量分析計計算値 C19H28NO5 336.1937, 実測値 336.1942。
【0092】
実施例7
ジエチル5,6,7,8-テトラヒドロ-1,4-ジメチル-3H-2-ベンゾピラン-3,3-ジカルボキシレート
【0093】
実施例1と同様の手順を行った。ただし、ジルコナシクロペンタジエンとして、ビス(η5−シクロペンタジエニル)2,5−ジメチル−3,4−テトラメチレン−1−ジルコナ−2,4−シクロペンタジエンを用いた。シリカゲルを充填剤としたカラムクロマトグラフィー(EA/ヘキサン 1/16)を行い、無色液体の表題化合物を110 mg (単離収率36%) にて得た。
【0094】
1H NMR (CDCl3, Me4Si) δ1.29(t, J = 7.2Hz, 3H), 1.30(t, J = 6.9Hz, 3H), 1.45-1.65(m, 4H), 1.77(s, 3H), 1.90(s, 3H), 2.1-2.25(m, 2H), 2.25-2.35(m, 2H), 4.1-4.4(m, 4H); 13C NMR (CDCl3, Me4Si) δ14.07(2C), 14.20, 15.56, 23.27, 23.65, 24.71, 25.87, 62.01(2C), 85.24, 109.85, 114.27, 128.87, 144.43, 169.18(2C); 高分解能質量分析計計算値 C17H24O5 308.1624, 実測値 308.1612。
【0095】
実施例8
【0096】
【化14】
実施例1と同様の手順を行った。ただし、ジルコナシクロペンタジエンとして、下記式で示される化合物を用いた。
【0097】
【化15】
NMR収率68%。シリカゲルを充填剤としたカラムクロマトグラフィー(Et2O/ヘキサン 1/20)を行い、無色液体の表題化合物を256 mg (単離収率55%) にて得た。
【0098】
1H NMR (CDCl3, Me4Si) δ-0.02(s, 6H), 0.15(s, 6H), 0.85(t, J =7.4Hz, 3H), 0.91(t, J =7.4Hz, 3H), 1.28(t, J =7.2Hz, 6H), 1.3-1.4(m, 2H), 1.53(s, 2H), 1.54-1.60(m, 2H), 1.71(s, 2H), 2.0-2.1(m, 2H), 2.15-2.25(m, 2H), 4.15-4.30(m, 4H); 13C NMR (CDCl3, Me4Si) δ-0.38(2C), 0.49(2C), 13.97(2C), 14.38, 14.64, 18.20, 20.66, 21.05, 21.89, 31.51, 32.96, 61.92(2C), 84.54, 109.62, 116.91, 130.42, 147.25, 169.56(2C); 高分解能質量分析計計算値 C23H40O6Si2 468.2363, 実測値 468.2366。
【0099】
実施例9
【0100】
【化16】
実施例1と同様の手順を行った。ただし、ジルコナシクロペンタジエンとして、下記式で示される化合物を用いた。
【0101】
【化17】
NMR収率76%。シリカゲルを充填剤としたカラムクロマトグラフィー(EA/ヘキサン 1/16)を行い、黄色固体の表題化合物を220 mg (単離収率53%) にて得た。
【0102】
1H NMR (CDCl3, Me4Si) δ.94(t, J =7.6Hz, 3H), 0.96(t, J = 7.5Hz, 3H), 1.26(t, J = 7.1Hz, 6H), 1.4-1.55(m, 2H), 1.6-1.7(m, 2H), 2.23(t, J = 8.1Hz, 2H), 2.30(t, J = 7.4Hz, 2H), 3.40(s, 2H), 3.52(s, 2H), 4.15-4.25(m, 4H), 7.0-7.2(m, 4H); 13C NMR (CDCl3, Me4Si) δ13.92(3C), 14.44, 20.31,22.40, 30.20, 31.17, 31.79, 31.87, 61.99(2C), 85.10, 108.72, 117.17, 126.25, 126.29, 126.84, 127.25, 129.74, 135.96, 136.89, 147.75, 169.08(2C); 高分解能質量分析計計算値 C25H32O5 412.2250, 実測値 412.2254。
【0103】
参考例1
【0104】
【化18】
ジルコナシクロペンタジエンのTHF溶液である、ビス(η5−シクロペンタジエニル)2,3,4,5−テトラフェニル−1−ジルコナ−2,4−シクロペンタジエンのTHF溶液に、真空下で100℃で2時間乾燥させたBiCl3 (2.0 mmol)を加え、室温にて1時間攪拌した。反応混合物に、室温にてケトマロン酸ジエチル(2.0 mmol) を滴下して加え、室温にて12時間攪拌した。続いて、反応混合物に3N塩酸を添加し、反応を終了させ、エーテルで抽出した (3x30 ml)。抽出物は水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。減圧下で濃縮した後、残渣について、シリカゲルを充填剤として、カラムクロマトグラフィーを行い、精製した。シリカゲルを充填剤としたカラムクロマトグラフィー(Et2A/ヘキサン 1/5)を行い、黄色液体の表題化合物を280 mg (単離収率53%) にて得た。図2に、表題化合物の単結晶X線構造解析の図を示す。
【0105】
1H NMR (CDCl3, Me4Si) δ1.05(t, J = 7.2Hz, 6H), 3.80-4.10(m, 4H), 4.73(s, 1H), 6.80(s, 1H), 6.9-7.2(m, 15H), 7.21-7.4(m, 5H); 13C NMR (CDCl3, Me4Si) δ13.72(2C), 61.82(2C), 77.53, 126.27, 126.58, 126.86, 127.58(2C), 127.77(2C), 128.00(4C), 128.58, 129.40(2C), 129.53(2C), 129.78, 130.59(2C), 130.98(3C), 133.81, 137.17, 138.61, 139.40, 140.39, 151.14, 165.70(2C); 高分解能質量分析計計算値 C35H32O5 532.2250, 実測値 532.2247。
【0106】
参考例2
【0107】
参考例1と同様の手順を行った。ただし、塩酸の代わりに、重塩酸を用いた。単離収率52%。
【0108】
1H NMR (CDCl3, Me4Si) δ1.07(t, J = 7.1Hz, 6H), 3.80-4.10(m, 4H), 4.72(s, 0.46H), 6.9-7.3(m, 20H); 13C NMR (CDCl3, Me4Si) δ13.69(2C), 61.81(2C), 77.31(t, J = 12Hz), 77.53, 126.22, 126.54, 126.82, 127.54(2C), 127.74(2C), 127.97(4C), 128.53, 129.37(2C), 129.51(2C), 129.73, 130.59(2C), 130.97(3C), 133.80, 137.10, 138.62, 139.40, 140.26, 151.07, 165.69(2C); 高分解能質量分析計計算値 C35H30D2O5 534.2373, 実測値 534.2362. 元素分析 計算値 C35H30D2O5 : C, 78.63; H, 6.41. 実測値 C, 78.76; H, 6.27。
参考例1及び参考例2のスキームを下記に示す。
【化19】
【0109】
実施例1〜9及び参考例の結果を表1に示す。
【0110】
【表1】
なお、収率は、NMR収率を示す。単離収率はかっこ内に記載する。
【0111】
【発明の効果】
本発明の方法により、簡易にピラン誘導体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ジエチル3,4-ジエチル -5,6-ジフェニル-2H-ピラン-2,2-ジカルボキシレートの単結晶X線構造解析の図である。
【図2】 参考例1の単結晶X線構造解析の図である。

Claims (4)

  1. 下記式(Ia)又は(Ib)で示されるピラン誘導体を製造する方法であって、
    (式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1〜C20 アルキル基;置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシ基;又は置換基を有していてもよいシリル基であり、ただし、R2及びR3は、互いに架橋してC4〜C20飽和環又は不飽和環を形成してもよく、前記環は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子又は式−N(R5)−で示される基(式中、R5は水素原子又はC1〜C20炭化水素基である。)で中断されていてもよく、かつ、置換基を有していてもよく、A1及びA2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、シアノ基(−CN);ニトロ基(−NO2);置換基を有していてもよいC2〜C20アルキルオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシカルボニル基、又は、式−CO−NR78で示される基(式中、R7及びR8は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子又はC1〜C20炭化水素基である。)から選ばれる電子吸引基である。)
    ビスマスを含む金属ハロゲン化物の存在下、下記式(II)で示されるメタラシクロペンタジエンと、
    (式中、R1、R2、R3及びR4は、上記の意味を有する。Mは、チタン、ジルコニウム又はハフニウムであり;L1及びL2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、シクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、イソプロピルシクロペンタジエニル基、n−ブチルシクロペンタジエニル基、t−ブチルシクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基、ジエチルシクロペンタジエニル基、ジイソプロピルシクロペンタジエニル基、ジ−t−ブチルシクロペンタジエニル基、テトラメチルシクロペンタジエニル基、インデニル基、2−メチルインデニル基、2−メチル−4−フェニルインデニル基、テトラヒドロインデニル基、ベンゾインデニル基、フルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、テトラヒドロフルオレニル基、オクタヒドロフルオレニル基及びアズレニル基からなる群から選ばれる非局在化環状η5−配位系配位子を示し、ただし、L1及びL2は、架橋されていてもよい。)
    下記式(III)で示されるケトンとを、
    (A1及びA2は、上記の意味を有する。)
    20℃以下で反応させることを特徴とするピラン誘導体の製造方法。
  2. 下記式(Ia)又は(Ib)で示されるピラン誘導体。
    (式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、ハロゲン原子、水酸基及びアミノ基からなる群から選択される置換基を有していてもよいC1〜C20 アルキル基であり、ただし、R2及びR3は、互いに架橋してC4〜C20飽和環又は不飽和環を形成してもよく、前記環は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子又は式−N(R5)−で示される基(式中、R5は水素原子又はC1〜C20炭化水素基である。)で中断されていてもよく、かつ、C1〜C20炭化水素基、C1〜C20アルコキシ基、C6〜C20アリールオキシ基、アミノ基、水酸基及びシリル基からなる群から選択される置換基を有していてもよく、A1及びA2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、C2〜C20アルキルオキシカルボニル基である。)
  3. 前記R1と前記R2とが同一の基であり、前記R3と前記R4とが同一の基であり、かつ、前記R1及び前記R3とが異なる基である請求項に記載のピラン誘導体。
  4. 前記R1と前記R2とが異なる基であり、かつ、前記R1と前記R4とが異なる基である請求項に記載のピラン誘導体。
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